JPH07142207A - チタン酸バリウム半導体磁器およびその製造方法 - Google Patents

チタン酸バリウム半導体磁器およびその製造方法

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JPH07142207A
JPH07142207A JP5325713A JP32571393A JPH07142207A JP H07142207 A JPH07142207 A JP H07142207A JP 5325713 A JP5325713 A JP 5325713A JP 32571393 A JP32571393 A JP 32571393A JP H07142207 A JPH07142207 A JP H07142207A
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Japan
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atomic ratio
niobium
barium titanate
semiconductor porcelain
withstand voltage
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JP5325713A
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Takeshi Deguchi
剛 出口
Kozo Kusaka
孝三 草加
Naoto Tsubomoto
直人 坪本
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Original Assignee
Tayca Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 湿式反応法により作成した特定金属成分比の
ニオブ含有チタン酸バリウム粉末原料を用いることによ
り、平均グレイン径や最大グレイン径が制御され、耐電
圧強度や室温における比抵抗値の優れた半導体磁器を提
供する。 【構成】 Nb/Ti原子比とBa/Ti原子比とが、
図1のABCD好ましくはabcdで囲まれた範囲内で
あり、かつ平均グレイン径が1〜2μmであり、かつ最
大グレイン径が5μm以下であることを特徴とする半導
体磁器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チタン酸バリウム系半
導体磁器、および該磁器の製造方法に関する。上記チタ
ン酸バリウム系半導体磁器は、常温では比抵抗が小さ
く、ある温度(以降”Tc”と記す)を越えると急激に
抵抗が上昇するという、正の抵抗温度特性(以降”PT
C特性”と記す)を有しており、温度制御、電流制限、
定温度発熱などの用途に素子として広く使用されてい
る。
【0002】
【従来の技術】上記用途において、高い電圧でも使用可
能な耐電圧の高い素子、すなわち耐電圧強度の高いPT
C特性を有する半導体磁器が要望されている。一方、電
気製品の小型軽量化に伴い、小型で低抵抗の素子、すな
わち室温における比抵抗の低いPTC特性を有する半導
体磁器も要望されている。したがって、PTC特性を有
する半導体磁器の特性として、耐電圧強度をより高くす
ること、および室温における比抵抗(以下、特に明記し
ない限り、室温における比抵抗のことを”比抵抗”と略
す)をより低くすることが重要な課題とされている。
【0003】PTC特性を有するチタン酸バリウム系の
半導体磁器は、一般的に、主成分となるバリウムの炭酸
塩またはシュウ酸塩と、チタンの酸化物またはシュウ酸
塩とを、Tcのシフトの目的やグレイン制御の目的で、
必要に応じてストロンチウムや鉛、またはカルシウムの
炭酸塩またはシュウ酸塩を添加したり、半導化剤となる
微量のY,Ceなどの希土類元素やNb,Ta,Sbの
酸化物、および、PTC特性の抵抗変化桁数を大きくす
る特性改善剤となるMn,Fe,Cr,Cuなどの酸化
物、液相焼結助剤となるSi,Alなどの酸化物を種々
添加混合し、仮焼、粉砕、成形、焼成して得られる。
