JPH07146685A - 制振材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い制振性能を有した制振材料。 【構成】 メタクリル酸メチルを主要構成単位とする樹
脂を２０〜５０重量％と、水酸化物からなる無機充填剤
を５０〜８０重量％とを有してなることを特徴とする。 【効果】 各種の振動の抑制の要求される機械、器具、
装置、構造体等に適用することによって、それらの振動
による影響を低減することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、たとえば各種の機器、
特に電子機器や測定機器、精密加工機械、音響機器など
に用いられる制振材料に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】精密電子機器、精密測定機器、精密加工
機械、音響機器などの様々な機械、器具、装置などにお
いては振動を抑制することが極めて重要となることが多
く、また騒音等が生じる場合には環境問題に発展するこ
ともあり、より高い制振性能を有する制振材料が希求さ
れている。従来、制振材料としてはポリプロピレンなど
の樹脂に制振性フィラーを高充填させたものや、鋼板間
に樹脂を挟み込んだサンドイッチ型制振板などが知られ
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の制振材料の制振性能は必ずしも満足できるもので
はなく、より高性能な制振材料が求められている。特
に、視聴機器や楽器などの分野においては、音質や画質
に対する振動の及ぼす影響が非常に大きく、従来、木、
ゴム、コンクリート、レンガ等が駆使されてきたが、制
振性能としては必ずしも満足できるものではなかった。

【０００４】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、高い制振性能を有した制振材料を提供するも
のである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の制振材料は、メ
タクリル酸メチルを主要構成単位とする樹脂を２０〜５
０重量％と、水酸化物からなる無機充填剤を５０〜８０
重量％とを有してなることを特徴とするものである。

【０００６】特に、機械インピーダンス法による損失係
数（η）が、０.０１〜０.１であるものが好ましい。

【０００７】

【作用】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明で、
メタクリル酸メチルを主要構成単位とする樹脂とは、メ
タクリル酸メチル（ＭＭＡ）単位が８０重量％以上、好
ましくは９０重量％以上の合成樹脂である。合成樹脂が
メタクリル酸メチル単位を８０重量％以上有することに
より、制振材料の成形・加工性、耐衝撃性、耐候性、難
燃性などを向上させることができる。特に、各種の音響
機器や楽器等用の制振材料として用いた場合、樹脂とし
て不飽和ポリエステル等を用いたものと比較して、より
優れた音質を得ることが可能となる。本発明において、
樹脂としてメタクリル酸メチル以外の他の成分を共重合
させることもでき、共重合成分としては、酢酸ビニル、
スチレン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキサンメタ
クリレートなどのメタクリル酸メチルを除くα,β−エ
チレン性不飽和化合物などが挙げられ、これらの１種ま
たは２種以上を共重合させることができる。さらに、エ
チレングリコールジメタクリレート等の分子中に複数の
重合性二重結合を有する化合物なども使用できる。

【０００８】無機充填剤には、水酸化アルミニウム、水
酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物が
挙げられる。これら水酸化物は、高温時に結晶水を放出
するため、制振材料としての難燃性を向上させることが
できる。なかでも、水酸化アルミニウムは特に好適であ
る。これら無機充填剤は制振材料中に５０〜８０重量％
の割合、特に好ましくは６０〜７０重量％で含有され
る。無機充填剤を５０重量％以上含有することにより、
制振性能を向上させると共に、色や艶などの外観や、重
量感、触感、難燃性などを向上させることができる。ま
た、８０重量％以下とすることで、加工性、耐衝撃性な
どを向上させることができる。無機充填剤の粒径は、１
〜１５０μmのものが好ましく、粒径分布の中心径が１
０〜１００μmのものが特に好ましい。無機充填剤に
は、その表面をシラン系カップリング剤、チタネート系
カップリング剤、ステアリン酸などで処理したものが使
用できる。

【０００９】本発明の制振材料には、上記したものの他
に、ＡＢＳ樹脂や、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェ
ノール樹脂などの樹脂粉砕物、顔料、染料等の着色剤、
紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、流動化剤、増粘剤等の
添加剤などが、本発明の特性が劣化しない程度にさらに
配合されていてもよい。

【００１０】本発明の制振材料としては、機械インピー
ダンス法によって測定した損失係数（η）が０.０１〜
０.１であることが好ましい。これは、損失係数（η）
が０.０１未満であると制振性が低くなりすぎて共振が
起こりやすくなり、逆に０.１を超えると振動の吸収が
大きくなりすぎて音質を低下させる傾向にあるためであ
り、さらに好ましくは０.０１〜０.０５の範囲である。

