JPH07127501A - 内燃機関のアイドル制御装置 - Google Patents

内燃機関のアイドル制御装置

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JPH07127501A
JPH07127501A JP5273547A JP27354793A JPH07127501A JP H07127501 A JPH07127501 A JP H07127501A JP 5273547 A JP5273547 A JP 5273547A JP 27354793 A JP27354793 A JP 27354793A JP H07127501 A JPH07127501 A JP H07127501A
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エンジンの変更なしで燃焼そのものを改善し
て、低回転,軽負荷であっても安定したアイドル回転を
実現できる内燃機関のアイドル制御装置を提供するこ
と。 【構成】 アイドル状態である場合には、S150にて
回転差を算出し、続くS160ではその差に応じた回転
差噴射噴射量を算出する。続くS170では負荷スイッ
チ28の状態を判別し、負荷スイッチ28がONでな
く、負荷がかかっていなければ、吹き返しガス量が多い
ので、S180にて回転差噴射補正量の制限を行なう。
一方、S230ではアイドル状態に対応した基本点火時
期を算出し、続くS240では回転差に基づいて回転差
点火時期補正量を算出する。続くS250では負荷スイ
ッチ28の状態を判別し、負荷スイッチ28がONでな
く、負荷がかかっていなければ、回転差点火時期補正量
の遅角側の制限を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オットーサイクル型内
燃機関(以下エンジンと略す)にマイクロコンピュータ
を用いた電子制御システムに於けるアイドル回転速度の
安定性を改善するアイドル制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジンのアイドル回転速度
(回転数)の制御として、例えばスロットル弁が全閉時
のアイドル回転速度を、冷却水温や車速信号に応じて予
め定めた目標回転速度と実測のアイドル回転速度を比較
して、その速度差が所定以上では、アイドル速度制御弁
によってバイパス通路面積を制御して目標回転速度に収
束させるものがある。そして、この様なシステムにおい
ては、アイドル速度制御弁の制御によりほぼ目標回転速
度に近づいた時点で、アイドル速度制御弁の開度を保持
するが、これは制御弁の開度変化による吸気量の変化と
回転速度の変化の間には吸気管容積分の応答遅れがある
ので、それによるハンチングを防ぐ為である。また、速
度差が微小な範囲では、点火時期により補正して回転速
度の安定性を改善する様にしている。
【0003】更に、この種のアイドル制御として、下記
,の様な様々な技術が提案されている。 例えば、特公昭63−9093号公報の技術は、吸気
管の圧力の変化量と回転速度の変化量を検出する構成
と、その変化量に応じて燃料制御量又は点火時期の補正
値を求めて出力することにより、回転の安定を図るもの
である。即ち、気筒当たり吸気量に対応した燃料噴射量
を、回転速度の変化によって生ずる気筒当たり吸気量の
変化に対応して所定の空燃比を保持する様に、燃料量を
回転上昇時には減量し、低下時には増量補正制御する技
術である。
【0004】また、特公平3ー16500号公報の技
術は、回転速度変化に対応して、点火時期の補正により
回転を安定化するものである。つまり、回転速度の変化
量に比例して補正量を大きくすると共に、回転上昇時の
補正量と回転低下時の補正量を非対象とする所が特徴で
あり、回転低下からの復帰力をより大きくしようとする
ものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、近年の研究
にて、この従来の技術では、アイドル回転速度の安定性
を満足できない領域がある事がわかってきた。つまり、
近年、地球環境保護の観点から燃料消費を改善する事が
クローズアップされ、走行パターンの比率からアイドル
運転の比重が大きい事から、アイドル回転速度を低下す
る事が課題となっているが、このアイドル回転速度を低
下する事によって、アイドル回転速度が不安定になると
いう新たな問題点が発生する。
【0006】具体的には、アイドル回転速度を低下させ
ると、吸気弁と排気弁が同時に開いている期間(バルブ
オーバーラップ期間)に要する時間が長くなるので、排
気ガスが排気管側から吸気管側に吹き返す量(吹き返し
