JP2523615B2 - 軽水炉の炉心 - Google Patents

軽水炉の炉心

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JP2523615B2 JP62085748A JP8574887A JP2523615B2 JP 2523615 B2 JP2523615 B2 JP 2523615B2 JP 62085748 A JP62085748 A JP 62085748A JP 8574887 A JP8574887 A JP 8574887A JP 2523615 B2 JP2523615 B2 JP 2523615B2
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は軽水炉の炉心に係り、特に運転サイクルが長
くかつ炉停止余裕の大きい軽水炉の炉心に関する。
(従来の技術) 軽水炉の炉心は、多数の燃料棒を規則正しく束ねた多
数の燃料集合体から構成されており、各燃料棒間には減
速材の機能を兼ねた冷却材である軽水が、炉心の下方か
ら上方に向って流れており、各燃料棒から放出された熱
を除去している。このため、原子炉が高出力ないし定格
出力で運転されているときの軽水は高温高圧となってい
る。ちなみに、沸騰水型原子炉(BWR)では水温は約286
℃,沸騰していない状態での水の密度は約0.74g/cm3
なっている。沸騰時の気泡を含めた水の密度は0.2〜0.3
程度になる場合がある。一方、加圧水型原子炉では水温
は310〜330℃にも及び、水の密度は0.66g/cm3(0.69〜
0.64)になる場合がある。
ところで、これらの原子炉では原子炉運転中は大多数
の制御棒が炉心から引抜かれており、原子炉停止中は全
ての制御棒が挿入されている。原子炉停止中に何らかの
事情により反応度価値の最も大きい制御棒が炉心から引
抜かれた場合でも、原子炉は停止状態を保持できなけれ
ばならない。このことをその原子炉は停止余裕があると
いう。
原子炉に使用される燃料は、原子力発電の経済性向上
の点から、燃料に含まれる核分裂性核種の濃度(濃縮
度)を高める方向にある。燃料の濃縮度を高めると核分
裂が起り易くなるため、その結果として停止余裕は小さ
く、即ちきびしくなる傾向にある。停止余裕がなくなれ
ば、万一原子炉を停止しなければならない時に停止でき
なくなる場合が生じることになるから、停止余裕は確保
しなければならない。停止余裕は一般に経済性向上への
要求に逆行する性質を有している。現在でも、燃料内に
可燃性毒物を添加したり、冷却水の中にボロンを添加す
るなどして停止余裕の確保の為の工夫がなされている
が、一方では経済性を向上させる要求は一段と高まって
おり、これに応えるためにもなお一層の工夫が不可欠と
なってきている。
次に、軽水炉に用いられた従来の燃料集合体の代表例
を図面を参照して説明する。
第6図(a)および第6図(b)はそれぞれ従来のBW
Rの燃料集合体の斜視図および燃料集合体を構成する燃
料棒の概略縦断面図である。同図(a)において、燃料
集合体は水棒(図示せず)と燃料棒2を上部タイプレー
ト4,スペーサ5,下部タイプレート6により固定し、その
外側をチャンネルボックス1で取囲むように構成されて
いる。燃料棒2は同図(b)に示すように、被覆管7内
に燃料ペレット8を配設し、その上部のガスプレナムに
スプリング9を設け、上端に上部端栓10を下端に下部端
栓11を設けている。
第7図(a)は第6図(a)に示す従来の燃料集合体
からなるBWRの炉心横断面図、同図(b)は同図(a)
のセルの拡大図である。チャンネルボックス1内には62
本の燃料棒2と2本の水棒3が配列されて燃料集合体を
構成している。水棒3は集合体内部で減速材である水が
不足するのを抑制しているが、この水棒3は軸方向に一
様であるため炉心下方では水過剰、上方では水不足にな
