JPH07115967B2 - 空孔形成セラミックス焼結体の製造方法 - Google Patents

空孔形成セラミックス焼結体の製造方法

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JPH07115967B2
JPH07115967B2 JP1293145A JP29314589A JPH07115967B2 JP H07115967 B2 JPH07115967 B2 JP H07115967B2 JP 1293145 A JP1293145 A JP 1293145A JP 29314589 A JP29314589 A JP 29314589A JP H07115967 B2 JPH07115967 B2 JP H07115967B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、空孔形成セラミックス焼結体の製造方法に関
し、更に詳しくは、空孔内に焼結残渣が含まれない空孔
形成セラミックス焼結体の製造方法に関する。
(従来の技術) 空孔形成セラミックス焼結体を製造する方法としては、
例えば特開昭63−99955号公報に記載されているような
方法がある。この製造方法は、光重合型感光性樹脂でパ
ターンを形成し、このパターンをセラミックスのグリー
ンシートの間に挟み込んで一体に積層し、この積層体を
焼成して上記樹脂のパターンを熱分解により消失させ
て、空孔形成セラミックス焼結体を得るものである。
また、特開昭63−4959号公報には、感光性樹脂シートを
用いて上記と同様の方法でインク流路を形成したセラミ
ックインクジェットヘッドが開示されている。
(発明が解決しようとする課題) 上記の方法で空孔形成セラミックス焼結体を製造する場
合には、硬化した光重合型感光性樹脂のパターンの熱分
解温度がグリーンシートの有機結合材の熱分解温度より
高いため、焼成の際にグリーンシートの有機結合剤の方
が先に熱分解することになる。このようにグリーンシー
トの有機結合剤が先に熱分解すると、感光性樹脂のパタ
ーンが熱収縮する時点では、まだマトリックスのセラミ
ックス粉体が焼結収縮を開始しておらず非常に脆い状態
となっているので、パターンの収縮に伴ってパターン周
辺のセラミックス粉体が剥ぎ取られることになる。その
ため、得られる空孔形成セラミックス焼結体は、空孔内
部にマトリックスセラミックスと同成分の焼結残渣を含
んでしまうという問題があり、例えば上記のセラミック
スインクジェットヘッドの場合には、この焼結残渣によ
りインクが詰まり易くなるという不都合があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、空孔内に焼
結残渣を含まない空孔形成セラミックス焼結体の製造方
法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明の空孔形成セラミックス焼結体の製造方法は、セ
ラミックス材料と有機結合剤とを含有するグリーンシー
トの該有機結合剤より低温で熱溶融もしくは熱分解する
有機材料、該有機結合剤の熱分解開始温度より低温で昇
華する昇華性材料、該有機結合剤の熱分解終了温度より
高温で熱分解する粉末材料のいずれか一種以上より成る
空孔形成用材料を、表面に複数本の凹溝が設けられた基
材の該凹溝内に充填する工程と、この基材の表面にセラ
ミックス材料を主成分とするグリーンシートを形成する
工程と、該グリーンシートを基材表面から剥離すること
によりグリーンシート表面に空孔形成用材料にて経営さ
れる突条を設ける工程と、突条が設けられたグリーンシ
ートを複数枚積層、圧着して焼成する工程と、を包含し
ており、これにより上記目的が達成される。
以下、図面を参照しながら本発明を詳述する。
本発明に用いる表面の複数の凹溝1aを有する基材1は、
金属、プラスチック等で形成された基材1の表面に複数
の凹溝1aが略全長に亘って形成されたものである。各凹
溝1aは通常平行に設けられ、凹溝1aの断面の寸法及び凹
溝1a間の間隔は任意に決めることができる。
基材1の表面に凹溝1aを形成する方法は種々の方法が採
用でき、例えば、表面が平坦なシート等の基材1を加熱
状態に保ち基材1表面を凹凸型でプレスしてもよく、あ
るいはカッター等の切削具で基材1表面に凹溝1aを形成
してもよく、また微細な凹溝1aを基材1表面に形成する
には以下に示すイソグラフィー技術を用いるのが好まし
い。
すなわち、金属、プラスチック等の基板の表面に感光性
樹脂組成物よりなるシートを積層し、このシートの表面
