JPH0714060Y2 - 自動車用ウォークインシートスライド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、例えば２ドア型自動車
における前部シートに設けられ、シートバックの前傾動
作に連動してシートが前方に移動するようにした自動車
用ウォークインシートスライド装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の装置としては、例えば実公昭57-2
8675号公報に開示されているようなものがある。この装
置は、前傾可能なシートバックを備えたシートを、フロ
アに固着されるロアレールに摺動自在に嵌合されたアッ
パ−レ−ルに取り付けるとともに、ロアレールにその長
手方向に沿ってロックプレートを設け、アッパ−レ−ル
に取り付けたハンドル軸に、ロックプレートに係脱する
ロック爪及びウォークイン機構をなす補助レバーを枢着
したロック保留レバーを回動可能に取付けることによ
り、シートバックを前倒させると、レバー部材を介して
ロック保留レバーの突起でロック爪の係合を解除して、
シートを最前端位置まで移動させる。そのとき、補助レ
バーは、保留プレートに乗り上げて、ロック爪を解除状
態に保持させる。その後、シートバックを起こして、シ
ートを後方に戻すと、保留プレートに乗り上げている保
留レバーは、保留レバーから離脱した位置でロック爪の
回動を解放することにより、ロック爪がロックプレート
に係合して、シートを標準位置に固定することができ
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来の装置は、ウォークイン機構（補助レバー及
びロック保留レバー）は、ハンドル軸上にロック爪とと
もに装着された構成であるため、ウォークイン機構を有
しない通常のシートスライドとでは、そのハンドル軸回
りの構成が大きく相違して、通常のシートスライドとの
共用化が困難である。また、共用化を計るには、ウォー
クイン機構を有しない構成、すなわち補助レバー及びロ
ック保留レバーを除いてロック爪のみを操作軸に組み付
けることにより可能ではあるが、ウォークイン機構を有
するものと有しないものとでは、その組み立て作業が異
なり、作業性が悪くなりコストアップを招く問題点があ
る。

【０００４】本考案は、従来の技術が有する上記のよう
な問題点に鑑み、共用化を可能にするとともに組み付け
作業性を向上させた自動車用ウォークインシートスライ
ド装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本考案の装置は、前傾可能なシートバックを備える
シートに固定されるアッパ−レ−ルを、車体に固着され
るロアレールに摺動自在に嵌合し、アッパ−レ−ル側に
固定された第１支持プレートに、ロアレール側に形成さ
れたロック部に係脱してアッパ−レ−ルを適宜の位置で
固定し得るラッチ部材を枢着したシートスライドと、第
１支持プレート上に固着される取付部を有する第２支持
プレートに、シートバックの前傾動作と連動してウォー
クイン作動位置に移動することにより、ラッチ部材の上
端に形成された連結部に係合してラッチ部材をロック解
除位置に回動させる連結孔及び円弧状の空振り部と空振
り部の一端から半径方向に延びる係合部とを有するほぼ
Ｌ字状の案内溝が形成された第１ウォークインレバー
と、案内溝に摺動自在に嵌合して、第１ウォークインレ
バーがウォークイン作動位置に移動することにより、案
内溝の係合部に係合して第１ウォークインレバーをウォ
ークイン作動位置に拘束可能な係合突起とアッパ−レ−
ルが所定量後方に移動したとき、ロアレール側に設けら
れたウォークインプレートに当接することにより、前記
係合突起と係合部との係合を解除してラッチ部材を係合
位置に回動させてアッパ−レ−ルを所定の位置に固定可
能にするキャンセル部とを有する第２ウォークインレバ
ーとを、それぞれ上下方向を向く軸により枢着したウォ
ークイン機構と、を備えることを特徴としている。

【０００６】

【作用】ウォークイン機構は、第２支持プレートに、ラ
ッチ部材の連結部が嵌合する連結孔と、円弧状の空振り
部及び半径方向に延びる係合部とからなる案内溝とが形
成され、かつ端部にシートバックの前傾動作に連繋され
る第１ウォークインレバーと、一端に案内溝に摺動自在
に係合する係合突起を有し、他端にウォークインプレー
トに当接可能なキャンセル部が形成された第２ウォーク
インレバーとが、それぞれ上下方向を向く軸により枢着
されることにより形成される。

