JPH07145466A - 溶融Zn−Al合金めっき鋼線の製造方法 - Google Patents

溶融Zn−Al合金めっき鋼線の製造方法

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JPH07145466A
JPH07145466A JP34113793A JP34113793A JPH07145466A JP H07145466 A JPH07145466 A JP H07145466A JP 34113793 A JP34113793 A JP 34113793A JP 34113793 A JP34113793 A JP 34113793A JP H07145466 A JPH07145466 A JP H07145466A
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steel wire
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Hirohiko Sakai
裕 彦 堺
Kazuo Okumura
村 和 生 奥
Masaki Tanigawa
川 正 樹 谷
Tomio Kajita
田 富 男 梶
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】Ti 0.0002〜0.5wt%、Al 2.
5〜20wt%を含有し、残部Znおよび不可避不純物
からなる溶融亜鉛系合金めっき浴を使用し、浴温度が4
60〜500℃の温度において溶融めっきを行う溶融Z
n−Al合金めっき鋼線の製造方法である。 【効果】1浴法により鋼線に高いめっき付着量を付与す
ることができ、かつ、めっき後の鋼線の強度低下率も少
ないZn−Al合金めっき鋼線を製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶融Zn−Al合金めっ
き鋼線の製造方法に関し、さらに詳しくは、鋼芯アルミ
ニウム撚線用および吊り橋ケーブル用等の高いめっき付
着量が要求され、さらに、構造材としても使用可能であ
る溶融Zn−Al合金めっき鋼線の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来技術】従来より、溶融亜鉛めっき鋼線は、耐蝕性
材料として一般的に広く使用されてきている。しかしな
がら、最近になって、この溶融亜鉛系合金めっき鋼線
に、長期間にわたっての使用、および、工業地帯、海岸
地帯等の極めて苛酷な環境下においての使用に耐えるこ
とができる高耐蝕性が要求されるようになっている。
【0003】このような要求から、耐蝕性を向上させる
ために、Zn−Al合金めっき鋼線の研究開発が行わ
れ、既に実用化されている。しかし、構造材料には高耐
蝕性が必要とされることから、高いめっき付着量(30
0g/m2以上)が要求されることが普通であり、そし
て、同一のめっき付着量で比較すると、Zn−Al合金
めっき鋼線は、Znめっき鋼線の2倍以上の耐蝕性を有
している。
【0004】しかしながら、500℃以下のめっき浴温
度においてめっきを行った時、Znめっきの場合には、
Znと鋼線との合金化反応により、めっき/素地鋼線界
面にZn−Fe系合金層が厚く発達してトータルめっき
付着量を確保している。
【0005】これに対して、Zn−Al合金めっきの場
合には、浴中のAlがZn−Fe系合金層の発達を抑制
すること、さらには、Alの含有により浴の流動性が上
昇しめっきを流れ落ち易くすることから、Zn−Al合
金めっき鋼線の付着量は最大200g/m2程度しか確
保できず、めっきの付着量を高くすることは困難であ
る。
【0006】また、Zn−Al合金めっき浴において、
浴温度を500℃以上としてめっきを行うと、めっき/
素地鋼線界面にAl−Fe−Zn合金層を発達させるこ
とができ、トータル付着量で300g/m2以上の高い
めっき付着量を確保することができる。
【0007】しかし、浴温度が500℃以上になると、
鋼線が熱履歴により焼きなまされて、強度が著しく低下
し、めっきを行った後の鋼線に所望の強度を得ることが
困難になるという問題がある。
【0008】従って、素地鋼線における問題を解決する
ためには、 鋼線の組成を改良し(Cr等の合金元素を含有させ
る)、めっき時の加熱による強度低下を起こり難くす
る。 鋼線の熱処理工程を改良し、めっき前の鋼線強度を従
来よりも高くする。 鋼線の伸線工程における減面率を増加して、加工硬化
を大きくして、めっき前の鋼線強度を高くする。 等の対策が考えられる。
