JPS6217309Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両用座席等においてその座席の前後
位置を調節するシートアジヤスタに関し特に両側
ロツクのシートアジヤスタを対象としたものであ
る。

シートアジヤスタは車体床側に固定される固定
側レールと座席側に取付けられる可動側レールと
を入子式に摺動自在に結合してなる左右一対のレ
ール結合体において、固定側レールと可動側レー
ルとのロツク機構をその一方のレール結合体のみ
に配する片側ロツク方式と両方のレール結合体に
それぞれ配する両側ロツク方式とが用いられてい
るが、片側ロツク方式の場合は他方のレール結合
体のレール間は摺動自在の状態にあるため急停車
時等においては座席に押力が片寄つて作用しシー
トフレームが変形するおそれがあるのでシートフ
レームは補強部材を取付けるなどして剛性を増加
する必要があり、そのため重量が増大すると共に
コスト高になる不都合があり、又、安全対策の上
からも両側ロツク方式が多く用いられるようにな
つてきた。しかしシートアジヤスタの両側ロツク
方式は両側のレール結合体の両方のロツク機構が
連動して同時にロツク・ロツク解除動作が行なわ
なければならず、そのため各構成部材に精度が要
求される。

すなわち、ロツク機構としては固定側レールに
その長手方向に所要間隔で係合孔を形成し、一方
可動側レールには係合孔に係合される爪片を有す
るロツクプレートを装着し、このロツクプレート
を、可動操作することにより爪片を係合孔に対し
て係脱させ、固定側レールに対する可動側レール
のロツク・ロツク解除を行なうように構成されて
いるが、両側レールロツクの場合は両側レールが
同時にロツク・ロツク解除動作が行なわれなけれ
ばならず、そのためロツク機構としての固定側レ
ールの係合孔とロツクプレート及びシートフレー
ム等に高精度が要求され、また、組付けにおいて
もその位置合わせに手数を要していた。

そこで本考案は斯る点に鑑みてなされたもの
で、シートアジヤスタの両側ロツク方式におい
て、一方のレール間には有段ロツク機構、すなわ
ち等間隔の係合孔とこの係合孔の１個または複数
と係合する爪片を有するロツクプレートからなる
第１ロツク機構を、また他方側レール間には第２
ロツク機構すなわち他数の歯形とこの歯形に噛合
する歯形を有するロツクプレートからなるロツク
機構をそれぞれ備え両ロツク機構を連動動作する
ようにしたシートアジヤスタを提供するものであ
る。

以下図面について本考案の一実施例を説明す
る。

第１図において１は車両用座席の全体を示し、
このシートクツシヨン２とシートバツク３は片持
リクライニング装置４より連結され、シートクツ
シヨン２の下面側に本考案によるシートアジヤス
タ５が装着される。

このシートアジヤスタ５を第２図以降について
詳細に説明する。図において１１，１１′は車体
床面Ｆに固定される固定側レール、１２，１２′
はシートクツシヨン２の下面側に取付けられる可
動側レールであつて固定側レール１１，１１′の
下面両端部に脚体１３ａ，１３ｂ，１３a′，１３
b′が固定されており、この固定側レール１１，１
１′と可動側レール１２，１２′とはそれぞれ入子
式に摺動自在に連結されてレール結合体Ａ，
A′が構成される。

一方側レール結合体Ａの固定側レール１１の内
側面には前後方向に等間隔で係合孔１４〔１４
ａ，１４ｂ，１４ｃ………〕が穿設され、可動側
レール１２には係合孔１４に係合される爪片１５
を有するロツクプレート１６が軸ピン１７により
回転可能に軸着されており、このロツクプレート
１６にはシートクツシヨン２の前面側に突出され
るレバー１８の基端が固着され、このレバー１８
をハンドル１９により回動操作するとロツクプレ
ート１６は回転されて爪片１５が係合孔１４より
脱出されロツク解除される。このようにして一方
のレール結合体Ａ側の第１ロツク機構が構成され
る。

また、他方側レール結合体A′の固定側レール
１１′には、その内側面に沿つてロツクプレート
２０が固定されこのロツクプレート２０の内端縁
部には前後方向に歯形２１が形成されている。一
方、可動側レール１２′には断面Ｌ字状のプレー
トステイ２２が固定され、このプレートステイ２
２に状のブラケツト２３を固定してあり、プレ
ートステイ２２の立上がり部の上端には、断面コ
字状のリンク２４が軸ピン２５により上下方向に
回動可能に軸着され、このリンク２４の下部には
ロツクプレート２０の歯形２１と噛合される歯体
２６が固定され、また両側面には、逆Ｌ字状のガ
イドホール２７，２７′が形成されている。ブラ
ケツト２３にはリンク２８の一端部が軸支されこ
のリンク２８の他端部はリンク２４に係合させて
ある。