【0004】しかしながら、上記従来方法で得られるP
TC特性を有するチタン酸バリウム系半導体磁器は、通
常、1300℃以上の焼成を必要とし、このためグレイ
ン分布が広くなってしまい、しかも、5μm以上の径を
有する大きなグレインが生成してしまう。その結果、耐
電圧強度の高いPTC特性を有するチタン酸バリウム系
の半導体磁器を得ることは困難であった。しかも、PT
C特性を有するチタン酸バリウム系半導体磁器を製造す
る上で、耐電圧強度の高い磁器を得ようとすると比抵抗
も高くなる傾向にあるため、耐電圧強度が高いにもかか
わらず比抵抗の低い磁器を得ることは非常に困難であっ
た。
【0005】たとえば、特開平4−26101号公報で
は、TiO,SiO,AlおよびMnO
含有させたBaTiOとSrTiOとからなる半導
体磁器において、DyおよびSbを配合させることによ
り、耐電圧強度が高く、かつ比抵抗の低い磁器を得よう
としているが、その比抵抗は50Ωcm前後、耐電圧強
度は200V/mm前後であり、耐電圧強度としてはま
だ満足できるものではなく、平均グレイン径も6〜15
μmと大きい。
【0006】また、特公昭60−25004号公報で
は、出発原料として、バリウムとチタンの複合シュウ酸
塩と半導化剤となるSbの酸化物とを粉砕混合して仮焼
した粉体を用い、その仮焼条件や成形圧などを制御し、
1350℃で焼成することにより、相対密度が60〜9
5%で、平均グレイン径が1〜5μmの、比較的高耐電
圧強度の磁器を得ており、最高で500V/mm付近の
ものもある。
【0007】しかしながら、最高の耐電圧強度を有して
いる磁器の相対密度が78%と低いので、磁器の強度と
いう面で問題である。また、比抵抗が100Ωcm以上
で全体的に高く、さらに、用いる原料の半導化剤が不均
一なためか、1350℃という高温での焼成が必要とさ
れており、グレイン分布が1〜10μmと広い。その結
果、耐電圧強度/比抵抗の比の値が10未満と、あまり
良特性のものは得られていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、高耐圧
強度を有し、かつ比抵抗の低いPTC特性を有するチタ
ン酸バリウム系の半導体磁器は得られていない。したが
って、本発明の目的は、高耐電圧強度を有し、かつ比抵
抗の低いPTC特性を有するチタン酸バリウム系の半導
体磁器とその製造方法を提供することにある。
【0009】より具体的には、耐電圧強度が400V/
mm以上で、かつ耐電圧強度/比抵抗が10以上の、従
来にない優れたPTC特性を有するチタン酸バリウム系
の半導体磁器、さらには、耐電圧強度が400V/mm
以上で、かつ耐電圧強度/比抵抗が20以上で、かつ比
抵抗が50Ωcm以下の、従来にない優れたPTC特性
を有するチタン酸バリウム系の半導体磁器、と該磁器の
製造方法とを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねたところ、半導化剤元
素としてニオブを選定し、Nbが均一に存在するように
主成分であるチタン酸バリウムを湿式反応により合成す
る過程中でニオブ化合物を添加して生成させた、平均粒
子径が0.3μm以下のチタン酸バリウム粉体を原料と
して用い、さらにBa/Ti原子比とNb/Ti原子比
とを厳密に限定した時に、本発明の目的とする特性を有
する、グレイン径が小さく、しかもグレイン分布がそろ
ったチタン酸バリウム系半導体磁器が、1250℃以下
という従来より低い焼成温度で得られることを見いだ
し、本発明に到達した。
【0011】すなわち本発明は、半導化剤としてニオブ
を含有し、ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸
バリウム半導体磁器において、Ba/Ti原子比とNb
/Ti原子比とが図1のABCDで囲まれた範囲内にあ
り、かつ、その平均グレイン径が1〜2μmであり、か
つ、最大グレイン径が5μm以下であることを特徴とす
る、耐電圧強度が400V/mm以上で、かつ耐電圧強
度/比抵抗が10以上の特性を有するチタン酸バリウム
系半導体磁器である。
【0012】本発明はまた、半導化剤としてニオブを含