【0009】しかしながら、の対策は含有させる合金
元素が高価であり、かつ、製造時の鋼線の含有成分、成
分割合の管理が煩雑となり、そのために、鋼,線製造の
コストの大幅の上昇を招来し、の対策は鋼線中に偏析
が生じ易くなり、製品歩留まりを低下させ、また、の
対策は伸線時に縦割れが生じ易くなり、製品歩留まりを
低下させるという、それぞれの対策には何れにも問題点
が存在しており、従って、めっき後の強度低下に対する
改良対策としては採用することは困難である。
【0010】そのため、鋼線の強度低下を最小限に抑制
して、Zn−Al合金めっきの鋼線に対する高い付着量
を達成するため、このめっきを行う際の対策が種々検討
され、実用化されている。
【0011】この対策の最も一般的に行われている技術
しては、強度低下の起こり難い温度の500℃以下のめ
っき浴温度においてZnめっきを行った後、Zn−Al
合金めっきを行う2浴法が、特公平05−040024
号公報および特開平04−154949号公報により提
案されている。
【0012】しかしながら、これらの技術では、2回め
っきを行うことによるめっき操業の煩雑さ、また、Zn
−Al合金めっき浴中に、既にめっきされているZnが
溶解するため、Al濃度が変動し易くなるのでめっき浴
を調整しなければならない等の理由により、通常の1回
めっきを行う場合に比較して、めっき時間およびコスト
が2〜3倍かかる。
【0013】また、特公平05−009510号公報に
は、1浴法において、めっき浴温度420℃以下の粘度
の高いZn−Al合金めっき浴を使用し、このめっき浴
から鋼線を高速で引き上げ、出側において低温の不活性
ガス(0℃以下のN2ガス)により急冷することにより
鋼線から滴り落ちる溶融Zn−Al合金めっきの量を減
少させ、高いめっき付着量の鋼線を製造する技術が提案
されている。
【0014】しかしながら、この技術においては、鋼線
をめっき浴から高速で引き上げるために鋼線に振動が生
じるので、めっき外観の不良を招来し、さらに、低温の
不活性ガスを出側において使用するため、めっき浴面の
温度を管理することが困難であるという問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に説明し
た従来における溶融Zn−Al合金めっき鋼線の製造方
法の種々の問題点を解決するために、本発明者が鋭意研
究を行い、検討を重ねた結果、1個のめっき浴を使用す
るめっき方法により、溶融亜鉛めっきと略同等の工程の
製造方法で溶融Zn−Al合金めっきの高い付着量が達
成することができ、さらに、鋼線の強度低下を最小限に
抑制することが可能な溶融Zn−Al合金めっき鋼線の
製造方法を開発したのである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溶融Zn−
Al合金めっき鋼線の製造方法の特徴とするところは、
Ti 0.0002〜0.5wt%、Al 2.5〜2
0wt%を含有し、残部Znおよび不可避不純物からな
る溶融亜鉛系合金めっき浴を使用し、浴温度460〜5
00℃において溶融めっきを行うことにある。
【0017】以下、本発明に係る溶融Zn−Al合金め
っき鋼線の製造方法について、詳細に説明する。まず、
本発明に係る溶融Zn−Al合金めっき鋼線の製造方法
において使用するZn−Al合金めっき浴の含有成分お
よび成分割合について説明する。
【0018】本発明に係る溶融Zn−Al合金めっき鋼
線の製造方法において使用するZn−Al合金めっき浴
において、浴温度が500℃以上で素地鋼線にめっきを
行い、めっき/素地鋼線界面にAl−Fe−Zn合金層
が厚く発達し、1浴法により高付着量を確保できること
を確認した。
【0019】従って、このAl−Fe−Zn合金層が発
達できる温度を低温度化することができれば、鋼線の強
度低下を最小限に抑制することができ、さらに、高いめ
っき付着量とすることが可能ではないかと考え、めっき
浴中に第3成分を含有させることについて、研究を行っ
た結果、Zn−Al合金めっき浴中にTiの微量を含有
させることにより、これを達成できることを知見した。
【0020】Tiはめっき浴に含有させることにより、
Al−Fe−Zn合金層の発達温度が低温化するのであ
り、その理由は、未だ明らかではないがTiを含有させ
ない場合には、Alがめっき/素地鋼線界面に緻密且つ
薄いAl−Fe合金層を形成するため、これが素地から
めっき層へのFe拡散のバリアー層となり、合金層の発
達が抑制される。
【0021】しかし、めっき浴中に微量のTiを含有さ
せると、このTiが緻密且つ薄いAl−Fe合金層をポ
