JPH07144627A - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置

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JPH07144627A
JPH07144627A JP29330193A JP29330193A JPH07144627A JP H07144627 A JPH07144627 A JP H07144627A JP 29330193 A JP29330193 A JP 29330193A JP 29330193 A JP29330193 A JP 29330193A JP H07144627 A JPH07144627 A JP H07144627A
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suppression control
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 後輪液圧上昇勾配抑制制御手段を備えたブレ
ーキ液圧制御装置において、制御継続時間をできる限り
短くし、かつ、後輪液圧上昇勾配抑制制御終了時に生じ
るブレーキペダルの入り込みによる運転者の違和感を軽
減する。 【構成】 後輪液圧上昇勾配抑制制御を、推定車体速度
が設定値Akm/h以下になった場合(S8)には必ず終了させ
る。推定車体速度が設定値Akm/h以下になるのは、車両
の停止直前の揺り返しが生じる時点とほぼ一致するた
め、ブレーキペダルが入り込んでも運転者はそれほど違
和感を感じることがない。また、車両の停止後、ブレー
キペダルの踏み込みが解除される時点に終了させられる
より、制御継続時間を短くすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ブレーキ液圧制御装置
に関するものであり、後輪の制動液圧の上昇勾配を抑制
制御する後輪液圧上昇勾配抑制制御手段を備えたブレー
キ液圧制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平4─218453号公報には、後
輪の制動液圧の上昇勾配を前輪の制動液圧の上昇勾配に
対して抑制制御(以下、後輪液圧上昇勾配抑制制御と称
する)する液圧上昇勾配抑制制御手段を備えたブレーキ
液圧制御装置が記載されている。この公報に記載された
ブレーキ液圧制御装置においては、車両の減速度が設定
値より大きくなると、後輪液圧上昇勾配抑制制御が開始
され、減速度が設定値より小さくなると抑制制御が終了
させられるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に記
載されたブレーキ液圧制御装置によれば、ブレーキペダ
ルの入り込みによる違和感が大きいという問題があっ
た。車両の減速度が設定値以下になると後輪液圧上昇勾
配抑制制御が終了させられるため、その時点に、ブレー
キペダルが急激に入り込んでしまうのである。車両は、
通常、ブレーキペダルが踏み込まれた状態のまま、一定
の大きさの減速度で減速して停止するため、車両が停止
した時点に減速度が設定値より小さくなるのである。
【0004】一方、運転者がブレーキペダルの踏込みを
解除した時点に、後輪液圧上昇勾配抑制制御を終了させ
れば、ブレーキペダルが入り込むことがないため、運転
者の感じる違和感を軽減あるいはなくすことができる。
しかし、後輪液圧上昇勾配抑制制御が開始された後(車
両が設定値以上の減速度で減速され始めた後)にブレー
キペダルの踏込みが解除されるのは、大部分の場合に
は、停止後発進する場合であり、その場合には、後輪液
圧上昇勾配抑制制御が継続して行われる時間が非常に長
くなってしまう。停止中はその必要がないのに後輪液圧
上昇勾配抑制制御が行われることは、そのこと自体無駄
なことである。まして、後輪液圧上昇勾配抑制制御手段
が電磁弁等のアクチュエータを備えたものであり、抑制
制御時に通電するものである場合には、通電時間が非常
