JPH07126875A - 油脂分の付着した被処理材の脱脂洗浄方法 - Google Patents

油脂分の付着した被処理材の脱脂洗浄方法

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JPH07126875A
JPH07126875A JP30339193A JP30339193A JPH07126875A JP H07126875 A JPH07126875 A JP H07126875A JP 30339193 A JP30339193 A JP 30339193A JP 30339193 A JP30339193 A JP 30339193A JP H07126875 A JPH07126875 A JP H07126875A
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JP
Japan
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degreasing
cleaning liquid
liquid
degreasing cleaning
washing
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JP30339193A
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English (en)
Inventor
Yukinobu Higuchi
征順 樋口
Shigeru Nakano
茂 中野
Minoru Fujinaga
実 藤永
Shinichi Itonaga
慎一 糸永
Shuichi Takei
秀一 武井
Hisahiro Miyakoshi
寿拓 宮腰
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nihon Parkerizing Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧延油を用いる圧延工程を経て製造される鋼
材及び非鉄金属材料、あるいは潤滑油を用いて形成され
るこれらの加工成形品の表面に油脂分が付着した被処理
材の脱脂洗浄液に対する発泡抑制効果に極めて優れた脱
脂洗浄方法の提供。 【構成】 走行する被処理材に付着した油脂分を水系脱
脂洗浄液で除去する脱脂洗浄処理槽と該脱脂洗浄液を回
収し再び循環供給する脱脂洗浄液補給槽からなる脱脂洗
浄方法において、脱脂洗浄液補給槽の脱脂洗浄液液面下
100mm以上の深さ位置に脱脂洗浄液の供給口を設け
るとともに、この供給口から脱脂洗浄液補給槽の脱脂洗
浄液液面上に設けたスプレイノズルに脱脂洗浄液を供給
し、脱脂洗浄液補給槽の液面に0.1〜1.0Kg/c
2の液圧でスプレイ噴霧することを特徴とする油脂分
の付着した被処理材の脱脂洗浄方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧延油を用いる圧延工
程を経て製造される普通鋼、合金鋼等の鋼材および非鉄
金属材料、あるいは潤滑油を用いて形成されるこれらの
加工成形品の表面に付着する油脂分を浸漬法、スプレイ
法および電解処理法で水系脱脂洗浄液を使用する脱脂洗
浄方法において、脱脂洗浄液の液面に生成される起泡の
発生量を抑制、すなわち、脱脂洗浄液の発泡を効果的に
抑制しながら油脂分の付着した被処理材を脱脂洗浄する
方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】水系脱脂洗浄剤は、一般的にアルカリビル
ダー、界面活性剤を必須成分とし、その他キレート剤あ
るいは消泡剤等を含有して構成されている。而して、該
脱脂洗浄剤を所定濃度に調整して使用される脱脂洗浄液
は、その使用過程において、含有される界面活性剤に起
因して起泡が生成され、また圧延油あるいは潤滑油等の
脱脂洗浄液への混入により、油脂分の構成成分に起因し
て著しく起泡の発生が促進される。特に、水系脱脂洗浄
液中において、加水分解により脂肪酸が生成される牛
脂、合成エステル等が構成成分として含まれる油脂分が
