JPH0714556Y2 - 足場連結強化金物及び足場連結装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は，建物の築造，補修，仮囲い，その他養生金物
等の設置上，とくに木造建築物の施工上設けられる足場
の連結強化金物及び足場連結装置に関する。

〔従来の技術〕

従来の構築物の足場においては，建築物の種類，規模等
により相違するが，通常丸太棒を組合せて結束し，或い
は，管鋼材を配置しジョイント部材を介して連結して組
立てられる。

又，移動わく足場，脚立足場のように携行可能に構成さ
れる場合もあるが，構造物に付随して構成される鋼製足
場（わく組足場）は，多くは，足場基礎を設け，前踏み
管，あと踏み管による建て地を腕木管，横布管等の管材
を適宜のジヨイント金具を介して互いに連結して組立
て，建物とは壁つなぎを介して結束し，必要に応じて登
り桟橋，歩み板等を配置して使用される。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来の鋼製足場にあつては，わく組足場となるので，足
場基礎を設ける必要があり，作業が複雑となり，材料所
要数量も多くその搬入等作業性，経済性に問題点があつ
た。

又，わく組した足場と建物との連結は，壁つなぎ等を介
して釘着され，その結束状態がきわめて不安定であつ
た。

本考案は，足場となるブラケツトを建物と確実に連結し
た棚受部材に懸架することによつて，足場と建物との連
結を強化し，ブラケツト上に歩み板を橋架した際，その
水平度の調節を容易にすることのできる足場連結強化金
物及び足場連結装置を提供することを目的としている。

さらに，該装置に用いられる連結金物が構成が簡単で，
取付けが容易であり，該装置の取付けによつて，建物を
徒らに損傷することなく，足場を連結する連結強化金物
及び足場連結装置を能率的にかつ経済的に提供すること
を目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するために，本考案の連結強化金物にお
いては，ブラケツトを懸架すべき棚受部材を締着するに
当つて，建物の任意の柱部材の適宜の高さに従い，その
側面に丸鋸を用いて縦方向（壁面に沿い）細溝を削設
し，かつ該部に鉛直方向にボールト挿入穴を設けて，ボ
ールトナツトの頭部側を挿入すると共に，該細溝に半月
状ひれ部にボールト係合用の切欠部を開口したＬ形アン
カープレートのひれ部を嵌装して，ボールト頚部とＬ形
アンカープレートのひれ部の切欠部とを係合させ、ボー
ルトナツト端部に棚受部材を懸架し，締着したものであ
る。

上記の構成において，ボールト挿入穴にボールトナツト
の頭部側を係合せしめることに代え，ボールトナツト挿
入穴に袋ナツトボールトを挿入して,L形アンカープレー
トのひれ部に設けたひれ部の係合用切欠部と係合させる
と後記するように効果的である。

また，棚受部材に設けたブラケツト係止用の連結環の下
方に，ジヤツキ部材を取付け，ブラケツトの高さを微調
整すると一層効果的である。

さらに,L形アンカープレートのひれ部に設けたボールト
係合用切欠部の外側内周縁部に，半月状切欠部を設け,L
形アンカープレートのひれ部を細溝部に嵌挿する際，プ
レートに打撃を加えて該ひれ部の端部を内側方向に彎曲
させ，ボールトを一層挾持し，その空回りを防止せしめ
て，及びプレートのひれ部嵌装時の衝撃によつて該ひれ
部の外周縁部を細溝の内周縁部に楔入させるとＬ形アン
カープレートは細溝部に一層嵌着態勢となり安定する。
そのために細溝の半径をひれ部の半径よりも少し短かく
することが望ましい。

また，ひれ部1aに設けるボールト係合用の切欠部の構成
において，別の実施態様として，ボールト係合用の切欠
部の開口をボールト軸の径よりも少しく短かくし，その
内周縁部に鋸歯状の切り込みを形成することによつて，
ボールトナツトが係合用の切欠部と係合した際，ボール
トの回動を防止するために効果的である。

〔作用〕

上記のように構成された連結強化金物のＬ形アンカープ
レートを，建物の柱部材の側方から壁体面に沿つて削設
した細溝部に，これと鉛直方向に設けたボールトナツト
挿入穴内に，予めボールトナツトの頭部側を挿入後,L形
アンカープレートのひれ部を挿嵌すると，ボールトナツ
トの頚部がひれ部に設けたボールトナツト係合用の切欠
部に係合させる。次に，ボールトナツトの露出端部に棚
受部材を懸架しナツトを介して締着すると，建物の柱部
材と足場とが一体的に連結される。