ガス量)が増加し、そのため、燃焼状態が悪化するの
で、従来の制御だけでは回転速度の安定が維持できなく
なってしまう。特に、この吹き返しガス量は、排気管と
吸気管の圧力差の平方根と時間に比例するので、低回
転,軽負荷ほど多くなり、しかも、混合気の燃焼は、酸
化反応する燃料の持つ発熱量と混合気の持つ熱容量で温
度上昇が決まり、この燃焼に関与しない吹き返しガス量
は、吸熱のみに働いて燃焼を悪化させて有効なトルクを
発生しないので、低回転において、吹き返しガス量の問
題はより大きくなる。その上、理論空燃比よりリーン側
では、燃焼に関与しない空気と吹き返しガス量により、
一層燃焼が悪化するという問題もある。
【0007】これらの問題を上述した従来技術に当ては
めて見てみると、例えば前記の技術では、軽負荷時に
も一定の空燃比を維持する為に、リッチ側に補正する機
能までは有せず、吹き返しガス量による影響は避けられ
ない。また、前記の技術では、燃焼は点火時期のみで
は決まらず、負荷によって吹き返しガス量が変化するの
で、即ち、回転速度が低くても負荷の高いときには燃焼
が良好であるので、進角によりノッキングを生ずる不具
合も考えられる。
【0008】尚、前記技術以外に、点火時期を補正する
技術として、例えば、アイドル以外の定常運転領域にて
回転速度変化に対応して点火時期を補正する時に、進角
の上限及び遅角の下限を設けて、ノッキングの防止とサ
ージングの発生を防止する技術(実開平1−17918
0号公報参照)があるが、これは、本発明の対象であ
る、アイドル運転領域での負荷の有無により点火時期を
制御する分野とは異なるものである。
【0009】一方、上述した吹き返しガス量を少なくす
る方法として、例えばバルブオーバーラップ期間を小さ
くするためバルブの開閉タイミングを変更すると、高回
転におけるエンジンの性能に影響を与えるので可変バル
ブタイミング機構が必要となり、コストの制約から全て
のエンジンには適用できない。
【0010】本発明は、この様な不具合の発生を解決す
るためになされたものであり、エンジンの変更なしで燃
焼そのものを改善して、低回転,軽負荷であっても安定
したアイドル回転を実現できる内燃機関のアイドル制御
装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の請求項1の発明は、図1に例示する様に、燃料供給量
を補正して燃料混合気を所定空燃比にフィードバック制
御するとともに、アイドル回転速度を目標回転速度にフ
ィードバック制御する内燃機関のアイドル制御装置にお
いて、内燃機関がアイドル状態を含む吹き返しガス量が
多い軽負荷状態であるか否かを判定する運転状態判定手
段と、検出したアイドル回転速度と目標回転速度との回
転速度差を求める速度差検出手段と、該速度差検出手段
によって求めた回転速度差に基づいて、空燃比を所定値
に制御するための燃料供給量の補正量を求める燃料補正
量算出手段と、前記運転状態判定手段によって軽負荷状
態と判定された場合に、前記速度差算出手段によって求
めた回転速度差に基づいて、前記燃料補正量算出手段に
よって求めた燃料供給量の補正量の減量側を制限する減
量側制限手段と、を備えたことを特徴とする内燃機関の
アイドル制御装置を要旨とする。
【0012】また、請求項2の発明は、図2に例示する
様に、燃料供給量を補正して燃料混合気を所定空燃比に
フィードバック制御するとともに、アイドル回転速度を
目標回転速度にフィードバック制御する内燃機関のアイ
ドル制御装置において、内燃機関がアイドル状態を含む
吹き返しガス量が多い軽負荷状態であるか否かを判定す
る運転状態判定手段と、検出したアイドル回転速度と目
標回転速度との回転速度差を求める速度差検出手段と、
該速度差検出手段によって求めた回転速度差に基づい
て、回転速度差を低減するための点火時期の補正量を求
める点火補正量算出手段と、前記運転状態判定手段によ
って軽負荷状態と判定された場合に、前記速度差算出手
段によって求めた回転速度差に基づいて、前記点火補正
量算出手段によって求めた点火時期の補正量の遅角側を
制限する遅角側制限手段と、を備えたことを特徴とする
内燃機関のアイドル制御装置を要旨とする。
【0013】
【作用】前記目的を達成するための請求項1の発明は、
運転状態判定手段によって、内燃機関がアイドル状態を
含む吹き返しガス量が多い軽負荷状態であるか否かを判
定し、速度差検出手段によって、アイドル回転速度と目
標回転速度との回転速度差を求め、燃料補正量算出手段
によって、速度差検出手段によって求めた回転速度差に
基づいて、空燃比を所定値に制御するための燃料供給量
の補正量を求める。そして、運転状態判定手段によって
