JPH0712229A - ピストンリング材 - Google Patents
ピストンリング材Info
- Publication number
- JPH0712229A JPH0712229A JP15850193A JP15850193A JPH0712229A JP H0712229 A JPH0712229 A JP H0712229A JP 15850193 A JP15850193 A JP 15850193A JP 15850193 A JP15850193 A JP 15850193A JP H0712229 A JPH0712229 A JP H0712229A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weight
- piston ring
- ring
- resistance
- wear resistance
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- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 疲労強度が高く、耐摩耗性、耐焼付性および
耐腐食摩耗性に優れたピストンリング材を提供する。 【構成】 Cを0.7〜0.8重量%、Siを1.2〜
1.8重量%、Mnを0.3〜0.8重量%、Crを
0.3〜0.8重量%、Moを0.1〜0.2重量%お
よびVを0.3〜0.8重量%含有し、残部Feおよび
不可避的不純物からなっている。
耐腐食摩耗性に優れたピストンリング材を提供する。 【構成】 Cを0.7〜0.8重量%、Siを1.2〜
1.8重量%、Mnを0.3〜0.8重量%、Crを
0.3〜0.8重量%、Moを0.1〜0.2重量%お
よびVを0.3〜0.8重量%含有し、残部Feおよび
不可避的不純物からなっている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は往復動内燃機関に使用さ
れるピストン部品のうち、特にセカンドリングとして好
適に使用される材料に関するものである。
れるピストン部品のうち、特にセカンドリングとして好
適に使用される材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】往復
動内燃機関、例えば自動車エンジンに使用されるピスト
ンリングは、従来の鋳鉄製から鋼製平線をリング状に加
工した、いわゆるスチールピストンリングへの移行が進
んでいる。これはエンジンの高速化、高出力化要求に対
応するためのピストンリングの軽量化や機械的強度の向
上要求に基づくものであり、さらにピストンリング製造
工程の大幅短縮もその背景にある。
動内燃機関、例えば自動車エンジンに使用されるピスト
ンリングは、従来の鋳鉄製から鋼製平線をリング状に加
工した、いわゆるスチールピストンリングへの移行が進
んでいる。これはエンジンの高速化、高出力化要求に対
応するためのピストンリングの軽量化や機械的強度の向
上要求に基づくものであり、さらにピストンリング製造
工程の大幅短縮もその背景にある。
【0003】ところで、スチールピストンリングの適用
は、高負荷環境にあるトップリングやオイルリングにお
いて先行しており、その材質としては、高炭素鋼、Si
−Cr鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼が使用されて
いる。しかし、比較的負荷の少ないセカンドリングにつ
いては、依然としてFC25のような鋳鉄が使用されて
いるのが現状である。
は、高負荷環境にあるトップリングやオイルリングにお
いて先行しており、その材質としては、高炭素鋼、Si
−Cr鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼が使用されて
いる。しかし、比較的負荷の少ないセカンドリングにつ
いては、依然としてFC25のような鋳鉄が使用されて
いるのが現状である。
【0004】ところが、最近ではエンジンの高性能化に
対応するため、セカンドリングにも優れた疲労強度を要
求されるようになっている。しかし、上記したFC25
クラスの鋳鉄では疲労強度が不十分なため、係る要求に
十分に対応することができない。
対応するため、セカンドリングにも優れた疲労強度を要
