JPH07157637A - 液晶ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

液晶ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法

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JPH07157637A
JPH07157637A JP5324194A JP5324194A JPH07157637A JP H07157637 A JPH07157637 A JP H07157637A JP 5324194 A JP5324194 A JP 5324194A JP 5324194 A JP5324194 A JP 5324194A JP H07157637 A JPH07157637 A JP H07157637A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】射出成形や押出成形などにより、成形品などに
利用できる耐熱性、成形加工性、機械的性質、特にウェ
ルド強度、耐衝撃性、薄肉物性に優れた新規な液晶ポリ
エステル樹脂組成物を提供する。 【構成】(A)液晶ポリエステル1〜99重量%と
(B)芳香族ポリカーボネート99〜1重量%とからな
る組成物100重量部と(C)ジアミン0.0001〜
3重量部とからなる液晶ポリエステル樹脂組成物、並び
に液晶ポリエステル、芳香族ポリカーボネートおよびジ
アミンを溶融混練することを特徴とする前記の液晶ポリ
エステル樹脂組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形や押出成形な
どにより、成形品などに利用できる耐熱性、成形加工
性、機械的性質、特にウェルド強度、耐衝撃性、薄肉物
性に優れた新規な液晶ポリエステル樹脂組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】液晶ポリエステルは、ポリエチレンテレ
フタレートやポリブチレンテレフタレートのような結晶
性ポリエステルと異なり、分子が剛直なため溶融状態で
も絡み合いを起こさず、液晶状態を有するポリドメイン
を形成し、低剪断により分子鎖が流れ方向に著しく配向
する挙動を示し、一般に溶融型液晶(サーモトロピック
液晶)ポリマーと呼ばれている。この特異的な挙動のた
め、溶融流動性が極めて優れ、0.2〜0.5mm程度
の薄肉成形品を容易に得ることができ、しかもこの成形
品は高強度、高剛性を示すという長所を有している。し
かし、異方性が極めて大きく、ウェルド強度が著しく低
いという欠点がある。さらに、成形加工温度が高いため
用途が限られていた。また、液晶ポリエステルは一般に
高価であることも問題であった。
【0003】液晶ポリエステルの優れた耐熱性、力学的
性質を保持し、成形品のウェルド強度が改良され、かつ
安価な液晶ポリエステル樹脂組成物は強く市場から要望
されていた。特開昭56−115357号公報には、溶
融加工可能な重合体と異方性溶融体形成性重合体とを含
む樹脂組成物が開示され、溶融加工可能な重合体に異方
性溶融体形成性重合体を加えることにより、溶融加工可
能な重合体の加工性を改良できることが記載されてい
る。例えば、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン混
合物に液晶ポリエステルを加えた例などが挙げられてい
る。また特開平2−97555号公報にハンダ耐熱性を
向上させる目的で液晶ポリエステルに各種のポリアリー
レンオキサイドを配合した樹脂組成物が記載されてい
る。しかしながら、一般に成形温度の高い液晶ポリエス
テルに、それより成形温度の低いポリフェニレンエーテ
ルなどの非晶性高分子を配合してなる組成物は、組成物
の溶融加工性は向上しても、高温での成形加工の際の配
合樹脂の熱分解のために成形品の外観不良が生じるとい
う問題があった。また、該組成物の耐熱性、機械的性
質、特に耐衝撃性などが不充分であるという問題点があ
った。また、特開昭57─40551号、特開平2─1
02257号公報などに液晶ポリエステルと芳香族ポリ
カーボネートからなる組成物が開示されているが、それ
らは耐熱性や機械的性質などが充分なものではなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、液晶ポリエ
ステルの優れた耐熱性、機械的性質、薄肉成形品の機械
的性質(以下、薄肉物性ということがある。)を保持
し、成形加工性、成形品のウェルド強度、耐衝撃性が改
