JPH0715041Y2

JPH0715041Y2 - 医療用照明灯

Info

Publication number: JPH0715041Y2
Application number: JP1991089109U
Authority: JP
Inventors: 直巳兼平
Original assignee: 山田医療照明株式会社
Priority date: 1991-10-04
Filing date: 1991-10-04
Publication date: 1995-04-10
Anticipated expiration: 2005-04-10
Also published as: JPH0533401U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、手術室内等で使用され
る医療用照明灯（いわゆる無影灯）に関し、より詳細に
は、同一平面上に配設した複数個のランプの光軸を所望
深度で一致させて焦点を作り、この焦点状態を散乱させ
ることなく移動させて、手術台等の被照射面の任意個所
を照射し、または手術台上の人体の患部の浅深等による
被照射面の深度に応じて焦点状態を散乱させることなく
焦点深度を簡易かつ単純な装置で変更可能とすることが
できる医療用照明灯に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、医療用照明灯としては、天井内部
の空間に設置する天井埋込型のものと、天井もしくはス
タンドに自在アーム等を介して移動自在に設置する吊下
型のものとが知られている。そして、天井埋込型におい
ては、特公昭５４−２５１６号公報におけるように、ラ
ンプケースを天井内に水平に設置したままの状態で、焦
点位置の深度調節と、位置調節との両方を自在に行なう
ことが可能なものが知られている。しかし、吊下型にお
いては、例えば実開昭６２−８２０１９号公報に開示さ
れているような、焦点位置の深度調節のみが可能となっ
ているものが知られているに過ぎない。このような従来
の吊下型の医療用照明灯では焦点位置は常に照明灯の筐
体の中心軸上にあるため、焦点の位置調節は照明灯の筐
体全体を転傾させて行なわなければならなかった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上述のような、従来の
医療用照明灯においては、手術部位の照明にあたって、
まず、照明灯の筐体全体を転傾させて、照射すべき方向
に光軸の方向を合致させた後、さらに、照明灯と手術部
位との距離の遠近に応じて、照明灯の焦点深度の調節を
行なわなければならず、複雑かつ複数の操作が要求され
るという問題点があった。

【０００４】また、このような従来の吊下型の照明灯に
おいては、診断、手術部位によっては照明灯の筐体全体
を大きく転傾させなければならなくなり、かかる大型の
筐体を大きく傾けた状態で手術部位の付近に配置するこ
とは、周囲で補助作業をする手術介助者等の視界の妨げ
となって、手術の順調な進行の妨げとなることがあると
いう問題点があった。さらに、大きく傾けた照明灯の光
は治療部位のみならず、周辺機器等をも間接的に照射す
るので、手術台周辺に明暗差が生じ、これにより照射さ
れる方向にいる手術介助者等を幻惑させて、適切な介助
に支障をきたす等、手術部位のみを集中して照射すると
いう医療用照明灯の機能を損なう問題点もあった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、上述の諸問題
点に鑑みてなされたものであり、天井もしくはスタンド
等の被取付体に取り付けられた照明灯の筐体内に、焦点
を一致させて転傾自在に支持された複数個のランプと、
これらのランプのそれぞれの光軸上で、その上方に設け
られたガイド軸と、前記複数個のランプの支持面に対し
て平行な面に取り付けられ、前記複数個のランプのＸ軸
方向及びＹ軸方向の所望位置まで移動自在なＸＹスライ
ドベースと、このＸＹスライドベース上に設けられ、該
ＸＹスライドベースに対して垂直な軸を中心に回動自在
に支持された回転板と、この回転板と前記ガイド軸とを
結合し、該回転板の回動にともなって、該回転板の中心
と前記ガイド軸との距離を可変する連結杆機構と、前記
回転板に取り付けられ、照明灯の筐体外部から該回転板
の回動操作と前記ＸＹスライドベースの水平位置調整操
作とを行なう操作ハンドルとを有することにより、焦点
の深度調節と位置調節との両方の調節を、照明灯の筐体
を水平位置に保持した状態で、かつ１つの操作ハンドル
で自在に行なうことができる医療用照明灯を提供するこ
とを目的としている。

