JPH07133464A - フッ素ゴム用表面処理液及びこれを用いた処理方法並びにこの表面処理液で表面処理されたフッ素ゴム成型体 - Google Patents

フッ素ゴム用表面処理液及びこれを用いた処理方法並びにこの表面処理液で表面処理されたフッ素ゴム成型体

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JPH07133464A
JPH07133464A JP30486293A JP30486293A JPH07133464A JP H07133464 A JPH07133464 A JP H07133464A JP 30486293 A JP30486293 A JP 30486293A JP 30486293 A JP30486293 A JP 30486293A JP H07133464 A JPH07133464 A JP H07133464A
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JP
Japan
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fluororubber
treatment liquid
amino group
same
treated
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JP30486293A
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English (en)
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Yasuhisa Osawa
康久 大沢
Masaaki Matsumura
正章 松村
Mikio Iino
幹夫 飯野
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 (A)分子中に少なくとも1個のアミノ基を
有し、アミノ基当量が20,000以下であるオルガノ
シラン又はオルガノポリシロキサンと、(B)上記
(A)成分を溶解することが可能な有機溶剤、好ましく
はフッ素ゴム成型体を25℃で24時間浸漬したときの
体積増加率が20%以下である有機溶剤とからなり、
(A)成分と(B)成分の体積比が1:99〜99:1
であるフッ素ゴム用表面処理液にフッ素ゴム成型体を浸
漬して該フッ素ゴム成型体表面に被膜を形成し、該被膜
から有機溶剤を除去し、80〜300℃で上記被膜を加
熱処理し、表面処理されたフッ素ゴム成型体を得る。 【効果】 簡単な表面処理によってフッ素ゴム成型体表
面にオルガノシラン又はオルガノポリシロキサン被膜を
形成することができることから、フッ素ゴムの二次成型
の際のブロッキング及び製品のブロッキングを防止する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フッ素ゴム成型体の表
面粘着性を低下させるために用いる表面処理液及びこの
処理液を用いたフッ素ゴムの処理方法並びにこの処理液
で表面処理されたフッ素ゴム成型体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】フッ素
ゴムは、耐熱性及び耐薬品性等に優れているため、従来
から、高温の気体の吸排気系に使用するダクト用のガス
ケット、高温液体もしくは薬品の移送系において使用す
る配管用のパッキングやホースの材料として用いられて
いる。
【0003】しかしながら、フッ素ゴムはそれ自身が粘
着性を有するため、フッ素ゴムを成型加工したパッキン
グやガスケット(以下、フッ素ゴムパッキング等と略
す)も粘着性を有することになり、このためこれらのパ
ッキング等を配管の継ぎ手などに装着する際の作業性が
劣るという問題点がある。
【0004】フッ素ゴムをパッキング等に成型加工する
場合、フッ素ゴムを型に入れて加熱し、一次架橋するこ
とにより硬化させて成型品とする方法が採用されてい
る。この場合、フッ素ゴム自身が粘着性を有するため
に、成型品に固着したバリを剥がすことが困難であるの
みならず、該成型品を二次架橋して更に硬化させる場
合、成型品同士が接着したり、成型品(製品)を梱包し
て出荷する際に、製品同士が接着するというブロッキン
グが生じたりするため、フッ素ゴムパッキング等の製品
供給効率が劣ることになり、製造コストが上昇するとい
う問題がある。
【0005】また、フッ素ゴムパッキング等は粘着性を
