JP2020118526A - 燃料集合体および軽水炉の炉心 - Google Patents
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Abstract
【課題】Puへの転換率をさらに向上でき、ボイド反応度係数をより負にできる燃料集合体を提供する。【解決手段】燃料集合体1は、複数の燃料棒および複数の水排除棒3Aをチャンネルボックス内に配置する。各水排除棒は、チャンネルボックスの対向する一対の内面に隣接する。燃料集合体1は、燃料有効長の下端からその上端に向かって、燃料有効長内に、燃料領域6、内部ブランケット領域7、燃料領域8、内部ブランケット領域9、燃料領域10および上部ブランケット領域11を形成する。各燃料領域はMOX燃料を含む。水排除棒3Aは、燃料領域6,8および10に対向する第1領域4A1,4A2および4A3を含み、内部ブランケット領域7および9に対向する第2領域4B1および4B2を含む。軽水よりも中性子減速能が小さい物質(例えば、炭素)が各第1領域に配置され、軽水よりも中性子減速能が大きい物質(例えば、ZrH2)が各第1領域に配置される。【選択図】図1
Description
本発明は、燃料集合体および軽水炉の炉心に係り、特に、沸騰水型原子炉に適用するのに好適な燃料集合体および軽水炉の炉心に関する。
現在運転中の正方燃料集合体格子および十字型制御棒を装荷している軽水炉において、燃料集合体内の燃料棒を正三角形格子稠密に配置すると共に、運転中に、横断面が正方形状の筒であるチャンネルボックス内でボイドを発生させることによって中性子スペクトルを硬化させた低減速スペクトル軽水炉が提唱されている。
低減速スペクトル軽水炉は、液体ナトリウムを冷却材とする高速炉と同様に、プルトニウム燃料を充填した燃料領域および劣化ウラン燃料を充填したブランケット領域を有する燃料集合体を炉心に配置した高転換炉として機能させることができる。しかしながら、横断面が正方形状になっている燃料集合体内に燃料棒を正三角形格子稠密に配置した場合には、最外層の燃料棒とチャンネルボックスとの間に間隙が生じ、燃料集合体内の減速材領域の割合が増加し、水対燃料体積比が増大して転換比が減少する。
さらに、燃料棒を冷却する冷却材が燃料集合体の最外層の燃料棒とチャンネルボックスとの間に間隙に集中して流れるため、燃料集合体の中央領域に流れる冷却材の量が減少し、燃料集合体の中央領域に存在する燃料棒の冷却性能が低下する。
一方、低減速スペクトル軽水炉では、中性子スペクトルが硬化するため、燃料集合体内に供給される冷却材の流量(炉心流量)が減少して燃料集合体内のボイド率が上昇した際に投入される反応度であるボイド反応度係数の負の絶対値が減少するという課題がある。原子炉を安全に運転するためには、ボイド反応度係数を負に維持する必要がある。
以上に述べたように、内部に燃料棒を正三角形格子稠密に配置して正方形状の横断面を有する燃料集合体が装荷された低減速スペクトル軽水炉では、転換比および燃料棒の冷却性能の低下、ボイド反応度係数の負の絶対値が減少するという課題が存在する。
これらの課題を解決する燃料集合体が幾つか提案されている。その一つは、特開平11−23765号公報に記載された燃料集合体である。この燃料集合体は、多数の燃料棒を、横断面が正方形状のチャンネルボックス内に正三角形格子稠密に配置する。多数の燃料棒の正三角形格子稠密配置は、チャンネルボックスの向かい合っている一対の第2内面に対して平行に配置された複数の燃料棒列を含む。これらの燃料棒配列は、それらの第2内面と直交する方向に配置されて向かい合っている他の一対の第1内面間に配置された複数の燃料棒を含む第1燃料棒配列と、第1燃料棒配列に含まれる燃料棒の本数よりも1本少ない本数の燃料棒がそれらの第1内面との間で配置される第2燃料棒配列を含んでおり、第1燃料棒配列と第2燃料棒配列は一対の第2内面の間で交互に配置される。第2燃料棒配列に含まれる各燃料棒は、第1燃料棒配列に含まれる、隣り合った各一対の燃料棒間に存在する間隙に対向して配置される。各第2燃料棒配列において、水排除部材である係合突起が、第2燃料棒配列の両端部に位置してその第1内面に対向している各燃料棒と第1内面との間に配置される。
特開平11−23765号公報に記載された燃料集合体では、係合突起の設置によって、チャンネルボックス内面付近の減速材領域を減少させ、冷却材が燃料集合体の外周部に偏在して流れることを抑制している。また、特開平11−23765号公報では、係合突起内を空洞にすることによって、燃料集合体の軸方向への中性子漏洩効果を増加させてボイド反応度係数をより低減させている。
また、特開2018−66690号公報は、横断面が正方形状のチャンネルボックス内に、多数の燃料棒を正三角形格子稠密に配置している燃料集合体を記載する。この燃料集合体は、燃料有効長の上端から下端に向かって、上部より、上部ブランケット領域、燃料領域、第2内部ブランケット領域、燃料領域、第1内部ブランケット領域および燃料領域を配置している。さらに、特開2018−66690号公報では、特開平11−23765号公報と同様に、チャンネルボックスの向かい合っている一対の第2内面に対して平行に配置された複数の燃料棒列が、それらの第2内面と直交する方向に配置されて向かい合っている他の一対の第1内面との間に配置された第1燃料棒配列と、第1燃料棒配列に含まれる燃料棒の本数よりも1本少ない本数の燃料棒がそれらの第1内面との間で配置される第2燃料棒配列を含んでおり、第1燃料棒配列と第2燃料棒配列は一対の第2内面の間で交互に配置される。第2燃料棒配列に含まれる各燃料棒は、第1燃料棒配列に含まれる、隣り合った各一対の燃料棒間に存在する間隙に対向して配置される。