混入される場合には、該脂肪酸とアルカリビルダーとの
反応により金属石鹸が形成されるため、脱脂洗浄液は起
泡の発生量が著しく増大する。すなわち、脱脂洗浄液の
液面において、発泡が極めて生じ易くなる。
【0003】従って、脱脂洗浄液が脱脂洗浄処理槽と脱
脂洗浄液の補給槽間で環境使用される脱脂洗浄方法にお
いては、脱脂洗浄液への油分の混入量が経時とともに増
大するため、起泡の発生が次から次に増大し、脱脂洗浄
液の発泡が著しく起こるようになる。その結果、この泡
が脱脂洗浄処理槽あるいはその補給槽から溢れ出し、脱
脂洗浄液が激しく流出、減少し、また作業環境を著しく
悪化する。脱脂洗浄処理槽における発泡に伴う脱脂洗浄
液が溢出する問題は、該処理槽から補給槽への脱脂洗浄
液の回収環流口を大きくすることにより防止出来るが、
補給槽における発泡による脱脂洗浄液溢出の抑制と防止
方法は、従来から種々検討されているが、その解決はな
かなか困難な状況にある。
【0004】例えば、脱脂洗浄処理槽から補給槽への脱
脂洗浄液の環流に対して、脱脂洗浄液は補給槽における
脱脂洗浄液の液面下に環流することにより、液面での流
動を防止して起泡の生成を抑制する方法、あるいは補給
槽に蓋を設けて発泡した脱脂洗浄液の溢出を防止する対
策等が講じられてきた。しかし、これらの方法では、前
記の金属石鹸の生成によって発泡が激しく生じる条件下
では十分な効果が得られず、特に発泡が著しい場合には
蓋が持ち上げられて脱脂洗浄液が溢れ出す等の現象も起
こり、その解決は非常に困難である。
【0005】さらに、脱脂洗浄液の発泡を抑制する方法
として、種々の消泡剤あるいは低起泡性の洗浄剤等が開
発されている。これらのうち、消泡剤に関しては、従来
から鉱物油系消泡剤、プルロニック型非イオン系消泡
剤、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル脂肪酸エステル等の有機極性化合物系消泡剤、あるい
はシリコン樹脂系消泡剤等が種々検討されるとともに、
脱脂洗浄剤に添加され、一般的に使用されている。
【0006】また、低起泡性の洗浄液としては、特公平
4−17240号等に示されているように、界面活性剤
の組成を検討、特定することにより、低起泡性の脱脂洗
浄剤が開発されている。
【0007】しかし、これらの従来技術においては、界
面活性剤に起因する脱脂洗浄液の発泡抑制、あるいは鉱
物油系の油脂分が混入した場合の脱脂洗浄液の発泡抑制
には、それぞれ効果が得られているものの、牛脂あるい
は脂肪酸の合成エステルを主成分とする油脂分が脱脂洗
浄液中に混入される場合、すなわち、脱脂洗浄液中にお
いて脂肪酸が生成される油脂分が混入される条件下で
は、脱脂洗浄液の発泡を必ずしも抑制する効果が得られ
ていないのが現状である。
【0008】特に、前記のように、脱脂洗浄処理槽と脱
脂洗浄液の補給槽の両者間で脱脂洗浄液が循環使用され
る脱脂方法においては、脱脂洗浄液中に混入される油脂
分および脂肪酸が脱脂洗浄処理時間の経時とともに増加
し、脱脂洗浄液の発泡が著しく増大する条件下では、従
来技術では十分な成果が得られていない。さらには、近
年の生産性向上を目的とした圧延工程の高速化に対応し
た圧延油あるいは成形加工の高速化、複雑な形状の成形
加工に対応した高性能潤滑油等に対して、脂肪酸の合成
エステル系油脂の使用が増大している現状においては、
水系脱脂洗浄液の発泡を抑制する方法が十分に確立され
ておらず、適正な方法の開発が要望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、脱脂
洗浄処理槽と脱脂洗浄液の補給槽間で脱脂洗浄液が循環
使用される脱脂洗浄方法において、脱脂洗浄液の発泡
は、従来の消泡剤あるいは低起泡性界面活性剤では十分
に抑制されるとは言い難い。特に、脱脂洗浄処理により
除去された油脂分が脱脂洗浄液中に混入される該脱脂方
法では、近年の高速圧延あるいは高機能成形加工に対応
して、使用が増大する傾向にある前記のように脱脂洗浄
液の発泡性を促進させる油脂分が脱脂洗浄液中に含有さ
れるため、その発泡を抑制するのが困難な状況にある。
