JPH07121438B2 - 半凝固金属スラリー製造装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、半凝固金属スラリー製造装置に関するもので
ある。

［従来の技術］ ２元金属元素以上の金属合金において、固液共存温度域
で溶融金属中に微細球状結晶粒をできるだけ多く存在さ
せた半凝固金属スラリーを得る方法として、凝固開始点
から溶融金属に温度制御を行いつつ攪拌剪断力を与え、
成長するデンドライト結晶組織を破砕して溶融金属中に
均一に微細球状結晶粒を混在させる方法があり、この方
法を実現するための手段として種々のものが提案されて
いる。

而して、従来の半凝固金属スラリー製造装置としては、
例えば、特公昭56−20944号公報に示すような装置があ
る。該装置では、容器外周に設けた冷却装置及び加熱装
置により溶融金属の温度制御を行いつつ攪拌棒の回転に
より容器内の溶融金属を撹拌して半凝固金属スラリーを
形成せしめ、形成された半凝固スラリーを容器下部に設
けた出口より取出している。

上述の半凝固金属スラリーから薄板を製造する場合に
は、容器から取出された半凝固金属スラリーを、例えば
双ロール式連鋳機に供給し、一対の冷却ロールにより冷
却、固化して鋳片を形成し、該鋳片を冷却ロール間から
引抜く。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、上述の装置で、半凝固金属スラリーを容
器から双ロール式連鋳機に供給する場合、容器下端に設
けた出口は円形状若しくは多角形状であるため、排出さ
れる半凝固金属スラリーも円柱状となり、冷却ロール間
の湯溜めに均一に広がるのに時間が掛かる。従って鋳造
開始時には所定の断面形状の板を得ることができず、生
産能率や歩留りが悪いという問題がある。

本発明は上述の実情に鑑み、所定幅の矩形断面形状の半
凝固金属スラリーを排出し得るようにすることを目的と
してなしたものである。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、容器内に回転可能なスタラーを配設し、該ス
タラーを回転させることにより容器内溶融金属に攪拌剪
断力を与え半凝固スラリーを形成し得るようにした半凝
固金属スラリー製造装置において、前記容器の下部に半
凝固金属スラリー排出用の容器を取付け、該容器中空部
の水平断面形状を上方で円形に、又下方で偏平形状に形
成し、該容器の偏平形状部に、偏平形状に対して長手方
向へ幅調整可能な堰板を設けたものである。

［作用］ 半凝固金属スラリーは、該スラリー排出用の容器内で均
一に広がり、断面形状が堰板の調整量に対応した幅の偏
平形状となって外部へ排出される。

［実 施 例］ 以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。

第１図〜第３図は本発明の一実施例であり、外部を鉄皮
１により被覆され内部に耐火材２を設けた中空円筒状の
容器３をケーシング４に装着すると共に、容器３上側部
に、外方から溶融金属を容器３内に供給する溶融金属供
給管５を固着し、容器３の鉄皮１と耐火材２との間に、
溶融金属加熱用の熱媒体と循環させる熱媒体供給管６と
溶融金属冷却用の冷却媒体を循環させる冷却媒体供給管
７を配設する。

容器３の下部に、鉄皮８及び耐火材９から成る半凝固金
属スラリー排出用の容器10を取付け、鉄皮８と耐火材９
との間に半凝固金属スラリー加熱用の熱媒体を循環させ
る熱媒体供給管11を配設し、容器10の下部に、図示して
いないが、例えば左右一対の冷却ロールを有する双ロー
ル式連鋳機を配設する。

容器10中空部上部の水平断面形状は第２図に示すように
円形をしていると共に、その径は容器３中空部下端の径
より小径に形成されている。又容器10の両側は上方から
中途部に向けて所要の傾斜角度で徐々に水平方向へ広が
ると共に中途部から下端にかけては略垂直に形成されて
いる。

容器10垂直部下部両側部の切取られた部分には、流体圧
シリンダ13により開閉し得るようにした堰板14を、ピン
15を介して取付け、容器10及び堰板14により形成される
下端出口12の水平断面形状を偏平な矩形状に形成する。
又堰板14は鉄皮16、耐火材17、熱媒体供給管18により形
成する。

ケーシング４の上部に別のケーシング19を設置し、該ケ
ーシング19に取付けた軸受20に、駆動装置により回転さ
せ得るようにした竪軸21を嵌合、支持させ、該竪軸21の
下端フランジ部15aに竪向きの流体圧シリンダ22を配設
し、竪軸21の下端に例えばセラミック製のスタラー23を
配設して前記流体圧シリンダ22のピストンロッド22a下
端を竪軸21の上端フランジ部23aに係合させ、又竪軸21
からスタラー23に動力の伝達が可能になるよう、フラン
ジ部21aと23aの間にキー18を介在せしめる。

