JPH07128474A - 原子炉炉心 - Google Patents

原子炉炉心

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JPH07128474A
JPH07128474A JP5275387A JP27538793A JPH07128474A JP H07128474 A JPH07128474 A JP H07128474A JP 5275387 A JP5275387 A JP 5275387A JP 27538793 A JP27538793 A JP 27538793A JP H07128474 A JPH07128474 A JP H07128474A
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JP
Japan
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fuel
control rod
rods
effective portion
reactor core
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JP5275387A
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English (en)
Inventor
Atsuji Hirukawa
厚治 蛭川
Kiyoshi Ueda
精 植田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】炉停止余裕およびスクラム特性を改善する。 【構成】燃料被覆管内のガスプレナムの全部または一部
を下方に設け、燃料被覆管上部のばね室の長さを短くし
て燃料棒6aを構成し、この燃料棒6aにより燃料集合
体1を構成する。一方、先端構造材44の中央部分を切り
欠いて制御棒取扱い用ハンドル窓42を設けた制御棒2a
を構成する。上部構成の燃料集合体1を4体2×2行配
列し、これらの燃料集合体の中央に制御棒2aを挿入し
て原子炉炉心を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は沸騰水型原子炉に使用さ
れる原子炉炉心に関する。
【0002】
【従来の技術】沸騰水型原子炉の炉心を図12により説明
する。図12において符号1は燃料集合体で、これらの燃
料集合体1が2行2列配列して4本1組となった燃料セ
ルを構成し、燃料セル内の中央に十字状に形成される間
隙31に十字状翼部を有する制御棒2が挿入され、これら
の燃料セルが多数格子状に配列されて炉心を構成してい
る。燃料集合体1は上部が炉心上部格子板3で包囲さ
れ、下部が炉心支持板4に支持されている。
【0003】燃料集合体1は図13に示したようにチャン
ネルボックス5内に多数本の燃料棒6がスペーサ7によ
って等間隔を保ち、各々の燃料棒6の上下両端が上部タ
イプレート8及び下部タイプレート9に固定している。
上部タイプレート8の下面に接して燃料棒6の上部には
圧縮ばね10が挿着されている。上部タイプレート8には
把手11が取着され、冷却水流出する流出口12と燃料棒6
の上端栓を挿着支持する支持孔13が形成されている。
【0004】チャンネルボックス5の上部外面にはチャ
ンネルパッド14が設けられ、このチャンネルパッド14は
炉心上部格子板3の梁に接する。また上端角部にチャン
ネルファスナ15が挿着され、ボルト19でチャンネルボッ
クス5が上部タイプレート8で固定され所定位置に保持
される。下部タイプレート9には冷却水を流入する流入
口16と燃料棒6を支持固定するための燃料棒支持孔17が
設けられ、下方には開口18が設けられている。
【0005】一方、制御棒2は図14に示したように十字
状翼部20と、この十字状翼部20の上部に設けられた上部
ハンドル21と、下部に接続された支持スカート22とから
なり、十字状翼部20内には中央構造材23と、この中央構