軽負荷状態と判定された場合には、減量側制限手段によ
って、速度差算出手段によって求めた回転速度差に基づ
いて、燃料補正量算出手段によって求めた燃料供給量の
補正量の減量側を制限する。
【0014】つまり、本発明は、吹き返しガス量が多い
軽負荷の状態の場合には、燃焼が不安定となるので、回
転速度差によって設定される燃料量の補正量を過剰に低
減しない様にガードをかけて、即ち、空燃比をリッチ方
向にずらすことによって、燃焼の改善を図るものであ
る。
【0015】また、請求項2の発明は、運転状態判定手
段によって、内燃機関がアイドル状態を含む吹き返しガ
ス量が多い軽負荷状態であるか否かを判定し、速度差検
出手段によって、アイドル回転速度と目標回転速度との
回転速度差を求め、点火補正量算出手段によって、速度
差検出手段によって求めた回転速度差に基づいて、回転
速度差を低減するための点火時期の補正量を求める。そ
して、運転状態判定手段によって軽負荷状態と判定され
た場合には、遅角側制限手段によって、速度差算出手段
によって求めた回転速度差に基づいて、点火補正量算出
手段によって求めた点火時期の補正量の遅角側を制限す
る。
【0016】つまり、本発明は、前記と同様に、吹き返
しガス量が多い軽負荷の状態の場合には、燃焼が不安定
となるので、回転速度差によって設定される点火時期の
補正量を過剰に遅角しない様にガードをかけて、即ち、
燃焼時間を増加させて燃焼の改善を図るものである。
【0017】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面と共に説明す
る。図3は第1実施例のアイドル制御装置のシステム構
成を示す概略構成図である。 (第1実施例)図3に本実施例のアイドル制御装置を示
す様に、内燃機関(エンジン)2の吸気管4には、その
上流側より、吸入空気量を検出するエアフロメータ6,
吸入空気量を制御するスロットル弁8,スロットル弁8
の開度を検出するスロットル開度センサ9,スロットル
弁8をバイパスするバイパス通路10,バイパス通路1
0に設けられたアイドル速度制御弁12,燃料を吸気ポ
ート2aに噴射する燃料噴射弁13が備えてある。ま
た、気筒本体側には、プラグ14によって点火を行なう
点火装置16,冷却水温を検出する水温センサ18,エ
ンジン2の回転角を検出する回転角センサ19が備えて
ある。更に、下流側の排気管21には、排気ガス中の酸
素濃度を検出する酸素センサ23,排気ガスを浄化する
三元触媒25が備えてある。
【0018】このうち、アイドル速度制御弁12は、ス
ロットル弁8の全閉時に、バイパス通路10の断面積を
変更することによって吸入空気量を変えて、アイドル回
転速度(回転数)を調節するものである。回転角センサ
19は、図示しないクランクシャフトに連動するロータ
の回転毎に回転角に応じた信号電圧を発生するものであ
り、この信号を用いて後述する電子制御装置(ECU)
30にて、現在のクランク角度位置と(入力間隔時間か
ら)回転速度を検出する。
【0019】燃料噴射弁13は、図示しない燃料タンク
内部に取り付けてある燃料ポンプから燃料を圧送し、E
CU30で演算された噴射量に相当する電気信号に応じ
て開閉し、エンジン2の吸気ポート2aへ燃料を噴射す
る。点火装置16は、図示しないイグニションコイルと
パワートランジスタからなり、ECU30で演算された
点火時期までにコイルに電気エネルギを蓄積するよう通
電信号を伝達し、点火時期で遮断することによって高電
圧を発生し火花放電を発生させる。
【0020】また、上述したECU30は、周知のCP
U40,ROM42,RAM44,入力ポート46,出
力ポート48,バスライン49等からなるコンピュータ
として構成されており、回転速度検出等の演算や、燃料
噴射制御,点火信号制御,アイドル回転制御等の各種の
制御を行なう。
【0021】このECU30の入力ポート46には、前
記エアフロメータ6,スロットル開度センサ9,水温セ
ンサ18,回転角センサ19,酸素センサ23等のセン
サが接続されているが、特に本実施例では、エンジン2
の負荷となる補機類(発電機器,空調機器,油圧機器
等)の動作状態を検出する各種の負荷スイッチ28が接
続されている。一方、出力ポート48には、アイドル速
度制御弁12,燃料噴射弁13,点火装置16等が接続
されている。また、ROM42には、後述する図4に示
す様な、負荷の有無に応じて区分された点火時期の補正
用のマップや燃料量の補正用のマップ等の値が記憶され
ている。
【0022】ここで、本実施例のアイドル制御装置の行
なうアイドル制御の概要を、図4に基づいて簡単に説明
する。本実施例では、スロットル開度センサ9の出力が
所定値以下の時に全閉状態を検出し、車速がない時にア
