JPH07120576A - 高耐食性ジルコニウム合金被覆管 - Google Patents

高耐食性ジルコニウム合金被覆管

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JPH07120576A
JPH07120576A JP5263268A JP26326893A JPH07120576A JP H07120576 A JPH07120576 A JP H07120576A JP 5263268 A JP5263268 A JP 5263268A JP 26326893 A JP26326893 A JP 26326893A JP H07120576 A JPH07120576 A JP H07120576A
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JP
Japan
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zirconium alloy
alloy
corrosion resistance
heat treatment
cladding
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JP5263268A
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English (en)
Inventor
Akiko Hanazaki
暁子 花崎
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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Abstract

(57)【要約】 【目的】高耐食性ジルコニウム合金被覆管を提供する。 【構成】外表面及び内表面の被覆層が重量%で、Sn:0.2
〜1.7 %、Fe:0.05〜0.24%、Cr:0.03〜0.30%を含有
し、さらにFe/Cr: 0.5〜1.5 を満足し、残部はZr及び
不可避不純物からなる高耐食性ジルコニウム合金であっ
て、各被覆層の厚さは0.05mm以上であり、中間層がジル
コニウム合金である高耐食性ジルコニウム合金被覆管。 【効果】高温水蒸気中での腐食増量が100mg/dm2 未満の
優れた耐食性を有する。この被覆管を軽水冷却原子炉で
用いると、長期間の使用においても十分な耐食性が得ら
れ、使用期間延長が可能である。その製造の際の熱処理
温度を低下させることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽水冷却原子炉の燃料
被覆管やチャンネルボックスなどとして用いるジルコニ
ウム合金被覆管に関する。
【0002】
【従来の技術】ジルコニウムは熱中性子吸収断面積が小
さく、その合金は高温強度などの特性において良好な機
械的性質を有し、かつ耐食性も優れている。このため、
ジルコニウム合金は、熱中性子を利用する原子炉の炉心
構造部材として多く用いられており、最も代表的な使用
例としては、軽水冷却炉の燃料被覆管やチャンネルボッ
クスが挙げられる。
【0003】従来、軽水冷却原子炉、特に沸騰水型原子
炉の燃料被覆管には、ジルカロイ−2(JIS H4751
ZrTN802D 、Sn:1.2〜1.7 %、Fe:0.07〜0.20%、Cr:
0.05〜0.15%、Zr:残部)と称するジルコニウム合金
が、同原子炉のチャンネルボックスおよび加圧水型原子
炉の燃料被覆管には、ジルカロイ−4(JIS H4751
ZrTN804D 、Sn:1.2〜1.7 %、Fe:0.18〜0.24%、Cr:
0.07〜0.13%、Zr:残部)と称するジルコニウム合金
が、それぞれ使用されている。
【0004】上記のジルコニウム合金は、現在稼働して
いる軽水冷却原子炉の運転条件下では、優れた耐久性を
示す。しかし、素管の熱処理条件により、腐食速度が著
しく異なるという問題があり、発電コストを低減するた
めに燃料使用期間を延長するという観点からは、その耐
食性は十分、かつ安定しているとはいえない。また、上
記合金製品の腐食速度を低下させ、かつ均一にするため
に、製造時において素管の熱処理温度を 700℃程度の比
較的高温にすることを余儀なくされている。したがっ
て、熱処理温度を低下させて製造コストを低減すること
も困難である。
【0005】Development of Highly Corrosion Resist
ant Zirconium-Base Alloys(ASTM STP1132,19
91,P.356〜367)には、Sn、Nb、Fe、Cr、MoおよびVを添
加(ただし、Fe/Crの検討に際しては、MoとVは無添
加)して、400 ℃水蒸気中での耐食性を向上させたジル
コニウム合金が示されている。この合金では、その耐食
性はFe/Crが増加するにつれ低下することも図示されて
いる。しかし、この合金は、FeおよびCrの総含有量が0.
6 %程度と高く、かつNbを含有するため、金属間化合物
が微細に析出し、耐食性を低下させる可能性がある。
【0006】特開昭62−194493号公報には、外表面にCr
被覆層を形成させて耐食性を改善したジルコニウム基合
金の燃料被覆管が示されている。しかし、この場合に
は、高温での使用中に、CrがCr被覆層からジルコニウム
基合金へ拡散して、界面付近のジルコニウム基合金の耐
食性を劣化させる可能性がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
を解決するためになされたものであり、本発明の目的
は、軽水冷却原子炉の燃料被覆管やチャンネルボックス
のような高温高圧の熱水中および水蒸気中で使用するの
に好適な耐食性に優れたジルコニウム合金被覆管を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次のジル
コニウム合金被覆管にある。
【0009】外表面および内表面の被覆層が重量%で、
Sn:0.2〜1.7 %、Fe:0.05〜0.24%およびCr:0.03〜0.
