JP3969727B2 - 磁気ディスク及び磁気記録装置 - Google Patents
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Description
また、CSS方式では、停止時に磁気ディスクと磁気ヘッドとが接触吸着してしまわないように、磁気ディスク主表面上にテクスチャと呼ばれる一定の表面粗さの凹凸形状を設けることが行われている。また、CSS方式では、磁気ヘッドの接触摺動から磁気ディスクを保護するために、磁気ディスクの表面を保護層で被覆する等されてきた。
このLUL方式では、CSS方式のように磁気ディスク面上に磁気ヘッドの接触摺動用領域を設ける必要がないため、CSS方式に比べて記録再生用領域の面積を広く確保でき、磁気ディスクの記録容量を増やせるという利点がある。
また、LUL方式では、磁気ディスクと磁気ヘッドとが接触しないので、CSS方式のようにテクスチャを設ける必要が無く磁気ディスク表面を更に平滑化できる。従って、磁気ヘッドの浮上量をCSS方式のばあいよりも低下(15nm以下)させて、磁気ディスクの記録密度を高めることが出来るという利点もある。
近年の磁気ヘッドは、浮上量制御の容易なNPABスライダ(負圧スライダ)が採用されているが、浮上走行時には、スライダ面に負圧が発生するために、磁気ヘッドは、磁気ディスク面上の記録再生用領域に存在する微量な有機系、無機系の付着物等を掃除機のように徐々にスライダ面に集め濃縮し、スライダ面に堆積させてしまう傾向にある。
CSS方式に比べてLUL方式の場合の方が、腐食障害が発生しやすい傾向にある原因について、本発明者が研究したところによると、CSS方式では、これら磁気ヘッドに移着した堆積物質は、磁気ヘッドが磁気ディスク面上の接触摺動用領域を接触摺動するときにクリーニングされるが、LUL方式では、磁気ヘッドが磁気ディスク上を接触摺動しないために、このクリーニング作用が得られないことを突き止めた。
また、磁気抵抗効果型ヘッドは従来用いられてきた薄膜ヘッドとは異なり、記録素子と再生素子が分離している録再分離構造を有している。録再分離構造の場合、両素子間にFe−Ni系などのパーマロイ等のシールドを広く形成する必要がある。このパーマロイは腐食されやすい合金であるために、薄膜ヘッドと異なり、磁気抵抗効果型ヘッドの場合、腐食現象を厳重に防止する必要があることが判った。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、磁気ヘッドの腐食障害の発生を抑えることが可能な磁気ディスクを提供することにある。
磁気ディスク装置では、磁気ディスク端面上を磁気ヘッドが浮上飛行することは無いので、従来、前記特許文献1に記載があるようにディスク主表面の保護層については種々検討がなされていたが、磁気ディスク端面に形成される保護層については十分な留意が払われていなかった。
(1)磁性層を構成する金属イオン(Coイオン等)は、酸性系コンタミ、特に硫酸イオン(SO4 2−)系コンタミを吸引しやすいこと。
金属イオンは陽イオンであり、酸性系コンタミは陰イオンであることから、両者の親和性は高いと考えられる。
(2)磁気ディスク端面は主表面に比べて、磁性層の金属イオンが保護層を浸透して表面に浸出し易いこと。
磁気ディスク端面は、高度に精密鏡面化されている主表面と比べて表面粗さが粗い場合が多いので、主表面と同一の保護層膜厚でも保護層被覆率が低下し易く、結果、磁性層を構成する金属イオンが保護層を浸透して、端面表面に浸出し易いと考えられる。
浸出した金属イオンは上記(1)のメカニズムにより、端面表面に酸性系コンタミを誘引、吸着すると考えられる。
磁気ディスク装置の作動環境は周囲の装置及び磁気ディスク装置駆動部の発熱により40℃以上となる場合が多く、ディスク主表面、特に、内周又は外周端面近傍の主表面に拡散し易いと考えられる。
従って、磁気ディスク端面は主表面に比べて、磁気ディスク装置雰囲気に存在する微量の酸性系コンタミ(特に、硫酸イオン系コンタミ)が選択的に付着し易く、付着した硫酸イオンが直接、又は、金属イオンを担体として磁気ディスク主表面に拡散し、磁気ヘッドが吸引、スライダー上に移着堆積して、腐食現象が発生していると考察され、特に前述のLUL方式の場合では、前述のクリーニング作用が得られないので、CSS方式に比べて腐食障害の発生が促進されているものと説明できる。
本発明者は。上記知見に基づいて、特にLUL方式で顕著となり易い腐食障害を解決するために、以下の構成を有する発明を完成した。
勿論、CSS方式用磁気ディスクに採用することも好適である。
