JPH07149576A - 溶射材料の製造方法及び溶射材料 - Google Patents

溶射材料の製造方法及び溶射材料

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JPH07149576A
JPH07149576A JP5341066A JP34106693A JPH07149576A JP H07149576 A JPH07149576 A JP H07149576A JP 5341066 A JP5341066 A JP 5341066A JP 34106693 A JP34106693 A JP 34106693A JP H07149576 A JPH07149576 A JP H07149576A
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thermal
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Shinji Fukami
慎二 深見
Masayuki Kito
昌之 鬼頭
Takaaki Kashiwatani
隆昭 柏谷
Norifumi Nagata
憲史 永田
Takayuki Yogoro
孝之 余頃
Hitoshi Owada
仁 大和田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基体への密着力が強く、結晶性を保持した
緻密な溶射皮膜を高溶射効率で形成することができる溶
射材料の製造方法と溶射材料を提供する。 【構成】 溶射材料製造用の原料粉末を造粒し、焼成
し、解砕する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種センサー類や、熱
遮蔽膜、固体電解質燃料電池の電極、インターコネクタ
(接続子)などに適用されるセラミックス溶射材料の製
造方法及び溶射材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セラミックス溶射材料は、基体に溶射す
ることにより、セラミックスの持つ機械的特性、耐熱
性、熱伝導性等の熱的特性、半導性、誘電性、超伝導性
等の電気的特性を基体あるいは皮膜自身に持たせるため
に用いられている。通常、溶射材料は、粉体供給装置を
用いて溶射ガンに供給されるため、これらの装置に適し
た粒度を持ち合わせなければならない。また形成された
皮膜は、セラミックスが持つ特性を十分に発現するため
には溶射材料の持つ結晶構造が十分保持されていなけれ
ばならない。従来の溶射材料の製造方法としては以下の
2方法がある。 1.溶射材料製造用の原料粉末を焼成し、焼結体を作っ
た後、粉砕し、粉砕して得た粉末を溶射に適した大きさ
に造粒して溶射材料とする方法(以下「従来法1」とい
う)。 2.溶射材料製造用の原料粉末を焼成し、焼結体を作っ
た後、粉砕して得た粉末を溶射材料とする方法(以下
「従来法2」という)。
【0003】従来法1で製造した溶射材料を用いて溶射
皮膜を形成した場合、溶射効率が低下する。溶射効率が
低下する原因は、この方法で製造した溶射材料は1次粒
子の複合体であるため粒子同士の結合力が弱く、溶射ア
ーク中で受ける瞬時の衝撃により結合が崩れ微粉化し、
飛散してしまうからである。また、従来法1及び2で製
造した溶射材料を用いて溶射皮膜を形成した場合、過剰
な熱エネルギーにより溶射材料の結晶構造が分解され、
溶射前の溶射材料には観察されない結晶相が溶射皮膜中
に生成し、皮膜の機能特性は大幅に低下する。さらに、
従来法1及び2で製造した溶射材料が溶射により過加熱
状態から急冷された場合、溶射皮膜は収縮によりクラッ
クが生ずるため緻密なものにはならない。従って、溶射
皮膜に緻密性が要求される製品、例えば酸化物超伝導