に長くなって、エネルギが無駄に消費され、アクチュエ
ータの寿命が短くなるなどの問題が生じる。
【0005】第一発明および第二発明の課題は、後輪液
圧上昇勾配抑制制御継続時間を短くしつつ、運転者の感
じるブレーキペダルの入り込みによる違和感を軽減する
ことにある。第二発明の課題は、さらに、アンチロック
制御手段を備えたブレーキ液圧制御装置において、後輪
液圧上昇勾配抑制制御終了時の制動安定性を向上させる
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】第一発明の要旨とすると
ころは、後輪液圧上昇勾配抑制制御手段を備えたブレー
キ液圧制御装置に、(a) 車体速度を検出する車体速度検
出手段と、(b) その車体速度検出手段によって検出され
た車体速度が設定値まで低下した場合に、後輪液圧上昇
勾配抑制制御手段による制御を終了させる液圧上昇勾配
抑制制御終了手段とを設けることにあり、第二発明の要
旨とするところは、第一発明のブレーキ液圧制御装置
に、さらに、(c) 制動時に後輪のスリップが過大になっ
た場合に、後輪の制動液圧を制御することにより後輪の
スリップを適正範囲に維持するアンチロック制御手段
と、(d) そのアンチロック制御手段による後輪に対する
アンチロック制御を、少なくとも液圧上昇勾配抑制制御
終了手段による制御の終了以降は禁止するアンチロック
制御禁止手段とを設けたことにある。
【0007】
【作用】第一発明のブレーキ液圧制御装置においては、
後輪の制動液圧の上昇勾配を前輪の制動液圧の上昇勾配
に対して抑制する後輪液圧上昇勾配抑制制御手段による
制御が、車体速度が設定値より低下した場合に液圧上昇
勾配抑制制御終了手段によって終了させられる。後輪液
圧上昇勾配抑制制御手段は、後輪の制動液圧の上昇勾配
を前輪の制動液圧に対して小さくする手段であっても、
後輪の制動力を保持する手段であってもよい。後輪の制
動液圧が保持されれば、後輪の制動液圧の上昇勾配が0
になるため、前輪の制動液圧の上昇勾配に対して抑制さ
れることになる。いずれにしても、後輪液圧上昇勾配抑
制制御手段によれば、前後輪への制動力配分を理想制動
力配分線に近づけることができる。
【0008】例えば、設定値を、車体が停止する直前の
非常に小さい値とすれば、後輪液圧上昇勾配抑制制御が
終了する時点と、車両の停止直前の揺り返し時点とがほ
ぼ一致することになる。そのため、車両の揺り返しが生
じた時にブレーキペダルが入り込むことになるため、運
転者はブレーキペダルが入り込んでも、それほど違和感
を感じることはない。また、後輪液圧上昇勾配抑制制御
手段による制御が、車両の停止後ブレーキペダルの踏込
みが解除された時点に終了させられるより、制御時間を
短くすることができる。
【0009】第二発明のブレーキ液圧制御装置において
は、少なくとも後輪液圧上昇勾配抑制制御の液圧上昇勾
配抑制制御終了手段による終了以降は、後輪に対するア
ンチロック制御がアンチロック制御禁止手段によって禁
止される。後輪液圧上昇勾配抑制制御が終了させられる
と、後輪液圧が急激に増圧されるため、アンチロック制
御が開始され易い状態になる。しかし、この時点におい
ては、車体速度が設定値以下の非常に小さい大きさであ
るため、アンチロック制御が行われるとかえって制動安
定性が低下させられる恐れがあるのである。この問題を
回避するために、アンチロック制御禁止手段を設けた。
【0010】また、後輪に対するアンチロック制御は、
少なくとも、後輪液圧上昇勾配抑制制御の終了以降に禁
止されていれば、終了と同時に禁止されても、終了以前
に禁止されてもよい。
【0011】第二発明のアンチロック制御手段は、後輪
のスリップを適正範囲内に維持するものであればよく、
前輪と後輪との両方のスリップを適正範囲内に維持する
ものであってもよい。また、後輪液圧上昇勾配抑制制御
終了時には、後輪に対するアンチロック制御だけが行わ
れないようにしても、前輪と後輪との両方に対するアン
チロック制御が行われないようにしてもよい。
【0012】
【発明の効果】第一発明のブレーキ液圧制御装置によれ