30%を含有し、さらにFe/Cr: 0.5〜1.5 を満足し、残
部はZrおよび不可避不純物からなる高耐食性ジルコニウ
ム合金であって、各被覆層の厚さは0.05mm以上であり、
中間層がジルコニウム合金であることを特徴とする高耐
食性ジルコニウム合金被覆管。
【0010】ここでいう「耐食性」とは「耐均一腐食
性」を意味し、中間層のジルコニウム合金は、前記従来
のジルカロイ−2またはジルカロイ−4を指す。
【0011】本発明は、「Zr合金の均一腐食性を改善す
るには、FeとCrとの添加比率を従来のジルカロイ合金と
逆転させた合金とし、表層の酸化皮膜(ZrO2)中のFeと
Crの析出相から、酸化皮膜中へのFeとCrの拡散、固溶を
低減させるのがよい。上記高耐食性合金を従来のジルコ
ニウム合金の内外表面に被覆すれば、なお一層耐食性が
向上する。」という新しい知見に基づく。
【0012】
【作用】まず、被覆層の合金を構成する成分の作用効果
と、その適正含有量を前記のように定めた理由について
説明する。%は重量%を意味する。
【0013】Sn: 0.2〜1.7 % Snは不純物として混入してくる元素である。しかし、耐
食性を劣化させるN(窒素)の悪影響を抑制するのにも
有効な元素である。このため、Sn含有量は通常不純物N
の含有量にしたがって変化させる。Nの含有量は、一般
の原料Zrスポンジで20〜30ppm であり、さらにその後の
製造工程中における吸収量も最小限となるように管理さ
れる。したがって、従来のジルカロイ−2および4合金
(Sn:1.2 〜1.7 %)のように、Sn含有量の下限を1.2
%に制限する必要はなく、不純物Nによる耐食性の劣化
を防止し得る0.2 %を下限とすれば十分である。ただ
し、Snは、強度確保の点からも重要な元素であるので、
0.5 %以上とするのが望ましい。一方、1.7 %を超える
と耐食性に対するNの悪影響を抑制する効果が飽和す
る。
【0014】Fe:0.05〜0.24% 耐食性を向上させるのに有効な元素である。この効果を
得るには0.05%以上のFe含有量が必要である。一方、0.
24%を超えると冷間加工性を損ない、また、酸化皮膜中
に存在する析出したFe−Zr金属間化合物から、酸化皮膜
中に拡散、固溶することにより、耐食性を低下させる。
【0015】Cr:0.03〜0.30% Crも耐食性を向上させるのに有効な元素である。この効
果を得るには0.03%以上のCr含有量が必要である。一
方、CrはZrと金属間化合物を形成し、その析出状況は熱
処理条件により複雑に変化し、基本的には耐食性を劣化
させる上に、冷間加工性も損なわれる。Cr含有量が0.30
%を超えると、このような望ましくない金属間化合物の
析出を増加させる。
【0016】Fe/Cr: 0.5〜1.5 FeおよびCrは、上記のように冷間加工性と耐食性に影響
を与える元素である。
【0017】冷間加工性および耐食性を良好に維持する
ためには、さらにFe/Crを一定の範囲にする必要があ
る。Fe/Crが 0.5未満では、熱処理温度が 700℃以下の
とき析出物が微細化し、冷間加工性および耐食性向上効
果が得られない。一方、1.5 を超えると、酸化にともな
うFeの析出相から酸化皮膜中への拡散、固溶により、耐
食性は低下する。
【0018】以下に、上記の合金が高耐食性を有する理
由を説明する。
【0019】FeおよびCrは、Zr中の固溶度が低く、ほと
んどがZrと金属間化合物を形成して析出する。このよう
な組織を有するジルコニウム合金の表面が酸化すると、
酸化皮膜(ZrO2)中に存在する析出相(Fe−Zr、Cr−Zr
金属間化合物)からFeおよびCrが排出され、酸化皮膜中
へFeおよびCrイオンとして拡散して固溶する。固溶した
イオンは酸素の拡散を助長し、Zrの腐食速度を増大させ
る。このときの拡散、固溶は、CrよりもFeの方が優先的
である。
【0020】上記合金においては、Crに対するFeの含有
比率を低下させ、かつFe/Crを 0.5〜1.5 に維持してい
るため、耐食性を劣化させるFeの優先拡散、固溶を抑制
し、酸化速度を低減することができるのである。
【0021】上記効果を長時間安定して得るには、被覆
層の厚さは0.05mm以上とすることが必要である。しか
し、冷間加工性を良好に維持するために、0.20mm以下と
するのが望ましい。
【0022】このような高耐食性ジルコニウム合金を被
覆層としたクラッド管とする理由は、次のとおりであ
る。すなわち、被覆層となる上記合金では、Cr量を増加
させた結果、冷間加工性が従来合金よりも劣るため、従
来合金管の被覆層としてこれを用いることにより、加工
性を損なうことなく耐食性向上効果が得られ、また熱処
理温度を低下させることができる。
【0023】本発明の高耐食性ジルコニウム合金被覆管
は、クラッド管の範疇に属するものであるから、被覆層