(構成2)前記磁性層からの金属イオンの溶出量が25μg/m2以下であることを特徴とする構成1記載の磁気ディスク。
(構成3)前記磁気ディスク端面の保護層の被覆率は95%以上であることを特徴とする構成1又は2記載の磁気ディスク。
(構成4)前記保護層はスパッタリング法により形成された保護層であることを特徴とする構成1乃至3の何れか1項に記載の磁気ディスク。
(構成5)前記保護層はプラズマCVD法により形成された保護層であることを特徴とする構成1乃至3の何れか1項に記載の磁気ディスク。
(構成6)前記磁性層はコバルト(Co)合金系磁性層であることを特徴とする構成1乃至5の何れか1項に記載の磁気ディスク。
(構成7)前記基板の前記端面が、表面粗さRmaxが1μm以下、Raが0.1μm以下の鏡面に形成されていることを特徴とする構成1乃至6の何れか1項に記載の磁気ディスク。
(構成8)前記磁気ディスクが、ロードアンロード方式の磁気記録装置に搭載されることを特徴とする構成1乃至7の何れか1項に記載の磁気ディスク。
(構成9)構成1乃至8の何れか1項に記載の磁気ディスクと、磁気ヘッドとを備えたことを特徴とする磁気記録装置。
磁気ヘッドの腐食現象の発生を防止するためには、磁気ヘッドの腐食を引き起こす要因である、磁性層からの金属イオンの溶出を抑制することが重要である。たとえば、保護層の膜厚を厚くしたり、更に磁性層と保護層との間にCr等の不導体層を入れるなどして、磁性層からの金属イオンの溶出を抑える方法もあるが、高記録密度の磁気ディスクを提供するためには、スペーシングロスを抑えることが必要となったため、保護層及び不導体層の膜厚を低減する必要が生じてきた。
保護層が、ディスク基板端面上の磁性層を被覆することにより、基板端面において特に浸出しやすい前記金属イオンの浸出を好適に防止することが可能となる。
なお、ディスクの内周側端面からの金属イオンの溶出量は、外周側端面からの金属イオンの溶出量よりも少ないと考えられる。何故ならば、内周側端面の円周長は外周側端面の円周長よりも小さいからである。また、同様に、内周側端面部分に誘引付着される酸性系コンタミの量は少ないと考えられる。また、通常の磁気ディスク装置においては、内周側端面部分はスピンドルハブに接しているため、磁気ディスク装置雰囲気に暴露される部分が少ないと考えられる。しかし、本発明の効果をより確実に得る観点からは、内周側端面についても、保護層膜厚を35Å以上とすることが望ましい。
なお、上述の端面保護層膜厚及び主表面保護層膜厚の範囲内で、端面保護層膜厚の方を厚くすることが好ましい。前述のように、磁気ディスク端面は、高度に精密鏡面化されている主表面と比べて表面粗さが粗い場合が多いので、主表面と同一の保護層膜厚でも保護層被覆率が低下し易く、結果、磁性層を構成する金属イオンが保護層を浸透して、端面表面に浸出し易いからである。このようにすることで、端面の保護層被覆率を好適なものとすることができる。
通常、主表面の保護層の膜厚は、磁気ディスク装置としての所望の情報記録密度を実現するために適宜設定される場合が多い。例えば、所望の情報記録密度を実現するために、所定のスペーシングロスが設定され、このスペーシングロスを実現するために、所定の主表面の保護層膜厚が設定される。このようにして磁気ディスクの主表面の保護層膜厚は決定される。本発明においては、この主表面の保護層膜厚よりも、端面の保護層の膜厚を厚くする。主表面に比べて端面の保護層膜厚を厚くすることで、端面において特に浸出しやすい前記金属イオンの浸出を好適に防止することが可能となる。
なお、この場合にあっても、前記の通り、端面の保護層膜厚を35Å以上とすることが好ましい。また前記のとおり、主表面の保護層膜厚を30Å以上とすることが好ましい。
また本発明において、保護層表面部分を窒素を含有する炭素系保護層とすることも好適である。窒素を含有する炭素系保護層は酸性系、特に、硫酸系コンタミの付着を防止する作用があるので、本発明にとって好適である。従って、保護層の磁性層に接する部分を炭素水素系保護層、保護層の表面部分を炭素窒素系保護層又は炭素水素窒素系保護層とすると、本発明にとって好適である。
なお、本発明において炭素系保護層は、炭素を主成分とするダイヤモンドライク炭素保護層とすることが好ましい。炭素水素系保護層や炭素窒素系保護層においても、炭素を主成分とするダイヤモンドライク炭素保護層として形成されることが好ましい。
なお、保護層の成膜は、以上のスパッタリング法に限定されず、たとえば、バイアスを印加しながらプラズマCVD法により行うことも可能である。
