JPH0713167A - 液晶素子 - Google Patents

液晶素子

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JPH0713167A
JPH0713167A JP6091131A JP9113194A JPH0713167A JP H0713167 A JPH0713167 A JP H0713167A JP 6091131 A JP6091131 A JP 6091131A JP 9113194 A JP9113194 A JP 9113194A JP H0713167 A JPH0713167 A JP H0713167A
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正 三原
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由紀夫 羽生
Shigehisa Hotta
薫央 堀田
Sunao Mori
直 森
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板間隔(セル厚)の変動を防ぐ。 【構成】 互いに対向する一対の電極を有する基板11
a、11bと、該一対の電極間に配したカイラルスメク
チック液晶(15)とを具え、有効光学変調領域とその
外側の周辺領域とを含む液晶素子において、該周辺領域
の液晶分子のプレチルト角(α2)が該有効光学変調領
域のプレチルト角(α1)より大きいことを特徴とす
る。 【作用】 高プレチルトの周辺領域が液晶分子の高密度
化を妨げる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、テレビ受像機、ビデオ
カメラのビューファインダー、コンピュータの端末用モ
ニターなどに用いられる表示素子あるいは液晶プリンタ
ーやプロジェクターなどに用いられる光バルブ(光シャ
ッター)に採用され得る液晶素子に関する。
【0002】
【背景技術の説明】比較的低コストで製造できるものと
してTN液晶を用いたパッシブマトリクス駆動方式の液
晶表示素子が知られている。この素子は、クロストーク
やコントラストの点で限界があり、TN液晶を用いたパ
ッシブマトリクス駆動方式の液晶表示素子は、高密度配
線数の表示素子、例えば液晶テレビジョンパネルなどに
適したものとは言い難い。
【0003】この様な従来のTN液晶が持つ根本的な問
題を解決するものとして、クラークとラガヴァルに付与
された米国特許第4,367,924号の明細書に記載
されている様な、双安定性を有する強誘電性液晶素子が
知られている。この強誘電性液晶素子は使用状態におい
てカイラルスメクチックC相(SmC* )またはH相
(SmH)などのカイラルスメクチック相を呈するスメ
クチック液晶が用いられている。この液晶は理想的には
2つの双安定状態のいずれかに安定しようとして、中間
的な分子位置を取りにくい。
【0004】また、この型の液晶は加えられた電界に応
答して、極めて速やかに上記2つの安定状態)* のいず
れかをとり、且つ電界の印加のないときはその状態を維
持する特質を有するこのような性質を有する強誘電性液
晶を利用して液晶素子を構成すれば、従来のTN型素子
が視野角特性が悪いというような多くの問題点に対し
て、かなり本質的な改善がなされてきた。
【0005】そして、後述するようにこの液晶素子は、
印加電界の下で分子が基板の面方向に移動することがあ
る。このような移動により液晶素子のセル厚(液晶材料
を挟む基板間隔)が変動し、画面内が黄色に着色付いて
みえる「黄変」という現象が生じる。このような現象
は、表示に限らず、光学変調を行う素子すべてにおいて
は光学特性の劣化として信頼性を落とす原因になる。
【0006】これに対して、液晶分子の移動を防止すべ
く基板内面を粗面化する技術が、1992年12月10
日に出願番号988,830号として米国に特許出願さ
れた明細書に記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする技術課題】しかしながら、上
述した粗面化する技術によっても液晶分子の移動を防ぐ
には不十分であった。なぜなら、粗面化は力学的に液晶
分子の移動を止めようとする思想の技術であるために、
汎用性の点で改善すべき点があった。例えば、それは、
液晶によっては粗面化しない方が良質の配向状態となり
易いものもあるということである。
【0008】また、文字の編集に用いる様な通常の表示
パターンでは問題がないが、ある特殊なグラフィック表
示パターンの場合には黄変が生じ易くなることもあっ
た。
【0009】
【技術課題を解決する手段】本発明は、上記技術課題に
鑑みなされたものであり、簡単な構成でセル厚の変動の
生じにくい液晶素子及びそれを用いた装置を提供するこ
とを目的とする。
【0010】本発明の別の目的は、液晶分子の移動現象
が生じても、実質的にセル厚の変動が生じにくい液晶素
子及びそれを用いた装置を提供することにある。
【0011】本発明の更に別の目的は、いかなる液晶材
料やいかなる駆動方法が採用されても、セル厚の変動が
生じにくい汎用性に優れた液晶素子及びそれを用いた装
置を提供することにある。
【0012】更に、本発明の他の目的は、光学特性劣化
のない信頼性の高い液晶素子及びそれを用いた装置を提
供することにある。
【0013】上述した技術課題を解決し上記目的を達成
する手段は、互いに対向する一対の電極を有する基板
と、該一対の電極間に配したカイラルスメクチック液晶
とを具え、有効光学変調領域とその外側の周辺領域とを
含む液晶素子において、該周辺領域の液晶分子のプレチ
ルト角が該有効光学変調領域のプレチルト角より大きい
ことを特徴とする液晶素子である。
【0014】そして、以下の付加的手段を加味すること
で、よりその効果が高まるのである。その1つは、一対
の基板のうち少なくとも一方の内面が粗面化されている
ことである。
