JPH07126975A - パルプ複合シートの製造方法 - Google Patents

パルプ複合シートの製造方法

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JPH07126975A
JPH07126975A JP5298950A JP29895093A JPH07126975A JP H07126975 A JPH07126975 A JP H07126975A JP 5298950 A JP5298950 A JP 5298950A JP 29895093 A JP29895093 A JP 29895093A JP H07126975 A JPH07126975 A JP H07126975A
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pulp
pressure water
fibers
wire
water column
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JP5298950A
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Shinobu Watanabe
忍 渡辺
Hideo Ikezawa
秀男 池沢
Hirokazu Ishii
弘和 石井
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New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 疎水性長繊維の不織布とパルプ繊維からなる
紙シートとの積層体から構成される複合シートであっ
て、長繊維とパルプ繊維とが緊密に絡合され、且つ所望
の大きさの開孔が均一に形成され、表面性および地合い
が良好で、紙シートと疎水性長繊維が剥離することがな
い複合シートを提供する。この複合シートをいわゆる拭
き布として使用する場合には、表裏共に吸水性が良好
で、拭き取り性および使用中の取扱いに優れている。 【構成】 多数の長繊維が集積されてなる疎水性長繊維
不織布と、木材パルプからなる紙シートとを積層し、得
られた積層体の紙シート側から高圧水柱流を施すことに
より繊維が絡合一体化せるパルプ複合シートを製造する
方法において、高圧水柱流を施す際に用いられる搬送用
のワイヤーよりなる支持網のワイヤーの線径と、高圧水
柱流を施す噴射ノズルの孔径との比を2.5〜6.5と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使い捨て手拭き、ウェ
ットティシュ、産業用ウエス、ワイパー、使い捨て雑巾
などの拭き布として有用なパルプ複合シートの製造方法
に関する。さらに詳しくは、紙シートと長繊維不織布シ
ートとの積層体に高圧水柱流を施すことによって紙シー
トを構成するパルプ繊維と長繊維不織布シートを構成す
る長繊維とが絡合されたパルプ複合シートを製造する方
法において、パルプ繊維と長繊維とを均一にムラなく交
絡させるとともに高圧水柱流によって均一に開孔させる
ための改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、搬送用の多孔体ベルトや支持
網に繊維ウェブを積載し、高圧水柱流を噴射することに
より、繊維ウェブの構成繊維を交絡させたり、開孔パタ
ーンを付与させた不織布を製造する方法は、広く知られ
ている。例えば、特公昭36−7274号公報には、エ
ンドレスベルトや円筒状に加工された金網や穿孔された
板の上にウェブを積載して移動させながらウェブに高圧
水柱流を施して、ウェブに無数の開孔を形成する不織布
の製造方法が記載されている。しかしながら、この技術
は、単に開孔の形成を目的とするものであって、繊維ウ
ェブの構成繊維の交絡が不十分であり、且つ均一に開孔
させるには不十分である。
【0003】また、特開平4−263699号公報に
は、湿式抄造法により製造されたセルロース繊維層と有
機合成繊維層との積層物に高圧水柱流を適用して、構成
繊維が交絡した不織布を得る技術が開示されている。こ
の技術によれば、繊維ウェブを改良することにより、地
合が改善されるとされているが、高圧水柱流処理技術に
おいて採用される噴射ノズル孔径、高圧水柱流の水圧、
搬送用の多孔体ベルトのメッシュ等の処理条件について
包括的に広い条件が記載されるのみで、具体性に欠ける
ものである。その具体例をみると、地合を改善するため
には、噴射ノズルを5本も用い、また、処理速度が20
m/分と低速であるために高いエネルギーが必要であ
り、生産性にも劣るもので実用的ではない。
【0004】また、特開平5−33250号公報では、
高圧水柱流を繊維ウェブに対して直角に噴射した後、再
度15°〜75°の角度で噴射することにより、製造さ
れる不織布表面の筋状の賦型痕と称する開孔ムラを消失
させる方法が記載されているが、高圧水柱流が衝突する
表面がパルプ等の短繊維の場合、高圧水柱流が表面をこ
