JPH07122171B2 - アンチノ−ドリングの昇降装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、リング精紡機、リング撚糸機等の紡機に関
し、特にそのアンチノードリングの昇降装置に関するも
のである。

［従来の技術］ 従来、アンチノードリングの昇降方式には、リングと一
体昇降するものと、リングから独立して昇降するものと
があった。

前者の方式においては、アンチノードリングはリングレ
ール用ブラケットにバー等を介してリングと一体に固定
されており、また、スネールワイヤはラペットアングル
にラペツトを介して固定されており、従って、スネール
ワイヤはリングレール等とは独立して昇降する。この一
体昇降方式によると構造が簡単であるが、一体昇降であ
るが故に、バルーンの崩壊しやすい巻き始めに効果のあ
る位置にアンチノードリングを設置すると、中玉以降で
は、所期のバルーンコントロール効果を得るにはアンチ
ノードリングの位置が相対的に高すぎることになり、リ
フト全体に亙ってのアンチノードリングの効果が充分で
はないという問題がある。

そこで、例えば実公昭44−25156号公報に開示されてい
るように、スネールワイヤ、アンチノードリング、リン
グレール等をそれぞれ独立してピラーに支持し、アンチ
ノードリングも独立して昇降する独立昇降方式に構成す
れば、一体昇降方式の上述した問題を解決することがで
きるが、単純に独立昇降方式としたのでは構造が複雑に
ならざるを得ず、製造コストの上昇は避けられない。

［発明が解決しようとする問題点］ 従って、従来の技術には、アンチノードリングの効果を
リフト全体に亙って発揮しようとすると構造が複雑にな
らざるを得ないという問題点があつた。

本発明は、かかる問題点を解決すべく、構造を複雑にす
ることなくリフト全体に亙って充分なアンチノードリン
グ効果を得ることができるアンチノードリングの昇降装
置を提供することを目的とするものである。

［問題点を解決するための手段］ この目的から、本発明によるアンチノードリングの昇降
装置は、ラペットに結合されたスネールワイヤを昇降さ
せるためのラペット昇降部材と、リングを昇降させるた
めの、前記ラペット昇降部材とは独立した別のリング昇
降部材と、前記ラペット及び前記リング間にあるアンチ
ノードリングとを備え、前記ラペット昇降部材は、昇降
運動の所定位置まで前記アンチノードリングを離脱自在
に支持する支持部材を有し、前記リング昇降部材は、前
記所定位置において前記支持部材による前記アンチノー
ドリングの支持を解除し該支持部材に代わって前記アン
チノードリングを支持する解除・支持部材を有するよう
に構成している。

第１の実施例においては、各昇降部材はリフテイングピ
ラーであって、ラペットリフティングピラーに装着され
たストッパ即ち支持部材上に摺動自在に支持されたガイ
ドブラケットを介してアンチノードリングが支持されて
おり、解除・支持部材はリングプレートブラケットを介
してリングリフティングピラーに設けられた突出部であ
る。第２の実施例においては、各昇降部材はリフティン
グベルトであり、支持部材である係合部材は、ラペット
リフティングベルトにより吊り下げられたラペットアン
グルブラケットを介して、ラペットリフティングベルト
に設けられており、この係合部材がガイドブラケットの
突出部に係合することによって、ガイドブラケットに支
持されたアンチノードリングの支持を行っている。解除
・支持部材はリングリフティングベルトにより吊り下げ
られたリングプレートブラケットの上面である。また、
ガイドブラケットは機台に垂設されたアンチノード案内
ピラーに沿つて摺動自在に配設されている。

［作用］ アンチノードリングを離脱自在に支持する支持部材は、
ラペット昇降部材と共に昇降するようになっているの
で、昇降運動を開始すると、アンチノードリングはラペ
ットと一体に昇降する。リング昇降部材の１チュースの
量はラペット昇降部材の１チェースの量より大きいか
ら、昇降運動が進行するにつれて、リングがアンチノー
ドリングに接近し、所定位置に至ると、リング昇降部材
に設けられた解除・支持部材が前述した支持部材による
アンチノードリングの支持を解除すると共に、同支持部
材の代わりにアンチノードリングの支持を行う。そのた
め、所定位置より上方においては、アンチノードリング
はリング昇降部材と一体に昇降し、このようにしてリフ
ト全体に亙ってアンチノードリングの効果が充分に発揮
されるようにしている。

