JPH0713487B2 - 車輌の駆動輪のスリップ制御方法 - Google Patents

車輌の駆動輪のスリップ制御方法

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JPH0713487B2
JPH0713487B2 JP61107243A JP10724386A JPH0713487B2 JP H0713487 B2 JPH0713487 B2 JP H0713487B2 JP 61107243 A JP61107243 A JP 61107243A JP 10724386 A JP10724386 A JP 10724386A JP H0713487 B2 JPH0713487 B2 JP H0713487B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、車輌の駆動輪のスリップ制御方法に関し、特
に、車輌の発進時や加速時における駆動輪のスリップの
制御方法に関する。
(発明の技術的背景及びその問題点) 一般に、車輌の発進時あるいは加速時に駆動輪の駆動力
がタイヤと路面との摩擦力[タイヤと路面との摩擦係数
×車輌重量の駆動輪への荷重(車輌荷重)]を超える
と、駆動輪はスリップするが、このスリップの程度を表
わすスリップ率λは駆動輪の周方向速度をVw、車輌の速
度(従動輪の周方向速度)をVとすると、次式(1)に
より求められる。
λ=(Vw−V)/Vw …(1) このスリップ率λによりタイヤと路面との摩擦力(即
ち、駆動輪の駆動力の限界値)は第6図に示すように変
化し、所定値λでこの摩擦力は最大になる。また、こ
のタイヤと路面との摩擦力は車輌の進行方向(縦方向)
の摩擦力であるが、横方向の摩擦力(横力)は同図中点
線で示すようにスリップ率λが大きいほど低下する。
この点に基づいて、タイヤと路面との縦方向の摩擦力を
最大として車輌の駆動効率を最大にし、また、タイヤと
路面との横方向の摩擦力の低下を極力抑制して車輌の横
すべりを防止するために、スリップ率λを検出して、こ
れを所定値λに近い値に制御する方法がある。より具
体的には、この方法では、例えば、スリップ率λに対し
車速Vに応じて前記所定値λを含む所定範囲の下限値
λ及び上限値λを設定し、駆動輪速度Vwと車速Vと
から求めたスリップ率λの値に応じて駆動輪トルク制御
装置により駆動輪のトルクを制御し駆動輪の周方向速度
Vwを制御して、駆動輪のスリップ率λを前記所定範囲λ
〜λ内にフィードバック制御するようにしている。
更に、本出願人は、前記式(1)に基づいて算出された
スリップ率λの変化量を算出し、該変化量が制御基
準値より大きいか否かに応じて駆動輪のスリップを制御
(微分制御)し、スリップ制御の応答性を向上させるよ
うにした方法を先に提案した(特願昭61−046948乃至04
6950号)。この方法では、スリップ率変化量の制御基
準値は一定値に保持されるか又は変速機のギヤ比に応じ
て変えられるものである。
一方、上述の方法において、駆動輪のトルク即ち駆動力
を減衰するために前記駆動輪トルク制御装置としてエン
ジン回転に同期して作動する燃料供給制御装置により燃
料供給遮断を行なっている。従って、制御周期はエンジ
ン回転数が高いときに短く、低いときに長くなってしま
うので、下記のような問題が生じた。車輌が高速走行状
態のときは、エンジンは一般には高回転であるが、この
場合にスリップ率変化量の制御基準値が小さく、即ち
微分制御の応答性が高いと、部分的に凍結した路面上で
の瞬間的なスリップや凹凸路での車輪のジャンプ等の外
乱に対し、短かい周期で微分制御が実行され、過剰な制
御が行なわれてしまう。
一方、車輌が低速走行状態のときは、エンジンは一般に
は低回転であるので、制御周期は長く、スリップ率変化
量の制御基準値が大きいと、燃料供給のオンオフ周期
が非常に長くなり、これにより人体に不快感をもたらす
低周波数の振動が生じてしまう。また、この低周波数
は、エンジンと駆動軸との間の固有振動数、サスペンシ
ョンの固有振動数、排気管の固有振動数等にも近く、こ
れらと共振を起こし、車体の振動が大きくなる原因をも
成す。