体、発熱抵抗体、熱遮蔽膜、燃料電池のインターコネク
タ(接続子)を製造するには、溶射皮膜を緻密化するた
めに溶射後アニール等の工程が必要になる。そこで上記
従来法の欠点を解決した溶射材料の開発が望まれてい
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶射
効率が高く、緻密でかつ基体への密着力が強くしかも結
晶性の保持された溶射皮膜を形成することができる溶射
材料の製造方法及び溶射材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み鋭意研究した結果、溶射材料製造用の原料粉末
を造粒し、焼成し、解砕する工程で溶射材料を作ると、
溶射材料の気孔率、かさ密度を自由に制御することがで
きるので各種溶射装置の特性に適したものにすることこ
とができ、その結果として、溶射効率が高く、緻密でか
つ基体への密着力が強くしかも結晶性が保持された溶射
皮膜を形成することができることを見出だし本発明を完
成した。
【0006】すなわち、本発明は溶射材料製造用の原料
粉末を造粒し、焼成し、解砕することを特徴とする溶射
材料の製造方法及び溶射材料である。
【0007】本発明に使用する溶射材料製造用の原料粉
末は、従来製造されている溶射材料の製造用の原料粉
末、例えばペロプスカイト型溶射材料製造用の原料粉
末、ムライト溶射材料製造用の原料粉末、ジルコニア溶
射材料製造用の原料粉末などである。具体的には金属元
素の酸化物や水酸化物、炭酸塩、有機酸塩を挙げること
ができる。
【0008】原料粉末を作るに当たっては、簡便性の点
から原料をボールミルを用いて混合粉砕するのが好まし
いが、製造量等の条件により、ヘンシルミキサー、アペ
ックスミル、アトライターなどの装置を用いて混合粉砕
することができる。混合粉砕は乾式、湿式のいずれの方
法で行っても良いが、均一に混合粉砕できるので、湿式
で行うのが好ましい。湿式で混合粉砕する際には、分散
媒として水、エタノールやアセトンなどの有機溶媒、ま
たはこれらの混合液を用いるのが良い。なお、混合粉砕
後の1次粒子径は平均粒径で10μm以下、好ましくは
5μm以下であることが望ましい。
【0009】分散媒を用いて湿式で混合粉砕して得たス
ラリーは、直接、防爆式又は準防爆式の噴霧造粒機によ
り噴霧乾燥して造粒する。また非防爆式の噴霧造粒機を
使用する場合は、スラリーを乾燥させて分散媒を飛散せ
しめた後、再度水に分散させたスラリーを噴霧造粒す
る。
【0010】乾燥は公知の乾燥機を用いて行うことがで
きるが、有機溶媒を分散媒として用いた場合は、安全の
ため防爆式乾燥機を用いるのが好ましい。乾燥温度は湿
式混合粉砕工程で用いられた分散媒の種類により決定さ
れる。また乾燥時間は、製造量や乾燥機の能力等により
決定される。例えばエタノールを分散媒として用い、湿
式混合粉砕後の原料が10kgの場合は、80℃で24
時間以上乾燥するのが好ましい。また水を分散媒とした
場合は、130℃で24時間以上乾燥するのが好まし
い。造粒には種々の噴霧造粒機を使用することができ
る。
【0011】造粒時には顆粒をできるだけ球状化するた
めにバインダーを使用するのが良い。バインダーとして
は、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボ
キシメチルセルロース)のような水溶性有機高分子を用
いるのが好ましい。混合粉砕して得た原料粉末に対しバ
インダーを0.05〜5重量%添加して水と共に混合し
てスラリーとする。
【0012】焼成時に収縮することを考慮して、噴霧造
粒機で造粒したときの粒径は、目的とする溶射材料に対
して1〜50%大きくなるように噴霧造粒の条件を設定
するのが好ましい。
【0013】顆粒の焼成には、電気炉、ガス炉、流動床
炉、ロータリーキルンなどの公知の焼成炉を用いて行