有し、ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸バリ
ウム半導体磁器において、Ba/Ti原子比とNb/T
i原子比とが図1のabcdで囲まれた範囲にあり、か
つ、その平均グレイン径が1〜2μmであり、かつ、最
大グレイン径が5μm以下であることを特徴とする、耐
電圧強度が400V/mm以上で、かつ、耐電圧強度/
比抵抗が20以上で、かつ、比抵抗が50Ωcm以下の
特性を有するチタン酸バリウム系半導体磁器である。
【0013】また、本発明は、硼素をB/Ti原子比と
してB/Ti=0.01〜0.08%含有することを特
徴とする上記半導体磁器である。
【0014】さらに本発明は、ニオブをNb/Ti原子
比としてNb/Ti=0.05〜0.35%含有するチ
タン化合物の溶液またはスラリーと、バリウム化合物と
を湿式反応させ、必要に応じて仮焼することにより、平
均粒子径が0.3μm以下で、かつ、Nb/Ti原子比
およびBa/Ti原子比が、図1のABCD好ましくは
abcdで囲まれた範囲にある、ニオブを均一に含有し
たペロブスカイト結晶構造を有したチタン酸バリウム粉
体を得、該粉体を成形した後、成形体を1150〜12
50℃で焼成することを特徴とする半導体磁器の製造方
法に関する。
【0015】本発明において、各条件を限定した理由に
ついては、以下の通りである。Nb/Ti原子比とBa
/Ti原子比とを図1のABCDで囲まれた範囲内に限
定すると、耐電圧強度が400V/mm以上で、しかも
耐電圧強度/比抵抗が10以上の特性を有する磁器が得
られる。
【0016】たとえニオブを均一に添加し、Ba/Ti
原子比を制御しても、Nb/Ti原子比が0.05%未
満の場合には、1250℃以下の焼成では2μm以下の
小さいグレイン径の磁器は得られるものの、半導化が不
十分となり、比抵抗が高くなる。また、1250℃を越
える温度で焼成すると、グレイン径が大きくなり、結果
として高耐電圧強度のものが得られない。すなわち、耐
電圧強度が400V/mm以下となってしまう。
【0017】また、上記Ba/Ti原子比の条件で、N
b/Ti原子比が0.35%を越える場合も同様で、1
250℃以下の焼成では、結果的に耐電圧強度/比抵抗
の比が10未満と小さくなり、1250℃を越える温度
で焼成すると、グレイン径が大きくなって、400V/
mm以上の高耐電圧強度のものが得られなくなってしま
う。
【0018】Ba/Ti原子比が、図1中のBC間の直
線境界以上にTiの比率が多いと、上記Nb/Ti原子
比が0.35%を越えた場合と同様な問題が生じる。ま
た、Ba/Ti原子比が、図1中のAD間の直線境界以
上にBaの比率が多い場合においても、1200℃以下
の焼成で、グレイン径が小さくて400v/mm以上の
耐圧強度を有するものも得られるが、半導化が不十分で
あり、比抵抗が高くなって、耐圧強度/比抵抗が10未
満となってしまう。
【0019】Nb/Ti原子比とBa/Ti原子比とを
図1のabcdで囲まれた範囲内にさらに限定したの
は、図1のABCDで囲まれた範囲内に限定した場合よ
りも、より優れた特性を有する磁器が得られるためであ
る。すなわち、耐電圧強度が400V/mm以上であ
り、かつ、比抵抗が50Ωcm以下で、かつ、耐電圧強
度/比抵抗が20以上である特性を満足する磁器が得ら
れる。
【0020】本発明において、上記条件にさらに硼素を
B/Ti原子比として0.01〜0.08%含有させる
と、比抵抗がより低くなり好ましい。B/Ti原子比が
0.01%未満ではその効果が期待できず、0.08%
以上では耐電圧強度が低くなって耐電圧強度/比抵抗が
10以下となるので好ましくない。次に、本発明の半導
体磁器、特に、本発明の優れた半導体磁器を得るために
必要であるニオブ含有チタン酸バリウム粉体の製造方
法、について詳細に説明する。
【0021】本発明の製造方法において、ニオブを含有
するチタン化合物の溶液とは、イオンまたは分子単位で
混合された溶液を意味し、たとえば、チタンの塩化物と
ニオブの水溶性化合物との水溶液や、チタンのアルコキ
シドとニオブのアルコキシドとの有機溶媒混合溶液など
が適用できる。具体的には、四塩化チタンもしくは一部