【0015】また、前記有効光学変調領域の液晶分子の
プレチルト角を10度以上と高プレチルトとするか、5
度以下と低プレチルトとすることが好ましい。
【0016】そして、周辺領域のうち第1領域の液晶分
子のプレチルト角は該有効光学変調領域のプレチルト角
とほぼ同じとして、第1領域より外側の第2領域の液晶
分子のプレチルト角を該有効光学変調領域のプレチルト
角より大きくすることが好ましい。
【0017】更には、前記基板間に複数の接着剤とスペ
ーサとを介在させることが好ましい。
【0018】また、前記電極に、基準電位に対して双極
性のパルスを含む駆動信号を印加して駆動することが好
ましい。
【0019】そして該周辺領域には遮光部材を設けられ
ていることも好ましいものである。
【0020】
【作用】本発明者らは、有効光学変調領域の外側の周辺
領域を高プレチルト状態に配向させることで、該周辺領
域の液晶分子が移動しやすいようにして、有効光学変調
領域での液晶分子の高密度化を緩衝できることを見出し
た。また同様にして液晶分子の低密度部分に周辺領域か
ら液晶を移動させ得ることも見出した。
【0021】こうして、今までの液晶分子の移動を妨げ
るだけの技術とは逆に、本発明では液晶分子の移動を積
極的に利用してセル厚の変動を防止し黄変を防止でき
る。
【0022】つまり、本発明によれば、従来ではセル厚
の変化を生じていたような液晶材料や駆動方法を採用し
ても黄変が生じ難くなり、従来ではセル厚の変化を生じ
てしまっていたような表示パターンを表示しても黄変が
生じ難くなる。
【0023】
【実施例】
(好適な実施態様の説明)本発明の液晶素子は、あらゆ
る光変調型のものに用いられるが、好ましくは、各画素
の光の透過率を2値あるいは多値に制御出来る光シャッ
タ、光バルブと云った光変調型に好ましく用いられる。
また、画素のアドレスの方法も、マトリクス電極による
マルチプレクス方式あるいは光導電膜を用いた光アドレ
ス方式のいずれにも採用出来る。
【0024】図1は、本発明の好適な実施態様による液
晶素子の模式図であり、(a)はその上面を、(b)は
そのAA′線による断面を示し、夫々本発明を理解し易
いように模式的に描いている。
【0025】11a、11bは液晶パネルとなる液晶セ
ル1を構成するための上下基板であり不図示の電極を備
えている。
【0026】3a、3bは周辺領域に設けられ、高プレ
チルト角を得るための配向制御領域、4a、4bは上下
の配向制御領域であり、有効光学変調領域内の液晶のプ
レチルト角α1を周辺領域3a、3bの液晶プレチルト
角α2より低いプレチルト角(α1<α2)を持つよう
に配向させるためのものである。
【0027】15はカイラルスメクチック相を呈しうる
液晶材料層であり従来の液晶セルに用いられ電界を印加
されて駆動されると、液晶分子が移動する性質を持つ。
【0028】ここで、有効光学変調領域とは、表示素子
でいえば、多数の画素を含み駆動信号の印加によって該
画素の透過率を制御し表示を行う表示領域であり、非表
示素子でいえば、駆動信号に応じて光学変調を行う領域
である。
【0029】本発明者らの研究によれば、上述したセル
厚の増加は駆動により液晶自身が液晶パネル内の特定の
方向へ移動することによって、特にパネル端部での圧力
が増加し、その結果セル厚が増加していることが判明し
た。液晶分子が液晶パネル内を移動する力の発生原因は
不明だが、おそらく駆動パルスによる交流的な電界で、
液晶分子の双極子モーメントが揺らぐことにより発生す
る電気力学的効果であろうと推定される。
【0030】本発明者らの実験によれば、図2の(A)
に示すように、液晶の移動の方向22はラビング方向2
0と液晶分子の平均分子軸方向21、21′によりほぼ
決まっているようである。液晶分子の移動方向がこのよ
うにラビングの方向に依存することから、その現象は基
板界面のプレチルトの状態に依存していることが推定さ
れる。平均分子軸方向21、21′は強誘電性液晶分子
の双安定状態における平均的な分子位置を示している。
ここで、例えば平均分子軸方向が21で示した状態で液
晶がスイッチングしない程度の適当な交流電界を印加す
ると、矢印22方向に液晶分子が移動する。但し、ここ
では自発分極の向きが負である液晶材料を用いた場合に
ついて述べている。さらに、この液晶移動現像は次に説
明するようなパネルの配向状態に依存している。
【0031】前述した液晶分子の移動は、実際の液晶パ
ネルでは、図2の(A)に示すように例えばパネル全体
で液晶分子位置が矢印21で示した状態にあったとする
と、パネル内部で図の紙面の右から左へ液晶の移動が生
じる。その結果、図2の(B)に示すように領域23の
セル厚が経時的に厚くなり、色付きを生じてくることに
なる。液晶分子が矢印21′で示した状態にあるときに
は、交流電界下での移動方向は逆になるが、いずれにせ
よラビング方向20に対して垂直な方向、即ちスメクチ
ック層内において液晶の移動が生じる。さらにまた、ス
メクチック液晶の層方向以外に、層法線方向にもセル厚
増加が見られた。
【0032】本発明者らの実験によれば、図3の(I)
に示すような表示パネルに白黒のストライプ状のパター
ンを表示し駆動し続けると、黒(暗)を表示して平均分
子軸21の状態にしたエリアの液晶分子は、a方向に移
動しその結果、パネル端部のAの領域のセル厚が、他の
領域に比べて増加する。逆に白(明)を表示して平均分
子軸を21′の状態にしたエリアの液晶分子は、b方向
に移動し、その結果Bの領域セル厚が増加する。
【0033】これに対し、図3(II)に示すように有
効光学変調領域としての表示領域の外周を取り囲むよう
に周辺領域を設け、高プレチルトの配向状態にすること
により、黒表示状態の際に、a方向に移動した液晶は、
周辺領域に移動可能となり周辺領域に集まった液晶はさ
らにc、d方向にも移動可能であることが分かった。ま
た逆に周辺領域から表示領域にもe方向に液晶分子の移
動が可能である。
【0034】また、白表示の際にも、b方向に液晶が移
