JP2022006420A - 沸騰水型原子炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御棒の落下速度を低減する落下速度低減部を、制御棒に取り付け、通常は起り得ないが、仮想事故として、設計上想定される制御棒の落下事故に対応するため、中性子束の変化率を低減し、燃料エンタルピが低減し、安全性が向上する低減速スペクトル沸騰水型原子炉を提供する。
【解決手段】沸騰水型原子炉は、原子炉圧力容器と、原子炉圧力容器の炉心に装荷され、水平断面が正方形状であるチャンネルボックス内に、三角格子状に設置される複数の燃料棒を有する複数の燃料集合体と、燃料集合体の相互間に挿入される水平断面が十字形状である制御棒12と、を有し、制御棒は、上半分に軽水よりも減速能が小さい物質が充填されるフォロワー部を有し、フォロワー部に、制御棒の落下速度を低減する落下速度低減部40を有することを特徴とする。
【選択図】図4A
【解決手段】沸騰水型原子炉は、原子炉圧力容器と、原子炉圧力容器の炉心に装荷され、水平断面が正方形状であるチャンネルボックス内に、三角格子状に設置される複数の燃料棒を有する複数の燃料集合体と、燃料集合体の相互間に挿入される水平断面が十字形状である制御棒12と、を有し、制御棒は、上半分に軽水よりも減速能が小さい物質が充填されるフォロワー部を有し、フォロワー部に、制御棒の落下速度を低減する落下速度低減部40を有することを特徴とする。
【選択図】図4A
Description
本発明は、沸騰水型原子炉に関する。
一般的に、沸騰水型原子炉では、通常は起り得ないが、仮想事故として、設計上で想定される制御棒の落下事故に対応するため、制御棒の落下速度を低減する工夫が施される。
こうした技術分野における背景技術として、加圧水型原子炉(PWR)に関するものではあるが、特開2002-365389号公報(特許文献1)がある。
特許文献1には、PWRの下部炉心板の上に設置される下部ノズルと、下部ノズルを下部炉心板に押さえ付ける押圧バネを有する上部ノズルと、上部ノズルの中を通過する制御棒を下部炉心板へ向けて案内する案内シンブルと、案内シンブルに設置される支持格子と、支持格子に案内シンブルとほぼ平行に保持される燃料棒と、制御棒の落下速度を低減するために案内シンブルに形成されるダッシュポット部と、案内シンブルを下部ノズルに連結するシンブルスクリューと、シンブルスクリューに形成されるシンブルスクリュー孔と、を有する燃料集合体が記載されている。
一方、沸騰水型原子炉には、炉心に複数の燃料集合体を装荷し、水平断面が十字形状である制御棒を燃料集合体の相互間に設置し、水平断面が正方形状の燃料集合体のチャンネルボックスに、複数の燃料棒を三角格子状に稠密に設置し、制御棒を挿入することにより、運転中に、チャンネルボックスでボイドを発生させ、中性子スペクトルを硬化させ、核分裂プルトニウム転換比を向上させる沸騰水型原子炉(低減速スペクトル沸騰水型原子炉)が提案されている。
特開2018-066690号公報(特許文献2)には、運転中に、中性子スペクトルを硬化させる低減速スペクトル沸騰水型原子炉が記載されている。
特許文献1に記載される燃料集合体は、PWRに関するものではあるが、スクラム時に制御棒が制御棒案内管である案内シンブルに衝突する衝撃を緩和するため、案内シンブルの下部に制御棒の落下速度を低減するダッシュポット部を形成する。つまり、特許文献1に記載される燃料集合体は、案内シンブルにダッシュポット部(落下速度低減部)を形成し、制御棒の落下速度を低減する。
一方、低減速スペクトル沸騰水型原子炉には、案内シンブルは取り付けられず、落下速度低減部を取り付けられることはできない。