造材23に支持された多数本のポイズンチューブ24を並列
配置したシース25とからなっている。
【0006】支持スカート22の中心軸に制御棒駆動軸切
り放し用ハンドル26を設け、支持スカート22の下端にス
ピードリミタ27および制御棒駆動装置の接続ソケット28
を設け、スピードリミタ27にガイドローラ29を設けてい
る。上部ハンドル21にもガイドローラ30を設けている。
【0007】燃料集合体1の燃料棒6は被覆管内に多数
個の燃料ペレットを装填し、被覆管の上部を上部端栓で
密封し、下部を下部端栓で密封し、燃料ペレットと上部
端栓との間の上部領域にガスプレナムとコイルばねを設
けたものからなっている。
【0008】ガスプレナムは原子炉の運転中に燃料ペレ
ットから発生する核分裂生成ガスを捕集し、コイルばね
は燃料ペレットに力を加えて輸送中に燃料ペレットが移
動するのを防止している。
【0009】ところで、沸騰水型原子炉においては燃料
集合体内の冷却材流路を冷却水が昇流する途中、燃料棒
からの伝熱により沸騰し、蒸気と液滴の混合流(二相
流)となる。冷却材が昇流する過程で燃料棒表面または
チャンネルボックス内面との摩擦圧損、位置圧損、燃料
棒を燃料集合体にまとめるために設けられているスペー
サまたは上下タイプレートによる局所圧損(流路断面拡
大・縮小と摩擦による圧損)などの圧損を生じる。この
圧損は蒸気を含まない単相流と二相流とを比較すると二
相流の方が大きい。
【0010】従来の核分裂生成物を捕集するガスプレナ
ムは燃料棒の上端領域であり、この軸方向部位では通常
高ボイド率(約70%以上)になっている。従って、ガス
プレナムの長さ程度(約30〜40cm)の二相流領域が燃料
有効部の上方に余分にあることになる。
【0011】従って、このような二相摩擦圧損を単相摩
擦圧損に置き換えることにより燃料集合体の全体圧損を
低減するために、ガスプレナムを燃料要素の下部に持っ
てくることは、燃料集合体の圧損低減、炉心またはチャ
ンネル安定性の向上の点から意義がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】燃料棒のガスプレナム
を燃料ペレット重積の下方に移動するということは、燃
料ペレット重積上方のばね室長さをどの程度短くできる
かによるが、燃料ペレットが充填されている領域(燃料
有効部)が燃料集合体の軸方向において従来より約15〜
20cm上方に移動する事になる。
【0013】ガスプレナムが従来燃料棒の上部にのみ配
置されている燃料集合体を使用していた炉心において運
転開始後、取り替え燃料としてガスプレナムを燃料要素
の下端に移した設計を採用した場合次の問題が生じる。
【0014】一つは、制御棒を挿入引き抜きストローク
の全ストローク挿入を行っても、従来の炉心に装荷され
ている制御棒では、燃料有効長部分が上方に移動した長
さ分制御棒で反応度を抑える事ができない領域が増加
し、炉停止余裕が悪化する。
【0015】二つ目は出力運転中の状態において、炉心
の余剰反応度を抑制するために挿入されている少数の制
御棒以外は、全ストローク引き抜き状態にあるが、従来
の炉心に装荷されている制御棒では、制御棒有効部の上
端が燃料有効部の下端よりも少なくとも15cmは下方に位
置し、スクラム時のスクラム反応度曲線の立ち上がりが
劣化し、過渡特性、事故特性が悪化する。
【0016】この様な問題に対して、容易な対策は制御
棒の中性子吸収物質が備えられている有効部をそれに応
じて上方に移動する事であるが、その対応が難しい。す
なわち、図13に示したように燃料集合体1は複数個の燃
料ペレットを被覆管内に充填し両端部を端栓で密封して
なる複数本の燃料棒6を格子状に配列し、軸方向に複数
個間隔をおいて配設したスペーサ7により燃料棒6を横
方向に間隔を保持し、上部タイプレート8、下部タイプ
レート9で燃料棒6を結束して燃料束を形成し、この燃
料束を角筒状のチャンネルボックス5で囲繞して、この
