JPH07119557B2 - シールド工法に於けるセグメント供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明はシールド工法に於けるセグメント供給装置に
関するものであり、特に斜坑シールド施工に於て、セグ
メント組立用のエレクタへのセグメント受渡しを安全且
つ迅速容易にできるようにしたシールド工法に於けるセ
グメント供給装置に関するものである。

［従来の技術］ 近年、都市への人口集中及び都市空間の過密化により都
市機能の低下を回復する手段として地下空間の利用の可
能性が研究されている。特に交通網としての大深度地下
鉄の構想は具体化されつつあるが、既設の地下工造物よ
り深い50m乃至100m程度の深度が予想されており、種々
の施工技術上の開発が必要とされる。

例えば、地下駅への利用客輸送手段としてのエスカレー
タ設置のためには、30度程度に達する急勾配且つ大深度
の斜坑掘削技術が必要である。

一般にトンネル施工法にはNATM工法、シールド工法、推
進工法の３種の工法があるが、掘削深度によつて変化す
る種々の土質への対応性、特に、被圧滞水層に於ける対
応性の点からNATM工法は斜坑トンネルの施工には不適当
である。又、推進工法はエスカレータ設置のための大口
径の斜坑ともなると管体を推進させるための推進設備が
不足する。

一方、シールド工法は過去の施工実績から、密閉形のシ
ールド掘進機を使用すれば幅広い土質に対応でき、地下
水にも対応できるだけでなく、大断面のトンネルを構築
できることから斜坑掘削に適している。該シールド工法
に於てセグメント覆工によりトンネを構築する場合のセ
グメント運搬は基本的には以下のように行われる。先
ず、運搬台車や電動ホイスト等にセグメントを積載して
シールド掘進機の後部に配置されたエレクタの後方へ搬
送する。続いて、セグメントを荷降しし、該セグメント
を台車等によつてエレクタ直下の所定位置に移送して前
記エレクタの把持部がセグメントを吊上げられるように
している。

［発明が解決しようとする課題］ 前述した従来のシールド工法にて大深度且つ急勾配の斜
坑を施工するに際しては種々の課題が生じてくるが、覆
工用のセグメントのエレクタへの移送作業に横坑掘削時
にはない困難性を有することも解決されるべき課題の一
つである。急勾配の斜坑に於ては、エレクタの後方へ搬
送されたセグメントを人手により前記エレクタ直下の吊
上位置まで移送することは、セグメントが大重量である
ことから極めて困難であるとともに滑落等の危険性を有
する。

そこで、エレクタへのセグメント供給を容易迅速として
作業性を向上するとともに、作業者の介在を可及的に排
除して安全性を確保し、シールド工法による大深度斜坑
施工を可能とするために解決せられるべき技術的課題が
生じれくるのであり、本発明は該課題を解決することを
目的とする。

［課題を解決するための手段］ この発明は上記目的を達成するために提案せられたもの
であり、シールド工法に於て、坑内へ搬入したセグメン
トをセグメント組立用のエレクタへ受渡すセグメント供
給装置であつて、セグメントを供給台車と該供給台車の
レールを前後方向に配設したベースとからなり、駆動機
構を設けて前記供給台車を走行自在とし、前記ベースの
後部位置にて供給台車に載置したセグメントを前方のエ
レクタ直下へ移送するように構成したシールド工法に於
けるセグメント供給装置、並びに上記セグメント供給装
置のベースをエレクタ後部に設けた支持フレームへ連結
したことを特徴とするシールド工法に於けるセグメント
供給装置、並びに上記セグメント供給装置のベースを進
行方向に対して複数に分割して分割ベースとし、該分割
ベースをヒンジ等の枢着手段によつて連結し、上下方向
屈曲自在に形成したことを特徴とするシールド工法に於
けるセグメント供給装置、並びに上記供給台車の台上の
前後に、セグメント滑落防止用のストツパを設けたこと
を特徴とするシールド工法に於けるセグメント供給装
置、及び上記供給台車の台上の前後にストツパを立設
し、該ストツパを油圧等の動力手段により前後移動自在
に形成し、セグメントを挟圧して固定するように形成し
たことを特徴とするシールド工法に於けるセグメント供
給装置を提供せんとするものである。

［作用］ 請求項（１）記載の発明は、セグメント供給装置のベー
スをエレクタの後部所定位置に配置すると、供給台車は
エレクタ直下と後方のセグメント積載位置との間を自在
に走行できる。依って、坑内へ搬入したセグメントを後
方積載位置で積込み、斜坑の傾斜角に拘らず動力機構に
て前方のエレクタ直下へ迅速に移送して該エレクタにセ
グメントを供給する。

請求項（２）記載の発明は、シールド掘進機の前進に伴
い、エレクタに連結したセグメント供給装置は一体的に
牽引されるとともに、前記エレクタとセグメント供給装
置のベースとの間隔は一定に保持される。

