JPH07116350A - ドライブシミュレータのステアリング反力発生装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハンドルに付与される反力の大きさに左右さ
れることなく、希望の復帰速度でハンドルを中立位置へ
と復帰させることができ、電源等といった特別な動力源
が不要であり、しかも構造が簡単で安価なステアリング
反力発生装置を提供する。 【構成】 ハンドル５の軸２の軸上にハートカム６が固
着され、支軸３の回りに揺動するリンク４の中央に設け
たカムフォロワ７がそのカム６に当接する。ハンドル５
を正反両方向へ回すとリンク４が正時計方向へ揺動して
スライダ８が右方向へ移動し、このときスプリング９か
らハンドル５へ反力が加わって、操縦者に臨場感を与え
る。ハンドル５が中立位置へ復動するとき、ダンパ１０
に発生する緩衝力により、ハンドル５の復帰回転速度が
低速度に抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、操縦者がハンドルを回
して模擬運転を行うドライブシミュレータに関する。特
にこのドライブシミュレータにおいて、正時計方向及び
反時計方向に回されたハンドルに対して反力を付与する
ステアリング反力発生装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記のドライブシミュレータは、例え
ば、いわゆるドライビングゲーム機等に用いられる。こ
のドライブシミュレータにおいては、操縦者によってハ
ンドルが正時計方向及び反時計方向へ頻繁に回される。
そして、ハンドルがそのように回されたときには、操縦
者に臨場感を与えるためにハンドルが回される度に、そ
のハンドルに反力を付与することが要求される。

【０００３】ハンドルに反力を付与するための装置とし
て、従来、ハンドルの回転軸にアクチュエータ、例えば
電動モータやエアシリンダ等を付設したものがある。こ
の装置では、ハンドルが回されたときにはそれに連動し
てアクチュエータを作動させてハンドルに反力を付与す
る。また、反力付与装置の別の従来例として、ハンドル
の回転軸にスプリングを連結した装置がある。この装置
では、ハンドルを回したときにスプリングに蓄積される
バネ力によってハンドルに反力が付与される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電動モ
ータ等のアクチュエータを用いた従来の反力発生装置に
おいては、制御のための構成が複雑になり、高価であ
り、さらに電気等の動力源が必要になる等といった問題
がある。また、スプリングを単純に付設した構造の従来
の反力発生装置においては、構造が簡単ではあるもの
の、スプリングのバネ定数によって反力の大きさが大き
く左右され、特に、バネ定数を大きくとって反力を重く
設定すると、ハンドルを回した後のそのハンドルの中立
位置への復帰速度が異常に速くなり、ハンドル操作の臨
場感が損なわれ、さらにハンドル操作の安定性も損なわ
れる。

【０００５】本発明は、上記の問題点を解消するために
なされたものであって、ハンドルに付与される反力の大
きさに左右されることなく、希望の復帰速度でハンドル
を中立位置へと復帰させることができ、電源等といった
特別な動力源が不要であり、しかも構造が簡単で安価な
ステアリング反力発生装置を提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明に係るステアリング反力発生装置は、正時計方
向及び反時計方向へ回転するハンドルによって押されて
一定方向へ移動するスライダと、上記一定方向へ移動し
たスライダに反力を付与するスプリングと、スプリング
の反力に対抗して緩衝力を発生しその緩衝力をスライダ
に付与することによりスライダの移動速度を緩和するダ
ンパとを有することを特徴としている。

【０００７】スライダに関しては、ハンドルを正時計方
向に回したときに一定方向へ移動する１つのスライダ
と、ハンドルを反時計方向へ回したときに一定方向へ移
動する他のスライダとを別々に設けることができる。し
かしながらこれとは別に、ハンドルが正時計方向及び反
時計方向のいずれの方向に回転する場合でも、その回転
を１つのスライダの一定方向への移動に変換するスライ
ダ一定方向移動手段を用いることにより、ハンドルの正
反両方向の回転を１つのスライダの一定方向の移動に変
換することもできる。