すなわちリンク２８は１対のプレート２９，２
９′の両端部間に軸ピン３０，３０′を横架して形
成されており、両プレート２９，２９′はブラケ
ツト２３とリンク２４の両側に位置し一端部の軸
ピン３０はブラケツト２３に軸支され、他端部の
軸ピン３０′はリンク２４のガイドホール２７，
２７′に挿通係合されている。このリンク２８は
軸ピン３０にコイルスプリング３１を巻装し、こ
のコイルスプリング３１の一端をブラケツト２３
に、また他端を一方のプレート２９′にそれぞれ
引掛けることにより軸ピン３０を回転中心として
常時下方へ回転偏倚させ、他端の軸ピン３０′を
リンク２４のガイドホール２７，２７′の下端部
に係合させるようにしてある。この状態でリンク
２４は下方に回動位置され、歯体２６はロツクプ
レート２０の歯形２１に噛合される。このロツク
プレート２０の歯形２１と歯体２６との噛合状態
のとき、軸ピン３０′が係合されるリンク２４の
ガイドホール２７，２７′の下半分はリンク２８
の軸ピン３０，３０′の中心を結ぶ中心線ａに対
して略直角に位置しトグル機構を構成することに
なり、歯形２１と歯体２６の噛合は保持される。
また、リンク２４のガイドホール２７，２７′に
係合される軸ピン３０′の中央部には、ケーブル
取付けプレート３２を固定してある。このように
して他方のレール結合体A′の第２ロツク機構を
構成してある。

このように構成される両レール結合体Ａ，
A′のロツク機構において、レール結合体Ａ側の
ロツクプレート１６とレール結合体A′側のリン
ク２８に固定されたケーブル取付けプレート３２
との間をケーブル３３により連結し、流ロツク機
構が連動するようになされている。

次に以上のように構成される本例のシートアジ
ヤスタの動作について説明する。

非操作状態においては一方のレール結合体Ａ側
では固定側レール１１の係合孔１４に可動側レー
ル１２に軸着されたロツクプレート１６の爪片１
５が係合されて可動側レール１２は固定側レール
１１に対してロツク状態にあり、又他方のレール
結合体A′側では固定側レール１１′に固定された
ロツクプレート２０の歯形２１に、可動側レール
１２′にプレートステイ２２を介して軸着された
リンク２４に固定した歯体２６が噛合し、この噛
合状態をリンク２４のリンク２８による回動偏倚
により保持させ、可動側レール１２′は固定側レ
ール１１′に対してロツク状態にあり、この状態
で座席１は車体床面Ｆに固定保持されている。

そこで座席１の前後位置を調整するにはハンド
ル１９によりレバー１８を回動操作し、ロツクプ
レート１６を回動させると、その爪片１５が固定
側レール１１の係合孔１４より脱出されて一方の
レール結合体Ａ側の可動側レール１２のロツクが
解除されると共に、ロツクプレート１６の回動に
よりケーブル３３が牽引され、そのため他方のロ
ツク機構のリンク２８がコイルスプリング３１の
偏倚力に抗して上方へ回動され、軸ピン３０′は
リンク２４のガイドホール２７，２７′の下半部
を通過して上半折曲部に当接し、この状態でリン
ク２４はリンク２８の上方への回動に伴ない軸ピ
ン２５を中心として上方へ回転され、歯体２６は
ロツクプレート２０の歯形２１から離脱し、可動
側レール１２′の固定側レール１１′に対するロツ
クが解除される。このようにして両レール結合体
Ａ，A′の可動側レール１２，１２′のロツクが解
除されると可動側レール１２，１２′は固定側レ
ール１１，１１′に対して摺動可能となり座席１
を前後方向に移動できる。

この座席１の所望の移動位置においてレバー１
８の回動を解除すると一方のレール結合体Ａ側の
ロツクプレート１６はリターンスプリングＳによ
り回動復帰されて爪片１５が対応する係合孔１４
に係合され、他方のレール結合体A′側のリンク
２８はケーブル３３による牽引が解除されること
になるのでコイルスプリング３１の偏倚力により
下方へ回動され、この回動に伴いリンク２４はリ
ンク２８の軸ピン３０′により押されて下方へ回
動され歯体２６がロツクプレート２０の歯形２１
に噛合される。このようにして可動側レール１
２，１２′は夫々固定側レール１１，１１′に対し
てロツク状態に戻り座席１は移動調節位置に固定
保持されることになる。