そこで、本発明は、制御棒の落下速度を低減する落下速度低減部を、制御棒に取り付け、通常は起り得ないが、仮想事故として、設計上想定される制御棒の落下事故に対応するため、中性子束の変化率を低減し、燃料エンタルピが低減し、安全性が向上する低減速スペクトル沸騰水型原子炉を提供する。
上記した課題を解決するため、本発明の沸騰水型原子炉は、原子炉圧力容器と、原子炉圧力容器の炉心に装荷され、水平断面が正方形状であるチャンネルボックス内に、三角格子状に設置される複数の燃料棒を有する複数の燃料集合体と、燃料集合体の相互間に挿入される水平断面が十字形状である制御棒と、を有し、制御棒は、上半分に軽水よりも減速能が小さい物質が充填されるフォロワー部を有し、フォロワー部に、制御棒の落下速度を低減する落下速度低減部を有することを特徴とする。
本発明によれば、制御棒の落下速度を低減する落下速度低減部を、制御棒に取り付け、通常は起り得ないが、仮想事故として、設計上想定される制御棒の落下事故に対応するため、中性子束の変化率を低減し、燃料エンタルピが低減し、安全性が向上する低減速スペクトル沸騰水型原子炉を提供する。
なお、上記した以外の課題、構成及び効果については、下記する実施例の説明により、明らかにされる。
以下、本発明の実施例を、図面を使用して、説明する。なお、実質的に同一又は類似の構成には、同一の符号を付し、説明が重複する場合は、その説明を省略する場合がある。
まず、実施例1に記載する沸騰水型原子炉1を説明する。
図1は、実施例1に記載する沸騰水型原子炉1(縦断面)を説明する説明図である。
実施例1に記載する沸騰水型原子炉1は、原子炉圧力容器2、炉心シュラウド4、炉心5、炉心支持板6、上部格子板7、シュラウドヘッド8、気水分離器9、蒸気乾燥器10、燃料支持金具11、制御棒案内管15、インターナルポンプ13、制御棒12、燃料集合体3、及び水排除装置(図示せず)を有する。
実施例1に記載する沸騰水型原子炉1は、炉心5への冷却水118の供給を、原子炉圧力容器2の底部である下鏡2Aに取り付けられるインターナルポンプ13で実施する改良型沸騰水型原子炉(ABWR:Advanced Boiling Water Reactor)である。
また、実施例1に記載する沸騰水型原子炉1は、炉心5に複数の燃料集合体3を装荷し、水平断面が十字形状である制御棒12を燃料集合体3の相互間に設置し、水平断面が正方形状である燃料集合体3のチャンネルボックス21に、複数の燃料棒23を三角格子状に稠密に設置し、制御棒12を挿入することにより、運転中に、チャンネルボックス21でボイドを発生させ、中性子スペクトルを硬化させ、核分裂プルトニウム転換比を向上させる、いわゆる低減速スペクトル沸騰水型原子炉である。
沸騰水型原子炉1は、原子炉圧力容器2の内部に炉心5を有し、原子炉圧力容器2の内部に炉心5を取り囲む炉心シュラウド4を有する。
そして、炉心5の下方に取り付けられる炉心支持板6が、炉心シュラウド4の内面に取り付けられ、炉心5の上方に取り付けられる上部格子板7が、炉心シュラウド4の内面に取り付けられ、炉心5を覆うシュラウドヘッド8が、炉心シュラウド4の上端部に取り付けられる。
また、複数の気水分離器9が、原子炉圧力容器2の内部であって、シュラウドヘッド8の上方に取り付けられ、蒸気乾燥器10が、原子炉圧力容器2の内部であって、水分離器9の上方に取り付けられる。
また、炉心シュラウド4を取り囲む環状のダウンカマ14が、炉心シュラウド4の内面と原子炉圧力容器2の内面との間に形成される。複数のインターナルポンプ13が、ダウンカマ14の位置であって、下鏡2Aに取り付けられ、それぞれのインターナルポンプ13のインペラ13Aが、ダウンカマ14に向かって取り付けられる。
また、複数の制御棒駆動機構ハウジング16が、インターナルポンプ13よりも内側に取り付けられ、下鏡2Aを貫通して、原子炉圧力容器2に取り付けられる。そして、それぞれの制御棒駆動機構ハウジング16には、制御棒駆動機構111が取り付けられる。