動した場合、周辺領域に集まった液晶は、さらにc′、
d′方向に、またはe′方向にも移動可能である。
【0035】これは、プレチルト角が大きく、垂直配向
に近づくにつれ、スメクチック層の形成方向が、パネル
面内で等方的な層に近づき、さらにその結果、外部から
の印加電界に対して、液晶分子が等方的な移動をするよ
うになるためであると考えられる。
【0036】これにより、本発明の構成パネルでは、図
3の(I)に示すような液晶分子の移動によるパネル内
での圧力分布を生じても周辺領域で液晶分子の等方的な
移動が可能なため圧力分布を緩和することができ、パネ
ル端部のセル厚の増加が抑制される。
【0037】この例では、最も好ましい構成として外周
全域に周辺領域を設けたが、図3の上下端にのみ周辺領
域を設けてもよい。
【0038】更に、本発明は以下の改良を必要に応じて
施すことで、効果がより向上する。
【0039】本発明に用いられる基板の少なくとも一方
は内面が粗面化されたものが好ましい。特に、粗面化に
より有効光学変調領域内の液晶の移動がある程度抑えら
れていると、周辺領域からの液晶の注入、周辺領域への
液晶の逃げが最適化されるためである。このような粗面
は、不規則なものであっても、規則的なものであっても
よく、好ましくは周期の大きな規制的な凹凸の中に、不
規則且つ該凹凸よりも小さな高低差をもつ凹凸が形成さ
れた面が望ましい。
【0040】本発明の有効光学変調領域におけるプレチ
ルト角の有効な設計思想は2つ有り、一つは、プレチル
ト角が10°以上25°以下の範囲となるように、配向
処理することである。もう一つはプレチルト角を5°以
下とすることである。
【0041】前者の場合は、スメクチック層がセル内で
屈曲するシェブロン構造をもたせやすい。そして、高プ
レチルトのシェブロン構造は粗面化されても配向状態が
乱れにくい点で有利である。後者の場合は、スメクチッ
ク層がセル内で屈曲しないブックシェルフ構造を持たせ
易い。そして、低プレチルトのブックシェルフ構造は、
粗面化されていなくても液晶の移動速度が比較的小さく
周辺領域の移動速度とバランスがとりやすい。もちろん
光学的特性の観点からの配向状態も優れている。
【0042】また、本発明の周辺領域は、有効光学変調
領域全体を囲うように設けられていなくてもよい。少な
くとも画面の両端または上下端部に高プレチルトの領域
が存在すればよいが好ましくは、スメクチック層の層平
面方向の両端に設ける。周辺領域の大きさは一画素の幅
より大きな幅を持つことがより好ましい。更には、周辺
領域を遮光部材で遮光して実質的に光学変調を行わしめ
ないようにする。周辺領域のプレチルト角は有効光学変
調領域より少しでも大きければ、周辺領域での液晶が有
効光学変調領域の液晶より移動しやすくなるので、理論
的には十分なものであるが、実際には、10°以上のプ
レチルト角の差があったほうがよい。更にセルの製造を
容易にするには垂直配向させることが望ましい。
【0043】そして、有効光学変調領域におけるプレチ
ルト角とほぼ同じプレチルト角をもつ領域を部分的に含
んでいてもよい。そして、その位置は有効光学変調領域
と隣接していることが好ましい。
【0044】また、本発明の周辺領域には、有効光学変
調領域と同じように電極をもうけて電界を選択的にかけ
て液晶の移動を促進させてもよい。その駆動信号は、画
素を走査選択する走査信号及び/または情報信号と同じ
ものを用いることが好ましいものである。
【0045】更に、セルの組み立ての際に、スペーサー
ビーズと接着ビーズとを分散させて有効光学変調領域内
での液晶の移動を抑制することが望ましい。
【0046】次に、本発明に用いられるスメクチック液
晶の構造について述べる。
【0047】スメクチック層のシェブロン構造を含む配
向はC1およびC2の2種類の配向モデルで説明するこ
とができる。図4で、31はスメクチック相、32はC
1配向の領域、33はC2の配向の領域を表す。スメク
チック液晶は一般に層構造をもつが、SmA相からSm
C相またはSnC* 相に転移すると層間隔が縮むので図
4のように層が上下基板11a、11bの中央で折れ曲
がった構造(シェブロン構造)をとる。折れ曲がる方向
は図に示すようにC1とC2の2つ有り得るが、よく知
られているようにラビングによって基板界面の液晶分子
は基板に対して角度をなし(プレチルト)、その方向は
ラビング方向Aに向かって液晶分子が頭をもたげる(先
端が浮いた格好になる)向きである。このプレチルトの
ためにC1配向とC2の配向は男性エネルギー的に等価
ではなく、ある温度で転移が起こる。また機械的な歪み
で転移が起こることもある。図4の層構造を平面的にみ
ると、ラビング方向Aに向かってC1配向からC2配向
に移るときの境界34はジグザグの稲妻状でライトニン
グ欠陥と呼ばれ、C2からC1に移るときの境界35は
幅広い、ゆるやかな曲線状でヘアピン欠陥と呼ばれてい
る。
【0048】ラビングのような強誘電性液晶を配向させ
るための相互にほぼ平行で同一方向の一軸性配向処理が
施された一対の基板を備え、強誘電性液晶が、強誘電性
液晶のプレチルト角をα、チルト角(コーン角1/2)
をΘ、SmC* 相の傾斜角をδとすれば、数1式で表さ
れる配向状態を有するようにすると、C1配向状態にお
いてさらにシェブロン構造を有する4つの状態が存在す
る。
【0049】Θ<α+δ…〔数1〕 この4つのC1配向状態は、従来C1状態とは異なって
おり、なかでも4つのC1配向状態のうちの2つの状態
は、双安定状態(ユニフォーム状態)を形成している。
ここで、無電界時のみかけのチルト角θaとすれば、C
1配向状態における4つの状態のうち、数2式の関係を
示す状態をユニフォーム状態という。
【0050】Θ>θa>Θ/2…〔数2〕 ユニフォーム状態においては、その光学的性質からみて
ダイレクタが上下基板間でねじれていないと考えられ
る。図5は(A)はC1配向の各状態における基板間の
各位置でのダイレクタの配置を示す模式図である。図中
