JP3806512B2 - プロペラファン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調機などに組み込まれて送風用途に使用されるプロペラファンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のプロペラファンとして、例えば図9に示したように、図示しない電動モータの回転軸を差し込んで固定するための取付穴6が設けられたハブ2の中心部から、羽根1の後端部が取り付けられたハブ2の周縁3に至る補強用のリブ7を配設して、軽量化を図るためにファンをポリプロピレンなどの合成樹脂で製造しても羽根1の取着部後端1B近傍で割れが発生しないように工夫したプロペラファンPFが、実開平5−69399号公報に提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のプロペラファンにおいては、羽根の取着部後端部分でのハブの内側への湾曲は防止できたが、遠心力から受ける前端側外側への湾曲を防止することができず、羽根とハブとが振動して羽根の取着部前端部に亀裂を生じたり、音が出易いと云った問題点があり、これが解決すべき課題となっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来技術の課題を解決するため、回転手段により回転駆動されるハブの周縁を円以外の回転対称の形状に形成し、隣接する突出端同士の間のハブの周縁に羽根を1枚づつ取着して構成するプロペラファンにおいて、ハブが回転する側に位置する羽根の取着部端部(以下、羽根取着部前端と云う)とその反対側に位置する羽根の取着部端部(以下、羽根取着部後端と云う)との間に、ハブ中心部からハブ周縁に向かうリブをそれぞれ2枚配設し、羽根取着部前端とこの前端側に位置するリブとの間の寸法が、羽根取着部後端とこの後端側に位置するリブとの間の寸法より小さく設けるようにした第1の構成のプロペラファンと、
【0005】
前記第1の構成のプロペラファンにおいて、ハブの周縁を曲率の異なる円弧状曲線を連設して形成し、羽根を曲率の小さくて長いハブの周縁に取着するようにした第2の構成のプロペラファンと、
【0006】
前記第1または第2の構成のプロペラファンにおいて、羽根をハブの隣接する突出端同士の間の周縁の回転側に片寄せて取着するようにした第3の構成のプロペラファンと
を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。なお、理解を容易にするため、これらの図においても前記図9において説明した部分と同様の機能を有する部分には、同一の符号を付した。
【0008】
本発明のプロペラファンPFは、例えばポリプロピレンやアクリルニトリル−スチレン共重合体などのプラスチックなどによって一体成形により形成される。羽根1が取着されるハブ2の周縁3は、曲率の小さい円弧状周縁4と、曲率の大きい円弧状周縁5とが交互に連設されて、複数の突出端2Aが丸みを持った略三角形の回転対称の形状に形成されている。
【0009】
そして、ハブ2の隣接する突出端2A・2A同士の間の曲率が小さくて長い円弧状周縁4の部分に羽根1が、ハブ2が回転する側に片寄せて取り付けられている。
【0010】
また、室外機100の電動モータ20の回転軸21を差し込んで固定する取付穴6が形成されているハブ2の中心部から、曲率が小さくて長い、羽根1が取着されている円弧状周縁4に至る補強用のリブ7Aと7Bとが配設されている。
【0011】
リブ7Aはハブ2が回転する側に位置する羽根1のハブ2への取着部前端1Aに片寄せ、リブ7Bは取着部前端1Aの反対側に位置する羽根1のハブ2への取着部後端1Bに片寄せ、且つ、羽根1の取着部前端1Aとリブ7Aの取着端部との間の寸法L1は、羽根1の取着部後端1Bとリブ7Bの取着端部との間の寸法L2より小さくなるように取り付けられている(図2参照)。
【0012】
本発明のプロペラファンPFは上記のように構成されているので、電動モータ20によって矢印方向に回転されたときには、送風の反作用として羽根1が受ける力により、リブ7A、7Bが設けられていないとハブ2の周縁3は一点鎖線で示したように波打つことになるが(図2参照)、湾曲量が最大になる位置にリブ7A、7Bが設けられているので、ハブ2の周縁3の湾曲が効果的に抑えられ、羽根1とハブ2との接続部分での亀裂の発生が効果的に防止できる。
【0013】
また、略三角形に形成されたハブ2の突出端2Aより回転する側に位置する部分では空気が圧縮されて高圧となり、その反対側は低圧となるので、図4に示すように羽根1の外周側を流れる空気の一部はハブ2寄りの内周側に流れる。
【0014】
このため、羽根1の外周部からハブ2側に掛けて空気が平均化されて流れるようになり、外周部後端での空気の流速が低下し、これによって空気流が羽根1の外周部後端を離れるときの騒音発生が抑制される。
【0015】
また、羽根1のハブ2寄りの内周部分にも一定の流速以上の空気の流れができており、且つ、羽根1が回転側の突出端2Aに片寄せて取り付けられているので、空気の乱れた流れや、空気の吸入側への逆流もなくなり、これによってハブ2寄り内周部分での騒音の発生も防止される。
