JPH07145731A - エンジンの制御装置 - Google Patents

エンジンの制御装置

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Publication number
JPH07145731A
JPH07145731A JP29167593A JP29167593A JPH07145731A JP H07145731 A JPH07145731 A JP H07145731A JP 29167593 A JP29167593 A JP 29167593A JP 29167593 A JP29167593 A JP 29167593A JP H07145731 A JPH07145731 A JP H07145731A
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JP
Japan
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pulsation
intake
target waveform
signal
engine
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Withdrawn
Application number
JP29167593A
Other languages
English (en)
Inventor
Norihiko Nakao
憲彦 中尾
Naoki Ikeda
直樹 池田
Eiichi Miyahiro
栄一 宮広
Hiroshi Seni
浩史 仙井
Shingo Harada
真悟 原田
Seiji Tajima
誠司 田島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
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Publication of JPH07145731A publication Critical patent/JPH07145731A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L55/00Devices or appurtenances for use in, or in connection with, pipes or pipe systems
    • F16L55/04Devices damping pulsations or vibrations in fluids

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 エンジン1の吸排気通路8,16にそれぞれ
加振器19,20を設け、この加振器19,20により
吸気弁9の閉弁直前に吸気の正圧波を、また排気弁17
の閉弁直前に排気の負圧波をそれぞれ供給して音響過給
を行う場合、各種の状態変化に適応して脈動を素早く所
定値に補正し、応答性に優れた過給効果が得る。 【構成】 吸排気通路8,16のシリンダ3への接続部
近傍での吸排気の脈動をそれぞれ脈動センサ25,26
により検出し、これらセンサ25,26の検出信号か
ら、目標波形生成器49で生成された目標波形信号を差
し引いて、検出された吸排気の脈動が所定値になるよう
に最適化演算により信号を生成し、その信号により加振
器19,20を駆動するようにすることにより、脈動セ
ンサ25,26で検出される脈動を素早く所定値にし
て、応答性に優れた音響過給を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エンジンの制御装置
に関し、特に、その吸排気通路に設けた加振手段により
それぞれ吸排気の脈動を発生させて吸気過給を行うよう
にしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種吸気の脈動を利用した
エンジンの過給装置として、例えば特開昭61―767
19号公報等に開示されるように、吸気通路のサージタ
ンク壁部にダイアフラムを介して支持されかつアクチュ
エータにより加振されて吸気に脈動(圧力波)を発生さ
せる加振板を設けるとともに、吸気通路の下流端、つま
りシリンダへの接続端近傍に吸気脈動を検出する脈動検
出手段を設け、加振板によって発生する吸気脈動が吸気
通路のシリンダへの接続端まで達する伝播時間を両者間
の通路長に応じて算出し、加振板からの吸気脈動の正圧
波が吸気弁の閉弁直前で気筒内に伝播されるように所定
のクランク角で加振板をアクチュエータにより加振させ
るとともに、脈動検出手段で検出される脈動が適正タイ
ミングとなるようにその検出信号をフィードバックして
加振板の加振時期を補正することにより、吸気弁の閉弁
直前で吸気の正圧波を気筒内に供給して気筒への吸気充
填量を増大させる音響過給と呼ばれる吸気過給を行うよ
うにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来のも
のでは、脈動検出手段により検出した吸気脈動に基づい
て加振板をフィードバック制御するので、例えば吸気温
度が変化して吸気圧力波の伝播速度が変わったとき等に
は、その変化に対する応答性が悪く、しかもアクチュエ
ータの作動遅れ等も起因して、吸気の正圧波を常に安定
して吸気行程終期に正確なタイミングで供給することは
困難であり、改善の余地がある。
【0004】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、時々刻々変化する各
種の状態に適応して吸気等の脈動を素早く所定値に補正
できるようにし、応答性に優れた過給効果等が得られる
ようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべ
く、請求項1の発明では、吸気通路下流端及び排気通路
上流端での各脈動をそれぞれ検出し、この検出データを
基に該脈動が所定値になるようにいわゆる最適化手法に
より信号を生成して、この信号により加振手段を駆動す
るようにした。
【0006】すなわち、この発明では、図1に示すよう
に、エンジン1の吸排気通路8,16にそれぞれ吸排気
の脈動を発生させる加振手段19,20と、吸排気通路
8,16のシリンダ3への接続部近傍での吸排気の脈動
をそれぞれ検出する脈動検出手段25,26と、この脈
動検出手段25,26の検出情報に基づき、検出された
吸排気の脈動が所定値になるように最適化演算により信
号を生成して該信号で上記加振手段19,20を駆動す
る制御手段51とを備えたことを特徴としている。
【0007】請求項2の発明では、吸排気の脈動につい
て所定の目標波形信号を生成する目標波形生成手段49
を設ける。そして、上記制御手段51は、上記目標波形
生成手段49により生成された目標波形信号を脈動検出