に所定の細線パターンを有するホトマスクを重ねた後、
活性光線源で露光し、次いで現像液で現像して樹脂組成
物よりなるパターンを形成し、次に樹脂パターンが形成
された基板を原版として用い、これに不飽和ポリエステ
ル、エポキシ、ポリウレタン、フェノール等の熱硬化性
樹脂、アクリル、シリコーンゴム等の重合性樹脂等を注
型、固化した後、該原版より剥離すれば表面に凹溝1aを
有する基材1が得られる。
なお、露光に際して活性光線源として紫外線、電子線、
エックス線等を使用すれば1μm程度の線幅を有する樹
脂パターンが形成され得る。
次に、第1図(イ)〜(ロ)に示すように、基材1の凹
溝1a内に空孔形成用材料2を充填する。必要であれば基
材1の凹溝1aに離型剤を塗布した後、該凹溝1a内に空孔
形成用材料2を充填する。
空孔形成用材料2は、後述するグリーンシート3中に含
まれる有機結合剤より低温で熱溶融もしくは熱分解する
有機材料、該有機結合剤の熱分解開始温度より低温で昇
華する昇華性材料、該有機結合剤の熱分解終了温度より
高温で溶融することなく分解して気化する粉体材料のい
ずれか一種以上よりなるものである。
上記の有機材料は、グリーンシート3中の有機結合剤よ
り低温で熱溶融もしくは熱分解するものであればよく、
例えばパラフィンワックス、マイクロスタリンワック
ス、ポリメチルスチレン、ポリメチルメタクリレート、
ポリブチレン、ポリスチレン等が使用される。特に、グ
リーンシート3の有機結合剤がポリビニルブチラールで
ある場合には、パラフィンワックスやマイクロワックス
等が好適である。この有機材料よりなる空孔形成用材料
2を基材1の凹溝1a内に充填する方法としては種々の充
填方法が採用可能であり、例えば有機材料がワックスで
ある場合は、ワックスを融点以上に加熱して溶融状態と
なし、同時に基材1をワックスの融点以上で有機結合剤
が劣化しない温度以下に予熱した状態に保って、この基
材1上に上記の溶融ワックスを塗布し、スキージやヘラ
等を用いて0.1〜20kg/cm2の圧力でワックスを引き伸ば
しながら凹溝1a内に押し込み、冷却、乾燥等により固化
させるのが好ましい。なお、基材1上に残ったワックス
等の有機材料は拭き取るなどして除去するのがよい。
また、空孔形成用材料2として使用される前記の昇華性
材料は、グリーンシート3中の有機結合剤の熱分解開始
温度より低温で熱溶融過程を経ずに気化するか、或いは
自然放置や減圧により気化する固形粉末であり、例えば
ナフタリン、安息香酸、アントラキノン、アントラニル
酸、イソフタルニトリル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフト
キノン、α−ナフトール、p−フェニルフェノール、p
−ニトロフェノール等の粉末が挙げられる。これらは、
メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、
シクロヘキサノール、テルピネオール、メチルエチルケ
トン、アセトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベ
ンゼン、エーテル、水等の溶剤に混ぜてペースト状にし
て使用される。このようなペースト状の昇華性材料を凹
溝1aに充填する方法としては種々の方法が採用可能であ
り、例えば該ペースト状昇華性材料を基材1上に塗布
し、スキージやヘラ等を用いて0.1〜20kg/cm2の圧力で
該ペースト状材料を引き伸ばしながら凹溝1aに押し込む
等の方法が好ましく採用される。
また、空孔形成用材料2として使用される前記の粉末材
料は、グリーンシート3中の有機結合剤の熱分解終了温
度より高温で熱分解するものであればよいが、溶融する
ことなく分解気化するものが好ましく、例えばグラファ
イト、カーボンブラック、グラッシーカーボンなどの炭
素粉末や、メラミン、ポリイミド、イソフタル酸、テレ
フタル酸、四フッ化エチレン樹脂などの粉末が挙げられ
る。これらは、メタノール、エタノール、ブタノール、
プロパノール、シクロヘキサノール、テルピネオール、
メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、トルエ
ン、キシレン、ベンゼン、エーテル、水等の溶剤と混ぜ
てペースト状にして使用される。このようなペースト状
材料は、前述の有機材料やペースト状昇華性材料と同様
の方法で凹溝1aに充填すればよい。
なお、空孔形成用材料2が高温分解タイプの粉末材料の
ペーストの場合、凹溝1aに充填した後、必要に応じて50