複数の制御棒案内管15が、原子炉圧力容器2の内部であって、炉心5の下方に取り付けられる。それぞれの制御棒案内管15は、それぞれの制御棒駆動機構ハウジング16の上端部に取り付けられる。それぞれの制御棒案内管15の上端部は、燃料支持金具11を介して、炉心支持板6に取り付けられる。
そして、それぞれの制御棒案内管15の内部に取り付けられる制御棒12は、制御棒駆動機構ハウジング16の制御棒駆動機構111に連結される。それぞれの制御棒案内管15の内部に取り付けられる制御棒12は、制御棒駆動機構ハウジング16の制御棒駆動機構111により、上下に移動する。
次に、実施例1に記載する炉心5を説明する。
図2及び図3は、実施例1に記載する炉心5(縦断面)を説明する説明図である。
燃料集合体3は、図2及び図3に示すように、チャンネルボックス21、複数の短尺の燃料棒23、下部タイプレート22、上部タイプレート24、タイロッド42、及び複数の燃料スペーサ25を有する。
それぞれの燃料棒23の下端部は、下部タイプレート22に支持され、それぞれのタイロッド42の上端部は、上部タイプレート24に支持される。
また、複数の燃料棒23は、燃料棒23の相互間に、所定幅の間隙が形成されるように、軸方向の複数箇所に燃料スペーサ25が取り付けられる。なお、燃料棒23の相互間に形成される間隙は、冷却水118の流路となる。
そして、水平断面が正方形状の筒状体である四角筒状のチャンネルボックス21は、燃料スペーサ25により束ねられる燃料棒23の束の周囲を、取り囲んでいる。チャンネルボックス21の上端部は、チャンネルファスナ(図示せず)により、上部タイプレート24に取り付けられる。このチャンネルファスナは、上部タイプレート24の一つのコーナー部に位置する。
なお、それぞれの燃料棒23には、核燃料物質として、酸化ウランと酸化プルトニウムとを混合して生成される混合酸化物燃料(MOX燃料)が使用される。
このMOX燃料で製造される複数の燃料ペレットを、密封される被覆管の内部に充填する。それぞれの燃料棒23の、核燃料物質の充填領域の軸方向における長さ、つまり、燃料有効長は、180cmである。なお、タイロッド42の長さは、既存の沸騰水型原子炉に使用するため、約370cmである。
そして、それぞれの燃料棒23の被覆管の内部の、燃料有効長の上端よりも上方には、ガスプレナムが形成される。チャンネルボックス21の内部には、複数の燃料棒23は、燃料集合体3の水平断面において、正三角形の格子状(三角格子状)に稠密に設置される。
また、複数の燃料集合体3は、燃料集合体3の相互間に、所定幅の間隙が形成されるように、チャンネルスペーサ35が取り付けられる。なお、燃料集合体3の相互間に形成される間隙は、冷却水118の流路となる。
また、燃料集合体3と平行に、中性子計装管17が取り付けられる。
また、制御棒12は、水平断面が十字形状であり、軸心から4枚のブレード29が、四方に向かって伸びている。それぞれのブレード29の内部には、中性子吸収材が充填される複数の中性子吸収棒(図示せず)が取り付けられる。
制御棒12には、フォロワー部が形成され、制御棒12は、中性子吸収棒が取り付けられる中性子吸収棒の設置領域(制御棒12の制御材領域)の上方に、フォロワー部が形成されるフォロワー部付き制御棒である。
なお、フォロワー部には、冷却水118である軽水よりも減速能が小さい物質、例えば、炭素を充填する。制御棒12の中性子吸収棒の設置領域の軸方向の長さは、燃料集合体3の燃料有効長と同一の、180cmである。フォロワー部付き制御棒の長さは、タイロッド42の長さと同一の、370cmであり、フォロワー部の軸方向の長さは、約190cmである。
なお、制御棒駆動機構ハウジング16の制御棒駆動機構111に連結される制御棒12は、沸騰水型原子炉1の運転停止時には、炉心5に全挿入される。