手段25,26の信号から差し引いて最適化演算を行う
ように構成する。
【0008】請求項3の発明では、上記目標波形生成手
段49は、エンジン回転の情報に基づき目標波形信号を
生成するものとする。
【0009】請求項4の発明では、目標波形生成手段4
9は、所定状態に応じて目標波形信号を変化させるよう
に構成されているものとする。
【0010】請求項5の発明では、目標波形生成手段4
9は、エンジン負荷に応じて目標波形信号を変更するよ
うに構成されているものとする。
【0011】請求項6の発明では、目標波形生成手段4
9は、エンジン負荷の増大に応じて目標波形信号のゲイ
ンを高めるように構成されているものとする。
【0012】請求項7の発明では、目標波形生成手段4
9は、エンジン1を搭載した車両がエンジンブレーキ状
態にあるときに目標波形信号を変更するように構成され
ているものとする。
【0013】請求項8の発明では、目標波形生成手段4
9は、エンジンブレーキ状態にあるときに目標波形信号
のゲインを低下させるように構成されているものとす
る。
【0014】請求項9の発明では、目標波形生成手段4
9は、エンジンブレーキ状態にあるときに目標波形信号
の位相を反転させるように構成されているものとする。
【0015】請求項10の発明では、目標波形生成手段
49は、エンジン1を搭載した車両の走行速度に応じて
目標波形信号を変更するように構成されているものとす
る。
【0016】請求項11の発明では、目標波形生成手段
49は、高車速時に目標波形信号のゲインを大きくする
ように構成されているものとする。
【0017】請求項12の発明では、請求項1の発明と
同様に、エンジン1の吸排気通路8,16にそれぞれ吸
排気の脈動を発生させる加振手段19,20と、吸排気
通路8,16のシリンダ3への接続部近傍での吸排気の
脈動をそれぞれ検出する第1脈動検出手段25,26
と、この第1脈動検出手段25,26の検出情報に基づ
き、検出された吸排気の脈動が所定値になるように最適
化演算により信号を生成して該信号で上記加振手段1
9,20を駆動する第1制御手段51とを設ける。
【0018】そして、上記吸排気通路8,16の振動低
減位置での吸排気の脈動をそれぞれ検出する第2脈動検
出手段53,54と、この第2脈動検出手段53,54
の検出情報に基づき、検出された吸排気の脈動が低減さ
れるように最適化演算により信号を生成して該信号で上
記加振手段19,20を駆動する第2制御手段60とを
設け、さらに、上記第1及び第2制御手段51,60の
作動を所定状態で切り換える切換手段61を設ける。
【0019】
【作用】上記の構成により、請求項1の発明では、吸気
通路8のシリンダ3への接続部近傍での吸気脈動、及び
排気通路16のシリンダ3への接続部近傍での排気脈動
がそれぞれ脈動検出手段25,26により検出され、制
御手段51において、上記脈動検出手段25,26の検
出情報に基づき、検出された吸排気の脈動が所定値にな
るように最適化演算により信号が生成され、該信号が加
振手段19,20に出力されて該加振手段19,20が
駆動される。この脈動検出手段25,26の検出情報を
基にその検出信号が所定値になるように最適化して信号
を生成するので、脈動検出手段25,26で検出される
脈動を素早く所定値にすることができ、吸気脈動の正圧
波を吸気弁9の閉弁直前でシリンダ3に供給して吸気を
押し込むとともに、排気脈動の負圧波を排気弁17の閉
弁直前でシリンダ3に伝播し、その負圧波によりシリン
ダ3内の排気ガスを排気通路16に吸引して掃気するこ
とができ、これらにより応答性に優れた音響過給を行う
ことができる。
【0020】請求項2の発明では、目標波形生成手段4
9において吸排気脈動についての目標波形信号が生成さ
れ、制御手段51では、この生成された目標波形信号を
脈動検出手段25,26の信号から差し引いて最適化演
算が行われる。このため、目標波形生成手段49でモデ
ルとなるべき波形信号を目標波形信号とすれば、それだ
けで制御手段51において単純に最適化演算を行えばよ
く、最適化による信号生成を容易に行うことができる。
【0021】請求項3の発明では、目標波形生成手段4
9によりエンジン回転の情報に基づき目標波形信号が生
成されるので、精度の良い目標波形信号が得られる。
【0022】請求項4の発明では、目標波形生成手段4
9により所定状態に応じて目標波形信号が変化するの
で、エンジン1の特性に応じた最適な目標波形信号が得
られる。
【0023】請求項5の発明では、目標波形生成手段4
9により、エンジン負荷に応じて目標波形信号が変更さ
れるので、エンジン1の負荷(出力要求)に応じた最適
な目標波形信号が得られる。
【0024】請求項6の発明では、目標波形生成手段4
9により、エンジン負荷の増大に応じて目標波形信号の
ゲインが高められる。この目標波形信号のゲインの増大
により吸気脈動の圧力波形の振幅が大きくなり、過給効
果を増大させることができる。
【0025】請求項7の発明では、目標波形生成手段4
9により、車両がエンジンブレーキ状態にあるときに目
標波形信号が変更されるので、車両のエンジンブレーキ
状態に応じた最適な目標波形信号が得られる。
【0026】請求項8の発明では、車両がエンジンブレ
ーキ状態にあるときには、目標波形生成手段49により
目標波形信号のゲインが低下する。このため、吸気脈動
の圧力波形の振幅が小さくなり、過給効果が下がってエ
ンジン1の回転抵抗が大きくなり、その分、エンジンブ
レーキ効果を増大させることができる。
【0027】請求項9の発明では、エンジンブレーキ状
態にあるときには、目標波形信号の位相が反転されるの
で、上記とは逆に、吸気弁9の閉弁直前で吸気通路8の
シリンダ3への接続部に負圧波が、また排気弁17の閉
弁直前で吸気通路8のシリンダ3への接続部に正圧波が
それぞれ伝播されることとなり、吸気過給とは逆の状態
としてさらにエンジンブレーキ効果を増大させることが
できる。
【0028】請求項10の発明では、目標波形生成手段
49により、車速に応じて目標波形信号が変更されるの
で、車速に応じた最適な目標波形信号が得られる。
【0029】請求項11の発明では、高車速時には目標
波形生成手段49により目標波形信号のゲインが大きく
なるので、請求項6の発明と同様に、過給効果を増大さ
せて高車速時のエンジン出力を増大させることができ
る。
【0030】請求項12の発明では、切換手段61によ
り第1及び第2制御手段51,60の作動が所定状態で
切り換えられ、第1制御手段51を作動させたときに
は、上記請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。
一方、第2制御手段60を作動させたときには、吸気通
路8の振動低減位置での吸気脈動、及び排気通路16の
振動低減位置での排気脈動がそれぞれ第2脈動検出手段
