JPH07126789A - 耐応力腐食割れ性に優れた高強度アルミニウム合金硬質板およびその製造方法 - Google Patents

耐応力腐食割れ性に優れた高強度アルミニウム合金硬質板およびその製造方法

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JPH07126789A
JPH07126789A JP30240493A JP30240493A JPH07126789A JP H07126789 A JPH07126789 A JP H07126789A JP 30240493 A JP30240493 A JP 30240493A JP 30240493 A JP30240493 A JP 30240493A JP H07126789 A JPH07126789 A JP H07126789A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 缶蓋材等として使用されるアルミニウム合金
硬質板として、耐応力腐食割れ性は5454合金並みに
優れ、強度は従来の5182合金並で、しかも強度異方
性が小さく、かつ成形性の良好なものを提供する。 【構成】 Mg2.0〜3.5%(重量%、以下同
じ)、Mn1.0%〜1.8%、Fe0.20%以下を
含有し、Mn+Feが1.8%以下で、残部がAlおよ
び不可避的不純物よりなり、かつ1μm以上のAl6
n析出物粒子の数が0.1mm2 あたり1000個以上
で、しかも270℃×20秒の塗装焼き付け処理後の耐
力が280N/mm2 以上であることを特徴とする、耐応
力腐食割れ性に優れた高強度アルミニウム合金硬質板。
また前記成分組成のAl合金板を製造するにあたり、鋳
造条件、鋳塊の均質化処理条件、最終冷間圧延条件を規
制した製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐応力腐食割れ性
(以下耐SCC性と記す)に優れ、かつ塗装焼き付け後
にも高強度を有し、成形性も良好なアルミニウム合金板
およびその製造方法に関し、特に缶の蓋材に好適に用い
られる材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビールや炭酸飲料用の内圧の高い缶の蓋
材には近年の薄肉化の傾向に伴い塗装焼き付け後の耐力
が300N/mm2以上の高強度材が要求され、5000
系アルミニウム合金の中でも5182合金のH18やH
38材が使われるようになってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、5182合金
は強度と成形性は優れるもののMg量を4.0〜5.0
%と多く含み、経時変化によりMgが粒界に析出し易い
合金であることから、内圧の高い状態で夏場の高温・高
湿度の倉庫のような腐食の発生しやすい環境に曝される
と、缶蓋スコアー部から応力腐食割れが発生して破壊す
るケースがしばしばあった。
【0004】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、強度・成形性を損なうことなく耐SCC性を
改善した、特に缶蓋用に好適に用いることのできるアル
ミニウム合金硬質板およびその製造方法を提供すること
を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するため、本発明者等が種々実験検討を重ねた結果、耐
SCC性に悪影響を与えるMgを減らす代りに、Mn量
を5182合金よりも増量させ、しかも鋳塊の均質化処
理においてAl6 Mn析出物を適度に析出させて、熱間
圧延上がり又は中間焼鈍後の中間材料の再結晶粒径を微
細化することによって、最終硬質板の強度・成形性を損
なうことなく耐SCC性を改善できることを見出し、こ
の発明をなすに至った。
【0006】具体的には、請求項1のMg2.0〜3.