う。焼成温度は融点の50〜80%の温度が好ましい。
焼成温度が融点の50%未満の温度では、顆粒は焼成さ
れずに原料の結晶構造が残ったり、目的とするセラミッ
クス溶射材料の結晶構造にならなかったり、または1次
粒子同士の結合力の弱いものになったりするため好まし
くない。また融点の80%を超える温度では、目的とす
るセラミックス溶射材料の結晶構造にならなかったり、
2次粒子同士が焼結されてしまい後の工程である解砕が
非常に困難となるため好ましくない。
【0014】焼成時間は、焼成炉の能力や製造量などの
条件により決定される。例えば10kgの顆粒を10k
wのカンタル炉を用いてLa1−xCaCr1−y
を1400℃で焼成する場合は、6時間程度と
するのが好ましい。
【0015】焼成前に、予め焼成温度以下で仮焼してバ
インダーを除去する工程を設けるのが好ましい。これに
より焼成中の顆粒の破壊を防止することができるからで
ある。仮焼温度・時間は、バインダーの種類や使用量に
より決定する。例えばPVAを原料粉末に対し5重量%
添加した場合、600℃で3時間程度仮焼するのが好ま
しい。仮焼に使用する炉は焼成で使用する炉と同一のも
のを用いて、まず仮焼し、次いで焼成を行っても良い
し、また仮焼専用炉で仮焼した後、別の炉を用いて焼成
しても良い。
【0016】焼成後は2次粒子同士が結合している場合
が多いので、分級時の歩留まりを高めるため解砕を行わ
なければならない。
【0017】解砕された粒子を篩や空気分級機等の分級
装置により溶射に適した粒径に分級する。この粒径は粉
体供給装置の仕様や目的とする溶射皮膜の仕様などによ
り決定されるが、粒径は5〜500μmで、平均粒径は
10〜100μmであることが好ましい。また気孔率は
10〜95%で、かさ密度は理論密度に対し10〜90
%であることが好ましい。
【0018】緻密な皮膜を形成するには溶射装置の仕様
にもよるが粒径は小さい方が好ましい。逆に多孔質な皮
膜を形成するには溶射装置の仕様にもよるが粒径は大き
い方が好ましい。
【0019】
【作用】溶射材料製造用の原料粉末を造粒し、焼成し、
解砕することにより得られた溶射材料は、1次粒子の結
合力が強いため溶射効率が高い。また1次粒子間の空気
層が材料の熱伝導性を低下させるので過加熱を防ぐこと
により、緻密で結晶性が保持された溶射皮膜を形成する
ことができる。なお1次粒子間の空気層の制御は造粒条
件、焼成条件によって材料、用途に応じて行う。
【0020】以下に、本発明を実施例により更に具体的
に説明するが、本発明は実施例に限定されるものでな
い。
【0021】
【実施例】
実施例1 本発明法によりLa0.70Ca0.35Cr0.95
ペロブスカイト型溶射材料を作った。製造工程及び
条件等は下記のとおりであった。原料として、各々の純
度が99.9%の、水酸化ランタン、炭酸カルシウム、
三酸化二クロムを用い、総重量が10kgで、ランタ
ン、カルシウム、クロムのモル比が0.70:0.3
5:0.95になるように調合した。
【0022】調合した原料の混合粉砕にはボールミルを
用い、分散媒としてエタノールを加えて湿式混合粉砕を
24時間行った。防爆式の乾燥機を用いて80℃で24
時間乾燥してエタノールを除去した。得られた原料粉末
の平均粒径は3μmであった。
【0023】原料粉末に水10リットルとPVA200
gとを加え、メカニカルスターラーで3時間混合してス
ラリーとした。モービルマイナー型スプレードライヤー
を用い、乾燥入口温度240℃、乾燥出口温度105℃
とし、アトマイザーの回転数を10,000rpmとし
て造粒を行った。得られた顆粒の平均粒径は43μmで
あった。
【0024】電気炉を用いて600℃で3時間顆粒を仮
焼してPVAを除去した。引き続き同じ電気炉で140
0℃で6時間焼成した。焼成物を解砕した後、篩により
10〜45μmに分級した。