51−54は各状態においてダイレクタをコーンの底面
に投影し、これを底面方向から見た様子を示しており、
51および52がスプレイ状態、53および54がユニ
フォーム状態と考えられるダイレクタの配置である。同
図から分けるとユニフォームの2状態53と54におい
ては、上下いずれかの基板界面の液晶分子の位置がスプ
レイ状態の位置を入れ替わっている。
【0051】図5の(B)はC2配向を示しており、界
面のスイッチングはなく内部のスイッチングで2状態5
5と56がある。このC1配向のユニフォーム状態5
3、54は、従来用いていたC2配向における双安定状
態よりも大きなチルト角θaを生じ、輝度が大きくしか
もコントラストが高い。
【0052】これに対して、図6は、ブックシェルフ構
造を示す模式図であり、(A)は低プレチルトの斜めブ
ックシェルフ構造、(B)は高プレチルトの斜めブック
シェルフ構造である。
【0053】本発明においては、前述したプレチルト角
をもつC1ユニフォーム配向の高プレチルトシェブロン
構造または低プレチルトのブックシェルフ構造が望まし
い。
【0054】(セル構成)本発明に用いられる液晶セル
を構成する基板としては、少なくとも一方が透明な材料
であればよい。具体的には、ガラス、石英、プラスティ
ックシートなどである。一方が光透過性を要求されない
場合には、金属、半導体、絶縁体などのあらゆる基板が
用いられる。
【0055】本発明に用いられる液晶セルを構成する一
対の電極としては、少なくとも一方が透明導電体で形成
されることが望ましく、そのような材料としては、酸化
錫、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)等が
好適に用いられる。また必要に応じて透明導電体により
低抵抗の金属層を付与した構成であってもよい。その厚
みは40〜200nmに設定することが望ましい。
【0056】液晶分子の配向制御のための配向膜は、ポ
リイミド、ポリピロール、ポリビニルアルコール、ポリ
イミドアミド、ポリエステルイミド、ポリパラキシレ
ン、ポリエステル、ポリカーボネイド、ポリビニルアセ
タール、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリスチレン、
ポリアニリン、セルロース樹脂、アクリル樹脂、メラミ
ン樹脂などの有機膜、あるいはSiOの斜方蒸着膜など
のような無機膜が適宜選択されて用いられる。その厚み
は5〜100nmに設定することが望ましい。所望のプ
レチルトを得るためには、液晶材料と配向膜との組み合
わせの中から好ましいものを選べばよいが、材料の選択
の自由度を小さくしない簡単な方法としては、ラビング
処理の度合い(強さ、回数など)を選択して所望の配向
状態を得ることが望ましい。
【0057】本発明においては配向膜の下に絶縁膜を設
けてもよく、そのためにはTiSi、SiO2 、Ti
O、Ta23 などの無機膜が好ましい。この中には、
必要に応じて、粗面化処理のために平均粒径40nmの
微粒子を分散させるとよい。
【0058】粗面化用の絶縁膜としては、TiとSiと
の比が1:1の成分の溶液中に微粒子を分散させて塗布
し、その後焼成することで行える。粗面化処理の度合い
は微粒子の分散密度、平均粒径、その上に設けられる層
の厚みなどを適宜設計することで所望の粗面が得られ
る。粗面を形成するための微粒子の平均粒径としては1
乃至100nmであることが望ましい。また微粒子を保
持する絶縁膜の膜厚は20〜300nmとすることが望
ましい。
【0059】周辺領域の配向状態を高プレチルト好まし
くは垂直配向とするためには、該領域上に、絶縁膜また
は配向膜のいずれか一方を形成はするが、ラビングはし
ないようにする。
【0060】また、ラビング方向は、その方向と交差す
る方向の両端に周辺領域が存在するように処理する。こ
うすればスメクチック層平面方向の両端に高プレチルト
領域が配されるのでスメクチック層内で分子が移動すれ
ば必ず高プレチルト領域に達するようになる。
【0061】(液晶セルの製造方法)ガラスなどの透明
基板を用意し、そのうえCVD法、スパッタリング法、
イオンプレーティング法などの蒸着方法により透明導電
膜を形成し、これをストライプ上にパターニングする。
その後、必要に応じて絶縁膜を上述した蒸着法により形
成する。また粗面化する場合には、続いて微粒子を分散
させた溶液を印刷して仮焼成及び硬化処理を行い粗面を
形成する。配向膜はポリアミド酸のような溶液をスピナ
ーコートし焼成して形成する。この膜にラビング処理を
行う。こうして得られた基板の一つの上にスペーサとし
てのビーズを分散させ基板の周囲シール剤を設けてもう
一つ基板を張り合せた。この時、必要に応じて接着用の
ビーズをスペーサービーズと共に分散する。その後、注
入口から液晶材料を注入し徐々に冷却してカイラルスメ
クチック相に転移させる。
【0062】表示領域と周辺領域の配向処理のために
は、垂直配向膜を全面に設け、周辺領域をマスクして表
示領域のみ選択的にラビングする方法や、低プレチルト
を生ぜしめる低プレチルト配向膜を表示領域に高プレチ
ルトを生ぜしめる高プレチルト配向膜を周辺領域にそれ
ぞれ設ける方法がある。
【0063】本発明に好ましく用いられる粗面化の方法
としては、前述した米国特許出願988,830号の明
細書に記載の方法が適している。
【0064】次に、ラビング方法について説明する。
【0065】図7は、ラビング処理を説明する模式図
で、ラビングローラ120は、円柱状のローラ121に
ナイロン布等のラビング布122を貼りつけた構造を有
している。このラビングローラ120を、Cの方向に回
転させながらガラス基板11a(11b)上の配向制御
膜14a、14bに所定圧で当接させ、そしてガラス基
板11a(11b)(またはラビングローラ)を矢印B
方向に移動させて配向制御膜14a、14bを摺接する
ことにより配向規制力が付与される。なお、この配向規