5%(重量%、以下同じ)、Mn1.0%〜1.8%を
含有し、不純物としてのFeを0.20%以下に規制
し、Mn+Feが1.8%以下であり、Cr0.15%
以下(0%を含む)、V0.15%以下(0%を含
む)、Zr0.15%以下(0%を含む)のいずれか1
種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的
不純物よりなり、かつ粒径1μm以上のAl6 Mn析出
物粒子の数が0.1mm2 あたり1000個以上で、しか
も270℃×20秒の塗装焼き付け処理後の耐力が28
0N/mm2 以上であることを特徴とする、耐応力腐食割
れ性に優れた高強度アルミニウム合金硬質板。
【0007】また請求項2のMg2.0〜3.5%、M
n1.0%〜1.8%を含有し、不純物としてのFeを
0.20%以下に規制し、Mn+Feが1.8%以下で
あり、Cr0.15%以下(0%を含む)、V0.15
%以下(0%を含む)、Zr0.15%以下(0%を含
む)のいずれか1種または2種以上を含有し、残部がA
lおよび不可避的不純物よりなる合金を鋳造温度680
℃以上で鋳造速度40mm/分以上で鋳造し、得られた
鋳塊に500〜600℃の範囲内の温度で1〜48時間
の均質化処理を施して、粒径1μm以上のAl6 Mn粒
子を0.1mm2 あたり1000個以上析出させ、その後
圧延を施して所要の最終板厚とするにあたり、熱間圧延
を施し、必要に応じ適宜冷間圧延と中間焼鈍を施し、最
後に60%以上の冷間圧延を施すことを特徴とする、耐
応力腐食割れ性に優れた高強度アルミニウム合金硬質板
の製造方法 である。
【0008】
【作用】先ずこの発明における成分組成の限定理由につ
いて説明する。
【0009】Mg:Mgは強度向上に有効な元素である
が、耐SCC性を低下させる元素でもある。Mg量が
2.0%未満ではこの発明の用途である缶蓋材として強
度不足となり、一方3.5%を越えれば耐SCC性が悪
くなる。したがってMg量は2.0〜3.5%の範囲内
とした。
【0010】Mn:Mnは鋳造時に強制固溶されて、固
溶強化により強度向上に有効となるばかりでなく、鋳塊
に対する高温の均熱処理(均質化処理)によって析出す
るAl6 Mnが熱間圧延上がり又は中間焼鈍後の中間材
料における再結晶粒を微細化して、最終板の強度を向上
させるに有効に作用するとともに、強度異方性や耳率の
低減、エリクセン値の向上等、成形性の向上にも寄与す
る。但し、Mn量が1.0%未満ではMnの固溶量が不
充分で、高温の均熱処理により析出するAl6 Mn粒子
の数、大きさが充分ではなく、そのため熱間圧延上がり
又は中間焼鈍軟質化後の中間材料における再結晶粒を微
細化する効果が充分に得られず、最終板の強度・成形性
の向上が充分に図れなくなる。一方Mn量が1.8%を
越えればAl−Fe−Mn系の晶出物が粗大となって成
形性を阻害するおそれがある。したがってMn量は1.
0%〜1.8%とした。
【0011】Fe:Feは通常のアルミニウム合金にお
いて不純物として不可避的に含有される元素である。F
eが0.20%を越えれば、Al−Fe−Mn系の化合
物晶出物の数が増えてMn固溶量が減少し、強度向上を
図れなくなるとともに成形性を阻害するから、Feは
0.20%以下に規制することとした。また、Mn+F
eが1.8%を超えるとAl−Mn系の巨大金属間化合
物が生成して成形性を著しく阻害するのでMn+Feを
1.8%以下とした。
【0012】以上の各元素のほかは、基本的にはAlお
よびFe以外の不可避的不純物とすれば良い。
【0013】そのほか、強度向上のためにCr0.15
%以下(0%を含む)、V0.15%以下(0%を含
む)、Zr0.15%以下(0%を含む)のいずれか1
種または2種以上を含有させることも許容される。
【0014】なおFe以外の不可避的不純物としては、
Si,Zn,Cu等が含有されることがあるが、Siは
0.4%以下、Znは0.5%以下、Cuは0.3%以
下であれば、この発明の効果を損なうことはない。
【0015】また一般のアルミニウム合金においては、
鋳塊結晶組織の微細化のために、少量のTiを単独で、
あるいは少量のTiを微量のBもしくはCと組合せて添
加することがあるが、この発明の場合も必要に応じてこ
れらを添加しても良い。但し、Tiを単独で添加する場
合のTi量は0.20%以下、TiとBとを複合添加す
る場合のTi量は0.10%以下、Bは0.05%以
下、TiとCとを複合添加する場合のTi量は0.10
%以下、C量は0.05%以下とすることが望ましく、