ば、できるかぎり後輪液圧上昇勾配抑制制御継続時間を
短くしつつ、ブレーキペダルの入り込みによる違和感を
軽減することができる。また、第二発明のブレーキ液圧
制御装置によれば、第一発明による効果に加えて、後輪
液圧上昇勾配抑制制御の終了時の制動安定性を向上させ
ることができる。
【0013】
【実施例】以下、第一発明および第二発明の共通の一実
施例であるブレーキ液圧制御装置としてのアンチロック
制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。図3におい
て、10はブレーキペダルであり、12は液圧源として
のマスタシリンダであり、14〜20はホイールシリン
ダである。ブレーキペダル10が踏み込まれると、マス
タシリンダ12の2つの液圧室には、その踏力に応じた
液圧が発生させられ、それぞれ、左前輪22,右後輪2
4,右前輪26,左後輪28のホイールシリンダ14〜
20に供給される。マスタシリンダ12の一方の液圧室
とホイールシリンダ14,16とを接続する液通路3
2,34の途中には、2位置電磁弁36,38(以下、
増圧弁と称する)が設けられ、他方の液圧室とホイール
シリンダ18,20とを接続する液通路40,42の途
中には、同様に増圧弁44,46が設けられている。
【0014】また、ホイールシリンダ14,16とリザ
ーバ48とを接続する液通路50,52の途中には、2
位置電磁弁54,56(以下、減圧弁と称する)が設け
られ、ホイールシリンダ18,20とリザーバ48とを
接続する液通路58,60の途中には、減圧弁62,6
4が設けられている。また、リザーバ48とマスタシリ
ンダ12とを接続する液通路66,68の途中には、モ
ータ70を備えたポンプ72,逆止弁74,76が設け
られている。アンチロック制御時において、リザーバ4
8内の作動液が加圧されてマスタシリンダ12に戻され
る。
【0015】また、増圧弁36,38,44,46をバ
イパスするバイパス通路78が設けられ、このバイパス
通路78の途中にはそれぞれ逆止弁80が設けられてい
る。ブレーキ解除時には、ホイールシリンダ14〜20
内のブレーキ液がバイパス通路78,逆止弁80を経
て、速やかにマスタシリンダ12に戻される。
【0016】左右後輪28,24用の増圧弁46,減圧
弁64と、増圧弁38,減圧弁56とを制動力制御アク
チュエータ81と総称し、左右前輪22,26用の増圧
弁36,減圧弁54と、増圧弁44,減圧弁62とを制
動力制御アクチュエータ82と総称する。制動力制御ア
クチュエータ81,82は同様のものであるため、左右
後輪28,24用の制動力制御アクチュエータ81を代
表的に説明する。制動力制御アクチュエータ81は常に
は図示の増圧状態にあり、ホイールシリンダ20,16
をマスタシリンダ12の液圧室に連通させている。増圧
弁46,38および減圧弁64,56が図示しないソレ
ノイドの励磁によって共に切り換えられると、制動力制
御アクチュエータ81は減圧状態となり、ホイールシリ
ンダ20,16をマスタシリンダ12から遮断し、リザ
ーバ48に連通させる。増圧弁46,38が切り換えら
れ、減圧弁64,56が図中の原位置に保たれれば、制
動力制御アクチュエータ81は保持状態となり、ホイー
ルシリンダ20,16をマスタシリンダ12からもリザ
ーバ48からも遮断する。
【0017】制動力制御アクチュエータ81,82は制
御装置83の指令に基づいて制御される。制御装置83
は車体速度等演算コンピュータ84,アンチロック制御
および後輪液圧上昇勾配抑制制御のための液圧制御コン
ピュータ86等を備えたものである。
【0018】車体速度等演算コンピュータ84の入力部
には、各車輪22〜28の回転速度を検出する車輪速セ
ンサ90〜96等が接続され、出力部には液圧制御コン
ピュータ86が接続されている。また、ROMには、車
輪速センサ90〜96の出力信号から各車輪の車輪速
度,車輪加速度,前輪最小車輪速度,後輪最小車輪速
度,推定車体速度,車両減速度,各車輪のスリップ率等
を演算するプログラムが格納されている。