本発明は、これらの状況に対応して、脱脂洗浄液が脱脂
洗浄処理槽と脱脂洗浄液の補給槽間で循環使用される脱
脂方法において、脱脂洗浄液の発泡を促進せしめる成分
を含有する油脂分が混入した条件下においても、脱脂洗
浄液の発泡を効果的に抑制しながら行う油脂分の付着し
た被処理材の脱脂洗浄方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決する本
発明の要旨は、走行する被処理材に脱脂洗浄液をスプレ
イあるいは脱脂洗浄液中での浸漬、または電解処理によ
り被処理材に付着した油脂分を除去する脱脂洗浄処理槽
と該脱脂洗浄液を回収し、再び循環供給する脱脂洗浄液
補給槽からなる脱脂洗浄方法において、脱脂洗浄液補給
槽の脱脂洗浄液液面下100mm以上の深さ位置に脱脂
洗浄液の供給口を設けるとともに、この供給口から脱脂
洗浄液補給槽の脱脂洗浄液液面上に設けたスプレイノズ
ルに脱脂洗浄液を供給し、脱脂洗浄液補給槽の液面に
0.1〜1.0Kg/cm2の液圧でスプレイ噴霧する
ことを特徴とする油脂分が付着した被処理材の脱脂洗浄
方法を提供することにある。
【0011】すなわち、上記に示した脱脂洗浄液が脱脂
洗浄処理槽と脱脂洗浄液の補給槽間で循環使用される脱
脂方法において、脱脂洗浄液の発泡が最も著しく生じる
補給槽で脱脂洗浄液の浴面から次ぎから次ぎに連続的に
発生するとともに、高さ方向に盛り上がってくる起泡に
対して、前記構成の方法による機械的な破泡機能を連続
的に付与することにより、脱脂洗浄液の液面に次ぎから
次ぎに発生してくる起泡の生成抑制が可能となり、従来
例の抱える問題点を解決しえた。
【0012】而して、本発明において、脱脂洗浄液の補
給槽において、その液面に連続的に発生してくる起泡に
対して機械的な破泡機能を連続的に付与するために講じ
た手段を具体的に説明するため、その代表的な一例とし
て示した図1と図2により説明する。図1は、鋼板ある
いは非鉄金属板等を被処理材としてスプレイ法により脱
脂洗浄処理を施す工程において、本発明の方法を適用し
た代表例の横断面図を示すものである。
【0013】而して、図に記載の1は脱脂洗浄処理が施
される被処理材を示し、2はスプレイ法による脱脂洗浄
処理槽を示す。また、3は脱脂洗浄処理用のスプレイ配
管、4はそのスプレイノズル、5は使用された脱脂洗浄
液の脱脂洗浄処理槽からの回収環流口、6はその環流用
配管を示し、脱脂洗浄液の補給槽7と配管結合されてい
る。脱脂洗浄液の補給槽7には、該回収脱脂洗浄液と使
用濃度に調整された脱脂洗浄液8が充填されるととも
に、その液面9の上部に該液面に向かって脱脂洗浄液を
スプレイ噴霧するためのスプレイノズル10が設けられ
ている。
【0014】さらに、脱脂洗浄液の補給槽7には、脱脂
洗浄液の液面9より下部に脱脂洗浄液8の脱脂洗浄処理
槽1および前記の噴霧用スプレイノズル10に供給する
ための供給配管11が設置されている。該供給配管11
には、脱脂洗浄液の供給量調整のためのバルブ12、脱
脂洗浄液8の送給用ポンプ13が設けられるとともに、
所定流量の脱脂洗浄液8が図に示す流量調整用バルブ1
4および15で流量、すなわち圧力調整されてポンプ1
3により送給配管16を通って脱脂洗浄処理槽のスプレ
イ配管3、あるいは送給配管17から噴霧用スプレイノ
ズル10にそれぞれ圧送される。また、図に示す18
は、噴霧用スプレイノズル10から脱脂洗浄液の液面9
に脱脂洗浄液を発泡抑制のためにスプレイ噴霧する際の
液圧を測定するための圧力計である。なお、図中には記
載しなかったが、供給配管17に流量計、また脱脂洗浄
処理槽1への供給配管16に流量計、圧力計が必要に応
じてそれぞれ設けられる。
【0015】図2は、本発明の脱脂洗浄液の発泡抑制方
法が適用された図1の脱脂洗浄液の補給槽7の部分につ
いての平面図であり、噴霧用ノズル10の配管方法の一
例を示すものである。なお、図2の各符号は図1に示す
それと同じのもであるので、説明を省略する。而して、
本発明の方法は、脱脂洗浄液8が脱脂洗浄液の補給槽7
と脱脂洗浄処理槽2の間で循環使用される場合に、脱脂
洗浄液の発泡が最も著しい補給槽7の脱脂洗浄液8に対
して適用される。