【０００６】

【作用】本考案に係る医療用照明灯は、以上のように構
成されているので、操作ハンドルの回動操作により回転
板が回動すると、連結杆機構が回転板の中心とガイド軸
との距離を可変するように作用する。そしてガイド軸は
複数個の各ランプを転傾させて、焦点深度が調節され
る。

【０００７】さらに、本考案の医療用照明灯は、操作ハ
ンドルを転傾させて、回転板を水平方向に移動させるよ
うに操作すると、回転板はＸＹスライドベース、連結杆
機構とともに水平方向に移動して、ガイド軸が一定方向
に転傾させられる。したがってガイド軸は複数個のラン
プの光軸を一定方向に転傾させ、焦点位置を水平方向に
移動させる。

【０００８】

【実施例】以下、本考案に係る医療用照明灯の実施例を
図面により説明する。図１は医療用照明灯の内部構造を
示す全体斜視図である。図示のように、この装置では筐
体の底面をなす基盤１に複数個のランプ２が支持具２
１、外環２３及び内環２５により転傾自在に支持されて
いる。すなわち、基盤１に対して支持具２１、軸２２に
より回動自在に支持される外環２３と、この外環２３の
内側で軸２４により回動自在に支持される内環２５と
が、互いに直交するそれぞれ別方向の転傾動作を可能に
するので、ランプ２はすべての方向に転傾自在に支持さ
れていることになる。

【０００９】ここでランプ２には、図２の断面図に示さ
れるように、内環２５に固定された反射板２６に取付具
２７が取り付けられ、この取付具２７を介して、電球２
８、ソケット２９が反射板２６内面側に取り付けられる
一方、取付具２７の反射板２６外面側にはガイド軸３
が、ランプ光軸の延長線上の上方に螺着されている。ガ
イド軸３には操作腕３１が摺動玉軸受３２を介して取り
付けられており、この摺動玉軸受３２はガイド軸３の軸
方向に摺動自在で、かつ、摺動玉軸受３２に対して操作
腕３１は回動自在に結合支持されているので、操作腕３
１を水平方向に移動させることによりガイド軸３を介し
てランプ２の転傾操作を行なうことができる。

【００１０】なお、ガイド軸３と操作腕３１との結合
は、操作腕３１が水平方向に変位したときに、ガイド軸
３と操作腕３１との結合位置をガイド軸３の長さ方向に
移動させることが可能であり、かつ、ガイド軸３と操作
腕３１との結合角度の変化が可能な構造であれば良く、
上記実施例に限定されるものではない。従って、例え
ば、伸縮自在なガイド軸を用いて軸方向の摺動を可能に
するとともに、角度変位のみが可能な継手によってこの
伸縮ガイド軸と操作腕とを結合する構造にしても良い。
さらに、特公昭５４−２５１６号公報において開示され
ているような、操作腕を垂直方向に上下させて焦点深度
を調整する構造としても同一の目的効果を達成すること
ができる。

【００１１】つぎに、ＸＹスライドベース４について、
図１、図３、および図４により説明する。図３はＸＹス
ライドベースの一部破断平面図、図４はＸＹスライドベ
ースの立面図である。ＸＹスライドベース４は基盤１面
に対して平行な面に取り付けられ、水平方向に移動自在
に支持されている。この支持構造について説明すると、
基盤１上には支持具４１により固定平行軸４２が固定さ
れている。（以下、この固定平行軸の軸方向をＸ軸方向
という）。そして、この固定平行軸４２には摺動軸受４
３が軸方向に摺動自在に挿通され、摺動軸受４３がＸ軸
方向に移動可能になっており、さらに、この摺動軸受４
３には固定平行軸４２と直交する方向に移動平行軸４４
が摺動自在に挿通してある。（以下、この移動平行軸の
軸方向をＹ軸方向という）。すなわち、移動平行軸４４
は摺動軸受４３とともにＸ軸方向に可動であり、かつ、
摺動軸受４３内をＹ軸方向に可動に構成されている。そ
して、ＸＹスライドベース４はこの移動平行軸４４に固
定軸受４５によって固着されている。したがって、ＸＹ
スライドベース４がＸ軸方向に移動する場合には、固定
平行軸４２上を摺動軸受４３がＸ軸方向に摺動移動し、
他方、ＸＹスライドベース４がＹ軸方向に移動する場合
には、摺動軸受４３内を移動平行軸４４がＹ軸方向に摺
動移動する。