チャンネルボックス5内に冷却材流路を形成している。
【0017】チャンネルボックス5はタイプレート8に
ボルト19でチャンネルファスナ15を介して固定され所定
位置に保持される。また、チャンネルボックス8の制御
棒2が挿入される2面には、炉心上部格子板3の燃料セ
ル分の正方形の格子枡に配される隣接する4体の燃料集
合体1が互いに押圧して炉心上部格子板3の梁に接する
ようにパッド14が設けられている。
【0018】従って、制御棒2の全長はスクラム時に制
動バッファーにより制動されるが、全ストローク挿入時
に一時的に上方にオーバートラベルしても制御棒2の先
端が前記チャンネルファスナ15およびチャンネルパッド
14に衝突しないことが制限となる。
【0019】これらのチャンネルファスナ15、パッド14
の軸方向位置は燃料集合体1の燃料有効部が上方に約15
cm以上移動しても炉内構造物、特に炉心上部格子板3の
軸方向位置が変わらない以上、燃料集合体1の上部の横
方向へ支持する関係から、大きくは上方に移動できな
い。
【0020】従来の制御棒2では既にガスプレナムが燃
料棒6の上部にあるにも係わらず、制御棒2の全ストロ
ーク挿入状態で制御棒有効部と燃料集合体1のチャンネ
ルファスナ15の下端との距離は約40cmの軸方向空間しか
ない。
【0021】スクラム時のオーバートラベル量と制御棒
2の上端に設ける構造材と制御棒取扱い用上部ハンドル
21の長さの合計長さを図14に示すようにl4 として、最
低でも約20cmの長さが必要である。
【0022】前述のように燃料集合体1の有効部が約15
〜20cm上方に移動するのに合わせて、制御棒2を上方に
約15〜20cm延伸すると、上部ハンドル21の上端とチャン
ネルファスナ15の下端との軸方向空間に余裕がない事に
なる。本発明は上記課題を解決するためになされたもの
で、炉停止余裕及びスクラム特性を改善した原子炉炉心
を供給することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は2行2列配置さ
れた4体の燃料集合体により1組の燃料セルが形成さ
れ、この燃料セル内の十字形間隙に十字形翼部を有する
制御棒が挿脱自在に設けられ、前記燃料セルが格子状に
多数配置された原子炉炉心において、前記燃料集合体の
燃料棒は燃料ペレットの下方に全ガスプレナム容量の全
部または一部のガスプレナムを有し、前記制御棒は制御
棒有効部上端が前記十字形翼部の中央部分を切り欠いた
制御棒取扱い用ハンドル窓部を有することを特徴とす
る。
【0024】また、制御棒の挿入引き抜きストロークの
全挿入状態において、制御棒の有効部上端が燃料集合体
の有効部上端より約10cm下方位置よりも上方側にあり、
制御棒の挿入引き抜きストロークの全引き抜き状態にお
いて、制御棒の有効部上端が燃料集合体の有効部上端と
同じ位置または5〜10cm以下のレベル差で下側にあるこ
とを特徴とする。
【0025】さらに燃料棒内のガスプレナムを燃料ペレ
ット重積の下方に15cm以上の長さで設け、ペレット重積
上方のばね室の長さが短い燃料棒を用いた燃料集合体を
炉心に装荷してなることを特徴とする。
【0026】
【作用】燃料棒の下部にガスプレナムを設けて、燃料有
効部が従来よりも少なくとも15cm以上上方に移動する場
合の炉心性能に及ぼす課題を解決するため、制御棒スト
ローク全引き抜き状態において制御棒有効部の上端位置
を燃料集合体の有効部の下端と同じ位置または5〜10cm
以下の下方にするよう、制御棒の駆動軸との接続ソケッ
トと制御棒有効部下端の間の部分(スカート部)を約15
〜20cm伸ばすことによって、制御棒の有効部も上方に移
動する事ができる。
【0027】これにより制御棒によってコントロールさ
れる燃料集合体有効部の軸方向区間長さが維持され、制
御棒全ストローク引き抜き時の制御棒有効部上端と燃料
集合体有効部下端との位置関係も従来通り維持されるの
で、炉停止余裕およびスクラム反応度に対する性能劣化
が防止できる。