【０００８】上記のようなスライダ一定方向移動手段と
しては、例えば、スライダに連結された揺動リンクをハ
ンドル軸に固着されたハートカム、偏心円盤カム等によ
って往復揺動させる機構を用いることができる。また、
ハンドル軸にギヤを固着し、そのギヤを挟むように一対
のラックを互いに対向して配置し、それらのラックをそ
のギヤに噛み合わせた機構を用いることもできる。

【０００９】

【作用】操縦者がハンドルを正時計方向又は反時計方向
に回すとき、それに追従して１つ又は複数のスライダが
一定方向に移動し、その移動したスライダにスプリング
力が反力として加わる。操縦者はこの反力を体感するこ
とにより、実際に自動車を操縦しているような臨場感を
感じる。操縦者がハンドルを中立位置へ復帰させると
き、スライダにはスプリングの弾性力が加わるが、それ
と同時にダンパからの緩衝力がその弾性力を打ち消す方
向に発生する。そのため、ハンドルはスプリングの弾性
力の大きさに左右されることなく、ダンパの緩衝力に応
じた適宜の復帰速度で中立位置へと復帰する。従って、
仮にスプリングの反力を大きく設定してハンドルの反力
を重く設定した場合でも、ハンドルの復帰速度が異常に
速くなることはなく、ハンドル操作に関して適正な臨場
感が得られる。

【００１０】

【実施例】図１は、本発明に係るステアリング反力発生
装置の一実施例を示している。このステアリング反力発
生装置は、機枠１に支持されていて回転可能なハンドル
軸２と、機枠１に設けた支軸３に支持されていてその支
軸３のまわりに回転すなわち揺動可能なリンク４とを有
している。ハンドル軸２にはハンドル５及びハートカム
６が固着され、リンク４の中間部にはカム６のカム面に
当接するカムフォロワ７が設けられ、そしてリンク４の
先端部にはスライダ８が回転自在に連結されている。ハ
ートカムというのは、周知の通り、その外観形状がハー
ト形をしたカムであって、そのカムが正反両方向へ回転
するとき、それに当接するカムフォロワが等速度で直線
移動するようなカムである。なお、適用可能なカムはハ
ートカムに限られず、円形状の偏心円盤カム、その他の
カムを用いることもできる。

【００１１】スライダ８の右側側面には圧縮スプリング
９が圧力下で接触し、一方、スライダ８の左側側面には
ダンパ１０の押圧子１１が接触している。ダンパ１０
は、スプリングを内蔵したそれ自体が復帰力を有する周
知の構造を有しており、スライダ８がスプリング９によ
って図の左方向へ押されるときに、スライダ８を右方向
へ押し戻すように作用する緩衝力を発生する。このよう
な作用を奏するダンパは、例えば、ケーシング１８の内
部に油を充填しておくことによって形成できる。このダ
ンパによれば、押圧子１１が図の左方向へ移動しようと
するときに油圧によってその移動子１１の移動が抑制さ
れる。すなわち、スライダ８の左方向への移動速度が、
油圧による緩衝力に応じた低速度に緩和される。

【００１２】本実施例に係るステアリング反力発生装置
は以上のように構成されているので、ハンドル５を矢印
Ｂで示す正時計方向へ回すとき及びハンドル５を矢印Ａ
で示す反時計方向へ回すときのいずれのときでも、ハー
トカム６の働きにより、リンク４が支軸３を中心として
正時計方向へ回転する。リンク４のその回転に応じてス
ライダ８は図の右方向へ移動し、このときスプリング９
の弾性力がハンドル５に加わる。この弾性力はハンドル
５を握る操縦者に反力として体感され、よって、実際に
自動車を運転しているような臨場感が操縦者に与えられ
る。