【０００７】このウォークイン機構の第２支持プレート
を、第２ウォークインレバーの連結孔にシートスライド
側のラッチ部材の連結部を嵌合させるとともに、アッパ
ーレールに固着された第１支持プレートに固定すること
により、ウォークイン機構を具備したシートスライドが
完成される。すなわち、ウォークイン機構を具備しない
通常のシートスライドに、ウォークイン機構の第２支持
プレートをアッパーレール上の第１支持プレートに固定
することにより、簡単にウォークインシートスライド装
置が形成され、通常のシートスライドとの共用化が図ら
れる。

【０００８】

【実施例】以下、本考案の一実施例を、添付図面に基づ
いて説明する。図１は、図示しないシートクッションを
載置し得るように構成された左右１対のシートスライド
装置の内、一方のウォークイン機構を備えた方のシート
スライド装置の斜視図である。

【０００９】(１)は、長手方向の前後端に固着された前
後１対のレッグブラケット(２)(３)を介してフロア側に
固定されるロアレールで、上向きコ字状をなし、ほぼ水
平の基片(1a)と、基片(1a)の両側部より起立する左右の
側片(1b)と、両側片(1b)の先端より外方に向かって延出
する上片(1c)とから形成されている。一方の側片(1b)に
は、長手方向に沿って複数の係合孔(1d)(図３に示す)が
穿設されている。

【００１０】(４)は、前傾動作可能なシートバックを備
えたシート(図示略)の下面に取り付けられるとともに、
ロアレール(１)に長手方向に沿って摺動可能に嵌合され
た断面形状ほぼ下向きコ字状のアッパーレールで、ロア
レール(１)の基片(1a)とほぼ平行をなす上片(4a)と、上
片(4a)の両側より垂下する側片(4b)と、両側片(4b)の下
端より内方に延出してロアレール(１)の上片(1c)の下方
に係合可能な下片(4c)とから形成されている。

【００１１】アッパーレール(４)の上片(4a)には、先端
部に筒状の前後１対の支持部(5a)が形成された第１支持
プレート(５)が固着され、支持部(5a)には、前方にハン
ドル(6a)を有して、一端が第１支持プレート(５)に係止
されたトーションバー(７)によって係合方向(図１にお
いて矢示Ａ方向)に付勢され、かつアッパーレール(４)
と平行な操作軸(６)が枢着されている。第１支持プレー
ト(５)の両支持部(5a)間の操作軸(６)には、ラッチ部材
(８)が固着され、ラッチ部材(８)の下端には、ロアレー
ル(１)の側片(1c)に穿設されたロック孔(1d)に係脱可能
なラッチ歯(図示略)が、また上端には、上方に延出した
連結部(8a)が形成されている。ラッチ部材(８)のラッチ
歯がロック孔(1d)に係合することにより、アッパーレー
ル(４)のロアレール(１)に対する前後動をロックしてシ
ートをその位置に固定し、また、ハンドル(6a)の操作に
より操作軸(６)を解除方向に回動させてラッチ歯をロッ
ク孔(1d)から離脱させることにより、アッパーレール
(４)のロアレール(１)に対する前後動を自由にして、シ
ートを任意の位置に移動させることができる。

【００１２】(９)は、ロアレール(１)の基片(1a)に固着
されたウォークインプレートで、アッパーレール(４)の
一方の側片(4b)に沿って長手方向のほぼ中央から後部に
かけて起立した解除壁(9a)が形成されている。

【００１３】以上の構成により、ハンドル(６a)の操作
により、ロアレール(１)に対するアッパーレール(４)の
前後動を自由にしたり、またアッパーレール(４)を所定
の位置にロックしたりして、シートを任意の位置に調節
移動させることができる通常のシートスライド(10)が構
成される。

【００１４】(11)は、シートスライド(10)のアッパーレ
ール(４)の上片(4a)に固着された第１支持プレート(５)
に装着されるウォークイン機構で、ウォークイン機構を
具備しない通常のシートスライド(10)に装着することに
より、通常のシートスライド(10)をウォークインシート
スライド装置とすることができる。