有するため、パッキング等の装着を自動化或いはロボッ
ト化することが困難であり、このためパッキング等の装
着コストが上昇するという問題がある。
【0006】そこで、フッ素ゴム成型品の表面の粘着性
を防止する方法として、成型品の表面にフッ素樹脂をコ
ーティングする方法が実用化されているが、この方法は
フッ素樹脂のコーティングむらを生じさせる場合がある
ので、成型品に安定した粘着性防止効果を付与すること
ができないのみならず、コーティング工程を必要とする
ので成型品の加工効率を低下させる結果となり、成型コ
ストが上昇するという問題がある。
【0007】また、硫酸、ハロゲン化物又は第二級アミ
ン化合物等の化学物質によりフッ素ゴム成型品の表面を
処理し、表面粘着性を防止するという化学的処理方法も
試みられているが、安定した表面粘着性防止効果を成型
品に付与することができない上、化学物質を取り扱うの
で、化学物質の貯蔵装置や廃液等の処理或いは安全衛生
管理等を必要とするために実用化が困難であるという問
題がある。
【0008】一方、ポリヒドロキシ化合物を用いてフッ
素ゴム成型品の表面を処理することにより、成型品の粘
着性を防止する方法(特開昭63−291930号公
報)が提案されており、良好な結果を得ている。この方
法は、フッ素ゴムの架橋剤として用いられるポリヒドロ
キシ化合物と促進剤を有機溶媒に溶解した溶液に成型品
を浸漬した後、該成型品を加熱することにより表面粘着
性を消失させるという方法である。即ち、ポリヒドロキ
シ化合物によって成型品の表面のフッ素ゴムの架橋が促
進されるため、成型品の極く表面層のみが硬化し、この
ことにより表面粘着性が消失するという効果を有するも
のである。
【0009】しかしながら、上記ポリヒドロキシ化合物
を用いる方法においては、成型品の極く表面層のみの架
橋が促進されるようにする制御が困難であるため、成型
品の内部まで硬化してしまい、このためフッ素ゴム成型
品の弾性を維持しながら表面粘着性を防止するという目
的を達成できない場合が生じ易い。従って、シールなど
に用いるために表面の弾性が要求されるパッキング等に
上記処理方法を適用することは必ずしも適切ではない。
【0010】フッ素ゴム成型品の表面粘着性を防止する
方法として、シリコーン系内添剤やテトラフルオロエチ
レンの粉末をフッ素ゴムに添加混練する方法もあるが、
この方法はフッ素ゴム本来の耐熱性や耐薬品性を損なう
という問題がある。
【0011】また、フッ素ゴムは耐熱性や耐薬品性に優
れるため、複写機の定着ロールとしてフッ素ゴムで形成
したものが使用されているが、フッ素ゴムはトナーに対
しても粘着性を示すため、ロール上で溶融したトナーが
紙に転写されずにロール表面に残るため、複写された画
像が不鮮明になったり、定着ロールが汚染されるという
問題がある。
【0012】そこで、離型剤としてフッ素ゴムと親和性
の高いシリコーンオイルを用いる方法が工業化され、例
えば変性シリコーンオイルの供給システムや複写コスト
の観点からフッ素ゴムロール表面に極性溶媒と脱フッ化
水素化剤を用いてシリコーン離型性被膜を形成させる方
法が提案されている(特開平4−308879号公
報)。この方法はフッ素ゴム表面を薬品により脱フッ化
水素化した後、官能基を有するシリコーンオイルをグラ
フト化することにより、離型性被膜を形成する方法であ
るが、脱フッ化水素化剤が必要不可欠なものであるた
め、工業的には安全面での注意が必要であると共に、安
定した品質を維持するのが困難である。また、シリコー
ンオイルのグラフト化反応を進めるにあたり、極性溶剤
を用いてフッ素ゴムを膨潤させるため、フッ素ゴム本来
の機械的強度が低下すると共に、寸法精度への悪影響も
あるという問題がある。
【0013】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
フッ素ゴムの持つ特性を維持しながらフッ素ゴムの粘着
性を低下させることができるフッ素ゴム表面処理液及び
これを用いた処理方法並びにこの表面処理液で表面処理
されたフッ素ゴム成型体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は上記
目的を達成するため鋭意検討を行った結果、分子中に少
なくとも1個のアミノ基を有し、アミノ基当量が20,
000以下であるオルガノシラン又はオルガノポリシロ
キサンとこれらを溶解することが可能な有機溶剤、好ま
しくはフッ素ゴム成型体を25℃で24時間浸漬したと
きの体積増加率が20%以下である有機溶剤とを体積比