53,54により検出され、この第2脈動検出手段5
3,54の検出情報に基づき、検出された吸排気の脈動
が低減されるように最適化演算により信号が生成され、
該信号が加振手段19,20に出力されて該加振手段1
9,20が駆動される。このため、上記第2脈動検出手
段53,54により検出される振動低減位置での脈動を
素早く低減して、その位置の振動を低減することができ
る。従って、このような第1及び第2制御手段51,6
0の作動切換えにより、1つの制御ユニットで振動低減
効果と音響過給効果とが得られる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を図2以下の各図に基
づいて説明する。 (実施例1)図7は本発明の実施例1に係るエンジンの
制御装置の全体構成を示し、1は車両に搭載されたレシ
プロエンジンで、このエンジン1は、ピストン2を往復
動可能に嵌装せしめたシリンダ3を有するシリンダブロ
ック4と、シリンダブロック4上面に組み付けられたシ
リンダヘッド5と、ピストン2に連結されたクランク軸
6とを備えている。8はシリンダヘッド5を貫通してシ
リンダ3内に連通する吸気通路で、そのシリンダ3への
接続部は吸気弁9により開閉される。吸気通路8の上流
端はエアクリーナ10に接続され、この吸気通路8には
上流側から順に、吸入空気量を検出するエアフローメー
タ11、吸気通路8を絞るスロットル弁12及び燃料噴
射用インジェクタ13が配設されている。16はシリン
ダヘッド5を貫通してシリンダ3内に連通する排気通路
で、そのシリンダ3への接続部は排気弁17により開閉
される。
【0032】上記スロットル弁12及びインジェクタ1
3間の吸気通路8にはサージタンク14が形成され、こ
のサージタンク14の側壁には吸気通路8に吸気の脈動
を発生させる加振手段としての吸気側加振器19が設け
られている。また、排気通路16途中の側壁には排気通
路16に排気の脈動を発生させる同様の排気側加振器2
0が設けられている。これら両加振器19,20はいず
れも同じ構造であるので、吸気側加振器19のみについ
て詳細に説明し、排気側加振器20については吸気側加
振器19と同じ部分に同じ符号を付してその詳細な説明
を省略する。すなわち、吸気側加振器19は、サージタ
ンク14の側壁に形成した開口を閉塞するように配置さ
れかつ開口周縁にダイアフラム21を介して吸気通路8
の中心方向に往復移動可能に取り付けられた加振板22
と、吸気通路8の外側に配置され、上記加振板22を振
動させるソレノイド等のアクチュエータ23とを備えて
おり、アクチュエータ23で加振板22を振動させるこ
とにより、吸気通路8に吸気脈動(圧力波)を発生させ
るようにしている。
【0033】また、上記吸気通路8の下流端には、その
シリンダ3への接続部近傍での吸気脈動を検出する脈動
検出手段としての吸気側脈動センサ25が、また排気通
路16の上流端には、そのシリンダ3への接続部近傍で
の排気の脈動を検出する同様の排気側脈動センサ26が
それぞれ配設されている。これら2つの脈動センサ2
5,26は何れも圧力センサからなるもので、その出力
信号は、インジェクタ13や上記各加振器19,20の
アクチュエータ23を制御するためのコントローラ31
に入力されている。このコントローラ31には、上記脈
動センサ25,26の出力信号と共に、IGコイル(図
示せず)からディストリビュータ30に送られるイグニ
ッションパルス信号が入力されている。また、コントロ
ーラ31には、上記エアフローメータ11の出力信号
と、車両の走行速度Vを示す車速信号と、車両が減速走
行時にエンジンブレーキ状態にあることを示すエンジン
ブレーキ信号と、上記スロットル弁12の開度θを示す
スロットル開度信号と、アクセルペダル(図示せず)の
開度を示すアクセル開度信号とが少なくとも入力されて
いる。
【0034】上記コントローラ31は、図6に詳示する
ように、デジタル信号処理により所定の加振信号を出力
する制御ブロック32を有し、この制御ブロック32の
入力段には、各脈動センサ25,26からの脈動信号を
それぞれ増幅するアンプ33と、脈動信号を濾波するロ
ーパスフィルタ34と、脈動信号をデジタル信号に変え
るA/D変換器35とが接続されている。一方、制御ブ
ロック32の出力段には、各加振器19,20のアクチ
ュエータ23にそれらを制御するために出力される加振
信号をアナログ信号に変えるD/A変換器36と、加振
信号を濾波するローパスフィルタ37と、加振信号を増
幅する駆動アンプ38とが接続されている。上記制御ブ
ロック32、各A/D変換器35及び各D/A変換器3
6の作動はサンプリング周期信号により互いに同期して
行われる。
【0035】また、コントローラ31には、上記イグニ
ッションパルス信号を波形整形する波形整形器40と、
この波形整形された信号からエンジン1の回転周期を計
測するエンジン回転周期計測回路41とが設けられ、こ
の周期計測回路41の出力信号は制御ブロック32に入
力される。
【0036】図5は制御ブロック32の構成を示したも
のであり(尚、説明の簡単化のために加振器19,20
及び脈動センサ25,26はそれぞれ1個としてい
る)、制御ブロック32には、上記周期計測回路41で
計測されたエンジン1の回転周期を基にリファレンス信
号を生成するリファレンス信号生成器43と、このリフ
ァレンス信号生成器43により生成されたリファレンス
信号の位相及びゲインを調整して所定の加振信号を生成
するデジタルフィルタからなる適応フィルタ44と、吸
気側加振器19及び脈動センサ25間(排気側加振器2
0及び脈動センサ26間)の圧力波の伝達特性Hをモデ
ル化したデジタルフィルタ45と、脈動センサ25,2
6からの脈動信号に所定の収束係数α(0<α<1)を
掛ける収束係数乗算器46と、この乗算器46で収束係
数αが掛け合わされた脈動信号に上記デジタルフィルタ
45を通過したリファレンス信号を掛け合わせて、上記
適応フィルタ44のフィルタ係数を更新する信号を出力
する乗算器47とを備え、脈動センサ25,26により
検出される脈動信号の自乗和が最小になるようにLMS
(Least Mean Square Method/最小自乗法)により適応
フィルタ44のフィルタ係数を逐次更新するようにして
いる。
【0037】さらに、制御ブロック32には、上記車速
V、エンジンブレーキ、スロットル開度θ及びアクセル
開度の各信号に基づいて吸気側の吸気脈動及び排気側の
排気脈動について所定の目標波形信号を生成する目標波
形生成手段としての目標波形生成器49と、この目標波
形生成器49により生成された目標波形信号を上記各脈
動センサ25,26からの脈動信号から差し引く加算器
50とが設けられている。そして、この実施例では、上
記適応フィルタ44、デジタルフィルタ45、収束係数
乗算器46、乗算器47及び加算器50により本発明で
