JPH0713106U - 水田作業機における苗載台の横送り構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 走行機体の後部に苗載台を左右往復動自在に
支持した水田作業機において、苗載台が左右往復動する
ときに、横方向の遊びが発生しないようにして、植付精
度の向上を図ることができるようにする。 【構成】 苗載台１４の背面に、機体側に支持されるス
ライド軸２２を設け、該スライド２２に左右方向のラッ
ク部２４を設けると共に、機体側には上記ラック部２４
に噛合する係合体２６を設け、該係合体２６をラック部
２４側に弾性付勢して左右往復動する苗載台１４の遊び
を除去した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、走行機体の後部に苗載台を左右往復動自在に支持した水田作業機に おける苗載台の横送り構造に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に多条植田植機等の水田作業機においては、走行機体の後部に左右往復動 自在の苗載台を設けて、該苗載台から苗受板上に送り出された苗を、植付作動す るプランタが単位植付株ごとに掻取って圃場に植付けるようにしている。 このような水田作業機では、走行機体の後部に支持された苗載台を機械的に左 右往復動させるに当り、機体の前後の重量バランスを図るため、機体の前部に位 置するミッションケース内に、スクリューシャフトに螺合して左右に移動するス ライドブロックを収納し、該スライドブロックと苗載台との間を、回動軸で連結 した前後の揺動アーム等からなるリンク機構で連結して、苗載台を左右往復動さ せるようにしたものが知られている。

【０００３】 ところが、スライドブロックと苗載台とを連結した多数の部品からなるリンク 機構には、どうしても遊びがあるので、苗載台側にも遊びが発生して左右往復動 が不均一になり、また不用意に外力が作用しても苗載台が動いて不安定な状態と なり、このため苗を掻取る際に床土のみだれ等が生じて植付精度が低下するうえ 、外観品質上も好ましくないという問題があった。 本考案は上記のような問題点を解消すべく創案されたものであって、苗載台を 左右往復動させるリンク機構等に遊びがあっても、苗載台側に遊びが発生するの を確実に防止して、植付精度の向上を図ることができる水田作業機における苗載 台の横送り構造を提供することを目的としたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、本考案が講じた技術的手段は、走行機体の後部に 苗載台を左右往復動自在に支持した水田作業機において、上記苗載台の背面に、 機体側に支持されるスライド軸を設け、該スライド軸に左右方向のラック部を設 けると共に、機体側には上記ラック部に噛合する係合体を設け、該係合体をラッ ク部側に弾性付勢して、左右往復動する苗載台の遊びを除去したことを特徴とす るものである。

【０００５】

【作用】

したがって本考案によれば、走行機体の後部に支持される苗載台は、苗載台の 背面に設けたスライド軸が機体側に支持されて左右に往復動する。そしてスライ ド軸に設けたラック部に、機体側に設けた係合体が弾性付勢されて、常時係合体 がラック部に噛合する。このため苗載台を機械的に左右往復動させて植付作業を 行う際に、苗載台に遊びが発生したり、外力によって動いたりすることがないの で、安定状に支持された苗載台から整然と苗を掻取って精度のより植付作業を行 うことができる。

【０００６】

【実施例】

つぎに本考案の一実施例を添付した図面について詳細に説明する。まず図６に おいて、１は、水田作業機として例示した走行型田植機の走行機体であって、エ ンジン部２を搭載した機体フレーム３の下部にフロート４が設けられ、その両側 にはチエンケース５に支持された左右の走行車輪６が配設されている。７はエン ジン部２を覆うボンネットである。 上記フロート４はその後部が連結部材８を介して上下揺動自在に枢支され、か つ、その前部側が機体フレーム３に対して上下接近離間自在となっている。また 走行車輪６を支持したチエンケース５は、その基端部がミッションケース９から 突出した回転軸１０の外周に上下揺動自在に枢支されていて、チエンケース５内 に設けたチエン伝動機構により、回転軸１０からの動力が走行車輪６に伝達され る。 １１は油圧シリンダ１２等からなる油圧制御機構であって、田面を滑走するフ ロート４の上下動およびローリングを感知して左右の走行車輪６を同時に、ある いは互に反対向方に上下動させて機体姿勢を水平制御するものである。 １３は機体フレーム３の後端から後方上方に向けて延設された操作ハンドルで あって、該操作ハンドル１３の前面には、前低後高状の苗載台１４が左右往復動 自在に支持されている。１５は上記苗載台１４の下端に臨んで設けた苗受板、１ ６はその下方に設けた植付作動するプランタであって、該プランタ１６が苗受板 １５上に送り出された苗を掻取って圃場に植付ける。