イドル状態と判定し、その時の回転速度を予め各補機類
の負荷スイッチ(例えばエアコンのスイッチ)28の状
態に応じて定めた目標回転速度に一致する様に、アイド
ル速度制御弁12を通過する吸入空気量をフィードバッ
ク制御する。
【0023】それとともに、図4(a)に示す様に、目
標回転速度と計測回転速度との速度差が微小な範囲で
は、速度差に応じて、標準となる点火時期に対して、点
火時期を回転上昇時には遅角し、低下時には進角補正し
て、回転速度が一致する様に制御する。特に本実施例で
は、速度差が零以下となった時に負荷を示す信号がない
場合には、点火時期を過度に遅角側に補正しないよう
に、マップの点火時期補正量の値が高め(進角側)に設
定してある。
【0024】また、目標回転速度に於ける気筒当たり吸
入空気量に対応した燃料噴射量を所定の空燃比になる様
に設定し、この値を標準値として、図4(b)に示す様
に、目標回転速度と計測回転速度との速度差に応じて、
即ち回転速度の変化によって生ずる気筒当たり吸入空気
量の変化に対応して所定の空燃比を保持する様に、燃料
量を回転上昇時には減量し、低下時には増量する様に制
御する。特に本実施例では、速度差が零以下となった時
に負荷を示す信号がない場合には、燃料量を過度に減じ
ないように、マップの燃料噴射量補正量の値が高めに設
定してある。
【0025】以下、本実施例のアイドル速度制御におけ
る詳細な処理を、図5〜図7のフローチャートに基づい
て説明する。図5に示すメインルーチンは、燃料噴射量
演算処理と点火時期演算処理等を行なうルーチンであ
り、各種の割り込み処理等や、図示しないアナログ−デ
ジタル変換器を一定時間周期毎に実行するADルーチン
で取り込んだアナログセンサの情報やデジタル信号の変
化に応じて、条件分岐しながら繰り返し実行される処理
である。
【0026】まず、燃料噴射量演算処理では、S100
にて、他のルーチンで予め演算して求めた回転速度とエ
アフロメータ6の出力から求めた吸入空気量とに基づい
て、所定のマップより基本噴射量を補間して求める。S
110では、水温センサ18の出力に基づいて、冷却水
温に応じた水温補正噴射量を所定のマップより補間して
求める。
【0027】S120では、空燃比の目標値に対するフ
ィードバック(F/B)制御の実行条件が成立している
かを判別し、この条件が満たされてフィードバック制御
実行中であれば、S130に進み、一方実行中でなけれ
ば、そのままS140に進む。
【0028】S130では、フィードバック補正噴射量
を算出し、続くS140では、現在アイドル状態である
か否かを、アイドルフラグがセット(「1」に設定)さ
れているか否かによって判定する。ここで、アイドル状
態であると判断されるとS150に進み、一方否定判断
されるとS190に進む。
【0029】S150では、目標回転速度と直前に検出
した(計測)回転速度との差を算出し、続くS160で
は、その速度差(回転差)に応じた補正噴射量を算出す
る。つまり、図4(b)に示す様に、目標回転速度と計
測回転速度との差に応じて、燃料の補正量を補正割合
(%)として設定する。尚、図4の例は目標回転速度=
600RPM時で示してある。また、目標回転速度にお
ける時間当たり吸入空気量を一定とすると、回転速度の
変化による気筒当たりの吸入空気量の変化は、実回転速
度/目標回転速度のみで決まるので、吸入空気量はこの
値を用いて算出することができる。
【0030】続くS170では、負荷スイッチ28の状
態を判別し、負荷スイッチ28がONの状態であれば、
即ち例えばエアコン等の負荷がかかっていれば、そのま
まS190に進み、一方負荷がかかっていなければ、S
180に進む。S180では、負荷がもっとも軽い状態
であり、吹き返しガス量が多いので、図4(b)に示す
様に、負荷がない場合の特性に応じて、回転差による燃
料噴射量補正量の制限を行なう。即ち、(目標回転速度
−計測回転速度の)回転差がマイナス側の場合は、燃料
噴射量補正量(回転差噴射補正量)が零になる様に制限
する。
【0031】続くS190では、上述した基本噴射量
に、水温補正噴射量,回転差噴射補正量及びその制限を
加味して、実際に噴射される出力噴射量を算出する。次
に、点火時期演算処理では、まず、S200にて、現在
アイドル状態であるか否かを、アイドルフラグによって
判定し、ここで否定判断されれば、S210に進み、一
方肯定判断されれば、S230に進む。
【0032】S210では、非アイドル状態に対応した
基本点火時期を算出し、続くS220では、非アイドル
状態における水温に対応した水温点火時期補正量を算出
し、S270に進む。一方、S230では、アイドル状