いう制御手段としての制御部51が構成されており、こ
の制御部51において、上記各脈動センサ25,26に
て検出された脈動の検出情報に基づき、上記目標波形生
成器49により生成された目標波形信号を各脈動センサ
25,26からの脈動信号から差し引いて、検出された
吸排気の脈動が所定値になるようにLMSアルゴリズム
の最適化演算により加振信号を生成し、該加振信号を加
振器19,20のアクチュエータ23に出力して該加振
器19,20を駆動するように構成されている。
【0038】上記目標波形生成器49及び制御部51に
おいて行われる信号処理動作の具体例を図2〜図4のフ
ローチャート図により説明すると、図2は吸気側加振器
19を制御する処理動作を示し、最初のステップS1で
上記各信号を読み込み、ステップS2でエンジン回転周
期計測回路41から出力されたエンジン回転周期信号
(エンジン回転情報)に基づいて基準波形信号を成形す
る。この基準波形信号は、吸気弁9の閉弁時期ICより
も所定角CA1以前のクランク角CAにあるときに吸気
脈動の正圧波が吸気通路8の下流端たるシリンダ3への
接続端位置においてピークとなるように成形された正弦
波からなる。
【0039】次いで、ステップS3において上記エンジ
ンブレーキ信号に基づき車両がエンジンブレーキ状態に
あるか否かを判定する。この判定がNOのときには、音
響過給を行うべくステップS4,S5に進む。ステップ
S4では、予め、スロットル開度θがθ=0のときには
ゲインKがK=1であり、スロットル開度θのθ=0か
らの増大に応じてゲインKがK=1から大きくなるよう
に設定されたマップに基づき、入力されたスロットル開
度θに対応するゲインKを演算する。つまり、このこと
で、目標波形生成器49では、基準波形信号から得られ
る目標波形信号をエンジン負荷としてのスロットル開度
θに応じて変更し、スロットル開度θの増大に応じて目
標波形信号のゲインKを高めるようにしている。
【0040】その後のステップS5では、上記と同様
に、予め、車速Vが所定値(例えばV=10km)のと
きにはゲインKがK=1であり、この所定値からの車速
Vの上昇に応じてゲインKがK=1からK=1.5に向
かって大きくなるように設定されたマップに基づき、入
力された車速Vに対応するゲインKを演算する。つま
り、このことで、目標波形生成器49では、車速Vに応
じて目標波形信号を変更し、車速Vが高いときには目標
波形信号のゲインKを大きくするようになっている。
【0041】一方、上記ステップS3でエンジンブレー
キ状態のYESと判定されると、ステップS6に進み、
上記ゲインKをK=0.5に固定する。つまり、このこ
とで目標波形生成器49では、車両がエンジンブレーキ
状態にあるときにゲインKを低下させて目標波形信号を
変更するようになっている。
【0042】上記ステップS5,S6の後はそれぞれス
テップS7に進み、ステップS4,S5,S6でそれぞ
れ決定された各ゲインKを上記基準波形信号に掛け合わ
せて目標波形信号を生成し、この目標波形信号を加算器
50において脈動センサ25からの脈動信号から差し引
くことで、加振器19を駆動する加振信号の生成のため
の最適化演算を行い、この最適化された加振信号を吸気
側加振器19に出力してそれを駆動する。
【0043】一方、図3は排気側加振器20を制御する
処理動作であり、そのステップT1,T3〜T7はそれ
ぞれ上記ステップS1,S3〜S7と同じで、ステップ
T2のみがステップS2と異なる(尚、図2と同じステ
ップについてはその詳細な説明は省略する)。このステ
ップT2で基準波形信号を成形するに当たり、その基準
波形信号は、排気弁17の閉弁時期ECよりも所定角C
A2以前のクランク角CAにあるときに吸気脈動の負圧
波が排気通路16の上流端たるシリンダ3への接続端位
置においてピークとなるように成形された正弦波とされ
る。
【0044】また、図4は、収束係数乗算器46におい
て、アクセル開度に応じて収束係数αを変化させる処理
動作を示す。このフローチャートでは、まず、ステップ
U1でアクセル開度の変化率を読み込み、ステップU2
で、予め、アクセル開度の変化率に応じて収束係数αが
複数段階に変化するように設定されたマップに基づき、
そのときのアクセル開度の変化率に対応する収束係数α
1〜α3を選択し、この選択された収束係数α1〜α3
を使用して加算器からの信号に乗算する。上記マップで
は、アクセル開度の変化率が小さいときには最も小さい
第1の収束係数α1に、またアクセル開度の変化率が中
程度であるときには上記第1の収束係数α1よりも大き
い第2の収束係数α2に、さらにアクセル開度の変化率
が大きいときには第2の収束係数α2よりも大きい最大
の第3の収束係数α3にそれぞれ設定されている(α1
<α2<α3)。
【0045】次に、上記実施例の作用について説明す
る。エンジン1の運転により車両が走行状態にあると
き、エンジン1のイグニッションパルス信号がコントロ
ーラ31に入力されると、そのエンジン周期計測回路4
1でイグニッションパルス信号からエンジン1の回転周
期が計測され、この回転周期信号は制御ブロック32に
入力される。制御ブロック32では、そのリファレンス
信号生成器43において、上記回転周期信号を基にエン
ジン周期に対応したリファレンス信号が生成され、この
リファレンス信号の位相及びゲインが適応フィルタ44
で調整されて加振信号が生成され、この加振信号はD/
A変換器36でアナログ信号に変換された後、吸気側及
び排気側の各加振器19,20のアクチュエータ23に
出力され、このことで加振器19,20が作動してその
加振板22により吸気通路8に吸気脈動が、また排気通
路16に排気脈動がそれぞれ発生する。
【0046】また、エンジン1の吸気通路8のシリンダ
3への接続部近傍での吸気脈動が吸気側脈動センサ25
により、また排気通路16のシリンダ3への接続部近傍
での排気脈動が排気側脈動センサ26によりそれぞれ検
出され、これら脈動センサ25,26からの脈動信号は
A/D変換器35でデジタル信号に変換された後、制御
ブロック32に入力される。この制御ブロック32で
は、その加算器50において、入力された脈動信号から
目標波形生成器49で生成された目標波形信号が差し引
かれ、その後、脈動信号に収束係数乗算器46で収束係
数αが掛け合わされ、次いでデジタルフィルタ45を通
過したリファレンス信号と乗算器47において掛け合わ
される。そして、この乗算器47の出力信号により上記
各脈動センサ25,26により検出される脈動信号の自
乗和が最小になるようにLMSアルゴリズムにより適応
フィルタ44のフィルタ係数が逐次更新される。この適
応フィルタ44のフィルタ係数の更新により、各脈動信
号が目標波形生成器49にて生成される目標波形信号と
一致するようにリファレンス信号の位相及びゲインが逐
次調整されて最適化され、このことで、各脈動センサ2
