JPH07121853A - 磁気記録媒体 - Google Patents
磁気記録媒体Info
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- JPH07121853A JPH07121853A JP26226393A JP26226393A JPH07121853A JP H07121853 A JPH07121853 A JP H07121853A JP 26226393 A JP26226393 A JP 26226393A JP 26226393 A JP26226393 A JP 26226393A JP H07121853 A JPH07121853 A JP H07121853A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 スティクション問題の解決とヘッドクラッシ
ュ現象の十分な防止とを同時に達成することができる磁
気記録媒体を提供する。 【構成】 本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板と磁性
層との間に下地層を設けることによりヘッドスライダー
との吸着を防止するための凹凸を表面に形成した磁気記
録媒体であって、前記下地層が炭素およびケイ素を構成
元素とする化合物からなり、かつ前記表面に形成された
凸部の高さの標準偏差が0.5nm以下であることを特
徴とする。
ュ現象の十分な防止とを同時に達成することができる磁
気記録媒体を提供する。 【構成】 本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板と磁性
層との間に下地層を設けることによりヘッドスライダー
との吸着を防止するための凹凸を表面に形成した磁気記
録媒体であって、前記下地層が炭素およびケイ素を構成
元素とする化合物からなり、かつ前記表面に形成された
凸部の高さの標準偏差が0.5nm以下であることを特
徴とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスク、フレキ
シブルディスク、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に
適用することができる磁気記録媒体に関する。
シブルディスク、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に
適用することができる磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】ヘッドスライダーにより磁気記録媒体上
に情報の記録再生を行うハードディスク装置において
は、装置の起動・停止時にはヘッドスライダーと媒体と
を接触状態にし、装置の起動後はヘッドスライダーを浮
上状態に遷移させるコンタクト・スタート・ストップ方
式(以下CSS方式と呼ぶ)が主に採用されている。近
年における高記録密度化に伴い、ヘッドスライダーの浮
上高さは0.2μm以下のより小さな値が要求されるよ
うになってきている。
に情報の記録再生を行うハードディスク装置において
は、装置の起動・停止時にはヘッドスライダーと媒体と
を接触状態にし、装置の起動後はヘッドスライダーを浮
上状態に遷移させるコンタクト・スタート・ストップ方
式(以下CSS方式と呼ぶ)が主に採用されている。近
年における高記録密度化に伴い、ヘッドスライダーの浮
上高さは0.2μm以下のより小さな値が要求されるよ
うになってきている。
【0003】ところで、上記CSS方式を用いた装置で
は、ヘッドクラッシュ現象(ヘッドスライダーと磁気記
録媒体とが動作状態において直接接触してヘッドスライ
ダーや磁気記録媒体が損傷を受ける現象)を防止するた
めには、ヘッドスライダーおよび磁気記録媒体の表面を
高精度に研磨加工してヘッドスライダーの浮上安定性を
高めることが好ましいが、あまりに高精度に研磨加工す
ると装置の起動・停止時においてヘッドスライダーと磁
気記録媒体とが吸着してしまい、その吸着力により、磁
気記録媒体が装着されているスピンドルの回転が不可能
となって装置自体を起動できなくなるという問題(以下
スティクション問題と記す)が生じる。そして、この問
題を解決することが磁気記録媒体の実用化・信頼性向上
において大きな課題となっていた。
は、ヘッドクラッシュ現象(ヘッドスライダーと磁気記
録媒体とが動作状態において直接接触してヘッドスライ
ダーや磁気記録媒体が損傷を受ける現象)を防止するた
めには、ヘッドスライダーおよび磁気記録媒体の表面を
高精度に研磨加工してヘッドスライダーの浮上安定性を
高めることが好ましいが、あまりに高精度に研磨加工す
ると装置の起動・停止時においてヘッドスライダーと磁
気記録媒体とが吸着してしまい、その吸着力により、磁
気記録媒体が装着されているスピンドルの回転が不可能
となって装置自体を起動できなくなるという問題(以下
スティクション問題と記す)が生じる。そして、この問
題を解決することが磁気記録媒体の実用化・信頼性向上
において大きな課題となっていた。
【0004】上記スティクション問題解決のため、従来
より次のような工夫が磁気記録媒体に施されていた。す
なわち、ヘッドスライダーと磁気記録媒体との接触面積
を低下させて両者の吸着を軽減するために、ラッピング
テープ方式で表面凹凸を創成するメカニカルテクスチャ
ー等が磁気記録媒体の基板に対して施されていた。
より次のような工夫が磁気記録媒体に施されていた。す
なわち、ヘッドスライダーと磁気記録媒体との接触面積
を低下させて両者の吸着を軽減するために、ラッピング
テープ方式で表面凹凸を創成するメカニカルテクスチャ
ー等が磁気記録媒体の基板に対して施されていた。
【0005】しかしながら、磁気記録媒体に対する上述
のテクスチャリング方式では、ラッピングテープにより
基板表面に機械的加工を施すため、テクスチャリングの
際に形成されるバリ等の加工生成物が基板表面上に残留
する。そして、これらの残留物は、情報の記録再生時の
エラーとなるばかりでなく、高記録密度化のためにヘッ