すりながら衝突するため、表面が荒れるのみで、均一な
開孔を得ることはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、木材
パルプよりなる紙シートと疎水性長繊維よりなる不織布
との積層体に高圧水柱流を適用する際に、パルプ繊維と
長繊維とを均一にムラなく交絡させるとともに高圧水柱
流によって均一に開孔することができる改良方法を提供
することにある。
【0006】本発明者等は、種々の親水性繊維よりなる
繊維ウェブと疎水性長繊維よりなる不織布に、高圧水柱
流を噴射して親水性繊維と疎水性長繊維が十分に交絡す
ると共に、開孔が均一になる条件について検討を行っ
た。その結果、同じ親水性繊維のセルロース系繊維でも
比較的繊維長が長いレーヨンと繊維長が短い木材パルプ
では、高圧水柱流の適当な処理条件が一様でないことが
判明した。すなわち、レーヨンの場合、高圧水柱流によ
ってレーヨン繊維が移動して開孔が生じても、繊維長が
長く繊維同士が絡むため、高圧水柱流によって繊維が流
されることはなく、表面が荒れにくく、高圧水柱流の水
圧を上げることによって、開孔を均一にすることが可能
である。これとは対照的に、繊維長が短いパルプ繊維の
場合、開孔を均一にするために単に高圧水柱流の水圧を
上げても、開孔部以外の部分も高圧水柱流により簡単に
パルプ繊維が移動するため、表面が荒れ、地合が悪化し
やすく、均一な開孔パターンが得難いものであった。
【0007】そこで、疎水性長繊維不織布と紙シートと
の積層体に、搬送用のワイヤーよりなる支持網上で高圧
水柱流を施すことによって製造されたパルプ複合シート
について詳細に検討を行った。その結果、疎水性長繊維
不織布と紙シートとの積層体に、搬送用のワイヤーより
なる支持網上で高圧水柱流を施すことによって製造され
たパルプ複合シートは、表面を見ると開孔部と非開孔部
とに分けられ、そして、用いる搬送用のワイヤーよりな
る支持網に依存して、同一の高圧水柱流の処理条件でも
生じる開孔の大きさが異なることが判明した。本発明者
等は、以上の知見に基づいて検討を重ねた結果、本発明
の完成に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段(1)】本発明は、多数の
長繊維が集積されてなる長繊維不織布と、木材パルプか
らなる紙シートとを積層し、得られた長尺状の積層体
を、ワイヤーよりなる搬送用支持網にて移送せしめつ
つ、該積層体の紙シート側から長繊維不織布シート側に
貫通するように高圧水柱流を噴射ノズルから噴射するこ
とにより、該紙シートを構成するパルプ繊維と該長繊維
不織布シートを構成する長繊維とを絡合させることから
なるパルプ複合シートの製造方法において、搬送用支持
網のワイヤーの縦線の直径と、高圧水柱流を施す噴射ノ
ズルの孔径との比を2.5〜6.5とすることを特徴と
するパルプ複合シートの製造方法を提供する。
【0009】
【作用】先ず、図1〜図4を参照して、パルプ複合シー
トの開孔部が形成される過程を説明する。疎水性長繊維
不織布3と紙シート2との積層体に搬送用のワイヤー
4,5よりなる支持網上で、紙シート2側から疎水性長
繊維不織布3側に貫通するように高圧水柱流1を噴出さ
せると、高圧水柱流1はまず紙シート2に衝突する(図
1)。そして紙シート2が疎水性長繊維に接着され、次
いで接着された状態で紙シート2の破壊が生じ、この破
壊によってパルプ繊維に曲げやねじれ等の変形が起こ
る。高圧水柱流1は、パルプ繊維に運動エネルギーを十
分に与え、且つパルプ繊維と共に疎水性長繊維へ衝突
し、パルプ繊維と疎水性長繊維が交絡する(図2)。こ
のようにして、親水性であるパルプ繊維が疎水性長繊維
の中へ密に絡み合うことにより、パルプ複合シートが吸
水性を有することとなる。
【0010】しかしながら、運動エネルギーに余力が残
っている高圧水柱流は、まず最初に搬送用のワイヤー
4,5よりなる支持網の一番高い部分である縦のワイヤ
ー4と横のワイヤー5の重なったナックル部6にパルプ
繊維と疎水性長繊維を伴いながら衝突する(図2)。こ
のナックル部6で絡み合ったパルプ繊維と疎水性長繊維
は、高圧水柱流1によりナックル部6の頂点より下方へ
押し退けられ、開孔部が形成される。ナックル部6に衝
突した高圧水柱流1は、ナックル部6のワイヤーの線径
とほぼ近い横幅まで開孔させた後、ナックル部の頂点の
凸部から下方の凹部の方向へ飛散するか、あるいはワイ
ヤーの横幅方向へ飛散し、高圧水柱流は繊維ウェブの下
方に貫通することとなる(図3、図4)。生じた開孔の
横幅は、高圧水柱流がナックル部まで繊維ウェブを貫通
した後、ワイヤーの断面形状が円のために、ワイヤーの
横幅まで開孔させることなしに、円を滑るように飛散す
るため、用いるワイヤーの線径の約80〜95%の幅と
なる。
【0011】ナックル部以外の支持網の開孔部やナック
ル以外のワイヤー部分に衝突した高圧水柱流は、支持網
の開孔部では繊維ウェブを支持するものがないため、そ
のエネルギーの大部分をパルプ繊維と疎水性長繊維を交
絡させるのに費やされ、繊維ウェブに開孔が生じること