5,26で検出される脈動を素早く目標波形にすること
ができる。そして、この目標波形信号は、吸気側加振器
19で発生させた吸気脈動の正圧波が吸気弁9の閉弁直
前で、また排気側加振器20で発生させた排気脈動の負
圧波が排気弁17の閉弁直前でそれぞれシリンダ3に供
給されるように設定されたものであるので、吸気脈動の
正圧波を吸気弁9の閉弁直前で正確にシリンダ3に供給
して吸気を押し込むとともに、排気脈動の負圧波を排気
弁17の閉弁直前で正確にシリンダ3に供給し、その負
圧波によりシリンダ3内の排気ガスを排気通路16に吸
引して掃気することができ、これらにより応答性に優れ
た音響過給を行うことができる。
【0047】また、この実施例では、目標波形生成器4
9において生成した吸排気脈動についての目標波形信号
を脈動センサ25,26の信号から差し引いて最適化演
算を行うので、目標波形生成器49でモデルとなるべき
目標波形信号生成するだけでよく、最適化による目標波
形信号の生成が容易となる。
【0048】さらに、目標波形生成器49によりエンジ
ン回転の情報に基づき目標波形信号が生成されるので、
精度の良い目標波形信号が得られる。特に、目標波形生
成器49により所定状態に応じて目標波形信号が変化す
るので、エンジン1の特性に応じた最適な目標波形信号
が得られる。
【0049】また、目標波形生成器49では、スロット
ル開度θつまりエンジン負荷(出力要求)に応じて目標
波形信号が変更され、エンジン負荷の増大に応じて目標
波形信号のゲインKが高められるので、エンジン1の負
荷に応じた最適な目標波形信号が得られ、吸気脈動の圧
力波形の振幅が大きくなって、過給効果を増大させるこ
とができる。
【0050】しかも、車速Vに応じて目標波形信号が変
更され、高車速時には上記目標波形信号のゲインKが大
きくなるので、車速Vに応じた最適な目標波形信号が得
られ、過給効果を増大させて高車速時のエンジン1の出
力を増大させることができる。
【0051】さらに、車両がエンジンブレーキ状態にあ
るときに上記目標波形信号が変更され、そのゲインKが
低下するので、車両のエンジンブレーキ状態に応じた最
適な目標波形信号が得られ、吸気脈動の圧力波形の振幅
が小さくなり、過給効果が下がってエンジン1の回転抵
抗が大きくなり、その分、エンジンブレーキ効果を増大
させることができる。
【0052】尚、上記実施例においては、信号処理動作
のステップS6,T6でそれぞれゲインKをK=0.5
に固定するようにしているが、これに代え、車両のエン
ジンブレーキ状態では、目標波形信号としての基準波形
信号の位相を反転させるようにしてもよい。こうするこ
とで、エンジンブレーキ状態にあるときには、目標波形
信号の位相が反転されるので、上記とは逆に、吸気弁9
の閉弁直前で吸気通路8のシリンダ3への接続部に負圧
波が、また排気弁17の閉弁直前で吸気通路8のシリン
ダ3への接続部に正圧波がそれぞれ伝播されることとな
り、吸気過給の逆状態としてさらにエンジンブレーキ効
果を増大させることができる。
【0053】また、上記実施例では、レシプロエンジン
1の場合であるが、ロータリピストンエンジンの場合に
は、目標波形生成器49で目標波形信号を生成すると
き、図8に具体例を示すような基準波形信号を成形すれ
ばよい。
【0054】(実施例2)図9〜図11は実施例2を示
し(尚、図5及び図7と同じ部分については同じ符号を
付してその詳細な説明は省略する)、上記実施例のよう
に音響過給を行うのみならず、吸排気通路8,16の所
定位置で消音を行うこととし、これらを切り換えるよう
にしたものである。
【0055】すなわち、この実施例では、図11に示す
ように、上記実施例1の構成における吸排気側脈動セン
サ25,26をそれぞれ第1脈動検出手段としている。
さらに、吸気通路8の上流端たる大気への開放端近傍位
置(騒音低減位置)には該位置での吸気の脈動を検出す
る第2脈動検出手段としての吸気側マイクロフォン53
が、また排気通路16の下流端たる大気への開放端近傍
位置(騒音低減位置)には該位置での排気の脈動を検出
する同様の排気側マイクロフォン54がそれぞれ配設さ
れ、これら2つのマイクロフォン53,54の信号は、
上記2つの脈動センサ25,26の出力信号と共にコン
トローラ31に入力されている。
【0056】図10に示す如く、コントローラ31の制
御ブロック32においては、上記実施例1と同様に、リ
ファレンス信号生成器43、適応フィルタ44、デジタ
ルフィルタ45、収束係数乗算器46、乗算器47及び
目標波形生成器49が設けられている。さらに、制御ブ
ロック32には、吸気側加振器19及び脈動センサ25
間(排気側加振器20及び脈動センサ26間)の圧力波
の伝達特性H1をモデル化した上記デジタルフィルタ4
5を第1デジタルフィルタとし、これとは別に、吸気側
の加振器19及びマイクロフォン53間(排気側の加振
器20及びマイクロフォン54間)の圧力波の伝達特性
H2をモデル化した今1つの第2デジタルフィルタ56
と、これらに加えさらに、リファレンス信号生成器43
からのリファレンス信号を切り換えて両デジタルフィル
タ45,56に入力させる第1切換スイッチ部57と、
脈動センサ25,26からの脈動信号又はマイクロフォ
ン53,54からのマイク信号を切り換えて収束係数乗
算器46に入力させる第2切換スイッチ部58とが設け
られている。上記両切換スイッチ部57,58は互いに
同期して「I」又は「II」の切換状態に切り換わるもの
で、第1切換スイッチ部57が「I」の状態に切り換わ
ってリファレンス信号を第1デジタルフィルタ45に入
力させるときには、第2切換スイッチ部58も「I」の
状態に切り換わって脈動センサ25,26からの脈動信
号を収束係数乗算器46に入力させ、一方、第1切換ス
イッチ部57が「II」の状態に切り換わってリファレン
ス信号を第2デジタルフィルタ56に入力させるときに
は、第2切換スイッチ部58も「II」の状態に切り換わ
ってマイクロフォン53,54からのマイク信号を収束
係数乗算器46に入力させるようになっている。
【0057】そして、この実施例では、上記適応フィル
タ44、第1デジタルフィルタ45、収束係数乗算器4
6、乗算器47及び加算器50により第1制御手段とし
ての第1制御部51が構成されており、この第1制御部
51において、上記各脈動センサ25,26にて検出さ
れた脈動の検出情報に基づき、上記目標波形生成器49
により生成された目標波形信号を各脈動センサ25,2
6からの脈動信号から差し引いて、検出された吸排気の
脈動が所定値になるようにLMSアルゴリズムの最適化
演算により加振信号を生成し、該加振信号を加振器1
9,20のアクチュエータ23に出力して加振器19,
20を駆動するように構成されている。
【0058】また、上記適応フィルタ44、第2デジタ
ルフィルタ56、収束係数乗算器46、乗算器47及び