るという問題点がある。
一方、PWRの炉心は制御棒クラスタ付き燃料集合体12
と制御棒クラスタ無し燃料集合体13とが第8図に示すよ
うに、炉心バッフル14内に規則正しく配置されている。
第9図に制御棒クラスタ付き燃料集合体12の斜視図を、
また第10図に第9図の制御棒クラスタ付き燃料集合体の
横断面図を示している。これらの図に示すように、この
燃料集合体12は燃料棒15と制御棒を挿脱する制御棒案内
管16を規則正しく配置し、上部ノズル17,スペーサ18,下
部ノズル19で固定されている。このような構成のPWRの
炉心でも炉停止余裕とともに経済性を向上する要求が一
段と高まってきており、これに応えるための工夫が要求
されている。
(発明が解決しようとする問題点) 上述したように、軽水炉の停止余裕を確保しようとす
ると、従来の技術では原子力発電プラントの経済性向上
をこれ以上望めないという不具合があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的
は、原子炉の停止余裕を改善することによって原子力発
電プラントの経済性向上に寄与することができる軽水炉
の炉心を提供することにある。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するために、本発明は多数の燃料棒を
規則正しく束ねた燃料集合体の軸がそれぞれ垂直で互に
平行になるように配置された炉心と、前記各燃料棒間に
その燃料棒の下方から上方に向って冷却材である軽水が
流れるように構成された軽水炉の炉心において、前記炉
心の一部分または全体を上下方向に少なくとも2ケの炉
心切片に分割するごとく所定幅の核分裂性核種濃度を大
幅に低下させた介在領域を配置し、前記介在領域の幅を
3cmから8cmとしたことを特徴とするものである。
(作 用) 上記したように、本発明の炉心構成によると、核分裂
性質濃度の低い領域(介在領域)を挟んで上下の燃料領
域の中性子相互作用(結合効果)が減少し、その結果停
止中の炉の未臨界度をより大きく(深く)することがで
き、また原子炉運転中の不要な過剰反応度が抑制され、
サイクル末期で過剰反応度がなくなり結合効果がよくな
り、その結果運転サイクルを延長することができる等に
より燃料の健全性が保たれる 先ず、本発明の原理について説明する。
炉心の実効増倍率をkeffとする。(ここでは簡素化の
ためkで表わし“eff"を省略する) そうすると、修正1群モデル(軽水炉のkに関する記
述として簡単で信頼性が高い)では下記のように表わせ
る。
ここで、k…無限増倍率 M2…中性子移動面積 B2…バックリング(cm-2単位) kは炉心設計では、通常、便宜的に各点(又は一定
の体積点)における核分裂による中性子放出率と中性子
吸収率との比として取扱われる。
M2はM2=τ+L2で表わされる。τはフェルミ年齢で、
炉心設計では高速中性子の移動面積と呼ばれる。
なお、τ=τ+τ(又はτ+τ)であり、τ
はこのように更に高速(fast)中性子と熱外(epitherm
al)中性子に分けることもあるが、本発明ではここまで
分けて説明する必要は殆どない。
L2は熱中性子移動面積(熱中性子拡散係数と吸収断面
積の比で与えられる)、 は中性子移動距離、 は熱中性子移動距離、また、B2はバックリング(cm-2
位)であり、B2=Br 2+Bz 2で表わせる。Br 2は半径方向
バックリング,Bz 2は軸方向バックリングである。
ところで、kの値は中性子炉物理学としては臨界近傍
では体系全体で定義されるが、本発明では、kに空間
依存性を取り入れる炉心設計の立場に立つので、k値も
上式を用い、空間依存性を取り入れたものとして取扱う
ことにする。
また動力用原子炉では、M2B2は0.03〜0.05程度、B2
0.0001〜0.0002(cm-2)程度、軸方向は通常平板状であ