【0016】すなわち、使用濃度に調整された脱脂洗浄
液8は、脱脂洗浄液の補給槽7から供給配管11および
送給配管16を経て脱脂洗浄処理槽2に設けられたスプ
レイ配管3に供給され、脱脂洗浄処理用スプレイノズル
4により被処理材1のスプレイ法による脱脂洗浄処理に
使用された後、脱脂洗浄処理槽2の回収環流口5、環流
用の配管6を経て補給槽7に戻り、また同じように繰り
返して循環使用される。 なお、回収環流される脱脂洗
浄液は、補給槽7の脱脂洗浄液8の液面9より下部の位
置に戻るように構成されるのが望ましく、一般的には本
発明では液面9より100mm以上下部の位置に戻るよ
うに環流用の配管6の先端口は設置される。
【0017】このように、脱脂洗浄液8が繰り返し使用
される結果、被処理材1から脱脂洗浄処理された油分が
脱脂洗浄液8中に含有されるようになる。一般的な脱脂
洗浄処理工程においては、脱脂洗浄液は、その脱脂洗浄
能力が劣化する油分の含有許容量まで、温度50〜90
℃に加熱された使用される脱脂温度の条件下で繰り返し
使用される。そのため、脱脂洗浄液中に含有される油分
の種類、組成によって、加温された脱脂洗浄液中で加水
分解され、脂肪酸が生成される結果、脱脂洗浄液中に含
まれるアルカリビルダーと脂肪酸との反応により金属石
鹸が生成され、脱脂洗浄液の起泡の生成量が増大し、使
用経時によりさらに著しくなり、その発泡性が激しく増
大する。
【0018】すなわち、混入される油脂分が牛脂、ある
いは近年使用が増加している合成エステル、牛脂と合成
エステルの混合系等の場合、加温された脱脂洗浄液中で
加水分解によりオレイン酸、ステアリン酸、パルミチン
酸等の脂肪酸が生成され、該脂肪酸と脱脂洗浄液の含有
成分である苛性ソーダ、オルソケイ酸ソーダ、リン酸ソ
ーダ等のアルカリビルダーとの反応により生成されるオ
レイン酸Na、ステアリン酸Na等の金属石鹸が主原因
となって脱脂洗浄液に多量の起泡の生成による発泡が著
しく促進される。さらに、これに加えて脱脂洗浄液およ
び圧延油、潤滑油等の構成成分として含有される界面活
性剤に起因して、脱脂洗浄液の発泡性が助長される。
【0019】本発明の方法は、この両方の原因によって
生じる脱脂洗浄液の発泡抑制に対して適用されるが、特
に脱脂洗浄液への消泡剤の添加によっても発泡の抑制が
極めて困難な前者の金属石鹸の生成に起因する発泡を抑
制するのに優れた効果が得られる。而して、本発明の発
泡抑制方法、すなわち脱脂洗浄液の液面に次から次に発
生してくる起泡に機械的な破泡機能を連続的に付与して
最大の効果を得るためには、脱脂洗浄液の補給槽7にお
ける脱脂洗浄液の液面9、すなわち本発明の方法が使用
される脱脂洗浄方法において最も多量の起泡が発生する
部分に対して、本発明の方法が適用される。
【0020】具体的には、脱脂洗浄液8は、脱脂洗浄液
の補給槽7の脱脂洗浄液8の液面9から100mm以上
の深さ位置に設けられた脱脂洗浄液の供給配管11から
送給ポンプ13により送給配管17を経て、脱脂洗浄液
8の液面9の上方に設けられ、好ましくは液面9にほぼ
平行に設けられた噴霧用スプレイノズル10に対して、
供給配管11と供給配管17に設けられたバルブ13お
よび14、あるいは送給ポンプ13により流量を調整
し、その液圧を圧力計18で測定しつつ、脱脂洗浄液が
液面9の全面をほぼ覆うように0.1〜1.0Kg/c
2の圧力範囲で液面9に対して連続的にスプレイ噴霧
される。その結果、脱脂洗浄液8の液面9に生成される
起泡が連続的に破泡されることより、本発明の目的とす
る効果が得られる。
【0021】而して、本発明においては、起泡の破泡の
ために噴霧される脱脂洗浄液の供給は、補給槽7におけ
る脱脂洗浄液8の液面9より100mm以上の深さ位置
からの脱脂洗浄液8に規定される。すなわち、脱脂洗浄
液8の液面9からの深さ100mm未満の部分における
脱脂洗浄液には、起泡あるいは脱脂洗浄された油分が比
較的多く含まれるため、該脱脂洗浄液が液面9に生成さ
れる起泡に対してスプレイ噴霧されても起泡を破泡する
効果が得られにくく、むしろ起泡の生成を助長するので
好ましくない。したがって、本発明の方法における起泡