水酸基で置換された塩化チタン溶液と五塩化ニオブとの
塩酸水溶液、チタニウムイソプロポキシドとニオビウム
イソプロポキシドとのイソプロピルアルコール溶液など
である。
【0022】また、ニオブを含有するチタン化合物のス
ラリーとは、たとえば、上記ニオブを含有するチタン化
合物の溶液を加水分解して得られる水酸化物または酸化
物のスラリーを意味する。具体的には、四塩化チタンも
しくは一部水酸基で置換された塩化チタン溶液と五塩化
ニオブとの塩酸水溶液を、アンモニアなどで中和加水分
解して得られるニオブ含有含水水酸化チタンスラリー、
チタニウムイソプロポキシドとニオビウムイソプロポキ
シドとのイソプロピルアルコール溶液に水を加えて加水
分解して得られるスラリーなどである。
【0023】本発明におけるバリウム化合物とは、バリ
ウムの水酸化物、酸化物、無機塩、アルコキシドなどの
有機バリウム化合物、などを意味する。
【0024】上記ニオブを含有するチタン化合物の溶液
またはスラリーと、上記バリウム化合物とを湿式反応さ
せる場合、たとえば、水熱反応法、アルコキシド法、共
沈仮焼法などが適用可能である。
【0025】水熱反応法とは、上述したチタンとニオブ
とバリウムの各化合物の混合物を熱加水分解反応して、
ニオブ含有チタン酸バリウムを得る方法である。この
際、チタン塩化物とニオブの水溶性化合物との水溶液
に、あらかじめ塩化バリウムなどの水溶性バリウム化合
物を溶解させた溶液を、水酸化ナトリウムなどの強アル
カリ中で熱加水分解反応しても構わない。
【0026】アルコキシド法とは、チタン、ニオブ、バ
リウムの各アルコキシドを混合溶解した有機溶媒溶液に
加水して、熱を加え反応させる方法である。
【0027】共沈仮焼法とは、たとえば、チタンの塩化
物やニオブの水溶性化合物との水溶液に、あらかじめ塩
化バリウムなど水溶性バリウム化合物を溶解した溶液
を、シュウ酸によって共沈させ、得られる複合シュウ酸
塩を仮焼してニオブ含有チタン酸バリウムを得る方法で
ある。
【0028】本発明の製造方法において、上記湿式反応
で得た粉体をさらに均一にする目的で、粒子成長のため
に平均粒子径が0.3μmを越えてしまわない程度の温
度範囲で、仮焼してもよい。具体的には、仮焼温度範囲
としては700〜950℃が好ましい。
【0029】以上説明したように、湿式反応工程を用
い、さらにNb/Ti原子比とBa/Ti原子比とを図
1のABCD好ましくはabcdで示した範囲内に制御
して得られた、ニオブを均一に含有するペロブスカイト
結晶構造を有した平均粒子径0.3μm以下のチタン酸
バリウム粉体を用いると、1250℃以下という従来に
ない低温焼成で半導化し、しかも平均グレイン径が1〜
2μmでかつ最大グレイン径が5μm以下という、グレ
インが小さくしかも良くそろった、本発明の特性を有す
る磁器が得られる。
【0030】
【作用】本発明に係る半導体磁器がなぜ、耐電圧強度が
400v/mm以上と高いにもかかわらず、比抵抗が低
く、しかも耐電圧強度/比抵抗が10以上さらには20
以上と、従来にない非常に優れた特性を有しているか明
確でないが、半導化剤であるニオブをも湿式合成用試剤
として用いて湿式反応中に添加し、しかも、Nb/Ti
原子比とBa/Ti原子比とを厳密に制御することによ
り、粉体中に均一にニオブ成分を分布させた平均粒子径
が0.3μm以下のペロブスカイト型結晶構造を有する
チタン酸バリウムを得ることができたので、上記粉体を
原料として用いることで、1150〜1250℃という
従来にない低温焼成でも、NbがABOペロブスカイ
ト型結晶構造BaTiO(A;Ba、B;Ti)中の
Bサイトに均一に置換固溶して半導化し、しかも、平均
径が1〜2μmと小さくかつ非常に分布の狭いグレイン
を形成させることができたためである、と推測される。
【0031】本発明の詳細を実施例で以下に説明する。
【実施例】大阪チタニウム社製の塩化チタン水溶液(T
iとして16.5重量%含有)に、あらかじめ塩酸によ
り溶解させた五塩化ニオブ溶液を、Nb/Ti原子比が
表1〜3の含有量になるようにそれぞれ添加し、攪拌溶
解した。攪拌中、さらに純水を加え、10倍に希釈した