実施例1に記載する沸騰水型原子炉1は、燃料棒23をチャンネルボックス21に稠密に設置するため、チャンネルボックス21の内部の圧力損失が増加する。炉心5の圧力損失を、現在、運転中の沸騰水型原子炉と同等とし、既存の再循環ポンプを使用して、運転するため、実施例1に記載する沸騰水型原子炉1では、燃料有効長を、現在、運転中の沸騰水型原子炉の燃料有効長の1/2(180cm)とする。
一方、実施例1に記載する沸騰水型原子炉1では、運転中、軽水は、水平断面が正方形状である燃料集合体3の相互間に形成されるギャップ水領域にも流通する。燃料集合体3の内部を上昇する軽水だけではなく、ギャップ水領域を上昇する軽水(ギャップ水)も、燃料集合体3に存在する核燃料物質(核分裂性物質)の核分裂により発生する中性子を減速させる。そして、ギャップ水領域を上昇する軽水による中性子の減速は、核分裂プルトニウム転換比を低下させることになる。
このような核分裂プルトニウム転換比の低下を回避するため、実施例1に記載する沸騰水型原子炉1では、燃料集合体3の相互間に挿入される水平断面が十字形状である制御棒12は、軽水よりも減速能が小さい物質、例えば、炭素が充填されるフォロワー部を、上半分に設置する。
また、燃料集合体3の相互間であって、制御棒12が挿入されないギャップ水領域には、軽水より減速能が小さい物質、例えば、炭素が充填される水排除板(図示せず)を設置する。
これにより、実施例1に記載する沸騰水型原子炉1は、燃料集合体3の相互間に形成されるギャップ水領域に流通する軽水を排除し、核分裂プルトニウム転換比を向上させる。
そして、実施例1に記載する沸騰水型原子炉1は、通常は起り得ないが、仮想事故として、設計上想定される制御棒12の落下事故に対して、安全余裕を確保し、対応する。
制御棒12の落下事故は、冷温起動時において最も厳しくなる。そして、その度合は、制御棒12の落下に伴う中性子束の変化率に大きく依存する。
制御棒12の落下事故は、冷温起動時において最も厳しくなる。そして、その度合は、制御棒12の落下に伴う中性子束の変化率に大きく依存する。
実施例1に記載する沸騰水型原子炉1は、制御棒12の落下速度を低減し、制御棒12の落下に伴う中性子束の変化率を緩やかにする(低減する)ことができる。このため、スクラムで制御棒12が炉心5に全挿入された時点における、中性子束が低減し、燃料に付与されるエンタルピ(燃料エンタルピ)が低減する。そして、制御棒12の落下事故時の燃料エンタルピが低減し、安全性が向上する。
つまり、実施例1に記載する沸騰水型原子炉1は、原子炉圧力容器2と、原子炉圧力容器2の内部の炉心5に装荷され、水平断面が正方形状であるチャンネルボックス21の内部に、三角格子状に稠密に設置される複数の燃料棒23を有する複数の燃料集合体3と、燃料集合体3の相互間に挿入される水平断面が十字形状である制御棒12と、を有する。そして、制御棒12は、上半分に軽水よりも減速能が小さい物質が充填されるフォロワー部を有し、フォロワー部に、制御棒12の落下速度を低減する落下速度低減部40を有する。
次に、実施例1に記載する落下速度低減部40を有する制御棒12を説明する。
図4A及び図4Bは、実施例1に記載する落下速度低減部40を有する制御棒12を説明する説明図である。
図4Aは、制御棒12のフォロワー部の拡大図であり、図4Bは、制御棒12のフォロアー部が燃料集合体3の相互間に全挿入されている状態のブレード29とチャンネルボックス21との配置を示す拡大図である。
実施例1に記載する沸騰水型原子炉1は、制御棒12のフォロワー部に、通常は起り得ないが、仮想事故として、設計上想定される制御棒12の落下事故時の制御棒12の落下速度を低減する機構である落下速度低減部(落下速度低減機構)40を有する。