そして，棚受部材に設けたブラケツト連結環の下方に取
付けたジヤツキ部材により棚受部材に懸架したブラケツ
トの水平度を適宜調節できる。

〔実施例〕 本考案の好ましい実施例について，図面を参照して説明
する。

本考案に係る足場連結強化金物は,L形アンカープレー
ト，棚受部材およびボールトナツトからなり，第１図
（ａ），（ｂ），（ｃ）において,L形アンカープレート
１は，薄い鉄板の板金加工またはアルミニウム軽合金の
鋳造等により，概ね半月状に形成したひれ部1aに，適宜
数（図は２個）のボールト係合用の切欠部４を開口して
形成する。

上記，ひれ部1aに設けるボールト係合用の切欠部４の構
成において，別の実施態様として，第１図（ｄ）におい
て，ボールト係合用の切欠部４の開口をボールト軸径よ
りも少しく短縮し，該開口内周縁部に鋸歯状の切込み4a
を刻切することによつて，ボールナツト３の頚部が該切
り込み4aと係合せしめ，棚受部材２の締着時とボールト
の回動を防止し，締着作業を省力化する構成とすること
ができる。

第２図（ａ），（ｂ）において，棚受部材２は，薄板鉄
板の板金加工またはアルミニウム軽合金の鋳造等によ
り，上方部にボールトナツト３の軸径に対応させたボー
ルト挿嵌用の孔2aを穿設し，下方部に，ブラケツト10の
先端部の鈎部10a用の連結環８を装着し，該連結環８の
下方に，ぬじ環9a,ねじ棒9bよりなるジヤツキ９を装着
し，該ねじ棒9bの先端部をブラケツト連結環８内に挿通
し，ブラケツト10の鈎部10aの下端部と互いに当接させ
た態勢とし，ねじ棒9bを回動してブラケツト10を上下に
変位し微調整しえしめる。

次に，第３図（ａ）において，ボールトナツト３の軸部
径は,L形アンカープレート１のひれ部1aに設けたボール
ト係合用の切欠部４に緩装できる大きさとし，該切欠部
４に係合した際，ボールトナツト３の先端部が，棚受部
材２のボールト挿嵌用の孔2aより露出し，および棚受部
材２を離脱してボールトをボールト挿入穴７内におい
て，その頭部側に変位せしめた際ボールトが挿入穴７に
埋没する長さに形成する。

次に，上記のボールトナツト３の構成に代え，別の実施
態様として，第３図（ｂ）同（ｃ）に示すように，ボー
ルトナツト3Aは，その頭部側3Aaの頚部に，ボールト回
動防止用の４〜８角の隅数面を形成した段差3Abを膨設
し，該段差3AbとＬ形アンカープレート１のひれ部1aに
設けたボールト係合用の切欠部４とを互いに係合しえし
め，ボールトナツト3Aの回動を防止せしめ，棚受部材２
を螺締しえしめる。

さらに又，別の実施の態様として，第３図（ｃ）に示す
ように，アンカープレート１のひれ部1aに設けた係合用
切欠部４に，袋ナツトボールト3Baを係合し，該袋ナツ
トボールト3Baにボールトナツト3Bbを螺合させ，棚受部
材２を締着することもできる。

次に，上記足場連結強化金物を介して足場の連結を実施
するに際しては，第４〜５図において，足場面積に応じ
て，適宜の間隔毎に，構築物の柱部材５の適宜の高さ
に，丸鋸等を用い側方向より壁面に沿つて，細溝６を削
設すると共に，該細溝６部に，上記Ｌ形アンカープレー
ト１を挿嵌した際，そのひれ部1aに設けたボールト係合
用の切欠部４の隅角部の位置に対応せしめ，少なくとも
使用するボールトナツト３の端部が露出しない程度の深
さを具える適宜数の（図は２個）ボールト挿入穴７を細
溝６に対して鉛直方向に，ドリル等を介して凹設し，該
挿入穴７にボールトナツト３を内装しえしめる。

なお，上記細溝６の削設に当つては,L形アンカープレー
ト１のひれ部1aの形状（半月状）に対応した半月状に細
溝６を形成し，該細溝６の半径の長さを，ひれ部1aの半
径の長さに等しいか，又は細溝６の半径をひれ部1aの半
径の長さよりも少しく短かくし，ひれ部1aを細溝６に装
嵌の際，背部より少しく打撃を加えて圧入することによ
つて，ひれ部1aを細溝６の内周壁部に嵌入するように装
嵌することが望ましい。

細溝６に,L形アンカープレート１のひれ部1aを装着する
に当つては，上記ボールトナツト挿入穴７に予めボール
トナツト３を，その頭部側より挿入し，仮位置ぎめ後，
ひれ部1aを細溝６に挿嵌し，少しく打撃を与えることに
よりひれ部1aの係合用の切欠部４の隅角部にボールトナ
ツト３の頚部が嵌入する。