求されるようになっている。しかし、上記したFC25
クラスの鋳鉄では疲労強度が不十分なため、係る要求に
十分に対応することができない。
【0005】そこで、セカンドリングもスチール化を図
り、鋳鉄リングより機械的強度を向上し且つ軽量化を達
成しようとする試みがなされている。この場合に考慮す
べき点として、セカンドリングはトップリングほど過酷
な使用環境ではないが、同じ摺動部材として耐摩耗性、
耐焼付性を具備することが基本原則であって、特に、有
鉛ガソリンエンジン、ターボチャージャー付ガソリンエ
ンジンおよびディーゼルエンジン等のように比較的厳し
い条件で使用されるセカンドリングに対しては、特に優
れた耐摩耗性、耐焼付性、耐腐食摩耗性および高疲労強
度が要求される。このため、合金元素を添加し且つ浸炭
窒化処理等の表面処理が施されることが多い。しかし、
浸炭窒化処理時には、500℃前後の熱が素材であるピ
ストンリングに加わるため、リングそのものの硬度が低
下するという不都合な点があり、厳しい要求特性を十分
に満足することができなかった。
り、鋳鉄リングより機械的強度を向上し且つ軽量化を達
成しようとする試みがなされている。この場合に考慮す
べき点として、セカンドリングはトップリングほど過酷
な使用環境ではないが、同じ摺動部材として耐摩耗性、
耐焼付性を具備することが基本原則であって、特に、有
鉛ガソリンエンジン、ターボチャージャー付ガソリンエ
ンジンおよびディーゼルエンジン等のように比較的厳し
い条件で使用されるセカンドリングに対しては、特に優
れた耐摩耗性、耐焼付性、耐腐食摩耗性および高疲労強
度が要求される。このため、合金元素を添加し且つ浸炭
窒化処理等の表面処理が施されることが多い。しかし、
浸炭窒化処理時には、500℃前後の熱が素材であるピ
ストンリングに加わるため、リングそのものの硬度が低
下するという不都合な点があり、厳しい要求特性を十分
に満足することができなかった。
【0006】本発明は従来の技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、疲労
強度が高く、耐摩耗性、耐焼付性および耐腐食摩耗性に
優れたピストンリング材を提供することにある。
題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、疲労
強度が高く、耐摩耗性、耐焼付性および耐腐食摩耗性に
優れたピストンリング材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の要旨は、Cを0.7〜0.8重量%、Siを
1.2〜1.8重量%、Mnを0.3〜0.8重量%、
Crを0.3〜0.8重量%、Moを0.1〜0.2重
量%およびVを0.3〜0.8重量%含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなることを特徴とするピスト
ンリング材にある。
に本発明の要旨は、Cを0.7〜0.8重量%、Siを
1.2〜1.8重量%、Mnを0.3〜0.8重量%、
Crを0.3〜0.8重量%、Moを0.1〜0.2重
量%およびVを0.3〜0.8重量%含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなることを特徴とするピスト
ンリング材にある。
【0008】
【作用】本発明における各添加元素の範囲限定理由は以
下の通りである。Cは固溶強化に寄与し、また炭化物を
形成して耐摩耗性を付与するために重要な元素であり、
0.7重量%以上必要であるが、多すぎると平線の加工
性やリングへの加工が困難になるので、0.8重量%以
下とするのが好ましい。Siは脱酸剤として1.2重量
%以上必要であるが、多すぎると冷間加工性を害するだ
けでなく、熱伝導率を低下させることによる摺動時の接
触面の昇温を助長し、耐焼付性を害するため、1.8重
量%以下とするのが好ましい。MnはSiと同様に脱酸
剤として0.3重量%以上必要であるが、多すぎると熱
間加工性を害するので、0.8重量%以下とするのが好
ましい。Crは炭化物を形成し、耐摩耗性向上に寄与す
るとともに、基地に固溶して軟化抵抗を高め、エンジン
稼働中の昇温によるヘタリ防止に効果がある。また、焼
入性を確保し、十分な熱処理硬さを得るためにも必要で
あり、さらに、窒化処理により窒素と結びついて硬い窒