しかしながら、特開平11−23765号公報に記載されているように、空洞が内部に形成された水排除棒を燃料集合体内に配置したとしても、水排除棒内の空洞に漏洩した中性子の、燃料集合体の軸方向の上方に漏れる割合が極めて小さい。このため、特開平11−23765号公報におけるボイド反応度係数改善は不十分である。
本発明の目的は、プルトニウムへの転換率をさらに向上でき、ボイド反応度係数をより負にできる燃料集合体および軽水炉の炉心を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、チャンネルボックスと、このチャンネルボックス内に配置され、核燃料物質を内部に充填している複数の燃料棒と、そのチャンネルボックス内に配置されてそのチャンネルボックスの内面に隣接する複数の水排除棒とを備えた燃料集合体であって、
燃料集合体の燃料有効長では、それらの燃料棒内の核燃料物質により、その燃料有効長の下端から上端に向かって、第1燃料領域、内部ブランケット領域および第2燃料領域が形成され、
その水排除棒は、水排除棒の軸方向に、第1燃料領域および第2燃料領域に対向する第1領域および内部ブランケット領域に対向する第2領域を有し、
その第1領域は軽水よりも中性子減速能が小さい第1物質を含み、その第2領域は軽水よりも中性子減速能が大きい第2物質を含んでいることにある。
燃料集合体の燃料有効長では、それらの燃料棒内の核燃料物質により、その燃料有効長の下端から上端に向かって、第1燃料領域、内部ブランケット領域および第2燃料領域が形成され、
その水排除棒は、水排除棒の軸方向に、第1燃料領域および第2燃料領域に対向する第1領域および内部ブランケット領域に対向する第2領域を有し、
その第1領域は軽水よりも中性子減速能が小さい第1物質を含み、その第2領域は軽水よりも中性子減速能が大きい第2物質を含んでいることにある。
チャンネルボックスの内面に隣接する各水排除棒が、水排除棒の軸方向に、第1燃料領域および第2燃料領域に対向する第1領域および内部ブランケット領域に対向する第2領域を有し、その第1領域は軽水よりも中性子減速能が小さい第1物質を含み、その第2領域は軽水よりも中性子減速能が大きい第2物質を含んでいるため、第1および第2燃料領域では、チャンネルボックスの内面付近での冷却水が排除され、さらに、第1物質(例えば、炭素)により、中性子の減速が著しく抑制され、中性子スペクトルが硬化されてウラン238のプルトニウム239への転換比を向上させることができる。また、水排除棒内の第2物質(例えば、ジルコニウムハイドライド)により、燃料集合体の相互間にあるギャップ水領域で減速された中性子がさらに減速されるため、内部ブランケット領域で生成されるプルトニウム239により、燃料集合体のボイド反応度係数がより負となる。
本発明によれば、プルトニウムへの転換率をさらに向上させることができ、ボイド反応度係数をより負にすることができる。
本発明者等は、種々の検討を重ね、プルトニウムへの転換率をさらに向上させることができ、ボイド反応度係数を負側にさらに低減することができる新たな燃料集合体の構成を見出した。この検討結果および新たに見出した燃料集合体の概要を以下に説明する。
燃料集合体は、例えば、特開2018−66690号公報の図1に記載されたように、軸方向に、3つの燃料領域および2つの内部ブランケット領域を配置し、燃料領域と内部ブランケット領域を交互に配置している。燃料領域は、核分裂性プルトニウムを含む超ウラン核種を劣化ウランの酸化物または劣化ウランに富化した混合酸化物燃料(以下、MOX燃料という)を含み、内部ブランケット領域は、劣化ウランを含むが核分裂性プルトニウムを含む超ウラン核種を含んでいない。超ウラン核種としては、
このような燃料集合体において、発明者らは、プルトニウムへの転換率のさらなる向上、およびボイド反応度係数の負側へのさらなる低減を図ることができる対策を検討した。その結果、発明者らは、冷却材である軽水よりも中性子減速能が小さい第1物質を燃料領域に対向する位置に配置し、軽水よりも中性子減速能が大きい第2物質を内部ブランケット領域に対向する位置に配置した水排除棒を、燃料集合体内に配置すれば良いとの結論に達した。第1物質としては、C,Al,Zr,ジルカロイ,Feおよびステンレス鋼(SUS)のいずれかを用いるとよい。なお、第1物質としては、軽水よりも中性子吸収断面積が小さいC,Al,Zrおよびジルカロイのいずれかを用いることが望ましい。第1物質として、Feおよびステンレス鋼ではなく、軽水よりも中性子吸収断面積が小さいC,Al,Zrおよびジルカロイのいずれかを用いることによって吸収される中性子の量が低減され、中性子の利用効率が向上する。また、第2物質としては、ジルコニウムハイドライド(ZrH2)および水素化イットリウム(Y−H)のいずれかを用いるとよい。
このような燃料集合体において、発明者らは、プルトニウムへの転換率のさらなる向上、およびボイド反応度係数の負側へのさらなる低減を図ることができる対策を検討した。その結果、発明者らは、冷却材である軽水よりも中性子減速能が小さい第1物質を燃料領域に対向する位置に配置し、軽水よりも中性子減速能が大きい第2物質を内部ブランケット領域に対向する位置に配置した水排除棒を、燃料集合体内に配置すれば良いとの結論に達した。第1物質としては、C,Al,Zr,ジルカロイ,Feおよびステンレス鋼(SUS)のいずれかを用いるとよい。なお、第1物質としては、軽水よりも中性子吸収断面積が小さいC,Al,Zrおよびジルカロイのいずれかを用いることが望ましい。第1物質として、Feおよびステンレス鋼ではなく、軽水よりも中性子吸収断面積が小さいC,Al,Zrおよびジルカロイのいずれかを用いることによって吸収される中性子の量が低減され、中性子の利用効率が向上する。また、第2物質としては、ジルコニウムハイドライド(ZrH2)および水素化イットリウム(Y−H)のいずれかを用いるとよい。