落下速度低減部40は、制御棒12のフォロワー部のブレード29(肉厚8.33mm)に設置される複数の溝(深さ4mm)であり、この複数の溝は、制御棒12の垂直方向に所定の幅(30mm)で、制御棒12のフォロワー部のブレード29の両面に設置される。そして、落下速度低減部40は、つまり、複数の溝は、ブレード29の両面に、千鳥状(ジグザク状、互い違い状)に、所定の間隔(20mm)で設置される。
このように実施例1では、落下速度低減部40として、制御棒12のフォロワー部に、制御棒12の落下方向と垂直方向の複数の溝を設置する。つまり、落下速度低減部40は、制御棒12の落下方向と垂直方向に設置される複数の溝である。
なお、最上部の落下速度低減部40の上部は、ハンドル43である。
このように、制御棒12の落下速度を低減する落下速度低減部40を、制御棒12に取り付け、通常は起り得ないが、仮想事故として、設計上想定される制御棒12の落下事故に対応するため、中性子束の変化率を低減し、安全性を向上させる。
次に、落下速度低減部40による、通常は起り得ないが、仮想事故として、設計上想定される制御棒12の落下事故時の、制御棒12の落下速度の低減効果を説明する。
制御棒12の落下事故は、冷温起動時において最も厳しくなるため、冷温起動時を想定する。冷温起動時、制御棒12は炉心5に全挿入される。炉心5は冷却水118(ギャップ水)で満たされ、ブレード29とチャンネルボックス21との間のギャップ水領域30も、ギャップ水で満たされる。
制御棒12の落下事故時には、制御棒12は、ギャップ水領域30を自由落下する。制御棒12のフォロワー部のブレード29に設置される複数の溝により、ギャップ水の流路面積の拡大及び縮小の連続により、つまり、ギャップ水の流路面積が変化することにより、ギャップ水の圧力損失が増大し、ブレード29に係る流動抵抗が増大し、制御棒12の落下速度が低下する。
なお、ギャップ水の流路面積とは、ブレード29とチャンネルボックス21との間隙の水平方向の面積であり、フォロワー部とチャンネルボックス21との間の流路面積であり、制御棒12の落下時の制御棒12の周りのギャップ水の流れる方向(制御棒12の落下方向)に対する流路面積である。
制御棒12のフォロワー部に、落下速度低減部40を設置することにより、現行の制御棒12の落下速度0.7m/秒に対して、その1/2の0.35m/秒まで、低減することができ、制御棒12の落下速度の低減効果が向上する。なお、落下速度低減部40は、制御棒12の挿入時にも流動抵抗となるが、制御棒12は、制御棒駆動機構ハウジング16の制御棒駆動機構111により、挿入や引き抜きがされるため、挿入時間や引き抜き時間に影響を与えることはない。
また、制御棒12のフォロワー部に、落下速度低減部40を設置することにより、ギャップ水領域30のギャップ水の割合が増大するため、ギャップ水による中性子の減速効果が増大し、ギャップ水から燃料棒23に流れ込む熱中性子が増大し、出力が増大する。
また、落下速度低減部40として、制御棒12のフォロワー部の上部(フォロワー部の上半分:約100cm)にのみ、制御棒12の落下方向と垂直方向の複数の溝を設置してもよい。
落下速度低減部40(制御棒12のフォロワー部の上部にのみ設置される複数の溝)により、ギャップ水の流路面積が変化し、ギャップ水の圧力損失が増大し、ブレード29に係る流動抵抗が増大し、制御棒12の落下速度が低下する。そして、制御棒12の落下速度の低減効果を有しつつ、出力が低下する傾向にある燃料棒23の上部の出力を増大し、軸方向の出力分布を平坦化し、熱的余裕を向上させることできる。
次に、実施例1に記載する制御棒12の落下事故時における時間に対する中性子束の変化を説明する。
図5は、実施例1に記載する制御棒12の落下事故時における時間に対する中性子束の変化を説明する説明図である。