【0028】また、制御棒の先端は、上端構造材、制御
棒取扱い用上部ハンドル、制御棒有効部上端が一体にな
って構成されており、先端構造部が従来よりも短い。し
たがって、制御棒全長の長さが余り延伸されないので、
燃料集合体上部構造材であるチャンネルファスナ、パッ
ドと制御棒の上端が干渉しないように十分な軸方向空間
の余裕が確保できる。また、制御棒全体の重量の増加も
抑制されるので、スクラム挿入速度の低下、制御棒落下
速度の増加というマイナス面が軽減される。
【0029】
【実施例】図1から図6を参照しながら本発明に係る原
子炉炉心の第1の実施例を説明する。図中、図12から図
14に示した部分と同一部分には同一符号を付している。
第1の実施例は図1に示すように互いに隣接配置された
4体の燃料集合体1を含む多数の燃料セルと、この燃料
セル内の前記各々の燃料集合体1に取り囲まれる位置に
挿入可能な十字状翼部を有する制御棒2aとによって原
子炉炉心が構成されている。
【0030】燃料集合体1の構造については図13に示し
たものとほぼ同様なのでその説明は省略するが、燃料棒
6aについては従来例と異なるので図2により説明す
る。図2において、細長い被覆管32内には燃料ペレット
33が多数個装填されているが、被覆管32内の上部にはコ
イルスプリング34が挿入されたばね室35が設けられ、こ
のばね室35の上方には下面に円板36を有する上部端栓37
が設けられて被覆管32の上端部を閉塞している。
【0031】また被覆管32内の下部にはカラー38が設け
られてガスプレナム39が形成され、カラー38には多数の
連通孔40が設けられている。カラー38の下端部には下部
端栓41が設けられて被覆管32の下端部を閉塞している。
被覆管32はジルコニウムの合金である熱中性子吸収断面
積の小さいジルカロイで作ることが望ましい。
【0032】上部端栓37と下部端栓41は共にジルカロイ
製で、被覆管32の両端に溶接して原子炉冷却材が燃料と
接触し、そして核分裂生成ガスが燃料棒外に流出する事
を防止する。被覆管内にはウラン、プルトニウム等の核
分裂し得る燃料材料(燃料ペレット33)を充填する。図
2に示した燃料棒6aは被覆管内に重積した円柱ペレッ
ト形である。
【0033】燃料棒6aは原子炉運転中燃料ペレット33
から放出される核分裂生成ガスを捕集するガスプレナム
39とばね室35をペレット重積部の両端に配する。前記ガ
スプレナム39は下端に設ける。ガスプレナム39にはSUS
またはジルコニウム合金製中空円筒のカラー38を下部端
栓41の上に載せ燃料ペレット33の重積の荷重を受けつつ
ガスプレナムとしての空間を確保する。
【0034】カラー38は上下端にペレット重積の荷重を
受ける円盤を固着し、円筒胴部に内外連通孔40を設けて
ある。カラー38の材料としては構造体積ができるだけ小
さくて、ペレット荷重を受ける性能の高いものがよい。
中性子吸収の少ない事は2次的な要求である。
【0035】カラー38内にはゲッター材として純ジルコ
ニウムを小量充填または別個の容器に入れたゲッター材
をカラー38内に入れても良い。ガスプレナム39の容積は
燃料集合体の炉内滞在中に燃料ペレット33から放出され
る核分裂生成ガスの量から決める。
【0036】この例では、ばね室35の長さを燃料による
燃料ペレット33の重積の伸びを吸収できる程度のできる
だけ短い長さにし、コイルスプリングの上端と上部端栓
の下面との間に、上部端栓と被覆管を接するときの熱障
壁を構成するため、上部端栓下面からくびれ部を介して
下方に円板36が突出している。
【0037】図3は本実施例の制御棒2aを示す斜視図
(一部破断面)であり、図4は制御棒6aの上端の部分
拡大断面図であり、これら図3および図4により本実施
例の制御棒2aについて説明する。
【0038】図3において制御棒中心軸の十字状断面の
中央構造材23の各脚には、細長いU字状断面のシース25
をそれらの開口部において取り付けて十字状翼部20が形