の破泡にスプレイ噴霧される脱脂洗浄液は、液面下10
0mm以上の深さから補給槽7の底面の部分における脱
脂洗浄液が供給され、特に好ましくは液面下200mm
以上の深さ部分における脱脂洗浄液が供給される。
【0022】次に、本発明の目的を達成するためには、
噴霧用スプレイノズル10に供給される脱脂洗浄液の液
圧が重要である。本発明においては、図3に検討結果を
示すように、その圧力が0.10〜1.0Kg/cm2
の範囲に規制される。この圧力が0.1Kg/cm2
満では、脱脂洗浄液8の液面9に次ぎから次ぎに生成さ
れる起泡を破泡するのに十分な効果が得られない。この
圧力が1.0Kg/cm2を超える場合には、起泡に対
する破泡効果以上に脱脂洗浄液の液面9においてスプレ
イ噴霧される脱脂洗浄液の撹拌作用によって起泡の生成
が促進されるため、本発明の目的とする効果が得られな
くなる。したがって、本発明の方法による起泡を破泡す
るために、脱脂洗浄液は液圧0.10〜1.0Kg/c
2、好ましくは0.3〜0.6Kg/cm2で液面に対
してスプレイ噴霧される。
【0023】また、起泡の破泡効果を得るための脱脂洗
浄液のスプレイノズル噴霧用のノズルの設置方法につい
ては、本発明においては特に規定されていないが、スプ
レイ噴霧された脱脂洗浄液の液面9の全面を覆うよう
に、例えば図2に一例を示す如く複数個のノズルを配置
するとともに、噴霧される脱脂洗浄液の液圧および使用
されるノズルの形状によって決まる噴霧パターンに対応
して脱脂洗浄液の液面9の上方の位置に液面9に対して
ほぼ平行に設置される。スプレイ噴霧用ノズルは、この
ように液面に対してほぼ平行に設置するのが望ましい
が、該ノズルを設ける場所のスペースによっては、例え
ば交互に上下してスプレイノズルを配置する方法等を採
用しても良い。
【0024】さらに、本発明において使用されるスプレ
イ噴霧の液圧および広角噴霧パターンを得るための市販
のノズル形状から判断して、スプレイ噴霧用ノズルは脱
脂洗浄液の液面からの高さ150〜600mm、好まし
くは300〜500mmの位置にほぼ平行に設けられ
る。すなわち、スプレイ噴霧用ノズルの設置位置が液面
9からの高さ150mm未満では、液面9をほぼ全面覆
うように脱脂洗浄液をスプレイ噴霧するためにはノズル
の個数が多くなり、設備的、経済的に好ましくない。ま
た、その設置高さが液面9からの高さ600mmを超え
る場合には、スプレイ噴霧された脱脂洗浄液による液面
9における起泡の破泡効果が減少するので好ましくな
い。したがって、スプレイ噴霧用ノズル10は、脱脂洗
浄液の液面9からの高さ150〜600mmの位置に設
けられるのが好ましい
【0025】以上、本発明の方法に関し、図1、図2に
示した代表例について、その適用方法および構成条件に
ついて説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。すなわち、走行する被処理材に付着した油脂分を
水系脱脂洗浄液で除去する脱脂洗浄処理槽と該脱脂洗浄
液を回収し再び循環供給する脱脂洗浄液の補給槽からな
る脱脂洗浄方法に対して、本発明の方法は適用される。
したがって、脱脂洗浄処理される被処理材は、板状製品
のみならず、成形加工品等にも適用され、また脱脂洗浄
方法は、スプレイ法、浸漬法、あるいは電解処理法のい
ずれの方法にも適用できる。
【0026】また、装置に関し、図1に記載した方法に
加えて、脱脂洗浄液の補給槽から脱脂洗浄処理槽と起泡
の破泡に使用されるスプレイ噴霧用ノズルへの供給口を
それぞれ別個に設ける方法も採用される。さらに、本発
明においては、図1に示した脱脂洗浄液の補給槽と配管
結合された脱脂洗浄液の原液貯蔵槽を設置するととも
に、補給槽への原液の供給配管と工水の供給配管を設け
て該補給槽中で脱脂洗浄液を使用濃度に調整することに
より、補給槽で脱脂洗浄液の減少分を補充する方法を備
えた装置等に対しても、本発明の方法は適用される。
【0027】以上のように、前記した方法により構成さ
れる本発明の脱脂洗浄液の発泡抑制方法は、脱脂洗浄液
の液面に次ぎから次ぎに生成される起泡に対して使用し
ている脱脂洗浄液をスプレイ噴霧することにより破泡せ