はない。また、ナックル部以外のワイヤー部分では、ワ
イヤーの断面形状が円のため、パルプ繊維と疎水性長繊
維を交絡させるのみで、高圧水柱流は円を滑るように飛
散して、そのエネルギーを使いきるのである。
【0012】若し、搬送用のワイヤーよりなる支持網の
ワイヤーの線径より、非常に細い孔径の噴射ノズルを用
いて高圧水柱流を噴出すると、高圧水柱流はナックル部
のワイヤーの線径より狭い横幅を開孔させただけで、そ
の運動エネルギーを消失させてしまい、ワイヤーの横幅
に近い幅の開孔が得られず、生じる開孔の大きさが不均
一になる。また、支持網のメーカー、支持網の材質、ワ
イヤーのモノフィラメントとマルチフィラメントの違い
等により、支持網のメッシュ数と支持網に使用するワイ
ヤーの線径が一定ではないため、同じメッシュ数のワイ
ヤーよりなる支持網でも、使用するワイヤーの線径によ
り生じる開孔の横幅および開孔面積が違い、ワイヤーよ
りなる支持網のメッシュ数、及びワイヤーの線径と生じ
る開孔の横幅および開孔面積の関係が明確ではなく、経
験論に頼ることが多く、所望の大きさの開孔を得るため
には、多くのワイヤーを用いてテストする必要があり、
そのテストの労力は多大な負担となる。すなわち、搬送
用のワイヤーよりなる支持網のワイヤーの線径より、非
常に細い孔径の噴射ノズルで行った場合、開孔が生じに
くく、均一に開孔させたり、開孔面積を広げるため、過
剰な圧力で高圧水柱流を噴出する必要があり、エネルギ
ーの損失となる。
【0013】また、搬送用のワイヤーよりなる支持網の
ワイヤーの線径に、非常に近い孔径の噴射ノズルを用い
た場合、噴出された高圧水柱流は、ナックル部のワイヤ
ーの線径に近い横幅を簡単に開孔させてしまい、その高
圧水柱流の運動エネルギーを完全に使いきること無しに
飛散するため、エネルギーが無駄になり、また生じる開
孔の大きさに対し、高圧水柱流の水量が多いため、表面
に滞留水が生じ、滞留水と高圧水柱流が衝突するため、
高圧水柱流のエネルギーが十分に生かされず、開孔が不
均一になったり、高圧水柱流により滞留水が表面のパル
プ繊維を伴って吹き飛ばされるため、表面が荒れる。
【0014】本発明方法におけるように、疎水性長繊維
よりなる長繊維不織布と木材パルプよりなる紙シートと
を積層した積層体に、搬送用のワイヤーよりなる支持網
のワイヤーの縦線の直径と高圧水柱流の噴射ノズルの孔
径との比が2.5〜6.5の範囲で、高圧水柱流を施す
ことにより、紙シートを積層する面と反対の長繊維不織
布の面にもパルプ繊維が露出すると共に、疎水性長繊維
とパルプ繊維とが緊密に絡合され、且つ、高圧水柱流の
エネルギーを有効に使うと共に、常にワイヤーの横幅に
近い幅の開孔が均一に生じ、表面性および地合が良好
で、紙シートと疎水性長繊維が剥離することのないパル
プ複合シートが得られる。
【0015】
【課題を解決するための手段(2)】本発明により製造
されるパルプ複合シートは、多数の疎水性長繊維が集積
されてなる長繊維不織布と、多数のパルプ繊維よりなる
紙シートとが積層一体化されたものである。該パルプ複
合シートを構成するパルプ繊維は50重量%以上を占め
ることが好ましい。
【0016】長繊維不織布を構成している疎水性長繊維
としては、従来公知のものであれば、任意に使用するこ
とができる。例えば、ナイロン等のポリアミド系長繊
維、アクリル系長繊維、ポリプロピレンやポリエチレン
等のポリオレフィン系長繊維、ポリエチレンテレフタレ
ート等のポリエステル系長繊維、ポリウレタン系長繊維
等が挙げられる。これらの疎水性長繊維は、単独でまた
は混合して使用することも可能であり、或いは製造時に
原料となる複数の樹脂を、または同じ樹脂でも分子量や
分子量分布の異なる樹脂を、同時に紡糸して一本の繊維
とした複合繊維を使用することも可能である。本発明に
おいて、長繊維を使用する理由は、繊維間が絡合してい
る場合、長繊維は短繊維よりも引張り強度や形態安定性
に優れているからである。更に長繊維の場合、高圧水柱
流を施しても、水柱流と共に流失しにくく、水柱流で疎
水性長繊維の間にパルプ繊維が交絡し易いからである。
【0017】疎水性長繊維の繊度は、1〜10デニール
であることが好ましく、より好ましくは1〜4デニール
である。疎水性長繊維の繊度が10デニールを越える
と、疎水性長繊維の曲げ剛性が高くなりすぎて、得られ
る複合シートを拭き布として使用した場合の柔軟性が低
下し、また疎水性長繊維の坪量が30g/m2 以下の場
合に、繊度が太いと、繊維が存在していない空隙が大き
く且つ多くなる傾向のため、紙シートを積層して高圧水
柱流を施した際にその空隙部分よりパルプ繊維が多量に
高圧水柱流と共に流失し易くなる。逆に、疎水性長繊維
の繊度が1デニール未満になると、疎水性長繊維の製造
条件が厳密になって、疎水性長繊維を高速度で製造し難
くなり、紙シートと積層して高圧水柱流を施してパルプ
複合シートとして水で濡らして使用する際に、剛性が低
くなり易い。
【0018】長繊維不織布の坪量は5〜30g/m2
あることが好ましい。長繊維不織布の坪量が30g/m