【0019】液圧制御コンピュータ86の入力部には、
車体速度等演算コンピュータ84の他にブレーキペダル
10が踏み込まれている場合にON信号を出力するブレ
ーキスイッチ98が接続され,出力部には、制動力制御
アクチュエータ81,82のソレノイドやモータ70が
図示しない駆動回路を介して接続されている。また、R
OMには、図示しないメインプログラム,アンチロック
制御プログラムおよび図1のフローチャートで表される
後輪液圧上昇勾配抑制制御プログラム等が格納されてい
る。
【0020】以上のように構成された液圧ブレーキ装置
は以下のように作動する。アンチロック制御は、各車輪
22〜28に対してそれぞれ独立に行われる。アンチロ
ック制御は、推定車体速度が第二設定値Bkm/h以上であ
る状態において、ブレーキスイッチ98の出力信号がO
Nであり、かつ、各車輪22〜28のスリップ率が過大
になった場合に開始される。以後はスリップ率および車
輪加速度の両方に基づいて制動力制御アクチュエータ8
1が制御され、ホイールシリンダの液圧がスリップ率が
適正範囲内になるよう制御される。モータ70は、アン
チロック制御が行われている間駆動され、リサーバ48
に収容された作動液が加圧されてマスタシリンダ12に
戻される。また、左右後輪28,24に対してアンチロ
ック制御が行われている場合には、アンチロック制御フ
ラグがセットされるようになっている。
【0021】後輪液圧上昇勾配抑制制御は、左右後輪2
8,24に対して同時に行われる。後輪液圧上昇勾配抑
制制御は、後述する開始条件が満たされた場合に開始さ
れ、増圧弁38,46および減圧弁56,64のソレノ
イドが励磁されることによって制動力制御アクチュエー
タ81が保持状態に切り換えられる。その結果、ホイー
ルシリンダ20,16の液圧が保持されることになるた
め、ホイールシリンダ20,16の液圧の上昇勾配が、
左右前輪22,26のホイールシリンダ24,28の液
圧の上昇勾配より抑制されることになる。このように、
左右後輪28,24のホイールシリンダ20,16の液
圧が保持されれば、前後輪への制動力が、理想制動力配
分に近い状態で配分されることになり、後輪の早期ロッ
クが回避されて制動安定性が向上する。また、後述する
終了条件が満たされれば、後輪液圧上昇勾配抑制制御は
終了させられる。
【0022】本実施例においては、左右後輪28,24
に対して、アンチロック制御と後輪液圧上昇勾配抑制制
御とが同時に行われないようにされている。後輪に対し
てアンチロック制御が行われている場合には、後輪液圧
上昇勾配抑制制御は開始されないようにされており、後
輪液圧上昇勾配抑制制御が行われている途中に後輪に対
してアンチロック制御が開始された場合には、制動力制
御アクチュエータ81はアンチロック制御コンピュータ
86の指令に基づいて制御されることになる。
【0023】上述の後輪液圧上昇勾配抑制制御の開始条
件は、図2に示すように、左右後輪28,24のいずれ
かに対してアンチロック制御が行われていないという開
始条件(a) と、車両減速度が設定値0.5G以上である
か、または、旋回中(前輪最小車輪速−後輪最小車輪速
>2km/hの場合)であってかつ減速度が0.3G以上で
あるという開始条件(b) とが共に満たされることであ
る。本実施例においては、後輪液圧上昇勾配抑制制御の
開始液圧が減速度に基づいて決定されることになるが、
減速度はおおよそ制動力の大きさに応じた大きさになる
ため、ホイールシリンダ14〜20の液圧に基づいて決
定されるのと同じである。また、旋回中には、開始液圧
が低めに決定される。
【0024】終了条件は、図2に示すように、ブレーキ
スイッチ98の出力信号がONからOFFに変わったと
いう終了条件(a) 、車両減速度が設定値0.3G以下の
状態が48msec以上続いたという終了条件(b) 、推定車
体速度Vが第一設定値Akm/h(本実施例においては3〜
6km/h)より小さいという終了条件(c) 、左右前輪2
2,24のいずれかに対してアンチロック制御が行われ