となる高耐食性ジルコニウム合金管と従来のジルコニウ
ム合金管を各々製造し、これらを組み合わせて熱間圧着
法などにより製造することができる。
【0024】図1は、本発明の高耐食性ジルコニウム合
金被覆管を示す外観図である。図示するように、従来の
ジルカロイ−2管またはジルカロイ−4(符号2)管の
内外表面に、所定の化学組成と厚さの高耐食性ジルコニ
ウム合金1を被覆したものである。
【0025】
【実施例】表1および表2に示す化学組成のジルコニウ
ム合金を非消耗型アルゴンアーク溶解法で溶製して小型
インゴット(約500g)を製造した。各インゴットを、1
×10-4Torr以下の真空中で1050℃×2時間加熱して水焼
入れした後、溶体化処理を行った。次いで、上記の熱処
理後の各インゴットから、所定厚さの被覆層となる管を
製造し、下記加工処理条件で被覆管とした。
【0026】(1)熱間圧着 700 ℃、圧下率60%、クラ
ッド圧着 (2)中間焼鈍 650 ℃×2時間(真空中) (3)冷間圧延 圧下率72% (4)最終焼鈍 450 ℃×2時間(真空中) クラッド圧着では、被覆層となる管を、従来のジルカロ
イ−4〔表2の No.14に相当する〕またはジルカロイ−
2(Sn:1.50 %、Fe:0.12%、Cr:0.10%、Ni:0.05
%、残部:Zr)に相当する合金製素管の内外両面に圧着
し、図1に示すような外径9.5mm ×厚さ0.60mmの被覆管
とした。ただし、内外面の被覆層および中間層となる素
地合金の3層合計の肉厚を0.60mmの一定条件、さらに内
面と外面の各被覆層の厚さは同一とし、被覆層なしを含
んでその厚さを変化させた。
【0027】このときの、内外面の各々の被覆層の厚さ
を表1と表2に示す。
【0028】各被覆管または被覆層のない管から長さ25
mmの試験片を採取し、♯600 SiC を用いて湿式表面研磨
した後、硝沸酸(5%HF/45%HNO3/50%H2O ) で酸洗
し、さらに水で洗浄して腐食試験に供した。
【0029】腐食試験は、水蒸気中で380 ℃×105kgf/c
m2×3000時間のオートクレーブ処理法とし、耐食性は、
試験前後の重量変化から求めた腐食増量 (mg/dm2) で評
価した。これらの結果を表1と表2に併せて示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】表1と表2から明らかなように、本発明の
ジルコニウム合金被覆管No.1〜13では、いずれも腐食増
量が100mg/dm2 未満に抑制されている。これに対し、N
o. 14〜18の被覆管では、Sn、Fe及びCrの各含有量は本
発明で定める範囲内であるが、Fe/Crが本発明で定める
条件を満たしていないため、腐食増量が大きい。No.
19〜21の被覆管ではFe/Crのみが本発明で定める
条件を満たしているだけであり、腐食増量が100mg/dm2
以上となっている。被覆層のないNo.22 (従来のジルカ
ロイ−4相当合金)及びNo.25 (従来のジルカロイ−2
相当合金)の管では耐食性が低い。No.23 、24及び26の
被覆管では、被覆層の厚さが0.05mm未満であるため腐食
増量は100mg/dm2 以上である。
【0033】
【発明の効果】本発明の高耐食性ジルコニウム合金被覆
管は、高温水蒸気中での腐食増量が、100mg/dm2 未満の
優れた耐食性を有する。この被覆管を軽水冷却原子炉で
用いると、長期間の使用においても十分な耐食性が得ら
れ、使用期間延長が可能である。その製造の際の熱処理
温度を低下させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高耐食性ジルコニウム合金被覆管を示
す外観図である。
【符号の説明】
1:高耐食性ジルコニウム合金、2:従来のジルコニウ
ム合金

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外表面および内表面の被覆層が重量%で、
    Sn:0.2〜1.7 %、Fe:0.05〜0.24%およびCr:0.03〜0.
    30%を含有し、さらにFe/Cr: 0.5〜1.5 を満足し、残
    部はZrおよび不可避不純物からなる高耐食性ジルコニウ
    ム合金であって、各被覆層の厚さは0.05mm以上であり、
    中間層がジルコニウム合金であることを特徴とする高耐
    食性ジルコニウム合金被覆管。
JP5263268A 1993-10-21 1993-10-21 高耐食性ジルコニウム合金被覆管 Pending JPH07120576A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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