制力はラビングローラ120をガラス基板11a(11
b)に当接させる際の当接力により決定され、通常はラ
ビングローラ120を上下させることにより(押込み量
εを変える)、ラビング布122と配向制御膜14a、
14bとの接触量で制御されている。この方法では、押
込み量ε、ローラ回転数、ローラ送り速度、ラビングの
回数を変えることで、プレチルト角の設定等の液晶の配
向状態を変えられる。
【0066】次に液晶セルの各配向特性のパラメータの
測定について述べる。
【0067】〔真のチルト角の測定〕液晶装置の閾値電
圧より十分に大きな双極性パルス(例えば単発パルスで
の閾値電圧が50μsec、10Vの場合、10Hz、
10Vの交流パルスを用いる)を印加し、クロスニコル
下、その間に配置された液晶装置を偏向板と水平に回転
させ第1の消光位をさがし、次に上記の単発パルスと逆
極性のパルスを印加した後、無電界下、第2の消光位を
さがす。このときの第1の消光位までの角1/2を真の
チルト角θを求めた。
【0068】〔みかけのチルト角の測定〕液晶装置の閾
値電圧以上の単発パルスを印加した後、無電界下、且つ
クロスニコル下、その間に配置された液晶装置を偏向板
と水平に回転させ第1の消光位をさがし、次に蒸気の単
発パルスと逆極性のパルスを印加した後、無電界下、第
2の消光位をさがす、このときの第1の消光位までの角
度1/2をみかけのチルト角θaとした。
【0069】〔プレチルト角αの測定〕プレチルト角α
の測定は、クリスタルローテーション法により求めた。
測定法は、液晶装置をガラス基板面で回転させながら、
回転軸と45°の角度をなす偏向面を持つヘリウム・ネ
オンレーザ光を回転軸に垂直な方向から照射して、その
反対側で入射偏向面と平行な透過軸を持つ偏向板を通し
てフォトダイオードで透過光強度を測定した。そして、
干渉によってできた透過光強度の双曲線群の中心となる
角と液晶装置に垂直な線とのなす角度をΦxとし、下式
に代入してプレチルト角αを求めた。
【0070】
【外1】 ここで、n0 は常光屈折率、ne は異常光屈折率であ
る。なお詳細は、J.J.Appl.Phys.Vo
l.119(1980)No.10,Short No
tes 2013に記載されている。
【0071】次に、本発明の液晶素子を用いた画像表示
装置について説明する。
【0072】図8はその画像表示装置の制御系のブロッ
ク図である。200は表示手段であり前述した液晶素子
に偏向板が組み合わされたものであり、必要に応じて背
面光源を有するものである。201はデコーダ及びスイ
ッチを含む走査線駆動回路、202はラッチ回路、シフ
トレジスタ、スイッチなどを含む情報線駆動回路、20
3は両駆動回路201、202に供給する多数の基準電
圧を発生する基準電圧発生回路、204はCPUや画像
情報保持のためのRAMを含む制御回路、210は画像
入力用のイメージセンサやアプリケーションプログラム
が実行されているコンピュータなどの画像信号源であ
る。
【0073】次に、本発明の液晶素子を用いた画像形成
装置について説明する。
【0074】図9はその画像表示装置の制御系のブロッ
ク図である。210は、炭素を含む水素化アモルファス
シリコン等の感光体213に静電画像を形成するための
もので、上述した液晶素子を光バルブとして含み光源2
15を具備する露光手段である。211は感光体213
上の静電画像をトナー像に現像する現像手段、212は
感光体213上の残留トナーを取り除くクリーニング手
段である。感光体上の現像されたトナー像は記録媒体2
14に転写される。
【0075】図10は、図8の表示装置の駆動回路より
出力される駆動信号波形(S1、S2、S3、I)と液
晶の画素に印加される合成波形(I−S1、I−S2、
I−S3)を示すチャートである。
【0076】S1、S2、S3は走査信号、Iは情報信
号であり、それぞれ回路201、202より出力され
る。
【0077】図10は3×1画素に白、黒、白を表示さ
せる時の例である。
【0078】以下、図面を用いて本発明のいくつかの実
施例を説明する。
【0079】(実施例1)図11は、本発明の一実施例
に係わる液晶パネルを模式的に示す平面図であり、図1
2は、そのB−B線断面図である。図12に示すよう
に、この液晶パネルは、一対の平行に配置した上基板1
1aおよび下基板11bと、それぞれの基板に配置した
例えば厚さが約400〜2000Åの透明電極12aと
12bを備えている。本実施例では、表示領域のプレチ
ルト角よりも周辺領域のプレチルト角を大きくするた
め、または周辺領域を垂直配向にするために表示領域を
取り囲む周辺領域に相当する上下基板位置に約100Å
〜1000Åのシリカビーズを有する塗布型絶縁膜13
a、13bを備えている。さらに表示、周辺領域上に配
向膜14a、14bを備えており、それらを介して強誘
電性液晶15が配置されている。配向膜14a、14b
には強誘電性液晶15を配向させるための配向処理が施
してある。ここで強誘電性液晶の配向状態は、配向処理
条件だけでなく配向膜の下地の表面状態にも左右され
る。本実施例の場合、表示領域を前述のユニフォーム配
向にする条件で配向処理を施すと周辺領域は配向膜の下
地がシリカビーズの存在により凹凸のある表面状態であ
るため表示領域よりもプレチルト角が大きくなるか、ま
たは垂直配向となることが我々の実験から明らかになっ
ている。また周辺領域をこのような配向状態にすること
は、この方法に限らない。
【0080】また、配向膜14a、14bと透明電極1
2a、12bとの間に、例えば厚さが200〜3000
Åの絶縁膜(SiO2 膜、TiO2 膜、Ta25
等)を配置してもよい。基板間隔は液晶層15内に散布
された平均粒径約1.5μmのシリカビーズ16に保持
され、かつ上下基板11a、11bはシール接着剤17
により接着される。
【0081】(実施例2)図13は前述の実施例1を変
形したものであり、走査信号の印加される電極12aと
情報信号の印加される電極12bとがそれぞれ左右、上