り、炉心の高さをZ軸方向反射体節約(軸方向外挿距離
ということもある)をδ≡δ+δ(上側+下側の
意)とすれば、 で与えられる。
(未臨界体系を取扱うために反応度の定義で符号を変え
たもの) ρの値は中性子炉物理学における臨界近傍では体系全
体で定義されるが、本発明ではkに空間依存性を取り
入れる炉心設計の立場に立つので、(k→k→ρ)ρ
値にも空間依存性を取り入れたものとして取扱う。
したがって、本発明における未臨界度は上記した理由
で空間依存の未臨界度を論じている。炉心体系内でこの
ような未臨界度が小さい(臨界に近い)場所があると、
そこが臨界になり易いことを示す指標となる。
次に、本発明の作用を第2図を参照して説明する。第
2図(a)に示すように、炉心を軸方向に3分割し2個
の介在層が存在する場合について説明する。図において
各炉心片の未臨界度ρ12を求めると次のように
なる。
ここで、δは上下隣接炉心片の影響を取り入れた反
射体節約、Br 2は各炉心片とも共通する。炉心温度が上
昇すると、減速材の温度が上ったりボイドが発生する。
するとk は僅かに変化し(軽水炉では平均的には減
少する)、Mi2は増加し、δの増加によりBz 2は減少す
る。介在層の厚さd1,d2を適切に選ぶと、δが著しく
増大する。そして、各炉心片は一体的に結合し、軸方向
バックリングは一体化し、 となる。逆に炉心温度が下ると、介在層により各炉心片
が分割されたような特徴が現れてくる。これは、炉心温
度が下ると水の密度が上昇し、介在層の水が炉心を上下
に分割遮蔽する働きが現れてくるためである。このよう
に、介在層により冷温時(炉停止時)は炉心片を上下に
分割する機能が増大し、高温時は分離する機能が弱まる
(水の密度が低下するために、実質的にd1,d2が小さく
なる効果が現れる。これは結合効果といえる。)特性を
有する。d1,d2の値を適切に選定すると、高温時の水
(減速材)不足の効果を補う効果も現われて、介在層が
存在しない(d1,d2部も燃料あり)場合よりkeff値を多
少増大させることさえ可能となる。
介在層の厚さは、冷温時(炉停止時)の熱中性子の移
動距離より大きく、高温時(BWRでは更にボイド発生
時)のそれと同程度かやや小さい程度とするのが最適で
ある。具体的な値として好ましい範囲は3〜8cm程度で
ある。2cm未満では冷態時に分離機能が発生せず、10cm
以上では高温時の分離機能は弱まるものの、介在層が存
在しない時に比べて炉心の実効増倍率が減少し、運転サ
イクルの低減を招くため不利である。BWRでは介在層の
厚さは3〜8cmが好適であり、PWRでは介在層の厚さは3
〜5cmが好適である。それはBWRでは冷態から高温になる
と水の密度は1/3になるので、中性子移動距離は3倍と
なるが、PWRでは冷態から高温になっても水の密度は0.6
5程度にしか減少、従って中性子移動距離も2倍以内に
しか増大しない。このように介在層の厚さが異なる理由
の一つは、上記したように介在層が存在する近傍の減速
材密度,減速材対燃料体積比,燃料の中の核分裂性核種
濃度等によって分離,結合効果が影響を受けるためであ
る。
しかして、介在層が分離効果を発揮する冷態時では、
Bz2が急増するために、各炉心片のkiが減少し、ρ(未
臨界度)が増大する。介在層が結合効果を発揮する高温
運転時では、B2の値は急減し、好適状態ではほぼ介在層
がない状態と等しくなり、kiは急増する(このkiは介在
層なしの時とほぼ等しいかやや大にすることができ
る)。
次に、介在層が分離効果および結合効果を発揮する具
体的計算例を示す。
BWRにおいて、初期平均濃縮度3.7%,燃焼度28GWd/t
の体系で、制御棒は部分挿入されていないものとする。
このようなBWRでは、炉心上端から1/4長付近で炉停止
中に未臨界度が最も小さくなるので、その部分に介在層