請求項（３）記載の発明は、ベースがヒンジ等の枢着手
段によって掘曲自在であるので、斜坑掘削から横坑掘削
へ移行する場合等の傾斜角変化を伴うカーブに対応して
円滑に進行できる。

請求項（４）記載の発明は、斜坑施工時に供給台車上の
セグメントがストツパによつて前後移動を規制されると
ともに積載位置の位置決めとなる。

請求項（５）記載の発明は前後移動自在なストツパ間に
セグメントを載置し、前記ストツパの間隔を収縮させる
と、前記ストツパによりセグメントは挟圧されて供給台
車上に確実に固定される。

［実施例］ 以下、この発明の一実施例を別紙添付図面に従って詳述
する。尚、図は要部以外の背景を省略してある。図に於
て（１）はセグメント供給装置である。第１図乃至第３
図に示すように、該セグメント供給装置（１）はベース
（２）と該ベース（２）上を前後に走行する供給台車
（３）とから構成している。ベース（２）は左右平行に
配設したフレーム（４）（４）を前後中間部の前方寄り
位置で前後２分割し、第１図及び第２図に示すように前
部の分割ベース（2a）はエレクタ（５）の後部から下方
へ延設した支持フレーム（６）に結合されている。又、
前後双方の分割ベース（2a）（2b）は端面を突合わせて
ヒンジ（７）（７）にて枢着し、該ヒンジ（７）（７）
を支持して屈曲できるように形成している。ヒンジ
（７）（７）の回動中心（Ｃ）（Ｃ）の上下位置は前後
の分割ペース（2a）（2b）の上面に固設したレール（8
a）（8b）の上面と一致させているので、分割ベース（2
a）（2b）の何れかがヒンジ（７）（７）を支点として
上方に屈曲した場合であつても前後のレール（8a）（8
b）間に間隙は生じない。従って、後述する供給台車
（３）の車輪（９）（９）…の円滑な通行を妨げること
はなく、脱輪等の事故も防止される。尚、ベース（２）
の後端部近傍下部には水平度を調節するレベル調節機構
（10）（10）を設けている。

前記供給台車（３）は左右前後に夫々車輪（９）（９）
…を上下に対向させて配設し、第１図及び第２図に示す
ように、レール（8a）（8a）（8b）（8b）を挟圧して走
行する。又、第３図に示すように、ガイド車輪（11）
（11）（11）（11）を設け、レール（8a）（8b）の内側
面に当接させて左右方向の移動を規制している。

前記供給台車（３）の駆動はベース（２）の後部に設け
たモータ（12）によつて行われる。該モータ（12）はベ
ース（２）のフレーム（４）（４）の後端部位を連結す
る連結プレート（13）上に設置させ、駆動機構（14）に
接続している。該駆動機構（14）は供給台車（３）のト
レツドと略同寸法の駆動シヤフト（15）を進行方向と直
交して配置し、両端部にスプロケツトホイール（16）
（16）を嵌着している。一方、前部のベース（2a）の前
端部位には前記スプロケツトホイール（16）（16）と対
峙する受動スプロケツト（17）（17）が配設されてい
る。

又、前記供給台車（３）の左右前後にチエン（18）（1
8）の係止部（19）（19），（20）（20）を突設し、前
記スプロケツトホイール（16）（16）並びに受動スプロ
ケツト（17）（17）間に懸装したチエン（18）（18）の
両端部を、夫々係止部（19）（19），（20）（20）に固
定している。従って、モータ（12）の回転により供給台
車（３）はベース（２）上を前後走行自在且つ、チエン
（18）（18）にて起動するので登攀能力が大であり、重
量物積載時にスリツプすることはない。

前記供給台車（３）の上面前方部位にはセグメント（2
1）のストツパ（22）を立設するとともに、中央部位に
摺動孔（23）を開穿し、該摺動孔（23）にストツパ（2
4）を立設したスライダ（25）を前後摺動自在に乾燥し
ている。該スライダ（25）の後端部は油圧シリンダ（2
6）の一端部に枢着し、該油圧シリンダ（26）の他端部
は供給台車（３）本体に固定してあり、セグメント（2
1）積載に際してはストツパ（22）（24）の間隔を拡げ
て積載を容易とし、移送時には油圧シリンダ（26）を伸
長してセグメント（21）を挟圧固定し、滑落や位置ずれ
を防止している。

次に、当該セグメント供給装置（１）の作動を第１図に
従って説明する。先ず、モータ（12）を正転（図中時計
方向）させれば供給台車（３）はチエン（18）（18）に
牽引されて後方へ走行する。そして、鎖線で示す所定位
置で停止し、ストツパ（24）を後退させた後に、移載装
置（27）等によつてセグメント（21）を載置する。次に
ストツパ（24）を前進させてセグメント（21）を挟持
し、モータ（12）を逆転させてエレクタ（５）の直下ま
で走行し停止する。続いて、エレクタ（５）の挟持部
（28）がセグメント（21）を把持した後にストツパ（2
4）を後退させてセグメント（21）を開放し、供給作業
を完了する。尚、図示は省略するが、駆動機構（14）に
制御部を設けるとともに、ベース（２）上に供給台車
（３）の前後停止位置を規制するストツパ等を設けて、
定位置で停止するように構成していることは当然であ
る。