第1物質および第2物質のそれぞれを含む水排除棒は、多数の燃料棒を正三角形格子稠密に配置した燃料集合体内において、前述の各第2燃料棒配列の両端部のそれぞれとチャンネルボックスの内面との間に配置するとよい。これらの水排除棒は、チャンネルボックスを介して、隣り合う燃料集合体間に形成される、飽和水が存在するギャップ水領域に向き合っている。
水排除棒内で第1物質(例えば、炭素)を燃料領域に対向させて配置することにより、燃料集合体の燃料領域では、チャンネルボックス内の、減速材となる冷却水(軽水)が存在する領域が低減されて中性子の減速を抑制することができ、さらに、軽水よりも中性子減速能が小さい第1物質の作用によってその中性子の減速をさらに抑制することができる。このため、中性子スペクトルが硬化されてウラン238のプルトニウム239への転換比を向上させることができる。
内部ブランケット領域では劣化ウランに含まれるウラン238の、中性子の捕獲反応により、そのウラン238から核分裂性物質であるプルトニウム239が生成される。水排除棒内で内部ブランケット領域に対向させて配置された第2物質によって中性子を減速させて中性子エネルギーを低エネルギー側にシフトさせるほど、内部ブランケット領域で生成されるプルトニウム239により、燃料集合体のボイド反応度係数がより負となる。燃料集合体において、内部ブランケット領域と対向する第2物質(例えば、ジルコニウムハイドライド)を含む水排除棒を、各第2燃料棒配列の両端部のそれぞれとチャンネルボックスの内面との間に配置することにより、チャンネルボックスの外側に形成されたギャップ水領域で減速された中性子を第2物質によってさらに減速させるため、燃料集合体のボイド反応度係数をより負とすることができる。
また、その水排除棒が、燃料集合体内において、前述の各第2燃料棒配列の両端部のそれぞれとチャンネルボックスの内面との間に配置されるため、特開2018−66690号公報の図1に記載された燃料集合体において、各第2燃料棒配列の両端部のそれぞれとチャンネルボックスの内面との間に形成された間隙を通して上昇する冷却水の流量を抑制することができ、燃料集合体の横断面での中央部に流れる冷却水の流量を増加させることができる。この結果、燃料集合体の横断面の中央部に配置された各燃料棒の冷却性能を向上させることができる。
以上に述べた検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である、沸騰水型原子炉、例えば、軽水炉の一種である改良型沸騰水型原子炉(ABWR)に適用される実施例1の燃料集合体を、図1、図2および図3に基づいて説明する。
まず、本実施例の燃料集合体が適用される沸騰水型原子炉の概略構成を、図5を用いて説明する。図5は、ABWRの構成を示している。
ABWR17は、炉心16、原子炉圧力容器18、炉心シュラウド19、炉心支持板20および上部格子板21を有する。炉心シュラウド19、炉心支持板20、上部格子板21、気水分離器25および蒸気乾燥器26が、原子炉圧力容器18内に配置される。
円筒状の炉心シュラウド19が原子炉圧力容器18内で炉心16を取り囲んでおり、シュラウドヘッド22が炉心シュラウド19の上端部に設けられる。気水分離器25が、炉心シュラウド19に取り付けられ、炉心シュラウド19から上方に向かって伸びている。蒸気乾燥器26が、気水分離器25よりも上方に配置される。
炉心支持板20および上部格子板21が炉心シュラウド19内に配置される。図1、図2および図3に示された構成を有する複数の燃料集合体1が、炉心16に装荷されている。これらの燃料集合体1の下端部は、炉心シュラウド19に取り付けられた炉心支持板20に設置された複数の燃料支持金具24のそれぞれによって支持され、各燃料集合体1の上端部は、炉心支持板20よりも上方に配置されて炉心シュラウド19に取り付けられた上部格子板21によって支持される。
炉心16に装荷された隣り合う4体毎の燃料集合体1の相互間に挿入されて燃料集合体の核反応を制御する、横断面が十字形をしている複数の制御棒14が、原子炉圧力容器18内に配置される。これらの制御棒14のそれぞれは、炉心支持板20よりも下方で原子炉圧力容器18内に配置された複数の制御棒案内管(図示せず)内に別々に配置される。さらに、複数の制御棒駆動機構(制御棒駆動装置)27が、原子炉圧力容器18の底部である鏡板に取り付けられてこの鏡板よりも下方に向かって伸びる複数の制御棒駆動機構ハウジング(図示せず)内に別々に設置される。各制御棒駆動機構27は、各制御棒14に連結されている。
複数のインターナルポンプ23が、原子炉圧力容器18の内面と炉心シュラウド19の外面の間に形成される環状のダウンカマ28の位置で原子炉圧力容器18の下鏡を鏡板の下方に向かって貫通し、その鏡板に取り付けられる。各インターナルポンプ23のインペラはダウンカマ28に配置される。これらのインターナルポンプ23は、ダウンカマ28の周方向に、所定の間隔で配置される。このように配置される各インターナルポンプ23は、炉心シュラウド19の内側に配置される各制御棒案内管と干渉することはない。
ABWR17の起動後に各インターナルポンプ23が駆動されると、ダウンカマ28内の冷却水(軽水)が、回転するインペラによって昇圧されて、ダウンカマ28から、炉心支持板20よりも下方の領域である、原子炉圧力容器18内の下部プレナム29内に流入し、炉心16に装荷された各燃料集合体1内に導かれる。燃料集合体1内に達した冷却水は、燃料集合体1に含まれる後述の複数の燃料棒2内の核燃料物質に含まれる核分裂性物質(プルトニウム239等)の核分裂によって発生する熱によって加熱され、一部の冷却水は蒸気になる。蒸気を含む冷却水である気液二相流は、燃料棒2を冷却しながら燃料集合体1内を上昇し、気水分離器25に流入する。気水分離器25内で、気液二相流は、湿分を含む蒸気(気相)と水(液相)に分離され、液相は再び冷却水としてダウンカマ28内に導かれる。一方、蒸気(気相)は気水分離器25から蒸気乾燥器26に導かれ、蒸気乾燥器26で蒸気から湿分が除去される。湿分が除去された蒸気が、主蒸気配管30を通してタービン(図示せず)に供給される。タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮されて水になる。この水は、給水として、給水配管31により原子炉圧力容器18に導かれて冷却水となる。この冷却水は、ダウンカマ28内を下降し、インターナルポンプ23で昇圧される。
