JP2004140174A - 電子部品とその製造方法及びそれらに用いる導電性ペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くする。
【解決手段】基板1と、この基板1上に供給された接着層50と、可とう性を有した樹脂製の凹版32の溝部31に充填されるとともに溶剤と導体粉とバインダーとからなる導電性ペースト42を前記接着剤上に転写して形成された転写パターンと、この転写パターンを焼成して形成された導体パターンとを有した電子部品であって、前記導電性ペーストは、前記溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストとしたのものであり、これにより接着層50を導電性ペースト42に浸透させて硬化させる必要はない。従って、導電性ペースト42を基板1へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】基板1と、この基板1上に供給された接着層50と、可とう性を有した樹脂製の凹版32の溝部31に充填されるとともに溶剤と導体粉とバインダーとからなる導電性ペースト42を前記接着剤上に転写して形成された転写パターンと、この転写パターンを焼成して形成された導体パターンとを有した電子部品であって、前記導電性ペーストは、前記溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストとしたのものであり、これにより接着層50を導電性ペースト42に浸透させて硬化させる必要はない。従って、導電性ペースト42を基板1へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各電子機器に用いられる電子部品とその製造方法に関し、特に凹版印刷によって製造される電子部品およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化が進んでおり、それに伴って電子機器内で使用される電子部品の小型化が進んでいる。このような状況の下で、電子部品の導体パターンに対しても、パターンを構成する導体ライン(以下、単にラインと称する)の微細化とライン形状の高精度化が要求されている。
【0003】
そこで図9に示される従来の電子部品において、1はグリーンシートを焼成して得たアルミナ基板である。2は、アルミナ基板1上に形成された熱可塑性の接着剤層である。この接着剤層2はアルミナ基板1をポリビニールブチラール樹脂(以下、PVBと略記する)を溶解したアセトンとトルエンとの混合溶液内に浸漬し、乾燥させて形成している。
【0004】
3は、可とう性を有した樹脂4に溝5が形成された凹版である。この凹版3には予め導電性ペースト6が充填された状態でアルミナ基板1にラミネートされる。そしてこの状態で熱と、圧力とを加えて熱可塑性の接着剤層2を溶融させる。このときの温度は約200度としている。この熱と圧力によって溶融したPVBが導電性ペースト6内に浸透してゆき、導電性ペーストと混ざる。次に、これを冷却することで熱可塑性接着剤であるPVBが固まり、導電性ペーストが硬化し硬くなる。そして、凹版を剥がすと溝5内に充填された導電性ペースト6は熱可塑性接着剤層2によって基板側に転写される。
【0005】
この導電性ペースト6が転写された電子部品は、導電性ペースト6中の銀粉の融着温度以上(約850℃)の温度で焼成されて、導電性ペースト中の不純物を焼失させるとともに、導電性ペーストを構成する導体粉同士を焼結させて導体を形成したものであった。
【0006】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1が知られている。
【0007】
【特許文献1】
特願平6−226584号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の電子部品では、熱可塑性接着剤(PVB)を導電性ペーストへ浸透させることによって導電性ペーストを硬化させるので、PVBを導電性ペースト内に充分浸透させるためには、温度が約200℃で圧力が2トン、時間が10分間必用であった。また導電性ペーストの量に応じて接着剤の塗布量、さらに、加熱・加圧工程の温度、圧力や、時間も変更する必要があり、非常に生産性の悪いものであった。
【0009】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、生産性の良い電子部品を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の電子部品は、基板と、この基板上に供給された接着剤と、可とう性を有した樹脂製の凹版の溝部に充填されるとともに溶剤と導体粉バインダーとからなる導電性ペーストを前記接着剤上に転写して形成された転写パターンと、この転写パターンを焼成して形成された導体パターンとを有した電子部品であって、前記導電性ペーストは、前記溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストとしたものである。
【0011】
これにより、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を低くくすることができ、またその時間も短くすることができるので、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、基板と、この基板上に供給された接着剤と、可とう性を有した樹脂製の凹版の溝部に充填されるとともに溶剤と導体粉とバインダーとからなる導電性ペーストを前記接着剤上に転写して形成された転写パターンと、この転写パターンを焼成して形成された導体パターンとを有した電子部品であって、前記導電性ペーストは、前記溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストとした電子部品であって、前記導電性ペーストは、前記溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストとした電子部品であり、これにより導電性ペースト自身が溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0013】
なお、導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、容易に凹版を剥離することができる。
【0014】
また、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化し、かつ導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、凹版を基板から剥離するときに溝部内に導電性ペーストは確実に基板側へ転写され、転写パターンは溝部の形状を忠実に再生することができる。従って精度の良い導体パターンを得ることができる。
【0015】
さらに、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はないので、予め基板上に供給する接着剤を薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0016】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、導体粉は銀粉とした請求項1に記載の電子部品であり、これにより焼成を大気雰囲気中で行うことができるので、特に窒素等は不要であるので、製造コストが安価である。