下四方の周辺領域にまで延長され、周辺領域全体に双極
性パルスが印加される構成になっている。
【0082】本実施例によれば、周辺領域の液晶が一方
の安定状態をとり易くなる焼きつきを生じにくくなり液
晶の移動がスムースになり黄変防止の効果が更に向上す
る。
【0083】(実施例3)図14に示す本例は、実施例
2の更なる変形例であり、周辺領域が内枠32bと外枠
32aとの2つの領域からなる。ここで、内枠32bは
表示領域と同じ配向処理がなされている為プレチルト角
は表示領域のそれと等しい。
【0084】一方、外枠32aは、高プレチルト処理が
なされている為に20°以上の高プレチルト角をもつ。
【0085】更には、内枠32bと外枠32aの液晶に
より光学的変化がみえないように、これらの領域を遮光
する。
【0086】遮光の方法は、基板11a、11bのいず
れかの面に遮光膜を設けるか、表示パネルを取り付ける
ハウジングに周辺領域がかくれるようにするとよい。
【0087】(実施例4)本例は、実施例3の更なる変
形例であり、図15に示すように、周辺領域の四辺全て
に一対の電極からなるダミー画素が設けられている。
【0088】但し、4つ角32cには、シール接着剤が
設けられており、上下、左右の周辺領域は分断されてい
る。
【0089】そして全電極には、図10に示したある基
準電位に対して正・負の電圧をもつ双極性パルスを印加
して表示を行う。
【0090】以上のように、周辺領域は必ずしも表示領
域の四方を囲う必要はなく、少なくとも表示領域の一画
素以上の巾をもっていれば、充分に黄変を防止できる。
但し、ストライプパターンや全黒または全白表示等リフ
レッシュ駆動により特定の表示を長期間くり返し行う場
合には、図11乃至図14のように外周全てを高プレチ
ルトの周辺領域にしたほうがよい。また表示領域端部で
低プレチルト配向領域と高プレチルト配向領域との界面
の配向の不連続性が生じ、それが表示領域内に及ぶこと
による、表示特性への影響を避けるのであれば、図14
の例のように低プレチルトの内枠を設ければよい。更に
は、内枠にも、外枠と同様に一画素以上の巾をもたせる
とよい。例えば、図15の例のダミー画素部分は、表示
領域と同じ、低プレチルト領域とする。
【0091】実験例1 300mm×320mm、1.1mm厚のガラス基板に
透明電極としてITO(Indium Tin Oxi
de)をスパッタ法で約1500Å成膜しホトリソグラ
フ法でストライプ状の電極とした。
【0092】その上にショート防止用の絶縁膜としてT
25 膜をスパッタ法により約900Å成膜した。次
に図13に示すように表示領域を取り囲む周辺領域にシ
リカビーズ入り塗布型絶縁膜としてPAM606EP
(シリカビーズ径約450Å触媒化成社製)をフレキソ
印刷法により塗膜しその後300℃約1時間で焼成し約
200Åの厚の膜を形成した。その後表示領域と周辺領
域を含めた領域に配向膜としてLQ1800(日立化成
社製)をフレキソ法により塗膜しその後約270℃約1
時間で焼成イミド化し約200Åのポリイミド膜を形成
した。その後、上下基板をそれぞれナイロンパイルを有
するラビング布でラビング処理を施した。そして、一方
の基板に粒径約1.5μmのシリカビーズを散布し、他
方の基板にエポキシ樹脂の接着剤を図13に示すような
形状でフレキソ印刷法で形成し、上下の基板をラビング
方向が上下でほぼ平行になるように貼り合わせた。また
ラビング方向は上下で交差させてもよい。この液晶パネ
ルの表示領域の大きさは、対角15インチサイズであ
る。なお、図13に示すように接着剤の一部は液晶を注
入するための注入口として開放されている。この注入口
より、強誘電性液晶が充填される。
【0093】液晶注入は、加温・加圧が可能な注入槽に
パネルを導入し、該注入槽を真空引きすることにより、
パネル内部を真空にしたのち、注入口に液晶を塗布し注
入口をふさぐ。
【0094】そののち、注入槽内の温度を上昇させ液晶
の粘性を下げると共に槽内を加圧しパネル内部全体に液
晶を充填させた。液晶の注入が終了した後、パネルをS
mC* 相まで徐冷してから注入口をエポキシ樹脂の接着
剤でふさいだ。注入した強誘電性液晶は下記の相転移を
しめすピリミジン系の混合液晶である。
【0095】
【外2】
【0096】次にパネルの表示領域、周辺領域それぞれ
のプレチルト角を測定するためにそれぞれの構成のパネ
ル(配向膜の下にPAM606EPがあるものとないも
の)を上述の方法で作成した。ただし上下基板のラビン
グ方法が反平行になるように貼り合わせた。次に以下の
方法でそれぞれのプレチルト角を測定した。
【0097】〔プレチルト角αの測定方法〕プレチルト
角の測定は、クリスタルローション法(Jpa.J.A
ppl.Phys.Vo.119(1980)No.S
hort Notes 2031)により求めた。また
プレチルト角の測定用液晶としては強誘電性液晶(チッ
ソ社製CS−1014)に下記の構造式で示される化合
物を重量比で20%混合したものを標準液晶として注入
して測定した。
【0098】
【外3】
【0099】なお、この混合した液晶組成物は10〜5
5℃でSmA相を呈した。
【0100】測定手順は、液晶パネルを上下基板に垂直
かつ配向処理軸(ラビング軸)を含む面で回転させなが
ら、回転軸と45°の角度をなく偏向面を持つヘリウム
・ネオンレーザ光を回転軸に垂直な方向から照射して、
その反対側で入射偏向面と平行な透過軸を持つ偏向板を
通してフォトダイオードで透過光強度を測定した。そし
て、干渉によってできた透過光強度のスペクトルに対
し、理論曲線、数式3、4とフィッティングを行うシミ
ュレーションによりプレチルト角αを求めた。
【0101】
【外4】 o :常光屈折率 Ne :異常光屈折率 φ:液晶パネ
ルの回転角 T(φ):透過光強度 d:セル厚 λ:
入射光の波長
【0102】
【外5】
【0103】上記の方法で測定したプレチルト角は、表
示領域では、17.5°であり、周辺領域では、58.