〜160℃で10〜60分間保持し、ペースト中の溶剤を飛散
させて固化させるのがよい。
上記のようにして有機材料、昇華性材料、粉末材料のい
ずれか一種以上よりなる空孔形成用材料2を基材1の凹
溝1aに充填する作業が完了すると、次に第1図(ハ)に
示すように、基材1の表面にグリーンシート3を形成し
た後、基材1を剥離して、第1図(ニ)に示すように、
グリーンシート3の表面に空孔形成用材料2よりなる複
数の突条(以下、空孔パターンという)6を転写させ
る。
本発明に使用するグリーンシート3はセラミックス材料
と有機結合剤を含む焼成前の成形体であって、焼成後に
絶縁性を有するものである。
このグリーンシート3の製造方法は任意の方法が採用さ
れ、例えば上記基材1表面にセラミックス材料及び有機
結合剤を含むスラリーを塗布、乾燥することにより形成
してもよく、あるいはセラミックス材料及び有機結合剤
を含む混合物をプレス成形してもよい。グリーンシート
3はその表面に空孔パターン6を形成した後、複数枚積
層圧着されるのであり、圧着の際に空孔パターン6がセ
ラミックス材料で完全に包み込まれることが必要となる
ので、ある程度の柔軟性を有するものが良い。従って、
グリーンシート3は上記セラミックス材料と有機結合剤
と必要ならば溶剤とを混合した混合物を射出成形、押出
成形、圧縮成形、流延成形等の成形法で成形して得るこ
とができ、また、ポリエステルフィルム、ガラス板等の
基材1上にスラリー状にした混合物をドクターブレード
によって塗布した後乾燥する、いわゆるドクターブレー
ド法によって成形することができる。
上記セラミックス材料としては、例えばアルミナ、ジル
コニア、アグネシア、サイアロン、スピネル、ムライ
ト、結晶化ガラス、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アル
ミニウム等の粉末及びMgO−SiO2−CaO系、B2O3−SiO
2系、PbO−B2O3−SiO2系、CaO−SiO2−MgO−B2O3系、Pb
O−SiO2−B2O3−CaO系等のガラスフリット粉末があげら
れ、単独もしくは二種類以上併用される。
上記の有機結合剤としては、例えばポリビニルブチラー
ル、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリレー
ト、セルロース、デキストリン、ポリエチレンワック
ス、澱粉、カゼインなどの高分子材料及びジオクチルフ
タレート、ジブチルフタレート、ポリエチレングリコー
ルなどの可塑剤があげられる。また、上記の溶剤として
は、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、プロ
パノール、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチ
ル、トルエン、水等があげられる。有機結合剤や溶剤の
添加量は、グリーンシートの製造条件等により適宜決定
すればよいが、通常、セラミックス材料100重量部に対
し、有機結合剤は5〜30重量部の範囲内で、溶剤は20〜
100重量部の範囲内で添加するのが適当である。
上記のようにして空孔パターン6が表面に形成されたグ
リーンシート3を、第1図(ホ)〜(ヘ)に示すよう
に、複数枚積層圧着して積層体4を形成し、この積層体
4を脱脂、焼成して空孔5を有するセラミックス焼結体
Aが得られる。
グリーンシート3の積層枚数は、目的とする空孔形成セ
ラミックス焼結体の大きさによって適宜決定すればよい
が、あまり厚くなると圧着しにくくなり、空孔パターン
6がグリーンシート3によって包み込まれにくくなるの
で、グリーンシート3及び空孔パターン6の厚さが10μ
mオーダーの場合には50〜1000枚程度積層するのが好ま
しい。そして、より厚いものを得たい場合には、一度積
層圧着した積層体を複数個積層し、再度圧着すればよ
い。
圧着条件は適宜決定すればよいが、空孔パターン6を前
述の有機材料で形成した場合は、温度条件として20〜16
0℃の範囲内で且つ空孔パターン6が軟化しない温度を
採用し、加圧条件として1〜400kg/cm2の圧力で1〜10
分圧着するのが適当である。また、空孔パターン6を前
述の昇華性材料のペーストで形成した場合は、昇華性材
料の蒸気圧が大きくならない温度で、1〜100kg/cm2
加圧下に1〜10分圧着するのが適当であり、また、空孔
パターン6を前述の粉末材料のペーストで形成した場合
は、20〜160℃で1〜400kg/cm2の加圧下に1〜10分圧着
するのが適当である。