【００１３】操縦者がハンドル５を元の中立位置へ戻す
とき、スプリング９の弾性力によってハンドル５が高速
度で復動回転しようとするが、その復動回転はダンパ１
０に発生する緩衝力によって抑制され、急速には復動し
ない。このことは、仮にスプリング９のバネ定数を高く
してハンドル５の反力を重く設定した場合でも、ハンド
ル５が急速に復動することがなくなり、より実際に近い
操作感覚を得ることができるということである。

【００１４】なお、本実施例では、ハートカム６及び揺
動リンク４を含む機構によってスライダ一定方向移動手
段、すなわちハンドル５が正時計方向及び反時計方向の
いずれの方向に回転する場合でも、その回転を１つのス
ライダ８の一定方向（図の右方向）への移動に変換する
手段を構成したので、スプリング及びダンパから成る１
組の反力付与及び復帰抑制機構によってハンドルの正反
両方向の回転に対応できる。また、ハンドル５を正反い
ずれの方向へ回転させた場合でも、リンク４はスプリン
グ９へ向かう方向へ揺動するだけでダンパ１０の方向へ
は揺動しないので、ハンドル５を正反いずれの方向へ強
制的に急激に回転させたとしても、ダンパ１０には無理
な負荷が加わることはない。

【００１５】図２は、本発明に係るステアリング反力発
生装置の他の実施例を示している。この装置では、ハン
ドル５の正反両方向の回転をスライダ８の一定方向への
移動に変換するための機構、すなわちスライダ一定方向
移動手段として、ハンドル軸２に固着されたギヤ１２及
びそれに噛み合う一対のラック１３，１４から成る動力
変換機構が用いられている。

【００１６】より詳しく説明すれば、一対のラック１３
及び１４は、ギヤ１２を挟んで互いに対向して配置さ
れ、それらのラック１３，１４の左端面にスライダ８が
当接している。スライダ８はガイドロッド１５によって
図の左右方向へ滑り移動自在に支持されていて、圧縮ス
プリング９によって図の右方向へ押されて各ラック１
３，１４に圧力下で接触する。スライダ８を挟んでスプ
リング９の反対側にはダンパ１０が配設され、そのダン
パ１０の押圧子１１がスライダ８に当接している。

【００１７】この実施例では、ハンドル５が反時計方向
（矢印Ａ方向）へ回されると、上側ラック１３が図の左
方向へ直進移動してスライダ８を左方向へ移動させる。
このとき、スプリング９に発生する弾性力がスライダ８
及びラック１３を介してハンドル５に伝えられ、操縦者
が反力を体感できる。一方、ハンドル５が正時計方向
（矢印Ｂ方向）へ回されると、下側ラック１４が図の左
方向へ直進移動し、同様にしてハンドル５にスプリング
９の弾性力に基づく反力が伝えられる。また、反時計方
向又は正時計方向へ回されたハンドル５は、スプリング
９の弾性力によって中立位置へ戻るが、このときダンパ
１０は、スライダ８が右方向へ高速で復動するのを緩和
する。これにより、ハンドル５はゆっくりした速度で中
立位置へと復動する。

【００１８】図３は、本発明に係るステアリング反力発
生装置のさらに他の実施例を示している。この実施例で
は、ハンドルが正時計方向及び反時計方向のいずれの方
向に回転する場合でも、その回転を１つのスライダの一
定方向への移動に変換するスライダ一定方向移動手段は
設けられておらず、正時計方向用のスライダ及び反時計
方向用のスライダが個別に設けられる。

【００１９】詳しく説明すれば、この実施例では、ハン
ドル５の回転軸２の軸上にギヤ１２が固着され、そのギ
ヤ１２にラック１６が噛み合っている。ラック１６の左
右両側には、ガイドロッド１５によって滑り移動自在に
支持された２個のスライダ８ａ及び８ｂがそれぞれ１個
づつ設けられ、そして個々のスライダ８ａ，８ｂに圧縮
スプリング９及びダンパ１０から成る反力付与及び復帰
抑制機構が設けられる。

