JPH07124837A - 板ガラスの位置決め方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高精度の板ガラス製品のエッジング及びベベ
リングといった加工ができるよう、板ガラスの搬送にお
ける位置決め精度を向上させ、かつ板ガラス表面に傷を
つけることがなく、好ましくは加工のＮＣ化できるよう
な、板ガラスの位置決め方法及び装置を提供。 【構成】 テーブル７に多数の空気吹き出し口６を設
け、そこから噴出する空気により板ガラス８を浮遊させ
させるテーブル装置20と、板ガラス８端面を２方向に押
し付けテーブル上を移動させる移動部材である制御棒３
と、を有する板ガラスの位置決め装置及び方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、板ガラスのエッジング
（こば磨き）、ベベリング（面取り）及び孔あけ等の加
工における加工機械への板ガラスの位置決め方法及び装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】板ガラスの位置決め方法は、テーブル上
を制御棒又は制御板で押して移動させストッパに当てて
位置決めする方法と、板ガラスを吊上げ移動する方法
と、２種類に大別することができる。前者の移動方法と
して、ローラによって移動する方法あるいはベルトコン
ベアによって移動する方法などがあって、大きな板ガラ
スの搬送が容易にできる反面、搬送による位置決めを正
確に制御し難いこと、更にローラ上あるいはベルト上に
付着するガラス破片などのゴミによって、移動する板ガ
ラス表面にすり傷を付け易い欠点があった。テーブルに
多数の空気吹き出し口を設け、そこから噴出する空気に
よりガラスを浮遊させて移動する方法は対象物が小さ
く、大きさが比較的一定している液晶板等を非接触で移
動し所望の位置まで送ることは知られているが、従来板
ガラスを制御棒又は制御板で押して移動させ位置決めす
るときに多数の空気吹き出し口を設けたテーブルを利用
することはなかった。

【０００３】後者の板ガラスを吊上げ移動する方法とし
て、板ガラス表面の平滑度が良いことを利用して吸盤な
どで吸付け吊上げ移動する方法等があって、板ガラスの
移動方向の制御が容易にできる反面、吊上げ重量に制限
され易く大きな板ガラスの搬送に不向きであること、更
に吸盤に吸付ける際に吸盤自体の弾性に起因する位置づ
れが生じ易く、位置決め精度にばらつきが発生し易い欠
点があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来、板ガラスの加工
において、位置決め精度が特に要求されなかった理由
に、エッジング及びベベリング加工の前加工である折割
（破断）加工の精度が悪いことが挙げられた。この折割
加工は所定形状、寸法に板ガラスを形成する加工である
が、ガラス表面に傷を付けることによって発生するクラ
ックを起点に荷重等を加えることで目的の形状にガラス
を割る加工であり、クラックの伝播の方向によっては、
所定の形状、寸法通りにならないこともある。したがっ
て、エッジング及びベベリング加工は板ガラスの形状、
寸法に沿って加工する倣加工が主流となっていた。しか
し、近年ガラス製品においても高精度化が要求されるよ
うになったこと、あるいは加工中に発生する粉塵および
振動などのある作業環境から作業従事者を極力少くする
必要が生じていることなどから加工のＮＣ化がはかられ
るようになっている。加工のＮＣ化に当っては、前述の
折割加工における加工精度も当然必要となってくるが、
それ以上に板ガラスの搬送における位置決め精度の向上
が大きな課題となってきた。

【０００５】前述した板ガラスの押して移動させる搬送
方法では位置決め精度に関して問題があり、例えばロー
ラあるいはベルトコンベア上で移動する方法では進行方
向に対する位置決めは制御可能であるが、進行方向に垂
直方向の位置決めの制御は難しくなる欠点があった。又
吸盤などを利用して吊上げる方法では、吸付きを良くし
吊上重量を大きくするために吸盤にゴムあるいは軟質樹
脂を使用するが、吸付き時生じる吸盤の変形により把持
位置がずれ、繰返し精度に劣る欠点があった。本発明の
課題は、高精度の板ガラス製品のエッジング及びベベリ
ングといった加工ができるよう、板ガラスの搬送におけ
る位置決め精度を向上させ、かつ板ガラス表面にすり傷
を付けることがなく、好ましくは加工のＮＣ化できるよ
うな、板ガラスの位置決め方法及び装置を提供すること
にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このため本発明は、特許
請求の範囲記載の板ガラスの位置決め方法及び装置を提
供することによって上述した従来技術の課題を解決し
た。