を全炉心に亙って水平に配置し、介在層の厚さを変えて
計算した。計算体系は冷態時(20℃)と高温運転時(28
6℃,ボイド分布あり)の2種類とし、また両体系それ
ぞれに対して、介在層の厚さをゼロとしたときの炉心の
実効増倍率keffを基準とした。この計算例を示したのが
第2図(b)のグラである。このグラフから次のことが
分る。
冷態時においては、〜5cm(これが分離効果が顕著に
増加する範囲となる)まで急に減少、それから飽和状態
に向かう。この漸近値は炉心切片(本例では炉心下方3/
4部)のkeff値になる。
高温時においては、10cmまではkeff値は介在層によ
って殆ど減少しない。これが結合効果によるもので、特
に、3〜6cm付近ではかえってkeffが増大している。こ
れは高温ボイド時の減速材不足による熱中性子束不足を
介在層から補給する作用が有効に作用するためである。
(実施例) 本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第1図(a)は本発明の一実施例の概略縦断面図、同
図(b)は炉心軸方向のボイド割合および未臨界度分布
を示した図である。
本実施例はBWRの例である。BWRでは、第1図(b)に
示すように、炉心の中央高さより上方で未臨界度が浅く
なるので、高さの中央よりやや上方(h1<h2)に本発明
の介在領域が挿入されている。すなわち、本実施例では
全ての燃料集合体の同じ高さに介在領域が設けられてい
る。この介在領域の幅(上下d1方向)は3〜8cm程度で
ある。
介在領域の幅d1を一定とした場合h1,h2夫々の炉心切
片に対する実効増倍率k1,k2がほぼ等しくなるようh1とh
2の値を決定すれば、ki(i=1.2)がほぼ等しくなるの
で、本実施例によれば、同図(b)の二点鎖線で示すよ
うに、未臨界度ρ1がほぼ等しくなり、最も効果的
に未臨界度を大きくすることができる。
第3図(a)は本発明の第2の実施例の概略縦断面
図、同図(b)は炉心軸方向のボイド割合および未臨界
度分布を示した図である。
本実施例と前記実施例との違いは、介在領域を2段に
設けた点にある。h1,h2,h3に対応する炉心の切片の実効
増倍率k1,k2,k3が運転サイクルを通じて最もきびしくな
る時点でほぼ等しくなるようにh1,h2,h3の値が決められ
る。運転中のボイド割合が上方で高いため、未臨界度が
小さく(浅く)なるので、h1<h2<h3の順になる。d1
d2の値は3〜8cm程度であるが、d2はd1よりやや小さく
選定してもよい。本実施例の場合も同図(b)の二点鎖
線で示すように、未臨界度を炉心全長に亙って効果的に
大きくすることができる。
第4図(a)は本発明の第3の実施例の概略縦断面
図、同図(b)は炉心軸方向の核分裂核種濃度および未
臨界度分布を示した図である。
本実施例はPWRの例である。PWRではボイドの発生はな
く、軸方向の減速材の温度変化(幅〜40℃)に伴う密度
変化は小さい(0.69〜0.64間の変化)。また、軸方向の
出力分布も上下で大凡対称であるため、核分裂性核種濃
度も上下で大凡対称である。従って、未臨界度分布も大
凡一定で上下ほぼ対称である。このような場合、h1,h2,
h3の大きさは大凡等しいが、h2は上下両側からの炉心切
片の影響(結合作用)のためh1およびh2より通常小とす
るのが好適である。
このように介在領域を2段挿入することによって、炉
心冷態時は上下方向に3つの切片に分けられ、介在領域
が炉心切片間の結合作用を抑制している。高温運転時は
水の密度が低下し、その結果炉心切片相互間の中性子結
合効果が強められる。PWRではBWRの高温ボイド時に比べ
て水の密度は2倍程度大きいので、d1≒d2の値はBWRの
3〜8cm程度よりやや狭く、3〜5cm程度が好適となる。
本実施例の場合も同図(b)の二点鎖線で示すように、
未臨界度を炉心全長に亙って効果的に大きくすることが