ここで、本実施例の燃料集合体1の具体的な構成を以下に説明する。燃料集合体1は、図2に示すように、複数の燃料棒2、横断面が正方形状の角筒であるチャンネルボックス5、下部タイプレート(図示せず)、上部タイプレート(図示せず)、複数の燃料スペーサ(図示せず)および複数の水排除棒3Aを有する。複数の燃料棒2、例えば、外形が7.2mmである243本の燃料棒2が、チャンネルボックス5内において、所定の間隔(例えば、1.5mmピッチ)で正三角形格子稠密に配置される。これらの燃料棒2の下端部が下部タイプレートに支持され、各燃料棒2の上端部が上部タイプレートに支持される。各水排除棒3Aも、下端部が下部タイプレートに支持され、上端部が上部タイプレートに支持される。軸方向に配置された複数の燃料スペーサによって、これらの燃料棒2が燃料棒2の相互間を前述の所定間隔に保持された状態で、また、各水排除棒3Aも燃料棒2との間を所定間隔に保持された状態で、束ねられる。燃料集合体1の横断面における、各燃料棒2および各水排除棒3Aの配置は、後程、詳細に説明する。
チャンネルボックス5は、図2に示すように、4つの側壁部5A,5B,5Cおよび5Dを有する。互いに向かい合っている一対の側壁部5Cおよび5Dのそれぞれの内面を第1内面と称し、側壁部5Cおよび5Dと直交する方向に位置して互いに向かい合っている一対の側壁部5Aおよび5Bのそれぞれの内面を第2内面と称する。
この燃料集合体1の横断面において、チャンネルボックス5内に配置された複数の燃料棒2は、チャンネルボックス5の向かい合っている一対の第2内面の間に存在する、第2内面に対して平行に配列された複数の燃料棒配列に含まれる。これらの燃料棒配列は、第2内面と直交する方向に位置して互いに向かい合っている一対の第1内面の間に配置された複数の燃料棒2を含んでいる。それらの燃料棒配列は、燃料棒配列(第1燃料棒配列)33、燃料棒配列(第2燃料棒配列)34を含み、さらに、燃料棒配列(第3燃料棒配列)35を含んでいる。
燃料棒配列34に含まれる燃料棒2の本数は、燃料棒配列33に含まれる燃料棒2の本数よりも一本少なくなっている。燃料棒配列33と燃料棒配列34は、一対の第2内面の間(側壁部5Aと側壁部5Bの間))で、交互に配置される。燃料棒配列のうち一対の第2内面のそれぞれに最も近い位置に配置される各燃料棒配列35に含まれる燃料棒2の本数は、燃料棒配列33に含まれる燃料棒2の本数よりも二本少なくなっている。これは、燃料棒配列35の両端部が、チャンネルボックス5のコーナー部付近に位置しているからである。
各燃料棒配列34の一端部に位置する燃料棒2Aと側壁部5Dの第1内面との間の間隔、および各燃料棒配列34の他端部に位置する燃料棒2Bと側壁部5Cの第1内面との間の間隔のそれぞれは、燃料棒配列33の両端部に位置する燃料棒2と第1内面との間隔よりも広くなっている。このため、水排除棒3Aが、各燃料棒配列34の一端部に位置する燃料棒2Aと側壁部5Dの第1内面との間、および各燃料棒配列34の他端部に位置する燃料棒2Bと側壁部5Cの第1内面との間のそれぞれに配置される。換言すれば、燃料棒2Aは燃料棒配列34に含まれる複数の燃料棒2のうち側壁部5Dの第1内面に最も近い位置に存在する燃料棒2である。また、燃料棒2Bは燃料棒配列34に含まれる複数の燃料棒2のうち側壁部5Cの第1内面に最も近い位置に存在する燃料棒2である。水排除棒3Aの横断面の形状は、図2および図3に示すように、チャンネルボックス5の第1内面に面する部分の幅が燃料棒2に面する部分の幅よりも広くなる台形になっている。
横断面が十字形をしている制御棒14は、図4に示すように、炉心16の横断面において、隣接して配置された4体の燃料集合体1毎に一体の割合で配置される。制御棒14は、図2に示すように、燃料集合体1の外側で、燃料集合体1の一つのコーナー部に面して配置される。制御棒14の二枚のブレードが、一体の燃料集合体1の二つの側壁部5Aおよび5Cに対向している。
制御棒14は、中性子吸収材(例えば、ボロン)を充填した中性子吸収材領域(図示せず)、およびフォロアー部(図示せず)を有する。中性子吸収材領域およびフォロアー部のそれぞれは制御棒14におけるブレードの軸方向の長さの1/2になっており、フォロアー部は中性子吸収材領域の上方に配置される。中性子吸収材領域の、制御棒14の軸方向における長さは、燃料集合体1における後述の燃料有効長の軸方向長さと同じであり、制御棒14が炉心16に全挿入されたとき、中性子吸収材領域の全長が燃料集合体14の燃料有効長の全長と対向する。そのフォロアー部は、軽水よりも中性子減速能が小さい第1物質である炭素で構成されている。制御棒14が炉心16に全挿入されたとき、フォロアー部は、燃料集合体1において燃料有効長の上方に存在するプレナム部(図示せず)に対向する。このプレナム部は、燃料集合体1内に配置された各燃料棒2の被覆管(図示せず)内で、複数の燃料ペレットが充填された領域(燃料有効長)の上端よりも上方に形成される。
また、燃料集合体1の他の側壁部5Bとこの側壁部5Bに隣接している他の燃料集合体1との間、および燃料集合体1の他の側壁部5Dとこの側壁部5Dに隣接している他の燃料集合体1との間のそれぞれに存在するギャップ水領域13に、水排除板15が配置される。