2 を越えると、紙シートと長繊維不織布の積層体に、紙
シート側から長繊維不織布側に向けて高圧水柱流を施し
ても、紙シートを構成するパルプ繊維が、長繊維不織布
の裏面(紙シートと積層していない面、すなわち非積層
面)に移動しにくくなり、得られる不織布複合シートの
片面にのみパルプ繊維が偏在した状態となって、パルプ
繊維の少ない長繊維不織布の非積層面における吸水性が
低下する傾向が生じる。逆に、長繊維不織布の坪量が5
g/m2 未満になると、長繊維不織布の形態安定性が低
下し、得られるパルプ複合シートの湿潤強度が低下しが
ちである。更に、疎水性長繊維相互間の空隙が大きくな
って、高圧水柱流を施したときに、その空隙から多量の
パルプ繊維が流失してしまい、使用後の高圧水柱流を回
収した場合に、その中にパルプ繊維が大量に混入し、再
使用の妨げとなる。
【0019】本発明において使用する長繊維不織布は、
疎水性長繊維相互間が自己融着した、いわゆるスパンボ
ンド不織布であってもよいし、また疎水性長繊維相互間
が結合していないフリース状の長繊維不織布であっても
よい。なお、疎水性長繊維相互間が自己融着したスパン
ボンド不織布を長繊維不織布として使用した場合、疎水
性長繊維相互間を自己融着させた部分がフィルム化して
いるため、その領域では高圧水柱流を適用した際に開孔
させることが難しく、パルプ繊維のみが開孔して、その
下にフィルム化した疎水性長繊維が存在しているという
状態が生じることもある。また、その開孔が生じる部分
に近い位置に疎水性長繊維が自己融着させた部分がある
場合、疎水性長繊維の自由度が乏しいため、生じた開孔
に疎水性長繊維が存在していることもある。
【0020】本発明において用いる紙シートを構成する
パルプ繊維としては、従来公知のパルプ繊維を任意に使
用することができる。例えば、針葉樹または広葉樹木材
をクラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルフ
ァイト法等で処理した化学パルプ繊維、またはリファイ
ナーやグラインダー等で処理したグランドパルプ繊維、
ケミメカニカルパルプ繊維、サーモメカニカルパルプ繊
維等の機械パルプ繊維を使用することができる。また、
このパルプ繊維は晒しパルプ繊維として使用してもよい
し、未晒しパルプ繊維のままで使用してもよい。また、
パルプ繊維は単独で使用してもよいし、混合して使用し
てもよい。針葉樹パルプ繊維と広葉樹パルプ繊維とを混
合して使用する場合には、針葉樹パルプ繊維/広葉樹パ
ルプ繊維=100/0〜20/80、好ましくは100
/0〜40/60の範囲であることが好ましい。広葉樹
パルプ繊維の混合比が80重量%を越えると、広葉樹パ
ルプ繊維は針葉樹パルプ繊維に比べて、疎水性長繊維と
交絡しにくいため、高圧水柱流によって作製したパルプ
複合シートの表面強度が低下する傾向にある。
【0021】パルプ繊維よりなる紙シートとしては、坪
量が、JIS P 8124に示された方法で測定し
て、10〜120g/m2 のものが好ましい。紙シート
の坪量が10g/m2 未満であると、パルプ繊維の絶対
量が少なく、得られるパルプ複合シートに十分な吸水性
や保水性を与え難い。逆に、紙シートの坪量が120g
/m2 を越えると、パルプ繊維の絶対量が多すぎて、紙
シートに高圧水柱流を施しても、個々のパルプ繊維に疎
水性長繊維と絡合するに十分な程度の運動量を与え難く
なる。更に、パルプ繊維の絶対量が多すぎて、得られる
パルプ複合シートの柔軟性が低下し易い。また、紙シー
トの密度は、JIS P 8118に示された方法で測
定して、0.65g/m2 以下であることが好ましく、
特に0.6g/m3 以下が最も好ましい。紙シートの密
度が0.65g/m3 を越えると、紙シートに高圧水柱
流を施しても、パルプ繊維の運動が抑制されて、疎水性
長繊維とパルプ繊維とが交絡し難くなる傾向がみられ
る。
【0022】疎水性長繊維不織布と紙シートとは、搬送
用のワイヤーよりなる支持網上に積層載置された状態で
移送せしめつつ、該積層体の紙シート側から長繊維不織
布シート側に貫通するように高圧水柱流を施してパルプ
複合シートとする。本発明に用いられる高圧水柱流は、
微細な直径のノズル孔を通して、高圧で水を噴出させて
得られるものであり、噴射ノズルの孔径は、0.05〜
0.4mmが好ましい。0.05mmより細い場合、比
較的細い線径のワイヤーよりなる支持網を用いても、開
孔を生じさせることができず、孔径が0.4mmより太
いと粗いメッシュサイズで、比較的太い線径のワイヤー
よりなる支持網を用いても、高圧水柱流の水量が多すぎ
るため、滞留水を生じやすく、開孔および地合が不均一
になりやすい。また、高圧水柱流を噴出するには、30
〜180kg/cm2 の水圧が好ましく用いられ、30
kg/cm2 より弱いと、開孔を十分に生じさせること
ができず、180kg/cm2 を越えると、水圧が強す
ぎるため、処理条件の設定が難しくなる。
【0023】高圧水柱流を噴出する噴射ノズルの孔数