【０００７】 そして左右往復動自在に支持される苗載台１４の横送り構造は次のように構成 されている。すなわち、１７は苗載台１４の下端側に設けた下レールであって、 該下レール１７が機体フレーム３に固定された支持フレーム１８に、スライドピ ースを介して左右褶動自在に支持されており、また苗載台１４の上部側に設けた 上レール１９がガイドローラ２０に支持されて、苗載台１４が左右往復動自在と なっていることは、従来と同様である。 ２１は苗載台１４の略中央後面に設けた遊び取り機構であって、図１〜図４に 示すように左右方向のスライド軸２２が苗載台１４の両端に端けたブラケット２ ３，２３に固定されており、該スライド軸２２の後面には、１ｍ／ｍ〜２ｍ／ｍ 程度の細かいピッチのラック部２４が形成されている。一方、前記操作ハンドル １３の立上り部に取付部材２５が溶着され、該取付部材２５には、リンク状の係 合体２６が支点軸２７を介して回動自在に軸支されている。また操作ハンドル１ ３に固定された他の取付部材２８と上記係合体２６の端部との間には引張り弾機 ２９が張設されていて、係合体２６の先端が、図５に示すように、常時ラック部 ２４と噛合するように弾性付勢されている。

【０００８】 ３０は上記遊び取り機構２１を覆う格納ボックスであって、該格納ボックス３ ０は止め部材３１を介して操作ハンドル１３に固定されており、格納ボックス３ ０の両側板３２に設けた挿通孔３３に前記スライド軸２２が摺動自在に挿通され ている。また上記格納ボックス３０には、スライド軸２２に前方から接する円弧 状の案内溝が形成された一対の案内ローラ３４が軸支されている。 ３５は苗載台１４に設けた苗ホルダであって、該苗ホルダ３５に作動アーム３ ６の上端が連結されており、作動アーム３６の基端部が前後方向の回動軸３７に 固定されている。そして上記回動軸３７の前端に固定した駆動アーム３８を、ミ ッションケース９内の図示しないスクリューシャフトに螺合したスライドブロッ クに連結したリンク機構が形成されていて、スライドブロックに連動した作動ア ーム３６が苗ホルダ３５を移動させることにより、苗載台１４が左右往復動する ようになっている。３９は苗載台１４に設けた苗縦送り装置である。

【０００９】 上記の如き構成において、植付作業を行うに当っては、走行機体１に支持した 苗載台１４が機体の走行に伴って左右往復動し、苗載台１４から苗受板１５に送 り出された苗をプランタ１６が掻取って圃場に植付けてゆく。このとき左右往復 動する苗載台１４は、ブラケット２３，２３に固定されたスライド軸２２が、前 方から案内ローラ３４で案内され、その後方からは弾性付勢された係合体２６で 押圧されているので、苗載台１４に前後方向の遊びが生ずることはない。そして 上記係合体２６の先端が、常時スライド軸２２のラック部２４に噛合しているの で、苗載台１４を往復動させるリンク機構等に遊びがあっても、苗載台１４側に 遊びが生ずることはなく、また不用意に外力が苗載台１４に作用しても、苗載台 １４が動くことはないので、苗載台１４は常に安定した状態で均一に左右往復動 する。このため、苗載台１４から苗受板１５に送り出された苗をプランタ１６が 整然と掻取って、床土のみだれ等を生ずることなく、精度の良い植付作業を行う ことができる。 しかも遊び取り機構２１は係合体２６を設けただけの簡単な構造であるため、 取付操作が容易なうえ、引張り弾機２９でラック部２４に弾性付勢される係合体 ２６は、特に調整する必要がないので、保守点検作業も容易に行うことができる 。

【００１０】

【考案の効果】

これを要するに本考案は、走行機体の後部に苗載台を左右往復動自在に支持し た水田作業機において、上記苗載台の背面に、機体側に支持されるスライド軸を 設け、該スライド軸に左右方向のラック部を設けると共に、機体側には上記ラッ ク部に噛合する係合体を設け、該係合体をラック部側に弾性付勢して、左右往復 動する苗載台の遊びを除去したことから、走行機体の後部に支持される苗載台は 、背面に設けたスライド軸が機体側に支持されており、しかも、スライド軸に設 けたラック部に、弾性付勢された係合体が常時噛合しているので、左右往復動す る苗載台に、横方向の遊びが発生するのを確実に防止することができる。このた め、安定状に支持された苗載台から整然と苗を掻取って圃場に植付けることがで きるので、床土のみだれ等を生ずることなく植付精度の向上を図ることができる 。しかもラック部に噛合する係合体を設けるだけの簡単な構造であるため、組立 性が良好なうえ、弾性付勢された係合体は特に調整等の必要がないので、保守点 検作業等も容易に行うことができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】要部の背面図である。

【図２】同上斜視図である。

【図３】係合体の平面図である。

【図４】同上背面図である。

【図５】同上一部の拡大平面図である。

【図６】水田作業機の全体側面図である。

【符号の説明】

１ 走行機体 １４ 苗載台 ２２ スライド軸 ２４ ラック部 ２６ 係合体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行機体の後部に苗載台を左右往復動自
   在に支持した水田作業機において、上記苗載台の背面
   に、機体側に支持されるスライド軸を設け、該スライド
   軸に左右方向のラック部を設けると共に、機体側には上
   記ラック部に噛合する係合体を設け、該係合体をラック
   部側に弾性付勢して、左右往復動する苗載台の遊びを除
   去したことを特徴とする水田作業機における苗載台の横
   送り構造。