【0018】
また、銅粉によるペーストに比べて溶融温度が低いため、焼成工程で使用電力が小さくなり、省エネである。
【0019】
請求項3に記載の発明における導体粉は、複数の直径を有した粉からなる請求項1に記載の電子部品であり、これにより高密度な導体を形成することができ、導体抵抗が小さくなる。
【0020】
請求項4に記載の発明における導体粉は、複数の種類の直径を有した粉から形成され、その粉のうち最小径を有する粉は、最大の径の粉が3個以上接したときに生じる隙間に収まる径以下とした請求項1に記載の電子部品であり、これにより大きな粉の隙間に小さな粉が埋まるので、高密度な導体を実現でき、導体抵抗を小さくすることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明の導電性ペーストには、バインダーとしてラダー型シリコーン系オリゴマーが含有された請求項1に記載の電子部品であり、ラダー型シリコーン系オリゴマーは融点を超えなければ温度を上げてゆくと硬くなる特質があるので、接着剤を導電性ペーストに浸透さて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0022】
さらに、ラダー型シリコーン系オリゴマーは焼成工程においてその官能基は焼失し、ガラスとなるが、そのガラスは導体に比べて比重は小さいので、導体の表面を覆うこととなる。従って、導体の内部にガラス成分が残留しにくくなるとともに、絶縁、防湿や防錆効果も有することとなる。またガラスであるので、その後の工程等でレーザトリミングを行うことに対しても支障はない。
【0023】
請求項6に記載の発明におけるラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基は、フェニル基とした請求項5に記載の電子部品であり、これにより凹版に樹脂等との反応性が低くなり、導電性ペーストを確実かつ溝部の形状に対し忠実に基板へ転写することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明における接着剤は熱硬化性樹脂とした請求項1に記載の電子部品であり、これにより加熱することによって導電性ペースト硬化させると同時に、基板上への転写を行うことができるので、生産性が良好である。
【0025】
請求項8に記載の発明における接着剤は、スクリーン印刷で供給された請求項1に記載の電子部品であり、これにより薄くかつ均一の厚みで、安定した量を塗布することができるので、導電性ペーストと基板間の接着強度が安定する。
【0026】
請求項9に記載の発明における接着剤が塗布される幅は、転写される導電性ペーストの幅と略同じとした請求項8に記載の電子部品であり、これにより導電性ペーストが転写される箇所以外には接着剤が塗布されないので、凹版を容易に剥離することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明における接着剤が塗布される幅は、転写される導電性ペーストの幅より凹版の位置ずれ寸法以上に大きくした請求項8に記載の電子部品であり、これにより導電性ペーストと基板間には必ず接着剤層が存在することとなるので、凹版と基板との張り合わせがずれても、確実に導電性ペーストを転写することができる。
【0028】
請求項11に記載の発明における接着剤が塗布される幅は、転写される導電性ペーストの幅より小さくした請求項8に記載の電子部品であり、これにより接着剤が導電性ペーストからはみ出すことはなく、容易に基板と凹版を剥がすことができる。
【0029】
請求項12に記載の発明は、凹版の一部に他の溝よりも深い深溝部と、この深溝部に充填された導電性ペーストが基板に転写されて形成される凸部と、この凸部上に形成される絶縁体とを有し、少なくとも前記凸部の先端は前記絶縁体から露出した請求項1に記載の電子部品であり、この露出部上に半田付けすることができ、チップ部品等の装着をすることができる。
【0030】
請求項13に記載の発明は、絶縁体を挟んで導体パターンが設けられ、前記導体パターン同士は、凸部先端で接続された請求項12に記載の電子部品であり、これにより導体を複数層の導体パターンを設けることができるので、回路の小型化をすることができる。また、絶縁層を誘電体としたコンデンサ等を形成することもできる。
【0031】
請求項14に記載の発明は、基板上に導体パターンを形成する電子部品の製造方法において、可とう性樹脂の表面に、前記導体パターンに対応するように溝部を形成して凹版を製造する凹版製造ラミネートする圧着工程と、前記凹版を前記基板から剥離して、前記導電性ペーストを基板上に転写する転写工程と、転写された前記導電性ペーストを焼成する焼成工程からなる電子部品の製造方法であり、これにより導電性ペー工程と、前記溝部に請求項1に記載の導電性ペーストを充填する充填工程と、前記導電性ペーストを乾燥する乾燥工程と、前記導電性ペーストが充填され乾燥された凹版と予め接着層が形成された基板とを所定の熱および所定の圧力を加えることによってスト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0032】
なお、導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、容易に凹版を剥離することができる。
【0033】
また、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化し、かつ導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、凹版を基板から剥離するときに溝部内に導電性ペーストは確実に基板側へ転写され、溝部の形状を忠実に再生することができる。従って精度の良い回路を得ることができる。
【0034】
さらに、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はないので、予め基板上に供給する接着剤を薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0035】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0036】
請求項15に記載の発明は、転写工程と焼成工程と間に、絶縁物の形成工程が挿入された請求項14に記載の電子部品の製造方法であり、これにより絶縁物を形成できる。また導電性ペーストは硬化しているので、未焼成状態で導電性ペースト上に絶縁物を供給しても導電性ペーストのつぶれは小さく、導電性ペーストと絶縁物とを同時に焼成を行うことが可能になる。
【0037】
請求項16に記載の発明は、絶縁体の上に第2の導体パターンを形成する第2のパターン形成工程が挿入された請求項15に記載の電子部品の製造方法であり、これにより複数の導体層を形成することができる。従って絶縁物を誘電体としてコンデンサを生成することができる。
【0038】
請求項17に記載の発明は、凹版製造工程では、その一部に他の溝部よりも深い深溝部を有した凹版が作成され、前記深溝部によって形成される凸部の先端部で第2のパターンと電気的に接続した請求項14に記載の電子部品の製造方法であり、これにより容易に導体パターン間の接続をすることができる。
【0039】