できる。
第5図(a)〜(d)は本発明に係るそれぞれ異なる
燃料棒の縦断面図である。
すなわち、同図(a)で示す燃料棒は被覆管20内に燃
料物質を含まない領域をもち、この領域は5cm程度とさ
れ、グラファイト21が挿入されている。グラファイト21
は高温特性が優れており、かつ熱中性子の吸収が少な
く、減速材としての機能も有する最適な例の一つであ
る。低密度(多孔質)のAl2O3,ZrO2等は、減速特性は優
れていないものの耐熱特性がよく、中性子吸収の少ない
物質を用いることもできる。中実のグラファイトの代り
に、中空グラファイト,中空Al2O3,ZrO2,中空天然ウラ
ン,中空減損ウランなどを用い、中空部をガスプレナム
として利用してもよい。
この領域に要求される特性で最も重要な点は、サイク
ル末期で熱中性子吸収率がこの領域を挟む燃料領域より
小さいことである。このグラファイト21に隣接する燃料
物質では、2cm程度(多くても5cm)の範囲で出力ピーク
(スパイク)が生じ、燃料の健全性不利であるため、軸
心近傍にのみ可燃性毒物を含むペレット22がそれぞれ2
ケ(約2cm)ずつ配置されている。これらのペレット22
は外周には毒物が含まれていないため、出力は運転サイ
クル全般にわたって比較的変動が少ない。サイクル末期
に近づくにつれて毒物の吸収特性が消滅し、この部分の
出力が緩やかに上昇するように設計する。この時、グラ
ファイトを挟んだ上下の熱中性子の相互作用(結合効
果)が上昇し、炉心の余剰反応度(kexcess)が回復す
る。この結果、原子炉はより長い期間運転を続けること
ができる、すなわち運転サイクルの長期化が可能にな
る。
しかして、サイクルの終り頃、余剰反応度(kexces
s)は減少するのが通常であるが、本発明では減少が始
まる時点で、グラファイトを挟む上下の結合効果がこの
可燃性毒物の毒物作用消滅により上昇し、この結果kexc
essが上昇するというユニークな現象を引き起こすこと
ができる。なお、23は燃料ペレットである。
核分裂性核種濃度の低い領域(以下介在領域という)
を挟んだ上下の燃料領域の中性子相互作用(結合効果)
が減少し、その結果停止中の炉の未臨界度をより大きく
することが出来る。
第5図(b)に示す燃料棒と同図(a)の燃料棒との
違いは、グラファイト21の代りに熱中性子吸収断面積の
小さいジルカロイ製の管24を挿入した点にある。この例
では多くの変形が考えられる。すなわち、 (1)ガスプレナムとして利用する場合は非密封管とす
る。
(2)ZrH2(ジルコニウムハイドライト,水素化ジルコ
ニウム等と呼ぶ)を高密度充填する場合ではZrH2は正確
にはZrHx(0<x2)と書くべきで、xが大きい程本
発明の目的には望ましいが、xが大きくなると脆くなり
易いので一般には管に密封しておくのが望ましい。管内
には比較的小さな空隙を、ZrH2から僅かに放出されるH2
のガスプレナムとして使うために設ける。
(3)Be,BeOは毒物があるので、管に入れるのが好適で
ある。Beも中性子との反応でHeガスを発生するので、小
さなHeガス用プレナム(間隙)を設ける。
ジルカロイ製管24と燃料ペレット23との間には小さな
断熱材ペレット25,Al2O3,ZrO2,減損ウラン等を介在させ
て燃料健全性の向上を図っている。断熱材ペレット25は
熱中性子吸収特性が運転サイクル末期において小さいも
のとすべきである。従って可燃性毒物を添加したAl2O3
−Gd2O3,減損ウランUO2−Gd2O3ペレットのようなものが
好適である。ジルカロイ製管24の軸方向に隣接する燃料
ペレットでは、その端面から2cm程度(長くて5cm程度)
までは可燃性毒物を入れたペレット22を配置するのが好
適である。図(b)では細径Gdペレットを挿入した燃料
ペレット22を示しているが、ペレット全体にGdを混入し
てもよく、同図(a)および同図(c)に示す燃料棒に