［実施例］ 次に、本発明の好適な実施例について添付図面を参照し
て詳細に説明するが、図中、同一符号は同一又は対応部
分を示すものとする。

図面において、第１図は本発明による昇降装置を実施し
た紡機を一部断面で示す要部側面図、第２図は第１図の
紡機の部分正面図であって、符号８はリングリフティン
グピラー（リング昇降部材）、13はラペットリフティン
グピラー（ラペット昇降部材）を示している。図にはそ
れぞれ１つのリングリフティングピラー８及びラペット
リフティングピラー13しか示されていないが、これ等の
リフティングピラー８及び13は、紡機の長手方向に一定
間隔で配設され、それぞれ周知のセーパー送り機構（図
示せず）により所定のピッチで別個に昇降しながら上昇
しうるように構成されている。

リングリフティングピラー８の上端にはリングプレート
ブラケット７を介してリングプレート６が取り付けられ
ており、このリングプレート６に沿って各スピンドルに
対応した位置に図示の形態を有するリング５が設けられ
ている。また、ラペツトリフティングピラー13の上端に
はラペットアングルブラケツト12を介して山形のラペッ
トアングル11が固定されており、同様に各スピンドルに
対応するように周知のスネールワイヤ９がラペットアン
グル11に沿ってラペット10を介し隔置されている。

上述した構成によりリング５及びスネールワイヤ９の昇
降が周知の態様で行なわれる。

また、紡機は、各スピンドルに対応する位置に、管糸Ｂ
とスネールワイヤ９との間に生じる鎖線で示された糸の
バルーンをコントロールすべくアンチノードリング１を
有している。これ等のアンチノードリング１もリング５
及びスネールワイヤ９と同様にセーパー送りしながら昇
降する必要がある。

本発明によると、紡機に沿って配設されこれ等のアンチ
ノードリング１を支持するアンチノードリングバー２に
は、各ラペットリフテイングピラー13に摺動自在に嵌合
する環状のガイドブラケット３が設けられている。ま
た、該ガイドブラケット３の初期位置を決めるために、
ラペットリフティングピラー13上には、ねじ4aのような
適宜の手段で位置固定可能なストッパ（支持部材）４が
取り付けられ、該ストッパ４がアンチノードリング１の
下限位置を規定すると共にガイドブラケット３を介しア
ンチノードリング１を支持している。

更に、第２図及び第2A図に略示するように、リングプレ
ートブラケット７には側方に延びる突出部（解除・支持
部材）7aが一体に設けられており、一方、ガイドブラケ
ット３には、この突出部7aと好ましくは直線状に整列す
るように、下方に延びる係合部材（解除・支持部材）14
が設けられている。また、突出部7aに係合部材14の下端
部14aが係合しうるようになっている。

以上のように構成されているために、リングリフティン
グピラー８及びラペットリフティングピラー13がセーパ
ー送り機構により昇降運動を行うと（第３図参照）、昇
降運動の初期においては、前述した突出部7a及び係合部
材14は未だ係合していないので、ストッパ４上に乗った
ガイドブラケツト３に接続されたアンチノードリング１
は、リングリフティングピラー８とは独立して、ラペッ
トリフティングピラー13と共に昇降運動を行う。しか
し、１チェースの量は第３図から諒解されるようにラペ
ットリフティングピラー13よりもリングリフティングピ
ラー８の方が大きいので、リングプレートブラケット７
に設けられた突出部7aは、ガイドブラケット３に設けら
れた係合部材14に徐々に接近し、やがて突出部7aが係合
部材14の下端部14aに係合する。その後は、アンチノー
ドリング１を支持したガイドブラケット３がラペットリ
フティングピラー13に関して摺動自在であるために、ア
ンチノードリング１は、突出部7a及び係合部材14により
押されてストッパ４による支持から解除され、リングリ
フティングピラー８と共に昇降運動を行う。

従って、本発明によれば、アンチノードリング１は、リ
ングリフティングピラー８が下方にあるときには、ラペ
ットリフティングピラー13と一体的に昇降し、リングリ
フティングピラー８が好適な所定位置より上にあるとき
にはリングリフティングピラー８と一体的に昇降する。
この所定位置は、ストッパ４の位置調整により調整する
ことができる。