1:99〜99:1で混合したフッ素ゴム用表面処理液
でフッ素ゴム成型体の表面を処理した場合、フッ素ゴム
の持つ特性を維持しながらフッ素ゴムの粘着性を低下さ
せ得ることを見い出した。即ち、フッ素ゴムのアミンに
対する反応性及びオルガノシラン又はオルガノポリシロ
キサンの非粘着性を利用して該オルガノシラン又はオル
ガノポリシロキサンの被膜をフッ素ゴム表面に形成する
ことにより、フッ素ゴムの粘着性を低下させることがで
き、また、オルガノシラン又はオルガノポリシロキサン
を溶解させる有機溶剤として特にフッ素ゴムを膨潤させ
ることが少ない溶剤を用いることにより、処理工程の効
率化と被膜の均一化を計ることができるため、成型品の
寸法精度や物理的特性を維持したまま良好な非粘着層を
形成することができることを知見し、本発明をなすに至
ったものである。
【0015】従って、本発明は、(A)分子中に少なく
とも1個のアミノ基を有し、アミノ基当量が20,00
0以下であるオルガノシラン又はオルガノポリシロキサ
ンと、(B)上記(A)成分を溶解することが可能な有
機溶剤とからなり、(A)成分と(B)成分の体積比が
1:99〜99:1であるフッ素ゴム用表面処理液、上
記(B)成分として、フッ素ゴム成型体を25℃で24
時間浸漬したときの体積増加率が20%以下である有機
溶剤を用いることを特徴とする上記表面処理液、上記表
面処理液にフッ素ゴム成型体を浸漬して該フッ素ゴム成
型体表面に被膜を形成し、その後80〜300℃で上記
被膜を加熱処理することを特徴とするフッ素ゴムの表面
処理方法、及び上記表面処理液で表面処理されたフッ素
ゴム成型体を提供する。
【0016】以下、本発明を更に詳しく説明すると、本
発明のフッ素ゴム用表面処理液は、(A)分子中に少な
くとも1個のアミノ基を有し、アミノ基当量が20,0
00以下であるオルガノシラン又はオルガノポリシロキ
サンと、(B)上記(A)成分を溶解することが可能な
有機溶剤とからなり、(A)成分と(B)成分の体積比
を1:99〜99:1としたものである。
【0017】ここで、上記オルガノシラン及びオルガノ
ポリシロキサンは分子中に少なくとも1個のアミノ基を
有し、アミノ基当量が20,000以下のものである
が、オルガノシランとして具体的には下記式(1)で示
すものが挙げられ、オルガノポリシロキサンとしては下
記式(2)で示すものが挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】式中、R1〜R6は、水素原子、ハロゲン原
子、水酸基、又はアルキル基,アルケニル基,アリール
基,アラルキル基等の一価炭化水素基やこれらの一価炭
化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子など
で置換した置換一価炭化水素基、アルコキシ基、エポキ
シ基含有一価炭化水素基、アミノ基含有一価炭化水素基
等の炭素数1〜20、特に1〜10の一価の有機基、具
体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル
基、ビニル基、トリフルオロプロピル基、エトキシ基、
メトキシ基などであるが、全R1〜R4の少なくとも1個
はアミノ基含有一価炭化水素基である。かかるアミノ基
含有一価炭化水素基としては、−(CH2kNH2(k
=1〜20)、−(CH2pNH(CH2qNH2(p
=1〜10、q=1〜10)、具体的には−C36NH
2,−C36NH 24NH2が挙げられる。なお、nは
正の整数であり、mは0以上の整数である。
【0020】本発明に用いるオルガノシラン及びオルガ
ノポリシロキサンにおいて、アミノ基含有量が少ない
と、これらとフッ素ゴムとの反応がスムーズに行われな
いため、表面処理層が安定しないことから、アミノ基当
量は小さい方が望ましく、具体的にはアミノ基当量は2
0,000以下であるが、特に10〜10,000であ
るときに反応も迅速かつスムーズに行われ、安定した非
粘着層をフッ素ゴム表面に形成することができる。
【0021】上記オルガノシラン及びオルガノポリシロ
キサンの具体例としては、下記に示すものが挙げられ
る。
【0022】
【化2】
【0023】次に、(B)成分の有機溶剤は上記オルガ
ノシラン及びオルガノポリシロキサンが溶解可能なもの
であればよく、ほとんどの有機溶剤を使用することがで
きる。
【0024】この場合、有機溶剤としてフッ素ゴムが膨
潤し易いものを用いた場合、表面処理を迅速に行うこと
ができるが、その反面、フッ素ゴムの膨潤が寸法の精度