は、5〜50個/cmで1列に穿設されたものが好まし
い。噴射ノズルの孔が一列ではなく、孔径に応じて複数
列に穿設されていてもなんら差し支えない。また、高圧
水柱流を噴出するノズルの本数は、何等制限されるもの
ではないが、複数列あることが好ましい。高圧水柱流の
水圧、噴射ノズルの本数、処理速度は、用いる疎水性長
繊維不織布、および紙シートの坪量に応じて、或いは用
いる疎水性長繊維の種類、紙シートの湿潤強度に応じて
設定することが好ましい。
【0024】本発明に用いられる搬送用のワイヤーより
なる支持網は、縦のワイヤーの線径が0.15〜1.2
mmの範囲であることが好ましく、横のワイヤーの線径
は、搬送用として支持網が通常の範囲で使用できる強度
を有する範囲のものが好ましく、一般的に、縦と横のワ
イヤーが単線同士の場合、縦のワイヤーの線径とほぼ同
じか、あるいは太い線径のワイヤーが使用され、縦のワ
イヤーが撚線の場合は、縦のワイヤーの線径が太くな
る。搬送用のワイヤーよりなる支持網の縦のワイヤーの
線径が0.15mmより細いと十分に開孔せず、1.2
mmを越えると線径が太く、開孔が大きくなりすぎるば
かりでなく、搬送用の支持網として必要な屈曲疲労強さ
が低下し、繰り返しの折り曲げにより破損し易くなる。
【0025】搬送用の支持網を構成するワイヤーは、単
線でも撚線でも良く、また、材質は特に制限されるもの
ではなく、ステンレス鋼や青銅、真鍮等の金属、ポリア
ミド、ポリエステル、ポリビニリデンクロライド、ナイ
ロン、ポリプロピレン等の合成繊維、またガラス繊維や
アラミド繊維をフッ素樹脂でコーティングした素材等が
使用できる。これらのワイヤーで作られた支持網の織り
構造は、特に制限されるものではなく、平織り、綾織
り、杉綾織り等が多様な開孔パターンを取り揃えるうえ
で好ましい。支持網のメッシュ数は、特に制限されるも
のではないが、支持網上に滞留する水の排水の点から8
〜80メッシュが好ましい。
【0026】搬送用のワイヤーよりなる支持網のワイヤ
ーの縦線の直径と高圧水柱流の噴射ノズルの孔径との比
は、2.5〜6.5の範囲でなければならず、より好ま
しくは3〜6の範囲である。搬送用のワイヤーよりなる
支持網のワイヤーの縦線の直径と高圧水柱流の噴射ノズ
ルの孔径との比が、2.5より小さいと搬送用のワイヤ
ーよりなる支持網のナックル部で生じる開孔面積に対
し、噴出される高圧水柱流の水量が多すぎるため、表面
に滞留水が生じ易く、高圧水柱流のエネルギーが十分に
活かされないため、開孔の大きさが不均一になったり、
高圧水柱流により滞留水が表面のパルプ繊維を伴って吹
き飛ばされるため、表面が荒れる。また、ワイヤーの縦
線の直径とノズル孔径との比が6.5より大きいと開孔
し難いため、所望の面積の開孔が得られず、ナックル毎
に生じる開孔が不均一になる。
【0027】ワイヤー線径とノズル孔径との比の重要性
を具体例について考察すると、後記実施例2で示すよう
に、坪量12g/m2 の疎水性長繊維不織布と坪量55
g/m2 の紙シートとの積層体を、ワイヤーの縦の線径
が0.6mm、横の線径が0.75mmの搬送用のワイ
ヤーからなる支持網上において、40m/分の移送速度
で、水圧60kg/cm2 の高圧水柱流を施す際に、高
圧水柱流の噴射ノズルとして孔径が0.2mmのものを
用いて、支持網のワイヤーの線径と高圧水柱流の噴射ノ
ズルの孔径との比が3.5および3.8の条件下で処理
すると横幅が0.55mm程度の開孔が表面に均一に分
布するパルプ複合シートが得られる。これとは対照的
に、比較例2に示すように、同じ条件で高圧水柱流の噴
射ノズルの孔径を0.08mmに変更し、支持網の縦お
よび横両ワイヤーの線径と高圧水柱流の噴射ノズルの孔
径との比をそれぞれ7.5および9.4として作製した
場合、径0.1mm程度の小さな開孔がまだらに分布す
るのみで、実施例2で作製したパルプ複合シートと比べ
て全く開孔の大きさと開孔分布の均一性が異なってい
た。実施例2と同程度の大きさの開孔を生じさせるため
に、高圧水柱流の噴射ノズルの孔径が0.08mmのも
のを用いて、高圧水柱流の水圧100kg/cm2 、移
送速度10m/分の非常に効率性の悪い条件でパルプ複
合シートを作製しても、横幅が0.4mm程度の開孔し
か生じず、また作製したパルプ複合シートの表面は、所
々の開孔が縦方向につながっていたり、開孔部以外の部
分のパルプも飛散し、非常に表面性が悪いものであっ
た。
【0028】支持網の裏面より高圧水柱流を、吸引して
強制的に排除することは、パルプ複合シート上や支持網
上に滞留水を生じさせないという観点から好ましく、そ
の手法としては既知のいずれの方法をも利用することが
できる。
【0029】このパルプ複合シート中における、長繊維
とパルプ繊維の重量比はパルプ繊維が50重量%以上で
あることが好ましい。このパルプ複合シート中における
パルプ繊維が50重量%未満であると、親水性であるパ
ルプ繊維と疎水性長繊維が、絡合していても十分な吸水
性が得られず、いわゆる拭き布として使用する場合に、
液体等の拭き取り性に劣り、また濡らして使用する場合