成してある。また、各翼部20内には中性子吸収棒材が充
填された多数本のポイズンチューブ24が装填されてい
る。
【0039】翼部20下端にはスカート部22が設けられ、
このスカート部22の下端にスピードリミッター27を備え
ている。スカート部22の長さh´は従来の制御棒2より
も例えば15cm以上、燃料集合体の有効部が従来燃料集合
体よりも上方に移動した分だけ対応して長くなってい
る。
【0040】翼部20の上端は制御棒中心軸にほぼV字形
または長方形に切り欠いて制御棒取扱用ハンドル窓42を
設け、この切り欠き窓42を囲み且つ翼部20の上端に十字
形に板材43を張りだした先端構造材44を固定する。スカ
ート部22の中心軸には制御棒駆動軸切り放しハンドル26
を設け、制御棒下端に駆動軸との接続ソケット28を設け
ている。
【0041】上端構造材44の翼部先端には制御棒が燃料
集合体間の間隙にスムーズに挿入または引き抜きされる
ようガイドローラー30をそれぞれの翼に設ける。また下
端構造材であるスピードリミッター27にも制御棒案内管
の内面に摺動して案内するガイドローラー29を設ける。
【0042】制御棒の構造材は基本的に中性子吸収棒を
除いて、ステンレス鋼である。中性子吸収棒は炭化ホウ
素(B4 C)、ハフニウム(Hf)等中性子吸収物質を
充填したステンレスまたはハフニウム(Hf)管、Hf
の中空管、Hfの中実棒等が用いられる。
【0043】図4(a)の制御棒先端を拡大した図4
(b)に示すように、制御棒有効部先端は制御棒取扱用
ハンドル窓42を下方から囲む様に前記ハンドル窓42の上
辺位置近傍まで達している。これにより制御棒有効部
(長さl2 )の上部に突出するハンドル部の長さは従来
のほぼ1/3 から1/2 にできる。
【0044】図3および図4により本発明の第1の実施
例の作用を説明する。本発明の制御棒は従来の制御棒と
は先端構造が異なり、中性子吸収有効部が機械的許容範
囲内で制御棒の先端ぎりぎりまで延伸されているので、
制御棒先端部においても十分な中性子吸収能力がある。
【0045】また、下部スカート22部の長さを従来の制
御棒より長くして、燃料有効部が上方に移動した分だ
け、制御棒有効部を上方に移動させた事により、制御棒
ストローク全引き抜き時、全挿入時の状態における制御
棒有効部と燃料有効部の軸方向相対位置を従来炉心と同
様に保つ事ができる。
【0046】さらに翼部20の有効部上端の中央に制御棒
取扱用ハンドル窓42を設けている。その結果、制御棒の
有効部を従来制御棒より15cm以上上方に延伸または移動
しても制御棒全長の長さの増加は20cm以下(5〜10cm)
なので、燃料集合体の上端構造材であるチャンネルファ
スナ、パッドとの間に十分な空間が確保できる。
【0047】本実施例によればガスプレナムを燃料棒の
下部に配置し、上部のばね室の長さを約10cm以下にでき
る限り短くする。これによって、燃料集合体の軸方向の
冷却材の流れによる摩擦圧損が、従来例では上部にのみ
約30cmの軸方向長さのガスプレナムを設けていた場合に
比較して、二相流圧損が約10%減り、その代わりにその
約1/3 の大きさの単相圧損に置き変わる。
【0048】この結果、燃料集合体の全体の圧損低減お
よび(二相圧損)/(単相圧損)の比も低減し、いずれ
も燃料集合体の核熱水力安定性(沸騰水型原子炉で言う
ところのチャンネル安定性、炉心安定性)を改善する方
向に働く効果がある。
【0049】次に、中性子吸収有効部が制御棒の先端ぎ
りぎりまで延在されているので制御棒先端においても十
分な中性子吸収能力がある事による、炉心の停止余裕へ
の効果を説明する。
【0050】本発明の炉心は制御棒の挿入引き抜きスト
ロークの全引き抜き状態において、制御棒の有効部(中
性子吸収物質充填区間)上端が、燃料集合体の有効部下
端と同じ位置または5〜10cm以下のレベル差で下側にあ
り、燃料要素内のガスプレナムを燃料ペレット重積の下
方に設け、ペレット重積上方のバネ室長さが15cm以下の