これらの範囲内であれば特にこの発明の効果を損なうこ
とはない。また、鋳造時の溶湯酸化の防止のため、Be
を0.01%以下添加することも許容される。
【0016】請求項1の発明のアルミニウム合金硬質板
においては、前述のように成分組成を規定するのみなら
ず、Al6 Mn析出物の析出状態が重要である。すなわ
ちこの発明では耐SCC性に優れ塗装焼き付け後にも高
強度を有し、成形性の向上をも図ることを目的としてい
るが、そのためには、最終硬質板の状態で、粒径1μm
以上のAl6 Mn析出物が0.1mm2 あたり1000個
以上分散している状態とすることが必要である。この析
出状態を満たすAl6 Mn析出物は熱間圧延上がり又は
中間焼鈍軟質化後の中間材料における再結晶粒を微細化
する事によって、最終硬質板の塗装焼付処理(270℃
×20秒)後の耐力は280N/mm2 以上で高強度とな
りかつ絞り性、張出性等の成形性にも優れる。
【0017】Al6 Mn析出物の分布がこの析出状態を
満たさない場合には、熱間圧延上がり又は中間焼鈍軟質
化後の中間材料における再結晶組織が粒状と層状の混粒
となって、最終硬質板を塗装焼付処理した後の強度に異
方性が生じたり成形性が劣化してしまう。
【0018】なおここで、熱間圧延上がり又は中間焼鈍
後の中間材料において再結晶組織を微細化するために
は、その熱間圧延後の自己再結晶又は中間焼鈍での再結
晶処理直前の状態で前述のように1μm以上のAl6
n析出物が0.1mm2 あたり1000個以上存在するこ
とが必要であるが、最終硬質板の状態でAl6 Mn析出
物が上記の条件を満たしていれば、必然的に熱間圧延後
の自己再結晶又は中間焼鈍での再結晶処理直前の状態で
もその条件を満たすところから、請求項1の発明では最
終硬質板として、上記条件を規定した。
【0019】次に上述のようなアルミニウム合金板の製
造方法、すなわち請求項2の発明の製造方法について説
明する。
【0020】先ず前述のような成分組成の合金を鋳造す
る。鋳造方法自体は特に限定されるものではないが、A
l−Mn系の巨大金属間化合物の生成を防止するため
に、鋳造温度(スパウト直上の温度)を680℃以上、
定常状態における鋳造速度を40mm/分以上としたD
C鋳造法(半連続鋳造法)などによって鋳造する。
【0021】得られた鋳塊に対しては、均質化処理(均
熱処理)を施す。この均熱処理は、単に鋳塊組織を均一
化するのみならず、Al6 Mnを析出させるために重要
な工程である。すなわちこの発明では高温長時間の均熱
処理を施すことによって、1μm以上のAl6 Mn析出
物を0.1mm2 あたり1000個以上析出させ、これに
よって後の熱間圧延上がりまたは中間焼鈍軟質化処理後
の中間材料における再結晶粒を微細化させることによっ
て最終硬質板の塗装焼付処理後における所要の強度と良
好な成形性を得ることができる。ここで、均熱処理温度
が500℃未満または均熱処理時間が1時間未満ではA
6 Mn析出物の析出が不充分となり、一方均熱処理温
度が600℃を越えれば局部融解を生じてしまい、また
均熱処理時間が48時間を越えれば、Al6 Mn析出の
効果が飽和して経済性の点で問題が生じ、しかも表面の
酸化が進行して表面品質が悪くなる。したがって均熱処
理条件は、500〜600℃×1〜48時間の範囲内と
する必要がある。なおこのような均熱処理によって析出
したAl6Mn析出物は、その後のプロセスでマトリッ
クスに固溶してしまうことはなく、またそもそも微細で
あるため加工によって破砕されてそれ以上小径となって
しまうこともほとんどなく、したがって均熱処理段階で
1μm以上のAl6 Mn析出物を0.1mm2 あたり10
00個以上析出させておけば、熱間圧延上がり又は中間
焼鈍での中間材料の再結晶処理時においてもAl6 Mn
析出物は同じ条件を満たすことができる。
【0022】均質化処理後には熱間圧延を行なう。この
熱間圧延開始温度は、従来のAl−Mg系合金と同様で
あれば良く、通常は400〜550℃とする。なおこの
熱間圧延を行なうにあたっては、均熱処理後、一旦冷却
してから400〜550℃に再加熱しても良く、あるい
は均熱処理後再加熱することなく、400〜550℃の
状態から熱間圧延を施しても良い。
【0023】熱間圧延終了後の板は、1.その熱延板の
ままで、2.あるいは熱間圧延後に中間焼鈍を施し、
3.あるいは熱間圧延後適度な冷間圧延を施してから中
間焼鈍を施す、のいずれかの状態で、最後に60%以上
の冷間圧延を施して硬質板とする。
【0024】ここで、最終の冷間圧延前が熱延板のまま