【0025】分級した粒子をSEMで調べたところ、1
次粒子が強く結合した、10〜45μmの球状粒子であ
った。なお球状粒子の気孔率は47.7%であった。X
線回折により構造を分折したところ、ペロプスカイト構
造のLa0.70Ca0.35Cr0.95以外の
ピークは認められなかった。かさ密度を測定したとこ
ろ、2.2g/cmで、これはLa0.70Ca
0.35Cr0.95の理論密度5.7g/cm
の38.6%であった。
【0026】こうして得られた溶射材料をプラズマ溶射
装置を用いて溶射して、固体電解質燃料電池のインター
コネクタ用の溶射皮膜を作製した。その際の溶射条件は
下記のとおりであった。 使用ガス アルゴン/炭酸ガス 溶射出力 120kW 溶射時における溶射効率は52.6%であった。X線回
折により溶射皮膜を分析したところ、La0.70Ca
0.35Cr0.95以外のピークは観察されなか
った。
【0027】窒素ガスを用いて、室温における溶射皮膜
のガス透過係数を測定したところ、2×10−8cm
/g・secであった。またその溶射皮膜を1200℃
で2時間アニールすると、ガス透過係数は8×10−9
cm/g.secとなった。
【0028】実施例2 原料を粒径5μm以下の純度98%のムライト粉末と
し、焼成温度を1100℃とし、分級条件を10〜63
μmとした以外は、実施例1と同様の方法で粒径10〜
63μmの球状粒子を得た。X線回折によりこの球状粒
子を調べたところ、ムライトの回折パターンを呈し、こ
れ以外は観察されなかった。
【0029】この球状粒子の溶射材料を、あらかじめア
ンダーコート材としてNi−Al系合金をプラズマ溶射
したSS基板上に、N/Hをプラズマガスとし、ガ
ス流量75リットル毎分/10リットル毎分、出力35
kWの条件で溶射して溶射皮膜を形成した。このときの
溶射効率は62%であった。得られた溶射皮膜をX線回
折によって観察したところ、ムライト以外の回折パター
ンは認められなかった。またSEMによって観察したと
ころ、皮膜は溶射粒子が積層した構造を呈しており、剥
離等は一切観察されなかった。また断面観察では皮膜を
貫通するクラックは観察されなかった。
【0030】実施例3 原料を粒径2μm以下の3mol%イットリア部分安定
化ジルコニア粉末とし、焼成温度を1200℃とし、分
級条件を10〜40μmとした以外は、実施例1と同様
の方法で粒径10〜40μm、平均粒径28.5μmの
球状粒子を得た。X線回折の結果から、この球状粒子は
立方晶ジルコニア、正方晶ジルコニア、単斜晶ジルコニ
アから成るものであることが確認された。
【0031】この球状粒子の溶射材料を、実施例2と同
じ溶射条件で鋳鉄基板上に溶射して溶射皮膜を形成し
た。このときの溶射効率は53%であった。皮膜をX線
回折によって観察したところ、立方晶ジルコニア、正方
晶ジルコニア、単斜晶ジルコニアの回折パターン以外の
ものは確認されなかった。またSEMによって観察した
ところ、皮膜は溶射粒子が積層した構造を呈しており、
剥離等は一切観察されなかった。また断面観察では皮膜
を貫通するクラックは観察されなかった。
【0032】比較例1 従来法1によりLa0.70Ca0.35Cr0.95
ペロプスカイト型溶射材料を作った。製造工程及び
条件等は下記のとおりであった。
【0033】原料として、各々の純度が99.9%の、
水酸化ランタン、炭酸カルシウム、三酸化二クロムを用
い、総重量が10kgで、ランタン、カルシウム、クロ
ムのモル比が0.70:0.35:0.95になるよう
に調合した。
【0034】調合した原料の混合粉砕にはボールミルを
用い、分散媒としてエタノールを加えて湿式混合粉砕を
24時間行った。防爆式の乾燥機を用いて80℃で24
時間乾燥してエタノールを除去した。得られた原料粉末
の平均粒径は3μmであった。
【0035】電気炉を用いて1400℃で6時間焼成を