態に対応した基本点火時期を算出し、続くS240で
は、目標回転速度と計測回転速度との差に基づいて、回
転差点火時期補正量を算出する。つまり、回転速度低下
時には進角してトルクアップを図り、回転速度上昇時に
は遅角してトルクダウンを図る様に補正量を設定する。
【0033】続くS250では、負荷スイッチ28の状
態を判別し、負荷スイッチ28がONで負荷がかかって
いる状態であれば、そのままS270に進み、一方負荷
がかかっていなければ、S260に進む。S260で
は、負荷がもっとも軽い状態であり、吹き返しガス量が
多いので、図4(a)に示す様に、負荷がない場合の特
性に応じて、回転差による点火時期補正量の制限を行な
う。即ち、回転差がマイナス側の場合は、遅角側の点火
時期補正量が零になる様に制限する。
【0034】続くS270では、前記S210〜S26
0で求めた各基本点火時期,水温点火時期補正量,回転
数点火時期補正量及び制限を用いて、実際の点火時期で
ある出力点火時期を演算して、一旦本処理を終了する。
つまり、上述したS100〜S270の処理は、空燃比
の状態やアイドル状態に応じて、燃料噴射量及び点火時
期の設定、及びそれらの補正量の制限を行うための処理
である。
【0035】次に、図6に基づいて、アイドル判定処理
とエンジン回転速度のフィードバック処理について説明
する。尚、図6に示すルーチンは、一定時間の周期毎に
実行される時間同期ルーチンである。まず、アイドル判
定処理では、S300にて、スロットル開度センサ9の
出力値から全閉位置か否かを判定し、全閉以外であれば
アイドル状態ではないので、S330にて、アイドルフ
ラグをリセット(「0」に設定)して以降の処理をパス
する。
【0036】一方、全閉であればアイドル状態であるの
で、S310にて、アイドルフラグをセットした後に、
S320にて、車速が2km以下であることを確認し、そ
の場合のみ、以下の回転速度のフィードバック処理には
いる。この回転速度のフィードバック処理では、まず、
S400にて、冷却水温値に応じた目標回転速度をマッ
プから補間して求める。
【0037】続くS410では、その目標回転速度が直
前に算出した回転速度(実回転速度に不感帯HSを加え
た値)以上であるか否かを判定する。ここで肯定判断さ
れるとS440に進み、アイドル速度制御弁12の開度
をdだけ減じ、S450にてその記憶値を更新した後
に、S460にてその開度を出力する。
【0038】一方、前記S410にて否定判断されて進
むS420では、目標回転速度が直前に算出した回転速
度(実回転速度から不感帯HSを引いた値)未満である
か否かを判定する。ここで、否定判断されると、実回転
速度と不感帯を加えた値より目標回転速度が小さく且つ
実回転速度から不感帯を引いた値より目標開度が大きい
ことになるので、即ち実回転速度は不感帯の間にあるの
で、S450にて、アイドル速度制御弁12の開度を同
じ値に更新した後に、前記と同じくS460に進む。
【0039】一方、前記S420にて肯定判断される
と、実回転速度と不感帯を加えた値より目標回転速度が
小さく且つ実回転速度から不感帯を引いた値より目標開
度が小さいことになるので、S430にて、アイドル速
度制御弁12の開度をdだけ増加させ、前記と同じくS
450にてその記録値を更新した後に、S460に進ん
で、一旦本処理を終了する。
【0040】つまり、前記S400〜S460の処理
は、アイドル速度制御弁12の開度を調節することによ
って、実回転速度を目標回転速度と不感帯の範囲に制御
する処理である。次に、図7のフローチャートに基づい
て、角度同期で実行するルーチンであるクランク角度判
別処理及び噴射実行処理について説明する。尚、本処理
は、回転角センサ19の信号がCPU40に入力される
毎に角度同期の処理を実行するものである。
【0041】まず、回転速度算出処理では、S500に
て、回転角センサ信号の入力によって起動された処理の
先頭で、入力した瞬間にラッチされたフリーランニング
タイマの値と先回のタイマの値の差から、周期時間を算
出し記憶する。尚、この一定角度間の周期時間を用いて
回転速度を演算することが出来る。
【0042】次にS510では、基準位置の情報から角
度信号の入力回数をカウントし、その数値から現在のク
ランク角度を判別し、続くS520では、クランク角度
から燃料噴射の開始タイミングか否かを判定する。ここ
で、肯定判断されれば、噴射実行処理に入り、一方否定
判断されれば、S580に進む。
【0043】噴射実行処理では、まず、S530にて、
メインルーチンで算出した出力噴射量をレジスタ上に呼
び出した後に、S540にて、フューエルカットフラグ
がセットされているか否かを判定する。ここで、フュー