加算器50により第2制御手段としての第2制御部60
が構成され、この第2制御部60により、各マイクロフ
ォン53,54の検出情報に基づき、検出された吸排気
の脈動が低減されるようにLMSアルゴリズムの最適化
演算により加振信号を生成し、該加振信号を加振器1
9,20のアクチュエータ23に出力して加振器19,
20を駆動するように構成されている。
【0059】上記制御ブロック32において両切換スイ
ッチ部57,58を切り換えるために行われる信号処理
動作を図9により説明する。まず、ステップW1で各信
号を読み込み、ステップW2でイグニッションパルス信
号を基に演算したエンジン回転数が例えば2000rp
m以下でエンジン1が低回転域にあるかどうかを判定す
る。この判定がNOのときには、ステップW3に進み、
アクセル開度が例えば1/8以下でエンジン1の低負荷
域か否かを判定する。この判定がNOのときには、ステ
ップW4において車速Vが例えば10km/時以下の低
車速域かどうかを判定する。そして、この判定がNOの
とき、つまりエンジン1が高回転中高負荷領域にありか
つ車両が中高速状態で走行しているときには、ステップ
W5において、切換スイッチ部57,58を何れも
「I」の状態にして音響過給状態に切り換える。一方、
上記ステップW2〜W4の何れかがYESであると、ス
テップW6に進み、切換スイッチ部57,58を何れも
「II」の状態にして騒音低減状態に切り換える。
【0060】この実施例では、上記ステップW2〜W6
により、上記第1及び第2制御部51,60の作動をエ
ンジン1の運転状態及び車速Vで切り換える切換手段6
1が構成されている。
【0061】したがって、この実施例では、制御ブロッ
ク32における第1及び第2制御部51,60の作動が
エンジン1の負荷、回転数及び車速Vに応じて切り換え
られ、エンジン回転数が例えば2000rpmよりも高
くてエンジン1が高回転域にあり、かつアクセル開度が
例えば1/8よりも大きくてエンジン負荷が所定以上に
あり、さらに車速Vが例えば10km/時よりも高いと
きには、第1及び第2切換スイッチ部57,58が
「I」の状態に切り換えられて第1制御部51が作動状
態となり、このときには上記実施例1と同様に音響過給
効果が得られ、エンジン1の出力トルクが増大する。
【0062】これに対し、エンジン回転数が2000r
pm以下でエンジン1の低回転域にあり、アクセル開度
が1/8以下でエンジン負荷が低く、又は車速Vが10
km/時以下の低車速域では、第1及び第2切換スイッ
チ部57,58が共に「II」の状態に切り換えられ、第
2制御部60が作動状態となる。このときには、吸気通
路8の大気への開放端近傍での吸気脈動が吸気側マイク
ロフォン53により、また排気通路16の大気への開放
端近傍での排気脈動が排気側マイクロフォン54により
それぞれ検出され、これらマイクロフォン53,54の
検出情報に基づき、検出された吸排気の脈動が低減され
るようにLMSの最適化演算により加振信号が生成さ
れ、該加振信号が各加振器19,20に出力されて該加
振器19,20が駆動される。このため、各マイクロフ
ォン53,54により検出される、吸気通路8及び排気
通路16の大気への開放端近傍での脈動を素早く低減し
て、その位置の騒音、従ってエンジン1の外部に出る吸
排気騒音を低減することができる。
【0063】よって、この実施例では、上記第1及び第
2制御部51,60を作動切換えするだけで、1つの制
御ユニットで消音効果と音響過給効果とが得られる利点
がある。
【0064】(実施例3)図12は実施例3を示し、上
記実施例2では、エンジン回転数、アクセル開度及び車
速Vをそれぞれ基準値と比較して切換スイッチ部57,
58を切り換えるようにしているのに対し、切換スイッ
チ部57,58の切換えを予め設定したマップに基づい
て行うようにしたものである。
【0065】すなわち、この実施例では、図12に示す
ように、車速V及びアクセル開度に応じて各切換スイッ
チ部57,58の状態が設定されたマップが設けられて
いる。このマップでは、車速Vが例えば70km/時以
上でかつアクセル開度が2/8〜4/8以下のときを車
両の高速定常走行状態としてスイッチ部57,58を
「II」の状態にし、その他のときにはスイッチ部57,
58を「I」の状態にするようになっており、このマッ
プに実際の車速V及びアクセル開度を照合してスイッチ
部57,58の切換状態を求めるようにしている。従っ
て、この実施例においても、上記実施例2と同様の作用
効果を奏することができる。
【0066】(実施例4)図13は実施例4を示し、上
記実施例1のようにエンジン1の回転周期を基にリファ
レンス信号を生成し、その位相及びゲインを調整して加
振器19,20に出力すべき加振信号を生成するのでは
なく、各脈動センサ25,26で検出された脈動信号の
位相及びゲインを調整して加振信号を生成するようにし
たものである。
【0067】すなわち、この実施例では、制御ブロック
32において、エンジン回転周期計測回路41からの信
号により、加振器19,20への加振信号のベクトルの
周期を調整するとともに、加振器19,20及び脈動セ
ンサ25,26間の音の伝達特性としてのインパルス応
答の行列を時系列に変換する。さらに、インパルス応答
の時系列と脈動センサ25,26からの脈動信号とでベ
クトルを逐次最適化し、その後、このベクトルを時系列
に変換して加振信号とし、加振器19,20に出力す
る。さらに、加振器19,20は脈動を再生する一方、
脈動センサ25,26は外部振動と加振器19,20に
よる脈動とが互いに打ち消し合った振動を検出し、この
結果を脈動信号として制御ブロック32に入力する。以
上のベクトルの最適化処理及びその時系列への変換処理
を繰り返して、加振信号のベクトルを逐次最適化し、最
終的に加振信号の値が0となるようにそのベクトルを設
定するようにしている。
【0068】具体的には、図12に示す如く、制御ブロ
ック32は、リングの大きさで決定される個数のデータ
を格納するインパルス応答波形データ用及び加振信号出
力波形データ用の各リング状データ構造63,64を有
し、インパルス応答波形データ用リング状データ構造6
3に各加振器19,20から各脈動センサ25,26ま
での圧力波のインパルス応答波形データ(伝達特性デー
タ)を、また出力波形データ用リング状データ構造64
に加振信号の一波長に相当する出力波形データをそれぞ
れ格納して、それらのデータを周期的に繰り返して使用
するようになっている。すなわち、脈動信号の波形デー
タは、収束係数乗算器46にて収束係数α(0<α<
1)が掛けられた後、インパルス応答波形データ用リン
グ状データ構造63に格納されている、各加振器19,
20から各脈動センサ25,26までの圧力波のインパ
ルス応答波形データに掛け合わせて、出力波形データ用
リング状データ構造64に少しずつ蓄積しながら加振信
