JP2939694B2 - ゲル化抑制剤及びそれを用いる金属洗浄方法 - Google Patents

ゲル化抑制剤及びそれを用いる金属洗浄方法

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JP2939694B2 JP31353493A JP31353493A JP2939694B2 JP 2939694 B2 JP2939694 B2 JP 2939694B2 JP 31353493 A JP31353493 A JP 31353493A JP 31353493 A JP31353493 A JP 31353493A JP 2939694 B2 JP2939694 B2 JP 2939694B2
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利正 濱井
浩行 三津橋
繁樹 古市
正 奈良
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属洗浄液用ゲル化抑制
剤及びそれを用いる金属洗浄方法に関し、更に詳しくは
洗浄液の発泡にともなう種々の弊害を防止するとともに
ゲル化を顕著に抑制し、長時間にわたる洗浄装置の安定
稼働を可能にするゲル化抑制剤及び金属洗浄方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】金属お
もに鋼板を洗浄する方法としては、従来、例えば冷間圧
延後の鋼板の洗浄では、浸漬、スプレー、ブラッシン
グ、電解洗浄等の工程を組み合わせて行う方法が使用さ
れており、これにより鋼板表面に付着した圧延油、鉄粉
又はこれらの反応生成物等が除去される。
【0003】このような洗浄方法においては、現在、図
1に示すような装置を用いて洗浄液を循環使用する方法
が一般的に用いられている。この装置では、洗浄槽1と
循環槽2の間で洗浄液3を循環させながら、鋼板4を洗
浄槽1内の洗浄液3中を通過させ(浸漬洗浄)、あるい
は洗浄槽1内を通過する鋼板4に接近させて電極を設け
る(電解洗浄)等して鋼板の洗浄を行う。しかしなが
ら、この方法によると洗浄液の循環流動中に空気の巻き
込み等により洗浄液が発泡し、気泡が系外に流出するこ
とにより、洗浄液原単位、排水処理性、更に作業環境性
等が悪化するなど、種々の問題が生じる。また電解洗浄
工程を有する場合、発生した気泡により電解電流密度の
低下が生じる場合もある。
【0004】このような発泡の原因は、主に洗浄液中に
含まれる界面活性剤、洗浄後蓄積する圧延油等が分解さ
れてできる脂肪酸石鹸によるものであるが、中でも、脂
肪酸石鹸による発泡が非常に大きく寄与している。これ
らの問題の対策として、洗浄槽もしくは循環槽の洗浄液
に継続的又は定期的に、あるいはスポット的に一定量の
高級アルコール等の消泡剤を直接添加する方法が提案さ
れている(特公昭60−56439号公報)。
【0005】しかし、洗浄液中に上記油中の不鹸化分、
未鹸化分、脂肪酸石鹸のような鹸化分、更には消泡剤と
して従来用いられてきた高級アルコール等が存在する
と、消泡性は良好であるものの、しばしば洗浄液がゲル
化してしまう。このゲル化は、上記不鹸化分の脂肪酸石
鹸によるミセルが高級アルコールの存在により膨大化す
ることに起因する。
【0006】こうして洗浄液がゲル化すると、ゲルが金
属上に付着したり、電解電流密度が低下したりすること
により洗浄性が低下し、更には洗浄液の増粘、固化等に
より装置内での洗浄液循環が不能となり操業停止に陥い
ることとなる。
【0007】そこで、金属洗浄液の発泡及びゲル化を抑
制し、洗浄性を低下させることなく、装置を長時間にわ
たり安定して稼働させ得る方法の開発が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み鋭意検討した結果、金属洗浄剤中に後述する特
定の高級アルコールを含有せしめることにより、洗浄液
の発泡を防止すると同時にゲル化を抑制し、装置を安定
して稼働させ得ることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0009】すなわち、本発明は、下記一般式(1) R1OH (1) (式中、R1 は炭素数14以上の飽和又は不飽和の炭化
水素基を示す)で表わされるアルコールを含有すること
を特徴とする金属洗浄液用ゲル化抑制剤を提供するもの
である。
【0010】本発明は、更に、洗浄液中に金属を浸漬す
る工程を有する金属洗浄方法において、該工程中に洗浄
液に上記ゲル化抑制剤を添加することを特徴とする金属
洗浄方法を提供するものである。
【0011】本発明に使用される前記一般式(1)で表
わされるアルコールの全炭素数は14以上であるが、そ
の上限は24以下であることが好ましい。全炭素数が8
〜13のものでは、洗浄液がゲル化しやすく、また8未
満では引火点が低く操作に危険を伴なう。アルコール
(1)は分岐鎖を有するものであることが特に好まし
い。アルコール(1)は一種のみでも、また二種以上を
混合して使用してもよい。
【0012】本発明においては、上記アルコール(1)
に加え、下記一般式(2) R2OH (2) (式中、R2 は炭素数8〜13の飽和又は不飽和の炭化
水素基を示す)で表わされるアルコールを使用すること
が更に発泡を抑制するうえで好ましい。上記アルコール
(2)は、R2 の炭素数が11〜13で、かつ分岐鎖を
有するものが特に好ましい。
【0013】本発明のゲル化抑制剤は、上記アルコール
のみからなるものであってもよいが、水溶液としても、
公知のアルカリ性金属洗浄液に含有させてもよい。
【0014】本発明におけるアルコール(1)とアルコ
ール(2)との使用割合は、重量比で5/5〜7/3で
あることが好ましい。本発明における上記アルコールの
金属洗浄液への添加量は0.05重量%(以下、単に