エルカットフラグがセットされている場合、即ちスロッ
トル開度が全閉で且つ車速が所定値以上の減速状態で
は、フューエルカットを行なうので、以下の燃料噴射処
理をパスして噴射を実行しない。
【0044】一方、フューエルカットフラグがセットさ
れていない場合は、次のS550にて、噴射の出力ポー
トをON(出力側)とし、続くS560では、噴射時間
をタイマーに設定すると共に、続くS570にて、タイ
マーに設定した時間経過後に出力ポートをOFF(出力
停止側)になるよう命令を設定し、S580に進む。
【0045】S580では、点火処理のタイミングか否
か、即ち、通常点火時期範囲の最大進角よりも進角側に
設定した固定の角度位置である点火処理のタイミングで
あるか否かを判定し、ここで肯定判断されれば、一旦本
処理を終了し、一方肯定判断されれば、点火処理を行な
う。
【0046】点火処理では、まず、S590にて、既に
メインルーチンで計算された点火時期を読み出し、続く
S600にて、点火時期の角度データを現在のクランク
角度からの相対角度に変更し、S610にて、その時点
の回転速度に於ける角度と時間の関係から相対角度に相
当する(通電の)所要時間に換算する。
【0047】続くS620にて、その時点の電源電圧と
回転速度から予め設定した通電時間(イグニションコイ
ルの1次電流の立ち上がりに必要な時間で且つ消費電力
による発熱が許容できるよう設定)を呼出し、前記所要
時間と比較する。ここで、所要時間が通電時間以上の場
合には、S630にて通電の開始処理を行う。即ち、所
要時間−通電時間をタイマーに設定すると共に、タイマ
ーに設定した時間経過後に出力ポートをON(出力側)
になるよう命令を設定する。
【0048】一方、所要時間が通電時間未満の場合に
は、S640にて、通電の終了処理を行う。即ち、所要
時間をタイマーに設定すると共に、タイマーに設定した
時間経過後に出力ポートをOFF(出力停止側)になる
よう命令を設定し、一旦本処理を終了する。
【0049】この様に、本実施例では、目標回転速度と
計測回転速度との差に基づいて、燃料の回転差噴射補正
量を設定するとともに、負荷が少ない場合には、この回
転差噴射補正量が過度に低減されない様に制限を設けて
いる。しかも、目標回転速度と計測回転速度との差に基
づいて、回転差点火時期補正量を設定するとともに、負
荷が少ない場合には、この回転点火時期補正量によって
過度に遅角されない様に制限を設けている。これによっ
て、低負荷で吹き返しガス量が多い状態には、燃料を通
常の制御より多めに供給することになるので燃焼が安定
するという効果があるとともに、同時に、点火時期を通
常の遅角制御より進角側に設定するので、燃焼時間が長
くなり、その点でも燃焼が安定するという効果がある。
その結果、アイドル時の様な低負荷の状態であっても、
安定したアイドル回転速度を保つことができるという顕
著な効果を奏する。
【0050】(第2実施例)次に、第2実施例について
説明する。本実施例のアイドル制御装置は、そのハード
構成等は前記第1実施例と同様であり、一部の制御のみ
が異なるので、その異なる制御処理について説明する。
【0051】ここで、本実施例のアイドル制御装置の行
なうアイドル制御の概要を、図10に基づいて簡単に説
明する。本実施例では、負荷の大きさに応じて、回転差
噴射補正量の減量側を制限する範囲を可変とし、負荷の
少ない程その制限の幅を大きくするとともに、負荷の大
きさに応じて、回転差点火時期補正量の遅角側を制限す
る範囲を可変とし、負荷の少ない程その制限の幅を大き
くするものである。また、本実施例では、回転差が所定
の範囲では、回転差噴射補正量によって一定の空燃比を
維持するとともに、所定の範囲を超えて回転低下した領
域では、回転差噴射補正量を多くして空燃比をリッチ側
となる様に補正する。
【0052】以下、本実施例のアイドル速度制御におけ
る詳細な処理を、図8のフローチャートに基づいて説明
する。図8に示すメインルーチンは、燃料噴射量演算処
理と点火時期演算処理等を行なうルーチンである。
【0053】まず、燃料噴射量演算処理では、S700
にて、他のルーチンで予め演算して求めた回転速度と吸
入空気量とに基づいて、所定のマップより基本噴射量を
補間して求め、続くS710では、冷却水温に応じた水
温補正噴射量を所定のマップより補間して求める。
【0054】S720では、フィードバック制御実行中
か否かを判定し、ここで肯定判断されれば、S730に
進んで、フィードバック補正噴射量を算出し、その後S
740に進む。一方実行中でなければ、そのままS74
0に進む。S740では、現在アイドル状態であるか否
かを判定する。ここで、アイドル状態であると判断され