スタラー23の溶融金属攪拌部の断面形状を多角形状若し
くは円筒形状とすると共に、スタラー23の溶融金属攪拌
部の内部に、加熱手段として誘導電流を生じせしめる例
えば螺旋状の鉄片25を埋込み、スタラー23より小径で容
器10内に位置するセラミック製の案内部材26を、前記ス
タラー23下端に一体的に固着し、案内部材26の外周に螺
旋状の案内溝26aを刻設する。

なお、図中27はケーシング19に設けたガス排出用の管、
28は溶融金属である。

半凝固金属スラリー製造時には、流体圧シリンダ22によ
りスタラー23を下降させ、スタラー23下端と容器10の耐
火材９上面との間の隙間を極く小さくし、流体圧シリン
ダ13により、堰板14を調整して容器10の下端出口12の幅
Ｗを製造すべき板の幅に合せ、竪軸21を駆動してスタラ
ー23を回転させ、管27より容器３内のガスを吸引、排気
し、鉄片25に通電を行って誘導電流を発生させ、熱媒体
供給管6,11,18に熱媒体を循環させる。このため、スタ
ラー23は誘導電流により、又容器3,10、堰板14の耐火材
2,9,17壁面は熱媒体により、夫々所望の温度まで加熱さ
れる。

スタラー23及び耐火材2,9,17が所定の温度まで加熱され
たら、溶融金属供給管５より容器３内に溶融金属28を供
給し、必要に応じ熱媒体供給管６に熱媒体を、又冷却媒
体供給管７に冷却媒体を供給し、更にスタラー23の誘電
電流による加熱を続行するか或いは中止し、溶融金属の
温度制御を行いつつスタラー23により溶融金属に攪拌剪
断力を与え、成長するデントライト結晶組織を破砕して
溶融金属中に均一な微細球状結晶粒を混在させ、半凝固
金属スラリーを製造する。溶融金属の供給開始時におい
ても、スタラー23及び耐火材２は所定の温度に加熱され
ているため、溶融金属がスタラー23や耐火材２により冷
却されず、従って凝固殻の発生を防止できる。

所定の半凝固金属スラリーが形成されたら、流体圧シリ
ンダ22によりスタラー23を上昇させ、スタラー23下端と
容器10の耐火材９の上面との間に略Ｘの隙間を形成さ
せ、半凝固金属スラリーを容器３から容器10の下端出口
12を経て双ロール式連鋳機の湯溜りへ供給する。

この際、半凝固金属スラリーは、回転している案内部材
26の案内溝26aに沿い案内されて排出されるため、半凝
固金属スラリーは、容器10内へ円滑に排出される。又半
凝固金属スラリーは、容器10内で長手方向へ均一に広が
ると共に堰板14により下端出口12での幅を規制されるた
め双ロール式連鋳機へは、所定幅でしかも断面が偏平な
矩形状の状態で供給される。従って双ロール式連鋳機で
は断面形状矩形状の所定幅の薄板を用意に鋳造すること
ができる。

第４図は本発明に使用する半凝固金属スラリー排出用の
容器の他の例であり、本例では容器10下端と堰板14で形
成されるスラリー出側断面形状は偏平な楕円形状となっ
ている。このような形状にしても、半凝固金属スラリー
は長手方向へ均一に広がった所定幅の偏平状態で排出さ
れる。

なお、本発明の実施例では、スタラーを誘導電流により
加熱する場合について説明したが、スタラー内に熱媒体
供給管を内蔵させ、熱媒体によりスタラーを加熱するよ
うにしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しな
い範囲内で種々変更を加え得ること、等は勿論である。

［発明の効果］ 本発明の半凝固金属スラリー製造装置によれば、半凝固
金属スラリーを所定幅でしかも断面矩形状にして排出で
きるため、断面矩形状の所定幅の薄板を容易に製造で
き、歩溜り及び生産能率の向上が図れるという優れた効
果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の半凝固金属スラリー製造装置の一実施
例の説明図、第２図は第１図のII−II方向矢視図、第３
図は第１図のIII−III方向矢視図、第４図は半凝固金属
スラリー排出用の容器の他の例の説明図である。 図中3,10は容器、12は下端出口、14は堰板、23はスタラ
ーを示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】容器内に回転可能なスタラーを配設し、該
   スタラーを回転させることにより容器内溶融金属に攪拌
   剪断力を与え半凝固スラリーを形成し得るようにした半
   凝固金属スラリー製造装置において、前記容器の下部に
   半凝固金属スラリー排出用の容器を取付け、該容器中空
   部の水平断面形状を上方で円形に、又中途部から下方で
   偏平形状に形成し、該容器の偏平形状部に、偏平形状に
   対して長手方向へ幅調整可能な堰板を設けたことを特徴
   とする半凝固金属スラリー製造装置。