【００２０】この実施例では、ハンドル５を反時計方向
（矢印Ａ方向）へ回せば、ラック１６が左方向へ移動し
て左側スライダ８ａが左方向へ移動して左側のスプリン
グ９から反力が加えられる。一方、ハンドル５を正時計
方向（矢印Ｂ方向）へ回せば、ラック１６が右方向へ移
動して右側のスプリング９から反力が加えられる。ま
た、ハンドル５を正反いずれの方向へ回した場合でも、
そのハンドル５が中立位置へ戻る際には左右いずれかの
ダンパ１０によってその復帰速度が抑制される。

【００２１】以上、好ましいいくつかの実施例をあげて
本発明を説明したが、本発明はそれらの実施例に限定さ
れるものではない。

【００２２】例えば、ハンドルを正反いずれかの方向へ
回したときにそのハンドルに反力を加えるためのスプリ
ングは、圧縮スプリングに限られず、引張りスプリング
であっても良い。また、ダンパの構造も油圧を用いた緩
衝力発生機構に限られず、その他の任意の構造の緩衝力
発生機構を採用できる。

【００２３】

【発明の効果】請求項１記載のステアリング反力発生装
置によれば、スプリングの弾性力に基づいてハンドルに
付与される反力の大きさに左右されることなく、希望の
復帰速度、一般的にはゆっくりとした復帰速度でハンド
ルを中立位置へと復帰させることができる。また、電源
等といった特別な動力源が不要であり、構造が簡単であ
り、しかも安価である。

【００２４】請求項２記載のステアリング反力発生装置
によれば、スライダが１個で足り、従ってスプリング及
びダンパによって構成される反力付与及び復帰抑制機構
も１個で足りる。

【００２５】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るステアリング反力発生装置の一実
施例を示す正面図である。

【図２】本発明に係るステアリング反力発生装置の他の
実施例を示す正面図である。

【図３】本発明に係るステアリング反力発生装置のさら
に他の実施例を示す正面図である。

【符号の説明】

１ 機枠 ２ ハンドル軸 ３ 支軸 ４ リンク ５ ハンドル ６ ハートカム ７ カムフォロワ ８ スライダ ９ 圧縮スプリング １０ ダンパ １１ ダンパの押圧子 １８ ダンパのケーシング

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 操縦者がハンドルを回して模擬運転を行
   うドライブシミュレータに用いられ、正時計方向及び反
   時計方向に回されたハンドルに対して反力を付与するス
   テアリング反力発生装置において、 正時計方向及び反時計方向へ回転するハンドルによって
   押されて一定方向へ移動するスライダと、 上記一定方向へ移動したスライダに反力を付与するスプ
   リングと、 スプリングの反力に対抗して緩衝力を発生し、その緩衝
   力をスライダに付与することによりスライダの移動速度
   を緩和するダンパとを有することを特徴とするドライブ
   シミュレータのステアリング反力発生装置。
2. 【請求項２】 ハンドルが正時計方向及び反時計方向の
   いずれの方向に回転する場合でも、その回転を１つのス
   ライダの一定方向への移動に変換するスライダ一定方向
   移動手段を有することを特徴とする請求項１記載のドラ
   イブシミュレータのステアリング反力発生装置。
3. 【請求項３】 スライダ一定方向移動手段は、スライダ
   に連結されていて揺動運動するリンクと、ハンドルの回
   転に追従して回転して上記リンクを揺動させるカムとを
   有することを特徴とする請求項２記載のドライブシミュ
   レータのステアリング反力発生装置。
4. 【請求項４】 スライダ一定方向移動手段は、ハンドル
   の回転に追従して回転するギヤと、そのギヤに噛み合う
   と共にそのギヤを挟んで互いに対向して配置された一対
   のラックとを有することを特徴とする請求項２記載のド
   ライブシミュレータのステアリング反力発生装置。