ているという終了条件(d) のいずれか1つの条件が満た
された場合に満たされる。
【0025】終了条件(a) は、ブレーキペダル10の踏
込みが解除された場合に満たされる。つまり、ブレーキ
ペダル10の踏込みが解除されれば制動力は不要にな
り、当然、後輪液圧上昇勾配抑制制御も不要になる。ま
た、ブレーキペダル10の踏込みが解除されれば、ブレ
ーキペダル10が入り込むこともないため、液圧上昇勾
配抑制制御が終了させられても運転者が違和感を感じる
ことはない。
【0026】終了条件(b) は、例えば、ポンピングブレ
ーキ操作が一定時間継続して行われた場合、あるいは、
ブレーキペダル10が一定時間継続して緩められた場合
等に満たされる。この場合には、減速度が小さくなり、
後輪の制動液圧の上昇勾配を抑制する必要がない。運転
者がブレーキペダル10を踏み込み続けてはいないた
め、入り込みによる違和感は殆どない。
【0027】終了条件(c) は、推定車体速度Vが第一設
定値Akm/h以下になった場合に満たされる。第一設定値
Akm/hは車両が停止する直前の揺り返しが生じる時点の
車速である。この時点に、後輪液圧上昇勾配抑制制御が
終了させられ、ブレーキペダル10が入り込んでも運転
者の感じる違和感はそれほど大きくない。このことは、
実車による実験によって確かめられている。
【0028】また、第一設定値Akm/hは非常に小さく、
アンチロック制御が行われるための最低許容車体速度と
しての第二設定値Bkm/hより小さいため、後輪液圧上昇
勾配抑制制御の終了に応じてアンチロック制御が開始さ
れることはない。運転者がブレーキペダル10を踏み込
んだ状態が保たれれば、車両は一定の減速度で減速し、
停止する場合が多い。その場合には、停止直前に終了条
件(c) が成立し、後輪液圧上昇勾配抑制制御が終了させ
られることになる。この後輪液圧上昇勾配抑制制御の終
了により左右後輪28,24の制動力が増大し、左右後
輪28,24のスリップ率が適正範囲を越えて増大する
ことはあり得るが、アンチロック制御が開始されること
はないのである。
【0029】また、制動途中でポンピングブレーキ操作
に変えられたり、ブレーキペダル10の踏込みが緩めら
れたりして、減速度が低下させられれば、終了条件(b)
が成立する。この場合には、制動力が十分に小さくされ
ているため、後輪液圧上昇勾配抑制制御終了時にアンチ
ロック制御が開始されることはない。
【0030】つまり、ブレーキペダル10が踏み込ま
れ、後輪液圧上昇勾配抑制制御が開始された場合には、
遅くとも、車両の停止直前の揺れ返し時に終了させられ
ることになる。もし終了条件に条件(c) が含まれておら
ず、車両の停止後、発進時にブレーキペダル10の踏み
込みが解除されるのに応じて後輪液圧上昇勾配抑制制御
が終了させられる場合には、後輪液圧上昇勾配抑制制御
の継続時間が非常に長くなり、制動力制御アクチュエー
タ81のソレノイドの通電時間が非常に長くなることが
ある。ソレノイドへの長い通電は無駄なエネルギ消費で
あり、またソレノイドの過熱による寿命低下につながる
ため好ましくない。それに対して、本実施例において
は、終了条件に条件(c) が加えられているため、この不
都合が回避される。
【0031】終了条件(d) は、左右前輪22,26に対
してアンチロック制御が行われている状態で後輪液圧上
昇勾配抑制制御の開始条件が満たされた場合、あるい
は、後輪液圧上昇勾配抑制制御中に左右前輪22,26
に対してアンチロック制御が開始された場合に満たされ
る。このような場合には、前後輪両方のホイールシリン
ダの液圧が抑制される状態になるため、車両全体の制動
力が不足気味になり易く、後輪液圧上昇勾配抑制制御が
行われないことが望ましい。しかし、前輪に対してアン
チロック制御が行われている場合には、後輪に対しても
アンチロック制御が開始される可能性が高いものであ
り、このときに後輪液圧上昇勾配抑制制御が終了させら
れて左右後輪28,24のホイールシリンダ20,16
の液圧が増圧されると、その可能性がさらに高くなる。