図5のaは、制御棒12のフォロワー部に落下速度低減部40が設置されない場合であり、図5のbは、制御棒12のフォロワー部に落下速度低減部40が設置される場合である。
制御棒12の落下事故時には、中性子束高スクラムの信号により、原子炉はスクラムされ、所定の制御棒スクラムの時間を必要とする。ここで、制御棒12の落下速度を低減することができれば、中性子束の変化率が緩やかにすることができる。図5に示すように、実施例1では、制御棒12の落下に伴う中性子束の変化率を緩やかにすることができる。
これにより、スクラムで制御棒12が炉心5に全挿入された時点における、中性子束が低減し、燃料エンタルピが低減する。そして、制御棒12の落下事故時の燃料エンタルピが低減し、安全性が向上する。
このように、実施例1によれば、制御棒12のフォロワー部に、落下速度低減部40を設置することにより、ギャップ水の流路面積を変化させ、ギャップ水の流路面積を変化させることにより、制御棒12の落下時のギャップ水の圧力損失が増大し、ブレード29に係る流動抵抗が増大し、制御棒12の落下速度が低下する。
そして、実施例1によれば、制御棒12に、落下速度低減部40を設置し、制御棒12の落下速度を低減することにより、通常は起り得ないが、仮想事故として、設計上想定される制御棒12の落下事故に対応するため、中性子束の変化率を低減し、燃料エンタルピが低減し、安全性が向上する沸騰水型原子炉1を提供することができる。
次に、実施例2に記載する落下速度低減部41を有する制御棒12を説明する。
図6A及び図6Bは、実施例2に記載する落下速度低減部41を有する制御棒12を説明する説明図である。
実施例2は、実施例1と比較して、沸騰水型原子炉1ついては基本的に同一であるが、制御棒12に設置される落下速度低減部41の構成が相違する。
実施例2に記載する沸騰水型原子炉1は、制御棒12のフォロワー部に、通常は起り得ないが、仮想事故として、設計上想定される制御棒12の落下事故時の制御棒12の落下速度を低減する機構である落下速度低減部(落下速度低減機構)41を有する。
図6Aは、制御棒12の拡大図であり、図6Bは、制御棒12が燃料集合体3の相互間に全挿入されている状態のブレード29とチャンネルボックス21との配置を示す拡大図である。
落下速度低減部41は、制御棒12のフォロワー部のブレード29(肉厚8.33mm)に、肉厚部(肉厚10.6mm)である。
このように実施例2では、落下速度低減部41として、制御棒12のフォロワー部の肉厚を、中性子吸収棒の設置領域の肉厚よりも、制御棒12の落下方向と垂直方向に、厚くする肉厚部を設置する。
なお、落下速度低減部41の上部は、ハンドル43であり、落下速度低減部41の下部は、中性子吸収棒の設置領域である。
次に、落下速度低減部41による、通常は起り得ないが、仮想事故として、設計上想定される制御棒12の落下事故時の、制御棒12の落下速度の低減効果を説明する。
制御棒12の落下事故時には、制御棒12は、ギャップ水領域30を自由落下する。ブレード29に設置される落下速度低減部41(肉厚部)により、ギャップ水の流路面積が縮小し、落下速度低減部41により、ギャップ水の流路面積が縮小し、ギャップ水の圧力損失が増大し、ブレード29に係る流動抵抗が増大し、制御棒12の落下速度が低下する。そして、核分裂プルトニウム転換比を向上させる。
制御棒12のフォロワー部に、落下速度低減部41を設置することにより、現行の制御棒12の落下速度0.7m/秒に対して、その1/2の0.35m/秒まで、低減することができ、制御棒12の落下速度の低減効果が向上する。なお、落下速度低減部40は、制御棒12の挿入時にも流動抵抗となるが、制御棒12は、制御棒駆動機構ハウジング16の制御棒駆動機構111により、挿入や引き抜きがされるため、挿入時間や引き抜き時間に影響を与えることはない。