請求項18に記載の発明は、基板と絶縁物とは未焼成のグリーンシートとし、絶縁物形成工程では前記グリーンシートを積層する請求項14に記載の電子部品の製造方法であり、導電性ペーストは硬化されており、またグリーンシートは柔らかいので、積層時に導電性ペーストがつぶれることはないので、選択度が高くかつ高精度な電子部品を実現することができる。
【0040】
請求項19に記載の発明において、可とう性を有した樹脂製の凹版の溝部に充填されるとともに溶剤と導体粉とバインダーとからなる導電性ペーストは、前記溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストであり、これにより導電性ペースト自身が溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0041】
なお、導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、容易に凹版を剥離することができる。
【0042】
また、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化し、かつ導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、凹版を基板から剥離するときに溝部内に導電性ペーストは確実に基板側へ転写され、転写パターンは溝部の形状を忠実に再生することができる。従って精度の良い導体パターンを得ることができる。
【0043】
さらに、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はないので、予め基板上に供給する接着剤を薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0044】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0045】
請求項20に記載の発明は、導体粉は銀粉とした請求項19に記載の導電性ペーストであり、これにより導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0046】
なお、導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、容易に凹版から剥離することができる。
【0047】
また、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化し、かつ導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、凹版を基板から剥離するときに溝部内に導電性ペーストは確実に基板側へ転写され、転写パターンは溝部の形状を忠実に再生することができる。従って精度の良い導体パターンを得ることができる。
【0048】
さらに、接着剤を導電ペーストに浸透させる必要はないので、予め基板上に供給する接着剤を薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0049】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0050】
請求項21に記載の発明における導体粉は、複数の直径を有した粉からなる請求項19に記載の導電ペーストであり、これにより焼成を大気雰囲気中で行うことができるので、特に窒素等は不要であるので、製造コストが安価である。
【0051】
請求項22に記載の発明の導体粉は、複数の種類の直径を有した粉から形成され、その粉のうち最小径を有する粉は、最大の径の粉が3個以上接したときに生じる隙間に収まる径以下とした請求項19に記載の電子部品であり、これにより高密度な導体を形成することができ、導体抵抗が小さくなる。
【0052】
請求項23に記載の発明における導電性ペーストにはバインダーとしてラダー型シリコーン系オリゴマーが含有された請求項19に記載の導電性ペーストであり、ラダー型シリコーン系オリゴマーは融点を超えなければ温度を上げてゆくと硬くなる特質があるので、接着剤を導電性ペーストに浸透さて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0053】
さらに、ラダー型シリコーン系オリゴマーは焼成工程においてその官能基は焼失し、ガラスとなるが、そのガラスは導体に比べて比重は小さいので、導体の表面を覆うこととなる。従って、導体の内部にガラス成分が残留しにくくなるとともに、絶縁、防湿や防錆効果も有することとなる。またガラスであるので、その後の工程等でレーザトリミングを行うことに対しても支障はない。
【0054】
請求項24に記載の発明におけるラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基は、フェニル基とした請求項24に記載の導電性ペーストであり、これにより官能基の反応性は小さくなり、凹版に樹脂等との反応性が低くなり、導電性ペーストを確実かつ溝部の形状に対し忠実に基板へ転写することができる。
【0055】
請求項25に記載の発明における樹脂はポリイミドとした請求項24に記載の導電性ペーストであり、これにより官能基であるフェニル基とは反応しにくいため、凹版と固着せず版離れが良くなる。また、レーザ等で精度良く加工することができる。
【0056】
請求項26に記載の発明は、樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥された導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを固着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される導電性ペーストであって、前記乾燥された導電性ペーストと前記溝との接着力は前記基板の接着剤と導電性ペースト間の接着力以下とした導電性ペーストであり、これにより導電性ペーストと溝との接着力の方が接着剤の接着力よりも小さくしているので、確実に導電性ペーストを転写することができる。
【0057】
請求項27に記載の発明は、樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥された導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを接着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される導電性ペーストであって、前記乾燥された導電性ペーストの硬化物強度は前記フィルムと導電性ペースト間との剥離においても、破壊されない強度を有する導電性ペーストであり、これにより転写時に導電性ペーストに欠け等が生じ難くなり、溝の形状を精度良く再生することができる。
【0058】
請求項28に記載の発明は、樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥によって溶剤成分が揮発した導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを接着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される導電性ペーストであって、前記導電性ペーストは、複数の長鎖状の分子構造を有したバインダーを含むとともに前記乾燥によって前記バインダー同士が絡まり合って硬化する導電性ペーストであって、これによりバインダーが長鎖状の分子構造を有しているので、乾燥によって溶剤ペースト中の樹脂同士が絡まりあい、導電性ペーストが硬化するので、フィルムを基板から剥がしても導電性ペーストがフィルム側に残ることはなく、導体の欠損が発生しし難くなる。