(発明の目的) 本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、微分制御
により応答性の高い制御を行なうものでありながら、車
輌の高速走行状態時のスリップの過剰な制御及び低速走
行状態の車体の大きな振動の発生を防止するようにした
車輌の駆動輪のスリップ制御方法を提供することを目的
とする。
(発明の構成) 上記目的を達成するために、本発明においては、車輌の
駆動輪の速度及び従動輪の速度を検出し、該駆動輪の速
度及び従動輪の速度の偏差に基づいて過剰スリップを検
出し、該過剰スリップを検出したとき、前記駆動輪の駆
動力の減衰を行なって該駆動輪のスリップを制限する車
輌の駆動輪のスリップ制御方法において、前記偏差に基
づいた駆動輪のスリップ率の変化量を算出し、前記車輌
の速度に応じてスリップ率の変化量の基準値を車輌の速
度の増加にともなって大きく設定し、該基準値と前記算
出したスリップ率の変化量とに基づいて駆動輪のスリッ
プを制御することを特徴とする車輌の駆動輪のスリップ
制御方法が提供される。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第1図は本発明の車輌の駆動輪のスリップ制御方法を適
用した車輌1を示し、該車輌1は例えば前輪駆動式のも
ので、前輪11,12はエンジン31によって駆動される駆動
輪となっており、後輪13,14は従動輪となっている。
(尚、以下の説明により明らかなように本発明は後輪駆
動式の車輌にもまったく同様に適用することができ
る。)前記駆動輪11,12及び従動輪13,14には駆動輪速度
センサ21,22及び従動輪速度センサ23,24が夫々備えられ
ており、前記駆動輪速度センサ21,22により左右の駆動
輪速度ωFLFRが検出され、また、前記従動輪速度セ
ンサ23,24により左右の従動輪速度ωRLRRが検出さ
れ、これらの検出信号はECU35に入力される。ECU35は、
まず、従動輪速度ωRLRRの平均値(ωRL+ωRR)/2
によって車速Vを求める。そして、車速Vが所定速度 (例えば5km/h)より低いときは、速度の低い方の駆動
輪のスリップを制御する(ローセレクト)。即ち、駆動
輪速度ωFLFRのうち低い方を前記式(1)における
駆動輪速度Vwに相当するω値とする。
また、車速Vが前記所定速度 より高いときは、速度の高い方の駆動輪のスリップを制
御する(ハイセレクト)。即ち、駆動輪速度ωFLFR
のうち高い方を前記式(1)における駆動輪速度Vwに相
当するω値とする。
上記したローセレクト及びハイセレクトのいずれの制御
においても、従動輪のωRLRRのうち制御の対象とな
っている駆動輪と同じ側の従動輪の速度を前記式(1)
における車速Vに代わるω値とする。従って、スリッ
プ率λは次式(2)により求められる。
更に、ECU35はスリップ率λの変化量(微分値)を求
める。尚、この変化量はディジタル制御においては演
算処理サイクル毎の差分で代用する。
また、エンジン31と駆動輪11,12との間に介装されたク
ラッチ15及び変速機16には夫々図示しないセンサが備え
られており、これらのセンサからのクラッチ信号及び変
速機信号はECU35に入力される。ECU35はクラッチ信号に
よりクラッチ15が係合されていると判定したときに、エ
ンジン31を後述する燃料供給制御装置により制御するこ
とにより駆動輪11,12のトルクを制御して該駆動輪11,12
のスリップ率λ(前記式(2)参照)を制御する。より
具体的には、ECU35はスリップ率λに対し車速ωと変
速機信号により検知されるギヤ比とに応じて定められる
スリップ率制御用基準値として、第6図に示す前記所定
値λを含む所定範囲の下限値λ及び上限値λを設
定し、スリップ率の変化量に対し車速ωとギヤ比と
後述する燃料供給制御装置への作動指令から実際に該装
置が作動を始めるまでの制御遅れと前記スリップ率制御
用基準値とに応じて第1及び第2のスリップ率変化量制
御用基準値及び)を設定して、駆
動輪速度ω(ωFLまたはωFR)と、下限値λに対応
して決定される所定速度値VR1及び上限値λに対応し