化物を形成し、耐摩耗性、耐焼付性を向上させる。以上
の理由により、Crは0.3重量%以上必要である。し
かし、多すぎると脆くなるので、0.8重量%以下とす
るのが好ましい。Moは炭化物形成元素で耐腐食摩耗性
を向上するため、0.1重量%以上必要であるが、多す
ぎると靱性が劣化するので、0.2重量%以下とするの
が好ましい。Vは硬質炭化物形成元素で耐摩耗性を向上
するため、0.3重量%以上必要であるが、多すぎると
靱性が劣化するので、0.8重量%以下とするのが好ま
しい。
下の通りである。Cは固溶強化に寄与し、また炭化物を
形成して耐摩耗性を付与するために重要な元素であり、
0.7重量%以上必要であるが、多すぎると平線の加工
性やリングへの加工が困難になるので、0.8重量%以
下とするのが好ましい。Siは脱酸剤として1.2重量
%以上必要であるが、多すぎると冷間加工性を害するだ
けでなく、熱伝導率を低下させることによる摺動時の接
触面の昇温を助長し、耐焼付性を害するため、1.8重
量%以下とするのが好ましい。MnはSiと同様に脱酸
剤として0.3重量%以上必要であるが、多すぎると熱
間加工性を害するので、0.8重量%以下とするのが好
ましい。Crは炭化物を形成し、耐摩耗性向上に寄与す
るとともに、基地に固溶して軟化抵抗を高め、エンジン
稼働中の昇温によるヘタリ防止に効果がある。また、焼
入性を確保し、十分な熱処理硬さを得るためにも必要で
あり、さらに、窒化処理により窒素と結びついて硬い窒
化物を形成し、耐摩耗性、耐焼付性を向上させる。以上
の理由により、Crは0.3重量%以上必要である。し
かし、多すぎると脆くなるので、0.8重量%以下とす
るのが好ましい。Moは炭化物形成元素で耐腐食摩耗性
を向上するため、0.1重量%以上必要であるが、多す
ぎると靱性が劣化するので、0.2重量%以下とするの
が好ましい。Vは硬質炭化物形成元素で耐摩耗性を向上
するため、0.3重量%以上必要であるが、多すぎると
靱性が劣化するので、0.8重量%以下とするのが好ま
しい。
【0009】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。供試材の
化学成分(重量%)は以下の表1に示すようにした。
化学成分(重量%)は以下の表1に示すようにした。
【0010】
【表1】
【0011】なお、No1、2の本発明材とNo3、4
の比較材は、溶製、鍛伸後、焼き入れ−焼き戻し処理
(850℃−450℃)を行い、硬度をHR C ≒55に
調製した。そして、引き続き、500℃×2時間の浸炭
窒化処理を行い、硬度試験片と摩耗試験片と耐硫酸腐食
試験片を得た。以下、各試験結果について説明する。
の比較材は、溶製、鍛伸後、焼き入れ−焼き戻し処理
(850℃−450℃)を行い、硬度をHR C ≒55に
調製した。そして、引き続き、500℃×2時間の浸炭
窒化処理を行い、硬度試験片と摩耗試験片と耐硫酸腐食
試験片を得た。以下、各試験結果について説明する。
【0012】(1) 硬度試験 図1に表面からの硬度(HV ) の推移を示す(図におい
て、●=No1、○=No2、▲=No3、△=No4
であり、横軸は表面からの深さ(mm)、縦軸は硬度(H
v)を示す)。同図に明らかなように、本発明に係るN
o1、No2のものは、適正な量のC、Cr、Mo、V
が添加されているので、No3、No4の比較材に比べ
て極表層部の硬度が極めて高く、その上、浸炭窒化処理
による内部硬度の低下も見られない。
て、●=No1、○=No2、▲=No3、△=No4
であり、横軸は表面からの深さ(mm)、縦軸は硬度(H
v)を示す)。同図に明らかなように、本発明に係るN
o1、No2のものは、適正な量のC、Cr、Mo、V
が添加されているので、No3、No4の比較材に比べ
て極表層部の硬度が極めて高く、その上、浸炭窒化処理
による内部硬度の低下も見られない。
【0013】(2) 摩耗試験 摩耗試験は、往復動摩擦試験機を用いてFC25鋳鉄製
のシリンダを相手材として試験を行い、摩耗量と焼付荷
重を測定するという方法で行った。その結果を従来材
(FC25)の値を100とした指数で、次の表2に示
す。
のシリンダを相手材として試験を行い、摩耗量と焼付荷
重を測定するという方法で行った。その結果を従来材
(FC25)の値を100とした指数で、次の表2に示
す。
【0014】
【表2】