ドスライダーを低浮上させた場合にヘッドスライダーの
浮上安定性を著しく損ね、さらには残留物の存在すると
ころを起点として磁気記録媒体の損傷が誘発されるとい
った大きな問題を提起する。特に、従来より用いられて
きたアルミニウム合金基板においては、上記した傾向は
一層顕著となる。また、テクスチャー部より腐食が発生
し易いため、たとえヘッドクラッシュ現象を起こさなく
とも磁性層に記録されている情報が破壊され易い。
のテクスチャリング方式では、ラッピングテープにより
基板表面に機械的加工を施すため、テクスチャリングの
際に形成されるバリ等の加工生成物が基板表面上に残留
する。そして、これらの残留物は、情報の記録再生時の
エラーとなるばかりでなく、高記録密度化のためにヘッ
ドスライダーを低浮上させた場合にヘッドスライダーの
浮上安定性を著しく損ね、さらには残留物の存在すると
ころを起点として磁気記録媒体の損傷が誘発されるとい
った大きな問題を提起する。特に、従来より用いられて
きたアルミニウム合金基板においては、上記した傾向は
一層顕著となる。また、テクスチャー部より腐食が発生
し易いため、たとえヘッドクラッシュ現象を起こさなく
とも磁性層に記録されている情報が破壊され易い。
【0006】これらの問題を解決するため、メカニカル
テクスチャーは用いず、基板と磁性層との間に微細突起
を有する金属層を設けることにより、あるいは磁性層上
に所定の表面粗さを有する保護層を設けることにより、
磁気記録媒体の表面に凹凸を形成する試みがなされてい
る。
テクスチャーは用いず、基板と磁性層との間に微細突起
を有する金属層を設けることにより、あるいは磁性層上
に所定の表面粗さを有する保護層を設けることにより、
磁気記録媒体の表面に凹凸を形成する試みがなされてい
る。
【0007】例えば特開平4−295614号公報に
は、ガラス基板上に無電解メッキ層および多数の微細突
起を有する金属層を順次形成し、この金属層上に磁性層
を設けることにより表面粗度を所望の値とした磁気記録
媒体が開示されている。また、特公平1−18500号
公報には、所定の表面粗さを有する保護層を磁性層の上
に設けることにより表面粗さを所望の値とした磁気記録
媒体が開示されている。
は、ガラス基板上に無電解メッキ層および多数の微細突
起を有する金属層を順次形成し、この金属層上に磁性層
を設けることにより表面粗度を所望の値とした磁気記録
媒体が開示されている。また、特公平1−18500号
公報には、所定の表面粗さを有する保護層を磁性層の上
に設けることにより表面粗さを所望の値とした磁気記録
媒体が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、磁気記
録媒体の表面粗さがスティクション問題を解決し得る値
であっても、磁気記録媒体表面の凸部の高さにバラツキ
があったのでは、このバラツキ、特に、他の凸部に比べ
て著しく高い凸部の存在に起因して、ヘッドクラッシュ
現象を十分に防止することが困難である。本発明の目的
は、スティクション問題の解決とヘッドクラッシュ現象
の十分な防止とを同時に達成することができる磁気記録
媒体を提供することにある。
録媒体の表面粗さがスティクション問題を解決し得る値
であっても、磁気記録媒体表面の凸部の高さにバラツキ
があったのでは、このバラツキ、特に、他の凸部に比べ
て著しく高い凸部の存在に起因して、ヘッドクラッシュ
現象を十分に防止することが困難である。本発明の目的
は、スティクション問題の解決とヘッドクラッシュ現象
の十分な防止とを同時に達成することができる磁気記録
媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の磁気記録媒体は、非磁性基板と磁性層との間に下地
層を設けることによりヘッドスライダーとの吸着を回避
することが可能な凹凸を表面に形成した磁気記録媒体で
あって、前記下地層が炭素およびケイ素を構成元素とす
る化合物からなり、かつ前記表面に形成された凸部の高
さの標準偏差が0.5nm以下であることを特徴とする
ものである。
明の磁気記録媒体は、非磁性基板と磁性層との間に下地
層を設けることによりヘッドスライダーとの吸着を回避
することが可能な凹凸を表面に形成した磁気記録媒体で
あって、前記下地層が炭素およびケイ素を構成元素とす
る化合物からなり、かつ前記表面に形成された凸部の高
さの標準偏差が0.5nm以下であることを特徴とする
ものである。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
磁気記録媒体は、上述したように、非磁性基板と磁性層
との間に下地層を設けることによりヘッドスライダーと
の吸着を回避することが可能な凹凸を表面に形成した磁
気記録媒体である。ここで、「ヘッドスライダーとの吸
着を回避することが可能な凹凸」は、目的とする磁気記
録媒体がどのようなヘッドスライダーと組み合わされて
使用されるのかに応じて、また、目的とする磁気記録媒
体がどのような駆動機構により駆動されるのか等に応じ
て異なるため、一概に規定することはできないが、中心
線表面粗さRaで表したときにその値が概ね2〜50n
mの範囲内のものである。
磁気記録媒体は、上述したように、非磁性基板と磁性層
との間に下地層を設けることによりヘッドスライダーと
の吸着を回避することが可能な凹凸を表面に形成した磁
気記録媒体である。ここで、「ヘッドスライダーとの吸
着を回避することが可能な凹凸」は、目的とする磁気記
録媒体がどのようなヘッドスライダーと組み合わされて
使用されるのかに応じて、また、目的とする磁気記録媒
体がどのような駆動機構により駆動されるのか等に応じ
て異なるため、一概に規定することはできないが、中心
線表面粗さRaで表したときにその値が概ね2〜50n
mの範囲内のものである。
【0011】本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板と磁
性層との間に炭素およびケイ素を構成元素とする化合物
からなる下地層を設けることで、上述の「ヘッドスライ