なお、空孔パターン6はグリーンシート3の両面に形成
してもよく、その場合は、空孔パターン6の形成された
グリーンシート3と形成されてないグリーンシートを交
互に積層、圧着して積層体を形成すればよい。
上記の条件で積層、圧着された積層体4は、加熱炉で加
熱されて脱脂、焼成されるが、空孔パターン6が前述の
有機材料で形成されている場合は、脱脂する前に、脱脂
温度より低温、つまりグリーンシート3の有機結合剤が
分解しない温度で空孔パターン6の有機材料を熱分解し
て空孔5を形成する。また、空孔パターン6が前述の昇
華性材料で形成されている場合も、脱脂する前に昇華性
材料を気化させて空孔5を形成する。気化させる方法と
しては、グリーンシート3の有機結合剤の分解開始温度
より低温での加熱、1Torr以下の減圧、これら加熱と減
圧の併用、或いは常温放置など、種々の方法が採用され
る。このように脱脂前に空孔5を形成すると、この空孔
形成の段階ではグリーンシート3の有機結合剤が熱分解
しておらず、セラミックス材料は有機結合剤で強固に結
合された状態にあるので、空孔5周辺のセラミックス材
料が崩壊して空孔5内に入ることはない。一方、空孔パ
ターン6が前述の高温分解タイプの粉末材料で形成され
ている場合は、脱脂後の焼成段階で粉末材料が熱分解し
て空孔5が形成されるので、脱脂前に空孔形成処理する
必要はない。
積層体4の脱脂の条件は、空孔パターン6の材料やグリ
ーンシート3中の有機結合剤を考慮して適宜決定すれば
よいが、空孔パターン6を前述の有機材料や昇華性材料
で形成した積層体4の場合は、1〜100℃/hrの昇温速度
で昇温し、280〜600℃で1〜5時間保持して脱脂するの
が適当であり、空孔パターン6を前述の粉末材料で形成
した積層体4の場合は、1〜100℃/hrの昇温速度で昇温
し、280〜700℃で1〜5時間保持して脱脂するのが適当
である。
また、脱脂後の焼成条件は、グリーンシート3のセラミ
ックス材料の種類を考慮して適宜決定すればよいが、一
般には10〜300℃/hrの昇温速度で昇温し、760〜1650℃
で1〜5時間保持して焼成するのが適当である。
以上のようにして得られる空孔形成セラミックス焼結体
Aは、空孔形成段階において空孔パターン周辺のセラミ
ックス材料が崩壊しないので、その焼結残渣が空孔内に
含まれることはない。
(作 用) 本発明の空孔形成セラミックス焼結体の製造方法は、上
述のようにグリーンシート中の有機結合剤より低温で熱
溶融もしくは熱分解する有機材料、該有機結合剤の熱分
解開始温度より低温で昇華する昇華性材料、該有機結合
剤の熱分解終了温度より高温で熱分解する粉末材料のい
ずれか一種以上より成る空孔形成用材料を用いて、グリ
ーンシート表面に空孔パターンを形成し、これを複数枚
積層、圧着して焼成するため、空孔パターンが上記の有
機材料や昇華性材料で形成されている場合は、焼成の初
期段階(脱脂の前の段階)で空孔パターンの材料が分解
もしくは気化して空孔が形成されることになり、この空
孔形成段階では、グリーンシートの有機結合剤が熱分解
しておらず、セラミックス材料は有機結合剤で強固に結
合された状態にあるので、空孔パターン周辺のセラミッ
クス材料が崩壊して空孔内に入ることはない。また、空
孔パターンが上記の粉末材料で形成されている場合は、
焼成の後期段階(脱脂の後の段階)で該粉末材料が分解
して空孔が形成されることになり、この空孔形成段階で
は、セラミックス材料が焼結収縮を開始して強固に結合
しているため、やはり空孔パターン周辺のセラミックス
材料が崩壊して空孔内に入ることはない。従って、いず
れの場合も、空孔内にセラミックス材料の焼結残渣が含
まれないセラミックス焼結体を得ることができる。
(実施例) 本発明を実施例について以下に説明する。尚、「部」と
あるのは「重量部」を意味する。
実施例1 線幅1mm、線間隔5mm、深さ500μmの凹溝が多数本平行
に形成されている金型内にポリエチレンテレフタレート
フィルムを供給し、140℃、150kg/cm2で3分間プレス
し、多数の凹溝が表面に形成されたシートを得た。
このシート表面をシリコーン離型剤で処理した後、80℃
に加熱し、その表面に溶融したパラフィンワックス(融
点68℃)を塗布し、2kg/cm2の圧力で押さえたスキージ
を移動して凹溝にパラフィンワックスを充填した後、常
温まで冷却してパラフィンワックスを固化させた。
次いで、アルミナボールミルに、平均粒径3μmのアル
ミナ粉末を96部、平均粒径5μmのPbO−SiO2−B2O3−C
aO系のガラスフリットを4部、ポリメタクリレート(M