長さの燃料要素を用いた燃料集合体を装荷した炉心であ
る。
【0051】これは、図3に示す様に制御棒のスカート
部22を従来より約15〜20cm長くする事により実現でき
る。そして、挿入引き抜きストロークの全挿入状態にお
いて、制御棒有効部の上端は燃料有効部の上端と同じ
か、上端より下側でも約5〜10cm程度にする事ができ
る。
【0052】これに対し、従来制御棒のままで、燃料集
合体の燃料有効部が従来よりも約15〜20cm上方に移動し
た燃料集合体に組み合わせると、制御棒の全ストローク
挿入状態においても燃料集合体の燃料有効部上端の制御
棒でコントロールできない領域が約15〜20cm増加する。
【0053】炉停止余裕は、制御棒で制御されない燃料
有効部上部の領域が増加すると図5の様に炉停止余裕が
悪化するのが本実施例の炉心では防止できる。図5中、
曲線aは軸方向ブランケットの無い燃料の場合、曲線b
は軸方向ブランケットのある燃料の場合を示す。これに
より制御されない領域が5〜10cm以下であれば炉停止余
裕への小さい事が分かる。
【0054】制御棒の有効部を上方に従来よりも少なく
とも15cm以上上方に移動する事が何らかの理由でできな
い場合、炉停止余裕の改善は燃料集合体の軸方向の核設
計および燃料集合体の構造で対処するとして、スクラム
特性を改善するため、一部の少数の制御棒のみ制御棒有
効部の上端を燃料集合体有効部の下端近傍に位置するよ
う挿入する。
【0055】これによりスクラム曲線の立ち上がり特性
の劣化を防止することはできるが、しかしながら、制御
棒パターンによるスクラム特性の悪化防止対策であり、
運転員の誤操作により、これが期待できない可能性も有
り得る。
【0056】これに対し、本実施例では、制御棒全挿入
時に燃料集合体上端構造材(チャンネルファスナ、パッ
ド)と干渉することがなく、また、制御棒有効部を上方
に移動し、制御棒ストローク全引き抜き状態において、
制御棒有効部の上端が燃料有効部の下端近傍に位置する
ので、運転員の制御棒操作に頼る必要はなく、スクラム
特性の悪化を防止することができる。
【0057】図6(b)に本発明の実施例における炉心
の制御棒ストローク全挿入状態と全引き抜き状態の制御
棒と燃料の軸方向位置関係を示す。図6(a)は従来例
を比較のために示している。
【0058】燃料有効部の長さは従来と本実施例では同
じであり、制御棒有効部の長さも従来と本実施例では同
じか本実施例の方が長い。大きく異なるのは、従来の制
御棒では、制御棒先端構造部が制御棒有効部の上方に約
15ないし20cm設けられているのに対し、本実施例の制御
棒では制御棒先端構造部が制御棒有効部の上端部に一部
食い込む形で設けられ、制御棒先端構造の軸方向長さが
ほぼ同じでも制御棒有効部の上方への突出量が大幅に低
減されている事である。
【0059】また、制御棒の全重量の増加が大幅に緩和
されるので、スクラム速度低下、制御棒落下速度増加と
いう原子炉の過渡、事故悪化する傾向を防止できる。
【0060】つぎに図7および図8により本発明の第2
の実施例を説明する。なお、第2の実施例が第1の実施
例と異なる点は制御棒を改良した点にあり、その他は第
1の実施例と同様なので、異なった点についてのみ説明
する。
【0061】図7に示すように制御棒の十字状翼部20の
構造が図3に示すポイズンチューブ24(中性子吸収棒)
の変わりに中性子吸収板45例えばHf板を使用し、中性
子吸収板45を2枚重ね、水ギャップを設けて制御棒翼の
シース25内に収納したことにある。また、図8は図4と
対比しており、先端構造材44の下端部まで中性子吸収板
45を設けている。この第2の実施例は第1の実施例と作
用効果が同様なので、その説明は省略する。
【0062】図9は本発明の第3の実施例を示したもの
である。図7と同一部分は同一符号を付して異なった部
分のみ説明する。図9において、シース25,十字形タイ
ロッドの中央構造材23がハフニウム(Hf)材で構成さ