にも親水性であるパルプ繊維が不足しているため、表裏
で濡れ性に差が生じ易く、保水性および拭き取り性にム
ラを生じやすい。また、高圧水柱流を施した後のパルプ
複合シートのパルプ繊維の構成比率は、高圧水柱流を施
す前の紙シートの坪量と疎水性不織布の坪量を合わせた
重量中のパルプ繊維の構成比率より一般的に低くなる。
これは疎水性長繊維不織布より、パルプ繊維のほうが高
圧水柱流によって流失しやすいためと考えられる。パル
プ複合シート中のパルプ構成比率の測定は、セルロース
分解酵素(Cellulase T.C.,生化学工業
製)を用いて、パルプを溶解させて測定することができ
る。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法により得られるパルプ複合
シートでは、疎水性長繊維とパルプ繊維とが緊密して絡
合しており、紙シートが積層していない長繊維不織布の
面にもパルプ繊維が露出しており、ワイヤーの横幅に近
い一定幅の開孔が均一に分布していて、表面性と地合が
良好で、紙シートと長繊維不織布とが剥離することがな
い。
【0031】この複合シートをいわゆる拭き布として使
用した場合、紙シート単独よりも水の吸収性が優れ、拭
き布の両面における吸水性、拭き取り性が、開孔が均一
なために全面にわたりムラなく良好で、使用中の取扱い
性も優れている。
【0032】上記のようなパルプ複合シートは、いわゆ
る拭き布として、或いは所望に応じて、水やエチレング
リコール、プロピレングリコール等の湿潤剤、アルコー
ル類やバラ安息香酸等の抗菌剤、防黴剤、香料等の薬剤
等が付与されて、ウェットティシュ、赤ちゃんのお尻拭
き、使い捨て手拭き、ワイパー、使い捨て雑巾等として
使用される。
【0033】
【実施例】
実施例1 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着区域を
多数持つ疎水性長繊維不織布を準備した。この長繊維不
織布を構成するポリプロピレン長繊維の繊度は3.2デ
ニールであり、長繊維不織布の坪量は12g/m2 であ
った。また、針葉樹晒しクラフトパルプ繊維を湿式抄紙
して得られたパルプ繊維からなる紙シートを用意した。
この紙シートの坪量は、JIS P 8124に示され
た方法で測定した値が50g/m2 であった。
【0034】紙シートが上に位置し、長繊維不織布が下
に位置するようにして積層し、搬送用の支持網上に載せ
た。用いた搬送用の支持網は、ポリエステル製のワイヤ
ーの単線平織りの10メッシュであり、縦と横のワイヤ
ーの線径は、共に0.9mmであった。この支持網で積
層体を50m/分の速度で移送させながら、孔径0.2
mmのノズル孔が、16個/cmの間隔で並んでいる高
圧水柱流噴出装置を3本用いて、60kg/cm2 の水
圧で高圧水柱流を、紙シートの表面から長繊維不織布の
背面に貫通するようにして噴出させた。支持網の縦およ
び横両ワイヤーの線径と高圧水柱流を施す噴射ノズルの
孔径との比はいずれも4.5であった。以上のようにし
て紙シートを構成しているパルプ繊維と、長繊維不織布
を構成しているポリプロピレン長繊維とが交絡して、パ
ルプ繊維が75重量%のパルプ繊維主体のパルプ複合シ
ートが得られた。横幅が0.8mm程度の開孔がシート
表面に均一に分布していた。
【0035】実施例2 実施例1で用いた坪量12g/m2 のポリプロピレン製
の疎水性長繊維不織布と、針葉樹晒しクラフトパルプ繊
維を湿式抄紙して得られた、JIS P 8124に示
された方法で測定した坪量55g/m2 の紙シートを用
意した。そして、紙シートが上に位置し、長繊維不織布
が下に位置するようにして積層し、搬送用の支持網上に
載せた。用いた搬送用の支持網は、ポリエステル製のワ
イヤーの単線平織りの25メッシュであり、縦のワイヤ
ーの線径が0.6mm、横のワイヤーの線径が0.75
mmであった。この支持網で積層体を40m/分の速度
で移送させながら、孔径0.2mmのノズル孔が、16
個/cmの間隔で穿設されている高圧水柱流噴出装置を
3本用いて、60kg/cm2 の水圧で高圧水柱流を、
紙シートの表面から長繊維不織布の背面に貫通するよう
にして噴出させた。支持網の縦および横両ワイヤーの線
径と高圧水柱流を施す噴射ノズルの孔径との比は、それ
ぞれ3.0および3.8であった。以上のようにして紙
シートを構成しているパルプ繊維と、長繊維不織布を構
成しているポリプロピレン長繊維とが交絡して、パルプ
繊維が78重量%のパルプ繊維主体のパルプ複合シート
が得られた。横幅が0.6mm程度の開孔がシート表面
に均一に分布していた。
【0036】実施例3 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着区域を
多数持つ疎水性長繊維不織布を準備した。この長繊維不
織布を構成するポリプロピレン長繊維の繊度は3.0デ
ニールであり、長繊維不織布の坪量は23g/m2 であ
った。実施例2で用いた坪量55g/m2 のパルプ繊維
よりなる紙シートと長繊維不織布を、この紙シートが上
