JPH0712683Y2 - 合成樹脂製エアダクト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、自動車用エンジンの吸排気系に用いられる合
成樹脂製エアダクトに関する。

従来の技術 近年、ガラス容器に替わる食品や化粧品の容器用として
開発されたプラスチック中空成形技術は、自動車用の吸
排気ダクトにも採用されることが多くなってきている。

第４図は、加熱軟化させた熱可塑性パリソンに流体（空
気、水）を吹き込み、流体圧により自由膨張させるブロ
ー成形で得られた吸排気系の合成樹脂製エアダクトの一
例である。この合成樹脂製エアダクトは、成形中又は成
形直後で軟化状態にあるダクト本体１の所定位置に、イ
ンサート成形により金属製等のナット２を埋込んだ樹脂
製のボス部３が溶着してあり、ナット２へのボルト締込
みによってエンジン本体側に固定される。

考案が解決しようとする課題 この第４図に示される従来の合成樹脂製エアダクトの場
合、ボス部３が設けられるダクト本体１の表面がほぼ平
坦であるような場合は、ボス部３としては一様且つ強固
に望ましい形で溶着することができる。ところが、通
常、ダクト本体１は円形管状で曲面成形されることが多
く、ボス部３の溶着中にダクト本体１との間に未溶着空
所や巻き込まれた気泡によってボイド４が生じ易く、ボ
ス部３を十分な接合強度で成形することができないため
に、時にはダクト脱落などの不具合がある。

本考案の目的は、未溶着不良が発生せず、十分な接合強
度をもって溶着されるボス部付きの合成樹脂製エアダク
トを提供することにある。

問題点を解決するための手段 本考案による合成樹脂製エアダクトは、ダクト本体に溶
着される取付用のボス部に鍔状の溶着座を設け、この溶
着座の外側面が外方へ凸状に湾曲成形されている。

作用 ボス部が単体成形され、加熱により軟化されたダクト本
体がブロー成形法などで中空成形される。このダクト本
体がある程度軟化した状態にあるうちに、ダクト本体の
所定位置にボス部が溶着座の湾曲面を押し当てるように
して接合される。湾曲面を軟らかいダクト本体の表面に
押し付けることにより、ダクト本体の表面を外方へ放射
状に引っ張って凹状に拡張する力が作用し、ボス部の溶
着座はダクト本体に食い込みつつ一様且つ均一に密着し
た状態で溶着される。ダクト本体の固化に伴い、ボス部
は溶着座を介して強固に接合される。

実施例 以下、本考案による合成樹脂製エアダクトの実施例を図
面に基づいて説明する。

第１図において、例えばエルボ管状のダクト本体10の一
方端には図示しないエンジン本体側との接合用フランジ
11が設けられている。他方端近傍では例えば車体側に吊
って固定するための取付用のボス部20が溶着により一体
的に接合される。このボス部20は予め単体で成形され、
ダクト本体10と同一種または異種のプラスチック成形品
である。

第２図に示すように、ボス部20の中心部には金属製のナ
ット21がインサート成形により埋設されている。また、
ボス部20は鍔状の溶着座22を有する帽子形状に成形さ
れ、この溶着座22の外側面22aは凸状球面等による湾曲
加工がしてある。即ち、溶着座22の外側面22aはダクト
本体10側の溶着部位の外周曲面に対して、溶着初期の段
階で互いに凸状の曲面同士で接触することになる。

次に、成形に際して、金属製ナット21をインサート成形
によって埋込んだボス部20が単体成形される。加熱軟化
されたダクト本体10のパリソンをもって金型によりブロ
ー成形される。このダクト本体10の成形中又は成形直後
で軟化状態にあるうちに、ダクト本体10の溶着位置にボ
ス部20が圧着により溶着される。

即ち、第３図に示すように、圧着初期の段階では、ボス
部20の溶着座22とダクト本体10の溶着部位の外周表面と
は凸状の球面と曲面による逆の反りがあるので、溶着座
22の外側面22aがダクト本体10の表面にほぼ点接触的に
押し当てられる。この時、ボス部20の外側面22aが凸状
の球面であるために、圧着力によって外側面22aがダク
ト本体10に接触すると、凸状球面の作用でダクト本体10
には外方へ放射方向に拡張する引張力（図中矢印）が作
用し、軟らかいためにダクト本体10の溶着部位に球面凹
部が形成されつつボス部20が食い込む。また、ダクト本
体10は溶着面が外側へ放射状に引っ張られので、未溶着
部分が発生せず、ダクト本体10の表面との間で仮に気泡
が生じてもこれらは外側へ強制的に押し出されることに
なる。

その結果、ボス部20の溶着座22はダクト本体10の表面に
凹凸の接合関係で一様且つ均一に密着する。ダクト本体
10の固化に伴い、ボス部20は溶着座22を介して強固に接
合される。

このようにしてブロー成形された合成樹脂製エアダクト
は、ボス部20の金属製ナット21にてボルトをねじ込むこ
とによりエンジン側に固定される。

考案の効果 以上説明したように、本考案による合成樹脂製エアダク
トは、ダクト本体に溶着されるボス部側の溶着座の外側
面が凸状で球面等の湾曲成形がなされているために、ボ
ス部の圧着によりダクト本体の溶着部位に外方へ放射状
に拡張する引張力が作用する。従って、仮に溶着中に気
泡や未溶着部分が発生しても、これらが拡張引張力で放
射状に外側へ押し出される恰好となるので、ダクト本体
とボス部との溶着面間に密着し、未溶着空所の生じない
溶着強度の高い製品が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は、本考案による合成樹脂製エアダクト
の実施例を示し、第１図は全体斜視図、第２図はボス部
の断面図、及び第３図は溶着態様の断面図である。第４
図は従来のボス部溶着態様を示す断面図である。 10……ダクト本体、20……ボス部、21……金属製ナッ
ト、22……溶着座、22a……凸状球面による外側面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ダクト本体に溶着される取付用のボス部に
   鍔状の溶着座を設け、この溶着座の外側面を外方へ凸状
   に湾曲成形したことを特徴とする合成樹脂製エアダク
   ト。