て決定される所定速度値VR2との差、及びスリップ率の
変化量と第1及び第2の基準値1,との差に応じ
て前記燃料供給制御装置を制御する。即ち、ECU35は以
下の制御則(i)〜(iii)に従って燃料供給制御装置
を制御する。
(i)ω>VR1,かつ>ならばλが小さくなる方
向に制御、例えば燃料カットする(予測制御)。
(ii)ω>VR2ならばλが小さくなる方向に制御、例
えば燃料カットする(過大ストリップ率防止)。
(iii)>ならばが小さくなる方向に制御、例
えば燃料カットする(過大スリップ率速度防止)。
この場合、前記所定速度値VR1及びVR2は、一例として
は、次式(3),(4)によって算出する。
また、他の例としては、VR1及びVR2は車速が高いときは
次式(5),(6)によって算出し、車速が低いときは
一定値Vc1,Vc2に設定するようにしてもよい。
VR1=k1・ω+C1 …(5) VR2=k2・ω+C2 …(6) ここに、k1,k2,C1,C2,D1,D2は、VR1及びVR2をそれぞれ
前記下限値λ及び上限値λに対応した値とするため
の係数及び定数である。
更に、前記スリップ率変化量制御用基準値及び
は次式(7),(8)によって算出する。 =r1・ω+F1 …(7) =r2・ω+F2 …(8) ここに、r1,r2はそれぞれ車速ωに応じた値及び
値を求めるための係数であり、F1,F2はそれぞれ変
速機のギヤ比等に応じて該値及び値を補正する
ための定数である。
上記のようにして、基準値及びは車速が高いと
きは大きく設定され、車速が低いときは小さく設定され
る。これにより、車輌の高速走行状態でのスリップの過
剰な制御、及び低速走行状態での車体の大きな振動の発
生を防止することができる。
尚、前記の制御則(i)及び(iii)の如くスリップ率
λの制御のためにスリップ率λに加えてスリップ率速度
(スリップ率の変化量)を用いるようにしたのは、ス
リップ率λが所定範囲λ〜λ内にあってもスリップ
率速度が大きい場合等はスリップ率λが所定範囲λ
〜λから外れていくことが予測されるので、これに対
応した予測制御等を行ってスリップ率λの制御の応答性
の向上を図るためである。
第2図は前記燃料供給制御装置の全体構成図であり、符
号31は例えば4気筒の内燃エンジンを示し、エンジン31
には吸気管32が接続されている。吸気管32の途中にはス
ロットルボディ33が設けられ、内部にスロットル弁33′
が設けられている。スロットル弁33′にはスロットル弁
開度(θTH)センサ34が連設されてスロットル弁33′の
弁開度を電気的信号に変換し電子コントロールユニット
(以下「ECU」という)35に送るようにされている。
吸気管32のエンジン31及びスロットルボディ33間には各
気筒毎に、各気筒の吸気弁(図示せず)の少し上流に夫
々燃料噴射弁36が設けられている。燃料噴射弁36は図示
しない燃料ポンプに接続されていると共にECU35に電気
的に接続されており、ECU35からの信号によって燃料噴
射弁36の開弁時間が制御される。
一方、前記スロットルボディ33のスロットル弁33′の下
流には管37を介して絶対圧 センサ38が設けられており、この絶対圧センサ38によっ
て電気的信号に変換された絶対圧信号は前記ECU35に送
られる。
エンジン31本体にはエンジン冷却水温センサ(以下「Tw
センサ」という)39が設けられ、Twセンサ39はサーミス
タ等からなり、冷却水が充満したエンジン気筒周壁内に
挿着されて、その検出水温信号をECU35に供給する。エ
ンジン回転数センサ(以下「Neセンサ」という)40がエ
ンジンの図示しないカム軸周囲又はクランク軸周囲に取
り付けられており、Neセンサ40はエンジンのクランク軸
180゜回転毎に所定のクランク角度位置で、即ち、各気
筒の吸気行程開始時の上死点(TDC)に関し所定クラン
ク角度前のクランク角度位置でクランク角度位置信号
(以下「TDC信号」という)を出力するものであり、こ
のTDC信号はECU35に送られる。
エンジン31の排気管41には三元触媒42が配置され排気ガ
ス中のHC,CO,NOx成分の浄化作用を行う。この三元触媒4
2の上流側にはO2センサ43が排気管41に挿着され、この