しめる効果を活用し、また連続的に脱脂洗浄液をスプレ
イ噴霧することによってその効果を継続維持せしめるこ
とにより達成されるものであり、使用中の脱脂洗浄液の
組成、濃度等の変化をともなうことなく優れた効果が得
られる。さらに、本発明の方法は、脱脂洗浄剤への添加
により一般的に脱脂性能の劣化とコスト上昇をもたらす
消泡剤を使用しない脱脂洗浄液に適用しても、その発泡
抑制機構から予測されるように、優れた発泡抑制効果が
得られ、性能面および経済面からも極めて有効である。
【0028】
【実施例】本発明の作用効果を明確にするため、実施例
として本発明の方法を使用した連続長時間の脱脂洗浄処
理テストの結果について、本発明の方法を適用しない場
合のテスト結果を比較例として具体的に説明する。 実施例1 高圧スプレイ法による脱脂洗浄処理槽と脱脂洗浄液の補
給槽が配管結合されて構成され、脱脂洗浄液が循環使用
される脱脂洗浄工程において、低炭素鋼系冷間圧延鋼板
の脱脂洗浄処理テストをおこなった。すなわち、ステア
リン酸エステル含有牛脂ベース圧延油を用いる圧延工程
を経て製造された油分付着量が約250mg/m2の冷
間圧延鋼板を用いて、
【0029】30g/l苛性ソーダ 0.6g/lノニオン系界面活性剤(炭化水素誘導体系
ノニールフェノールEO11モル付加物) 1.2g/lキレート剤(グルコン酸アルカリ金属塩) 0.3g/l消泡剤(有機極性化合物系消泡剤) を主成分とする脱脂洗浄液を用いて、連続長時間の脱脂
洗浄処理テストによる評価を行った。
【0030】この評価試験においては、補給槽に充填さ
れた脱脂洗浄液の液面からの高さ250mmの位置に複
数個のフルジェットタイプの方形広角ノズルを液面に対
してほぼ平行に設け、該スプレイノズルに補給槽の液面
からの深さ400mm、補給槽底面から450mmの位
置に設けられた脱脂洗浄液の吸い上げ口を有する供給配
管からポンプアップして脱脂洗浄液の連続供給が可能な
脱脂洗浄処理装置を作成し、使用した。また、この装置
は、補給槽の底部から脱脂洗浄処理装置への脱脂洗浄液
を連続的に所定量供給しうる機能が設けられている。さ
らに、補給槽における脱脂洗浄液の減少に対して、脱脂
洗浄液の原液貯蔵槽からの原液供給と上記の使用濃度に
調整するための工水供給機構が備えられており、補給槽
における脱脂洗浄液の濃度とその液量、すなわち液面高
さがほぼ一定に維持されるように構成されている。
【0031】この試験装置により、80℃に加熱された
脱脂洗浄液を補給槽から脱脂洗浄処理槽に連続供給しつ
つ、スプレイ圧2.2Kg/cm2で前記の冷間圧延鋼
板を1時間当たり11,000m2の処理速度で脱脂洗
浄処理を温度75℃で施すとともに、該処理に使用され
た脱脂洗浄液および除去された油分を補給槽に還流せし
め、脱脂洗浄液の循環使用を繰り返した。また、該脱脂
洗浄処理槽からの鋼板による脱脂洗浄液の持ち出しに対
応して、2時間毎に原液貯蔵槽から高濃度の脱脂洗浄液
と工水を補給槽に供給、補給槽における脱脂洗浄液の濃
度とその液量、すなわち液面の高さをほぼ一定に維持し
た。なお、この評価試験においては、循環使用に供され
る脱脂洗浄液の総量は10m3、また脱脂洗浄液の液面
は補給槽の上面からの深さ150mmの位置にほぼ維持
せしめた。
【0032】以上の条件による脱脂洗浄試験において、
補給槽の脱脂洗浄液の液面下400mmの位置に設けら
れた供給配管を経て脱脂洗浄液を液面上250mmの位
置に設けられたスプレイノズルに供給、該ノズルより試
験開始から24時間までは液圧0.30Kg/cm2
さらに48時間後までは液圧0.45Kg/cm2で脱
脂洗浄液の液面をほぼ覆うように連続してスプレイ噴霧
を行った。その結果、補給槽における脱脂洗浄液液面に
生じた起泡の高さは、評価試験の間、約20〜25mm
に維持され、極めて優れた発泡抑制効果が得られた。な
お、この評価試験後、補給槽の脱脂洗浄液中(液面下4
00mmの部分から採取)には、濃度8.8g/lの油
脂分が含有されていた。
【0033】これに対して、比較試験として、上記の脱
脂洗浄液のスプレイ噴霧を止めて実施した脱脂洗浄処理
においては、試験を開始して6時間経過後から補給槽の