の場合には、高温でコイルとして巻き付けることによる
自己再結晶した状態が好ましく、熱間圧延後に中間焼鈍
を施し完全再結晶させた状態がさらに好ましく、熱間圧
延後適度な冷間圧延を施してから中間焼鈍を施し完全微
細再結晶させた状態が最も好ましい。中間焼鈍を施す場
合、通常の連続焼鈍方式、バッチ焼鈍方式のいずれでも
構わないが、再結晶粒微細化や生産性の点で連続焼鈍方
式の方が好ましい。連続焼鈍方式の場合は、昇温速度1
℃/秒以上、450〜600℃の温度範囲内に120秒
以下の保持、降温速度1℃/秒以上とし、バッチ焼鈍方
式の場合は昇温速度20℃/時間、300〜450℃の
温度範囲内に1〜10時間の保持、降温速度20℃/時
間の条件が一般的である。
【0025】なお最終の冷間圧延は塗装焼付後に所要の
強度を得るために60%以上が必要である。この冷間圧
延によって得られた硬質板は、このまま缶蓋等の用途に
供してもよいが、塗装焼付後の強度低下をより少なく押
さえるためさらに100〜200℃で30分〜10時間
程度の最終熱処理を施しても構わない。缶蓋の塗装焼付
処理は180〜400℃で5〜1800秒程度の条件で
行われるのが一般的である。以上、缶蓋の例で説明して
きたが、本発明の硬質板は、塗装焼付等の熱処理後にも
耐SCC性と強度と成形性が必要とされる、ブラインド
等他の用途にも好適に適用される。
【0026】
【実施例】表1の合金符号A〜Cに示される合金につい
て、常法に従ってDC鋳造法(半連続鋳造法)により鋳
造温度(スパウト直上の温度)705℃、鋳造速度60
mm/分で鋳造し、厚さ460mm、幅1200mm、長さ3
000mmの鋳塊を得た。得られた鋳塊に対し、表2の製
造条件No.1〜No.6に示すような種々の条件で均
熱処理(均質化処理)、熱間圧延前予備加熱、熱間圧延
を施して、厚さ2.0〜4.0mmの圧延板とした。その
後適宜、冷間圧延と中間焼鈍を施して板厚0.3mmの最
終硬質板とした。なお、表中には示さなかったが、製造
条件No.3は熱間圧延上がりのコイル巻取り直前の温
度が320℃になっており、最終冷間圧延前に調べたと
ころ自己焼鈍により再結晶していた。
【0027】均熱処理直後、1μm以上のAl6 Mn析
出物の0.1mm2 あたりの数を調べ、その結果を表2中
に併せて示す。
【0028】また、最終硬質板に対し、塗装焼付に相当
する熱処理として、オイルバスによる270℃×20秒
の熱処理を施し、この熱処理後の板について1μm以上
のAl6 Mn析出物の0.1mm2 あたりの数や、引張試
験によるL方向耐力およびL方向耐力と45°方向耐力
の差である強度異方性について調べ、その結果を表3に
示す。強度異方性が大きいと蓋の外形を打ち抜く際に充
分な真円度が得られなかったり、蓋にタブを取り付けて
リベット部を形成する際にリベット部に充分な真円度が
得られなかったり、蓋を缶胴に取り付けた後に圧力を加
えた場合45°方向からバックリングが生じる恐れがあ
る。また、上記の塗装焼付に相当する熱処理を施した板
に対し、ダイス直径32.84mm、ポンチ直径32.0
mm、ブランク直径58.0mmの条件で耳率を、またJI
S Z 2247 エリクセン試験A法によりエリクセ
ン値を調べた。結果を表3に併せて示す。さらに耐SC
C性については、上記の塗装焼付に相当する熱処理を施
した板に対し、約10年間のMg2 Al3 の変化に相当
する120℃×7日間の熱処理を施すことによってSC
C感受性を高めた厳しい状態で調べた。このSCC試験
は、NaCl水溶液中での単軸引張による応力付加を行
なうとともに、耐SCC性を比較的短時間で評価するた
めに試験片に直流5mA/cm2 の電流を流すことで粒界腐
食を促進させる方法、すなわち電流付加単軸引張方式で
行なった。なお付加応力はSCC感受性を高める処理を
行った後の各材料の耐力の80%とし、試験片の破断寿
命を調べると共に、走査型電子顕微鏡により破断部の破
壊様式を観察して総合的に耐SCC性を評価した。これ
らの結果も表3に併せて示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】以上の実施例において製造条件No.5
は、従来多用されている高強度缶蓋材である5182合
金に相当する合金符号Bの合金を用いて、従来の一般的
な製造プロセスを適用して製造した例である。また製造
条件No.6は、厳しい条件下においてもSCCを生じ
ないことで知られている5454合金に相当する合金符
号Cの合金を用いて、従来の5182合金の一般的な製
