JPH0713157Y2 - ビーム直進形マイクロ波管の電子銃構体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案はビーム直進形マイクロ波管の電子銃構体に係
り、特にそのウエネルト電極の材料の改良に関する。

（従来の技術） 一般にピアス型進行波管用電子銃構体は、電子を放出す
るカソード、放出された電子を収束させるためのMo製の
ウエネルト電極、電子を加速させるための加速電極が所
定間隔で順次配設されてなり、カソードはスリーブ及び
カソード支持筒を介してウエネルト電極に支持されてい
る。

ところで、カソードは熱電子を放出するために加熱され
て熱膨張し、ウエネルト電極もその影響を受ける。その
ため、カソードとウエネルト電極の位置は、通常動作時
における熱膨張を考慮した寸法にて組立てている。

（考案が解決しようとする課題） 従来の電子銃構体では、厳密には、或るカソード、ウエ
ネルト電極温度において最適寸法になっているだけであ
る。従って、周囲の環境温度の変化によるカソード及び
ウエネルト電極の温度変化により、それらの最適値から
外れ易く、進行波管のビーム透過の温度特性を低下させ
る原因の一つとなった。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） この考案は、ウエネルト電極が、スリーブに対し３倍以
上の熱膨張率の材料により構成されてなるビーム直進形
マイクロ波管の電子銃構体である。

（作用） この考案によれば、カソードとウエネルト電極の熱膨張
による延びが等しいため、組立て寸法を設計寸法そのも
のに出来る。又、進行波管の周囲温度にカソードとウエ
ネルト電極の位置関係が影響されない。

（実施例） 以下、図面を参照して、この考案の一実施例を詳細に説
明する。

この考案によるビーム直進形マイクロ波管の電子銃構体
は第１図に示すように構成され、符号１はヒータ２を内
蔵したスリーブである。このスリーブ１の上端には、ヒ
ータ２により加熱され熱電子を放出するカソード３が固
着されている。このスリーブ１の外側には、半断面Ｖ字
状のカソード支持筒４が同軸的に配設されている。この
カソード支持筒４の外側には、ウエネルト電極５が同軸
的にして且つカソード３と所定間隔をおいて配設されて
いる。

そして、カソード支持筒４の半断面Ｖ字状の内側の下端
部がスリーブ１の下端に固着され、外側の下端部がウエ
ネルト電極５の内面下端に固着され、半断面Ｖ字状の上
端部はカソード３面とほぼ面一になっている。

更に、ウエネルト電極５の前方には、同軸的にして且つ
所定間隔をおいて加速電極６が配設されている。

又、これらスリーブ１、カソード支持筒４、ウエネルト
電極５及び加速電極６を取り囲むように、絶縁筒７、８
が配設され、この絶縁筒７と８とに加速電極６の周縁部
が挾持固定されている。

ウエネルト電極５はウエネルト電極支持筒９に支持さ
れ、このウエネルト電極支持筒９は絶縁筒８に取付けら
れた底板10に固定されている。又、ヒータ２はヒータ端
子11a、11bに固着され、このヒータ端子11a、11bは底板
12とウエネルト電極支持筒９に固定されている。尚、符
号13はフランジである。

さて、この考案では、スリーブ１の材料はMoからなり、
ウエネルト電極５は、スリーブ１に対し３倍以上の熱膨
張率の材料例えばステンレスや銅により構成されてい
る。尚、カソード支持筒４の材料はタンタルからなって
いる。

即ち、計算機の熱解析によると、スリーブ１の動作温度
が1000℃の時、ウエネルト電極５の温度は200〜300℃と
なる。そこで、スリーブ１を構成する材料の熱膨張率に
対し、３倍以上の熱膨張率の材料例えばステンレスによ
りウエネルト電極５を構成する。これによりスリーブ１
とウエネルト電極５のボディ方向の寸法は、進行波管周
囲の環境温度変化に対し、常に一定の値を保つことが可
能となる。

ここで、カソード支持筒４のボディ方向の延びは、互い
にほぼ相殺されるものとする。又、スリーブ１とウエネ
ルト電極５の温度差は、カソード支持筒４の肉厚により
調整することが出来る。

［考案の効果］ この考案によれば、ウエネルト電極は、スリーブに対し
３倍以上の熱膨張率の材料により構成されているので、
スリーブとウエネルト電極との間の寸法が進行波管周囲
の環境温度に影響され難いため、常に寸法が略一定に保
たれる。そして、カソードとウエネルト電極との間の寸
法はビーム透過率に影響するので、進行波管周囲の環境
温度条件及びスリーブの動作温度の変動に殆ど影響され
ずに、良好なビーム透過率が常に得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係るビーム直進形マイク
ロ波管の電子銃構体を示す断面図である。 １…スリーブ、３…カソード、４…カソード支持筒、５
…ウエネルト電極、６…加速電極。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上端にカソードが固着されたスリーブと、
   このスリーブの外側に同軸的に配設され半断面Ｖ字状に
   して内側の端部が該スリーブの下端に固着されたカソー
   ド支持筒と、このカソード支持筒外側に同軸的にして且
   つ上記カソードと所定間隔をおいて配設され内面下端部
   に上記カソード支持筒の外側の端部が固着されたウエネ
   ルト電極と、このウエネルト電極と同軸的にして且つ所
   定間隔をおいて配設された加速電極とを具備してなるビ
   ーム直進形マイクロ波管の電子銃構体において、 上記ウエネルト電極は、上記スリーブに対し３倍以上の
   熱膨張率の材料により構成されてなることを特徴とする
   ビーム直進形マイクロ波管の電子銃構体。