また、実施例2では、肉厚部におけるチャンネルボックス21との間隙は、2.6mmあり、制御棒12の挿入や引き抜きに問題はない。
また、制御棒12のフォロワー部に、落下速度低減部41を設置することにより、ギャップ水領域30のギャップ水を排除するため、ギャップ水による中性子の減速効果を抑制し、核分裂プルトニウム転換比を向上させる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために、具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を有するものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を、他の実施例の構成の一部に置換することもできる。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を追加することもできる。また、各実施例の構成の一部について、それを削除し、他の構成の一部を追加し、他の構成の一部と置換することもできる。
1・・・沸騰水型原子炉、2・・・原子炉圧力容器、2A・・・下鏡、3・・・燃料集合体、4・・・炉心シュラウド、5・・・炉心、6・・・炉心支持板、7・・・上部格子板、8・・・シュラウドヘッド、9・・・気水分離器、10・・・蒸気乾燥器、11・・・燃料支持金具、12・・・制御棒、13・・・インターナルポンプ、13A・・・インペラ、14・・・ダウンカマ、15・・・制御棒案内管、16・・・制御棒駆動機構ハウジング、17・・・中性子計装管、21・・・チャンネルボックス、22・・・下部タイプレート、23・・・燃料棒、24・・・上部タイプレート、25・・・燃料スペーサ、29・・・ブレード、30・・・ギャップ水領域、36・・・チャンネルスペーサ、40・・・落下速度低減部、41・・・落下速度低減部、42・・・タイロッド、43・・・ハンドル、111・・・制御棒駆動機構、118・・・冷却水
Claims (5)
- 原子炉圧力容器と、前記原子炉圧力容器の炉心に装荷され、水平断面が正方形状であるチャンネルボックス内に、三角格子状に設置される複数の燃料棒を有する複数の燃料集合体と、前記燃料集合体の相互間に挿入される水平断面が十字形状である制御棒と、を有する沸騰水型原子炉において、
前記制御棒は、上半分に軽水よりも減速能が小さい物質が充填されるフォロワー部を有し、前記フォロワー部に、前記制御棒の落下速度を低減する落下速度低減部を有することを特徴とする沸騰水型原子炉。 - 請求項1に記載する沸騰水型原子炉において、
前記落下速度低減部が、前記制御棒の落下方向と垂直方向に設置される複数の溝であることを特徴とする沸騰水型原子炉。 - 請求項2に記載する沸騰水型原子炉において、
前記複数の溝が、前記フォロワー部のブレードの両面に、千鳥状に、設置されることを特徴とする沸騰水型原子炉。 - 請求項3に記載する沸騰水型原子炉において、
前記複数の溝が、前記フォロワー部の上半分に設置されることを特徴とする沸騰水型原子炉。 - 請求項1に記載する沸騰水型原子炉において、
前記落下速度低減部が、前記制御棒のフォロワー部の肉厚を、中性子吸収棒の設置領域の肉厚よりも、前記制御棒の落下方向と垂直方向に、厚くする肉厚部であることを特徴とする沸騰水型原子炉。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020108629A JP2022006420A (ja) | 2020-06-24 | 2020-06-24 | 沸騰水型原子炉 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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