ーラスにするため、欠陥部からのFe拡散が促進され、
Al−Fe−Zn合金層が発達し易くなるからではない
かと推定される。
【0022】Ti含有量が0.0002wt%未満で
は、Al−Fe−Zn合金層を発達させる温度を低温化
する効果は期待することかできず、また、0.5wt%
を越えて含有させるとめっき浴面に生成するTi酸化物
量が増加することにより、鋼線にめっきが行われない部
分が発生し、耐蝕性が不良となる。よって、Ti含有量
は0.0002〜0.5wt%とする。
【0023】なお、Zn−Al合金にTiを0.000
2〜0.5wt%含有させた溶融亜鉛めっき浴は、本出
願人が既に出願を完了している(特開昭63−0650
61号公報参照)。しかしながら、この出願の発明にお
いてはTi含有させることによりパウダリングを防止す
るためであり、めっき浴温度も示されておらず、従っ
て、上記従来技術と同じく通常の450℃前後の浴温度
と考えられる。
【0024】Al含有量が2.5wt%未満では、Zn
−Al合金めっき鋼線の耐蝕性が不充分となり、また、
めっき浴中へのAlの含有量を増加させるとめっき浴の
融点が上昇し、めっき浴温度を上昇させなければならな
くなり、上記に説明した通り、めっき浴温度が500℃
以上になると鋼線の強度低下が著しくなる。
【0025】そして、めっきに必要な浴温度は融点+2
0℃程度と考えられ、浴温度を500℃以下の温度とす
るためには、浴温度の融点を480℃以下とする必要が
あり、従って、この点から、Al含有量の上限は20w
t%とする。よって、Al含有量は2.5〜20wt%
とする。
【0026】次に、本発明に係る溶融Zn−Al合金め
っき鋼線の製造方法おいて使用するめっき浴の温度につ
いて説明する。
【0027】めっき浴温度が460℃未満では、Tiを
めっき浴に含有させてもAl−Fe−Zn合金層を発達
させることができず、300g/m2以上の高いめっき
付着量とすることができず、また、500℃を越える温
度では鋼線の強度低下が著しくなる。よつて、めっき浴
温度は460〜500℃とする。
【0028】
【実 施 例】本発明に係る溶融Zn−Al合金めっき
鋼線の製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
【0029】
【実 施 例 1】0.9wt%C−1.1wt%Si−
0.7wt%Mn−Fe残部の組成で、かつ、φ4m
m、めっき前の引張強さ210kg/mm2の素地鋼線
を使用した。
【0030】この素地鋼線を、70℃の温度のアルカリ
浴に5分間浸漬して脱脂後水洗を行って、50℃の温度
の17wt%HClに4分間浸漬して酸洗を行った後水
洗し、80℃の温度のZnCl2−NaF系フラックス
水溶液に20秒浸漬してフラックスス処理を行った後、
直ちに180℃の温度で3分間乾燥する前処理を行っ
た。
【0031】この前処理をを行った素地鋼線を、表1に
示す各種の浴組成、浴温度のZn−Al合金めっき浴に
30秒間浸漬した後、5m/minの速度で引き上げて
大気中に放冷した。
【0032】このようにして作製されためっき鋼線につ
いて、めっき付着量、強度低下率および耐蝕性を調査
し、表1にその結果を示してある。
【0033】・めっき付着量 ○ : めっき付着量>300g/m2 △ : めっき付着量 200〜300g/m2 × : めっき付着量<200g/m2
【0034】・強度低下率 めっき後の鋼線の引張強されたを測定し、下記式により
強度低下率を計算して評価を行った。 評価基準 ○ : 強度低下率<15% △ : 強度低下率 15〜20% × : 強度低下率>20%
【0035】・耐蝕性 JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験を行い、赤
錆発生時間により評価した。 評価基準 ◎ : 赤錆発生時間>600時間 ○ : 赤錆発生時間 400〜600時間 △ : 赤錆発生時間 200〜400度間 × : 赤錆発生時間<200時間
【0036】
【表1】
【0037】この表1から明らかなように、本発明に係
る溶融Zn−Al合金めっき鋼線の製造方法に示されて
いる浴組成、浴温度により作製されたZn−Al合金め
っき鋼線は、本発明1〜10に示すように、めっき付着
量300g/m2以上であり、めっき後の鋼線の強度低
下率は15%以下であり、耐蝕性は、塩水噴霧試験によ
る赤錆発生時間は600時間以上であり、良好であっ
た。
【0038】しかして、比較例1はTi含有量が0.0
002wt%以下の場合であり、めっき付着量が充分に
確保されておらず、また、比較例2はTi含有量が0.