具体的には、磁性層は、CoPt系合金、CoCr系合金、CoCrPt系合金、CoCrPtTa系合金、CoCrPtB系合金、CoCrPtTaB系合金、CoCrNi系合金等を用いて構成できる。
潤滑層の膜厚は、本発明においては特に限定されないが、通常5〜20Å程度とするのが好ましい。
このようなアルミノシリケートガラスは、化学強化することによって、ガラス基板表面に圧縮応力層を設けることができ、抗折強度や、剛性、耐衝撃性、耐振動性、耐熱性に優れ、高温環境下にあってもNaの析出がないとともに、平坦性を維持し、ヌープ硬度にも優れる。
また、ガラス基板の厚さは、0.1mm〜1.5mm程度が好ましい。
シード層としては、例えば、Al系合金、Cr系合金、NiAl系合金、NiAlB系合金、AlRu系合金、AlRuB系合金、AlCo系合金、FeAl系合金等のbccまたはB2結晶構造型合金等を用いることにより、磁性粒子の微細化を図ることができる。特に、AlRu系合金、中でもAl:30〜70at%、残部がRuの配合量の合金であれば、磁性粒子の微細化作用に優れているので好ましい。
オンセット層としては、磁性層と同様の結晶構造をもつ非磁性材料を用いることにより、磁性層のエピタキシャル成長を助けることができる、例えば、磁性層がCo系合金材料からなる場合は、非磁性のhcp結晶構造をもつ材料、例えば、CoCr系合金、CoCrPt系合金、CoCrPtTa系等を用いる。
その他の、磁性層、保護層及び潤滑層についての詳細はすでに説明したとおりである。
また、前記潤滑層の形成は、ディップ法、スプレイ法、スピンコート法等、公知の方法を用いることが出来る。
以上のように、本発明の磁気ディスクによると、ディスクの端面を被覆する保護層の膜厚を厚く形成する、例えば35Å以上とすることにより、金属イオンの溶出量を一定値以下に抑制することが出来、金属イオンの溶出を原因とする磁気ヘッドの腐食現象の発生を防止することが可能となる。また、ディスクの主表面の保護層の膜厚は30Å以上とすることで、金属イオンの溶出を抑制できる上に、保護層膜厚の低減を実現でき、その結果、スペーシングロスを抑えて、記録再生信号の出力を大きくし良好な記録再生を行うことが可能になる。
(実施例1)
本実施例の磁気ディスク10は、図1に示すように、ガラス基板1上に、シード層2、下地層3、磁性層4、保護層5、潤滑層6を順次積層してなる。
本実施例では、まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.5mmの円盤状のアルミノシリケートガラスからなるガラス基板を得、これに粗ラッピング工程(粗研削工程)、形状加工工程、精ラッピング工程(精研削工程)、端面鏡面加工工程、第1研磨工程、第2研磨工程を順次施すとともに、次いで化学強化を施すことにより、磁気ディスク用ガラス基板1を製造した。このガラス基板1は、主表面、端面ともに鏡面研磨加工されている。
得られたガラス基板1は、図3に示すように、2つの主表面11と、その間に形成された端面12からなり、端面12は2つの面取部12bと、その間に形成された側壁部12aとからなる。この端面は、ガラス基板1の内周側及び外周側に同様に形成されている。なお、端面の表面粗さは、Rmaxで0.8μm、Raで0.07μmであり、主表面に比べて粗かった。
シード層2は、CrTi薄膜(膜厚300オングストローム)からなる第1のシード層2aと、AlRu薄膜(膜厚:400オングストローム)からなる第2のシード層2bを形成した。
下地層3は、CrW薄膜(膜厚:100オングストローム)で、磁性層の結晶構造を良好にするために設けた。なお、このCrW薄膜は、Cr:90at%、W:10at%の組成比で構成されている。
磁性層4は、CoPtCrB合金からなり、膜厚は、200オングストロームである。この磁性層のCo、Pt、Cr、B の各含有量は、Co:73at%、Pt:7at%、Cr:18at%、B:2at%である。なお、磁性粒子グレインサイズをTEM(透過型電子顕微鏡)の平面撮影で調査したところ平均7nmであった。
潤滑層6は、パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成し、110℃60分間加熱焼成し、膜厚は9オングストロームとした。なお、上記パーフルオロポリエーテル(PFPE)として、PFPE主鎖の両末端に水酸基(−OH)を備えるアルコール変性PFPEを用いた。