この動作においてリンク２４はリンク２８によ
りコイルスプリング３１の偏倚力で押圧されトグ
ル作用により歯体２６がロツクプレート２０の歯
形２１に噛合されるのでこの噛合状態は確実に保
持されることになる。

尚、ロツクプレート１６とシートバツク３とを
ケーブル３４により連結しておきシートバツク３
の前倒れ動作に連動させることによりロツクプレ
ート１６を回動操作し、シートバツク３の前倒れ
操作に伴い可動側レール１２，１２′のロツクを
解除するように構成することもできる。

このように本例においては一方のレール結合体
Ａ側においてはロツクプレート１６の爪片１５が
係合孔１４に係脱されることにより可動側レール
１２は固定側レール１１に対し有段的にロツクさ
れ、また他方のレール結合体A′側においてはロ
ツクプレート２０の歯形２１にリンク２４に固定
された歯体２６が噛合することにより可動側レー
ル１２′は固定側レール１１′に対して無段的にロ
ツクされることになる。

以上のように本考案によるシートアジヤスタは
一方のレール結合体に第１ロツク機構を配設し、
他方のレール結合体に、ロツクプレートの歯形と
リンクに設けられた歯体とをトグル動作により噛
合保持するようにした第２ロツク機構を配設し、
その両ロツク機構を連繋部材を介して連動させる
ように構成したので、両レール結合体に多少の位
置ずれが生じた場合においても第１ロツク機構を
ロツク動作させることにより第２ロツク機構もロ
ツク状態になり、両方のレール結合体は常に同時
にロツクできて座席は確実に固定保持されると共
に第２ロツク機構側の歯形と歯体の噛合状態は歯
体のトグル動作により保持されるのでレール結合
体に衝撃が加わつても不用に離脱されることな
く、又がた感も防止できて安定感が得られ安全対
策上でも有効である。しかも製作においても両側
レール結合体の両ロツク手段間の位置合せ等に精
度上の問題が生じることなく、組付け工程が簡略
化できて作業能率が向上される等実用的効果が大
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるシートアジヤスタを備え
た車両用座席の斜視図、第２図は本考案によるシ
ートアジヤスタの一例の一部分の斜視図、第３図
は第２図の−線拡大断面図である。 図中、１は座席、２はシートクツシヨン、３は
シートバツク、Ａ，A′はレール結合体、１１，
１１′は固定側レール、１２，１２′は可動側レー
ル、１４，１５，１６は第１ロツク機構を構成す
る係合孔，爪片，ロツクプレート、２０，２１，
２４，２６，２８は第２ロツク機構を構成するロ
ツクプレート，歯形，リンク，歯体，リンクであ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 床側に固定される固定側レールと座席側に取付
   けられる可動側レールを摺動可能に結合して成る
   左右一対のレール結合体において、前記一方のレ
   ール結合体に第１ロツク機構、他方のレール結合
   体に前記第１ロツク機構に連繋部材を介して連動
   される第２ロツク機構を夫々配設し、前記第１ロ
   ツク機構は固定側レールに設けた多数の係合孔
   と、可動側レールに設けて係合孔に係合する爪片
   とからなり、前記第２ロツク機構は、固定側レー
   ルに設けた歯形を有するロツクプレートと、この
   ロツクプレートの歯形に噛合する歯体を下端に設
   け上端を可動側レール側に連繋部材により回動可
   能に軸着したリンクと、先端に軸ピンを有し基端
   を前記リンクの軸着部に対して下方の可動側レー
   ル側に前記リンクと同方向に回転自在に軸着し、
   且つ先端をばねの弾性によつて前記ロツクプレー
   トの方向に付勢してなるガイドリンクとから構成
   し、前記リンクの側面には前記ガイドリンクの軸
   ピンを移動可能に挿通するＬ字状のガイドホール
   を設けると共に該ガイドホールの歯体側の下半分
   は前記ロツクプレートの歯形に前記リンクの歯体
   が噛合状態において、ガイドリンクの基端と軸ピ
   ンの中心とを結ぶ線に対して略直角状に形成する
   ことにより、前リンクとロツクプレートの噛合状
   態を確実してなる車両用座席等のシートアジヤス
   タ。