w:13万)を17部、ジブチルフタレートを5部、メチルエ
チルケトンを24部、トルエンを18部、イソプロピルアル
コールを18部を供給し、24時間混練してスラリーを得
た。このスラリーを上述のシート表面に供給し、塗布、
乾燥し、厚さ1mmのグリーンシート(50mm×50mm)を作
製した。
次いで、これより支持体であるポリエチレンテレフタレ
ートフィルムを剥離し、表面にパラフィンワックスの空
孔パターンが形成されたグリーンシート3を得た。
このグリーンシートを20枚積層し、常温で35kg/cm2の圧
力下に3分間プレスし、50×50×25mmの積層体を得た。
この積層体を積層面と垂直にスライスして厚さ3mmのス
ライス体となし、このスライス体を加熱炉に供給して80
℃で10時間保持した後、2.5℃/hrの昇温速度で175℃ま
で昇温し、10時間保持してパラフィンワックスを分解し
た。次いで2.5℃/hrの昇温速度で500℃まで昇温し、2
時間保持して脱脂し、更に100℃/hrの昇温速度で1650℃
まで昇温し2時間焼成して、厚さ2.5mmのセラミックス
焼結体を得た。このセラミックス焼結体は、一面から相
対向する他面へ通じる多数の空孔が形成されており、該
空孔内には焼結残渣が含まれていなかった。
実施例2 メタクリル酸メチル−メタクリル酸n−ブチル−アクリ
ル酸共重合体(6/2/2,Mw:15万)60部、2,2′ビス(4−
メタアクリロキシジエトキシフェニル)プロパン15部、
ヘキサメチレンジアクリレート15部、2,4−ジメチルチ
オキサントン2部、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル
2部、マラカイトグリーン0.05部、パラメトキシフェノ
ール0.1部及びメチルエチルケトン200部を均一に溶解さ
せて感光液を得、この感光液を厚さ20μmのポリエチレ
ンテレフタレートフィルム上に塗布、乾燥して、厚さ25
μmのドライフィルムホトレジストを作製し、さらにレ
ジストの上に別のポリエチレンテレフタレートフィルム
を重ねて三層構造とした。
次いで、このドライフィルムホトレジストの支持体であ
る一方のポリエチレンテレフタレートフィルムに、細線
パターンを有する陰画のホトマスクを密着させて、3kW
高圧水銀灯から50cmの距離で紫外線を35mJ/cm2露光し
た。そして一方のポリエチレンテレフタレートフィルム
を剥離し、レジストに30℃の炭酸ナトリウムの1重量%
水溶液を1kg/cm2でスプレーして30秒で現像し、線幅25
μm、線間隔30μmの細線パターンをポリエチレンテレ
フタレートフィルム表面に形成した。
この細線パターンが表面に形成されたフィルムをシリコ
ーンで離型処理された銅基板に110℃、3kg/cm2で加熱加
圧することにより細線パターンを転写した。
これに2液型エポキシ樹脂(MW;600)を注型し、160
℃、100kg/cm2で5分間印加した後、さらに160℃で4時
間保持して熱硬化させた。
次いで、銅基板を剥離した後、3%の水酸化ナトリウム
水溶液中に24時間浸漬し、ドライフィルムホトレジスト
の細線パターンを溶解除去して、線幅60μm、深さ25μ
mの凹溝が40μm間隔で形成されたエポキシシートを
得、この表面をシリコーン離型剤で処理した。
次に、ナフタリンを粉砕してアルミナボールに入れ、さ
らにアルミナボールにベンゼンを20部、エタノールを10
部、テルピネオールを10部を投入して48時間混練し、40
℃で溶剤を飛散させながら2600psまで粘度を上げてナフ
タリンペーストを得た。
このナフタリンペーストを上記エポキシシート表面に塗
布して2kg/cm2の圧力で押さえたスキージを移動し、凹
溝にナフタリンペーストを充填した後、常温で1時間乾
燥させた。
次いで、凹溝にナフタリンペーストが充填されたシート
上に、実施例1と同様にしてアルミナスラリーを供給
し、塗布、乾燥して厚さ200μmのグリーンシート(50
×50mm)を作製した。次いで、支持体であるエポキシシ
ートを剥離し、表面にナフタリンの空孔パターンが形成
されたグリーンシートを得た。
このグリーンシートを20枚積層し、常温で60kg/cm2の条
件下に3分間プレスし、50×50×25mmの積層体を得た。
この積層体を積層面と垂直にスライスして厚さ3mmのス
ライス体となし、このスライス体を加熱炉に供給して、
20℃、0.5Torrで20時間保持した後、0.1Torrで10時間保
持し、更に10-3Torrで5時間保持してそのまま10℃/hr
の昇温速度で60℃まで昇温した。そして、大気圧中で2.