るとS750に進み、一方否定判断されるとS830に
進む。
【0055】S750では、目標回転速度と計測回転速
度との差を算出する。続くS760では、電気負荷スイ
ッチがOFFか否かを判定し、ここで否定判断されると
そのままS780に進み、一方肯定判断されるとS77
0に進む。S770では、電気に関する負荷が少ないの
で、回転差負荷制限処理1を行なう。即ち、図9(b)
に示す様に、回転差噴射補正量の過度の低減を防止する
様に補正量の下限1を設定する。尚、この下限1は、負
荷が零の場合よりは低めに設定してある。
【0056】S780では、空調負荷スイッチがOFF
か否かを判定し、ここで否定判断されるとそのままS8
00に進み、一方肯定判断されるとS790に進む。S
790では、空調に関する負荷が少ないので、回転差負
荷制限処理2を行なう。即ち、図9(b)に示す様に、
回転差噴射補正量の過度の低減を防止する様に補正量の
下限2を設定する。尚、この下限2は、負荷が零の場合
よりは低めに設定してあるが下限1よりは大きなもので
ある。
【0057】S800では、回転差に応じて、回転差補
正噴射量を算出する。つまり、図9(b)に示す様に、
目標回転速度と計測回転速度との差に応じて、回転差噴
射補正量を補正割合(%)として設定するが、その際に
は、前記S770及びS790にて設定した下限1,2
による制限を加味して回転差噴射補正量を算出する。
【0058】続くS810では、回転差が所定値以上で
あるか否かを判定する。ここで肯定判断されれば、S8
20に進んで、回転数噴射補正量に1.5を乗じて、供
給する燃料量を増加させる。一方否定判断されればS8
30に進む。つまり、このS810,S820処理は、
回転差が所定の範囲を越えて回転低下した場合には、エ
ンストの恐れがあるので、エンスト防止するために空燃
比をリッチ側に制御するための処理である。
【0059】S830では、上述した基本噴射量に、水
温補正噴射量,回転差噴射補正量及びその制限等を加味
して、実際に噴射される出力噴射量を算出する。次に、
点火時期演算処理では、まず、S900にて、現在アイ
ドル状態であるか否かを判定し、ここで否定判断されれ
ば、S910に進み、一方肯定判断されれば、S930
に進む。
【0060】S910では、非アイドル状態に対応した
基本点火時期を算出し、続くS9220では、非アイド
ル状態における水温に対応した水温点火時期補正量を算
出し、S960に進む。一方、S930では、アイドル
状態に対応した基本点火時期を算出し、続くS940で
は、上述した回転差噴射補正量の制限と同様に、点火時
期の過度の遅角を防止するために、図9(a)に示す様
に、電気負荷スイッチがONの場合は、点火時期補正量
の下限1を設定し、また空調負荷スイッチがONの場合
には、点火時期補正量の下限2を設定する。
【0061】続くS950では、回転差に応じて、回転
差点火時期補正量を算出するが、その際には、前記S9
40にて設定した下限1,2による制限を加味して回転
差点火時期補正量を算出する。続くS960では、前記
S910〜S950で求めた各基本点火時期,水温点火
時期補正量,回転数点火時期補正量及びその制限等を用
いて、実際の点火時期である出力点火時期を演算して、
一旦本処理を終了する。
【0062】つまり、本実施例では、前記実施例と同様
に、負荷に応じて、回転差噴射補正量や回転差点火時期
補正量に制限を加えているだけでなく、その際には、負
荷の大きさや種類に応じてその制限の程度を変化させて
いる。よって、負荷に応じて細かく燃料量及び点火時期
を調節できるので、より適切に燃焼を改善して、アイド
ル回転速度を一層安定させることができるという効果が
ある。
【0063】また、大きく回転低下した場合には、燃料
量を増加する様に制御するので、アイドル制御時のエン
ストを防止できるという利点もある。尚、前記本発明の
実施例について説明したが、本発明はこの様な実施例に
何等限定されるものではなく、各種の態様で実施できる
ことは勿論である。
【0064】例えばトルクを低減する手段としては、多
数の気筒数を有する大排気量車では、特定気筒の燃料カ
ットにより低減する方法及び排気管の途中に回転可能な
蝶弁を配置し故障時に閉じる方法等を採用できる。ま
た、所定の範囲を超えて回転低下した領域では、よりト
ルクを大きくする為に、リッチ側の燃料供給となる様
に、例えば図9(b)の一点鎖線となる様に、補正曲線
を2段折れとする事で耐エンスト性を改良できる。
【0065】更に、前記実施例では、補機類による負荷
の状態をスイッチによって検出したが、負荷を直接に検
出するために、圧電素子を利用した吸気圧センサを用い