【００１５】ウォークイン機構(11)は、図２に示すよう
に、全体がほぼ三角形状をなして、ほぼ中央部に弧状の
長孔(12a)と円形の軸孔(12b)(12c)が形成され、かつ、
前後に第１支持プレート(５)の取付部(5b)(5c)に固着さ
れる取付部(12d)(12e)が形成された第２支持プレート(1
2)と、上下方向を向く軸(13)により第２支持プレート(1
2)の軸孔(12c)に枢着され、ラッチ部材(８)の連結部(8
a)が嵌合する軸(13)を中心にした弧状の連結孔(14a)
と、軸(13)を中心にした弧状の空振り部(15a)と空振り
部(15a)の一端から半径外方に延びた係合部(15b)とから
なるほぼＬ字状の案内溝(15)とが形成され、かつ端部に
シートバックの前傾動作に連動して引張されるワイヤー
(Ｗ)が連結されるピン(14b)を植設したシートバック連
結部(14c)を有する第１ウォークインレバー(14)と、長
孔(17a)を介して上下方向を向く軸(16)により第２支持
プレート(12)の軸孔(12b)に枢着され、かつ一端に長孔
(12a)を介して案内溝(15)に摺動自在に嵌合する係合突
起(18)を植設し、他端にウォークインプレート(９)の解
除壁(9a)の前端縁(9b)に当接可能なキャンセル部(17b)
を形成した第２ウォークインレバー(17)と、第１ウォー
クインレバー(14)と第２ウォークインレバー(17)との間
に架設され、図４において第１ウォークインレバー(14)
を時計方向に、また第２ウォークインレバー(17)を反時
計方向に付勢する付勢部材(19)とから構成される。

【００１６】このウォークイン機構(11)は、図３に示す
ように第２支持プレート(12)の同一平面上に第１、２ウ
ォークインレバー(14)(17)を組み付けた状態で、第２支
持プレート(12)を、上方から連結孔(14a)にラッチ部材
(８)の連結部(8a)を嵌合させるとともに、アッパーレー
ル(４)の上片(4a)に固着された第１支持プレート(５)の
取付部(5b)(5c)に取付部(12d)(12e)をボルト(20)により
締結固定することにより、図１に示すウォークイン機構
を具備したシートスライドが完成される。すなわち、ウ
ォークイン機構を具備しない通常のシートスライド(10)
に、上述のように構成されたウォークイン機構(11)の第
２支持プレート(12)をアッパーレール(４)上の第１支持
プレート(５)に固定することにより、簡単にウォークイ
ンシートスライド装置が形成される。また、その場合、
全ての部品が同一面上に配置されるので、簡単に組み付
けることができる。

【００１７】次に、本考案の実施例の作用について説明
する。後部座席への乗降時において、シートバックを前
傾させると、図６に示す状態においてワイヤ(Ｗ)が矢示
Ｂ方向に引張されることにより、ピン(14b)を介して第
１ウォークインレバー(14)が時計方向に回動し、図５に
示すような状態になる。この第１ウォークインレバー(1
4)の回動に伴い、連結孔(14a)の端縁がラッチ部材(８)
の連結部(8a)に係合して、ラッチ(８)を係合歯がロック
孔(1d)から離脱する解除位置に回動させるとともに、案
内溝(15)の空振り部(15a)内を第２ウォークインレバー
(17)に設けた係合突起(18)が係合部(15b)側に向かって
移動することにより、付勢手段(19)により第２ウォーク
インレバー(17)が図５に示すように時計方向に回動し
て、係合突起(18)が係合部(15b)内に係合する。これに
より、第１ウォークインレバー(14)はウォークイン作動
位置に保持されるとともに、ラッチ部材(８)は解除位置
に保持される。従って、この状態では、シートバックを
起こしてワイヤー(Ｗ)を緩めても、ラッチ部材(８)の解
除状態は保持され、シートはヘルパースプリング(図示
略)により最前端に移動される。