5℃/hrの昇温速度で400℃まで昇温し、2時間保持して
脱脂してから、100℃/hrの昇温速度で1650℃まで昇温し
て2時間焼成し、厚さ2.5mmのセラミックス焼結体を得
た。このセラミックス焼結体は、一面から相対向する他
面へ通じる多数の空孔が形成されており、該空孔内には
焼結残渣が含まれていなかった。
実施例3 実施例2のナフタリンに代えて安息香酸を使用した以外
は、実施例2と同様にして厚さ3mmのスライス体を得、
このスライス体を減圧炉に供給して60℃、0.1Torrで20
時間保持し、さらに、10℃/hrで100℃まで昇温して5×
10-2Torrで10時間保持した。次いで、大気圧中で2.5℃/
hrで400℃まで昇温し、以後実施例2と同様にして、空
孔内に焼結残渣のない空孔形成セラミックス焼結体を得
た。
実施例4 実施例2のナフタリンに代えてカーボンペースト(藤倉
化成(株)製、XC−12)を使用し、このカーボンペース
トにテルピオネールを20部混練して40℃で溶剤を飛散し
て2600psまで増粘したものをエポキシシートの凹溝に充
填した。
次いで、アルミナボールミルに、平均粒径3μmのアル
ミナ粉末を40部、平均粒径5μmのSiO2−B2O3−BaO−C
aO系ガラスフリットを60部、ポリビニルブチラールを10
部、ジブチルフタレートを5部、メチルエチルケトンを
24部、トルエンを18部、イソプロピルアルコールを18部
供給し、得られたスラリーを実施例2と同様にしてエポ
キシシート表面に塗布、乾燥することによりグリーンシ
ートを形成し、次いで転写させて表面にカーボンの空孔
パターンが形成された厚さ200μmのグリーンシート(5
0×50mm)を得た。このグリーンシートを20枚積層し、1
60℃、250kg/cm2の条件下で3分間プレスして積層体を
得た。そしてこの積層体を積層面と垂直にスライスして
厚さ3mmのスライス体となし、これを加熱炉に供給して1
0℃/hrで650℃まで昇温し24時間保持した後、更に50℃/
hrで昇温して900℃で2時間焼成し、空孔内に焼結残渣
のない厚さ2.5mmの空孔形成セラミックス焼結体を得
た。
(発明の効果) 本発明の空孔形成セラミックス焼結体の製造方法は、こ
のように空孔形成段階で空孔パターン周辺のセラミック
ス材料が崩壊して空孔内に入ることがないので、空孔内
に該セラミックス材料の焼結残渣が含まれない空孔形成
セラミックス焼結体を得ることができるといった顕著な
利点を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図(イ)〜(ヘ)は本発明の空孔形成セラミックス
焼結体の製造方法を段階的に説明する説明図である。 1……表面に凹溝を有する基材、1a……凹溝、2……空
孔形成用材料、3……グリーンシート、4……積層体、
5……空孔、6……空孔パターン、A……空孔形成セラ
ミックス焼結体。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックス材料と有機結合剤とを含有す
    るグリーンシートの該有機結合剤より低温で熱溶融もし
    くは熱分解する有機材料、該有機結合剤の熱分解開始温
    度より低温で昇華する昇華性材料、該有機結合剤の熱分
    解終了温度より高温で熱分解する粉末材料のいずれか一
    種以上より成る空孔形成用材料を、表面に複数本の凹溝
    が設けられた基材の該凹溝内に充填する工程と、 この基材の表面にセラミックス材料を主成分とするグリ
    ーンシートを形成する工程と、 該グリーンシートを基材表面から剥離することによりグ
    リーンシート表面に空孔形成用材料にて形成される突条
    を設ける工程と、 突条が設けられたグリーンシートを複数枚積層、圧着し
    て焼成する工程と、 を包含する空孔形成セラミック焼結体の製造方法。
JP1293145A 1989-11-10 1989-11-10 空孔形成セラミックス焼結体の製造方法 Expired - Lifetime JPH07115967B2 (ja)

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