号として逐次出力させることにより、加振信号を、各加
振器19,20と各脈動センサ25,26との間の圧力
波の伝達特性Hに基づいてエンジン回転周期によって決
定される必要な遅延を与えて各加振器19,20に出力
し、この加振信号の遅延により脈動信号とは逆位相の信
号とするようにしている。
【0069】また、制御ブロック32には、エンジン回
転周期計測回路41からの周期信号によりエンジン回転
周期に応じてリング状データ構造63,64の大きさ
(データ個数)を変えて出力波形を伸縮させ、出力波形
周期を調整する出力波形周期調整器65が設けられてい
る。その他の構成は上記実施例1と同様である。
【0070】したがって、この実施例においては、制御
システムを作動させると、吸気側脈動センサ25により
吸気通路8下流端での吸気脈動が、また排気側脈動セン
サ26により排気通路16上流端での排気脈動がそれぞ
れ検出され、この各脈動センサ25,26から出力され
たアナログ信号からなる脈動信号はそれぞれデジタル変
換されてコントローラ31に入力される。この脈動信号
の波形データは、コントローラ31の制御ブロック32
において、目標波形生成器49で生成された目標波形信
号が差し引かれ、次いで収束係数乗算器46で収束係数
αが掛けられた後、エンジン回転周期計測回路41から
出力された信号に応じて大きさが設定されるリング状デ
ータ構造64に逐次格納され、所定の時間遅れをもって
上記データ構造64から出力される。このことで、各脈
動により検出される脈動信号を所定値に調整するための
加振信号が各加振器19,20と各脈動センサ25,2
6との間の圧力波の伝達特性Hを基に生成され、このデ
ジタル信号からなる加振信号はアナログ信号に変換され
た後、各加振器19,20のアクチュエータ23に出力
される。この各加振器19,20からの圧力波により、
吸気通路8及び排気通路16の各々のシリンダ3への接
続端で各脈動センサ25,26により検出される脈動が
目標波形になるように逐次最適化される。このため、実
施例1と同様の作用効果を得ることができ、各脈動セン
サ25,26で検出される脈動を素早く目標波形にし
て、応答性に優れた音響過給を行うことができる。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よると、エンジンの吸排気通路にそれぞれ吸排気の脈動
を発生させる加振手段を設け、吸排気通路のシリンダへ
の接続部近傍での吸排気の脈動をそれぞれ脈動検出手段
により検出し、この検出手段の検出情報に基づき、検出
された吸排気の脈動が所定値になるように最適化演算に
より信号を生成して、その信号により加振手段を駆動す
るようにしたことにより、脈動検出手段で検出される脈
動を素早く所定値にすることができ、応答性に優れた音
響過給を行うことができる。
【0072】請求項2の発明によれば、吸排気の脈動に
ついて所定の目標波形信号を生成する目標波形生成手段
を設け、この生成された目標波形信号を脈動検出手段の
信号から差し引いて最適化演算を行うようにしたことに
より、目標波形生成手段でモデルとなるべき波形信号を
目標波形信号とするだけで単純に最適化演算を行うこと
ができ、最適化による信号生成の容易化を図ることがで
きる。
【0073】請求項3の発明によれば、上記目標波形信
号をエンジン回転の情報に基づいて生成するようにした
ことにより、エンジンの運転状態に対応した精度の良い
目標波形信号が得られる。
【0074】請求項4の発明によれば、所定状態に応じ
て上記目標波形信号を変化させるようにしたことによ
り、エンジンの特性に応じた最適な目標波形信号が得ら
れる。
【0075】請求項5の発明によると、目標波形信号を
エンジン負荷に応じて変更するようにしたことにより、
エンジンの負荷に応じた最適な目標波形信号が得られ
る。
【0076】請求項6の発明によると、目標波形信号の
ゲインをエンジン負荷の増大に応じて高めるようにした
ことにより、吸気脈動の圧力波形の振幅を大きくして過
給効果の増大を図ることができる。
【0077】請求項7の発明によれば、車両がエンジン
ブレーキ状態にあるときに目標波形信号を変更するよう
にしたことにより、車両のエンジンブレーキ状態に応じ
た最適な目標波形信号が得られる。
【0078】請求項8の発明によれば、上記車両のエン
ジンブレーキ状態では、目標波形信号のゲインを低下さ
せるようにしたことにより、吸気脈動の圧力波形の振幅
を小さくして過給効果を下げることができ、エンジンブ
レーキ効果の増大を図ることができる。
【0079】請求項9の発明によると、エンジンブレー
キ状態にあるときに目標波形信号の位相を反転させるよ
うにしたことにより、エンジンブレーキ状態では吸気過
給とは逆の状態とでき、エンジンブレーキ効果をより一
層増大させることができる。
【0080】請求項10の発明によれば、車速に応じて
目標波形信号を変更するようにしたことにより、車速に
応じた最適な目標波形信号が得られる。
【0081】請求項11の発明によると、高車速時に目
標波形信号のゲインを大きくするようにしたことによ
り、高車速時の過給効果を増大させてエンジン出力を増
大させることができる。
【0082】請求項12の発明によると、上記請求項1
の発明と同様に、エンジンの吸排気通路にそれぞれ吸排
気の脈動を発生させる加振手段と、吸排気通路のシリン
ダへの接続部近傍での吸排気の脈動をそれぞれ検出する
第1脈動検出手段とを設け、この第1脈動検出手段の検
出情報に基づき、検出された吸排気の脈動が所定値にな
るように最適化演算により信号を生成して該信号で上記
加振手段を駆動する第1制御手段を設ける一方、吸排気
通路の振動低減位置での吸排気の脈動をそれぞれ検出す
る第2脈動検出手段と、この第2脈動検出手段の検出情
報に基づき、検出された吸排気の脈動が低減されるよう
に最適化演算により信号を生成して該信号で上記加振手
段を駆動する第2制御手段とを設け、これら第1及び第
2制御手段の作動を所定状態で切り換えるようにしたこ
とにより、1つの制御ユニットで振動低減効果と音響過
給効果とが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成図である。
【図2】本発明の実施例1において吸気側加振器を制御
するための処理動作を示すフローチャート図である。
【図3】実施例1において排気側加振器を制御するため
の処理動作を示すフローチャート図である。
【図4】実施例1において収束係数乗算器での収束係数
を設定するための処理動作を示すフローチャート図であ
る。
【図5】制御ブロックの構成を示すブロック図である。
【図6】コントローラの構成を示すブロック図である。
【図7】実施例1の全体構成を示す説明図である。
【図8】ロータリピストンエンジンについての目標波形
信号を例示する波形図である。
