JPH0714192U - 遠心式送風機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 送風効率及び騒音の低減効果を変えずに、容
易に製作し得る構造を呈した舌部片を備えた遠心式送風
機を提供すること。 【構成】 ボリュート形のケーシング内に舌部片３が設
けられ、そのケーシング内に羽根車が装備された遠心式
送風機において、該舌部片３を、幅方向に複数個の部材
3a，3bを連設して構成すると共に、その部材はケーシン
グの側板側からケーシングの主板側に向かって羽根車の
外側縁との間隔を階段状に広くする形状とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は遠心式送風機に係り、詳しくは洗車機に装備される乾燥用のブロアー に関する。

【０００２】

【従来の技術】

洗車機に装備される乾燥用のブロアーとして一般的にターボ形の遠心式送風機 が使用されている。この遠心式送風機は、ボリュート形のケーシングに後向き羽 根を有した羽根車が装備され、羽根車の回転によって該羽根車の軸心上に位置し てケーシングに開設された吸込口より空気が吸い込まれ、回転する羽根車の羽根 の作用によって空気を圧送しケーシングの吐出口より吐出するものである。そし て、上記のケーシングの吐出口の手前内側には先端の曲面の半径が小さく、鋭角 状に形成した舌部片が取付けられている。

【０００３】 上記した遠心式送風機の作動においては、羽根車の回転にともない空気力学的 に騒音を発生するが、その騒音の主なものは、翼通過周波数（＝羽根枚数×回 転数）及びその高周波で卓越したディスクリート成分として現れる回転騒音、 渦の発生などによって誘起された広帯域にわたって現れる乱流騒音、とに大別で きる。そして、感覚的には、の成分が際立って耳につくが、これはケーシング に取付けられた舌部片の先端付近を羽根が通過する度に発生する圧力変化が音に なっているもので、一般的には「風切り音」と言われているものである。

【０００４】 即ち、上記の「風切り音」は舌部片の先端の曲面半径が小さく鋭角状に形成さ れて羽根の外側縁との間隔が狭い為、羽根車の回転によって羽根が舌部片の先端 付近を通過する時、羽根間から投げ出される空気の流れは舌部片の先部に衝突す ることによって生じるものである。そして、上記の作用は吸込口側から軸芯に沿 って離れるに伴って顕著となる。しかして、このような遠心式送風機が洗車機に 装備されて作動すると、上述した「風切り音」は非常ら大きく耳障りとなり、各 種の騒音問題が取り沙汰されている今日にあっては騒音の低減が望まれている。

【０００５】 そして、前述したの成分を低減させることが、聴覚的には数値以上の低減効 果を与えることに着目し、ケーシング内に取付けられる舌部片の先端の半径を大 きくして羽根の外側縁との間隔を広くし、又は舌部片の先端の半径を大きくし、 且つその舌部片の吸込口と反対側寄りの先端部分を後向きに切欠することで前記 した従来の問題点を解決する発明を本件出願人が既に提案済みである。（特開平 ５−６５８９７号）

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記した舌部片の構造において吸込口と反対側寄りの先端部分を後 向きに切欠するものの形状は３次元曲線をしており、板金加工で一体に製作する 場合は非常に面倒でコスト高になるといった問題点を有する。 本考案は上述したような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするとこ ろは、送風効率及び騒音の低減効果を変えずに、容易に製作し得る構造を呈した 舌部片を備えた遠心式送風機を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成する為に本考案が講じた技術的手段は、舌部片を、幅方向に 複数個の部材を連設して構成すると共に、その部材は側板側から主板側に向かっ て羽根車の外側縁との間隔を階段状に広くする形状としたことを特徴とする。 そして、舌部片を構成する連設部材の個数は２個に限らず３個以上であっても よく、又、２個の部材を連設して構成する場合も、部材の連設箇所は羽根車の羽 根の高さの範囲内に位置するようにする。更に、舌部片における先端の半径は従 来の舌部片の先端の半径に対して数倍以上とする。