やゴム物性にはマイナス要因になり、一方、フッ素ゴム
が膨潤しにくい有機溶剤を用いた場合、表面処理にやや
時間を有するもののフッ素ゴムの物性を損なうことがな
く、均一で安定な非粘着層を形成することができ、これ
らを適宜考慮し、下記溶剤の1種を単独で又は2種以上
を組合せて使用する。
【0025】ここで、フッ素ゴムが膨潤し易い溶剤とし
ては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、イソホロン、酢酸エチル、酢酸メチル、メタ
ノール、テトラヒドロフラン、ヘキサフルオロメタキシ
レンなどの極性溶剤が挙げられ、特にはケトン系溶剤で
ある。
【0026】また、フッ素ゴムが膨潤しにくい溶剤とし
ては、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレ
ン、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げら
れる。
【0027】本発明において使用可能か否かの判断基準
は、フッ素ゴム種などにより多少異なるが、25℃の有
機溶剤中にフッ素ゴムを24時間放置したときの体積増
加率が20%以下であるものを用いることが望ましい。
【0028】本発明のフッ素ゴム用表面処理液は、上記
(A)成分のオルガノシラン又はオルガノポリシロキサ
ンと(B)成分の有機溶剤とを単に混合させるだけで得
ることができる。この場合、(A)成分と(B)成分の
混合比は体積比で(A)成分1〜99に対して有機溶剤
が99〜1の範囲であるが、好ましくは(A)成分3〜
50に対して(B)成分97〜50の範囲である。
(A)成分の配合量が少ないと非粘着効果が少なく、ま
た、(A)成分の配合量が多過ぎると非粘着層のムラが
発生し易くなり、また、未反応の処理液の除去に手間が
かかってしまう。
【0029】このようにして得られるフッ素ゴム用表面
処理液で表面処理するフッ素ゴムとは、高度にフッ素化
され、弾性を有する共重合体である。このようなフッ素
ゴムの具体例としては、ヘキサフルオロプロペン、ペン
タフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、トリフル
オロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ビニル
フルオライド、パーフルオロ(メチルビニルエーテ
ル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等から
選択される1種又は2種以上とビニルフルオライドとを
共重合させて得られる共重合体などを挙げることができ
る。この中では、特にビニリデンフルオライドとヘキサ
フルオロプロパンの二元共重合体又はビニルデンフルオ
ライドとテトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプ
ロパンの三元共重合体を使用することが好ましい。
【0030】上記フッ素ゴムは、上記共重合体を主成分
とするフッ素ゴム組成物を架橋することによって得るこ
とができる。この際に用いる架橋剤は、特に限定される
ものではなく、通常、フッ素ゴム組成物の成型に用いら
れる公知の架橋剤、例えばアミン類、ポリオール類及び
パーオキサイド類等を挙げることができる。
【0031】なお、上記フッ素ゴム組成物には、必要に
応じて架橋助剤、促進剤、受酸剤、充填剤、可塑剤、潤
滑剤等を適宜配合することができる。
【0032】フッ素ゴムの成型方法は、フッ素ゴム架橋
可能な成型方法であれば特に限定されるものではなく、
金型によるプレス成型、押し出し成型、カレンダー成
型、溶液塗工による成型などの成型方法を採用すること
ができる。また、フッ素ゴムの物性を安定させるために
ポストキュアーを行うこともできる。なお、架橋温度及
び架橋時間は、使用する架橋剤の種類、配合量により、
適宜調整することができる。
【0033】このようにして得られたフッ素ゴム成型体
を上記で得られたフッ素ゴム用表面処理液で表面処理す
るには、表面処理液にフッ素ゴム成型品を浸漬するだけ
でよい。このときの処理液温度はその処理液の沸点以下
であればよく、処理液を特に加熱する必要はない。ま
た、常温でも十分に反応が進行することから浸漬時間も
1秒以上であればよく、工業的には1秒〜2時間程度と
することが望ましい。
【0034】反応速度は有機溶剤の種類を変えることに
よって調整することができ、フッ素ゴムが膨潤し易い溶
剤ほど反応が早くなるので、(B)成分の有機溶剤はフ
