JPH0713951U

JPH0713951U - 階段用踏板

Info

Publication number: JPH0713951U
Application number: JP4930093U
Authority: JP
Inventors: 悟大野; 俊一原野
Original assignee: 段谷産業株式会社
Priority date: 1993-08-17
Filing date: 1993-08-17
Publication date: 1995-03-10

Abstract

(57)【要約】【目的】踏板の強度を維持しつつ軽量化および施工性
の向上を図る。【構成】木製枠組（１）の両面に薄板（３）が貼着さ
れ、枠組（１）の内部にペーパーコア、またはプラスチ
ックコア、または金属コア等からなる軽量コア材（２）
が充填固着された階段用踏板。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、軽量コア材を用いた木製の階段用踏板の構成に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の木製階段用踏板の基材としては、木材ブロックを所定の寸法に切断形成して集成し、１つの無垢板状に構成した集成材、あるいはラワン材等、比較的安価な広葉樹やスギ、マツ等の針葉樹を薄削した単板を積層した合板、単板積層材（ＬＶＬ、ＬＶＢ）を複数枚積層したもの、さらには、端材や廃材を利用した繊維板（主として中密度繊維板＝ＭＤＦ）や木片成型板（パーティクルボード）を所望の構成に積層した板材が一般的であった。

【０００３】但し、木製階段の踏板に関しては、建築基準法により安全のため、その幅や長さについての法的な規制は設けられているが、曲げ破壊強度等については、特に規定はない。そのため、合板、単板積層材（以下、ＬＶＬ）、パーティクルボード（以下、Ｐ・Ｂ）など、比較的均質で均一な強度を有する工業生産材料を用いた踏板についても、従来の無垢材の強度を参考にしてそれぞれの強度を設定し、安全を確保していた。

【０００４】

【考案が解決すべき課題】

しかしながら、上記のような構成の階段用踏板の基材は、均質で強度の点からも安定し、安全率をそれほど大きく取る必要のない工業生産材料を基材とした場合も全体がソリッドの木質材料で構成されており、その重量は非常に重かった。その為、人手不足から施工者は過酷な労働を余儀なくされていた。

【０００５】最近は階段を部品（踏板、ささら桁、蹴込板等）としてではなく、工場で組み立ることによりユニット化し、階下から階上に取り付けるだけで施工が完了する施工性の向上と人手不足を補う階段も提案されているが、前記の通りその重量は更に増加し、クレーン等の機械が無ければ施工出来ない状態もあり、クレーンの使えない様な狭い所での施工は事実上出来ない等の問題が生じていた。

【０００６】さらに、従来の踏板は、基材として集成材や合板、ＬＶＬ等を用いたので、近年の木材伐採制限や原木輸出停止に伴い材料が非常に高価なものになってしまい、安定的に供給できない状況にある。

【０００７】この考案は、踏板の強度を維持しつつ軽量化することによって施工性の向上を図るとともに、階段全体のユニット化を容易にし、更に木質材料の使用の節減も図れるという、有用な階段用踏板を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案の階段用踏板は、前記課題を解決するために成されたもので、木製枠組の両面には薄板が貼着され、枠組の内部にはペーパーコア、またはプラスチックコア、または金属コア等の軽量コア材が充填固着されて構成される。請求項２の階段用踏板は、請求項１記載の階段用踏板において、幅が２４０ｍｍの板材に対して、スパン７００ｍｍで静的な中央集中荷重を加えたとき、その板材の曲げ破壊荷重が５００ｋｇ以上となる様にしたものである。

【０００９】以下、この考案を詳しく説明する。

【００１０】図１は階段用踏板の斜視図、１は枠組、２はコア材、３は薄板である。図２は軽量コア材の例を示す斜視図で、ａはハニカムコア、ｂはコラゲートコア、ｃはロールコアの例である。

【００１１】枠組１用材には、常用の製材品やＬＶＬ、合板、配向性Ｐ・Ｂ、ＬＳＬ（配向性の木片積層板）等の工業生産材料が用いられる。ＬＶＬを用いる場合は、単板の繊維方向を全て同一方向に揃え、それを単板積層方向と直交方向から荷重が加わるようにして用いると、曲げ強度が極めて大きくなって好ましい。