【0059】
請求項29に記載の発明の樹脂同士が絡まりあいにより発生する結合力は、前記樹脂とフィルム間の分子間力によって生じる結合力以上とした請求項28に記載の導電性ペーストであり、これにより導電性ペーストがフィルム側に残り導体に欠損が生じる事は起こり難く、溝の形状を忠実に再生した導体を得ることができる。
【0060】
請求項30に記載の発明は、樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に複数の長鎖状の分子構造を有した樹脂が含まれた導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥された導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを固着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される電子部品であって、前記溝の夫々の表面積は,前記樹脂とフィルム間の分子間力によって生じる結合力が前記乾燥によって前記樹脂同士が絡まった状態での樹脂の結合力を超えない程度に小さくなるような面積とした電子部品であり、フィルムの溝と導電性ペーストとの結合力はその溝の表面積に比例するので、この溝の表面積をフィルムの溝と導電性ペーストとの結合力が前記樹脂の結合力を超えないようにしているので容易に銅ペーストを溝から剥離することができる。さらにフィルムの溝内に銅ペーストが残難くなるので、寸法精度の良好な導体を得ることができる。
【0061】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態1における電子部品の断面図である。図1において、従来の電子部品と同じ物については同じ番号を付しその説明は簡略化する。
1は、2×1.25mmサイズのアルミナ基板である。11は、アルミナ基板1上の中央部付近の表面に形成されたスパイラル状のコイル導体(ライン)12が形成されたチップインダクタ(電子部品の一例として用いた)である。このチップインダクタは、アルミナ基板1の両縁部に形成された端子電極13a及び13bを有している。コイル導体12の外端12aは、一方の端子電極13aに接続されている。14は、リード電極であり、このリード電極14は、絶縁層16の最表面上にコイル導体12の形成後にコイル導体12を覆って絶縁するように形成されている。また、コイル導体12の内端12bは、ビアホール電極15とリード電極14を介してもう一方の端子電極13bに接続されている。
【0062】
以下にこの電子部品の製造方法について図2から図8を用いて説明する。なお、図1と同じ物については同じ番号を付し、その説明は簡略化する。
図2は本実施の形態における電子部品の製造フローを表す図である。図2において、20はポリイミドフィルム上に溝を形成する凹版製造工程である。21は凹版製造工程によって溝が形成されたフィルム上に剥離層を形成する剥離層の形成工程である。22は剥離層が形成された凹版の溝に導電性ペーストを充填する充填工程である。23は、充填工程で凹版に充填された導電性ペーストを乾燥する乾燥工程である。26は、乾燥工程乾燥したフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ張り合わせるラミネート工程である。27は、凹版が基板にラミネートされた状態で熱と圧力を加えて接着剤を硬化し、導電性ペーストを基板へ転写する転写工程である。28は、転写された導電性ペーストを融点付近の温度まで上げて融着せしめ導体を形成する焼成工程である。29は、焼成が完了した基板上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程である。そしてこの絶縁体上にさらに導体を形成する場合には、上記工程を繰り返し行うこととなる。そしてその後で基板を切断し、メッキや電極用ペーストを塗布して電極を形成する工程によって製造されるものである。
【0063】
図3は本実施の形態における凹版の断面図である。図3を用いて凹版製造工程20について説明する。30は厚みが125μmのポリイミドフィルムである。このフィルム30上にエキシマレーザ装置から出射された紫外領域の波長248nmのレーザビームが照射され、このレーザビームが照射された部分が光化学反応で分解される。これによって溝31が形成され、所望のパターンに対応した凹版32が形成される。
【0064】
なお、エキシマレーザ装置のXYステージを移動させながら上記の照射動作を繰り返すことによって、100mm×100mmのポリイミドフィルム30上に、サイズ2×1.25mmの凹版32が計4000個形成される。なお、エキシマレーザによる加工は、ピークパワーが数10MWに達する紫外波長領域のレーザビームによる光分解加工であり、またレーザビームのパルス幅が短いために、加工領域以外の周囲への熱的影響が少ない。従って、エキシマレーザによる加工では、パターンのライン幅が10μm以下の微細な加工を行うことができる。
【0065】
また、レーザビームが照射された部分のポリイミドフィルム30の表面は、フィルム30を構成する分子の結合が切断されていて、化学的に非常に活性化された状態にある。したがって、その部分では特に化学結合が起こりやすいので、この後の工程で凹版の溝に充填される導電性ペーストの材料はこのポリイミドと親和性が低い物を使用することが重要である。
【0066】
さらに、レンズの焦点深度などレーザ加工工程で使用される光学系の特性を適宜調整し、溝31をその側面が2〜60°のテーパを有した台形状の断面となるように形成する。これによって、後の工程で、溝31の内部に充填される導電性ペーストの被形成物上への転写が、容易に実施できるようになる。
【0067】
次に、ビアホール電極15を形成ための凹版の作成については、先の工程で形成された導体パターンの溝31aの所定の位置に、レーザビームをさらに照射して、ビアホール電極15に相当する円筒形のピット33を形成する。ピット33の形成にあたっても、溝31の形成時と同様に微細加工が可能であり、本実施の形態においては直径が60μmのピットによって45μmのビアを得ている。また充填された導電性ペーストの転写が容易なように、約6°程度のテーパ角度を有している。また、ピット33は円筒形以外の形状でも構わない。
【0068】
上記の方法で形成した凹版32用いて、導体パターンを基板1の表面に転写する訳であるが、この転写工程において、溝31やピット33の内部には導電性ペーストが残存しやすくなる。特に、ピット33では、その深さが深いために導電性ペーストの残存が特に顕著に発生する。その結果、凹版20の形状が十分に再生されない結果となる。従って、忠実に溝形状を再生するためには、凹版32の表面や溝31及びピット33の表面に剥離層を形成すると剥離しやすくなる。なお、本実施の形態における剥離層形成工程22では、フッ化炭素系単分子膜を剥離層として凹版32上に形成している。
【0069】