良され、かつ安価な液晶ポリエステル樹脂組成物を提供
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点を解決するため鋭意検討の結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は次に記す発明からなる。 (1)(A)液晶ポリエステル1〜99重量%と(B)
芳香族ポリカーボネート99〜1重量%とからなる組成
物100重量部と(C)ジアミン0.0001〜3重量
部とからなる液晶ポリエステル樹脂組成物。 (2)(A)液晶ポリエステル20〜99重量%と
(B)芳香族ポリカーボネート80〜1重量%とからな
る組成物100重量部と(C)ジアミン0.0001〜
0.2重量部とからなる液晶ポリエステル樹脂組成物。 (3)液晶ポリエステル、芳香族ポリカーボネートおよ
びジアミンを溶融混練することを特徴とする(1)また
は(2)記載の液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方
法。 (4)液晶ポリエステル、芳香族ポリカーボネートおよ
びジアミンを溶融混練して得られた樹脂組成物と、液晶
ポリエステルおよび芳香族ポリカーボネートとを溶融混
練することを特徴とする(1)または(2)記載の液晶
ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【0006】次に、本発明を詳細に説明する。本発明の
液晶ポリエステル樹脂組成物の成分(A)の液晶ポリエ
ステルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポ
リエステルである。具体的には、(1)芳香族ジカルボ
ン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸と
の組み合わせからなるもの、(2)異種の芳香族ヒドロ
キシカルボン酸の組み合わせからなるもの、(3)芳香
族ジカルボン酸と核置換芳香族ジオールとの組み合わせ
からなるもの、(4)ポリエチレンテレフタレートなど
のポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応さ
せたものなどが挙げられ、400℃以下の温度で異方性
溶融体を形成するものである。なお、これらの芳香族ジ
カルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が
使用されることもある。該液晶ポリエステルの繰返し構
造単位としては下記のものを例示することができるが、
これらに限定されるものではない。 芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】 芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位:
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】 芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単
位:
【0011】
【化5】 耐熱性、機械的性質、加工性のバランスから特に好まし
い液晶ポリエステルは
【0012】
【化6】 なる繰り返し構造単位を含むものであり、具体的には繰
り返し構造単位の組み合わせが下記(I)〜(V)のも
のである。
【0013】
【化7】
【0014】
【化8】
【0015】
【化9】
【0016】
【化10】
【0017】
【化11】 該液晶ポリエステル(I)、(II)、(III)、
(IV)については、それぞれ、例えば特公昭47−4
7870号公報、特公昭63−3888号公報、特公昭
63−3891号公報、特公昭56−18016号公報
などに記載されている。
【0018】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の成
分(B)の芳香族ポリカーボネートは、二価フェノール
とフォスゲン、ハロホルメート、炭酸エステルのような
カーボネート前駆体とを反応させて得られる一般式(V
I)で示される繰り返し構造単位を有する芳香族ポリカ
ーボネートである。
【0019】
【化12】 (A:二価フェノールに由来する二価の芳香族基) ここで用いられる二価フェノールとは、単環式、あるい
は多環式芳香族化合物であり、芳香環中の炭素に直接結
合する2個の水酸基を有する。これら二価フェノールの