「%」という)以上、10%以下で使用することができ
る。好ましくは0.5〜5%である。0.05%未満で
は十分な効果が得られず、10%を超えると洗浄性が低
下してしまう。
【0015】本発明において洗浄に与かる金属は、図1
に示すような洗浄装置において搬送可能な金属板、特に
鋼板であることが好ましい。
【0016】本発明に使用される洗浄液としては、アル
カリ剤又は、アルカリ剤とキレート剤、界面活性剤との
混合液が挙げられる。アルカリ剤としては、例えば水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、又はケイ酸ナトリウ
ム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウム
塩等が一般的に用いられる。また、キレート剤として
は、例えばオキシカルボン酸、アルカノールアミン、ア
ミノカルボン酸等が用いられ、界面活性剤としては、ア
ニオン型、及びノニオン型界面活性剤が一般的に用いら
れる。使用されるアルカリ水溶液のアルカリ濃度は、洗
浄液中通常0.5〜10%である。
【0017】本発明の金属洗浄方法においては、例えば
図1に示すような洗浄液の循環使用が可能な装置を用
い、洗浄液3中に金属4を浸漬する工程に際し、戻り配
管6又は上下の洗浄液3中に本発明のゲル化抑制剤を添
加する。該ゲル化抑制剤は、循環槽2中の洗浄液にも添
加することができるが、特に戻り配管6中に添加するこ
とが好ましい。
【0018】
【発明の効果】本発明のゲル化抑制剤及びそれを用いる
金属洗浄方法により、洗浄液の発泡及びゲル化が顕著に
抑制され、洗浄性を低下させることなく、長時間にわた
り安定して装置を稼働させることができる。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 表1に記載のアルコール(1)〜(6)を下記条件によ
り洗浄液中に添加し、洗浄液のゲル化の発現し易さを調
べた。結果は、アルコールの洗浄液への添加量が5%以
上でもゲル化が発現しないものを○、3%以下で発現す
るものを△、1.5%以下で発現するものを×とした。
併せて表1に示す。
【0020】(試験条件) 滴下速度 :0.5g/min 、 攪拌機 :TKホモミキサー、8000rpm 、 温 度 :80℃、 洗浄液量 :400cm3 、 防錆油濃度:1.0%、 石鹸濃度 :1.0%、(+量論グリセリン) NaOH濃度 :2.0%
【0021】
【表1】
【0022】表1に示す結果より明らかなように、本発
明品((5)及び(6))は良好なゲル化抑制効果を示
すことがわかる。また、これらの消泡効果は、いずれも
アルコール無添加に比し良好なものであった。
【0023】なお、本発明品を洗浄液中に添加後、鋼板
を浸漬し、洗浄操作を行ったところ、長時間にわたりゲ
ル化が抑制され、洗浄性の低下をきたすことなく安定し
て装置を稼働させることができた。
【0024】実施例2 表2に組成を示すそれぞれの洗浄液に、表2に記載のそ
れぞれのアルコールを下記条件により添加した。なお、
アルコールの添加濃度は、各石鹸濃度+1%以内とし
た。
【0025】(試験条件) 滴下速度:0.5g/min 、 攪拌機 :TKホモミキサー、8000rpm 、 温 度 :80℃、 洗浄液量:400cm3 得られたそれぞれの洗浄液についてゲル化のし易さを観
察した。結果は以下の基準により評価した。併せて表2
に示す。
【0026】(評価基準) ○;ゲルが発現しない。 △;ゲル発現の可能性あり。 ×;ゲルが発現。
【0027】
【表2】
【0028】表2に示す結果より明らかなように、本発
明品は、特定の場合にゲル発現の兆候を示すものの、総
じて良好なゲル化抑制効果を示す。一方、比較品は防錆
油濃度又は石鹸濃度が極めて低い場合にゲル抑制効果を
示すが、このように低い濃度での上記効果は実質的には
意味のないものであることはいうまでもない。
【0029】なお、本発明品は、発泡抑制効果において
も良好なものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】洗浄液を循環使用する一般的な洗浄方法に用い
られる装置の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 洗浄槽 2 循環槽 3 洗浄液 4 鋼板 5 送り配管 6 戻り配管 7 循環ポンプ 8 仕切板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三津橋 浩行 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社 和歌山研究所内 (72)発明者 古市 繁樹 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 奈良 正 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23G 1/19

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) R1OH (1) (式中、R1 は炭素数14以上の飽和又は不飽和の炭化
    水素基を示す)で表わされるアルコールを含有すること
    を特徴とする金属洗浄液用ゲル化抑制剤。
  2. 【請求項2】 洗浄液中に金属を浸漬する工程を有する
    金属洗浄方法において、該工程中に洗浄液に請求項1記
    載のゲル化抑制剤を添加することを特徴とする金属洗浄
    方法。
JP31353493A 1993-12-14 1993-12-14 ゲル化抑制剤及びそれを用いる金属洗浄方法 Expired - Lifetime JP2939694B2 (ja)

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