ついても同様にペレット全体にGdを混入してもよい。
第5図(c)に示す燃料棒と同図(b)の燃料棒との
違いは水を導入する構成にしている点である。すなわ
ち、同図(b)の燃料棒のジルカロイ製管がある部分の
被覆管20に通水孔26を上下に設けるとともにこの通水孔
26の上下にそれぞれ中間プラグ27と断熱材ペレット25を
配置し、さらに上方と下方に可燃性毒物を入れたペレッ
ト22を設けてから上下それぞれに燃料ペレット23を配置
したことである。
第5図(d)に示す燃料棒と同図(a)の燃料棒との
違いはグラファイト(Al2O3,ZrO2,Al2O3−ZrO2などでも
よい)に可燃性毒物を添加した介在層28を設けた点であ
る。この実施例によると、燃料に可燃性毒物を入れない
ので、製造上のメリットが生じる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば以下に記載した
ような効果を奏する。
(1)原子炉停止時は水温も低くく水の密度が高いの
で、熱中性子の拡散距離は小さいが、本発明の炉心構成
によると、核分裂性物質濃度の低い領域(介在領域)を
挟んで上下の燃料領域の中性子相互作用(結合効果)が
減少し、その結果停止中の炉の未臨界度をより大きくす
ることができる。
(2)高温運転時は、水の平均密度が大幅に低下し、そ
の結果、熱中性子拡散距離が大幅(2〜3倍)に延び
る。その結果、介在領域を挟んだ結合効果が向上し、実
効増倍率は核分裂性物質濃度が著しく減少した領域があ
るにもかかわらず、反って僅かではあっても増大させる
ことさえできる。介在領域の導入により不利にならな
い。
(3)介在領域ないしそれに隣接する部分の限定した範
囲に可燃性毒物を添加し、運転サイクル末期が近付いた
頃に毒作用が消滅するように設計することは容易であ
り、その場合、サイクル末期に近付くまでは、その可燃
性毒物が熱中性子を吸収して高温運転中でも結合効果が
抑えられる。即ち、運転中の不要な過剰反応度が抑制さ
れ、サイクル末期で過剰反応度がなくなり、やむをえず
サイクルを終了させざるを得ないような時点で結合効果
がよくなり、過剰反応度が供給される。この結果運転サ
イクルを延長することができる。
(4)本発明では、介在領域またはそれに軸方向に隣接
する燃料の限られた部分に可燃性毒物が効果的に配置さ
れるので、局所的な出力ピーク(出力スパイク)は発生
せず、従って燃料の健全性が保たれる。
(5)介在領域を各炉心切片毎の実効増倍率が、運転サ
イクル中の停止余裕がきびしくなる時点で夫々ほぼ等し
くなる位置に配置するので、限られた介在領域の体積
で、最大限に未臨界度を増大でき、停止余裕をより充分
なものとすることができる。
(6)全炉心に限らず、炉心の一部分に本発明の介在領
域を設けただけでも上記した(1)〜(5)の効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明の第1の実施例の概略縦断面図、
同図(b)は炉心軸方向のボイド割合および未臨界度分
布を示した図、第2図(a)および(b)は本発明に係
わる炉心の特性を説明するための図、第3図(a)は本
発明の第2の実施例の概略縦断面図、同図(b)は炉心
軸方向のボイド割合および未臨界度分布を示した図、第
4図(a)は本発明の第3の実施例の概略縦断面図、同
図(b)は炉心軸方向の核分裂核種濃度び未臨界度分布
を示した図、第5図(a)〜(d)はそれぞれ本発明に
係る燃料棒の異なる縦断面図、第6図(a)および
(b)はそれぞれ従来のBWR燃料集合体の斜視図および
同燃料集合体を構成する燃料棒の概略縦断面図、第7図
(a)は第6図(a)に示す従来の燃料集合体からなる
BWRの炉心横断面図、第7図(b)は同図(a)のセル
の拡大図、第8図は従来のPWRの炉心の横断面図、第9
図は第8図の制御棒クラスタ付き燃料集合体の斜視図、