そこで，ボールトナツト３を手前に引出すことにより，
ボールトナツト３の先端部が柱部材５の正面部のボール
ト挿入穴７の開口部に露出するので，該露出端部に，棚
受部材２のボールト挿通用の孔２を嵌合し，ナツトを介
して棚受部材２を締着することができる。

上記に述べたように，棚受部材２を締着後，棚受部材２
に設けた足場用ブラケツト連結環８にブラケツト10の頭
部に設けた鈎部10aを挿嵌し，該鈎部10aの下端部とジヤ
ツキ９のねじ棒9bの上端部とを当接させ，ねじ棒9bを回
動して，ブラケツト10を必要に応じて上下に変位させ，
隣接するブラケツト10との水平位を調整可能に構成す
る。

なお，足場用のブラケツト10又は棚受部材２と公知のわ
く足場のあと踏み材或いは前踏み材等とを適宜のジヨイ
ント金具を介して連結して，わく足場と互いに連結する
ことができる。

（但し，図示を省略する。） なお，上記棚受部材２の構成において別の実施態様とし
て，第６図に示すように，棚受部材２に一個又は複数個
のＬ形切欠溝11を切欠し，該切欠溝11をボールト３に懸
架し締着すると共に，該棚受部材２の胴部に管鋼材12を
溶着し該管鋼材12と公知のわく足場の構成部材を適宜の
ジヨイント金具により連結することもできる。

また，実用的には，上記アンカープレートのひれ部1aの
半径の長さは，装着する柱部材５の一辺の長さの0.5〜
0.6比の長さに形成し，その厚さは2.5〜3.5mmとするこ
とが望ましい。

〔考案の効果〕

本考案は上記の構成を有するので，次に記載する効果を
奏する。

請求項１の連結強化金物においては，構成が簡単で，軽
量小形でかつ経済性に富み，取付けが容易で，任意の高
さに省力的に装着可能であり，装着することによつて構
築物の強度に悪影響を及ぼすそれを生ずることなく，足
場との連結を強化することができる。

請求項２の連結強化金物においては，ボールト軸部が，
切欠部の鋸状切込み部に係合するので，ボールトの空回
りを防止できる。

請求項３の連結強化金物においては,L形アンカープレー
トのひれ部を概ね半月状に形成することによつて，軽量
となり材料費の節約ができ，細溝への装着作業が容易か
つボールトナツトの位置ぎめが正確である。

請求項４の連結強化金物においては，ボールトの頭部側
頚部に，ボールト回動防止用の段差を設け，該段差をボ
ールト係合用切欠部に係合させることによつて，棚受部
材の締着作業が省力的である。

請求項５記載の連結強化金物においては，ひれ部に設け
たボールト係合用の切欠部に，袋ナツトボールトを係合
させ，これとボールトナツトとを螺合し，棚受部材を締
着するので，その締着作業が容易確実であり，また，足
場および棚受部材を離脱後において，ボールトナツトの
先端部の露出部をボールト挿入穴に内蔵することが容易
である。

請求項６の足場連結装置においては,L形アンカープレー
トのひれ部を柱部材に埋設するに当つては，構築物の壁
面に沿つて柱部材の側方部より丸鋸を介して概ね半月状
細溝を削設するので，作業が簡単省力的で，かつ柱部材
の強度に悪影響を及ぼすおそれはなく埋設できる。

また，ボールトナツトは細溝に鉛直方向に設けたボール
ト挿入穴に予め挿入後に，ひれ部を細溝に装嵌するの
で，係合用切欠部とボールトナツトとの仮位置ぎめが容
易で，ボールトナツトをボールト挿入穴の開口部方向へ
変位するとボールト頭部の座金部が切欠部に確実に係合
する。

とくに，請求項４に記載する頸部に段差を設けたボール
トを使用すれば，ボールトの回動を防止する態勢で切欠
部と係合できる。

さらに，ボールト挿入穴の深さを，使用するボールトの
長さよりも少しく（ボールトが穴内に埋没状態）深く形
成したので，棚受部材を離脱後において，ボールトナツ
トを穴の奥方向に変位すれば，露出部分がなくなり，こ
れを除去する必要を生せず，後日必要に応じて再使用し
て足場との連結をすることができる。

請求項７の足場連結装置においては，細溝の縦断面を概
ね半月状に形成することによつて，丸鋸を用いて容易に
柱部材の側方より削設するので，作業が省力的でありま
た柱部材の強度を劣化するおそれを生じない。