てもよい。
【0066】
【発明の効果】以上詳述した様に、請求項1の発明は、
吹き返しガス量が多い軽負荷状態の場合には、燃焼が不
安定となるので、回転速度差によって設定される燃料量
の補正量を過剰に低減しない様にガードをかけることに
より、空燃比をリッチ方向にずらすことによって、燃焼
の改善することができる。その結果、アイドル時のエン
ジン回転速度を安定して制御できるという顕著な効果を
奏する。
【0067】また、請求項2の発明は、前記と同様に、
吹き返しガス量が多い軽負荷状態の場合には、燃焼が不
安定となるので、回転速度差によって設定される点火時
期の補正量を過剰に遅角しない様にガードをかけること
により、燃焼時間を増加させて燃焼を改善することがで
きる。その結果、アイドル時のエンジン回転速度を安定
して制御できるという顕著な効果を奏する。
【0068】更に、本発明では、可変バルブタイミング
機構を採用しなくとも、燃焼そのものを改善して、低回
転であっても安定したアイドル回転を低コストで実現で
きるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1の発明の構成を例示する概略構成図
である。
【図2】 請求項2の発明の構成を例示する概略構成図
である。
【図3】 第1実施例のシステム構成を示すブロック図
である。
【図4】 第1実施例の回転差と噴射補正量及び点火時
期補正量との関係を示すグラフである。
【図5】 第1実施例のメインルーチンを示すフローチ
ャートである。
【図6】 第1実施例のアイドル判定処理及び回転F/
B処理を示すフローチャートである。
【図7】 第1実施例のクランク角度判別処理,噴射実
行処理及び点火処理を示すフローチャートである。
【図8】 第2実施例のメインルーチンを示すフローチ
ャートである。
【図9】 第2実施例の回転差と噴射補正量及び点火時
期補正量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2…内燃機関(エンジン) 6…エアフロメータ 8…スロットル弁 9…スロットル開度
センサ 12…アイドル速度制御弁 13…燃料噴射弁 15…水温センサ 19…回転角センサ 23…酸素センサ 30…電子制御装置
(ECU)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02P 5/15

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料供給量を補正して燃料混合気を所定
    空燃比にフィードバック制御するとともに、アイドル回
    転速度を目標回転速度にフィードバック制御する内燃機
    関のアイドル制御装置において、 内燃機関がアイドル状態を含む吹き返しガス量が多い軽
    負荷状態であるか否かを判定する運転状態判定手段と、 検出したアイドル回転速度と目標回転速度との回転速度
    差を求める速度差検出手段と、 該速度差検出手段によって求めた回転速度差に基づい
    て、空燃比を所定値に制御するための燃料供給量の補正
    量を求める燃料補正量算出手段と、 前記運転状態判定手段によって軽負荷状態と判定された
    場合に、前記速度差算出手段によって求めた回転速度差
    に基づいて、前記燃料補正量算出手段によって求めた燃
    料供給量の補正量の減量側を制限する減量側制限手段
    と、 を備えたことを特徴とする内燃機関のアイドル制御装
    置。
  2. 【請求項2】 燃料供給量を補正して燃料混合気を所定
    空燃比にフィードバック制御するとともに、アイドル回
    転速度を目標回転速度にフィードバック制御する内燃機
    関のアイドル制御装置において、 内燃機関がアイドル状態を含む吹き返しガス量が多い軽
    負荷状態であるか否かを判定する運転状態判定手段と、 検出したアイドル回転速度と目標回転速度との回転速度
    差を求める速度差検出手段と、 該速度差検出手段によって求めた回転速度差に基づい
    て、回転速度差を低減するための点火時期の補正量を求
    める点火補正量算出手段と、 前記運転状態判定手段によって軽負荷状態と判定された
    場合に、前記速度差算出手段によって求めた回転速度差
    に基づいて、前記点火補正量算出手段によって求めた点
    火時期の補正量の遅角側を制限する遅角側制限手段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関のアイドル制御装
    置。
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