第10図に第9図の制御棒クラスタ付き燃料集合体の横断
面図である。 1……チャンネルボックス 2……燃料棒、3……水棒 7……被覆管、8……燃料ペレット 12……制御棒クラスタ付き燃料集合体 13……制御棒クラスタ無し燃料集合体 20……被覆管、21……グラファイト 22……可燃制毒物を含むペレット 23……燃料ペレット 24……ジルカロイ製管 25……断熱材ペレット 26……通水孔、27……中間プラグ 28……介在物

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数の燃料棒を規則正しく束ねた燃料集合
    体の軸がそれぞれ垂直で互に平行になるように配置され
    た炉心と、前記各燃料棒間にその燃料棒の下方から上方
    に向って冷却材である軽水が流れるように構成された軽
    水炉の炉心において、前記炉心の一部分または全体を上
    下方向に少なくとも2ケの炉心切片に分割するごとく所
    定幅の核分裂性核種濃度を大幅に低下させた介在領域を
    配置し、前記介在領域の幅を3cmから8cmとしたことを特
    徴とする軽水炉の炉心。
  2. 【請求項2】炉心上端と上端に最も近い前記介在領域と
    で挟まれた炉心切片,炉心下端と下端に最も近い前記介
    在領域とで挟まれた炉心切片あるいは隣接する二つの介
    在領域に挟まれた炉心切片の幅は、原子炉運転期間内で
    原子炉停止余裕がきびしくなる時点において各炉心切片
    ごとの実効増倍率がそれぞれ互にほぼ等しくなるように
    構成されたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の軽水炉の炉心。
  3. 【請求項3】前記介在領域は燃料棒の内部にグラファイ
    ト,ベリリウム,水素化ジルコニウムなどの固体減速材
    が充填されていることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の軽水炉の炉心。
  4. 【請求項4】前記介在領域は燃料棒の内部に燃料ペレッ
    ト間隔を保持するスペーサの機能を有するガスプレナム
    が構成されていることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の軽水炉の炉心。
  5. 【請求項5】前記介在領域は燃料棒の内部に減速材とし
    ての水を導入したことを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の軽水炉の炉心。
  6. 【請求項6】前記介在領域は原子炉運転サイクル末期に
    近づくにつれて中性子吸収特性が燃焼してほとんど消滅
    する濃度の可燃性毒物を添加したグラファイト,ベリリ
    ウム,水素化ジルコニウム,アルミナ,ジルコニア等を
    燃料棒内部に充填したことを特徴とする特許請求の範囲
    第1項記載の軽水炉の炉心。
  7. 【請求項7】前記介在領域は原子炉運転サイクル末期の
    中性子吸収特性を抑制した多孔質の低密度アルミナある
    いはジルコニア等のセラミックを燃料棒内部に充填した
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項または第6項記
    載の軽水炉の炉心。
  8. 【請求項8】前記介在領域に隣接する燃料棒内の1cmな
    いし5cm以内の燃料ペレットに原子炉運転サイクル末期
    に近づくにつれて中性子吸収特性が燃焼してほとんど消
    滅する濃度の可燃性毒物を含有させたことを特徴とする
    特許請求の範囲第1項記載の軽水炉の炉心。
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