【０００７】

【実施例】以下添付した本発明の各実施例板ガラスの位
置決め装置の俯瞰図をそれぞれ示す図１乃至図３に基づ
きこの発明を詳細に説明する。図１では、テーブル７に
多数の空気吹き出し口６を設け、そこから噴出する空気
により板ガラス８を浮遊させるテーブル装置20と、板ガ
ラス８端面を２方向に押し付けテーブル上を移動させる
移動部材である制御棒３と、を有する板ガラスの位置決
め装置が示されている。この装置を使用すると、テーブ
ル７の縁部隆起部21の１部を位置決め基準面１、２と
し、制御棒３で板ガラス８の端面を押し当て、位置決め
する方法であり、原点Ｇが常に一定位置になる利点があ
る。

【０００８】図２は４方向から移動部材である制御棒３
および制御板４を板ガラス８の端面に押し当てることに
より位置決めする方法を示し、任意の位置に位置決めで
きる利点がある。そして図３では、板ガラスの形状が曲
線形状になっている場合の位置決め方法であり、２方向
から板ガラス形状に合せた制御板15を板ガラス18の端面
に押し当て位置決めする方法であり、曲線形状の板ガラ
ス18でも所定の位置に位置決めできる利点がある。本発
明に係る位置決め方法によると上述のごとく板ガラス形
状に合せた制御棒および制御板の組み合せにより、任意
の位置で板ガラスの位置決めが可能となった。

【０００９】テーブル上に置いた板ガラスを移動部材な
どで押し当てる力は小さければ小さい程位置精度を制御
し易くなる。そこで本発明ではテーブル７に多数の空気
吹き出し口６を設け、そこから噴出する空気により板ガ
ラス８、18に浮力を与えることによって板ガラスの位置
決めのための調整移動を容易にできるようにした。図４
は図２のＡ−Ａ線に沿った断面図であり、搬送装置のテ
ーブル７上に穿孔した空気噴出口６から吹き出す空気圧
により板ガラス８が浮上している状態を示す。

【００１０】板ガラス８、18を浮上させることで、板ガ
ラスの位置決めのために制御板４で押し当てる力は僅か
で済むため、位置制御自体がやり易くなること、あるい
は移動部材である制御棒および制御板等も剛性が必要で
ないためコンパクト化、軽量化できることによって移動
部材の移動距離（ストローク）も大きく取れることか
ら、板ガラスの大きさの変化にも対応し易いことなど多
くの利点がある。板ガラスの浮上により、板ガラスの移
動中にテーブルに接触することが無く、板ガラスの品位
を落す原因となる擦り傷の発生も防止でき、更にテーブ
ル表面に例えば表面をフッ素加工した樹脂膜９を敷き詰
めることによって、テーブル表面へのごみ付着防止と洗
浄をし易くすると共に、噴出している空気を止め板ガラ
スをテーブル上に固定する場合の緩衝材として作用させ
ることもできる。

【００１１】図５及び図６は本発明に係る位置決め装置
の異なる実施例の倣瞰図を示す。空気圧により、浮上し
た板ガラス８を制御棒３および制御板４で位置決めした
状態で、図５では搬送装置であるロボット22のアーム1
1、及び吸盤10からなる搬送装置によって、吸盤10で板
ガラス８を吸引固定しアーム11によって板ガラス８を移
動する装置である。図６では空気圧により浮上した板ガ
ラス８を移動部材である制御棒３及び制御板４、及び位
置決めピン12によって位置決めした状態で、直交軸方向
搬送装置である走行アーム13に支持された吸盤10を使用
し板ガラス８を吸引固定する。位置決めピン12を図示し
ない装置で下降させ、移動方向（矢印方向）に障害物が
無い状態で走行アーム13が移動し板ガラス８を所定の位
置へ搬送する。板ガラス搬送中は、テーブル17上にある
空気吐出穴６から空気を吹き出すことによって板ガラス
８に浮力を与え、吸盤などの搬送装置にかかる板ガラス
重量を軽減する。