【0032】したがって、本実施例においては、制動力
制御アクチュエータ81を増圧状態と保持状態とに交互
に切り換えることによって、左右後輪28,24のホイ
ールシリンダ20,16の液圧の時間に対する上昇勾配
を抑制し、左右後輪28,24に対してアンチロック制
御が開始され難くされている。また、仮に、アンチロッ
ク制御が開始されて減圧制御が行われても、ホイールシ
リンダ20,16の液圧の時間に対する上昇勾配が抑制
されていれば、アンチロック制御開始時における減圧量
を少なくすることができ、制御の効き遅れを小さくする
ことができる。
【0033】以下、図1のフローチャートに基づいて左
右後輪28,24のホイールシリンダ20,16の液圧
制御をさらに具体的に説明する。ステップ1(以下、S
1と略称する。他のステップについても同様とする)に
おいて、後輪液圧上昇勾配抑制制御についての演算処理
を行うべきか否かが判定される。本実施例においては、
前後左右4個の車輪各々のアンチロック制御のための演
算処理と、左右後輪28,24に共通の後輪液圧上昇勾
配抑制制御のための演算処理とが1個のコンピュータに
より順次行われるため、液圧制御コンピュータ68のメ
インプログラムの実行時に後輪液圧上昇勾配抑制制御に
ついての演算処理を行うべきことを表す指令が作成され
ているか否かが判定されるのである。
【0034】後輪液圧上昇勾配抑制制御についての演算
処理を行うべき順番になっており、S1の判定結果がY
ESであれば、S2において、左右後輪28,24につ
いてアンチロック制御フラグがセットされているか否
か、すなわち開始条件(a) が満たされているか否かが判
定される。セットされていない場合には開始条件(a) が
満たされていることになるため、YESと判定され、S
3において、後輪液圧上昇勾配抑制制御中であるか否か
が判定される。
【0035】一方、後輪液圧上昇勾配抑制制御について
の演算処理を行うべき順番になっていない場合、あるい
はアンチロック制御フラグがセットされている場合に
は、S1、あるいは、S2においてNOと判定され、本
ルーチンは終了させられる。後者の場合には、左右後輪
28,24のホイールシリンダ20,16の液圧はRO
Mの図示しないアンチロック制御プログラムの実行の結
果作成される指令に基づいて制御されることになる。
【0036】後輪液圧上昇勾配抑制制御中でなく、S3
においてNOと判定されれば、S4において、車両直進
中と旋回中とで異なる各減速度以上であるという開始条
件(b) が満たされているか否かが判定される。開始条件
(b) が満たされれば、YESと判定され、S5におい
て、制動力制御アクチュエータ81を保持状態に切り換
えるべき旨の指令が作成され、出力される。この指令に
応じて制動力制御アクチュエータ81が保持状態に切り
換えられ、ホイールシリンダ20,16がマスタシリン
ダ12からもリザーバ48からも遮断され、液圧が保持
される。開始条件(a) および(b) が満たされると、後輪
液圧上昇勾配抑制制御が開始されるのである。開始条件
(b) が満たされず、NOと判定された場合には、本ルー
チンは終了させられる。
【0037】一方、S3において、後輪液圧上昇勾配抑
制制御中であり、YESと判定された場合には、S6〜
S9において、終了条件(a) 〜(d) が満たされているか
否かがそれぞれ判定される。制動途中にブレーキペダル
10の踏み込みが解除されるか緩められれば、終了条件
(a) あるいは条件 (b)が満たされ、車両が停止するまで
踏み込み状態が保たれれば、終了条件 (c)が満たされ
て、S10において、制動力制御アクチュエータ81が
保持状態から増圧状態に切り換えられる。ホイールシリ
ンダ20,16がマスタシリンダ12の液圧室と連通さ
せられ、ホイールシリンダ20,16の液圧が左右前輪
22,26のホイールシリンダ14,18の液圧と同じ
にされる。
【0038】また、左右前輪22,26に対してアンチ
ロック制御が行われており、終了条件(d) が満たされて
いれば、S11において制動力制御アクチュエータ81