図4は凹版の溝に導電性ペーストを充填する工程の説明図である。図4において、40は銀ペースト(導電性ペーストの一例として用いた)である。この銀ペースト40は、90〜93重量パーセントを占める銀粉(導体粉の一例として用いた)と、約6重量パーセントを占める溶剤と、残りを占めるバインダーから構成されている。そのバインダーは、約1〜2重量パーセントを占めるラダー型シリコーンオリゴマーと、微量の分散剤、酸化銅や熱可塑性樹脂から構成されている。本実施の形態における導体粉は銀としているので、焼成工程28は大気中で焼成しても良い。なお、導体粉に銅粉を用いても良く、その場合は、導体抵抗値を小さくすることができる。
【0070】
なお、銀粉は2種類の直径寸法を有したものが混合されたものであり、本実施の形態においては、約3μmの粒子径の銀粉が30%を占め、残りが0.6μmの粒子径の銀粉で構成されている。これは大きな径の粒子の隙間に小さな径の粒子が詰まり、高密度な導体を形成することができ、導体抵抗が小さな導体を得ることができる。
【0071】
そして、この導電性ペースト40を凹版32上に供給し、凹版32の表面をスキージ41で掻くことによって、凹版32表面の余分な銀ペースト40を除去するとともに、溝31及びピット33の中に銀ペースト42を十分に充填することができる。さらにこの状態で遠心回転機によって溝31やピット33へさらに導電性ペーストを押し込むとさらに良い。また、遠心回転機の雰囲気を真空とすれば脱泡することができ、ボイドの少ない導体を得ることができる。
【0072】
次に、銀ペースト42を乾燥する乾燥工程23では、循環式熱風乾燥機等を用い、銀ペースト42中の乾燥を行う。これによって、凹版32の溝31及びピット33に充填された銀ペースト42内の有機溶剤を蒸発させて、導体ペーストの銀粉の密度を高くすることができ、より導体抵抗を小さくできるとともにより溝31及びピット33の形状によりフィットさせて、よりシャープな形状を得ることができる。
【0073】
さらに、本実施の形態においては、ピット33が形成されており、このピット33は最大深度が60μmと深い。そのため、この乾燥工程23において凹版32を急速に乾燥させると、ピット33に充填されている銀ペースト42の内部に直径5〜40μmのピンホールが発生しやすい。ライン幅が50μm以下であるような微細な導体パターンでは、このようなピンホールはパターン焼成後のオープン不良の原因になり、良質な導体パターンの形成を妨げる。
【0074】
そこで、本実施の形態の乾燥工程23では、以下のように2段階に凹版32の乾燥を行う。すなわち、まず100℃以下の温度で5分間の予備乾燥を行い、続いて温度150℃で5分間の乾燥を行い導体ペースト42に含まれる溶剤成分を揮発させる。さらに、銀ペーストの充填工程22と乾燥工程23の間や乾燥工程23の後で、遠心分離機などを用いて強制的に前記ペースト内に含まれる気泡を取り除くとさらに良い。それによって、上記のようなピンホールの発生を防ぐことができ、焼成後のオープン不良の発生がない導体パターンの形成が可能になる。
【0075】
また、乾燥は、室温から150℃までの昇温を15℃/分以下の緩やかな温度勾配で行っても同様の効果を得ることができる。
【0076】
以上のような乾燥工程23を行うと、有機溶剤の蒸発分に相当するだけ、溝31やピット33に充填されている銀ペースト42の体積が減少する。そこで、この減少分を補うために、銀ペースト42の充填工程及び乾燥工程をもう一度繰り返し、充填されている銀ペースト42の形状をさらに良好なものに整えることができる。
【0077】
なお、本実施の形態の説明では、再充填工程24及び再乾燥工程25はそれぞれ1回ずつ繰り返されるが、必要に応じてそれらを2回以上繰り返しても良い。
【0078】
図4は凹版を基板に貼り合わせて、導電性ペーストを基板に転写する工程の断面図である。図4において、50は基板1上に形成された接着層である。この接着層50は、基板1上に熱硬化型樹脂をスクリーンで印刷して形成している。つまり、本実施の形態においては、従来の電子部品のように接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はないので、接着層50を薄くすることができる。従って、接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。さらに、接着剤層50の厚さが厚いことによって、焼成時に接着剤層50自身の燃焼ガスが多量に発生し、導体パターンがうまく形成されないという問題も防ぐことができる。
【0079】
また、スクリーン印刷等によって形成することができるので、安定した厚みで接着剤を塗布することができる。なお、本実施の形態においては、接着剤層50の厚さは20μm程度としている。
【0080】
また、熱硬化樹脂が塗布される幅は、転写される導電性ペーストの幅と略同じ幅としている。これは導電性ペーストが転写される箇所以外には接着剤が塗布されないので、凹版を容易に剥離することができるためである。
【0081】
そして、銀ペースト42が充填された側の表面と接着剤層50とを対向させて、凹版32と基板1とをラミネートする。
【0082】
図5は転写工程を示した図である。この転写工程27では、凹版32に充填した導電性ペーストを基板1へ転写する工程であり、凹版32がラミネートされた基板1に圧力と温度とを加えて導電性ペースト42を基板1へ転写固着させる。この場合、転写時の温度は、使用する接着剤層50の硬化温度以上で導電性ペーストのガラス転移点以下の温度であれば良い。本実施の形態においては約180℃とし、転写圧力は約2kg程度で6分間加圧している。この加圧方法としては、通常のプレス加工機を用い、加熱板間にラミネートした基板1を挟むようなものであるとか、加熱ローラによって加熱するとともに圧力を加えるなどの方法があるが、本発明の導電性ペーストを用いると圧力や熱が低く、かつその時間も短いので、エアーシリンダ等を用いた簡単な装置でも充分に転写可能であるなお、図5では加熱ローラ51を用いた転写装置の例を示している。
【0083】
図6は転写が完了した凹版を基板から剥離する状態を示している。図6に示されるように、ラミネートされた凹版32と基板1との温度を室温にまで下げてから凹版32を絶縁基板1から剥離し、導電性ペースト42の転写が完了する。
【0084】
このとき、本実施の形態の構成では、凹版20がフレキシブル性に富んでいるために、凹版32を90°以上の角度に曲げることが可能である。また、導電性ペースト42は、乾燥工程23、25によって硬化するとともに溝部31、ピット33に固着しないので、必要な剥離力は低減されて、基板1からの凹版32を容易に剥離することができる。
【0085】
従って、本実施の形態によれば、例えば溝の幅15μm、深さ20μmのパターンを有する凹版32を用いても、溝31の内部での銀ペースト42の残存がなく、上記の溝31の幅と実質的に同じ幅及び溝31の深さと実質的に同じ高さを有する導体パターンを転写・形成することができる。また、ビアホール電極部分に関しては、凹版32のピット33の直径が45μmで深さが60μmの場合に、溝31の場合と同様に実質的に完全に対応する寸法の導体パターンを転写・形成することができる。また、導体ラインとビアホール電極とは、同一工程で一体的に同時に形成されるので、両者の間の電気的接続が確実に確保することができる。
【0086】