に位置し、長繊維不織布が下に位置するようにして積層
し、搬送用の支持網上に載せた。用いた搬送用の支持網
は、ポリエステル製のワイヤーの単線平織りの15メッ
シュであり、縦のワイヤーの線径が0.7mm、横のワ
イヤーの線径が0.75mmであった。この支持網で積
層体を40m/分の速度で移送させながら、孔径0.2
mmのノズル孔が16個/cmの間隔で穿設されている
高圧水柱流噴出装置を3本用いて、60kg/cm2
水圧で高圧水柱流を、紙シートの表面から長繊維不織布
の背面に貫通するようにして噴出させた。支持網の縦お
よび横両ワイヤーの線径と高圧水柱流を施す噴射ノズル
の孔径との比は、それぞれ3.5および3.8であっ
た。以上のようにして紙シートを構成しているパルプ繊
維と、長繊維不織布を構成しているポリプロピレン長繊
維とが交絡して、パルプ繊維が68重量%のパルプ繊維
主体のパルプ複合シートが得られた。横幅が0.6mm
程度の開孔がシート表面に均一に分布していた。
【0037】実施例4 実施例1で用いた坪量12g/m2 のポリプロピレン製
の疎水性長繊維不織布と、針葉樹晒しクラフトパルプ繊
維を湿式抄紙して得られた、JIS P 8124に示
された方法で測定した坪量38g/m2 の紙シートを用
意した。この紙シートが上に位置し、長繊維不織布が下
に位置するように積層し、積層体を搬送用の支持網上に
載せた。用いた搬送用の支持網は、ポリエステル製のワ
イヤーの単線平織りの25メッシュであり、縦と横のワ
イヤーの線径は共に0.4mmであった。この支持網で
積層体を50m/分の速度で移送させながら、孔径0.
12mmのノズル孔が24個/cmの間隔で穿設されて
いる高圧水柱流噴出装置を3本用いて、60kg/cm
2 の水圧で高圧水柱流を、紙シートの表面から長繊維不
織布の背面に貫通するようにして噴出させた。支持網の
縦および横両ワイヤーの線径と高圧水柱流を施す噴射ノ
ズルの孔径との比は、いずれも3.3であった。以上の
ようにして紙シートを構成しているパルプ繊維と、長繊
維不織布を構成しているポリプロピレン長繊維とが交絡
して、パルプ繊維が74重量%のパルプ繊維主体のパル
プ複合シートが得られた。横幅が0.35mm程度の開
孔が表面に均一に分布していた。
【0038】実施例5 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着区域を
多数持つ疎水性長繊維不織布を準備した。この長繊維不
織布を構成するポリプロピレン長繊維の繊度は7.6デ
ニールであり、長繊維不織布の坪量は12g/m2 であ
った。実施例2で用いた坪量55g/m2 のパルプ繊維
よりなる紙シートと長繊維不織布を、この紙シートが上
に位置し、長繊維不織布が下に位置するように積層し、
搬送用の支持網上に載せた。用いた搬送用の支持網は、
ポリエステル製のワイヤーの単線綾織りの36メッシュ
であり、縦のワイヤーの線径が0.3mm、横のワイヤ
ーの線径が0.32mmであった。この支持網で積層体
を40m/分の速度で移送させながら、孔径0.1mm
のノズル孔が32個/cmの間隔で並んでいる高圧水柱
流噴出装置を3本用いて、60kg/cm2 の水圧で高
圧水柱流を、紙シートの表面から長繊維不織布の背面に
貫通するようにして噴出させた。支持網の縦および横両
ワイヤーの線径と高圧水柱流を施す噴射ノズルの孔径と
の比は、それぞれ3および3.2であった。以上のよう
にして紙シートを構成しているパルプ繊維と、長繊維不
織布を構成しているポリプロピレン長繊維とが交絡し
て、パルプ繊維が78重量%のパルプ繊維主体のパルプ
複合シートが得られた。横幅が5.3mm程度の開孔が
シート表面に均一に分布していた。
【0039】比較例1 高圧水柱流の噴射ノズルの孔径が0.1mmであり、ノ
ズル孔が32個/cmの割合で穿設されている高圧水柱
流噴射装置を3本用いて水圧を60kg/cm2 とした
他は、実施例1と同様な方法でパルプ複合シートを得
た。支持網の縦および横両ワイヤーの線径と高圧水柱流
を施す噴射ノズルの孔径との比は、いずれも9であっ
た。得られたパルプ複合シートは、78重量%のパルプ
繊維主体のパルプ複合シートであった。径0.2mm程
度の開孔がシート表面にまだらに分布するのみであっ
た。
【0040】比較例2 高圧水柱流の噴射ノズルの孔径が0.08mmであり、
ノズル孔が40個/cmの間隔で穿設されている高圧水
柱流噴射装置を3本用いて水圧を60kg/cm2 とし
た他は、実施例2と同様な方法でパルプ複合シートを得
た。支持網の縦および横両ワイヤーの線径と高圧水柱流
を施す噴射ノズルの孔径との比は、それぞれ7.5およ
び9.4であった。得られたパルプ複合シートは、80
重量%のパルプ繊維主体のパルプ複合シートであった。
径0.1mm程度の小さな開孔がシート表面にまだらに
分布するのみであった。
【0041】比較例3 高圧水柱流の噴射ノズルの孔径が0.3mmであり、ノ
ズル孔が12個/cmの間隔で穿設されている高圧水柱
流噴射装置を3本用いて水圧を60kg/cm2 とした