【０００８】

【作用】

上記の手段によれば、複数の部材を連設一体化して構成される舌部片における 吸込口と反対側寄りが羽根車の外側縁との間隔を階段状に広くする形状を呈する ことで、羽根車の回転によって羽根間から投げ出される空気が舌部片の先部に当 たることが少なくなり、回転騒音を減少させることになる。しかも、該舌部片の 先端の半径を大きくし、表面積が広い円弧面とすることにより、羽根車の回転に よって羽根相互間から投げ出された空気は舌部片の先端の円弧面に沿って流れ、 騒音発生が減少される。そして、該舌部片は先端の円弧面をなす部分までの寸法 に長短差を付けた部材を幅方向に連設することで構成できるため製作が容易と成 る。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づき説明すると、図面は後向き羽根の羽根車 を備えた遠心送風機（ブロアー）を示し、図中、１はケーシング、２は羽根車、 ３は前記ケーシング１に取付けられた舌部片であり、ケーシング１は金属製平板 を用いて今日周知のボリュート形状に形成され、そのケーシング１の側板1aに吸 込口４が開設されると共に、一側に吐出口５が形成されており、且つその吐出口 ５の手前側内側に側板1a側から主板1bに亘って舌部片３が固着されている。

【００１０】 上記のケーシング１に固着される舌部片３は、金属製平板を用いて羽根車２と 対向する面をケーシング１におけるボリュート形状をした周壁の始端側に連続す る円弧面となし、その円弧面の先部を所定の曲率を有する半径で円弧状に形成し た２個の部材3a，3bを幅方向に連設一体化して構成し、且つそれら部材における 円弧面の先端から反対側の垂直壁までの長さはケーシング１の側板1a側に配置さ れる部材3aが長く、ケーシング１の主板1b側に配置される部材3bは部材3aより短 く形成され、それによって２個の構成部材を連設した場合、円弧面の先端が階段 状となり、羽根車２の羽根2aの外周縁と部材の先端との間隔が主板1a側が広くな るように構成されている。尚、両部材3a，3bにおける円弧面の始端側は両方とも 同じ位置から始まるようにしてある。

【００１１】 又、上記した舌部片３を構成する部材3a，3bの幅寸法は部材3aと3bとの幅方向 の連設位置が羽根車２の羽根2aの高さの範囲内に位置する寸法とする。即ち、部 材3aと部材3bとの接合位置が羽根2aの高さの略中間位置、或いは羽根2aの高さの 下から約1/3 の位置、又は羽根2aの高さの下から約2/3 の位置といった箇所に接 合位置がくる寸法とする。

【００１２】 図５及び図６は舌部片３における部材3aと部材3bとの幅寸法を異ならしめた実 施例の寸法例を示し、図６の表中におけるにNo.1は従来形の舌部片で、No.5,6,7 は本案に係る舌部片の実施例である。又、同表中のr1は部材3aの先端の半径で、 r2は部材3bの先端の半径を表し、t1，t2は部材3a，3bの先端と羽根車２の外側縁 との間の隙間を表す。

【００１３】

【考案の効果】

本考案の遠心送風機は以上詳述したように、ボリュート形のケーシング内に設 けられる舌部片を、幅方向に複数個の部材を連設して構成すると共に、その部材 は側板側から主板側に向かって羽根車の外側縁との間隔を階段状に広くする形状 としたものであるから、舌部片の先端付近を羽根が通過する度に発生する圧力変 化が少なくなり、その結果回転騒音（風切り音）は減少し、騒音を低減すること ができる。しかも、その騒音の低減に寄与する舌部片は先端までの寸法を長短異 にした複数個の部材を連設して構成するため、板金加工等によって三次元曲線を 呈した一体物を製作することに比べて大幅に製作コストを低減でき、量産に適し た構造を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】舌部片を装備した遠心送風機の縦断正面図であ
る。

【図２】図１の(2)-(2) 線に沿える断面図である。

【図３】図１の(3)-(3) 線に沿える断面図である。

【図４】舌部片を示す斜視図である。

【図５】本考案に係る段付き舌部片の概要を示す説明図
である。

【図６】従来形の舌部片と本案の舌部片の寸法例を示す
表である。

【符号の説明】

１…ケーシング ２…羽根車 ３…舌部片 3a，3b…舌部片の構成部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボリュート形のケーシング内に舌部片が
   設けられ、そのケーシング内に羽根車が装備された遠心
   式送風機において、該舌部片を、幅方向に複数個の部材
   を連設して構成すると共に、その部材はケーシングの側
   板側から主板側に向かって羽根車の外側縁との間隔を階
   段状に広くする形状としたことを特徴とする遠心式送風
   機。