さらに、本実施の形態の高周波用チップインダクタのように高周波数領域で使用される電子部品では、表皮抵抗を小さくして電気的動作特性を向上させるために、導体パターンの表面形状をできるだけシャープにする必要がある。それに対して、本実施の形態のようにエキシマレーザによって凹版32を加工すれば、鋭角的なエッジを有するパターンを形成することができる。さらに、すでに説明してきたように、転写時に溝31やピット33の内部に銀ペースト42が残存しないので、鋭角的な凹版32の形状と同様の鋭利な形状を有するパターンが転写される。したがって、本実施の形態にしたがって形成された導体パターンは、高周波用導体として優れた特性を有するものになる。
【0087】
次に、上記のように導体パターンが転写された絶縁基板1を焼成する。図7に示すようなピーク温度850℃の温度パターンの下で焼成する焼成工程28である。本実施の形態では銀ペーストを用いているので特殊な不活性気体の雰囲気中で焼成する必要はなく、通常の大気雰囲気で焼成が可能である。
【0088】
次に、図8は導体パターンが形成された基板の表面に、絶縁層を形成した断面図である。図8において、銀ペースト42による導体パターンを形成した基板1の表面には絶縁層16が形成されている。本実施の形態において、絶縁層16は、絶縁層形成工程29で形成され、ガラスペーストを印刷し、ピーク温度820℃に10分間保持して焼成して絶縁層を形成する。
【0089】
このとき、ビアホール電極15の部分は、マスク径150μmのスクリーン版を使用して、粘度20万cpsの結晶化ガラスによって印刷する。これより、ビアホール電極15の部分には印刷の「にじみ」が発生し、ビアホール電極7の周囲を覆うガラスペーストの厚さが他の部分よりも薄くなり、ビアホール電極15の先端が露出する。これにより直径40μm程度の微少なビアホールを、容易に形成することができる。
【0090】
さらに、ビアホール電極15の形状・厚さを任意に設定できるので、絶縁層516表面からビアホール電極15を数μm突き出させるような形状にすることによって、上層導体パターンとビアホール電極15との接続を確実に行うことができる。まさらにまた、ビアホール電極15の基板1表面に垂直な方向の断面形状を台形状にすることによって、接続強度を十分に得ることができる。
【0091】
次に、30は、絶縁層16上にリード電極14を形成する工程である。これは、銀ペーストでリード電極14のパターンを、絶縁層16表面にスクリーン印刷し、ピーク温度810℃に10分間保持して焼成を行うことによって形成される。
【0092】
以上の製造工程によって、本実施の形態におけるチップインダクタが製造されている。
【0093】
次に以上の製造方法によって製造される電子部品に用いられる導電性ペーストについて説明する。ここで、凹版32と導電性ペーストとの剥離を容易にするためには、乾燥された導電性ペースト42と溝31あるいはピット33との接着力は、接着層50の基板1と導電性ペースト42間の固着力あるいは、導電性ペースト42を乾燥することによるラダー型シリコーン系オリゴマーの結合力のいずれよりも小さくすることが重要である。そこで、本実施の形態における導電性ペーストには、下記化学式に示されるようなラダー型シリコーン系オリゴマーを含有している。
【0094】
【化1】
【0095】
このラダー型シリコーン系オリゴマーはシリコーンの分子が数個程度連結された長鎖状形状をなしており、前記乾燥工程23の熱によって前記ラダー型シリコーン系オリゴマー同士が絡まり合って固まる性質を有している。つまり乾燥温度を溶剤が揮発しうる温度以上でかつラダー型シリコーン系オリゴマーのガラス転移点以下としておくことによって、導電性ペースト中の溶剤成分は揮発し、導電性ペースト中に混在したラダー型シリコーン系オリゴマーはその流動性を失う。本実施の形態においては乾燥温度を150℃としてある。
【0096】
従って、ラダー型シリコーン系オリゴマー同士が、導電性ペースト内の随所で絡まりあい、導電性ペースト全体が硬くなるので、凹版32を基板1から剥がしても導電性ペースト42が溝31やピット33内に残ることはなく、導体の欠損が発生しし難くなる。
【0097】
なお、本実施の形態におけるラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基はフェニル基としてある。これは、フェニル基は凹版32の材料であるポリイミドとの反応性が小さいものであり、エキシマレーザにより加工されることによって化学的に活性化した表面に対して固着しにくいためである。
【0098】
さらに、溝31あるいはピット33と導電性ペースト42との結合力はその溝31あるいはピット33の表面積に比例するので、溝と導電性ペーストとの結合力がラダー型シリコーン系オリゴマー自体の結合力を超えない程度にこの表面積を小さくすることが重要である。これによって容易に凹版32を剥離することができる。
【0099】
さらにまた、ラダー型シリコーン系オリゴマーを焼成工程28で焼成すると、その官能基は焼失しガラスとなる。この場合、そのガラスの比重は導体の比重に比べて小さいので、導体の表面側を覆うこととなる。従って、導体の内部にガラス成分が残留しにくくなり、導体の導体の導体抵抗を小さくすることができる。本実施の形態においては、1.9マイクロオーム・cm程度の小さい導体抵抗を実現している。また、絶縁、防湿や防錆効果も有することとなる。またガラスであるので、その後の工程等でレーザトリミングを行うことに対しても支障はない。
【0100】
なお、溝31やピット33の銀ペースト42を乾燥させると、その柔軟性が失われやすい。その結果、微細なライン幅(例えば100μm以下)を有する導体パターンを転写する場合には、転写時に発生するストレスによって銀ペースト42にクラックが発生して、焼成後のオープン不良の原因になることがある。このような不都合を防ぐため、本実施の形態では銀ペースト40、42中に0.1〜10重量パーセント程度の分散財や可塑剤を添加しておくと良い。これによって、銀ペースト42が乾燥後にも適度な柔軟性を有するようにし、転写工程でのクラックの発生を防ぐことができる。
【0101】
ここで重要なことは、ラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基には上記分散剤、可塑剤と反応しないような物を選定することが必要である。例えば官能基をメチルとし、分散剤をアミン系分散剤とした場合には導電性ペーストはゲル化してしまう。従って本実施の形態においては官能基をフェニル基、分散剤は分散性の良好なアミン系分散剤の組み合わせとしている。なお、他に可塑剤としては、フタル酸エステル系の可塑剤、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、あるいはフタル酸ジオクチル等も使用することができる。
【0102】
さらに、乾燥工程27の温度は焼約150℃であり、導電性ペースト42の溶剤が揮発しうる温度以上かつラダー型シリコーン系オリゴマーのガラス転移点以下の温度であるので、ラダー型シリコーン系オリゴマーが硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0103】
さらにまた、導電性ペースト42は硬化状態で溝部31あるいはピット33には固着しないので、容易に凹版32を基板1から剥離することができる。
【0104】
以上のように、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化し、かつ導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、凹版を基板から剥離するときに溝部内に導電性ペーストは確実に基板側へ転写され、転写パターンは溝部の形状を忠実に再生することができる。従って精度の良い導体パターンを得ることができる。