センサ43は排気中の酸素濃度を検出し、O2濃度信号をEC
U35に供給する。
更に、ECU35には前記駆動輪速度センサ21,22、前記従動
輪速度センサ23,24、並びに他のパラメータセンサ44、
例えばクラッチ15の係合状態を検出するセンサや変速機
16のギヤ比を検出するセンサが接続されており、他のパ
ラメータセンサ44はその検出値信号をECU35に供給す
る。
ECU35は各種センサ(前記駆動輪速度センサ21,22、前記
従動輪速度センサ23,24、前記クラッチ15のセンサ及び
前記変速機16のセンサを含む)からの入力信号波形を整
形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号
値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回
路35a、中央演算処理回路(以下「CPU」という)35b,CP
U35bで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を
記憶する記憶手段35c、及び前記燃料噴射弁36に駆動信
号を供給する出力回路35d等から構成される。
CPU35bは前記TDC信号が入力する毎に入力回路35aを介し
て供給された前述の各種センサからのエンジンパラメー
タ信号に基づいて、次式で与えられる燃料噴射弁36の燃
料噴射時間 を算出する。
ここに、Tiは燃料噴射弁36の噴射時間の基準値であり、
エンジン回転数Neと吸気管内絶対圧 に応じて決定される。
K1及びK2は夫々前述の各センサからのエンジンパラメー
タ信号によりエンジン運転状態に応じた始動特性、排気
ガス特性、燃費特性、加速特性等の諸特性が最適なもの
となるように所定の演算式に基づいて算出される補正係
数及び補正変数である。
CPU35bは上述のようにして求めた燃料噴射時間 に基づいて燃料噴射弁36を開弁させる駆動信号を出力回
路35dを介して燃料噴射弁36に供給する。
第3図は本発明に係る車輌の駆動輪のスリップ制御プロ
グラムのフローチャートであり、これはCPU35bにより所
定タイマ周期毎に実行される。
まず、ステップ1では、左右の駆動輪11,12の速度ωFL,
ωFR及び左右の従動輪13,14の速度ωRLRRを読込む。
次に、ステップ2で、左右の従動輪速度ωRLRRの平
均値により車速V=(ωRL+ωRR)/2を算出する。
次のステップ3では、車速Vが下限値 より低いか否かを判別し、この答が肯定(Yes)であれ
ば、車輌は極低速であるので、極低速フラグFLを1にセ
ットし(ステップ4)、次のステップ5へ進む。
ステップ5では、左右の駆動輪11,12の速度差|ωFL
ωFR|が所定値Δωより大きいか否かを判別し、この
答が肯定(Yes)であれば、片側の駆動輪のみが過剰に
空転している状態なので、これを防止するためフューエ
ルカットフラグFCを1にセットし、本プログラムを終了
する。
ステップ5の判別結果が否定(No)のときは、フューエ
ルカットフラグFCを0にリセットし(ステップ6)、後
述するステップ9以下に進む。また、ステップ3の判別
結果が否定(No)のときは、極低速フラグFLを0にリセ
ットし(ステップ7)、ステップ9以下に進む。
ステップ9では、左右の駆動輪速度ωFLFRのうちの
いずれかが大きいか(例えばωFR>ωFLか否か)を判別
する。ステップ9の判別の結果は駆動輪ハイフラグFF
記憶させておく(ステップ10又は11)。この駆動輪ハイ
フラグFFは、例えば右側の駆動輪速度ωFRの方が大きい
ときに1に、左側の駆動輪速度ωFLの方が大きいときに
0にそれぞれセットされる。
次のステップ12では、前記極低速フラグFLが1にセット
されているか否かを判別し、この答が肯定(Yes)であ
れば、駆動輪の速度のうち低い方及びその速度の低い駆
動輪と同じ側の従動輪の速度をスリップ率λの算出に要
いるようにし(ローセレクト)、これによりスリップの
小さい方の駆動輪のトルクを制御するようにする(ステ
ップ13乃至17)。即ち、ステップ13では、駆動輪ハイフ
ラグFFが1(右)にセットされているか否かを判別し、