【００１２】次に、図１及び図５により、回転板５、連
結杆６等について説明する。図５は要部の一部分の縦断
面図である。回転板５の下面には、中心位置より垂直下
方に向けて突出するように回転軸５１が一体的に設けら
れており、この回転軸５１が前述のＸＹスライドベース
４上に設けられた取付台５２に軸受５３を介して回動自
在に枢支されている。一方、回転板５の上面には、ラン
プ２の個数と同数の連結杆６が、各々その一端を回転板
５の円周上の均等な角度をなす位置に、それぞれピン６
１により枢着されており、各連結杆６の他端はピン６２
によりスライダー６３に枢着されている。スライダー６
３は、ＸＹスライドベース４の取付台６４に固定された
ガイドレール６５に沿って摺動自在に支持されている。
以上からなる連結杆機構によって、回転板５を回動させ
ると、スライダー６３と回転板５の中心との距離を可変
することができるようになっており、ここで、スライダ
ー６３には前述の操作腕３１が取り付けられているか
ら、スライダー６３の移動に従って各ランプ２のガイド
軸３が同時に転傾して、光軸を操作することができるよ
うになっている。

【００１３】一方、回転板５の下面に設けられた回転軸
５１の先端には、自在継手７１を介して伸縮筒７２が取
り付けられており、この伸縮筒７２には伸縮杆７３が挿
通されるとともに、伸縮筒７２の内面に突設するピン７
４が、伸縮杆７３に設けた摺動溝７５に嵌合している。
したがって、伸縮筒７２と伸縮杆７３とは互いに軸方向
には伸縮自在であり、かつ、伸縮杆７３の回動について
は伸縮筒７２に確実に伝達されるようになっている。そ
して、伸縮杆７３は、略中央に設けた球状部７６を、基
盤１に設けた軸受７７により回動転傾自在に支持され
て、基盤１の下面すなわち筐体の外部に、操作ハンドル
７を有して突出している。以上により、操作ハンドル７
を回動操作すると、伸縮杆７３、伸縮筒７２、自在継手
７１、回転軸５１を介して回転板５を回動させることが
できる。また、操作ハンドル７を転傾操作すると、回転
板５とＸＹスライドベース４とを一体的にＸ方向及びＹ
軸方向に移動させることができる。

【００１４】以上の構成からなる実施例装置の使用に際
しては、図６に示すように、例えば天井８１等の被取付
体に台座８２及び支持アーム８３ａ，８３ｂ，８３ｃ，
８３ｄにより筐体８４を平面的に移動自在に取り付け
る。ただし、本考案は全方向に自由に焦点位置を移動で
きるので必ずしも移動自在に取り付ける必要はなく天井
に直接吊下固定しても良い。ここで、焦点Ｆをｘ方向に
移動させたい場合には、操作ハンドル７をａ方向に転傾
させる。すると、伸縮杆７３、伸縮筒７２等を介して回
転板５とＸＹスライドベース４とは一体的に水平方向
（ｘ方向）に移動する。ＸＹスライドベース４上に設け
られた回転板５、連結杆６、ガイドレール６５、スライ
ダー６３、操作腕３１等は一体的に移動して、各ランプ
２のガイド軸３を（ｘ）方向に転傾させるように作用す
る。これにより、各ランプ２の光軸はｘ方向に向けて変
位することになる。ｙ方向に移動させる場合には操作ハ
ンドル７をｂ方向に転傾させれば良い。また、焦点Ｆを
ｚ方向に移動させたい場合には、操作ハンドル７をｃ方
向に回転させる。すると、伸縮杆７３、伸縮筒７２、自
在継手７１等を介して、回転板５はｃ方向に回転する。
回転板５の回転は、ピン６１、連結杆６、ピン６２、ス
ライダー６３からなるリンク機構により、スライダー６
３と回転板５の中心との距離を伸縮させるように作用す
る。これにより、スライダー６３に固定された操作腕３
１は各ランプ２のガイド軸３を一斉に、筐体の外周方向
または中心方向に移動させるので、各ランプ２の光軸は
内側または外側に向いて、焦点Ｆはｚ方向に移動する。