【００１２】したがって板ガラスの厚みが同一であれば
板ガラスの大小にかかわらず吸盤などの搬送装置に加わ
る荷重は一定となり、板ガラスの大小によって吸盤の数
あるいは吸盤の吸引力を変える必要がない利点があると
ともに吸盤の吸引力も高くする必要がない。又高い吸引
力を維持するために板ガラスと吸盤の密着性を上げる必
要があり、その為吸盤に使用するゴムなどは軟質ゴムに
する場合が多いが、本発明に係る搬送方法では板ガラス
を吊上げる力はほとんど不用であり、吸盤に使用するゴ
ムなども硬質のものが使用できる。この硬質ゴムなどの
使用により板ガラスを吸引固定時に生じ易い吸盤の変形
が防止でき、板ガラス吸引による位置ずれが防止できる
利点もあり、板ガラスの搬送における位置精度の向上が
できる。移動部材である制御棒３、制御板４、及び搬送
装置である走行アーム13をＮＣ制御することにより、高
精度の板ガラス製品のエッジング及びベベリングといっ
た加工をＮＣ制御することができるようになった。

【００１３】

【発明の効果】本発明は、高精度の板ガラス製品のエッ
ジング及びベベリングといった加工ができるよう、板ガ
ラスの搬送における位置決め精度を向上させかつ板ガラ
ス表面にすり傷を付けることがない板ガラスの位置決め
方法及び装置を提供するものとなった。長さ1500mm、幅
600mm 、厚さ10mmの板ガラスを本発明にもとづく位置決
め装置のテーブル上に乗せ、本発明による位置決め方法
により板ガラスの位置を固定しその位置から３ｍ移動さ
せた場合の位置決め精度を繰返し測定した結果、板ガラ
スの中心位置および４コーナの位置ずれは狙いの位置か
ら0.1mm 以下のずれであり優れた繰返し精度を示した。
好ましくは、移動部材又は直交軸方向搬送装置をＮＣ制
御することにより、高精度の板ガラス製品のエッジング
及びベベリングといった加工をＮＣ制御することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例板ガラスの位置決め装置の
俯瞰図。

【図２】本発明の第２実施例板ガラスの位置決め装置の
俯瞰図。

【図３】本発明の第３実施例板ガラスの位置決め装置の
俯瞰図。

【図４】図２のＡ−Ａ線に沿った断面図。

【図５】本発明の第４実施例板ガラスの位置決め装置の
俯瞰図。

【図６】本発明の第５実施例板ガラスの位置決め装置の
俯瞰図。

【符号の説明】

３．．制御棒（移動部材） ４、５、15．．制御板（移動部材） ６．．空気吹き出し口 ７．．テーブル ８、18．．板ガラス 13．．走行アーム（直交軸方向搬送装置） 20、23、24．．テーブル装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前坪 義隆 富山県富山市石金20番地 株式会社不二越 内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 テーブルに多数の空気吹き出し口を設
   け、そこから噴出する空気により板ガラスを浮遊させ又
   は板ガラス重量を軽減させた状態において、１又は多方
   向から移動部材を板ガラス端面に押し付け前記テーブル
   上を移動させることによって板ガラスを位置決めするこ
   とを特徴とする板ガラスの位置決め方法。
2. 【請求項２】 前記噴出する空気により浮遊させ又は板
   ガラス重量を軽減させたた状態の板ガラスを前記テーブ
   ルの上方に設けた吸盤を有する搬送装置で吸付け移動す
   ることによって板ガラスを位置決めすることを特徴とす
   る請求項１記載の板ガラスの位置決め方法。
3. 【請求項３】 テーブルに多数の空気吹き出し口を設
   け、そこから噴出する空気により板ガラスを浮遊させ又
   は板ガラス重量を軽減させるテーブル装置と、前記板ガ
   ラス端面を１又は多方向に押し付け前記テーブル上を移
   動させる移動部材と、を有することを特徴とする板ガラ
   スの位置決め装置。
4. 【請求項４】 前記噴出する空気により浮遊させ又は板
   ガラス重量を軽減させたた状態の板ガラスを吸着して移
   動位置決めする前記テーブルの上方に設けた吸盤を有す
   る搬送装置と、前記テーブル上に前記板ガラスの重量又
   は噴出する空気圧などによって変動する板ガラスの浮遊
   高さを吸収する緩衝機構と、を有することを特徴とする
   請求項３記載の板ガラスの位置決め装置。
5. 【請求項５】 前記移動部材又は吸盤を有する直交軸方
   向搬送装置の少なくとも１つは、ＮＣ制御できるように
   されたことを特徴とする請求項３又は請求項４記載の板
   ガラスの位置決め装置。