ダーとの吸着を回避することが可能な凹凸」を表面に形
成したものである。前記下地層の具体例としては化学量
論比の炭化ケイ素膜、炭素リッチの炭化ケイ素膜、およ
びケイ素リッチの炭化ケイ素膜が挙げられる。
性層との間に炭素およびケイ素を構成元素とする化合物
からなる下地層を設けることで、上述の「ヘッドスライ
ダーとの吸着を回避することが可能な凹凸」を表面に形
成したものである。前記下地層の具体例としては化学量
論比の炭化ケイ素膜、炭素リッチの炭化ケイ素膜、およ
びケイ素リッチの炭化ケイ素膜が挙げられる。
【0012】この下地層は、上述の凹凸を形成するため
のものであるので、当該下地層の表面(磁性層が設けら
れる側の表面)にも所定の凹凸が形成されていることが
必要であるが、その凹凸の程度は、目的とする磁気記録
媒体の表面に要求される凹凸の程度、目的とする磁気記
録媒体の層構成(下地層の上に設けられる層の構成)、
非磁性基板の表面粗さ等に応じて、ヘッドスライダーと
の吸着を回避することができるように適宜選択される。
ただし、この下地層の厚さが5nm未満では磁気記録媒
体の表面に所望の凹凸を形成することが困難になり、ス
ティクション問題が発生し易くなる。
のものであるので、当該下地層の表面(磁性層が設けら
れる側の表面)にも所定の凹凸が形成されていることが
必要であるが、その凹凸の程度は、目的とする磁気記録
媒体の表面に要求される凹凸の程度、目的とする磁気記
録媒体の層構成(下地層の上に設けられる層の構成)、
非磁性基板の表面粗さ等に応じて、ヘッドスライダーと
の吸着を回避することができるように適宜選択される。
ただし、この下地層の厚さが5nm未満では磁気記録媒
体の表面に所望の凹凸を形成することが困難になり、ス
ティクション問題が発生し易くなる。
【0013】本発明の磁気記録媒体は、上述の下地層を
設けることによりヘッドスライダーとの吸着を回避する
ことが可能な凹凸を表面に形成したものであると同時
に、表面に形成された凸部の高さの標準偏差が0.5n
m以下のものである。ここで、前記標準偏差は次の方法
により算出したものを意味する。すなわち、図7に示す
ように、磁気記録媒体の表層上面の平均面に直角な平面
で該表層を切断したときに該表層上面の表面粗さによる
凹凸に対応してその切り口に現れる輪郭を断面曲線20
とし、この断面曲線20全体から任意に抜き取った基準
長さL(例えば240μm)の範囲において被測定平面
の称呼形状(平均面)をもつ直線または曲線でかつその
線から断面曲線20までの偏差の二乗和が最小になるよ
うに設定した線を断面曲線20の平均線21とし、この
平均線21に平行な直線または曲線線であって、前記断
面曲線20を横切らずかつ前記平均線21よりも下方に
位置する線を設定してこれを基準線22とし、この基準
線22から前記断面曲線20に現れる各山部の頂部まで
の距離をZiとし、このZiが最大のものから順に第1
0番目のものまでをZiのiがそれぞれi=1〜10で
あるとしたときに、前記Zi(i=1〜10)について
下式
設けることによりヘッドスライダーとの吸着を回避する
ことが可能な凹凸を表面に形成したものであると同時
に、表面に形成された凸部の高さの標準偏差が0.5n
m以下のものである。ここで、前記標準偏差は次の方法
により算出したものを意味する。すなわち、図7に示す
ように、磁気記録媒体の表層上面の平均面に直角な平面
で該表層を切断したときに該表層上面の表面粗さによる
凹凸に対応してその切り口に現れる輪郭を断面曲線20
とし、この断面曲線20全体から任意に抜き取った基準
長さL(例えば240μm)の範囲において被測定平面
の称呼形状(平均面)をもつ直線または曲線でかつその
線から断面曲線20までの偏差の二乗和が最小になるよ
うに設定した線を断面曲線20の平均線21とし、この
平均線21に平行な直線または曲線線であって、前記断
面曲線20を横切らずかつ前記平均線21よりも下方に
位置する線を設定してこれを基準線22とし、この基準
線22から前記断面曲線20に現れる各山部の頂部まで
の距離をZiとし、このZiが最大のものから順に第1
0番目のものまでをZiのiがそれぞれi=1〜10で
あるとしたときに、前記Zi(i=1〜10)について
下式
【0014】
【式1】 により算出した標準偏差σZiを意味する。なお、上記式
中のRzは、Zi(i=1〜10)の平均値を意味す
る。また、上記断面曲線は実際に磁気記録媒体の断面を
とることにより得てもよいが、実用上は、触針式粗さ計
(例えばランクテーラーホブソン社製のタリステップ)
を用いて非破壊的に得ることが好ましい。
中のRzは、Zi(i=1〜10)の平均値を意味す
る。また、上記断面曲線は実際に磁気記録媒体の断面を
とることにより得てもよいが、実用上は、触針式粗さ計
(例えばランクテーラーホブソン社製のタリステップ)
を用いて非破壊的に得ることが好ましい。
【0015】上述のようにして算出した凸部の高さの標
準偏差σZiが0.5nmを超えると、磁気記録媒体の使
用時にヘッドクラッシュ現象が生じ易くなる。したがっ
て、本発明の磁気記録媒体においては、表面に形成され
た凸部の高さの標準偏差σZiは0.5nm以下に限定さ
れる。
準偏差σZiが0.5nmを超えると、磁気記録媒体の使
用時にヘッドクラッシュ現象が生じ易くなる。したがっ
て、本発明の磁気記録媒体においては、表面に形成され
た凸部の高さの標準偏差σZiは0.5nm以下に限定さ
れる。
【0016】前記標準偏差σZiが0.5nm以下である
磁気記録媒体は、上述の下地層をCVD法やスパッタ法
により形成することで得ることができる。熱CVD法や
プラズマCVD法等のCVD法は、成膜条件を変更する
ことで前記下地層の表面形状を容易に制御できることか
ら実用上好適であり、これらの方法により下地層を形成
するにあたっては、基板温度を400±20℃の範囲内
とすることが特に好ましい。
磁気記録媒体は、上述の下地層をCVD法やスパッタ法
により形成することで得ることができる。熱CVD法や
プラズマCVD法等のCVD法は、成膜条件を変更する
ことで前記下地層の表面形状を容易に制御できることか