具体例としては、2,2─ビス(4─ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(ビスフェノールA)、ヒドロキノン、レ
ゾルシン、2,2─ビス(ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,4’─ジヒドロキシ─ジフェニルメタン、ビス
(2─ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4─ヒドロ
キシフェニル)メタン、ビス(4─ヒドロキシ─5─ニ
トロフェニル)メタン、1,1─ビス(4─ヒドロキシ
フェニル)エタン、3,3─ビス(4─ヒドロキシフェ
ニル)ペンタン、2,2─ジヒドロキシジフェニル、
2,6─ジヒドロキシ─ナフタレン、ビス(4─ヒドロ
キシフェニル)スルホン、2,4’─ジヒドロキシジフ
ェニルスルホン、5─クロロ─2,4’─ジヒドロキシ
ジフェニルスルホン、ビス(4─ヒドロキシフェニル)
ジフェニルジスルホン、4,4─ジヒドロキシジフェニ
ルエーテル、4,4’─ジヒドロキシ─3,3’─ジク
ロロジフェニルエーテル、4,4’─ジヒドロキシ─
2,5─ジエトキシジフェニルエーテル等である。好ま
しくは、ビスフェノールAおよびその核置換誘導体が挙
げられる。これらの二価フェノールは単独あるいは混合
して用いられる。
【0020】本発明の樹脂組成物に用いられる芳香族ポ
リカーボネートは上記の二価フェノールを原料として公
知の方法、すなわち、エステル交換法、溶液法、界面重
縮合法等により製造され、好ましくは粘度平均分子量1
5000以上、さらに好ましくは25000以上のもの
である。これらの具体的な重合方法は、例えば“ENC
YCLOPEDIA OF POLYMER SCIE
NCE AND TECHNOLOGY”第10巻(J
ohn Wiley & Sons,Inc.,196
9年)710〜764ページに示される「ポリカーボネ
ート」の項に記載されている。また、これらのポリカー
ボネートには特公昭48─25076号公報に示される
ポリカーボネート─スチレンブロック共重合体に例示さ
れるような共重合体も用いることができる。本発明の液
晶ポリエステル樹脂組成物における成分(C)のジアミ
ンは、次式で示される。
【0021】
【化13】 (R1 は、炭素原子数2〜12の直鎖状、分岐状もしく
は環状のアルキレン基、またはそれにエーテル結合の酸
素を含んだもの;二価の複素環基;置換もしくは非置換
の単環式芳香族炭化水素基;または置換もしくは非置換
の多環式芳香族炭化水素基を示す。R2 、R3 は、水
素、アルキル基、シクロアルキル基、または芳香族基を
示す。
【0022】該ジアミンは、具体的には、1,2─ジア
ミノエタン、1,3─ジアミノプロパン、1,4─ジア
ミノブタン、1,6─ジアミノヘキサン、1,8─ジア
ミノオクタン、1,10─ジアミノデカン、1,12─
ジアミノドデカン、1,4─ジアミノシクロヘキサン、
ビス(メチルアミノ)ヘキサン、ビス(3─アミノプロ
ピル)エーテル、1,2─ビス(3─アミノプロポキ
シ)エタン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノ
プロピルアミン、N,N’─ジ─t─ブチルエチレンジ
アミン、ビス(2─アミノエチル)ベンゼン等が挙げら
れる。その中でも、R2 、R3 の一方もしくは両方が水
素であることが好ましい。具体的には、1,3─ジアミ
ノプロパン、1,6─ジアミノヘキサン、1,10─ジ
アミノデカン、1,12─ジアミノドデカン、メチルア
ミノプロピルアミン、ビス(3─アミノプロピル)エー
テルが挙げられる。
【0023】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物にお
いては、成分(A)、成分(B)および成分(C)の組
成比が特定の範囲内の値をとることによって、目的とす
る液晶ポリエステル樹脂組成物を得ることができる。本
発明における成分(A)と成分(B)の比率は成分
(A)が1〜99重量%、成分(B)が99〜1重量%
であり、好ましくは成分(A)が20〜99重量%、成
分(B)が80〜1重量%であり、さらに好ましくは成
分(A)が20〜80重量%、成分(B)が80〜20
重量%である。成分(A)が1重量%未満であると、該
組成物からなる成形品の耐熱性、機械的性質が不充分で
あり、また99重量%を超えると組成物の寸法安定性が
不充分となり、コスト的にも利点が少なく好ましくな
い。
【0024】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物にお