【0105】
さらに、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はないので、基板1上に供給する接着層50の厚みを薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0106】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0107】
以上に説明してきたことをまとめると、本実施の形態によれば、可とう性に富んだ樹脂からなる凹版32を用いることによって、基板1の損傷や導体パターンにおけるクラックやピンホールの発生を招くことなく、凹版32の剥離・導体パターンの転写が行われる。
【0108】
なお、導電性ペースト40、42にはラダー型シリコーン系オリゴマーを含有しているので、導電性ペースト40、42は溶剤の揮発しうる温度以上かつ導電性ペースト40,42の溶融温度未満の温度で乾燥することによって硬化するので、転写時に溝31やピット336に導電性ペーストが残留し難くなる。
【0109】
また、ラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基にはポリイミド樹脂との反応性の小さいフェニル基を用いているので、ポリイミド樹脂の凹版32上の溝部31あるいはピット33とに固着することはない。従って、導電性ペースト42の転写が完全に行え、導体パターン中のライン幅が細く、かつ導体膜の厚さが厚いパターンであっても、精度の良い形状で形成することができるとともに、容易に凹版を剥離することができるとともに、導電性ペースト42を基板1へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0110】
さらに、接着層50を導電性ペースト42に浸透させる必要はないので、この接着層50を薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0111】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0112】
なお、接着層50の厚みを薄くできるので、焼成工程28でこの接着層50自身によるガスの発生が抑えられるので、良好な導体を形成することができる。
【0113】
また、本実施の形態では、チップインダクタを例にとって本実施の形態の電子部品の製造方法を説明してきたが、製造できるのはチップインダクタ1に限られるわけではないのはもちろんである。例えば、本実施の形態に従って、チップビーズ、EMIフィルタ、コンデンサなどの他の電子部品、あるいは積層構造を有する他の電子部品の電極部分を製造することができる。
【0114】
さらに、導体パターンを形成するために使用する導電性ペーストの材料として銀ペーストを使用したが、これに限定されるものではなく、例えば、Cu,Ni,Al,Auなどの他の金属ペースト、またはレジネートペーストも使用することができる。
【0115】
さらにまた、凹版32の材料としては、適度の可とう性(フレキシブル性)を有するものであれば、上述のポリイミドフィルム15の他に、PET、PSF、PC、PEI(ポリエーテルイミド)、PAR(ポリアクリレート)、PEEK(ポリエーテルケトン)などの樹脂シートを使用することができる。また、絶縁基板1上に形成する接着層50の材料には、PVCやエチルセルロース系の熱可塑性樹脂、あるいはエポキシやアクリル系の熱硬化性樹脂を使用することができる。
【0116】
なお、凹版32と基板1との転写工程27において、熱ローラを用いて圧力をかけながら熱的に貼り合わせる装置や、少なくとも片面に熱板を備えたプレス装置等を使用してもよい。
【0117】
また、基板1の材料は、特定のものに制限されるものではなく、セラミックなど一般的に使用されている材料や、チタン酸バリウムを主体とする誘電体であってもよい。特に、インダクタンス部品を形成する場合には、基板1あるいは絶縁層16の少なくとも一方を、フェライトなどの磁性体材料で形成することが望ましい。これは、これらの磁性体材料の透磁率によって、形成される電子部品のインダクタンス値を向上できるからである。
【0118】
さらに、基板はグリーンシートによって形成することができる。この場合、グリーンシートは加熱によって軟化する性質を有しているので、工程26において、転写時の接着層50の形成を省略することができる。
【0119】
さらにまた、凹版32の形成にはエキシマレーザ装置を使用したが、波長が紫外線領域のレーザビームを発することができるものであれば、色素レーザや自由電子レーザなど他のレーザ源を使用することができる。さらに、上記波長領域でこれらのレーザと同等の必要なレベルのエネルギー密度を有するビームを発することができる光源であれば、レーザ源以外の他のものを使用することも可能である。
【0120】
なお、凹版と基板とのラミネートを熱的に行ので、不透明な基板上にも導体パターンの転写を行える。
【0121】
また、導体パターンの多層構造化も、容易に実現される。また、導体パターンの任意の箇所の導電膜の厚さを容易に制御することが可能である。従って、導体パターン中で高く形成された部分を、多層構造の各導体パターンを接続する電極として使用することができる。これによって、導体パターンと電極とが一体的に同時に形成されるので、両者間の接続不良などの欠陥の発生を防ぐことができる。
【0122】
さらに、本実施の形態においては、接着層50を熱硬化性樹脂としたが、これは熱可塑性樹脂としても良い。その場合、従来の導電性ペーストのように,ラミネート温度が高いと、接着層50の流動性が大きく、接着層50が薄くなる課題であるとか、ラミネート温度が低い場合に接着層50の流動性が小さく、銀ペースト42と接着層50との密着性が悪くなる課題が生じることはなく、溝31及びピット33から銀ペースト42良好に転写することができる。
【0123】
また、接着剤層50には熱硬化樹脂を用いているので、加熱することによって導電性ペースト42を硬化させると同時に、基板上への転写を行うことができるので、生産性が良好である。
【0124】
さらに本実施の形態では絶縁基板1の片面にのみ接着層50を形成したが、両面に形成しても良い。
【0125】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、基板と、この基板上に供給された接着剤と、可とう性を有した樹脂製の凹版の溝部に充填されるとともに溶剤と導体粉とバインダーとからなる導電性ペーストを前記接着剤上に転写して形成された転写パターンと、この転写パターンを焼成して形成された導体パターンとを有した電子部品であって、前記導電性ペーストは、前記溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストとしたのものであり、これにより導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を低くできる。
さらに、その加圧時間や加熱時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における電子部品の断面図である。
【図2】同、製造フローチャートである。
【図3】同、凹版の断面図である。
【図4】同、導電性ペースト充填工程を示す断面図である。
【図5】同、転写工程を示す断面図である。