さらに，請求項８の連結装置においては，棚部材に設け
たブラケツト連結環の下方部にジヤツキを装着したの
で，隣接するブラケツトとの水平位の調節が容易であ
る。

さらに又，本考案の足場連結装置は上述のほか，構成が
簡単であるので，構成材料の部品数量を減少でき，か
つ，組立てがきわめて簡単で省力的である。

なお又，本考案の連結装置は，在来公知の足場と構築物
間との連結装置として応用し，適宜のジヨイント金具を
使用して連結を一層強化する効果をも奏することができ
る。

【図面の簡単な説明】

実施例を示す添付図面において，第１図（ａ）はＬ形ア
ンカープレートの平面図，第１図（ｂ）は同正面図，第
１図（ｃ）は同右側面図，第１図（ｄ）は別の実施態様
におけるＬ形アンカープレートの正面図，第２図（ａ）
は棚受部材の正面図，第２図（ｂ）は同側面図，第３図
（ａ）はボールトナツトの正面図，第３図（ｂ）は別の
実施態様におけるボールトナツトの正面図，第３図
（ｃ）は同（ｂ）のＡ−Ａ線における断面図，第３図
（ｄ）はさらに別の実施態様におけるボールトナツトの
一部欠截正面図，第４図は連結強化金物を柱部材に装着
した状態の一部欠截側面図，第５図は第４図Ｂ−Ｂ線に
おける横断面図，第６図は別の実施例における棚受部材
の斜視図である。 符号 1;L形アンカープレート、1a;ひれ部 2;棚受部材、2a;ボールト孔 3;ボールトナツト、3a;頭部 3A;ボールトナツト、3Aa;頭部側、3Ab;段差 3B;ボールトナツト、3Ba;袋ボールトナツト 3Bb;ボールトナツト 4;係合用の切欠部、4a;鋸歯状の切込み 5;柱部材 6;細溝 7;ボールト挿入穴 8;ブラケツト用連結環 9;ジヤツキ、9a;ねじ環、9b;ねじ棒 10;ブラケツト、10a;ブラケツトの鈎部 11;L形切欠溝 12;鋼管材

Claims (8)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ボールト係合用の切欠部を開口したＬ形ア
   ンカープレート，棚受部材及びボールトナットからな
   り，上記棚受部材とボールトナットを介して締着する足
   場連結強化金物において，構築物の柱部材５の壁面に沿
   って削設した細溝６に対応した長さと厚さを具え，ボー
   ルト係合用の切欠部４を設けたＬ形アンカープレート１
   を形成すると共に，上記柱部材５に削設した細溝６に，
   鉛直方向に設けたボールト穴７に対応したボールトナッ
   ト３を形成し，該ボールトナット３を上記ボールト穴７
   に嵌装し，細溝６に上記Ｌ形アンカープレート１のひれ
   部1aを挿嵌して，該ひれ部1aに設けたボールト係合用の
   切欠部４と，ボールトナット３の頭部3a側の頚部3bとを
   互いに係合し，ボールトナット３を介して棚受部材２を
   締着することを特徴とする足場連結強化金物。
2. 【請求項２】Ｌ形アンカープレート１のひれ部1aに設け
   たボールト係合用の切欠部４の内周縁部に，ボールト回
   動防止用の鋸歯状切込み4aを形成した請求項１記載の足
   場連結強化金物。
3. 【請求項３】Ｌ形アンカープレート１のひれ部1aを概ね
   半月状に形成した請求項１記載の足場連結強化金物。
4. 【請求項４】ボールトナット3Aの頭部3Aa側頚部に，ボ
   ールト回動防止用の段差3Abを膨設し，該段部3Abと係合
   用切欠部４とを互いに係合させた請求項１記載の足場連
   結強化金物。
5. 【請求項５】Ｌ形アンカープレート１と袋ナットボール
   ト3Baとを係合させ，ボールトナット3Bbとを組合わせた
   ボールトナット3Bを介して棚受部材２を締着した請求項
   １記載の足場連結強化金物。
6. 【請求項６】壁面に沿って細溝を削設し，ボールト挿入
   穴を設け，切欠部にボールトナットの頭部を係合せしめ
   て締着するようにした足場連結装置において，構築物の
   柱部材５に壁面に沿って細溝６を削設すると共に，該細
   溝６に鉛直方向に，適宜数のボールト穴挿入穴７を設
   け，該ボールト挿入穴７に，ボールトナット３を挿嵌
   後，上記細溝６にボールト係合用の切欠部４を開口した
   Ｌ形アンカープレート１のひれ部1aを嵌装し，該ボール
   ト係合用の切欠部４とボールトナット３の頭部3a側の頚
   部3bとを互いに係合せしめ，ボールト３を介して棚受部
   材２を締着することを特徴とする足場連結装置。
7. 【請求項７】細溝６の縦断面を概ね半月状に削設した請
   求項６記載の足場連結装置。
8. 【請求項８】棚受部材２の正面部に設けたブラケット用
   連結環８の下方に，ジャッキ９を装着した請求項６記載
   の足場連結装置。