【００１１】尚、機械インピーダンス法は損失係数の測
定に多用されているもので、図１に示すように、損失係
数（η）を、振動（加速度：Ａ）／加振力の周波数応答
曲線の半値幅から求めるもので、実際の測定には例えば
図２に示されるような測定システムが利用される。この
機械インピーダンス法による損失係数の測定は、特に、
制振性能の大きな材料に適している。

【００１２】また、制振材料としては、制振性能の点か
ら、比重が１.５〜２.５、特に１.６〜２.０のものが好
ましい。

【００１３】本発明の制振材料は、各種の汎用の成形方
法を用いて成形品として実用に供される。本発明の制振
材料を用いて成形品を製造するには、たとえば、メタク
リル酸メチルを主成分とする単量体またはその部分重合
物に、無機充填剤および重合開始剤を均一に混合し脱泡
した後に鋳型内に注入して重合する方法や、樹脂粉末と
無機充填剤を均一に混合した後に成形型内でプレス成形
する方法などを適用できる。重合開始剤としては、ベン
ゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、
２,２'アゾビスイソブチロニトリル等が使用できる。メ
タクリル酸メチルを主成分とする単量体またはその部分
重合物あるいは樹脂粉末および無機充填剤からなる混合
物に、メタクリル酸メチルを主要構成単位とする樹脂を
２０〜５０重量％と、水酸化物からなる無機充填剤５０
〜８０重量％とからなる樹脂組成物を粒径０.２〜５mm
程度に粉砕したものを２０〜９０重量％の範囲内で添加
してもよい。

【００１４】

【実施例】ポリメタクリル酸メチルを２０重量％とメタ
クリル酸メチルを８０重量％とからなるシラップ３５重
量％と、中心粒径が３０μmの水酸化アルミニウム粉末
６５重量％とからなる混合物に、重合開始剤としてベン
ゾイルパーオキサイドを添加し、所定の型に注入して室
温で硬化させた。この成形で、比重が１.８、厚さが１
３mm、直径が１００mmの円板状の成形品を得た。得られ
た成形品について機械インピーダンス法で損失係数
（η）を測定した。成形品の損失係数（η）は０.０３
であり、非常に優れた制振性能を有するものであった。
さらに、上記成形品をＣＤプレイヤーの４本の脚の下
に、１枚づつ敷き、音質の調査した。その結果、本実施
例の成形品を用いていないＣＤプレイヤーに比べて、雑
音や音の歪のない鮮明な優れた音質を得ることができ
た。すなわち、本実施例では、ＣＤプレイヤーに床から
脚を経由して伝達される振動が抑制され、音質に対する
振動の影響を排除することができた。

【００１５】上記実施例では、本発明の制振材料をＣＤ
プレイヤーの脚と床の間に介在させることにより、振動
を抑制するために使用したが、本発明の制振材料はこれ
に限定されるものではなく、ＬＤ、ＶＴＲ、テレビ、ス
ピーカー等の音響機器や映像機器のパネル、インシュレ
ーター等の制振部品、スピーカーやヘッドホーンの振動
板、ＣＤあるいはＬＤ等のローディングテーブル、ピア
ノ、チェロ、打楽器等の楽器の部品や架台、洗濯機、シ
ェーバー等の家電製品などの制振部品としても使用でき
る。

【００１６】

【発明の効果】本発明の制振材料は、メタクリル酸メチ
ルを主要構成単位とする樹脂を２０〜５０重量％と、水
酸化物からなる無機充填剤を５０〜８０重量％とを有し
てなるもので、機械インピーダンス法による損失係数
（η）が小さく、制振性能に優れたものである。したが
って、本発明の制振材料を各種の振動の抑制の要求され
る機械、器具、装置、構造体等に適用することによっ
て、それらの振動による影響を低減することが可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】機械インピーダンスの測定方法を示すグラフで
ある。

【図２】機械インピーダンスの測定システムを示す概略
図である。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 メタクリル酸メチルを主要構成単位とす
   る樹脂を２０〜５０重量％と、水酸化物からなる無機充
   填剤を５０〜８０重量％とを有してなることを特徴とす
   る制振材料。
2. 【請求項２】 機械インピーダンス法による損失係数
   （η）が、０.０１〜０.１であることを特徴とする請求
   項１記載の制振材料。