がパルス増圧状態にされる。すなわち、保持状態と増圧
状態とに交互に予め決められた時間毎に切り換えられ、
その結果、ホイールシリンダ20,16の液圧の時間に
対する上昇勾配が抑制されることになる。いずれの終了
条件(a) 〜(d) も満たされない場合にはS5が実行さ
れ、制動力制御アクチュエータ81は保持状態が保たれ
る。
【0039】以上のように、本実施例のアンチロック制
御装置を備えた液圧ブレーキ装置によれば、制御継続時
間をできる限り短くしつつ、後輪液圧上昇勾配抑制制御
の終了時にブレーキペダル10の入り込みにより運転者
が感じる違和感を軽減できる。また、後輪液圧上昇勾配
抑制制御の終了時にアンチロック制御が開始されること
が回避されるため、制動安定性が向上する。さらに、後
輪液圧上昇勾配抑制制御によって、前後輪の制動力を制
動力理想配分に近い状態に制御することができるため、
後輪のロックが生じることを良好に回避して最大の制動
力を得ることができる。しかも、高価なプロポーショニ
ング/バイパスバルブが不要になるため、その分コスト
ダウンを図ることができる。また、本実施例において
は、液圧制御コンピュータ86のS8,S10を実行す
る部分等によってアンチロック制御禁止手段が構成され
るこになる。
【0040】なお、上記実施例においては、後輪液圧上
昇勾配抑制制御の開始が車両減速度の大きさに基づいて
決められるため、液圧センサを要しない利点があるが、
ホイールシリンダ14〜20またはタシリンダ12の液
圧を検出し、その検出結果に基づいて決められるように
してもよい。
【0041】また、上記実施例においては、後輪液圧上
昇勾配抑制制御手段によって左右後輪28,24のホイ
ールシリンダ20,16の液圧が保持されるようにされ
ていたが、上昇勾配がマスタシリンダ12の液圧に比例
するように制御してもよい。増圧弁38,46と減圧弁
56,64との制御によって、リアホイールシリンダ2
0,16の液圧がマスタシリンダ12の液圧、すなわち
フロントホイールシリンダ14,18の液圧に比例する
ように制御するのであり、上記実施例の場合に比較して
一層理想制動力配分に近い状態にすることができるので
ある。
【0042】さらに、上記実施例におけるアンチロック
制御は各車輪に対してそれぞれ独立に行われるようにさ
れていたが、左右前輪に対する制御と左右後輪に対する
制御との少なくとも一方を共通に行うことも可能であ
る。そして、後輪液圧上昇勾配抑制制御終了時には、左
右前輪に対するアンチロック制御と左右後輪に対するア
ンチロック制御との両方が行われないようにしても、左
右後輪に対する制御だけが行われないようにしてもよ
い。また、後輪液圧上昇勾配抑制制御中に後輪に対する
アンチロック制御の開始が許容されるようにされている
ブレーキ液圧制御装置においては、後輪液圧上昇勾配抑
制制御終了時に後輪に対するアンチロック制御が終了さ
せられることになる。
【0043】さらに、上記実施例においては、第一設定
値Akm/hが第二設定値Bkm/hより小さくされていたが,
第一設定値Akm/hと第二設定値Bkm/hとが同じ大きさで
あってもよい。後輪に対するアンチロック制御と後輪液
圧上昇勾配抑制制御とが並行して行われていた場合に
は、アンチロック制御が後輪液圧上昇勾配抑制制御終了
時に終了させられることになる。また、後輪液圧上昇勾
配抑制制御フラグを設け、後輪液圧上昇勾配抑制制御フ
ラグがリセットされた時点にアンチロック制御が終了さ
せられるようにしてもよい。
【0044】さらに、上記実施例の液圧ブレーキ装置に
おいては、制動力制御アクチュエータが増圧弁および減
圧弁であったが、3位置電磁弁であっても、可変容積室
の容積を変化させるアクチュエータであってもよい。
【0045】また、第一発明においては、アンチロック
制御コンピュータは不可欠ではなく、制御はアンチロッ
ク制御とは無関係な制御装置によって行ってもよい。後
輪が駆動輪である場合にはトラクション制御用の制御装
置と共用にすることもできるのであり、後輪のホイール
シリンダの液圧を抑制するために専用の制御装置を設け