ら実用上好適であり、これらの方法により下地層を形成
するにあたっては、基板温度を400±20℃の範囲内
とすることが特に好ましい。
【0017】本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板と磁
性層との間に上述した下地層を設けることによりヘッド
スライダーとの吸着を回避することが可能な凹凸を表面
に形成した磁気記録媒体であって、かつ表面に形成され
た凸部の高さの標準偏差が0.5nm以下のものであれ
ばよく、他の層構成については特に限定されるものでは
ない。例えば、磁性層は前記下地層上に直接設けられて
いてもよいし、保磁力等の磁気特性を改善するための中
間層を介して前記下地層上に設けられていてもよい。ま
た、磁性層の表面には保護膜が設けられていてもよい。
さらに、保護層の表面には潤滑層が設けられていてもよ
い。これらの層の材質およびその形成方法も特に限定さ
れるものではなく、磁気記録媒体の磁性層、中間層、保
護層、潤滑層として従来より使用されている公知の物質
および公知の形成方法をそのまま利用することができ
る。
性層との間に上述した下地層を設けることによりヘッド
スライダーとの吸着を回避することが可能な凹凸を表面
に形成した磁気記録媒体であって、かつ表面に形成され
た凸部の高さの標準偏差が0.5nm以下のものであれ
ばよく、他の層構成については特に限定されるものでは
ない。例えば、磁性層は前記下地層上に直接設けられて
いてもよいし、保磁力等の磁気特性を改善するための中
間層を介して前記下地層上に設けられていてもよい。ま
た、磁性層の表面には保護膜が設けられていてもよい。
さらに、保護層の表面には潤滑層が設けられていてもよ
い。これらの層の材質およびその形成方法も特に限定さ
れるものではなく、磁気記録媒体の磁性層、中間層、保
護層、潤滑層として従来より使用されている公知の物質
および公知の形成方法をそのまま利用することができ
る。
【0018】例えば磁性層の材質の具体例としては、C
o等の強磁性体にCr,Ni,Pt,Ta,Zr,N
b,Mo,Si,P,B等を添加したものが挙げられ
る。また、中間層の材質の具体例としては、Cr,M
o,W,Ti,Ta等やこれらの合金が挙げられる。保
護層の材質の具体例としては、カーボン、酸化ケイ素、
酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、Cr、M
o等が挙げられる。そして潤滑層の材質の具体例として
は、パーフルオロポリエーテル、フロロカーボン系潤滑
剤、ハイドロカーボン系潤滑剤等が挙げられる。
o等の強磁性体にCr,Ni,Pt,Ta,Zr,N
b,Mo,Si,P,B等を添加したものが挙げられ
る。また、中間層の材質の具体例としては、Cr,M
o,W,Ti,Ta等やこれらの合金が挙げられる。保
護層の材質の具体例としては、カーボン、酸化ケイ素、
酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、Cr、M
o等が挙げられる。そして潤滑層の材質の具体例として
は、パーフルオロポリエーテル、フロロカーボン系潤滑
剤、ハイドロカーボン系潤滑剤等が挙げられる。
【0019】また、前記下地層が設けられる非磁性基板
の種類も特に限定されるものではなく、各種ガラス基
板、アモルファスカーボン基板、シリコン基板等、磁気
記録媒体の基板として従来より使用されている公知の非
磁性基板をそのまま利用することができる。
の種類も特に限定されるものではなく、各種ガラス基
板、アモルファスカーボン基板、シリコン基板等、磁気
記録媒体の基板として従来より使用されている公知の非
磁性基板をそのまま利用することができる。
【0020】磁性層を形成するにあたっては、前記下地
層が金属に比べて低い値ではあるが導電性を有している
ことから、この下地層を介して基板にバイアス電圧を印
加することもできる。下地層の導電性はその組成により
変化させることができ、これによりバイアス電圧の印加
の程度も制御することができる。例えば下地層の組成を
炭素リッチの炭化ケイ素にすると電気抵抗が小さくなる
ので、バイアス電圧を下げたり印加時間を短くすること
ができる。基板にバイアス電圧を印加しつつ磁性層を形
成するこれにより、保磁力等の磁気特性を向上させるこ
とができる。
層が金属に比べて低い値ではあるが導電性を有している
ことから、この下地層を介して基板にバイアス電圧を印
加することもできる。下地層の導電性はその組成により
変化させることができ、これによりバイアス電圧の印加
の程度も制御することができる。例えば下地層の組成を
炭素リッチの炭化ケイ素にすると電気抵抗が小さくなる
ので、バイアス電圧を下げたり印加時間を短くすること
ができる。基板にバイアス電圧を印加しつつ磁性層を形
成するこれにより、保磁力等の磁気特性を向上させるこ
とができる。
【0021】前記下地層は、上述したように非磁性基板
にバイアス電圧を印加するための導電層としても機能し
得る他、前記非磁性基板からの成分の溶出・拡散を防止
する層としても機能する。例えば非磁性基板としてソー
ダライム系ガラスを用いた場合でも、当該ガラス基板か
らアルカリ成分が溶出・拡散することを前記下地層によ
り防止することができるため、前記成分の溶出・拡散が
磁気特性に及ぼす悪影響を抑制することができる。ま
た、この下地層は機械的強度に優れるために磁気記録媒
体全体の機械的強度を改善することができ、非磁性基板
をより薄いものとした場合でもクランプにより磁気記録
媒体に歪みが生じるのを低減させることができる。
にバイアス電圧を印加するための導電層としても機能し
得る他、前記非磁性基板からの成分の溶出・拡散を防止
する層としても機能する。例えば非磁性基板としてソー
ダライム系ガラスを用いた場合でも、当該ガラス基板か
らアルカリ成分が溶出・拡散することを前記下地層によ
り防止することができるため、前記成分の溶出・拡散が
磁気特性に及ぼす悪影響を抑制することができる。ま
た、この下地層は機械的強度に優れるために磁気記録媒