れ、シース25の内部には水ギャップを設け、先端構造材
44および支持スカート22部とはねじまたはリベット46に
より固定されている。
【0063】また、図9において、先端構造材44をHf
またはHf−Zr合金とし、前記シース25と溶接する
か、ねじまたはリベット46によって固定しても良い。こ
の場合先端構造材44も制御棒の有効部となるので、制御
棒の全長をさらに短く、つまり図9の例におけるl3
部分が制御棒有効部l2 の中に含まれる形となる。
【0064】制御棒取扱用ハンドル窓42の形状はこれら
の例ではほぼV字形(逆三角形)であるが四角形、円
形、楕円でも良い。なお、この窓42の下方および側面は
制御棒有効部で囲まれ、上記窓42の上端位置まで窓側面
の制御棒有効部がほぼ達していることが望ましい。ま
た、この窓42はできるだけ小さく、且つ操作しやすさの
点からはV字形が望ましい。
【0065】つぎに図10および図11により本発明の第4
の実施例を説明する。図11に図10における制御棒先端構
造部分を拡大して示す。この第4の実施例ではステンレ
ス鋼製の制御棒先端構造材44の取扱いハンドル部に一対
の耳47を設けている。この耳47の形および大きさは図11
に示すように全ストローク挿入状態において両方の耳47
つまり、双耳でハンドルを構成し、この双耳が燃料集合
体上端のチャンネルファスナ15とチャンネルパッド14を
避ける構造になっている。
【0066】この実施例によれば、制御棒有効部上端の
中性子吸収材装填面積が増加するので図3,7,9の例
よりも炉停止余裕、スクラム曲線の立ち上がり特性上有
利である。図10,図11の例は中性子吸収材の構成が図8
に対応した場合の、制御棒先端構造の変形例で示した
が、図3,図9の例に対する変形例としても採用でき
る。さらに、図9の例で前述したようにステンレス鋼の
代わりにHfまたはHf−Zr合金としても良い。
【0067】なお、これまでの実施例では燃料集合体の
有効部が下部ガスプレナムの導入により上方に15〜20cm
移動した場合、これらの燃料集合体に囲まれる制御棒も
本発明の制御棒にする事を記述したが、実際の原子炉運
用においては取り替え燃料から順次前記本発明の燃料に
置き換えれる事が考えられる。
【0068】そのような場合、炉心の中に分散して配置
されることになり、例えば導入の最初の運転サイクルで
は従来の燃料集合体が3体と本発明の燃料集合体が1体
とが制御棒を囲むことになり、燃料集合体間で燃料有効
部が上下にずれる事になる。この様な過渡期においては
制御棒の有効部は両方の燃料集合体をカバーできるよう
にする事が炉停止余裕の悪化を防止する上で望ましい。
【0069】そこでこの様な過渡期の炉心に置いては、
前述の図3から図9に示す本発明の制御棒の構造におい
て、支持スカート22部分の長さh´を従来制御棒の支持
スカート部長さhとほぼ同じにして、制御棒有効部長さ
2 の長さを従来制御棒より約15〜20cm長くすることも
できる。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、ばね室の長さが最小で
燃料集合体圧損の小さい燃料集合体と組み合わせて使用
する制御棒を提出でき、炉心およびチャンネル安定性が
改善される。
【0071】また、制御棒の有効部を上方に従来よりも
少なくとも15cm以上上方に移動する事が可能となり、炉
停止余裕の悪化防止、スクラム曲線の立ち上がり特性の
劣化が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子炉炉心の第1の実施例の要部
を示す斜視図。
【図2】図1において使用される燃料棒を示す縦断面
図。
【図3】図1において使用される制御棒を一部切欠して
示す斜視図。
【図4】(a)は図3における制御棒の上面図、(b)
は(a)におけるA−A矢視方向に沿って切断して示す
断面図。
【図5】本発明の実施例における炉停止余裕の劣化改善
を説明するための曲線図。
【図6】原子炉炉心における制御棒と燃料集合体の有効