ッ素ゴムの用途や製造工程を考慮して選択することが好
ましい。
【0035】上記表面処理液でフッ素ゴム表面に上記オ
ルガノシラン又はオルガノポリシロキサンの被膜を形成
するにあたり、フッ素ゴム表面に処理液を塗布する方法
を採用することもでき、この場合、フッ素ゴム成型体を
膨潤させにくい有機溶剤を用いると、上記表面処理液と
フッ素ゴムとの表面親和性が乏しいため、はじき現象が
発生し、このためフッ素ゴム成型体表面に形成された被
膜が均一なものとはなりにくいので、フッ素ゴム成型体
を膨潤させ易い有機溶剤を用いることが好ましい。
【0036】上記のようにしてフッ素ゴム成型体表面に
形成した被膜を移行のない安定したものとするために、
フッ素ゴムの表面及び内部の溶剤を揮発させて除去した
後、80〜300℃、好ましくは100〜200℃で加
熱処理し、被膜中の未反応物の反応を終了させる。未反
応物をより確実に除去する場合、上記加熱処理の前に被
膜をトルエンなどの溶剤で洗浄することによって未反応
物を除去することが好ましい。
【0037】
【発明の効果】本発明のフッ素ゴム用表面処理液でフッ
素ゴム成型体を表面処理した場合、フッ素ゴムが本来有
する特性を維持したままでフッ素ゴム成型体の粘着性を
低下させることができるため、フッ素ゴムの二次成型の
際のブロッキング及び製品のブロッキングを防止するこ
とができる。また、簡単な表面処理によってフッ素ゴム
成型体表面にオルガノシラン又はオルガノポリシロキサ
ン被膜を形成することができることから、その工業的利
用価値が大きいものである。
【0038】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。実施例の説明に先立ち、実施例で使用する
フッ素ゴムコンパウンドA〜Cの配合例について説明す
る。なお、配合例において部は重量部を示す。
【0039】 [配合例]フッ素ゴムコンパウンドA(アミン系) フッ素ゴム(バイトンB−50,デュポン社製) 100部 MTカーボン(サーマックスMT,ハーバー社製) 10 アミン系架橋剤(ダイアックNo.3,デュポン社製) 3 MgO 15フッ素ゴムコンパウンドB(ポリオール系) フッ素ゴム(フローレル3009,住友スリーエム(株)社製) 100部 MTカーボン(サーマックスMT,ハーバー社製) 10 MgO 3 Ca(OH)2フッ素ゴムコンパウンドC(パーオキサイド系) フッ素ゴム(ダイエルG801,ダイキン工業(株)社製) 100部 MTカーボン(サーマックスMT,ハーバー社製) 10 架橋助剤トリアリルイソシアネート(タイク,日本化成社製) 3 有機過酸化物2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパー オキシ)−ヘキサン(パーヘキサ2−5B,日本油脂(株)社製) 3
【0040】[実施例1、比較例1]下記に示す混合比
(体積比)で処理液1〜6を調製した。処理液1 アセトン 90 アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE903(アミノ基当量 221g/mol),信越化学工業(株)製) 10処理液2 トルエン 90 アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE903,信越化学工業 (株)製) 10処理液3 アセトン 80 アミノ変性シリコーンオイル1(KF393(アミノ基当量360 g/mol),信越化学工業(株)製) 20処理液4 トルエン 80 アミノ変性シリコーンオイル1(同上) 20処理液5 アセトン 80 アミノ変性シリコーンオイル2(KF864(アミノ基当量3,8 00g/mol),信越化学工業(株)製) 20処理液6 トルエン 80 アミノ変性シリコーンオイル2(同上) 20
【0041】上記で得られたフッ素ゴムコンパウンドA
〜Cを金型を用いて170℃で20分間加熱して架橋さ
せ、厚さ2mmのシート状に成型した。このシートを2
30℃で24時間ポストキュアーし、フッ素ゴムシート
A〜Cを得た。これらのフッ素ゴムシートはすべて表面
粘着性を有していた。
【0042】次に、得られたフッ素ゴムシートを処理液
1〜6に常温で30分間浸漬した後、取り出し、室温に
12時間放置して溶剤を揮発させた後、トルエンで被膜
表面を十分に洗浄して未反応のケイ素化合物を除去し、
200℃で1時間の加熱を行って被膜を安定化し、表面
処理フッ素ゴムシートA〜Cを得た。
【0043】このゴムシートに幅18mmのセロファン