ることも可能であって、前者の場合は勿論、後者の場合
でもプロポーショニングバルブあるいはプロポーショニ
ング/バイパスバルブを設けるよりコストダウンを図る
ことができる。
【0046】さらに付言すれば、後輪液圧上昇勾配抑制
制御手段をプロポーショニングバルブを主体として構成
することも可能である。例えば、プロポーショニングバ
ルブと並列に常開の電磁開閉弁を設け、後輪液圧上昇勾
配抑制制御が必要なとき(例えば、積載荷重が小さいと
き)はソレノイドを励磁して閉じ、必要がないときは開
くようにするのである。この場合には、電磁開閉弁が閉
じた状態で車両が減速されたとき、停止直前に電磁開閉
弁を開くことがエネルギ節減,電磁開閉弁の寿命延長の
観点から望ましい。
【0047】また、上記常開の電磁開閉弁が車両減速時
には常に閉じられて後輪液圧上昇勾配抑制制御が行われ
る場合にも本発明を適用する実益がある。例えば、追突
時の乗員への被害をできる限り小さくするという観点か
らは、できる限り大きい制動力で車両を停止状態に維持
し得るようにすることが望ましく、その場合、停止後は
減速度に基づく荷重移動がないのであるから、後輪も最
大限に制動力を発揮する状態にする方がよい。あるい
は、前輪ブレーキの負担をできる限り軽くしつつ車両全
体として十分な制動力を得るのがよいのである。
【0048】その他、いちいち例示することはしない
が、特許請求の範囲を逸脱することなく当業者の知識に
基づいて種々の変形,改良を施した態様で本発明を実施
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるアンチロック制御装置
の液圧制御コンピュータのROMに格納された後輪液圧
上昇勾配抑制制御プログラムを示すフローチャートであ
る。
【図2】上記アンチロック制御装置による後輪液圧上昇
勾配抑制制御の開始条件と終了条件を表す図である。
【図3】上記アンチロック制御装置を備えた液圧ブレー
キ装置の全体の回路図である。
【符号の説明】
10 ブレーキペダル 16,20 ホイールシリンダ 24,28 左右の後輪 38,46 増圧弁 56,64 減圧弁 81 制動力制御アクチュエータ 83 制御装置 86 液圧制御コンピュータ 90〜96 車輪速センサ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後輪の制動液圧の上昇勾配を前輪の制動
    液圧の上昇勾配に対して抑制制御する後輪液圧上昇勾配
    抑制制御手段を備えたブレーキ液圧制御装置において、 車体速度を検出する車体速度検出手段と、 その車体速度検出手段によって検出された車体速度が設
    定値まで低下した場合に、前記後輪液圧上昇勾配抑制制
    御手段による制御を終了させる液圧上昇勾配抑制制御終
    了手段とを設けたことを特徴とするブレーキ液圧制御装
    置。
  2. 【請求項2】 制動時に後輪のスリップが過大になった
    場合に、後輪の制動液圧を制御することにより後輪のス
    リップを適正範囲に維持するアンチロック制御手段と、 そのアンチロック制御手段による後輪に対するアンチロ
    ック制御を、少なくとも前記液圧上昇勾配抑制制御終了
    手段による制御の終了以降は禁止するアンチロック制御
    禁止手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載のブ
    レーキ液圧制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1439104A1 (en) * 2003-01-17 2004-07-21 Nissin Kogyo Co., Ltd. Brake control apparatus
JP2009062048A (ja) * 1996-12-20 2009-03-26 Robert Bosch Gmbh 自動車ブレーキ装置の制御方法および装置

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