燃料集合体1の燃料有効長(核燃料物質が充填された領域の、燃料集合体の軸方向における長さ)は、180cmである。燃料集合体1の燃料有効長では、図1(A)に示すように、その燃料有効長Hの下端から上端に向かって、燃料領域(第1燃料領域)6、第1内部ブランケット領域7、燃料領域(第2燃料領域)8、第2内部ブランケット領域9、燃料領域(第3燃料領域)10および上部ブランケット領域11が形成される。燃料領域8の高さは燃料領域6および10の高さよりも低くなっている。さらに、燃料領域6の高さは燃料領域10のそれよりも高くなっている。第1内部ブランケット領域7および第2内部ブランケット領域9のそれぞれの高さは等しい。燃料領域6、8および10の各領域には、MOX燃料が充填される。第1内部ブランケット領域7、第2内部ブランケット領域9および上部ブランケット領域11の領域には、核分裂性プルトニウムを含む超ウラン核種が存在しなく、劣化ウランが充填される。第1内部ブランケット領域7、第2内部ブランケット領域9および上部ブランケット領域11の領域には、劣化ウランの替りに、天然ウランおよび減損ウランのいずれかを充填してもよい。燃料領域6、第1内部ブランケット領域7、燃料領域8、第2内部ブランケット領域9、燃料領域10および上部ブランケット領域11のそれぞれの高さは、炉心16の軸方向の出力分布が平坦になるように設定される。
なお、燃料領域6は燃料有効長Hの下端と燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの3/24の位置との間に存在し、第1内部ブランケット領域7は燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの3/24の位置と燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの10.7/24の位置との間に存在し、燃料領域8は燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの10.7/24の位置と燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの13.3/24の位置との間に存在する。さらに、第2内部ブランケット領域9は燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの13.3/24の位置と燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの20.9/24の位置との間に存在し、燃料領域10は燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの20.9/24の位置と燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの23.7/24の位置との間に存在し、上部ブランケット領域11は燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの23.7/24の位置と燃料有効長Hの上端との間に存在する。
燃焼度が0GWd/tである燃料集合体1の燃料有効長における、燃料領域6、第1内部ブランケット領域7、燃料領域8、第2内部ブランケット領域9、燃料領域10および上部ブランケット領域11の各領域は、各燃料棒2内に充填された核燃料物質によって形成される。核燃料物質は、燃料棒2の、上端部および下端部が密封された被覆管(図示せず)内に充填される。各燃料棒2の被覆管内には、下端部から上端部に向かって、燃料領域6、第1内部ブランケット領域7、燃料領域8、第2内部ブランケット領域9、燃料領域10および上部ブランケット領域11が形成されている。燃焼度が0GWd/tである燃料集合体1において、各燃料棒2は、核燃料物質であるMOX燃料の複数の燃料ペレットを燃料領域6、8および10のそれぞれに充填し、他の核燃料物質である劣化ウランの酸化物または劣化ウランの複数の燃料ペレットを第1内部ブランケット領域7、第2内部ブランケット領域9および上部ブランケット領域11のそれぞれに充填している。燃料集合体1の燃焼度が0GWd/tであるとき、第1内部ブランケット領域7、第2内部ブランケット領域9および上部ブランケット領域11のそれぞれに充填される複数のペレットは、プルトニウムを含んでいない。
燃料集合体1内に配置される各水排除棒3Aは、図1(B)に示すように、燃料有効長Hの下端からその上端に向かって、第1領域4A1、第2領域4B1、第1領域4A2、第2領域4B2および第1領域4A3をこの順番で配置している。第1領域4A1は燃料領域6に対向しており、第1領域4A1の、燃料集合体1の軸方向の長さは燃料領域6のその軸方向の長さと同じである。第2領域4B1は第1内部ブランケット領域7に対向しており、第2領域4B1の、燃料集合体1の軸方向の長さは第1内部ブランケット領域7のその軸方向の長さと同じである。第1領域4A2は燃料領域8に対向しており、第1領域4A2の、燃料集合体1の軸方向の長さは燃料領域8のその軸方向の長さと同じである。第2領域4B2は第2内部ブランケット領域9に対向しており、第2領域4B2の、燃料集合体1の軸方向の長さは第2内部ブランケット領域9のその軸方向の長さと同じである。第1領域4A3は燃料領域10および上部ブランケット領域11に対向しており、第1領域4A3の、燃料集合体1の軸方向の長さは燃料領域10および上部ブランケット領域11のそれぞれのその軸方向の長さの合計と同じである。