【００１８】後部座席への乗降終了後、シートバックを
起こした状態でシートを後方に戻すと、図４に示すよう
に、ほぼロアレール(１)の長手方向のほぼ中央位置に設
定された標準位置で、第２ウォークインレバー(17)のキ
ャンセル部(17b)がウォークインプレート(９)の前端縁
(9b)に当接することにより、図４に示すように、第２ウ
ォークインレバー(17)はウォークイン作動位置から反時
計方向に強制的に回動させられて、係合突起(18)は係合
部(15b)内を空振り部(15a)に向かって移動する。する
と、係合突起(18)と係合部(15a)との係合が解除され
て、第１ウォークインレバー(14)の時計方向への回動が
自由になり、ラッチ部材(８)はトーションバー(７)によ
り係合方向に回動して、ラッチ歯がロック孔(1d)に係合
することにより、シートは標準位置に固定される。

【００１９】

【考案の効果】以上により、本考案は、次のような効果
を有する。 (a) ウォークイン機構の第２支持プレートを、ウォーク
イン機構を具備しない通常のシートスライド装置の第１
支持プレート上に取り付けることにより、ウォークイン
シートスライド装置が完成されるので、通常のシートス
ライドとの共用化が容易に達成され、組付け作業性が向
上する。 (b) ウォークイン機構は、全て同一平面上に取り付けら
れて、案内溝と係合突起との係脱関係によりウォークイ
ン作動を可能にしているので、構成を簡単にしてウォー
クイン作動を確実に行うことができ、また組付け性が良
く小型化を容易におこなうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例のウォークインシートスライ
ド装置の全体斜視図である。

【図２】同じくウォークイン機構の分解斜視図である。

【図３】ウォークイン機構をシートスライドに取り付け
る前の、ウォークイン機構及びシートスライドの斜視図
である。

【図４】第２ウォークインレバーがウォークインプレー
トに当接した状態を示す、要部の平面図である。

【図５】ウォークイン作動時を示す、要部の平面図であ
る。

【図６】非作動時を示す、要部の平面図を示す。

【符号の説明】

(１)ロアレール (４)アッパーレール (４a)上片 (５)第１支持プレー
ト (５a)支持部 (５b)(５c)取付部 (６)操作軸 (８)ラッチ部材 (８a)連結部 (９)ウォークインプ
レート (10)シートスライド (11)ウォークイン機
構 (12)第２支持プレート (12d)(12e)取付部 (14)第１ウォークインレバー (14a)連結孔 (15)案内溝 (15a)空振部 (15b)係合部 (17)第２ウォークイ
ンレバー (17b)キャンセル部 (18)係合突起

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前傾可能なシートバックを備えるシート
   に固定されるアッパ−レ−ルを、車体に固着されるロア
   レールに摺動自在に嵌合し、アッパ−レ−ル側に固定さ
   れた第１支持プレートに、ロアレール側に形成されたロ
   ック部に係脱してアッパ−レ−ルを適宜の位置で固定し
   得るラッチ部材を枢着したシートスライドと、第１支持
   プレート上に固着される取付部を有する第２支持プレー
   トに、シートバックの前傾動作と連動してウォークイン
   作動位置に移動することにより、ラッチ部材の上端に形
   成された連結部に係合してラッチ部材をロック解除位置
   に回動させる連結孔及び円弧状の空振り部と空振り部の
   一端から半径方向に延びる係合部とを有するほぼＬ字状
   の案内溝が形成された第１ウォークインレバーと、案内
   溝に摺動自在に嵌合して、第１ウォークインレバーがウ
   ォークイン作動位置に移動することにより、案内溝の係
   合部に係合して第１ウォークインレバーをウォークイン
   作動位置に拘束可能な係合突起とアッパ−レ−ルが所定
   量後方に移動したとき、ロアレール側に設けられたウォ
   ークインプレートに当接することにより、前記係合突起
   と係合部との係合を解除してラッチ部材を係合位置に回
   動させてアッパ−レ−ルを所定の位置に固定可能にする
   キャンセル部とを有する第２ウォークインレバーとを、
   それぞれ上下方向を向く軸により枢着したウォークイン
   機構と、を備えることを特徴とする自動車用ウォークイ
   ンシートスライド装置。