脱脂洗浄液の液面に起泡の生成が著しくなり、12時間
経過後には遂に補給槽の上面から脱脂洗浄液が発泡によ
り激しく溢れ出したので、評価試験を中断した。ちなみ
に、この評価試験の中断時に補給槽の脱脂洗浄液中(液
面下400mmの部分から採取)には、濃度2.3g/
lの油脂分が含有されていた。また、スプレイ噴霧に供
される脱脂洗浄液吸い上げ口の位置をずらして液面下3
0mmの位置から供給される脱脂洗浄液を使用して、液
圧0.45Kg/cm2でスプレイ噴霧を行いつつ脱脂
洗浄試験を行った。しかし、試験開始後10時間目には
発泡の発生が極めて著しく、評価試験を中断した。
【0034】実施例2 電解脱脂法による脱脂洗浄処理装置と脱脂洗浄液の補給
槽が配管結合され、脱脂洗浄液が循環使用される脱脂洗
浄工程において、Si含有合金鋼板の脱脂洗浄処理テス
トを実施した。すなわち、オレイン酸、ステアリン酸系
エステルを主成分とする合成エステル系圧延油を用いる
圧延工程を経て製造された油分付着量が約200mg/
2の冷間圧延鋼板を用いて、
【0035】20g/lオルソケイ酸ソーダ 0.3g/lノニオン系界面活性剤(炭化水素誘導体系
ノニールフェノールEO12モル付加物) 0.4g/lイミダゾリン型両性界面活性剤 0.90g/lキレート剤(0.24g/lグルコン酸
アルカリ金属塩、0.18g/lペプトグルコン酸アル
カリ金属塩、0.28g/l1−ヒドロキシエチリデン
−1,1−ジホスホン酸) を主成分とする消泡剤を含まない脱脂洗浄液を用いて、
連続長時間の脱脂洗浄処理テストによる評価を行った。
【0036】この評価試験においては、補給槽に充填さ
れた脱脂洗浄液の液面からの高さ350mmの位置にフ
ルジェットタイプの方形広角ノズルを液面に対してほぼ
平行に設け、補給槽の液面からの深さ900mm、補給
槽底面から100mmの位置に該スプレイノズルと電解
脱脂洗浄処理槽への脱脂洗浄液の供給配管が具備されて
いる脱脂洗浄処理装置を作成し、使用した。すなわち、
この装置は脱脂洗浄液が供給配管に設置されている送給
ポンプにより、供給配管の途中で分岐された配管を経て
上記のスプレイノズルおよび脱脂洗浄処理槽にそれぞれ
所定量にバルブにより調整されて供給されるように構成
されている。
【0037】また、この装置には、補給槽における脱脂
洗浄液の減少に対して、脱脂洗浄液の原液貯蔵槽からの
原液供給と上記の使用濃度に調整するための工水供給機
構が備えられており、補給槽における脱脂洗浄液の濃度
とその液量、すなわち液面の高さがほぼ一定に維持され
るように構成されている。この試験装置を用いて、65
℃に加熱された脱脂洗浄液を補給槽から脱脂洗浄処理槽
に連続供給しつつ、電流密度7.5A/dm2で陽極電
解、陰極電解を交互に繰り返すグリットバイグリット方
式により3秒間の電解洗浄処理を前記の冷間圧延鋼板に
対して、1時間当たり16,000m2の処理速度、温
度60℃で施すとともに、該処理に使用された脱脂洗浄
液と除去された油分を補給槽に還流せしめ、脱脂洗浄液
の循環使用を繰り返した。また、脱脂洗浄処理槽からの
鋼板による脱脂洗浄液の持ち出しに対応して、1時間毎
に原液貯蔵槽から高濃度の脱脂洗浄液と工水を補給槽に
供給、補給槽における脱脂洗浄液の濃度とその液量、す
なわち液面の高さをほぼ一定に維持した。なお、この評
価試験においては、循環使用に供される脱脂洗浄液の総
量は15m3、また脱脂洗浄液の液面は補給槽の上面か
らの深さ250mmの位置にほぼ維持せしめた。
【0038】以上の条件による脱脂洗浄試験において、
補給槽の脱脂洗浄液の液面下900mmの位置に設けら
れた供給配管と分岐配管を経て脱脂洗浄液を液面上35
0mmの位置に設けられたスプレイノズルに供給、該ノ
ズルより試験開始から16時間までは液圧0.15Kg
/cm2、続いて32時間後までは液圧0.35Kg/
cm2、さらに48時間後までは液圧0.60kg/c
2で脱脂洗浄液の液面をほぼ覆うように連続してスプ
レイ噴霧を行った。
【0039】その結果、補給槽における脱脂洗浄液液面
に生じた起泡の高さは、液圧0.15Kg/cm2では
約35〜40mmに、液圧0.35Kg/cm2と0.