後、5%アンモニア水をpH8となるまで3時間かけて
添加混合し、中和加水分解反応を行った。
【0032】得られたニオブ含有含水水酸化チタンスラ
リーを、ブフナーロートを用いて吸引濾過、水洗を行
い、ニオブ含有含水水酸化チタンケーキを得た後、該ケ
ーキをTiO換算で0.7mol/lの濃度になるよ
うに、純水を加えてスラリー化した。上記スラリーを攪
拌しながら、反応系を窒素雰囲気にして、Ba(OH)
・8HO(林純薬工業社製、試薬特級)をBa/T
i原子比が1.4になるよう添加混合したのち、沸騰温
度まで約1時間かけて昇温し、105℃の温度で約4時
間水熱反応を行った。
【0033】その後、室温まで自然冷却したのち、デカ
ンテーションを繰り返し、ブフナーロートを用いて吸引
濾過、水洗を行った。反応後得られたケーキは、TiO
換算で0.7mol/lの濃度になるように純水に再
分散し、スラリー化した。このスラリーを攪拌しながら
60℃に加温してその温度に保持しながら、Ba/Ti
原子比調整の目的で、10%酢酸溶液を加えて各スラリ
ーをpH8〜10に調整し、その状態を1時間保持し
た。各々のスラリーは、ブフナーロートを用いて吸引濾
過、水洗を行い、乾燥した。
【0034】得られた粉体は、その粒子径を走査型電子
顕微鏡(日立製作所製 S−900)で、結晶形をX線
回折装置(リガク電子工業社製 RV−300)で、そ
れぞれ測定したところ、いずれの場合においても、平均
粒子径が0.08μmの立方晶ペロブスカイト型結晶構
造を有するチタン酸バリウム粉体であった。また、上記
粉体は、蛍光X線分析装置(日本フィリップス社製 P
W1480)を用いて組成分析し、Ba/Ti原子比と
Nb/Ti原子比とをそれぞれ定量した。得られた結果
を表1〜3に示す。
【0035】上記粉体はさらに、各々800℃で2時間
仮焼し、平均粒子径が0.1μmのニオブ含有チタン酸
バリウムペロブスカイト結晶微粉体とした。この際、上
記微粉体を蛍光X線分析装置を用いて再度組成分析した
が、Ba/Ti原子比およびNb/Ti原子比は、いず
れも表1〜3に示した値から変化しなかった。
【0036】実施例4〜15,18〜24、比較例3〜
5,7〜13では、上記微粉体にさらに、表1〜3に示
したB/Ti原子比となる硼素成分量に相当するホウ酸
を加えた。
【0037】上記微粉体は、必要に応じて上記ホウ酸を
加えた後、樹脂製のボールとポットからなるボールミル
を用いてそれぞれ湿式粉砕混合し、バインダーとしてP
VA(ポリビニルアルコール)を粉体に対して1.0%
添加して、スプレードライヤーを用いて造粒し、造粒粉
を得た。
【0038】造粒粉は、1トン/cmの圧力で、直径
15mm、厚み1mmのペレット中で成形した。この
際、成形体を蛍光X線分析装置を用いて再度組成分析し
たが、Ba/Ti原子比およびNb/Ti原子比は、い
ずれも表1〜3に示した値から変化せず、硼素を添加し
た各例のB/Ti原子比も、表1〜3に示した値を示し
た。
【0039】上記成形体は、大気中で1100〜125
0℃の間でそれぞれ25℃刻みの温度幅で焼成温度を設
定して焼成を行った。焼成温度における保持時間は2時
間、昇温は+300℃/hr.、降温は−200℃/h
r.という条件で、焼成磁器を各々得た。
【0040】上記の方法で得た各種組成(Ba/Ti原
子比、Nb/Ti原子比、B/Ti原子比)の焼成磁器
の特性を測定し、表4〜6に示した。
【0041】表4〜6における、平均グレイン径や最大
グレイン径は、走査型電子顕微鏡(以下SEMと略す)
による観察から測定した。平均グレイン径は、SEM写
真に一定間隔で直線を引き、該直線にヒットしたグレイ
ンの大きさを0.1μm単位で計測し、その個数を計数
し(ただし、グレインが大きく、2度以上ヒットしたも
のはその都度計数する)、全合計個数を約3000個と
して、以下の式で計算した。 〔グレインの大きさの測定値の合計〕/〔全合計個数〕
【0042】比抵抗ρおよび耐電圧強度Eは、磁器の両
面にオーミック性銀ペーストを焼き付けて電極とし、こ
れを測定用試料として、25℃で測定した。耐電圧強度
については、試料に破壊が起こる寸前の最高印加電圧値
を測定し、試料の電極間(厚み:mm)で割って表した