行った。焼成後、ボールミルで0.2〜1μmに粉砕し
た。
【0036】焼成物粉末に水10リットルとPVA20
0gとを加え、メカニカルスターラーで3時間混合して
スラリーとした。モービルマイナー型スプレードライヤ
ーを用い、乾燥入口温度250℃、乾燥出口温度130
℃とし、アトマイザーの回転数を12,000rpmと
して造粒を行った。
【0037】得られた顆粒をSEMで観察したところ、
1次粒子間に空間が多数存在する、10〜45μmの球
状粒子が観察された。なお球伏粒子の気孔率は57.3
%であった。かさ密度を測定したところ、1.8g/c
で、これはLa0.70Ca0.35Cr0.95
の理論密度5.7g/cmの31.6%であっ
た。またX線回折により構造を分析したところ、ペロブ
スカイト構造のLa0.70Ca0.35Cr0.95
以外のピークは観察されなかった。
【0038】この顆粒をプラズマ溶射装置を用いて溶射
して溶射皮膜を形成した。その際の溶射条件は下記のと
おりであった。 使用ガス アルゴン/炭酸ガス 溶射出力 120kW 溶射時における溶射効率は22.3%であった。
【0039】X線回折により溶射皮膜を分析したとこ
ろ、La0.70Ca0.35Cr .95以外に
La、CaCrO等のピークが観察された。窒
素ガスを用いて、室温における溶射皮膜のガス透過係数
を測定したところ、4×10−7cm/g・secで
あった。またその溶射皮膜を1200℃で2時間アニー
ルすると、ガス透過係数は2×10−7cm/g・s
ecとなった。
【0040】この結果から、本発明の製造方法によって
得られた溶射材料の方が溶射効率が高く、緻密でペロプ
スカイト構造が保持された溶射皮膜を形成できることが
明らかである。
【0041】比較例2 従来法2によりLa0.70Ca0.35Cr0.95
ペロプスカイト型溶射材料を作った。製造工程及び
条件等は下記のとおりであった。
【0042】原料として、各々の純度が99.9%の、
水酸化ランタン、炭酸カルシウム、三酸化二クロムを用
い、総重量が10kgで、ランタン、カルシウム、クロ
ムのモル比が0.70:0.35:0.95になるよう
に調合した。
【0043】調合した原料の混合粉砕にはボールミルを
用い、分散媒としてエタノールを加えて湿式混合粉砕を
24時間行った。防爆式の乾燥機を用いて80℃で24
時間乾燥してエタノールを除去した。得られた原料粉末
の平均粒径は3μmであった。
【0044】電気炉を用いて1400℃で6時間焼成を
行った。焼成後、ボールミルで粉砕し、次いで10〜4
5μmに分級した。
【0045】X線回折により粒子を分析したところ、ペ
ロプスカイト構造のLa0.70Ca0.35Cr
0.95以外のピークは観察されなかった。
【0046】こうして得られた溶射材料をプラズマ溶射
装置を用いて溶射して溶射皮膜を形成した。その際の溶
射条件は下記のとおりであった。 使用ガス アルゴン/炭酸ガス 溶射出力 120kW 溶射時における溶射効率は32.4%であった。X線回
折により溶射皮膜を分析したところ、La0.70Ca
0.35Cr0.95以外にLa、CaCr
等のピークが観察された。窒素ガスを用いて、室温
における溶射皮膜のガス透過係数を測定したところ、6
×10−7cm/g・secであった。また溶射皮膜
を1200℃で2時間アニールすると、ガス透過係数は
5×10−7cm/g・secとなった。
【0047】この結果から、本発明の製造方法によって
得られた溶射材料の方が溶射効率が高く、緻密でペロプ
スカイト構造が保持された溶射皮膜を形成できることが
明らかである。
【0048】比較例3 従来法2によって製造した、粒径44μm以下、平均粒
径28μmの高純度ムライト粉末よりなる溶射材料を、
実施例2と同様のプラズマ溶射条件でSS基板上に溶射
して溶射皮膜を形成した。このときの溶射効率は43.