【図9】実施例2での制御動作を示すフローチャート図
である。
【図10】実施例2の制御ブロックの構成を示すブロッ
ク図である。
【図11】実施例2を示す図7相当図である。
【図12】実施例3においてマップ制御を行う場合のマ
ップの特性図である。
【図13】実施例4を示す図5相当図である。
【符号の説明】
1 エンジン 3 シリンダ 8 吸気通路 9 吸気弁 16 排気通路 17 排気弁 19,20 加振器(加振手段) 25,26 脈動センサ(脈動検出手段、第1脈動検出
手段) 31 コントローラ 32 制御ブロック 49 目標波形生成器(目標波形生成手段) 51 制御部、第1制御部(制御手段、第1制御手段) 53,54 マイクロフォン(第2脈動検出手段) 57,58 切換スイッチ部 60 第2制御部(第2制御手段) 61 切換手段 63,64 データ構造
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仙井 浩史 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 原田 真悟 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 田島 誠司 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの吸排気通路にそれぞれ吸排気
    の脈動を発生させる加振手段と、 上記吸排気通路のシリンダへの接続部近傍での吸排気の
    脈動をそれぞれ検出する脈動検出手段と、 上記脈動検出手段の検出情報に基づき、検出された吸排
    気の脈動が所定値になるように最適化演算により信号を
    生成して該信号で上記加振手段を駆動する制御手段とを
    備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のエンジンの制御装置にお
    いて、 吸排気の脈動について所定の目標波形信号を生成する目
    標波形生成手段が設けられ、 制御手段は、上記目標波形生成手段により生成された目
    標波形信号を脈動検出手段の信号から差し引いて最適化
    演算を行うように構成されていることを特徴とするエン
    ジンの制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のエンジンの制御装置にお
    いて、 目標波形生成手段は、エンジン回転の情報に基づき目標
    波形信号を生成するものであることを特徴とするエンジ
    ンの制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のエンジンの制御装置にお
    いて、 目標波形生成手段は、所定状態に応じて目標波形信号を
    変化させるように構成されていることを特徴とするエン
    ジンの制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のエンジンの制御装置にお
    いて、 目標波形生成手段は、エンジン負荷に応じて目標波形信
    号を変更するように構成されていることを特徴とするエ
    ンジンの制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のエンジンの制御装置にお
    いて、 目標波形生成手段は、エンジン負荷の増大に応じて目標
    波形信号のゲインを高めるように構成されていることを
    特徴とするエンジンの制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項2記載のエンジンの制御装置にお
    いて、 目標波形生成手段は、エンジンを搭載した車両がエンジ
    ンブレーキ状態にあるときに目標波形信号を変更するよ
    うに構成されていることを特徴とするエンジンの制御装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のエンジンの制御装置にお
    いて、 目標波形生成手段は、エンジンブレーキ状態にあるとき
    に目標波形信号のゲインを低下させるように構成されて
    いることを特徴とするエンジンの制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項7記載のエンジンの制御装置にお
    いて、 目標波形生成手段は、エンジンブレーキ状態にあるとき
    に目標波形信号の位相を反転させるように構成されてい
    ることを特徴とするエンジンの制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項2記載のエンジンの制御装置に
    おいて、 目標波形生成手段は、エンジンを搭載した車両の走行速
    度に応じて目標波形信号を変更するように構成されてい
    ることを特徴とするエンジンの制御装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載のエンジンの制御装置
    において、 目標波形生成手段は、高車速時に目標波形信号のゲイン
    を大きくするように構成されていることを特徴とするエ
    ンジンの制御装置。
  12. 【請求項12】 エンジンの吸排気通路にそれぞれ吸排
    気の脈動を発生させる加振手段と、 上記吸排気通路のシリンダへの接続部近傍での吸排気の
    脈動をそれぞれ検出する第1脈動検出手段と、 上記吸排気通路の振動低減位置での吸排気の脈動をそれ
    ぞれ検出する第2脈動検出手段と、 上記第1脈動検出手段の検出情報に基づき、検出された
    吸排気の脈動が所定値になるように最適化演算により信
    号を生成して該信号で上記加振手段を駆動する第1制御
    手段と、 上記第2脈動検出手段の検出情報に基づき、検出された
    吸排気の脈動が低減されるように最適化演算により信号
    を生成して該信号で上記加振手段を駆動する第2制御手
    段と、 上記第1及び第2制御手段の作動を所定状態で切り換え
    る切換手段とを備えたことを特徴とするエンジンの制御
    装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011231766A (ja) * 2010-04-28 2011-11-17 J Eberspecher Gmbh & Co Kg ピストン・エンジン、方法、および使用
WO2017141576A1 (ja) * 2016-02-15 2017-08-24 三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社 内燃機関

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