【００１２】前記枠組１用材は、標準的な踏板の厚さから考え、幅と厚さが１０〜３０ｍｍ程度の範囲にある断面形状が矩形の棒状で、長さ方向は必要とする曲げ強度を得る為に、いずれも長手方向に主繊維方向が平行になるように作成される。

【００１３】枠組１は、前記の棒状の用材を四方組みすることにより構成される。用材同志はタッカーピンや接着剤を併用して仮固定される。踏板の大きさは、通常奥行き２２０〜２６０ｍｍ、長さは８００〜１２００ｍｍであるから、枠体も前記の踏板寸法に該当するように構成される。

【００１４】そして、枠組１内部には軽量コア材２が充填される。軽量コア材２としては、ダンボール、アルミニウム、プラスチック等からなる軽量芯材が一般的に用いられる。軽量コア材２の形状は特に限定されないが、図２に示す様な、ハニカムコアａ、コラゲートコアｂ、ロールコアｃ等が好ましく用いられる。コア材２は、枠組１内部に隙間のない様に充填可能な寸法で、枠組１の両面に固着される薄板３とは接着剤を介して密接状態に接着固定される。

【００１５】枠組１両面に貼着される薄板３は、合板やＭＤＦが主として用いられるが、Ｐ・Ｂやハードボード等を用いることも可能で有る。薄板３の厚さは３〜１１ｍｍ程度が踏板の寸法からして、適当で有る。薄板３は素板のまま貼着してもよいし、薄板３の表面に天然木化粧単板や塩化ビニル樹脂シート等を貼着した化粧板を用いることも出来る。

【００１６】なお、既に説明した様に、工業生産材料である木質板材を用いた木製踏板に対する静的な中央集中荷重による曲げ破壊荷重に関する公的な安全規格値は現在の所設けられていないが、通常は安全を見込んでスパンが７００ｍｍで５００Ｋｇ以上あれば実用上問題がないことを実験的に確認している。

【００１７】

【作用】この考案において、木製枠組内部に軽量コア材を充填し、両面から薄板を貼着した構成の踏板とするのは、安全面から必要とする曲げ強度を維持しつつ踏板として軽量化を計るためである。

【００１８】以下、この考案の実施例を示す。

【００１９】

【実施例】

踏板として、幅２４０ｍｍ、厚さ３５ｍｍ、長さ８９０ｍｍとなる様に、表裏面に貼着する薄板の厚さ（２．５ｍｍ、４．０ｍｍ、５．５ｍｍ、９．０ｍｍ、１２ｍｍ）と材質（合板、ＭＤＦ）及び枠材の幅を３０ｍｍとし、厚さ（１１ｍｍ、１７ｍｍ、２４ｍｍ、２７ｍｍ、３０ｍｍ）と材質（合板、ＬＶＬ、ＭＤＦ、Ｐ・Ｂ）とを表１の様に組み合わせ、内部に紙製のコラゲートコアを密接状態に充填接着して踏み板を作成した。そして、それら踏板の表面からスパン７００ｍｍで静的な中央集中荷重を加え、それぞれの曲げ破壊荷重を測定するとともに、それぞれの重量を測定した。結果は、表１に示した。なお、比較例として、従来の全体が１５プライの合板製で厚さが３５ｍｍ、幅２４０ｍｍ、長さ８９０ｍｍの踏板を用いた。