いては、成分(A)と成分(B)の重量和100重量部
に対して、成分(C)のジアミンは0.0001〜3重
量部、好ましくは0.0001〜0.2重量部、さらに
好ましくは0.005〜0.1重量部である。ジアミン
が0.0001重量部未満では組成物の耐熱性、機械的
性質を向上させる効果が少なく、また3重量部を超える
と組成物の耐熱性が著しく低下するため好ましくない。
【0025】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物にお
ける好ましい形態は、成分(A)の液晶ポリエステルが
主に連続相を形成し、成分(B)の芳香族ポリカーボネ
ートが主に分散相を形成している場合である。このよう
な形態の場合、特に該組成物の耐熱性、機械的性質、耐
薬品性および薄肉物性などが優れたものとなる。
【0026】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物にお
いては、成分(A)が20〜99重量%、成分(B)が
80〜1重量%であり、成分(A)と成分(B)の重量
和100重量部に対して成分(C)ジアミンが0.00
01〜0.2重量部のときに、前記のような好ましい形
態を実現して、耐熱性や機械的性質を特に向上させるこ
とが可能となる。
【0027】成分(A)の比率が99重量%をこえると
組成物のウェルド部強度が著しく低下し、価格低下の効
果も少ない。また成分(A)の比率が20重量%未満で
あると組成物中で成分(A)の大部分は連続相となら
ず、組成物の耐熱性、機械的性質、薄肉物性などが著し
く低下する。
【0028】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物が、
優れた耐熱性、機械的性質などを示す理由は必ずしも明
らかではないが、液晶ポリエステルと芳香族ポリカーボ
ネートがジアミンを介して結合した高分子が液晶ポリエ
ステルと芳香族ポリカーボネートの相溶性を向上させて
いるものと考えられる。
【0029】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、
さらに液晶ポリエステルと芳香族ポリカーボネートの相
溶性を向上させるための相溶化剤として用いることがで
きる。得られた液晶ポリエステル樹脂組成物は、成分間
の相溶性がより向上して、耐熱性および機械的性質が向
上するので好ましい。すなわち、液晶ポリエステル、芳
香族ポリカーボネートおよびジアミンを溶融混練し、そ
の混練物を相溶化剤として液晶ポリエステルおよび芳香
族ポリカーボネートに配合して、さらに溶融混練して、
液晶ポリエステル樹脂組成物を得ることもできる。相溶
化剤として用いる場合の液晶ポリエステル樹脂組成物
は、(A)液晶ポリエステル1〜99重量%と(B)芳
香族ポリカーボネート99〜1重量%とからなる組成物
100重量部と(C)ジアミン0.01〜1.0重量部
とからなる液晶ポリエステル樹脂組成物が好ましい。液
晶ポリエステル、芳香族ポリカーボネートおよびジアミ
ンの量比が上記の範囲外であると、樹脂組成物の成形加
工性、機械的性質などが低下するので好ましくない。
【0030】相溶化剤として用いる場合の液晶ポリエス
テル樹脂組成物の製造方法も、後述の液晶ポリエステル
樹脂組成物の製造方法と同様である。相溶化剤としての
使用の例を次に挙げる。たとえば、液晶ポリエステルと
芳香族ポリカーボネートとの比率が、液晶ポリエステル
25〜99重量%と芳香族ポリカーボネート75〜1重
量%であり、液晶ポリエステルと芳香族ポリカーボネー
トとの重量和100重量部に対して、前記の相溶化剤と
しての液晶ポリエステル樹脂組成物1〜30重量部を加
えて、溶融混練する方法が挙げられる。
【0031】本発明における液晶ポリエステル樹脂組成
物を製造する方法に特に制限はなく、周知の方法を用い
ることができる。たとえば、溶液状態で各成分を混合
し、溶剤を蒸発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙
げられる。工業的見地からみると溶融状態で各成分を混
練する方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されて
いる一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練
装置を用いることができる。特に二軸の高混練機が好ま
しい。溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定
温度は200〜360℃の範囲が好ましく、さらに好ま