部の位置関係を示す配置図で、(a)は従来例を示し、
(b)は本発明の第1の実施例を示す。
【図7】本発明に係る原子炉炉心の第2の実施例で使用
される制御棒を示す斜視図。
【図8】(a)は図7における制御棒の上面図、(b)
は(a)におけるB−B矢視方向に沿って切断して示す
断面図。
【図9】本発明に係る原子炉炉心の第3の実施例で使用
される制御棒を示す斜視図。
【図10】本発明に係る原子炉炉心の第4の実施例で使
用される制御棒を示す斜視図。
【図11】(a)は図10における制御棒の上面図、
(b)は(a)におけるC−C矢視方向に沿って切断し
て示す断面図。
【図12】従来の原子炉炉心の要部を一部切欠して示す
斜視図。
【図13】図12の原子炉炉心で使用される燃料集合体
を一部切欠して示す斜視図。
【図14】図12の原子炉炉心で使用される制御棒を一
部切欠して示す斜視図。
【符号の説明】
1…燃料集合体、2,2a…制御棒、3…炉心上部格子
板、4…炉心支持板、5…チャンネルボックス、6,6
a…燃料棒、7…スペーサ、8…上部タイプレート、9
…下部タイプレート、10…圧縮ばね、11…把手、12…流
出口、13…燃料棒上部支持孔、14…チャンネルパッド、
15…チャンネルファスナ、16…流入口、17…燃料棒下部
支持孔、18…冷却水流入開口、19…ボルト、20…十字状
翼部、21…上部ハンドル、22…支持スカート、23…中央
構造材、24…ポイズンチューブ、25…シース、26…制御
棒駆動軸切り放し用ハンドル、27…スピードリミタ、28
…接続ソケット、29,30…ガイドローラ、31間隙、32…
被覆管、33…燃料ペレット、34コイルスプリング、35…
ばね室、36…円板、37…上部端栓、38カラー、39…ガス
プレナム、40…連通孔、41…下部端栓、42…制御棒取扱
用ハンドル窓、43…板材、44…先端構造材、45…中性子
吸収板、46…ねじまたはリベット、47…耳。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2行2列配置された4体の燃料集合体に
    より1組の燃料セルが形成され、この燃料セル内の十字
    形間隙に十字形翼部を有する制御棒が挿脱自在に設けら
    れ、前記燃料セルが格子状に多数配置された原子炉炉心
    において、前記燃料集合体の燃料棒は燃料ペレットの下
    方に全ガスプレナム容量の全部または一部のガスプレナ
    ムを有し、前記制御棒は制御棒有効部上端が前記十字形
    翼部の中央部分を切り欠いた制御棒取扱い用ハンドル窓
    部を有することを特徴とする原子炉炉心。
  2. 【請求項2】 2行2列配置された4体の燃料集合体に
    より1組の燃料セルが形成され、この燃料セル内の十字
    形間隙に十字形翼部を有する制御棒が挿脱自在に設けら
    れ、前記燃料セルが格子状に多数配置された原子炉炉心
    において、前記燃料集合体の燃料棒は燃料ペレットの下
    方に全ガスプレナム容量の全部または一部のガスプレナ
    ムを有し、前記制御棒は制御棒有効部上端に設けられた
    上端ハンドル部が双耳形状に形成され、前記燃料集合体
    の前記制御棒挿入側の側面に突出して先端構造材が設け
    られていることを特徴とする原子炉炉心。
  3. 【請求項3】 前記先端構造材はハフニウムまたはハフ
    ニウム・ジルコニウム合金からなることを特徴とする請
    求項2記載の原子炉炉心。
  4. 【請求項4】 前記制御棒有効部の上端は前記燃料集合
    体の有効部下端と同じ位置または5〜10cm以下のレベル
    差で下側に位置していることを特徴とする請求項1から
    3記載の原子炉炉心。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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