体全体の機械的強度を改善することができ、非磁性基板
をより薄いものとした場合でもクランプにより磁気記録
媒体に歪みが生じるのを低減させることができる。
【0022】
【作用】本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板と磁性層
との間に炭素およびケイ素を構成元素とする化合物から
な下地層を設けることにより、ヘッドスライダーとの吸
着を回避することが可能な凹凸を、凸部の高さの標準偏
差を0.5nm以下にしつつ磁気記録媒体表面に形成し
たものである。前記標準偏差が0.5nm以下であるこ
とから、表面の凸部の高さのバラツキは小さい。したが
って、本発明の磁気記録媒体ではスティクション問題の
解決とヘッドクラッシュ現象の十分な防止とを同時に達
成することができる。
との間に炭素およびケイ素を構成元素とする化合物から
な下地層を設けることにより、ヘッドスライダーとの吸
着を回避することが可能な凹凸を、凸部の高さの標準偏
差を0.5nm以下にしつつ磁気記録媒体表面に形成し
たものである。前記標準偏差が0.5nm以下であるこ
とから、表面の凸部の高さのバラツキは小さい。したが
って、本発明の磁気記録媒体ではスティクション問題の
解決とヘッドクラッシュ現象の十分な防止とを同時に達
成することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 実施例1 (1)下地層の形成 非磁性基板として、表面が中心線平均粗さRaで0.1
nmに鏡面研磨された外径65mm、厚さ0.889m
mのSi基板を用い、このSi基板の一主表面に、以下
のようにしてSiC膜からなる下地層を形成した。ま
ず、前記Si基板を洗浄した後に石英製の基板保持冶具
に保持させて、ホットウォール方式の減圧CVD装置の
反応管内に配置した。次いで、反応管内を1×10-3t
orr以下まで減圧し、この反応管内にソースガスとし
てSiH2 Cl2 ガスとC2 H2 ガスをそれぞれ10C
CM、5CCMの割合で導入すると共に、キャリアガス
としてH2 を導入して、雰囲気温度1000℃、雰囲気
圧力0.06torrの条件でSiC膜の成膜を行っ
た。これにより、図1にその断面を模式的に示すよう
に、前記Si基板1上には膜厚1000nmの下地層
(SiC膜)2が形成された。
る。 実施例1 (1)下地層の形成 非磁性基板として、表面が中心線平均粗さRaで0.1
nmに鏡面研磨された外径65mm、厚さ0.889m
mのSi基板を用い、このSi基板の一主表面に、以下
のようにしてSiC膜からなる下地層を形成した。ま
ず、前記Si基板を洗浄した後に石英製の基板保持冶具
に保持させて、ホットウォール方式の減圧CVD装置の
反応管内に配置した。次いで、反応管内を1×10-3t
orr以下まで減圧し、この反応管内にソースガスとし
てSiH2 Cl2 ガスとC2 H2 ガスをそれぞれ10C
CM、5CCMの割合で導入すると共に、キャリアガス
としてH2 を導入して、雰囲気温度1000℃、雰囲気
圧力0.06torrの条件でSiC膜の成膜を行っ
た。これにより、図1にその断面を模式的に示すよう
に、前記Si基板1上には膜厚1000nmの下地層
(SiC膜)2が形成された。
【0024】この下地層のSEM(走査型電子顕微鏡)
による表面形状観察例を図2に示す。図2から明らかな
ように、この下地層には緩やかな島状突起が多数生成し
ていた。また、この下地層の中心線平均粗さRaを触針
式粗さ計(ランクテーラーホブソン社製のタリステッ
プ)を用いて測定した。このとき、触針としては先端径
が0.1μmのものを用い、測定圧力は1mgfとし
た。この結果を表1に示す。また、この下地層について
表面の凸部の高さの標準偏差σZiを求めた。この結果も
表1に示す。さらに、ESCA(エレクトロン・スペク
トロスコピー・オブ・ケミカル・アナリシス)を用いて
下地層の組成についてその深さ方向分析を行った。この
ときの使用機種は島津製作所社製のESCA850、X
線源としてはMgkα線を用いた。結果を図3に示す。
図3から明らかなように、この下地層でのSiとCの原
子比はほぼ1:1であった。なお、SiとC以外の元素
はこの装置では検出されなかった。
による表面形状観察例を図2に示す。図2から明らかな
ように、この下地層には緩やかな島状突起が多数生成し
ていた。また、この下地層の中心線平均粗さRaを触針
式粗さ計(ランクテーラーホブソン社製のタリステッ
プ)を用いて測定した。このとき、触針としては先端径
が0.1μmのものを用い、測定圧力は1mgfとし
た。この結果を表1に示す。また、この下地層について
表面の凸部の高さの標準偏差σZiを求めた。この結果も
表1に示す。さらに、ESCA(エレクトロン・スペク
トロスコピー・オブ・ケミカル・アナリシス)を用いて
下地層の組成についてその深さ方向分析を行った。この
ときの使用機種は島津製作所社製のESCA850、X
線源としてはMgkα線を用いた。結果を図3に示す。
図3から明らかなように、この下地層でのSiとCの原
子比はほぼ1:1であった。なお、SiとC以外の元素
はこの装置では検出されなかった。
【0025】(2)磁気記録媒体の製造 上記(1)で形成した下地層の上に、以下の要領で中間
層、磁性層、保護層および潤滑層を形成した。まず、前
記下地層を形成したSi基板をr.f.マグネトロンス
パッタ装置に固定し、2×10-7torr以下まで減圧
した後にスパッタガスとしてアルゴンガスを導入して、
ガス圧10mtorr、r.f.出力200Wの条件
で、中間層、磁性層および保護層を連続的に順次形成し
た。このとき、中間層としては膜厚200nmのCr層
を、磁性層としては組成がCo80Pt7 Cr13の合金を
ターゲットとして用いて得た膜厚40nmの層を、保護
層としては膜厚35nmのカーボン層を形成した。次い
で、保護層上にパーフルオロポリエーテルを平均厚さ2
nmに塗布して、潤滑層を形成した。
層、磁性層、保護層および潤滑層を形成した。まず、前
記下地層を形成したSi基板をr.f.マグネトロンス