第４図及び第５図は本発明の別の実施例の側面図及び正
面図をそれぞれ示している。この実施例においては、ラ
ペットアングルブラケット12及びリングプレートブラケ
ット７は、それぞれ昇降部材、即ちラペットリフティン
グベルト13′及びリングリフティングベルト８′により
吊り下げられており、それ等によって昇降される。ま
た、機台15に上下端で固定され垂設されたアンチノード
案内ピラー16は、ラペットアングルブラケット12及びリ
ングプレートブラケット７を貫いて上下に延びている。
アンチノードリング１の昇降を許容するために、アンチ
ノードリングバー２に固定されたガイドブラケット３は
このアンチノード案内ピラー16に遊嵌しており、また、
ラペットアングルブラケット12から垂下したフック部材
（支持部材）17の下端部17aがガイドブラケット３に設
けられた突出部3aに係合するようになっている。

このような構成を有する変形実施例においては、リング
プレートブラケット７とガイドブラケット３とが離間し
ている昇降運動の初期段階では、アンチノードリング１
は、突出部3aとフック部材17との係合支持のため、ラペ
ットリフティングベルト13′により昇降されるが、リン
グプレートブラケット７がガイドブラケット３に徐々に
接近しその上面（解除・支持部材）7cがガイドブラケッ
ト３の下端に接触すると、リングプレートブラケット７
により押し上げられて突出部3aとフック部材17の下端部
17aとの係合が外れフック部材17による支持が解除され
るために、同接触の後、アンチノードリング１はリング
プレートブラケット７により支持されリングリフティン
グベルト８′により昇降される。

尚、以上に本発明の好適な実施例を示したが、本発明の
精神の範囲内で様々な改変が可能である。例えば、第４
図及び第５図に示した変形実施例においても、ガイドブ
ラケット３及び／又はフック部材17の長さを可変とする
ことによって、アンチノードリング１がリングプレート
ブラケット７と共に昇降運動を開始する位置を調整可能
とすることができる。

［発明の効果］ 従って、本発明によれば、バルーンの崩壊しやすい巻き
始めに効果のある位置にアンチノードリングを設置して
も、巻き始めの当初はアンチノードリングの１チェース
の量が小さいので、中玉以降でアンチノードリングの位
置が相対的に高すぎることにならず、巻き始めから巻き
終わりまでアンチノードリングの効果をリフト全体に亙
って充分なものとし、安定したバルーニングが得られる
と共に、アンチノードリングの単独昇降方式に比して、
機構を大巾に簡素化することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による昇降装置の実施例を含む紡機を一
部断面で示す要部側面図、第２図は第１図の紡機の部分
正面図、第2A図は上記昇降装置に設けられた突出部及び
係合部材の拡大断面図、第３図はアンチノードリングの
昇降態様を説明する説明図、第４図及び第５図は本発明
による昇降装置の変形実施例を含む紡機の第１図及び第
２図に相当する要部側面図及び部分正面図である。 １…アンチノードリング ４…ストッパ（第１実施例の支持部材） ５…リング 7a…リング昇降部材が有する突出部（第１実施例の解除
・支持部材） 7c…リングプレートブラケットの上面（第２実施例の解
除・支持部材） ８…リングリフティングピラー（第１実施例のリング昇
降部材） ８′…リングリフティングベルト（第２実施例のリング
昇降部材） ９…スネールワイヤ 10…ラペット 13…ラペットリフティングピラー（第１実施例のラペッ
ト昇降部材） 13′…ラペットリフティングベルト（第２実施例のラペ
ット昇降部材） 17…フック部材（第２実施例の支持部材）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ラペットに結合されたスネールワイヤを昇
   降させるためのラペット昇降部材と、リングを昇降させ
   るための、前記ラペット昇降部材とは独立した別のリン
   グ昇降部材と、前記ラペット及び前記リング間にあるア
   ンチノードリングとを備え、前記ラペット昇降部材は、
   昇降運動の所定位置まで前記アンチノードリングを離脱
   自在に支持する支持部材を有し、前記リング昇降部材
   は、前記所定位置において前記支持部材による前記アン
   チノードリングの支持を解除し該支持部材に代わって前
   記アンチノードリングを支持する解除・支持部材を有す
   るように構成してなるアンチノードリングの昇降装置。