得られた磁気ディスクについて、ディスク外周端面を評価したところ、ガラス基板1の側壁部12aと面取部12bを含む、ディスク端面102の全領域に磁性層と保護層が形成されていた。また、内周端面についても同様であった。主表面及び端面の保護層の膜厚は、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により測定した。また、これらの保護層の被覆率は、X線光電子分光分析法により測定した。なお、端面の測定については外周端面で測定した。
さらに、得られた磁気ディスクについて、以下のCoイオン溶出試験、硫酸イオン付着性試験、及び磁気ヘッドの記録再生素子部の腐食検査を行った。
〔Coイオン溶出試験〕
得られた磁気ディスクを70℃80%RHの高温高湿環境下に48時間放置後、その磁気ディスクを80℃の純水にて1時間抽出(温水抽出法)した後の純水に含まれるCo2+イオン量をイオンクロマトグラフィーにて測定した。
磁気ヘッドの記録再生素子部の腐食を観察するため以下の処理を行った。
すなわち、得られた磁気ディスクを、40℃75%RHの環境下の高温高湿恒温槽にセットし、さらに10ppmのSO2ガスをこの高温高湿恒温槽内に導入することにより、高温高湿雰囲気にSO2ガスを導入した腐食環境で磁気ディスクを12時間暴露し、この磁気ディスクを磁気ヘッドと共に磁気記録装置に装着し、以下の耐久信頼性試験を行った。
なお、上述の腐食環境で磁気ディスクを暴露後、磁気ディスクに付着した硫酸イオン(SO4 2−)を前述の温水抽出法と同様の方法で抽出し、硫酸イオン付着量をイオンクロマトグラフィーにて測定した。
〔LUL試験〕
磁気記録装置に、上記磁気ディスクと、巨大磁気抵抗効果型再生素子(GMR素子)を備えた磁気ヘッドとを装着し、磁気ヘッド浮上時の浮上量を12nmとし、磁気記録装置内の環境を70℃、80%RHの高温高湿環境下で、80万回のヘッドのロード・アンロード動作を繰り返し行った。
本実施例の磁気ディスクについて、主表面及び外周側端面の保護層の膜厚及び被覆率、並びにCoイオン溶出試験、硫酸イオン付着性試験、磁気ヘッドの記録再生素子部の腐食検査の結果をまとめて後記表1に示す。
保護層を成膜する際、印加する高周波バイアスを種々変更し、あわせて成膜時間を変更して、主表面と端面の保護層の膜厚を種々変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜5の各磁気ディスクを作製し、実施例1と同様の試験を行った。これらの結果はまとめて後記表1に示す。
(比較例1)
保護層を成膜する際、印加する高周波バイアスを80Wとし、主表面と端面の保護層の膜厚を変更したこと以外は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記表1に示す。
(比較例2)
保護層を成膜する際、バイアスを印加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製し、実施例1と同様の試験を行った。結果は後記表1に示す。
すなわち、本発明の実施例のように、端面の保護層膜厚を35Å以上とすることにより、Coイオンの溶出量を25μg/m2以下に出来る。その結果、磁気ヘッドの腐食現象発生率をゼロにすることが可能となる。また、端面の保護層膜厚を35Å以上とすることにより、端面の保護層の被覆率を95%以上に出来る。
また、比較例2では、主表面の保護層膜厚は例えば実施例2と同じであるが、端面の保護層膜厚は12Åとかなり薄く、端面の保護層被覆率も非常に低くなり、端面の磁性層が保護層で十分被覆されておらず、Coイオンの溶出量も非常に高い値を示している。その結果、磁気ヘッドの腐食現象発生率も50%と非常に高くなる。
また、磁気ディスクをSO2ガス雰囲気に暴露し、磁気ディスク面上に硫酸イオンを付着させ、このような付着物が磁気ヘッドへ移着、堆積する現象を加速させるような過酷な試験条件においても、本発明の実施例は比較例よりも硫酸イオンの付着量が少なく、腐食現象の発生を防げる。このように実施例では硫酸イオンの付着量が少ないことについても、本発明者の考察のように、端面の保護層との間に因果関係があるものと判断できる。
次に実施例6の磁気ディスクを製造した。実施例1と同様に磁性層4まで形成したのちに、保護層5をプラズマCVD法で形成した。具体的には、材料ガスとしてアセチレンガスを用い、高周波電力(周波数27MHz)を電極に印加してプラズマを発生させ、CVD法で形成した。このとき、基板温度は250℃、真空度を5×10−7mb程度とした。成膜時の基板には高周波バイアス100Wを印加した。この点以外は実施例1と同様の製造方法による同様の磁気ディスクである。