5wt%を越えている場合であり、耐蝕性が劣化してい
る。
【0039】比較例3はAl含有量が2.5wt%以下
の場合であり、耐蝕性が不充分であり、比較例4はAl
含有量が20wt%を越えている場合であり、Zn−A
l合金の融点の上昇により浴温度が500℃以上となる
ので、めっき後の鋼線の強度低下率が20%以上となつ
ている。
【0040】比較例5は浴温度が500℃以上の場合で
あり、強度低下率が20%以上と著しいものであり、比
較例6は浴温度が460℃以下の場合であり、めっき付
着量は確保できなかった。
【0041】
【実 施 例 2】0.8wt%C−0.3wt%Si−0.
5wt%Mn−残部Feの組成で、かつ、φ4mm、め
っき前の引張強さ145kg/mm2の素地鋼線を使用
した。
【0042】前処理を実施例1と同様の、脱脂、酸洗、
フラックス処理、乾燥を行った。この前処理を行った素
地鋼線を表2に示す各種の浴組成、浴温度のZn−Al
合金めっき浴において、実施例1と同様の条件によりめ
っきを行った。作製されためっき鋼線について、実施例
1と同様の測定、評価を行い、結果を表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】表2から明らかなように、本発明に係る溶
融Zn−Al合金めっき鋼線の製造方法による浴組成、
浴温度で作製されたZn−Al合金めっき鋼線は、本発
明1〜10に示すように、めっき付着量は300g/m
2以上であり、めっき後の鋼線の強度低下率は15%以
下である。また、耐蝕性は塩水噴霧試験による赤錆発生
時間で600時間以上と良好であった。
【0045】しかして、比較例1はTi含有量が0.0
002wt%以下の場合であり、めっき付着量が確保さ
れておらず、また、比較例2はTi含有量が0.5wt
%以上の場合であり、耐蝕性が劣化している。
【0046】比較例3はAl含有量が2.5wt%以下
の場合であり、耐蝕性が不充分であり、比較例4はAl
含有量が20wt%以上の場合であり、Zn−Al合金
めっき浴の融点の上昇により浴温度が500℃以上とな
り、めっき後の鋼線の強度低下率が20%以上と大きく
なっている。
【0047】比較例5は浴温度が500℃以上の場合で
あり、強度低下率が20%以上と大きくなっており、比
較例6は浴温度が460℃以下の場合であり、めっき付
着量が確保できなかった。
【0048】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る溶融Zn−Al合金めっき鋼線の製造方法は上記の構
成であるから、1浴法により鋼線に高いめっき付着量を
付与することができ、かつ、めっき後の鋼線の強度低下
率も少ないZn−Al合金めっき鋼線を製造することが
できるという優れた効果を有している。
フロントページの続き (72)発明者 谷 川 正 樹 兵庫県加古川市尾上町池田字池田開拓2222 番地1 株式会社神戸製鋼所加古川研究地 区内 (72)発明者 梶 田 富 男 兵庫県加古川市尾上町池田字池田開拓2222 番地1 株式会社神戸製鋼所加古川研究地 区内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ti 0.0002〜0.5wt%、Al
    2.5〜20wt% を含有し、残部Znおよび不可避不純物からなる溶融亜
    鉛合金めっき浴を使用し、浴温度460〜500℃にお
    いて溶融めっきを行うことを特徴とする溶融Zn−Al
    合金めっき鋼線の製造方法。
JP34113793A 1993-11-19 1993-11-19 溶融Zn−Al合金めっき鋼線の製造方法 Withdrawn JPH07145466A (ja)

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