5%であり、実施例2の溶射効率の約70%であった。
皮膜をX線回折によって観察したところ、ムライトの回
折パターン以外に、アルミナの回折パターン、及び、非
晶質の存在を示すハローが確認された。またSEMによ
って観察したところ、皮膜表面に縦横にクラックが多数
観察され、一部に剥離が見られた。また断面観察でクラ
ックの一部が皮膜を貫通していることを確認した。
【0049】比較例4 従来法1によって製造した、粒径63μm以下、平均粒
径29.5μmの純度98%のムライト顆粒よりなる溶
射材料を、実施例2と同様のプラズマ溶射条件でSS基
板上に溶射して溶射皮膜を形成した。このときの溶射効
率は23%であり、実施例2の溶射効率の約40%にす
ぎなかった。皮膜をX線回折により観察したところ、ム
ライト以外の回折パターンは見られなかったものの、全
体に回折強度が低く、非晶質の存在を示すハローも観察
され、溶射施工時の過加熱によってムライト構造が部分
的に破壊されたことが確認された。またSEMによって
皮膜の表面及び断面を観察したところ、表面、断面とも
に縦横にクラックが確認され、その一部は皮膜を貫通し
ており、更には一部に皮膜の剥離も観察された。
【0050】比較例5 従来法2によって製造した、粒径55μm以下、平均粒
径30.5μmの3mol%イットリア部分安定化ジル
コニア粉末よりなる溶射材料を、実施例2と同様の条件
で鋳鉄基板上に溶射して溶射皮膜を形成した。このとき
の溶射効率は48%であり、実施例3の溶射効率の約9
0%であった。皮膜をX線回折により観察したところ、
立方晶ジルコニア、正方晶ジルコニア、単斜晶ジルコニ
アの回折パターン以外の回折パターンは見られなかった
ものの、2θ=10度から30度で、非晶質の存在を示
すハローが観察された。またSEMによって皮膜の表面
及び断面を観察したところ、表面、断面ともに縦横にク
ラックが確認され、その一部は皮膜を貫通しており、更
には一部に皮膜の剥離も観察された。
【0051】比較例6 従来法1によって製造した、粒径50μm以下、平均粒
径42μmの3mol%イットリア部分安定化ジルコニ
ア顆粒よりなる溶射材料を、実施例2と同様の条件で鋳
鉄基板上に溶射して溶射皮膜を形成した。このときの溶
射効率は27%であり、実施例3の溶射効率の約50%
にとどまった。皮膜をX線回折により観察したところ、
立方晶ジルコニア、正方晶ジルコニア、単斜晶ジルコニ
アの回折パターン以外に、2θ=10度から30度で、
非晶質の存在を示すハローが観察された。またSEMに
よって皮膜の表面及び断面を観察したところ、表面、断
面ともに縦横にクラックが確認され、その一部は皮膜を
貫通しており、更には一部に皮膜の剥離も観察された。
【0052】
【発明の効果】本発明によって得られた溶射材料は、1
次粒子の結合力が強いため溶射効率が高い。また1次粒
子間の空気層が材料の熱伝導性を低下させるので過加熱
を防ぎ、緻密で結晶性を保持した溶射皮膜を形成するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永田 憲史 千葉県佐倉市大作2−4−2 小野田セメ ント株式会社中央研究所内 (72)発明者 余頃 孝之 千葉県佐倉市大作2−4−2 小野田セメ ント株式会社中央研究所内 (72)発明者 大和田 仁 千葉県佐倉市大作2−4−2 小野田セメ ント株式会社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶射材料製造用の原料粉末を造粒し、焼
    成し、解砕することを特徴とする溶射材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 溶射材料製造用の原料粉末がペロプスカ
    イト型溶射材料製造用の原料粉末である請求項1記載の
    溶射材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 造粒を噴霧造粒法で行う請求項1又は請
    求項2記載の溶射材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか一項
    記載の製造方法により得られたものの粒径が5〜500
    μmで、平均粒径が10〜100μmであること特徴と
    する溶射材料。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項3のいずれか一項
    記載の製造方法により得られたものの気孔率が10〜9
    5%で、かさ密度が理論密度に対し10〜90%である
    ことを特徴とする溶射材料。
JP5341066A 1993-11-30 1993-11-30 溶射材料の製造方法及び溶射材料 Expired - Lifetime JP2748224B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS59182279A (ja) * 1983-03-28 1984-10-17 住友化学工業株式会社 溶射用セラミツク粉の製造方法

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JPS59182279A (ja) * 1983-03-28 1984-10-17 住友化学工業株式会社 溶射用セラミツク粉の製造方法

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