その答が肯定(Yes)であれば、ω値及びω値とし
て、フラグFFが示す側と反対の側である左の駆動輪速度
ωFL及び左の従動輪速度ωRLをそれぞれ設定する(ステ
ップ14,15)。また、ステップ13の答が否定(No)であ
れば、ω値及びω値としてフラグFFが示す側と反対
の側である右の駆動輪速度ωFR及び右の従動輪速度ωRR
をそれぞれ設定する(ステップ16,17)。
一方、ステップ12の判別結果が否定(No)であれば、駆
動輪の速度のうち高い方及びその速度の高い駆動輪と同
じ側の従動輪の速度をスリップ率λの算出に用いるよう
にし(ハイセレクト)、これによりスリップの大きい方
の駆動輪のトルクを制御するようにする(ステップ18乃
至22)。即ち、ステップ18では、駆動輪ハイフラグFF
1(右)にセットされているか否かを判別し、その答が
肯定(Yes)であれば、ω値及びω値としてフラグF
Fが示す右の駆動輪速度ωFR及び右の従動輪速度ωRR
それぞれ設定する(ステップ19,20)。また、ステップ1
8の答が否定(No)であれば、ω値及びω値として
フラグFFが示す左の駆動輪速度ωFL及び左の従動輪速度
ωRLをそれぞれ設定する(ステップ21,22)。
その後、ステップ23で前述のように設定されたω値及
びω値より今回ループ時のスリップ率λn=(ω
ω)/ωを算出する。次に、ステップ24で今回ルー
プ時のスリップ率λnと前回ループ時のλn-1との差分
からスリップ率微分値nを求める。
ステップ25,26及び27では前述した過剰スリップ率速度
防止制御処理を行う。即ち、スリップ率変化量nが基
準値=r2・ω+F2より大きいか否かを判別し(ス
テップ25)、その答が肯定(Yes)であれば、フューエ
ルカットフラグFCを1にセットして(ステップ26)、本
プログラムを終了する。ステップ25の答が否定(No)の
ときは、フラグFCを0にリセットして(ステップ27)、
次のステップ28へ進む。
ステップ28,29及び30では前述したスリップ予測制御処
理を行う。即ち、スリップ率変化量nが基準値=r1
・ω+F1より大きいか否かを判別し(ステップ28)、
この答が肯定(Yes)であれば、制御の対象となってい
る駆動輪の速度ωが所定速度値VR1=k1・ω+C1+D
1より大きいか否かを判別し(ステップ29)、この
答も肯定(Yes)であれば、フューエルカットフラグFC
を1にセットして(ステップ30)、本プログラムを終了
する。尚、ステップ29の判別は第5図のステップ290,29
1,292及び293の判別と置き換えてもよい。この場合、所
定速度値VR1=k1・ω+C1が基準値Vc1(例えば5km/
h)より大きいか否かを判別し(ステップ290)、その答
が肯定(Yes)であれば、ωREF値として所定速度値VR1
=k1・ω+C1を設定し(ステップ291)、否定(No)
であれば、ωREF値として基準値Vc1を設定し(ステップ
292)、その後、制御の対象となっている駆動輪の速度
ωがωREF値より大きいか否かを判別する(ステップ2
93)。ステップ28または29のいずれかの判別結果が否定
(No)のときは、次のステップ31へ進む。
ステップ31,32及び33では前述した過大スリップ率防止
制御処理を行う。即ち、制御の対象となっている駆動輪
の速度ωが所定速度値VR2=k2・ω+C2+D2
り大きいか否かを判別し(ステップ31)、この答が肯定
(Yes)であれば、フューエルカットフラグFCを1にセ
ットして(ステップ32)、本プログラムを終了する。
尚、ステップ31の判別も第5図のステップ290,291,292
及び293の判別と同様の判別で置き換えてもよい。この
場合、K1,C1,Vc1の定数がk2,C2,Vc2の定数に置き変わる
ことはもちろんである。ステップ31の答が否定(No)の
ときは、フラグFCを0にリセットして(ステップ33)、
本プログラムを終了する。
一方、第4図は燃料供給制御プログラムのフローチャー
トであり、これはCPU35bによりTDC信号の発生毎に実行
されるものである。このプログラムは第3図のプログラ
ムに優先して実行されるものであり、即ち第3図のプロ
グラムの処理の途中に割込んで実行される。