5°であった。実際の液晶パネルの表示領域はユニフォ
ーム配向、周辺領域は、クロスニコルの偏光板下で明状
態のほとんどない配向であった。
【0104】次に液晶移動現象の評価として図16に示
すように液晶分子の平均分子軸がaの光学安定状態とb
の光学安定状態にラビング方向に垂直なストライプ状エ
リアでそれぞれ揃えパルス幅25μs、電圧振幅が40
V、1/2デューティの矩形波を約20時間印加し、そ
の後、A、Bそれぞれの位置のセル厚を測定した。その
結果、電界印加前と比較してもA、Bそれぞれの位置に
おけるセル厚の変化は、全く見られなかった。
【0105】比較例 実験例1と同様の方法で液晶パネルを作成した。但し実
験例1で設けた周辺領域のシリカビーズ入り塗布型絶縁
膜は、形成しなかった。また実験例1と同様にプレチル
ト角を測定したところ、表示領域で17.6°、周辺領
域で17.3°であった。さらにそれぞれの配向状態
は、共にユニフォーム配向であった。
【0106】次に、実施例1と同様の条件で液晶移動現
象を評価したところ、電界印加前と比較してAの部分で
セル厚が35%、Bの部分で39%増加していた。
【0107】実験例2 表示領域を取り囲む周辺領域を垂直配向にする方法とし
て垂直配向剤と用いて液晶パネルを作成した。実験例1
と同様にTa25 膜まで成膜した基板を用意し、その
上に実験例1と同様な配向膜を形成した。その後、垂直
配向剤としてODS−E(チッソ社製)を周辺領域にの
み塗膜し約80℃30分で乾燥させた。その後は、実施
例1と同様な方法で配向処理、貼り合わせ、液晶注入
し、液晶パネルを作成した。
【0108】配向状態は表示領域はユニフォーム配向で
周辺領域はほぼ、垂直配向であった。
【0109】次に、実験例1と同様の条件で液晶移動現
象を評価したところ、電界印加前と比較してAの部分、
およびBの部分とも、セル厚の変化はみられなかった。
【0110】実験例3 表示領域を取り囲む周辺領域を垂直配向にする方法とし
て配向処理時に周辺領域をステンレス製の薄板でマスク
してラビング処理を施す方法を用いて液晶パネルを作成
した。実験例2と同様な方法で配向膜まで形成した基板
を用意し、ラビング処理時に周辺領域のみを覆い隠すよ
うにステンレス製0.1mm厚の薄板を基板に密着させ
ラビング処理を施した。その後は、実験例1、2と同様
な方法で貼り合わせ、液晶を注入し、液晶パネルを作成
した。
【0111】配向状態は表示領域はユニフォーム配向で
周辺領域は垂直配向であった。
【0112】次に、実験例1、2と同様の条件で液晶移
動現象を評価したところ、電界印加前と比較してAの部
分、およびBの部分ともセル厚の変化はみられなかっ
た。
【0113】実験例4 実験例1のうち、450Å径のシリカビーズを入れずに
絶縁膜を形成したことおよび、フッ素系の強誘電性液晶
を用いた以外は、実験例1と同様にして図13に示すセ
ルを作製した。
【0114】但し、このセルでは上下基板のラビング方
向を正反対にすることで、ブックシェルフ構造のスメク
チック層構造を得た。
【0115】表示領域内のプレチルト角は2°〜3°で
あった。周辺領域のプレチルト角は58.5°であっ
た。
【0116】本例では、基板内面を粗面化していないに
もかかわらず、実験例1と同様ないしそれ以上の黄変防
止効果があった。
【0117】別にラビング強度を変えて、表示領域内の
プレチルト角が異なる試料を作製してみるとプレチルト
角が5°以下のものが、優れた特性を示していた。
【0118】実験例5 実験例1において、配向膜とラビング強度を変えて種々
のプレチルト角をもつシェブロン構造のC1配向をもつ
セルを作製した。
【0119】この場合は、ほぼプレチルト角が10°〜
15°以上となりシリカビーズによる粗面とあいまって
黄変が防止できた。
【0120】実験例6 実験例1と同じ方法で、図14に示す外枠32aと内枠
32bとをもつ周辺領域をもつセルを作製した。
【0121】外枠32aはプレチルト角58°、内枠3
2bはプレチルト角17°であった。
【0122】また、内枠32bにある電極には、図10
の駆動波形と同じ信号を印加した。
【0123】その結果、実験例1の3倍以上連続駆動し
ても黄変は生じなかった。
【0124】実験例7 以下に述べる試料を作製して、特性を評価した。
【0125】基準試料…図11のセルで、表示領域、周
辺領域共に18°のプレチルト角をもち、内面が粗面化
されたセル。
【0126】試料A…図11のセルで、粗面化用の絶縁
膜を形成しなかったもの。
【0127】試料B…時11のセルで、表示領域のプレ
チルト角を18°としたシェブロン構造のもの(B1)
と8°としたもの(B2)。
【0128】試料C…図11のセルで、表示領域のプレ
チルト角を2°としたブックシェルフ構造のもの。(C
1)と6°としたもの(C2)。
【0129】試料D…図11のセルで、内面を粗面化し
たもの。
【0130】試料E…図11のセル、スペーサ以外に接
着ビーズを表示領域および周辺領域内に分散させたも
の。
【0131】試料F…図14のセルで、内面を粗面化し
なかったもの。
【0132】試料G…図14のセルで、表示領域のプレ
チルト角を18°としたシェブロン構造のもの(G1)
と8°としたもの(G2)。
【0133】試料H…図14のセルで、表示領域のプレ
チルト角を2°としたブックシェルフ構造(H1)と6
°としたもの(H2)。
【0134】試料I…図14のセルで、内面を粗面化し
たもの。
【0135】試料J…図14のセルで、スペーサ以外に
接着ビーズを表示領域および周辺領域内に分散させたも
の。
【0136】試料K…図14のセルで、内面を粗面化し
て、プレチルト角を18°としたシェブロン構造をもた
せて接着ビーズを分散させたもの。
【0137】試料L…図15のセルで、内面を粗面化し
なかったもの。
【0138】試料として、各々10個づつパネルを用意
したもののうち、基準試料の特性より向上したパネルの
枚数で評価した。
【0139】△はその枚数が0〜1のもの。○は2〜5
のもの。◎は6個以上のものである。
【0140】結果は下表の通りである。
【0141】
【表1】
【0142】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
表示領域以外の周辺領域のプレチルト角を表示領域のプ
レチルト角より大きくし、より好ましくは周辺領域を垂
直配向状態にすることで、駆動による液晶分子の移動に
たいして、パネル内に圧力分布が生じることを防ぐこと
ができ、パネル端部のセル厚増加を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施態様例による液晶素子の模
式図である。
【図2】液晶素子の移動の様子を説明するための模式図
である。
【図3】本発明の一実施態様例の液晶素子の移動の様子
を説明するための模式図である。
【図4】スメクチック液晶層の構造を説明するための模
式図である。
【図5】スメクチック液晶のシェブロン構造を説明する
ための模式図である。