【００２０】

【表１】 ┌───┬──────────┬────────┬───┬──────┐ │実施例│ 表裏面薄板（厚さ）│ 枠材（厚さ）│重量│ 破壊荷重 │ ├───┼───┬──────┼───┬────┼───┼──────┤ │ １ │合板│５．５ｍｍ │合板│２４ｍｍ│２．２│ ４７４Ｋｇ│ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │ ２ │合板│９．０ｍｍ │合板│１７ｍｍ│３．３│ ６７２ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │ ３ │合板│１２．０ｍｍ│合板│１１ｍｍ│３．５│ ７４９ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │ ４ │ＭＤＦ│２．５ｍｍ │合板│３０ｍｍ│２．１│ ４５２ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │ ５ │ＭＤＦ│４．０ｍｍ │合板│２７ｍｍ│２．６│ ５３８ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │ ６ │ＭＤＦ│９．０ｍｍ │合板│１７ｍｍ│３．８│ ７１８ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │ ７ │合板│２．５ｍｍ │ＬＶＬ│３０ｍｍ│１．９│ ６０５ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │ ８ │合板│５．５ｍｍ │ＬＶＬ│２４ｍｍ│２．１│ ５８１ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │ ９ │合板│１２．０ｍｍ│ＬＶＬ│１１ｍｍ│３．７│ ８５０ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │１０ │ＭＤＦ│２．５ｍｍ │ＬＶＬ│３０ｍｍ│２．１│ ５９０ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │１１ │ＭＤＦ│４．０ｍｍ │ＬＶＬ│２７ｍｍ│２．５│ ６２５ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │１２ │ＭＤＦ│９．０ｍｍ │ＬＶＬ│１７ｍｍ│３．７│ ７４５ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │１３ │合板│５．５ｍｍ │ＭＤＦ│２４ｍｍ│２．２│ ４０４ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │１４ │合板│９．０ｍｍ │ＭＤＦ│１７ｍｍ│２．９│ ７２９ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │１５ │ＭＤＦ│４．０ｍｍ │ＭＤＦ│２７ｍｍ│２．６│ ４６０ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │１６ │ＭＤＦ│５．５ｍｍ │ＭＤＦ│２４ｍｍ│３．０│ ６１９ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │１７ │ＭＤＦ│９．０ｍｍ │ＭＤＦ│１７ｍｍ│３．７│ ６９３ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │１８ │合板│５．５ｍｍ │Ｐ・Ｂ│２４ｍｍ│２．２│ ４７７ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │１９ │合板│９．０ｍｍ │Ｐ・Ｂ│１７ｍｍ│３．３│ ６４７ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │２０ │ＭＤＦ│４．０ｍｍ │Ｐ・Ｂ│２７ｍｍ│２．７│ ４３１ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │２１ │ＭＤＦ│５．５ｍｍ │Ｐ・Ｂ│２４ｍｍ│３．０│ ５７５ │ ├───┼───┼──────┼───┼────┼───┼──────┤ │２２ │ＭＤＦ│９．０ｍｍ │Ｐ・Ｂ│１７ｍｍ│３．８│ ６９９ │ ├───┼───┴──────┴───┴────┼───┼──────┤ │比較例│合板製踏板（１５プライ）、厚さ３５ｍｍ│４．３│１２００ │ └───┴───────────────────┴───┴──────┘

【００２１】表１から見られる様に、この考案の実施例になる踏板において、静的な中央集中荷重による曲げ破壊強度が５００Ｋｇ以上となる組み合わせは、２２例中１６例に見られた。それらの内、従来の合板製踏板に比べて重量的には約１／２になる例が２種類（実施例８、１０）有り、３／４以下になる例は７種類（実施例５、８、１０、１１、１４、１６、２１）有った。

【００２２】

【考案の効果】

この考案によれば、表裏面薄板と枠材及び軽量芯材の組み合わせを工夫することによって、必要とされる曲げ強度を維持しつつ踏板の軽量化を行うことが出来るので、施工者の労力を軽減して施工性の向上を図るとだけでなく、階段全体のユニット化を比較的容易にすることができる。また、貴重になりつつある木質材料の使用を節減できて省資源的であるという効果を奏することが出来る。

【００２３】

【図面の簡単な説明】

【図１】階段用踏板の斜視図

【図２】軽量コア材の斜視図

【符号の説明】

１枠組２コア材３薄板

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】木製枠組（１）の両面には薄板（３）が
貼着され、枠組（１）の内部にペーパーコア、またはプ
ラスチックコア、または金属コア等からなる軽量コア材
（２）が充填固着されたことを特徴とする階段用踏板。
【請求項２】幅が２４０ｍｍの板材に対して、スパン
７００ｍｍで静的な中央集中荷重を加えたとき、その板
材の曲げ破壊荷重が５００ｋｇ以上になる様にしたこと
を特徴とする実用新案登録請求の範囲請求項１記載の階
段用踏板。