まず、ステップ41では、第3図のプログラムでセット及
びリセットされるフューエルカットフラグFCが1にセッ
トされているか否かを判別する。この判別の答が肯定
(Yes)であれば、フューエルカットが実行されるべき
であることを意味するので、直ちに本プログラムを終了
する。ステップ41の答が否定(No)のときは、燃料噴射
弁の開弁時間 を演算し(ステップ41)、該 値に応じた開弁駆動信号の出力を行い(ステップ42)、
本プログラムを終了する。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明の車輛の駆動輪のスリップ
制御方法は、車輌の駆動輪の速度及び従動輪の速度を検
出し、該駆動輪の速度及び従動輪の速度の偏差に基づい
て過剰スリップを検出し、該過剰スリップを検出したと
き、前記駆動輪の駆動力の減衰を行なって該駆動輪のス
リップを制限する車輌の駆動輪のスリップ制御方法にお
いて、前記偏差に基づいた駆動輪のスリップ率の変化量
を算出し、前記車輌の速度に応じてスリップ率の変化量
の基準値を車輌の速度の増加にともなって大きく設定
し、該基準値と前記算出したスリップ率の変化量とに基
づいて駆動輪のスリップを制御するようにしたので、微
分制御により応答性の高い制御を行なうものでありなが
ら、車輌の高速走行状態での過剰な制御及び低速走行状
態での車体の大きな振動の発生を防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の車輌の駆動輪のスリップ制御方法を適
用した車輌の構成図、第2図は駆動輪トルク制御装置で
ある燃料供給制御装置の構成図、第3図はECU35内で実
行されるスリップ制御プログラムのフローチャート、第
4図は燃料供給制御プログラムのフローチャート、第5
図は第3図のステップ29の判別の他の例を示すフローチ
ャート、第6図はタイヤと路面との摩擦力のスリップ率
に対する特性図である。 11,12……駆動輪、13,14……従動輪、15……クラッチ、
16……変速機、21,22……駆動輪速度センサ、23,24……
従動輪速度センサ、31……エンジン、35……ECU(駆動
輪トルク制御装置)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−104428(JP,A) 特開 昭60−121129(JP,A) 実開 昭57−138770(JP,U) 特公 昭56−22736(JP,B2)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輌の駆動輪の速度及び従動輪の速度を検
    出し、該駆動輪の速度及び従動輪の速度の偏差に基づい
    て過剰スリップを検出し、該過剰スリップを検出したと
    き、前記駆動輪の駆動力の減衰を行なって該駆動輪のス
    リップを制限する車輌の駆動輪のスリップ制御方法にお
    いて、前記偏差に基づいた駆動輪のスリップ率の変化量
    を算出し、前記車輌の速度に応じてスリップ率の変化量
    の基準値を車輌の速度の増加にともなって大きく設定
    し、該基準値と前記算出したスリップ率の変化量とに基
    づいて駆動輪のスリップを制御することを特徴とする車
    輌の駆動輪のスリップ制御方法。
  2. 【請求項2】前記算出したスリップ率の変化量が前記基
    準値を超えたとき、前記駆動輪の駆動力の減衰を行うこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の車輌の駆動
    輪のスリップ制御方法。
  3. 【請求項3】前記駆動力の減衰はエンジンの燃焼を停止
    することにより行うことを特徴とする特許請求の範囲第
    1項又は第2項記載の車輌の駆動輪のスリップ制御方
    法。
  4. 【請求項4】前記エンジンの燃焼の停止は燃料供給を遮
    断することにより行うことを特徴とする特許請求の範囲
    第3項記載の車輌の駆動輪のスリップ制御方法。
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