ものである。
【0043】焼成温度については、1100〜1250
℃の間で焼成した各磁器の中で、最も良好な耐電圧強度
/比抵抗(E/ρ)の特性が得られた磁器の焼成温度を
示している。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】表1および図1から、実施例1〜15と比
較例13は、図1のabcdで囲まれた範囲内にあるこ
とがわかる。表2および図1から、実施例16〜24
は、図1のabcdで囲まれた範囲内にはないが、AB
CDで囲まれた範囲内にあることがわかる。表3および
図1から、比較例1〜12は、図1のABCDで囲まれ
た範囲内にはないことがわかる。
【0051】表4および表5から明らかなように、各実
施例の平均グレイン径は、いずれにおいても1〜2μm
であり、5μmを越えるグレインは全く見られないこと
から、本発明の磁器組織においては、グレイン分布が非
常に揃っていることがわかる。
【0052】また、表4および表5の実施例と、比較例
である表6とを比較してみると明らかなように、図1の
ABCDで囲まれた範囲内にある磁器は、比抵抗が低く
耐電圧強度が高いという特性を有し(表4)、さらに、
図1のabcdで囲まれた範囲内にある磁器は、その中
でも非常に優れた特性を有している(表5)ことがわか
る。
【0053】表6における比較例1〜9は、本発明であ
る図1のABCDで囲まれた範囲に対し、Ba/Ti原
子比が範囲外のものであるが、上記範囲よりもTi原子
比が多い場合(比較例1〜5)には、1250℃以下の
焼成では十分な特性を有する磁器が得られず、上記範囲
よりもBa原子比が多い場合(比較例6〜9)には、表
中の焼成温度未満の焼成では半導化が不十分となるため
比抵抗が高くなり、表中の焼成温度を越える焼成では耐
電圧強度が低くなってしまい、また、表中に示した最も
良い特性が得られる焼成温度においても、耐電圧強度/
比抵抗(E/ρ)が10未満となるので、本発明の目的
とする特性が得られない。
【0054】比較例10〜12は、本発明である図1の
ABCDで囲まれた範囲に対し、Nb/Ti原子比が本
発明の範囲外(比較例10はニオブの含有量が少なく、
比較例11、12はニオブの含有量が多い場合)のもの
であるが、いずれの場合においても、表中の焼成温度未
満の焼成では半導化が不十分となるため比抵抗が高くな
り、表中の焼成温度を越える焼成では耐電圧強度が低く
なってしまい、また、表中に示した最も良い特性が得ら
れる焼成温度においても、結果としてE/ρが10未満
となるので、本発明の目的とする特性が得られない。
【0055】なお、比較例13は硼素の含有量が多すぎ
るものである。本発明において、硼素は必須の成分では
ないが、硼素を含有していない実施例2と比較して、比
抵抗は低くなってはいるものの、耐電圧強度も400V
/mm以下と低下するので、硼素の含有量が多すぎる
と、結果的に満足な特性を有する磁器が得られない。
【0056】
【発明の効果】以上のように、湿式反応によって半導化
剤であるニオブを均一に含有した微粒の原料粉を用い、
しかも、Nb/Ti原子比、Ba/Ti原子比、必要に
応じてB/Ti原子比の添加量を厳密に制御することに
よって、耐電圧強度が400V/mm以上でかつ耐電圧
強度/比抵抗が10以上である従来にない特性のPTC
半導体磁器が、さらに、比抵抗が50Ωcm以下、耐電
圧強度が400V/mm以上、耐電圧強度/比抵抗が2
0以上という非常に優れたPTC半導体磁器が得られ
る。
【0057】従って、本発明によれば、従来にまして実
用性に優れたPTC半導体磁器を提供することが可能で
あり、利用可能範囲の拡大を図ることができる。また、
従来のPTC半導体磁器を得るためには、通常1300
℃以上の高温焼成が必要であり、そのため、使用できる
炉体構造としては1400℃耐用のものが必要となるの
で設備コストが高くなり、しかも、用いるコウバチ、セ
ッタなどの治具の消耗が激しくて維持コストも高くなっ
ていたが、本発明の半導体磁器の製造方法を適用すれ
ば、1250℃以下の低温で焼成が可能であるため、上
記コストが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチタン酸バリウム系半導体磁器におけ