パッタ装置に固定し、2×10-7torr以下まで減圧
した後にスパッタガスとしてアルゴンガスを導入して、
ガス圧10mtorr、r.f.出力200Wの条件
で、中間層、磁性層および保護層を連続的に順次形成し
た。このとき、中間層としては膜厚200nmのCr層
を、磁性層としては組成がCo80Pt7 Cr13の合金を
ターゲットとして用いて得た膜厚40nmの層を、保護
層としては膜厚35nmのカーボン層を形成した。次い
で、保護層上にパーフルオロポリエーテルを平均厚さ2
nmに塗布して、潤滑層を形成した。
【0026】このようにして下地層上に中間層、磁性
層、保護層および潤滑層を形成したことにより、目的と
する磁気記録媒体が得られた。この磁気記録媒体の断面
を模式的に図4に示す。図4に示したように、この磁気
記録媒体ではSi基板1上にSiC膜からなる下地層
2、Cr層からなる中間層3、組成がCo80Pt7 Cr
13の合金をターゲットとして用いて得た磁性層4、カー
ボン層からなる保護層5、およびパーフルオロポリエー
テルからなる潤滑層6が順次形成されている。この磁気
記録媒体について、中心線平均粗さRaおよび表面の凸
部の高さの標準偏差σZiをそれぞれ上記(1)と同様に
して測定した。これらの結果を表1に示す。
層、保護層および潤滑層を形成したことにより、目的と
する磁気記録媒体が得られた。この磁気記録媒体の断面
を模式的に図4に示す。図4に示したように、この磁気
記録媒体ではSi基板1上にSiC膜からなる下地層
2、Cr層からなる中間層3、組成がCo80Pt7 Cr
13の合金をターゲットとして用いて得た磁性層4、カー
ボン層からなる保護層5、およびパーフルオロポリエー
テルからなる潤滑層6が順次形成されている。この磁気
記録媒体について、中心線平均粗さRaおよび表面の凸
部の高さの標準偏差σZiをそれぞれ上記(1)と同様に
して測定した。これらの結果を表1に示す。
【0027】実施例2 (1)下地層の形成 非磁性基板として、表面が中心線平均粗さRaで0.1
nmに鏡面研磨された外径65mm、厚さ0.889m
mのガラス基板を用い、このガラス基板の一主表面に、
以下のようにしてSiC膜からなる下地層を形成した。
まず、前記ガラス基板を洗浄した後にECRプラズマC
VD装置の試料台に固定し、チャンバー内を2×10-7
torr以下まで減圧した。次いで、チャンバー内にソ
ースガスとしてSiH2 Cl2 ガスとC2 H2 ガスをそ
れぞれ10CCM、5CCMの割合で導入すると共に、
キャリアガスとしてH2 を導入して、基板温度400
℃、雰囲気圧力1mtorrの条件でSiC膜の成膜を
行った。このときのECR(電子サイクロトロン共鳴)
条件は、μ波出力400W、マグネット電流15Aとし
た。これにより、前記ガラス基板上には膜厚500nm
の下地層(SiC膜)が形成された。
nmに鏡面研磨された外径65mm、厚さ0.889m
mのガラス基板を用い、このガラス基板の一主表面に、
以下のようにしてSiC膜からなる下地層を形成した。
まず、前記ガラス基板を洗浄した後にECRプラズマC
VD装置の試料台に固定し、チャンバー内を2×10-7
torr以下まで減圧した。次いで、チャンバー内にソ
ースガスとしてSiH2 Cl2 ガスとC2 H2 ガスをそ
れぞれ10CCM、5CCMの割合で導入すると共に、
キャリアガスとしてH2 を導入して、基板温度400
℃、雰囲気圧力1mtorrの条件でSiC膜の成膜を
行った。このときのECR(電子サイクロトロン共鳴)
条件は、μ波出力400W、マグネット電流15Aとし
た。これにより、前記ガラス基板上には膜厚500nm
の下地層(SiC膜)が形成された。
【0028】この下地層について、中心線平均粗さRa
および表面の凸部の高さの標準偏差σZiをそれぞれを実
施例1(1)と同様にして測定した。これらの結果を表
1に示す。また、実施例1(1)と同様にして下地層の
組成についてその深さ方向分析を行った。結果を図5に
示す。図5から明らかなように、この下地層はSiが僅
かに過剰な膜であった。なお、SiとC以外の元素は検
出されなかった。
および表面の凸部の高さの標準偏差σZiをそれぞれを実
施例1(1)と同様にして測定した。これらの結果を表
1に示す。また、実施例1(1)と同様にして下地層の
組成についてその深さ方向分析を行った。結果を図5に
示す。図5から明らかなように、この下地層はSiが僅
かに過剰な膜であった。なお、SiとC以外の元素は検
出されなかった。
【0029】(2)磁気記録媒体の製造 上記(1)で形成した下地層の上に実施例1(2)と全
く同様にして中間層、磁性層、保護層および潤滑層を形
成して、目的とする磁気記録媒体を得た。この磁気記録
媒体について、中心線平均粗さRaおよび表面の凸部の
高さの標準偏差σZiをそれぞれを上記(1)と同様にし
て測定した。これらの結果を表1に示す。
く同様にして中間層、磁性層、保護層および潤滑層を形
成して、目的とする磁気記録媒体を得た。この磁気記録
媒体について、中心線平均粗さRaおよび表面の凸部の
高さの標準偏差σZiをそれぞれを上記(1)と同様にし
て測定した。これらの結果を表1に示す。
【0030】比較例1 まず、表面が鏡面研磨された外径65mm、厚さ0.8
89mmのガラス基板を非磁性基板として用い、このガ
ラス基板をr.f.マグネトロンスパッタ装置に固定し
て所定圧力まで真空排気を行った後、スパッタガスとし
てアルゴンガスを導入し、ガス圧10mtorr、r.
f.出力200Wの条件でAl膜の成膜を行って、前記
ガラス基板の一主表面に表面粗さ調節用の不連続なAl
製微小突起(平均膜厚50nm)を設けた。Al製微小
突起を設けた側のガラス基板面について、中心線平均粗
さRaおよび表面の凸部の高さの標準偏差σZiをそれぞ
れ実施例1(1)と同様にして測定した。これらの結果
を表1に示す。
89mmのガラス基板を非磁性基板として用い、このガ
ラス基板をr.f.マグネトロンスパッタ装置に固定し
て所定圧力まで真空排気を行った後、スパッタガスとし
てアルゴンガスを導入し、ガス圧10mtorr、r.