なお、第1領域4A1と第2領域4B1の境界の、燃料集合体1の軸方向での位置は、燃料領域6と第1内部ブランケット領域7の境界の、その軸方向での位置と同じである。第2領域4B1と第1領域4A2の境界の、燃料集合体1の軸方向での位置は、第1内部ブランケット領域7と燃料領域8の境界の、その軸方向での位置と同じである。第1領域4A2と第2領域4B2の境界の、燃料集合体1の軸方向での位置は、燃料領域8と第2内部ブランケット領域9の境界の、その軸方向での位置と同じである。第2領域4B2と第1領域4A3の境界の、燃料集合体1の軸方向での位置は、第2内部ブランケット領域9と燃料領域10の境界の、その軸方向での位置と同じである。
各水排除棒3Aは、両端部が密封された被覆管(図示せず)内において、軽水よりも中性子減速能が小さい第1物質,例えば、炭素の棒を、第1領域4A1、4A2および4A3のそれぞれに配置し、軽水よりも中性子減速能が大きい第2物質、例えば、ジルコニウムハイドライドの棒を、第2領域4B1および4B2のそれぞれに配置している。各水排除棒3Aでは、第2領域4B1のジルコニウムハイドライド棒が第1領域4A1の炭素棒の上端に置かれ、第1領域4A2の炭素棒が第2領域4B1のジルコニウムハイドライド棒の上端に置かれ、第2領域4B2のジルコニウムハイドライド棒が第1領域4A2の炭素棒の上端に置かれ、さらに、第1領域4A3の炭素棒が第2領域4B2のジルコニウムハイドライド棒の上端に置かれている。
複数の燃料集合体1が装荷される炉心16も、燃料集合体1と同様に、下端から上端に向かって、燃料領域6、第1内部ブランケット領域7、燃料領域8、第2内部ブランケット領域9、燃料領域10および上部ブランケット領域11を形成し、さらに、下端から上端に向かって、第1領域4A1、第2領域4B1、第1領域4A2、第2領域4B2および第1領域4A3を形成している。
複数の燃料集合体1が装荷された炉心16を有するABWR17が起動されて制御棒14が炉心16から引き抜かれ、ABWR17が臨界になる。さらに、制御棒14が引き抜かれてABWR17の昇温昇圧工程が実施され、原子炉圧力容器18内の圧力が定格圧力まで上昇され、燃料集合体1内の各燃料棒2内に存在するMOX燃料に含まれる核分裂性プルトニムの核分裂で生じる熱によって燃料集合体1内の冷却水が加熱されて原子炉圧力容器18内の冷却水の温度が定格温度(280℃)まで上昇される。原子炉圧力容器18内の圧力が定格圧力になり、その冷却水の温度が定格温度に上昇した後、炉心16からの制御棒14の引き抜き、および炉心16に供給される冷却水の流量増加により、原子炉出力が定格出力(100%出力)まで上昇される。定格出力を維持した、ABWR17の定格運転が、その運転サイクルの終了まで継続される。インターナルポンプ23が駆動されているとき、例えば、ABWR17の定格運転時において、インターナルポンプ23で昇圧された冷却水(軽水)は、炉心16に存在する各燃料集合体1内に供給される。
燃料集合体1のチャンネルボックス5内には、側壁部5Cおよび5Dのそれぞれの第1内面に隣接して配置された複数の水排除棒3Aによって、各第1内面付近を上昇する冷却水の流量が抑制され、燃料集合体1の横断面の中央部を流れる冷却水の流量が増加する。このため、その中央部に配置された各燃料棒2の冷却性能が向上する。
チャンネルボックス5内に配置される各水排除棒3Aは、複数の燃料棒2と共に燃料スペーサによって束ねられず、チャンネルボックス5の、前述の第1内面のそれぞれに設置してもよい。
各水排除棒3Aをチャンネルボックス5内で側壁部5Cおよび5Dのそれぞれの第1内面に隣接して配置しているため、燃料集合体1の燃料領域6,8および10では、側壁部5Cおよび5Dのそれぞれの第1内面付近での冷却水が排除され、さらに、軽水よりも中性子減速能が小さい第1物質,例えば、棒状の炭素が、それぞれの第1内面付近に位置する、各燃料領域に対応する第1領域4A1、4A2および4A3のそれぞれに存在していることにより、中性子の減速が著しく抑制され、中性子スペクトルが硬化されて燃料領域6,8および10のそれぞれに存在するウラン238のプルトニウム239への転換比を向上させることができる。
上記したように、燃料領域6,8および10に対向して棒状の炭素が第1領域4A1、4A2および4A3に存在するため、燃料領域6,8および10のそれぞれの第1内面付近における減速材が減少される。減速材の減少は、それらの燃料領域では、0GWd/tの燃料集合体1に存在するMOX燃料中の核分裂性プルトニウム(Pu239およびPu241等)、およびMOX燃料中の劣化ウランに含まれるU238が高速中性子を捕獲することによって生成されるPu239のそれぞれが熱中性子によって核分裂することを抑制し、熱中性子で核分裂を生じない非核分裂性プルトニウムおよび非核分裂性マイナアクチニドのそれぞれの、高速中性子による核分裂を促進する。この結果、燃料領域6,8および10におけるウラン238のプルトニウム239への転換比が向上する。
第1内部ブランケット領域7および第2内部ブランケット領域9では劣化ウランに含まれるウラン238の、高速中性子の捕獲反応により、そのウラン238から核分裂性物質であるプルトニウム239が生成される。水排除棒3A内で各内部ブランケット領域に対向させて配置された、各水排除棒3A内の第2物質である棒状のジルコニウムハイドライドによって、ギャップ水領域13で減速された中性子がさらに減速されるため、第1内部ブランケット領域7および第2内部ブランケット領域9で生成されるプルトニウム239により、燃料集合体1のボイド反応度係数がより負となる。
各水排除棒3Aの各第2領域4B1および4B2内のジルコニウムハイドライドによって生じた熱中性子による、燃料集合体1のボイド反応度係数を負にする効果は、その熱中性子が燃料集合体1の横断面の中央部に到達しないため、主に、燃料集合体1の第1内面付近に到達する熱中性子によってもたらされる。