造プロセスを適用して製造した例である。そこで実施例
においてもこの製造条件No.5によって得られた51
82合金相当材を強度および成形性の基準とし、製造条
件No.6によって得られた5454相当合金の材料を
耐SCC性の基準として評価した。
【0033】製造条件No.1〜No.3の材料は、い
ずれも成分組成および製造プロセスの両者がこの発明で
規定する条件を満たすものであり、これらはNo.5の
5182相当合金の従来例と比較して、L方向耐力、強
度異方性、耳率、エリクセン値等の強度、機械的性質は
同等かそれ以上に優れたものであった。一方、耐SCC
性は製造条件No.6の5454相当合金の比較例と比
べSCC破断寿命は同等で、破断面の観察においても比
較例と同等なディンプル破面の延性破壊を呈し、SCC
は起こらないことを示していた。
【0034】一方製造条件No.4の材料は、この発明
で規定する成分組成範囲内の合金Aを用いてはいるが、
均質化処理温度がこの発明で規定する下限よりも低い場
合の比較例であり、この場合は均質化処理温度が低いた
め1μm以上の大きさのAl6 Mn析出物が得られず、
中間焼鈍で再結晶遅れが生じて、層状と粒状の混粒組織
となったため、強度異方性、耳率、エリクセン値等が劣
化してしまった。一方、耐SCC性は、この発明で規定
する成分組成範囲内であるので、製造条件No.1〜3
および6の5454相当合金と同等に優れていた。
【0035】
【発明の効果】前述の実施例からも明らかなように、こ
の発明によれば、耐応力腐食割れ性については、従来か
ら耐応力腐食割れ性が良好であることが知られている5
454合金並みに優れていて厳しい使用環境下でも応力
腐食割れのおそれがなく、しかも強度については518
2合金並の高強度を有するとともに強度異方性が小さ
く、かつ成形性の良好なアルミニウム合金硬質板を得る
ことができる。
【0036】従って、この発明によるアルミニウム合金
硬質板を内圧の高いビール用や炭酸飲料用で耐応力腐食
割れ性が要求される缶蓋材に使用することによって、従
来よりも薄肉化を図って、缶重量の軽量化および材料コ
ストの低減を図ることができる。なおこの発明のアルミ
ニウム合金硬質板は、缶蓋以外のブラインド材などにも
使用できることは勿論である。さらに、中間焼鈍のまま
の中間材料は、自動車の車体(インナーおよびアウタ
ー)や足廻り部材等に使用できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg2.0〜3.5%(重量%、以下同
    じ)、Mn1.0%〜1.8%を含有し、不純物として
    のFeを0.20%以下に規制し、Mn+Feが1.8
    %以下であり、Cr0.15%以下(0%を含む)、V
    0.15%以下(0%を含む)、Zr0.15%以下
    (0%を含む)のいずれか1種または2種以上を含有
    し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつ粒
    径1μm以上のAl6 Mn析出物粒子の数が0.1mm2
    あたり1000個以上で、しかも270℃×20秒の塗
    装焼き付け処理後の耐力が280N/mm2 以上であるこ
    とを特徴とする、耐応力腐食割れ性に優れた高強度アル
    ミニウム合金硬質板。
  2. 【請求項2】 Mg2.0〜3.5%、Mn1.0%〜
    1.8%を含有し、不純物としてのFeを0.20%以
    下に規制し、Mn+Feが1.8%以下であり、Cr
    0.15%以下(0%を含む)、V0.15%以下(0
    %を含む)、Zr0.15%以下(0%を含む)のいず
    れか1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不
    可避的不純物よりなる合金を鋳造温度680℃以上で鋳
    造速度40mm/分以上で鋳造し、得られた鋳塊に50
    0〜600℃の範囲内の温度で1〜48時間の均質化処
    理を施して、粒径1μm以上のAl6 Mn粒子を0.1
    mm2 あたり1000個以上析出させ、その後圧延を施し
    て所要の最終板厚とするにあたり、熱間圧延を施し、必
    要に応じ適宜冷間圧延と中間焼鈍を施し、最後に60%
    以上の冷間圧延を施すことを特徴とする、耐応力腐食割
    れ性に優れた高強度アルミニウム合金硬質板の製造方
    法。
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