る、Nb/Ti原子比およびBa/Ti原子比の範囲を
示した図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導化剤としてニオブを含有したペロブ
    スカイト型結晶構造を有するチタン酸バリウム半導体磁
    器において、Nb/Ti原子比およびBa/Ti原子比
    とが、図1のABCDで囲まれた範囲内にあり、かつ半
    導体磁器の平均グレイン径が1〜2μmであり、かつ最
    大グレイン径が5μm以下であることを特徴とし、上記
    半導体磁器の特性として、耐電圧強度が400V/mm
    以上で、かつ耐電圧強度/室温における比抵抗が10以
    上であるチタン酸バリウム系半導体磁器。
  2. 【請求項2】 半導化剤としてニオブを含有したペロブ
    スカイト型結晶構造を有するチタン酸バリウム半導体磁
    器において、Nb/Ti原子比およびBa/Ti原子比
    とが、図1のabcdで囲まれた範囲内にあり、かつ半
    導体磁器の平均グレイン径が1〜2μmであり、かつ最
    大グレイン径が5μm以下であることを特徴とし、上記
    半導体磁器の特性として耐電圧強度が400V/mm以
    上で、かつ耐電圧強度/室温における比抵抗が20以上
    で、かつ室温比抵抗が50Ωcm以下であるチタン酸バ
    リウム系半導体磁器。
  3. 【請求項3】 硼素をB/Ti原子比としてB/Ti=
    0.01〜0.08%含有することを特徴とする請求項
    1または2記載の半導体磁器。
  4. 【請求項4】 ニオブをNb/Ti原子比としてNb/
    Ti=0.05〜0.35%含有するチタン化合物の溶
    液またはスラリーと、バリウム化合物とを湿式反応さ
    せ、必要に応じて仮焼することにより、平均粒子径が
    0.3μ以下で、かつNb/Ti原子比およびBa/T
    i原子比が図1のABCDで囲まれた範囲にある、ニオ
    ブを均一に含有したペロブスカイト結晶構造を有したチ
    タン酸バリウム粉体を得、上記粉体を成形したのち、該
    成形体を1150℃から1250℃で焼成することを特
    徴とする請求項1記載の半導体磁器の製造方法。
  5. 【請求項5】 ニオブを含有するチタン化合物が、チタ
    ンの塩化物とニオブの水溶性化合物との水溶液を加水分
    解して得られた、ニオブを均一に含有したチタンの含水
    水酸化物または酸化物であり、バリウム化合物がバリウ
    ムの水酸化物であり、湿式反応が水熱反応であることを
    特徴とする請求項4記載の半導体磁器の製造方法。
  6. 【請求項6】 ニオブをNb/Ti原子比としてNb/
    Ti=0.05〜0.35%含有するチタン化合物の溶
    液またはスラリーと、バリウム化合物とを湿式反応さ
    せ、950℃以下の温度で仮焼することにより、平均粒
    子径が0.3μm以下で、かつNb/Ti原子比および
    Ba/Ti原子比が図1のabcdで囲まれた範囲にあ
    る、ニオブを均一に含有したペロブスカイト結晶構造を
    有したチタン酸バリウム粉体を得、上記粉体にB/Ti
    原子比としてB/Ti=0.01〜0.08%となるよ
    うに酸化硼素または酸化硼素前駆体を混合したのち成形
    し、該成形体を1150〜1250℃で焼成することを
    特徴とする請求項3記載の半導体磁器の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100341082B1 (ko) * 1995-06-23 2002-09-18 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 반도체 자기 및 그 제조 방법
WO2012111386A1 (ja) * 2011-02-17 2012-08-23 株式会社村田製作所 正特性サーミスタ

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