得られた磁気ディスクを実施例1と同様に試験したところ、主表面の保護層膜厚は30Å、主表面の保護層被覆率は100%、端面の保護層膜厚は35Å、端面の保護層被覆率は100%であった。また、磁性層のCoイオン溶出量は14μg/m2となった。GMR素子・シールド部腐食率や、硫酸イオン付着性試験結果は実施例1と同様であった。従って、プラズマCVD法で保護層を形成した場合、スパッタリング法で形成する場合と同等か、それ以上の好ましい特性が得られることが分かった。製造コストの観点を重視する場合はスパッタリング法を選択することができ、磁気ディスクの品質を重視する場合はプラズマCVD法を選択することができる。特に、磁気ヘッドの浮上量が12nm以下の磁気ディスク装置に用いるための磁気ディスクにあっては、プラズマCVD法を選択すると良い。
なお、以上の実施の形態では、基板に印加する高周波バイアスのエネルギーに基づいて、主表面に対する端面の保護層膜厚比を制御したが、例えば、ガス流量や基板温度その他の製造条件に基づいて制御することも可能である。
以上詳細に説明したように、本発明の磁気ディスクによれば、ディスクの端面を被覆する保護層の膜厚を厚く形成する、例えば35Å以上とすることにより、磁性層からの金属イオンの溶出量を一定値以下に抑制することが出来、金属イオンの溶出を要因とする磁気ヘッドの腐食現象の発生を有効に防止することが可能となる。
また、上記端面の保護層の被覆率を95%以上とすることにより、保護層が端面部位を被覆する度合いを高め、端面からの金属イオンの溶出を十分に抑制することが可能になる。
また、上記保護層は炭素系保護層で構成することにより、剛性の高い、耐磨耗性に優れた保護層を形成でき、特に水素を含有する炭素系保護層は緻密な構造で、磁性層からの金属イオンの溶出を抑制する作用が高い。
また、上記保護層をスパッタリング法により形成することにより、成膜中にバイアスを印加することで、ディスクの主表面と端面の保護層の膜厚をそれぞれコントロールすることができ、本発明の磁気ディスクが容易に得られる。また、保護層の成膜は、バイアスを印加しながらプラズマCVD法により行うことも可能であり、特に高品質の磁気ディスクが得られる。
また、上記磁性層として、磁性層から溶出しやすいCo等を含む磁性材料を用いた場合、本発明の作用を有効に発揮できる。
2 シード層
3 下地層
4 磁性層
5 保護層
6 潤滑層
10 磁気ディスク
Claims (9)
- ディスク基板上に順次形成された磁性層と炭素系保護層とを含む薄膜を有する磁気ディスクであって、
前記基板が、主表面と面取部及び側壁部からなる端面とを有し、
前記磁性層及び前記保護層が、前記基板の前記主表面上、前記面取部上及び前記側壁部上に形成されており、
前記保護層が前記磁性層を被覆しているとともに、前記面取部及び前記側壁部に形成された保護層は、前記主表面に形成された保護層の膜厚よりも厚く形成されており、
前記主表面に形成された保護層の膜厚が30Å以上で、且つ、前記面取部及び側壁部の保護層の膜厚が35Å以上であることを特徴とする磁気ディスク。 - 前記磁性層からの金属イオンの溶出量が25μg/m2以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク。
- 前記磁気ディスク端面の保護層の被覆率は95%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気ディスク。
- 前記保護層はスパッタリング法により形成された保護層であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の磁気ディスク。
- 前記保護層はプラズマCVD法により形成された保護層であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の磁気ディスク。
- 前記磁性層はコバルト(Co)合金系磁性層であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の磁気ディスク。
- 前記基板の前記端面が、表面粗さRmaxが1μm以下、Raが0.1μm以下の鏡面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の磁気ディスク。
- 前記磁気ディスクが、ロードアンロード方式の磁気記録装置に搭載されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の磁気ディスク。
- 請求項1乃至8の何れか1項に記載の磁気ディスクと、磁気ヘッドとを備えたことを特徴とする磁気記録装置。
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