粘着テープ(セロテープ,ニチバン社製)を500gの
一定荷重が加わるゴムロールを用いて張り合わせ、18
0度剥離試験を行ってセロファンテープ剥離力(g)を
測定し、表面粘着性の評価を行った。結果を表1に示
す。
【0044】
【表1】
【0045】[実施例2]実施例1と同様のフッ素ゴム
シートB、処理液3〜6を用い、浸漬時間を変化させた
以外は実施例1と同様の操作でフッ素ゴムシートを表面
処理し、実施例1と同様にして表面粘着性を測定した。
結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】[実施例3]実施例1と同様のフッ素ゴム
シートBに処理液3,5をはけ塗りし、1時間放置して
溶剤を完全に除去した後、実施例1と同様にして未反応
物の除去及び被膜の加熱処理を行い、実施例1と同様に
して表面粘着性を測定した。結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】[実施例4、比較例1]実施例1と同様の
フッ素ゴムシートB、処理液6を用い、浸漬時間を2時
間とした以外は実施例1と同様の操作でフッ素ゴムシー
トを表面処理し、実施例1と同様にして表面粘着性を測
定し、硬度(JIS−A)、引っ張り強度、伸びを測定
した(実施例4)。結果を表4に示す。
【0050】また、実施例1と同様のフッ素ゴムシート
Bをアセトン88重量%、ビスフェノールAF10重量
%及びベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド2
重量%からなる処理液に30分間浸漬し、常温で24時
間乾燥させた後、200℃で24時間加熱した。得られ
た表面処理ゴムシートについて実施例4と同様の測定を
行ったところ、表面粘着性は少なかったものの、表4に
併記したように硬さの上昇、伸びの低下が起こり、パッ
キン等の使用に不適のものとなった(比較例)。
【0051】
【表4】
【0052】[比較例2]アミノ基当量22,500の
アミノ変性シリコーンオイル(KF859,信越化学工
業(株)製)を用いて処理液7を調製した。処理液7 トルエン 90 アミノ変性シリコーンオイル(KF859) 10
【0053】この処理液を用いて実施例1と同様にして
フッ素ゴムシートBを処理し、トルエンで被膜表面を洗
浄し、表面処理フッ素ゴムシートを得た。このセロファ
ンテープ剥離力は410gであり、トルエン洗浄により
変性アミノシリコーンが洗い流され、処理効果のないこ
とがわかった。
フロントページの続き (72)発明者 飯野 幹夫 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)分子中に少なくとも1個のアミノ
    基を有し、アミノ基当量が20,000以下であるオル
    ガノシラン又はオルガノポリシロキサンと、(B)上記
    (A)成分を溶解することが可能な有機溶剤とからな
    り、(A)成分と(B)成分の体積比が1:99〜9
    9:1であるフッ素ゴム用表面処理液。
  2. 【請求項2】 上記(B)成分として、フッ素ゴム成型
    体を25℃で24時間浸漬したときの体積増加率が20
    %以下である有機溶剤を用いることを特徴とする請求項
    1記載の表面処理液。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の表面処理液にフッ素ゴム
    成型体を浸漬して該フッ素ゴム成型体表面に被膜を形成
    し、その後80〜300℃で上記被膜を加熱処理するこ
    とを特徴とするフッ素ゴムの表面処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の表面処理液で表面
    処理されたフッ素ゴム成型体。
JP30486293A 1993-11-10 1993-11-10 フッ素ゴム用表面処理液及びこれを用いた処理方法並びにこの表面処理液で表面処理されたフッ素ゴム成型体 Pending JPH07133464A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019151352A1 (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 Spiber株式会社 タンパク質繊維及びその製造方法

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