しくは250〜340℃である。
【0032】混練に際しては、各成分は予めタンブラー
もしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均
一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、混
練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いること
ができる。
【0033】例えば、液晶ポリエステルと芳香族ポリカ
ーボネートをあらかじめ溶液ブレンド、または溶融混練
して混合物を得て、ついでこれとジアミンを溶融混練し
て液晶ポリエステル樹脂組成物を得ることもできる。ま
た、芳香族ポリカーボネート、液晶ポリエステルおよび
ジアミンを混練機の第一投入口から投入し、第二投入口
から液晶ポリエステルまたは芳香族ポリカーボネートを
投入して一回の混練で液晶ポリエステル樹脂組成物を得
ることもできる。
【0034】また、液晶ポリエステル、芳香族ポリカー
ボネートおよびジアミンを溶融混練し、その混練物を液
晶ポリエステルおよび芳香族ポリカーボネートに配合し
て、さらに溶融混練して、液晶ポリエステル樹脂組成物
を得ることもできる。
【0035】混練された該樹脂組成物は、射出成形、押
出成形、その他各種の成形法によって成形されるが、予
め混練の過程を経ず、射出成形や押出成形時にドライブ
レンドして溶融加工操作中に混練して、本発明の樹脂組
成物とし、直接成形加工品を得ることもできる。
【0036】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物にお
いては、所望により無機充填剤が用いられる。このよう
な無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレ
ー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チ
タン、アルミナ、石膏、ガラス繊維、炭素繊維、アルミ
ナ繊維、シリカアルミナ繊維、ホウ酸アルミニウムウィ
スカ、チタン酸カリウム繊維等が例示される。
【0037】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物に、
必要に応じて、さらに、有機充填剤、酸化防止剤、熱安
定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機また
は有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表
面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良
剤などの各種の添加剤を製造工程中あるいはその後の加
工工程において添加することができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、こ
れらは単なる例示であり、本発明はこれらに限定される
ことはない。なお、芳香族ポリカーボネートをPCと略
記することがある。
【0039】(1)物性測定方法 物性測定は、得られた組成物について、東芝機械(株)
製IS150E−V型射出成形機を用いて、金型温度7
0〜130℃で、設定温度は比較例4では260℃で、
その他は250℃〜350℃で射出成形した成形品につ
いて行った。
【0040】ウェルド部強度、非ウェルド部強度:本発
明の組成物から図1に示す試験片を成形した。この試験
片は厚み3mm、外寸64mm、内寸38mmであっ
た。これから図1に示すウェルドラインを含む斜線部
(64×13mm)を切り出し、スパン間距離40m
m、曲げ速度2mm/分で曲げ強度を測定した。また、
同一形状の試験片から非ウェルド部(64×13mm)
を切り出し、同様にして曲げ強度を測定した。
【0041】引張強度、荷重たわみ温度(以下TDUL
ということがある。):ASTM4号引張ダンベル、T
DUL測定用試験片(127mm長×12.7mm幅×
6.4mm厚)をそれぞれ成形し、ASTM D63
8、ASTM D648に準じて引張強度、TDUL
(荷重18.6kg)をそれぞれ測定した。アイゾット
衝撃強度:試験片(6.4mm厚)についてノッチ無し
でJISK7110に従い、室温で測定した。
【0042】曲げ強度:試験片(6.4mm厚)につい
てASTM D790に従い、測定した。 流動温度(以下F.T.ということがある。):島津製
作所(株)製フローテスターCFT−500型(キャピ