f.出力200Wの条件でAl膜の成膜を行って、前記
ガラス基板の一主表面に表面粗さ調節用の不連続なAl
製微小突起(平均膜厚50nm)を設けた。Al製微小
突起を設けた側のガラス基板面について、中心線平均粗
さRaおよび表面の凸部の高さの標準偏差σZiをそれぞ
れ実施例1(1)と同様にして測定した。これらの結果
を表1に示す。
【0031】次に、Al製微小突起を設けた側のガラス
基板面上に実施例1(2)と同じ条件で中間層、磁性層
および保護層を連続的に順次形成し、さらに、保護層上
に実施例1(2)と同様にして潤滑層を形成して、磁気
記録媒体を得た。この磁気記録媒体の断面を模式的に図
6に示す。図6に示したように、この磁気記録媒体では
ガラス基板11上にAl金属層製微小突起12が不連続
的に設けられており、この上にはCr層からなる中間層
13、組成がCo80Pt7 Cr13の合金をターゲットと
して用いて得た磁性層14、カーボン層からなる保護層
15、およびパーフルオロポリエーテルからなる潤滑層
16が順次形成されている。この磁気記録媒体につい
て、中心線平均粗さRaおよび表面の凸部の高さの標準
偏差σZiをそれぞれ実施例1(2)と同様にして測定し
た。これらの結果を表1に示す。
基板面上に実施例1(2)と同じ条件で中間層、磁性層
および保護層を連続的に順次形成し、さらに、保護層上
に実施例1(2)と同様にして潤滑層を形成して、磁気
記録媒体を得た。この磁気記録媒体の断面を模式的に図
6に示す。図6に示したように、この磁気記録媒体では
ガラス基板11上にAl金属層製微小突起12が不連続
的に設けられており、この上にはCr層からなる中間層
13、組成がCo80Pt7 Cr13の合金をターゲットと
して用いて得た磁性層14、カーボン層からなる保護層
15、およびパーフルオロポリエーテルからなる潤滑層
16が順次形成されている。この磁気記録媒体につい
て、中心線平均粗さRaおよび表面の凸部の高さの標準
偏差σZiをそれぞれ実施例1(2)と同様にして測定し
た。これらの結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1に示した中心線平均粗さRaの値から
明らかなように、実施例1〜2で得られた各磁気記録媒
体の表面には、ヘッドスライダーとの吸着を回避するこ
とが可能な凹凸が形成されている。また、実施例1〜2
で得られた各磁気記録媒体では表面の凸部の高さの標準
偏差σZiが0.38または0.45と小さいことから、
これらの磁気記録媒体はヘッドクラッシュ現象を十分に
防止することが可能である。
明らかなように、実施例1〜2で得られた各磁気記録媒
体の表面には、ヘッドスライダーとの吸着を回避するこ
とが可能な凹凸が形成されている。また、実施例1〜2
で得られた各磁気記録媒体では表面の凸部の高さの標準
偏差σZiが0.38または0.45と小さいことから、
これらの磁気記録媒体はヘッドクラッシュ現象を十分に
防止することが可能である。
【0034】一方、比較例1の磁気記録媒体の表面にも
ヘッドスライダーとの吸着を回避することが可能な凹凸
が形成されているが、表面の凸部の高さの標準偏差σZi
が0.71と大きいことから、この磁気記録媒体はヘッ
ドクラッシュ現象を十分に防止することが困難である。
ヘッドスライダーとの吸着を回避することが可能な凹凸
が形成されているが、表面の凸部の高さの標準偏差σZi
が0.71と大きいことから、この磁気記録媒体はヘッ
ドクラッシュ現象を十分に防止することが困難である。
【0035】なお、実施例1で得られた磁気記録媒体に
ついて、更に2箇所の測定範囲を任意に設定し、これら
の測定範囲における表面の凸部の高さの標準偏差σZiを
求めたところ、これらの箇所における標準偏差σZiと上
記表1に示した標準偏差σZiとの間には差が殆ど認めら
れなかった。同じことが、実施例2で得られた磁気記録
媒体においても確認された。
ついて、更に2箇所の測定範囲を任意に設定し、これら
の測定範囲における表面の凸部の高さの標準偏差σZiを
求めたところ、これらの箇所における標準偏差σZiと上
記表1に示した標準偏差σZiとの間には差が殆ど認めら
れなかった。同じことが、実施例2で得られた磁気記録
媒体においても確認された。
【0036】実施例1〜2および比較例1の各磁気記録
媒体の摩擦係数を比較するため、それぞれの磁気記録媒
体の初期動摩擦係数を以下のようにして測定した。ま
ず、市販の摩擦・摩耗試験機の回転スピンドルに、1.
5kgfcmの締め付けトルクで磁気記録媒体を装着
し、ヘッドスライダーの内周側(磁気記録媒体に対して
の内周側)のエアベアリング面(ABS)が磁気記録媒
体の中心から17.5mmの所にくるようにして、ヘッ
ドスライダーを磁気記録媒体上に設置した。次いで、ヘ
ッドスライダーを30秒間磁気記録媒体上に保持した
後、磁気記録媒体を1rpmで3回転させ、その間、歪
みゲージ式センサーでヘッドスライダーと磁気記録媒体
との間の摩擦信号を検知した。そして、検知した摩擦信
号はパーソナルコンピュータに取り込んで1kHzのサ
ンプリング周波数で量子化し、各サンプリング周期にお
ける摩擦力をコンピュータの内部メモリーに記憶させ、
それらの摩擦力の算術平均を計算した。この後、ヘッド
荷重(サスペンションによりヘッドスライダーに負荷さ
れている荷重)で前記算術平均値を除し、この値を初期
動摩擦係数とした。この測定では、ヘッドスライダーと
してIBM社製3370タイプのインライン型ヘッドス
ライダーを用いた。このヘッドスライダーの荷重は6.
5gf、材質はAl2 O3 −TiCである。また、測定
はクリーン度100のクリーンルーム内で行い、その際
の室温は24℃、湿度は42%R.Hであった。測定結
果は比較例1の磁気記録媒体の初期動摩擦係数を基準と
して規格化した。この結果を表2に示す。
媒体の摩擦係数を比較するため、それぞれの磁気記録媒
体の初期動摩擦係数を以下のようにして測定した。ま
ず、市販の摩擦・摩耗試験機の回転スピンドルに、1.