他は、実施例4と同様な方法でパルプ複合シートを得
た。支持網の縦および横両ワイヤーの線径と高圧水柱流
を施す噴射ノズルの孔径との比は、いずれも1.3であ
った。得られたパルプ複合シートは、70重量%のパル
プ繊維主体のパルプ複合シートであった。実施例1〜5
および比較例1〜3において作成されたパルプ複合シー
トを、その表面が均一に開孔しているか、地合が均一で
あるかを評価すると共に、いわゆる拭き布として、下記
のテストに供し、その品質を評価した。その結果を表1
に示した。
【0042】
【表1】
【0043】物性の評価方法 (1)表面の開孔状況および地合:表面が均一に開孔し
ているか、外観が良好であるかを官能評価によって判定
した。官能評価は、次の5段階で行った。5…表面が均
一に開孔し、外観も良好である。4…所々、開孔の大き
さが違うが、全面に渡り開孔はしており、外観も良好で
ある。3…所々に開孔していない部分が若干見られ、開
孔が不均一であり、外観も若干不良である。2…開孔し
ていない部分が半分以上を閉め、開孔が不均一であり、
外観がやや不良である。1…所々しか開孔していなく、
外観が不良である。
【0044】(2)表面性:パルプ複合シートを濡らし
た際に、表裏差があるかどうかを官能評価によって判定
した。官能評価は、次の5段階で行った。5…表裏差は
全く感じられなく、表裏共に濡れ性は良好である。4…
長繊維不織布側の方が若干濡れ性に劣っている。3…長
繊維不織布側の濡れ性が悪い。2…長繊維不織布側が所
々しか濡れていない。1…表裏差が明らかに判し、長繊
維不織布側が全く濡れていない。
【0045】(3)吸水性:パルプ複合シートを拭き布
として、長繊維不織布側の水の吸水性の官能評価によっ
て判定した。官能評価は次の5段階で行った。5…極め
て速やかに水を吸収した。4…速やかに水を吸収した。
3…吸水性は普通であった。2…ゆっくりと水を吸収し
た。1…水をほとんど吸収しない。
【0046】(4)拭き取り性:パルプ複合シートを水
に濡らした後 軽く絞った状態で、長繊維不織布側で机
に付いた水飴の拭き取り性を官能で評価した。官能評価
は次の5段階で行った。5…拭き取り性は極めて優れて
いる。4…拭き取り性は優れている。3…やや力を込め
て拭けば、拭き取れた。2…余り濡れていないため、拭
き取り性はやや不良である。1…ほとんど濡れていない
ため、パルプ複合シートが水飴に接着し、机の水飴が広
がった。
【0047】表1の結果から明らかなように、実施例1
〜5のパルプ複合シートに比べて、比較例1〜3のパル
プ複合シートは、開孔が不均一なため、外観が悪く、吸
水性、拭き取り性にムラがあり、いわゆる拭き布として
劣るものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】高圧水柱流が紙シートに衝突し、紙シートが疎
水性長繊維不織布に接着する状態を示す。
【図2】高圧水柱流が紙シートと疎水性長繊維不織布と
を貫通してナックル部に開孔を形成する状態を示す。
【図3】高圧水柱流がナックル部の頂点の凸部から下方
の凹部へ飛散する状態を示す。
【図4】図3のX−X′線図で、高圧水柱流がワイヤー
の横方向へ円を滑るように飛散する状態を示す。
【符号の説明】
1 高圧水柱流 2 紙シート 3 疎水性長繊維不織布 4 搬送用の支持網の縦のワイヤー 5 搬送用の支持網の横のワイヤー 6 ナックル
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 27/34

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の長繊維が集積されてなる長繊維不
    織布と、木材パルプからなる紙シートとを積層し、得ら
    れた長尺状の積層体を、ワイヤーよりなる搬送用支持網
    にて移送せしめつつ、該積層体の紙シート側から長繊維
    不織布シート側に貫通するように高圧水柱流を噴射ノズ
    ルから噴射することにより、該紙シートを構成するパル
    プ繊維と該長繊維不織布シートを構成する長繊維とを絡
    合させることからなるパルプ複合シートの製造方法にお
    いて、搬送用支持網のワイヤーの縦線の直径と、高圧水
    柱流を施す噴射ノズルの孔径との比を2.5〜6.5と
    することを特徴とするパルプ複合シートの製造方法。
JP5298950A 1993-11-04 1993-11-04 パルプ複合シートの製造方法 Pending JPH07126975A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014090737A (ja) * 2012-10-31 2014-05-19 Nippon Paper Crecia Co Ltd 産業用拭き取りシート

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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