而して、第４図に示すような大深度地下鉄の駅（29）を
施工するにあたつては、エスカレータ（30）（31）設置
用の斜坑（32）（33）掘削が必要とされる。然るとき
は、地上から一方の斜坑（32）が掘削して下降し、プラ
ツトホーム部（34）に達する。直前に横坑（35）掘削に
移行してコンコースを形成し、その後に再び斜坑（33）
を掘削して上昇する工法が考えられる。該工法に於ては
斜坑（32）（33）と横坑（35）との連結部のカーブに干
渉することなく土木機材を通過させなければならない
が、第５図に示すように、セグメント供給装置（１）は
ヒンジ（７）（７）を支点として自在に屈曲するので何
等問題を生じない。又、エレクタ（５）の後部の支持フ
レーム（６）に固定され、シールド掘進機（36）の進行
に伴ってエレクタ（５）とともに牽引されるので、セグ
メント供給装置（１）の供給台車（３）の前部停止位置
とエレクタ（５）との相対位置は一定である。従って、
後方に配置された後続台車（37）（37）…に吊下した移
載装置（27）によつて積載されたセグメント（21）を、
エレクタ（５）へ常に定位置で供給できる。

尚、この発明は、この発明の精神を逸脱しない限り種々
に改変を為す事ができ、そして、この発明が該改変せら
れたものに及ぶことは当然である。

［発明の効果］ 請求項（１）記載の発明は、供給台車を動力によつて駆
動しているので、斜坑においてもセグメントを迅速容易
にエレクタへ供給でき、省略化ととに作業員の安全性確
保に著しい効果を発揮し、シールド工法による斜坑施工
を可能とした発明である。

請求項（２）記載の発明は、エレクタとセグメント供給
装置とが一体的に移動するのでエレクタと供給台車との
セグメント受渡し位置は常に一定となり、定位置で供給
でき作業精度及び能率が向上する。

請求項（３）記載の発明は、ベース屈曲自在としている
ので斜坑を連続して施工する場合のカーブに対応でき、
作業適用範囲が拡大される。

請求項（４）記載の発明は、ストツパによつて供給台車
上のセグメントの移動を抑止し、特に斜坑掘削時のセグ
メント滑落等の事故を防止でき安全性が向上する。

請求項５記載の発明は、油圧シリンダ等を介装したスト
ツパによつてセグメントを挟圧して固定するのでセグメ
ントの滑落のみならず位置ずれも規制され、エレクタへ
の受渡し精度が高く、安全性とともに作業能率が向上す
る。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例を示し、第１図はセグメント供給
装置の作動を示す側面図、第２図は同装置の配置を示す
トンネルの要部背面図、第３図は同装置の平面図、第４
図は大深度地下鉄駅の解説図、第５図はトンネル施工を
示す一部切欠縦断側面図である。 （１）……セグメント供給装置 （２）……ベース、（2a）（2b）……分割ベース （３）……供給台車、（５）……エレクタ （６）……支持フレーム、（７）……ヒンジ （14）……駆動機構、（21）……セグメント （22）（24）……ストツパ、（25）……スライダ （26）……油圧シリンダ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シールド工法に於て、坑内へ搬入したセグ
   メントをセグメント組立用のエレクタへ受渡すセグメン
   ト供給装置であつて、セグメントを移送する供給台車と
   該供給台車のレールを前後方向に配設したベースとから
   なり、駆動機構を設けて前記供給台車を走行自在とし、
   前記ベースの後部位置にて供給台車に設置したセグメン
   トを前方のエレクタ直下へ移送するように構成したシー
   ルド工法に於けるセグメント供給装置。
2. 【請求項２】上記セグメント供給装置のベースをエレク
   タ後部に設けた支持フレームへ連結したことを特徴とす
   る請求項（１）記載のシールド工法に於けるセグメント
   供給装置。
3. 【請求項３】上記セグメント供給装置のベースを進行方
   向に対して複数に分割して分割ベースとし、該分割ベー
   スをヒンジ等に枢着手段によつて連結し、上下方向屈曲
   自在に形成したことを特徴とする請求項（１）又は
   （２）記載のシールド工法に於けるセグメント供給装
   置。
4. 【請求項４】上記供給台車の台上の前後に、セグメント
   滑落防止用のストツパを設けたことを特徴とする請求項
   （１）記載のシールド工法に於けるセグメント供給装
   置。
5. 【請求項５】上記供給台車の台上の前後にストツパを立
   設し、該ストツパを油圧等の動力手段により前後移動自
   在に形成し、セグメントを挟圧して固定するように形成
   したことを特徴とする請求項（１）記載のシールド工法
   に於けるセグメント供給装置。