ラリーレオメータータイプ)で測定され、4℃/分の昇
温速度で加熱溶融されたポリマーを荷重100kg/c
2 で内径1mm、長さ10mmのノズルから押し出す
ときに、該溶融粘度が48000ポイズを示す点におけ
る温度を流動温度とした。
【0043】曲げ弾性率:試験片(6.4mm厚)につ
いてASTM D790に準じて、測定した。
【0044】薄肉成形品の引張試験:肉厚0.5mm、
長さ75mm、ネック部の幅5mmであるダンベル形状
の金型を使用して組成物の射出成形を行ない、得られた
ダンベル片を引張試験に用いた。
【0045】形態:成形品の断面をミクロトームで切削
後、四塩化炭素でエッチングし、芳香族ポリカーボネー
ト部を溶出し、液晶ポリエステル部を残して、次に金蒸
着を施した上で走査型電子顕微鏡観察に供した。形態は
以下のように分類した。 A:組成物中の液晶ポリエステル部が主に連続相、組成
物中の芳香族ポリカーボネート部が分散相。 B:組成物中の芳香族ポリカーボネート部が連続相、組
成物中の液晶ポリエステル部が主に分散相。
【0046】(2)成分(A)の液晶ポリエステル p−アセトキシ安息香酸10.8kg(60モル)、テ
レフタル酸2.49kg(15モル)、イソフタル酸
0.83kg(5モル)および4,4’−ジアセトキシ
ジフェニル5.45kg(20.2モル)を櫛型撹拌翼
をもつ重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しなが
ら昇温し330℃で1時間重合させた。この間に副生す
る酢酸を除去しながら、強力な撹拌下で重合させた。そ
の後、系を徐々に冷却し、200℃で得られたポリマー
を系外へ取出した。この得られたポリマーを細川ミクロ
ン(株)製のハンマーミルで粉砕し、2.5mm以下の
粒子とした。これを更にロータリーキルン中で窒素ガス
雰囲気下に280℃で3時間処理することによって、流
動温度が324℃の粒子状の下記の繰り返し構造単位か
らなる全芳香族ポリエステルを得た。以下該液晶ポリエ
ステルをA−1と略記する。このポリマーは加圧下で3
40℃以上で光学異方性を示した。液晶ポリエステルA
−1の繰り返し構造単位は、次の通りである。
【0047】
【化14】
【0048】(3)成分(B)の芳香族ポリカーボネー
ト (i)芳香族ポリカーボネートは住友ダウ(株)製の商
品名CALIBRE 300−4〔MFR(300℃、
1.2kg)=4〕を使用した。以下、該芳香族ポリカ
ーボネートをB−1と略記する。 (ii)芳香族ポリカーボネートは住友ダウ(株)製の
商品名CALIBRE200−6〔MFR(300℃、
1.2kg)=6〕を使用した。以下、該芳香族ポリカ
ーボネートをBB−1と略記する。
【0049】(4)成分(C)のジアミン 実施例で使用したジアミンおよびその略称は以下の通り
である。 略称 C─1:1,12─ジアミノドデカン C─2:1,6─ジアミノヘキサン
【0050】(5)相溶化剤としての液晶ポリエステル
樹脂組成物 (i)住友ダウ(株)製ポリカーボネート商品名CAL
IBRE300−6(MFR(300℃、1.2kg)
=6)70重量部、A−1 30重量部、ジアミノドデ
カン0.5重量部をヘンシェルミキサーで一括混合後、
池貝鉄工(株)製二軸押出機PCM−30型を使用し、
シリンダー設定温度320℃で溶融混練を行った。得ら
れた重合体についてガスクロマトグラフィー(GC)測
定を行って、重合体中にジアミノドデカンが残留してい
ないことを確認した。また原子吸光法に基づく重合体中
の全窒素含量は0.07重量%であった。以下、該相溶
化剤をM−1と略称する。 (ii)住友ダウ(株)製ポリカーボネート商品名CA
LIBRE300−650重量部、A−1 50重量
部、ヘキサメチレンジアミン 0.3重量部を安定剤と
ともにヘンシェルミキサーで一括混合後、池貝鉄工
(株)製二軸押出機PCM−30型を使用してシリンダ
ー設定温度305℃で、脱揮しながら溶融混練を行っ
た。得られた重合体についてGC測定を行った結果、該
ジアミンは検出限界以下であった。また原子吸光法に基
づく重合体中の全窒素含量は0.03重量%であった。
以下、該相溶化剤をM−2と略称する。
【0051】実施例1〜2および比較例1〜4 表1の組成で、各成分を安定剤とともにヘンシェルミキ
サーで一括混合したのち、日本製鋼(株)製二軸押出機
TEX─30を用いてシリンダー温度280〜325
℃、回転数320rpmで脱揮しながら溶融混練を行っ
た。得られた組成物の物性を表1に示す。なお、実施例
1および2の成形品の白度は、比較例3の成形品(液晶
ポリエステル100%)の白度より向上した。