燃料集合体1の横断面の中央部に配置された各燃料棒2では、第1内部ブランケット領域7および第2内部ブランケット領域9のそれぞれが該当する燃料領域と接触しているため、接触する燃料領域に含まれる核分裂性プルトニウムの核分裂で生じる高速中性子が、第1内部ブランケット領域7および第2内部ブランケット領域9に到達する。このため、これらの第1内部ブランケット領域7および第2内部ブランケット領域9内の劣化ウランに含まれるウラン238がその高速中性子を捕獲してプルトニウム239に転換され、第1内部ブランケット領域7および第2内部ブランケット領域9における転換比も向上する。
以上に述べたように、本実施例の燃料集合体1は、プルトニウムへの転換率をさらに向上でき、ボイド反応度係数をより負にすることができる。燃料集合体1を装荷した炉心でも、プルトニウムへの転換率をさらに向上でき、ボイド反応度係数をより負にすることができる。
本発明の好適な他の実施例である、ABWRに適用される実施例2の燃料集合体を、図6に基づいて説明する。
このABWRの構成は、実施例1で述べたABWRと同じ構成である。また、本実施例の燃料集合体1A内に配置される水排除棒3Bの構成以外の、燃料集合体1Aの構成は、実施例1の燃料集合体1の構成と同じである。
実施例1の燃料集合体1内に配置される水排除棒3Aと構成が異なる、燃料集合体1A内に配置される水排除棒3Bの構成を、図6(B)を用いて説明する。燃料集合体1Aは、燃料集合体1と同様に、燃料有効長において、下端から上端に向かって、燃料領域6、第1内部ブランケット領域7、燃料領域8、第2内部ブランケット領域9、燃料領域10および上部ブランケット領域11を形成する(図6(A)参照)。水排除棒3Bは、実施例1における水排除棒3Aと同様に、下端から上端に向かって、第1領域4A1、第2領域4B1、第1領域4A2、第2領域4B2および第1領域4A3をこの順番で配置している。しかし、水排除棒3Bでは、水排除棒3Aと異なって、第2領域4B1および4B2のそれぞれの高さが、第1内部ブランケット領域7および第2内部ブランケット領域9のそれぞれの高さhの1/2(h/2)になっている。すなわち、水排除棒3Bにおける第2領域4B1および4B2のそれぞれの高さは、水排除棒3Aにおける第2領域4B1および4B2のそれぞれの高さよりも低くなっている。また、水排除棒3Bにおいて、第1領域4A1の上端は燃料領域6の上端よりも高い位置に存在し、第1領域4A2の上端は燃料領域8の上端よりも高い位置に存在する。水排除棒3Bにおいて、第1領域4A1と第2領域4B1の境界は燃料領域6の上端よりもh/4だけ高い位置に存在し、第1領域4A2と第2領域4B2の境界は燃料領域8の上端よりもh/4だけ高い位置に存在する。
このため、水排除棒3Bでは、第1領域4A1は燃料領域6に対向しているだけでなく第1内部ブランケット領域7の下端部にも対向しており、第1領域4A2は燃料領域8に対向しているだけでなく第1内部ブランケット領域7の上端部および第2内部ブランケット領域9の下端部にも対向しており、第1領域4A3は燃料領域10および上部ブランケット領域11に対向しているだけでなく第2内部ブランケット領域9の上端部にも対向している。なお、水排除棒3Bでは、高さの低い第2領域4B1が第1内部ブランケット領域7に対向し、高さの低い第2領域4B2が第2内部ブランケット領域9に対向する。
本実施例の燃料集合体1Aは、第2領域4B1および4B2のそれぞれの高さが燃料集合体1における第2領域4B1および4B2のそれぞれの高さよりも低いが、実施例1の燃料集合体1で生じる各効果を得ることができる。ただし、第2領域4B1および4B2のそれぞれの高さが低くなると、第1内部ブランケット領域7および第2内部ブランケット領域9に隣接する中性子減速能の大きな領域が減少するため、ボイド反応度係数の改善度合いは実施例1よりも小さくなる。
第2領域4B1および4B2のそれぞれの、燃料集合体1Aの軸方向における長さは、h/2以上h以下の範囲内の長さにするとよい。
本発明の好適な他の実施例である、ABWRに適用される実施例3の燃料集合体を、図7に基づいて説明する。
このABWRの構成は、実施例1で述べたABWRと同じ構成である。また、本実施例の燃料集合体1B内に配置される水排除棒3Cの構成以外の、燃料集合体1Bの構成は、実施例1の燃料集合体1の構成と同じである。
実施例1の燃料集合体1内に配置される水排除棒3Aと構成が異なる、燃料集合体1A内に配置される水排除棒3Bの構成を、図7(B)を用いて説明する。燃料集合体1Aは、燃料集合体1と同様に、燃料有効長において、下端から上端に向かって、燃料領域6、第1内部ブランケット領域7、燃料領域8、第2内部ブランケット領域9、燃料領域10および上部ブランケット領域11を形成する(図7(A)参照)。水排除棒3Bは、実施例1における水排除棒3Aとことなり、下端から上端に向かって、第1領域4A1、第2領域4B1および第1領域4A2をこの順番で配置している。しかし、水排除棒3Bでは、第1領域4A1が燃料領域6、第1内部ブランケット領域7および燃料領域8に対応させて配置され、第2領域4B1が第2内部ブランケット領域9に対応させて配置され、第1領域4A2が燃料領域10および上部ブランケット領域11に対応させて配置される。
水排除棒3Cにおいて、第1領域4A1の上端は燃料領域8と第2内部ブランケット領域9の境界の位置に存在し、第2領域4B1の上端は第2内部ブランケット領域9と燃料領域10の境界の位置に存在する。