【図6】スメクチック液晶のブックシェルフ構造を説明
するための模式図である。
【図7】ラビング方法を説明するための模式図である。
【図8】本発明の液晶素子を用いた画像表示装置の模式
図である。
【図9】本発明の液晶素子を用いた画像形成装置の模式
図である。
【図10】本発明に用いられる液晶素子の駆動信号を示
す図である。
【図11】本発明の第1実施例による液晶素子の模式的
平面図である。
【図12】1本発明の第1実施例による液晶素子の模式
的断面図である。
【図13】本発明の第2の実施例による液晶素子の模式
的平面図である。
【図14】本発明の第3実施例による液晶素子の模式的
平面図である。
【図15】本発明の第4実施例による液晶素子の模式的
平面図である。
【図16】液晶の移動現象の評価方法を説明するための
模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀田 薫央 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 森 直 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向する一対の電極を有する基板
    と、該一対の電極間に配したカイラルスメクチック液晶
    とを具え、有効光学変調領域とその外側の周辺領域とを
    含む液晶素子において、 前記液晶は電界の印加によって前記基板表面に沿って移
    動可能な液晶であり、 該周辺領域の液晶分子のプレチルト角が該有効光学変調
    領域のプレチルト角より大きいことを特徴とする液晶素
    子。
  2. 【請求項2】 互いに対向する一対の電極を有する基板
    と、該一対の電極間に配したカイラルスメクチック液晶
    とを具え、有効光学変調領域とその外側の周辺領域とを
    含む液晶素子において、 該周辺領域の液晶分子のプレチルト角が該有効光学変調
    領域のプレチルト角より大きく、 前記一対の基板のうち少なくとも一方の内面が粗面化さ
    れていることを特徴とする液晶素子。
  3. 【請求項3】 互いに対向する一対の電極を有する基板
    と、該一対の電極間に配したカイラルスメクチック液晶
    とを具え、有効光学変調領域とその外側の周辺領域とを
    含む液晶素子において、 該周辺領域の液晶分子のプレチルト角が該有効光学変調
    領域のプレチルト角より大きく、 前記有効光学変調領域の液晶分子のプレチルト角が10
    度以上であることを特徴とする液晶素子。
  4. 【請求項4】 互いに対向する一対の電極を有する基板
    と、該一対の電極間に配したカイラルスメクチック液晶
    とを具え、有効光学変調領域とその外側の周辺領域とを
    含む液晶素子において、 該周辺領域の液晶分子のプレチルト角が該有効光学変調
    領域のプレチルト角より大きく、 前記有効光学変調領域の液晶分子のプレチルト角が5度
    以下であることを特徴とする液晶素子。
  5. 【請求項5】 互いに対向する一対の電極を有する基板
    と、該一対の電極間に配したカイラルスメクチック液晶
    とを具え、有効光学変調領域とその外側の周辺領域とを
    含む液晶素子において、 該周辺領域は、該有効光学変調領域に隣接した第1領域
    と、該第1領域の外側の第2領域とを含み、 該第1領域の液晶分子のプレチルト角は該有効光学変調
    領域のプレチルト角とほぼ同じであり、 該第2領域の液晶分子のプレチルト角が該有効光学変調
    領域のプレチルト角より大きいことを特徴とする液晶素
    子。
  6. 【請求項6】 互いに対向する一対の電極を有する基板
    と、該一対の電極間に配したカイラルスメクチック液晶
    とを具え、有効光学変調領域とその外側の周辺領域とを
    含む液晶素子において、 前記基板間には複数の接着剤とスペーサとが介在してお
    り、 該周辺領域の液晶分子のプレチルト角が該有効光学変調
    領域のプレチルト角より大きいことを特徴とする液晶素
    子。
  7. 【請求項7】 互いに対向する一対の電極を有する基板
    と、該一対の電極間に配したカイラルスメクチック液晶
    とを具え、有効光学変調領域とその外側の周辺領域とを
    含む液晶素子において、 前記電極には基準電位に対して双極性のパルスを含む駆
    動信号が印加され、 該周辺領域の液晶分子のプレチルト角が該有効光学変調
    領域のプレチルト角より大きいことを特徴とする液晶素
    子。
  8. 【請求項8】 互いに対向する一対の電極を有する基板
    と、該一対の電極間に配したカイラルスメクチック液晶
    とを具え、有効光学変調領域とその外側の周辺領域とを
    含む液晶素子において、 該周辺領域の液晶分子のプレチルト角が該有効光学変調
    領域のプレチルト角より大きく、 該周辺領域には遮光部材が設けられていることを特徴と
    する液晶素子。
  9. 【請求項9】 粗面形成する為の配向膜が付与されてお
    り、該粗面を形成する微粒子の平均粒径が、1乃至20
    nmであることを特徴とする請求項1乃至8に記載の液
    晶素子。
  10. 【請求項10】 前記カイラルスメクチック液晶は強誘
    電性液晶であることを特徴とする請求項1乃至8に記載
    の液晶素子。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至8に記載の液晶素子を含
    む露光手段と、感光体と、現像手段と、転写手段と、を
    有する画像形成装置。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至8に記載の液晶素子を含
    む表示手段と、該表示手段に駆動信号を供給する駆動手
    段と、偏光板と、を有する画像表示装置。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至8に記載の液晶素子を含
    む表示手段と、該表示手段に駆動信号を供給する駆動手
    段と、偏光板と、表示すべき画像信号を供給する信号源
    と、を有する画像表示装置。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至8に記載の液晶素子を含
    む表示手段と、該表示手段に駆動信号を供給する駆動手
    段と、偏光板と、表示すべき画像信号を供給する信号源
    としてのイメージセンサを有する画像表示装置。
  15. 【請求項15】 請求項1乃至8に記載の液晶素子を含
    む表示手段と、該表示手段に駆動信号を供給する駆動手
    段と、偏光板と、表示すべき画像信号を供給する信号源
    としてのコンピュータとを有する画像表示装置。
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