60Kg/cm2では約25〜30mmに維持され、極
めて優れた発泡抑制効果が得られた。すなわち、消泡剤
を用いない脱脂洗浄液に対しても、本発明の発泡抑制方
法は極めて優れた効果を有していた。なお、この評価試
験後、補給槽の脱脂洗浄液中(液面下900mmの部分
から採取)には、濃度7.5g/lの油脂分が含有され
ていた。
【0040】一方、比較試験として、脱脂洗浄液のスプ
レイ噴霧を止めて実施した脱脂洗浄試験では、試験開始
後6時間経過した時点で脱脂洗浄液の液面に起泡の生成
が著しくなり、10時間経過後には遂に補給槽の上面か
ら脱脂洗浄液が発泡によって激しく溢れ出したので、評
価試験を中断した。また、この評価試験中断時における
補給槽の脱脂洗浄液中(液面下900mmの部分から採
取)には、濃度1.9g/lの油脂分が含有されてい
た。
【0041】これらの結果から、本発明の方法による脱
脂洗浄処理方法は、その工程において生じる発泡の抑制
に対して、極めて優れた効果を有する。
【0042】
【発明の効果】本発明の適用により、走行する被処理材
に付着した油脂分を水系脱脂洗浄液で除去する脱脂洗浄
処理槽と該脱脂洗浄液を回収し再び循環供給する脱脂洗
浄液の補給槽からなる脱脂洗浄工程において、起泡の発
生が最も著しい補給槽の脱脂洗浄液液面に対して、連続
的に脱脂洗浄液を所定の液圧でスプレイ噴霧して起泡の
破泡作用を連続して付与せしめる効果により、脱脂洗浄
液に対する極めて優れた発泡抑制効果が得られる脱脂洗
浄処理法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を適用した脱脂洗浄処理装置の一
例の横断面図を示す。
【図2】本発明の方法を適用した脱脂洗浄処理装置にお
ける脱脂洗浄液の補給槽の平面図の一例を示す。
【図3】圧延油の混入された脱脂洗浄液を想定したモデ
ル脱脂洗浄液の発泡抑制効果に及ぼす本発明の方法にお
けるスプレイ噴霧・液圧の影響を示す図である。
【符号の説明】
1 被処理材 2 スプレイ法による脱脂洗浄処理槽 3 脱脂洗浄処理用スプレイ配管 4 脱脂洗浄処理用スプレイノズル 5 脱脂洗浄処理槽における脱脂洗浄液の回収環流口 6 脱脂洗浄液の還流用配管 7 脱脂洗浄液補給槽 8 脱脂洗浄液 9 補給槽における脱脂洗浄液の液面 10 脱脂洗浄液の噴霧用スプレイノズル 11 脱脂洗浄液の供給配管 12 脱脂洗浄液の供給量調整用バルブ 13 脱脂洗浄液送給用ポンプ 14 脱脂洗浄液の流量調整用バルブ 15 脱脂洗浄液の流量調整用バルブ 16 脱脂洗浄処理槽への送給配管 17 噴霧用スプレイノズルの送給配管 18 液圧測定用圧力計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤永 実 福岡県北九州市戸畑区飛幡1番1号 新日 本製鐵株式会社八幡製鐡所内 (72)発明者 糸永 慎一 福岡県北九州市戸畑区飛幡1番1号 新日 本製鐵株式会社八幡製鐡所内 (72)発明者 武井 秀一 福岡県北九州市戸畑区飛幡1番1号 新日 本製鐵株式会社八幡製鐡所内 (72)発明者 宮腰 寿拓 福岡県北九州市戸畑区飛幡1番1号 新日 本製鐵株式会社八幡製鐡所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行する被処理材に付着した油脂分を水
    系脱脂洗浄液で除去する脱脂洗浄処理槽と該脱脂洗浄液
    を回収し再び循環供給する脱脂洗浄液補給槽からなる脱
    脂洗浄方法において、脱脂洗浄液補給槽の脱脂洗浄液液
    面下100mm以上の深さ位置に脱脂洗浄液の供給口を
    設けるとともに、この供給口から脱脂洗浄液補給槽の脱
    脂洗浄液液面上に設けたスプレイノズルに脱脂洗浄液を
    供給し、脱脂洗浄液補給槽の液面に0.1〜1.0Kg
    /cm2の液圧でスプレイ噴霧することを特徴とする油
    脂分の付着した被処理材の脱脂洗浄方法。
JP30339193A 1993-11-09 1993-11-09 油脂分の付着した被処理材の脱脂洗浄方法 Withdrawn JPH07126875A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001131789A (ja) * 1999-10-29 2001-05-15 Nisshin Steel Co Ltd 電気めっき鋼板の前処理方法および前処理装置

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