【0052】実施例3および比較例5 日本製鋼(株)製二軸押出機TEX─30の第1フィー
ド口、第2フィード口の各々から表2に示す組成で各成
分を安定剤と共に供給し、シリンダー温度330℃、回
転数250rpmで溶融混練を行った。物性測定は上述
と同一条件で射出成形した成形品について行なった。得
られた組成物の物性を表2に示す。なお、実施例3の成
形品の白度は、比較例3の成形品(液晶ポリエステル1
00%)の白度より向上した。
【0053】以上から明らかなとおり、本発明の液晶ポ
リエステル樹脂組成物は耐熱性、溶融加工性、機械的性
質、特にウェルド強度および耐衝撃性が優れ、成形品外
観も良好であり、しかも芳香族ポリカーボネートを配合
していることから安価な樹脂組成物であることがわか
る。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】実施例4〜7および比較例6〜10 表3に示す組成〔数値の上段にA−1、BB−1、相溶
化剤の組成(重量部)を示し、それから計算でA成分、
B成分、C成分に換算した組成(重量部)を数値の下段
に示す。〕で、各成分を安定剤とともにヘンシェルミキ
サーで一括混合したのち、日本製鋼(株)製二軸押出機
TEX─30を用いてシリンダー設定温度280〜34
0℃で溶融混練を行った。得られた組成物の物性を表3
に示す。
【0057】図2、図3、図4に実施例4、6の組成物
および比較例8の組成物の各々の成形品の走査型電子顕
微鏡写真を示す。実施例4、6の組成物においては芳香
族ポリエステル部が連続相であり、比較例8の組成物に
おいては芳香族ポリエステル部が分散相であることがわ
かる。
【0058】以上から明らかなとおり、本発明の液晶ポ
リエステル樹脂組成物は耐熱性、溶融加工性、機械的性
質、特にウェルド強度、耐衝撃性、薄肉物性が優れ、し
かも芳香族ポリカーボネートを配合していることから安
価な樹脂組成物であることがわかる。
【0059】
【表3】
【0060】
【発明の効果】本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物
は、液晶ポリエステルの優れた耐熱性、機械的物性を保
持し、成形加工性、成形品のウェルド強度、耐衝撃性、
薄肉物性が改良され、かつ安価なものである。該樹脂組
成物は、このような特性を生かして射出成形や押出成形
により成形品、シート、チューブ、フィルム、繊維、積
層物、コーティング材等に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウェルド強度測定用の試験片の平面図。
【図2】実施例4の液晶ポリエステル樹脂組成物の射出
成形品の相構造を示す走査型電子顕微鏡写真。
【図3】実施例6の液晶ポリエステル樹脂組成物の射出
成形品の相構造を示す走査型電子顕微鏡写真。
【図4】比較例8の液晶ポリエステル樹脂組成物の射出
成形品の相構造を示す走査型電子顕微鏡写真。
【符号の説明】
1.ウェルドライン 2.ウェルドラインを含む切り出し部(斜線部) 3.ゲート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)液晶ポリエステル1〜99重量%と
    (B)芳香族ポリカーボネート99〜1重量%とからな
    る組成物100重量部と(C)ジアミン0.0001〜
    3重量部とからなる液晶ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)液晶ポリエステル20〜99重量%
    と(B)芳香族ポリカーボネート80〜1重量%とから
    なる組成物100重量部と(C)ジアミン0.0001
    〜0.2重量部とからなる液晶ポリエステル樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】液晶ポリエステル、芳香族ポリカーボネー
    トおよびジアミンを溶融混練することを特徴とする請求
    項1または2記載の液晶ポリエステル樹脂組成物の製造
    方法。
  4. 【請求項4】液晶ポリエステル、芳香族ポリカーボネー
    トおよびジアミンを溶融混練して得られた樹脂組成物
    と、液晶ポリエステルおよび芳香族ポリカーボネートと
    を溶融混練することを特徴とする請求項1または2記載
    の液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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