【0015】表2に明らかなように、本発明に係るもの
は、従来のFC25に比べて耐摩耗性が顕著に向上して
おり、耐焼付性も大幅に改善されている。なお、比較材
にもCrが適正量添加されているので、従来材に比して
耐摩耗性は改善されているが、この比較材にはMoおよ
びVが添加されていないので、耐焼付性の改善代が不十
分である。
は、従来のFC25に比べて耐摩耗性が顕著に向上して
おり、耐焼付性も大幅に改善されている。なお、比較材
にもCrが適正量添加されているので、従来材に比して
耐摩耗性は改善されているが、この比較材にはMoおよ
びVが添加されていないので、耐焼付性の改善代が不十
分である。
【0016】(3) 耐硫酸腐食試験 耐硫酸腐食試験は、40℃に保った10%硫酸溶液中に
試験片を入れて1時間保持した後の腐食減量を測定する
という方法で行った。その結果を以下の表3に示す。な
お、この時の腐食はすべて窒化層内で進行していること
をミクロ組織観察により確認した。
試験片を入れて1時間保持した後の腐食減量を測定する
という方法で行った。その結果を以下の表3に示す。な
お、この時の腐食はすべて窒化層内で進行していること
をミクロ組織観察により確認した。
【0017】
【表3】
【0018】表3に明らかなように、本発明に係るもの
は比較材に比して腐食減量が少なく、Mo添加の効果が
示されている。
は比較材に比して腐食減量が少なく、Mo添加の効果が
示されている。
【0019】
【発明の効果】本発明に係るピストンリング材は従来の
FC25材に比して、疲労強度が高く、極めて優れた耐
摩耗性、耐焼付性および耐腐食摩耗性を有し、さらに、
浸炭窒化処理に伴う熱を受けても硬度の低下がなく、十
分な硬度を有している。このように、本発明に係るピス
トンリング材は、厳しい使用条件であるセカンドリング
に用いても、十分にその使命を果たし得る、産業上の利
用価値の極めて高い材料である。
FC25材に比して、疲労強度が高く、極めて優れた耐
摩耗性、耐焼付性および耐腐食摩耗性を有し、さらに、
浸炭窒化処理に伴う熱を受けても硬度の低下がなく、十
分な硬度を有している。このように、本発明に係るピス
トンリング材は、厳しい使用条件であるセカンドリング
に用いても、十分にその使命を果たし得る、産業上の利
用価値の極めて高い材料である。
【図1】浸炭窒化処理後の本発明材と比較材の表面から
内部にかけての硬度の推移を示す図である。
内部にかけての硬度の推移を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 Cを0.7〜0.8重量%、Siを1.
2〜1.8重量%、Mnを0.3〜0.8重量%、Cr
を0.3〜0.8重量%、Moを0.1〜0.2重量%
およびVを0.3〜0.8重量%含有し、残部Feおよ
び不可避的不純物からなることを特徴とするピストンリ
ング材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15850193A JPH0712229A (ja) | 1993-06-29 | 1993-06-29 | ピストンリング材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15850193A JPH0712229A (ja) | 1993-06-29 | 1993-06-29 | ピストンリング材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0712229A true JPH0712229A (ja) | 1995-01-17 |
Family
ID=15673121
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15850193A Pending JPH0712229A (ja) | 1993-06-29 | 1993-06-29 | ピストンリング材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0712229A (ja) |
-
1993
- 1993-06-29 JP JP15850193A patent/JPH0712229A/ja active Pending
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