【0016】
図5は、図3に示すような圧縮機22、熱交換器23、および図示しないベルマウス、パネルなどを備えた室外機100に取り付けた状態のフロントパネル前方1mの位置で、本発明のプロペラファンPFと、ハブ2の周縁3を円筒形に形成した従来のプロペラファンPFとの騒音を測定して比較したものである。この比較図から判るように、本発明のプロペラファンPFによる騒音は、何れの風量においても従来のプロペラファンPFより1dB程度低くなっている。
【0017】
また、騒音を比較した本発明のプロペラファンPFと従来のプロペラファンPFとのファンモータ消費電力比較を室外機100に取り付けた状態で行い、測定結果を図6に示した。この比較図から判るように、本発明のプロペラファンPFによるファンモータ消費電力は、同風量の従来のプロペラファンPFの消費電力より、何れの風量においても少なくなっている。
【0018】
これは、本発明のプロペラファンPFは、ハブ2の周縁3が略三角形の形に形成されて羽根1の面積が増加したことと、羽根1の外周部だけでなく、内周側でも有効な送風作用を行うために、低騒音化およびトータルの送風効率が向上したものである。
【0019】
ところで、羽根1を取り付けるハブ2の周縁3の形状は、図7(a)に示したように突出端2Aを尖らせた正三角形の状態に形成することもできる。また、図7(b)に示したように、隣接する突出端2A同士の間の周縁3、すなわち曲率の小さい円弧状周縁4が凹むようにハブ2を形成し、この部分に羽根1を取り付けるように構成することもできる。また、図7(c)に示したように突出端2Aと曲率の小さい円弧状周縁4との接続部が、片側では滑らかに接続し、他方では屈曲状態に接続するようにハブ2を形成しても良い。
【0020】
さらに、図8(a)〜図8(d)に示したように、突出端2Aを4箇所に備えたハブ2を、突出端2Aを3箇所に有する図7などに示した前記ハブ2と同様に、曲率の異なる円弧状周縁4と5とを接続して形成することもできる。
【0021】
なお、ハブ2は周縁3の突出端2Aを5箇所以上に形成し、隣接する突出端2A同士の間の周縁3それぞれに羽根1を取り付けるようにすることもできるが、突出端2Aの設置数が多いほど、突出端2Aから回転側に位置する周縁3での空気を圧縮して高圧にする作用が乏しくなり、その反対側では低圧となる程度が小さくなって、騒音の低減効果、送風効率の向上効果が損なわれるので、突出端2Aの数を増やし過ぎるのは好ましくない。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ハブの変形がリブによって効果的に防止されるので、羽根とハブとの接続部分での亀裂の発生防止が図れると共に、騒音の低下が図れる。
【0023】
特に、請求項3のプロペラファンによれば、羽根のハブ寄り内周部分でも空気の吸入側への逆流が防止できるので、騒音の一層の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の一実施形態を示す説明図であり、(a)は前方から見た斜視図、(b)は後方から見た斜視図である。
【図2】一実施形態の要部(ハブ)を真後ろから見た説明図である。
【図3】発明のプロペラファンを室外機に組み込んだ状態を示す説明図である。
【図4】空気の流れる状態を示す説明図である。
【図5】騒音を比較した説明図である。
【図6】ファンモータ消費電力を比較した説明図である。
【図7】真後ろから見たハブの形状を示した説明図である。
【図8】真後ろから見たハブの形状を示した説明図である。
【図9】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 羽根
1A 取着部前端
1B 取着部後端
2 ハブ
2A 突出端
3 周縁
4 曲率の小さい円弧状周縁
5 曲率の大きい円弧状周縁
6 取付穴
7A・7B リブ
8 空気の流線
20 電動モータ
21 回転軸
22 圧縮機
23 熱交換器
PF プロペラファン
100 室外機
Claims (3)
- 回転手段により回転駆動されるハブの周縁が円以外の回転対称の形状に形成され、隣接する突出端同士の間のハブの周縁に羽根が1枚づつ取着されて構成されるプロペラファンであって、ハブが回転する側に位置する羽根の取着部端部(以下、羽根取着部前端と云う)とその反対側に位置する羽根の取着部端部(以下、羽根取着部後端と云う)との間に、ハブ中心部からハブ周縁に向かうリブがそれぞれ2枚配設され、羽根取着部前端とこの前端側に位置するリブとの間の寸法が、羽根取着部後端とこの後端側に位置するリブとの間の寸法より小さく設けられたことを特徴とするプロペラファン。
- ハブの周縁が曲率の異なる円弧状曲線を連設して形成され、羽根が曲率の小さくて長いハブの周縁に取着されたことを特徴とする請求項1記載のプロペラファン。
- 羽根がハブの隣接する突出端同士の間の周縁の回転側に片寄せて取着されたことを特徴とする請求項1または2記載のプロペラファン。
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