【００１５】

【考案の効果】以上、説明した通り、本考案に係る医療
用照明灯によれば、一本の操作ハンドルを操作するだけ
で、焦点の深度調節と位置調節との両方を自在に行なう
ことができるので、いかなる手術部位の照明に当たって
も焦点深度、焦点位置の調整がきわめて簡易、かつ、迅
速に行なうことができるようになるという効果がある。
そして、これらの焦点深度、焦点位置の調節を行なうと
きに、照明灯の筐体を水平状態に保ったままでよく、傾
ける必要がないため、従来のように、筐体が周囲で補助
作業をする手術介助者等の視界の妨げとなるようなこと
がなくなり、手術の順調な進行を妨げたりすることもな
いという効果がある。さらに、いかなる手術部位の照明
に当たっても、従来のように、手術台周辺に明暗差を生
じさせたりすることがなく、手術部位のみを集中して照
射するという医療用照明灯の本来の機能を十分に発揮す
ることができるという効果がある。しかも、焦点をＸＹ
軸に移動するＸＹスライドベースと、焦点をＺ軸方向に
移動させるための連結杆機構からなる、簡潔な構成であ
るので、照明灯全体を薄型に構成することが可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る医療用照明灯の内部構造を示す全
体斜視図である。

【図２】ランプ部分を示す断面図である。

【図３】ＸＹスライドベースを示す一部破断平面図であ
る。

【図４】ＸＹスライドベースを示す立面図である。

【図５】本考案の要部を示す縦断面図である。

【図６】焦点の移動説明図である。

【符号の説明】

１・・・基盤３１・・・操作
腕２・・・ランプ４２・・・固定
平行軸３・・・ガイド軸４４・・・移動
平行軸４・・・ＸＹスライドベース５１・・・回転
軸５・・・回転板６３・・・スラ
イダー６・・・連結杆６５・・・ガイ
ドレール７・・・操作ハンドル７２・・・伸縮
筒２３・・・外環７３・・・伸縮
杆２５・・・内環８１・・・天井Ｆ・・・・焦点

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】天井もしくはスタンド等の被取付体に取り
付けられた照明灯の筐体内に、焦点を一致させて転傾自
在に支持された複数個のランプと、これらのランプのそ
れぞれの光軸上で、その上方に設けられたガイド軸と、
前記複数個のランプの支持面に対して平行な面に取り付
けられ、前記複数個のランプのＸ軸方向及びＹ軸方向の
所望位置まで移動自在なＸＹスライドベースと、このＸ
Ｙスライドベース上に設けられ、該ＸＹスライドベース
に対して垂直な軸を中心に回動自在に支持された回転板
と、この回転板と前記ガイド軸とを結合し、該回転板の
回動にともなって、該回転板の中心と前記ガイド軸との
距離を可変する連結杆機構と、前記回転板に取り付けら
れ、照明灯の筐体外部から該回転板の回動操作と前記Ｘ
Ｙスライドベースの水平位置調整操作とを行なう操作ハ
ンドルとを有することを特徴とする医療用照明灯。