本実施例の燃料集合体1Bは、実施例1の燃料集合体1で生じる各効果を得ることができる。しかし、本実施例では棒状の炭素が存在する第2領域4B1が第1内部ブランケット領域7に対応して配置されていないため、本実施例におけるボイド反応度係数の改善度合いが、実施例1におけるその改善度合いよりも低くなる。棒状の炭素が存在する第2領域4B1を第1内部ブランケット領域7および第2内部ブランケット領域9のいずれかに対応させて配置する場合には、本実施例における水排除棒3Cのように、第2領域4B1を第2内部ブランケット領域9に対応させて配置するとよい。第2領域4B1を第2内部ブランケット領域9に対応させて配置した場合には、第2領域4B1を第1内部ブランケット領域7に対応させて配置した場合に比べて、ボイド反応度係数の改善度合いが大きくなる。これは、燃料集合体1Bの、燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの1/2の位置よりも下方では燃料集合体1Bの軸方向のボイド率が低く、水排除棒による中性子減速の効果が小さいため、その部分に、第1物質、例えば、炭素を配置しても、ボイド反応度係数を改善する効果が小さくなるからである。このため、ボイド反応度係数を改善する効果が大きくなる、燃料有効長Hの下端から燃料有効長Hの1/2の位置よりも上方に、すなわち、第2内部ブランケット領域9に対応させて炭素を配置するとよい。
さらに、本実施例は、水排除棒3C内の、軽水よりも中性子吸収断面積が小さい棒状の炭素を含む第1領域4A1を第1内部ブランケット領域7に対応させて配置しているため、第1内部ブランケット領域7における中性子の減速が抑制されて中性子スペクトルが硬化され、第1内部ブランケット領域7内でのウラン238のプルトニウム239への転換比を向上させることができる。
実施例1ないし3で述べた燃料集合体1,1Aおよび1Bは、ABWR以外に、インターナルポンプの替りにジェットポンプを用いた沸騰水型原子炉に適用してもよい。
1,1A,1B…燃料集合体、2,2A,2B…燃料棒、3A,3B,3C…水排除棒、4A1,4A2,4A3…第1領域(軽水よりも中性子減速能が小さい第1物質が充填される領域)、4B1,4B2…第2領域(軽水よりも中性子減速能が大きい第2物質が充填される領域)、5…チャンネルボックス、6,8,10…燃料領域、7…第1内部ブランケット領域、9…第2内部ブランケット領域、14…制御棒、16…炉心、18…原子炉圧力容器、19…炉心シュラウド、33,34,35,35A…燃料棒配列。
Claims (10)
- チャンネルボックスと、前記チャンネルボックス内に配置され、核燃料物質を内部に充填している複数の燃料棒と、前記チャンネルボックス内に配置されて前記チャンネルボックスの第1内面に隣接する複数の水排除棒とを備えた燃料集合体であって、
前記燃料集合体の燃料有効長では、それらの燃料棒内の前記核燃料物質により、前記燃料有効長の下端から上端に向かって、第1燃料領域、内部ブランケット領域および第2燃料領域が形成され、
前記水排除棒は、この水排除棒の軸方向に、前記第1燃料領域および前記第2燃料領域に対向する第1領域および前記内部ブランケット領域に対向する第2領域を有し、
前記第1領域は軽水よりも中性子減速能が小さい第1物質を含み、前記第2領域は軽水よりも中性子減速能が大きい第2物質を含んでいることを特徴とする燃料集合体。 - 前記燃料集合体の軸方向における前記内部ブランケット領域の長さをhとしたとき、前記第2領域は、その軸方向において、h/2以上h以下の範囲内の長さを有する請求項1に記載の燃料集合体。
- 前記複数の燃料棒および前記複数の水排除棒は、下端部が下部タイプレートに支持されて上端部が上部タイプレートに支持され、前記燃料集合体の軸方向に配置された複数の燃料スペーサによって束ねられている請求項1または2に記載の燃料集合体。
- 前記複数の燃料棒は、下端部が下部タイプレートに支持されて上端部が上部タイプレートに支持され、前記燃料集合体の軸方向に配置された複数の燃料スペーサによって束ねられており、
前記複数の水排除棒は、前記チャンネルボックスの前記第1内面に設置されている請求項1または2に記載の燃料集合体。 - 前記複数の燃料棒は、前記燃料集合体の横断面において正三角形格子状に配置されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の燃料集合体。
- 前記チャンネルボックスの対向する一対の前記第1内面と直交する方向に配置されて互いに対向する一対の第2内面に対して平行に配置され、一対の前記第1内面間に配置された複数の前記燃料棒を含む複数の第1燃料棒配列、および一対の前記第2内面に対して平行に配置され、前記燃料棒が前記第1燃料棒配列よりも一本少ない複数の第2燃料棒配列を有し、
各前記水排除棒が、前記第2燃料棒配列の両端部にそれぞれ位置する前記燃料棒と前記第1内面との間に配置される請求項5に記載の燃料集合体。 - 前記水排除棒内の前記第2領域は、前記燃料有効長の1/2よりも上方に位置する前記内部ブランケット領域に対向しており、
前記水排除棒内の前記第1領域は、この内部ブランケット領域よりも上方に位置する前記第2燃料領域に対向しており、さらに、前記燃料有効長の下端と前記第2領域の間の領域に配置される請求項1ないし6のいずれか1項に記載の燃料集合体。 - 燃焼度が0GWd/tである前記燃料集合体では、前記第1燃料領域および前記第2燃料領域は、超ウラン核種を含んでおり、前記内部ブランケット領域は、劣化ウラン、天然ウランおよび減損ウランのいずれかを含み、前記超ウラン核種を含んでいない請求項1ないし7のいずれか1項に記載の燃料集合体。
- 前記第1物質がC,Al,Zr,ジルカロイ,Feおよびステンレス鋼のいずれかであり、前記第2物質がジルコニウムハイドライドおよび水素化イットリウムのいずれかである請求項1ないし8のいずれか1項に記載の燃料集合体。
- 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の燃料集合体が装荷されていることを特徴とする軽水炉の炉心。
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