5kgfcmの締め付けトルクで磁気記録媒体を装着
し、ヘッドスライダーの内周側(磁気記録媒体に対して
の内周側)のエアベアリング面(ABS)が磁気記録媒
体の中心から17.5mmの所にくるようにして、ヘッ
ドスライダーを磁気記録媒体上に設置した。次いで、ヘ
ッドスライダーを30秒間磁気記録媒体上に保持した
後、磁気記録媒体を1rpmで3回転させ、その間、歪
みゲージ式センサーでヘッドスライダーと磁気記録媒体
との間の摩擦信号を検知した。そして、検知した摩擦信
号はパーソナルコンピュータに取り込んで1kHzのサ
ンプリング周波数で量子化し、各サンプリング周期にお
ける摩擦力をコンピュータの内部メモリーに記憶させ、
それらの摩擦力の算術平均を計算した。この後、ヘッド
荷重(サスペンションによりヘッドスライダーに負荷さ
れている荷重)で前記算術平均値を除し、この値を初期
動摩擦係数とした。この測定では、ヘッドスライダーと
してIBM社製3370タイプのインライン型ヘッドス
ライダーを用いた。このヘッドスライダーの荷重は6.
5gf、材質はAl2 O3 −TiCである。また、測定
はクリーン度100のクリーンルーム内で行い、その際
の室温は24℃、湿度は42%R.Hであった。測定結
果は比較例1の磁気記録媒体の初期動摩擦係数を基準と
して規格化した。この結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】表2から明らかなように、実施例1〜2で
得られた各磁気記録媒体の初期動摩擦係数は、比較例1
の磁気記録媒体の初期動摩擦係数よりも小さい。
得られた各磁気記録媒体の初期動摩擦係数は、比較例1
の磁気記録媒体の初期動摩擦係数よりも小さい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればス
ティクション問題の解決とヘッドクラッシュ現象の十分
な防止とを同時に達成することができる磁気記録媒体を
提供することが可能になる。
ティクション問題の解決とヘッドクラッシュ現象の十分
な防止とを同時に達成することができる磁気記録媒体を
提供することが可能になる。
【図1】実施例1でSi基板上に形成した下地層を模式
的に示す図である。
的に示す図である。
【図2】実施例1でSi基板上に形成した下地層のSE
Mによる表面形状観察例を示す写真である。
Mによる表面形状観察例を示す写真である。
【図3】実施例1でSi基板上に形成した下地層のES
CAによる深さ方向分析結果を示すグラフである。
CAによる深さ方向分析結果を示すグラフである。
【図4】実施例1で得られた磁気記録媒体の断面を模式
的に示す図である。
的に示す図である。
【図5】実施例2でガラス基板上に形成した下地層のE
SCAによる深さ方向分析結果を示すグラフである。
SCAによる深さ方向分析結果を示すグラフである。
【図6】比較例1で得られた磁気記録媒体の断面を模式
的に示す図である。
的に示す図である。
【図7】磁気記録媒体表面に形成された凸部の高さの標
準偏差の測定方法を説明するための図である。
準偏差の測定方法を説明するための図である。
1…Si基板、 2…SiC膜からなる下地層、 3,
13…中間層、 4,14…磁性層、 5,15…保護
層、 6,16…潤滑層、 11…ガラス基板、 12
…Al製微小突起、 20…断面曲線、 21…平均
線、 22…基準線。
13…中間層、 4,14…磁性層、 5,15…保護
層、 6,16…潤滑層、 11…ガラス基板、 12
…Al製微小突起、 20…断面曲線、 21…平均
線、 22…基準線。
Claims (3)
- 【請求項1】 非磁性基板と磁性層との間に下地層を設
けることによりヘッドスライダーとの吸着を回避するこ
とが可能な凹凸を表面に形成した磁気記録媒体であっ
て、前記下地層が炭素およびケイ素を構成元素とする化
合物からなり、かつ前記表面に形成された凸部の高さの
標準偏差が0.5nm以下であることを特徴とする磁気
記録媒体。 - 【請求項2】 表層上面の平均面に直角な平面で該表層
を切断したときに該表層上面の表面粗さによる凹凸に対
応してその切り口に現れる輪郭を断面曲線とし、この断
面曲線全体から任意に抜き取った基準長さLの範囲にお
いて被測定平面の称呼形状(平均面)をもつ直線または
曲線でかつその線から断面曲線までの偏差の二乗和が最
小になるように設定した線を断面曲線の平均線とし、こ
の平均線に平行な直線または曲線線であって、前記断面
曲線を横切らずかつ前記平均線よりも下方に位置する線
を設定してこれを基準線とし、この基準線から前記断面
曲線に現れる各山部の頂部までの距離をZiとし、この
Ziが最大のものから順に第10番目のものまでをZi
のiがそれぞれi=1〜10であるとしたとき、前記Z
i(i=1〜10)の標準偏差が0.5nm以下であ
る、請求項1に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項3】 下地層と磁性層との間に、クロム、モリ
ブデン、タングステン、チタンおよびタンタルからなる
群より選択される少なくとも1種の材料で形成された磁
気特性改善用の中間層を有する、請求項1または請求項
2に記載の磁気記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26226393A JPH07121853A (ja) | 1993-10-20 | 1993-10-20 | 磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26226393A JPH07121853A (ja) | 1993-10-20 | 1993-10-20 | 磁気記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07121853A true JPH07121853A (ja) | 1995-05-12 |
Family
ID=17373359
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26226393A Pending JPH07121853A (ja) | 1993-10-20 | 1993-10-20 | 磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07121853A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5825596A (en) * | 1996-02-13 | 1998-10-20 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Hard disk drive |
-
1993
- 1993-10-20 JP JP26226393A patent/JPH07121853A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5825596A (en) * | 1996-02-13 | 1998-10-20 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Hard disk drive |
US5909341A (en) * | 1996-02-13 | 1999-06-01 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Hard disk drive |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020722 |