【図6】同、凹版を基板から剥離する状態の概略断面図である。
【図7】同、焼成工程の温度プロファイルである。
【図8】同、絶縁層形成工程を示す断面図である。
【図9】従来の電子部品の転写工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 接着剤層
3 凹版
4 可とう性を有した樹脂
5 溝
6 導電性ペースト
11 基板
12 コイル導体
13a、13b 端子電極
14 リード電極
15 ビアホール電極
16 絶縁層
30 ポリイミドフィルム
31 溝
32 凹版
33 ピット
40、42 銀ペースト
50 接着層
51 加熱ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、各電子機器に用いられる電子部品とその製造方法に関し、特に凹版印刷によって製造される電子部品およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化が進んでおり、それに伴って電子機器内で使用される電子部品の小型化が進んでいる。このような状況の下で、電子部品の導体パターンに対しても、パターンを構成する導体ライン(以下、単にラインと称する)の微細化とライン形状の高精度化が要求されている。
【0003】
そこで図9に示される従来の電子部品において、1はグリーンシートを焼成して得たアルミナ基板である。2は、アルミナ基板1上に形成された熱可塑性の接着剤層である。この接着剤層2はアルミナ基板1をポリビニールブチラール樹脂(以下、PVBと略記する)を溶解したアセトンとトルエンとの混合溶液内に浸漬し、乾燥させて形成している。
【0004】
3は、可とう性を有した樹脂4に溝5が形成された凹版である。この凹版3には予め導電性ペースト6が充填された状態でアルミナ基板1にラミネートされる。そしてこの状態で熱と、圧力とを加えて熱可塑性の接着剤層2を溶融させる。このときの温度は約200度としている。この熱と圧力によって溶融したPVBが導電性ペースト6内に浸透してゆき、導電性ペーストと混ざる。次に、これを冷却することで熱可塑性接着剤であるPVBが固まり、導電性ペーストが硬化し硬くなる。そして、凹版を剥がすと溝5内に充填された導電性ペースト6は熱可塑性接着剤層2によって基板側に転写される。
【0005】
この導電性ペースト6が転写された電子部品は、導電性ペースト6中の銀粉の融着温度以上(約850℃)の温度で焼成されて、導電性ペースト中の不純物を焼失させるとともに、導電性ペーストを構成する導体粉同士を焼結させて導体を形成したものであった。
【0006】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1が知られている。
【0007】
【特許文献1】
特願平6−226584号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の電子部品では、熱可塑性接着剤(PVB)を導電性ペーストへ浸透させることによって導電性ペーストを硬化させるので、PVBを導電性ペースト内に充分浸透させるためには、温度が約200℃で圧力が2トン、時間が10分間必用であった。また導電性ペーストの量に応じて接着剤の塗布量、さらに、加熱・加圧工程の温度、圧力や、時間も変更する必要があり、非常に生産性の悪いものであった。
【0009】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、生産性の良い電子部品を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の電子部品は、基板と、この基板上に供給された接着剤と、可とう性を有した樹脂製の凹版の溝部に充填されるとともに溶剤と導体粉バインダーとからなる導電性ペーストを前記接着剤上に転写して形成された転写パターンと、この転写パターンを焼成して形成された導体パターンとを有した電子部品であって、前記導電性ペーストは、前記溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストとしたものである。
【0011】
これにより、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を低くくすることができ、またその時間も短くすることができるので、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、基板と、この基板上に供給された接着剤と、可とう性を有した樹脂製の凹版の溝部に充填されるとともに溶剤と導体粉とバインダーとからなる導電性ペーストを前記接着剤上に転写して形成された転写パターンと、この転写パターンを焼成して形成された導体パターンとを有した電子部品であって、前記導電性ペーストは、前記溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストとした電子部品であって、前記導電性ペーストは、前記溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストとした電子部品であり、これにより導電性ペースト自身が溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0013】
なお、導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、容易に凹版を剥離することができる。
【0014】
また、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化し、かつ導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、凹版を基板から剥離するときに溝部内に導電性ペーストは確実に基板側へ転写され、転写パターンは溝部の形状を忠実に再生することができる。従って精度の良い導体パターンを得ることができる。
【0015】
さらに、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はないので、予め基板上に供給する接着剤を薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0016】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、導体粉は銀粉とした請求項1に記載の電子部品であり、これにより焼成を大気雰囲気中で行うことができるので、特に窒素等は不要であるので、製造コストが安価である。
【0018】
また、銅粉によるペーストに比べて溶融温度が低いため、焼成工程で使用電力が小さくなり、省エネである。
【0019】
請求項3に記載の発明における導体粉は、複数の直径を有した粉からなる請求項1に記載の電子部品であり、これにより高密度な導体を形成することができ、導体抵抗が小さくなる。
【0020】
請求項4に記載の発明における導体粉は、複数の種類の直径を有した粉から形成され、その粉のうち最小径を有する粉は、最大の径の粉が3個以上接したときに生じる隙間に収まる径以下とした請求項1に記載の電子部品であり、これにより大きな粉の隙間に小さな粉が埋まるので、高密度な導体を実現でき、導体抵抗を小さくすることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明の導電性ペーストには、バインダーとしてラダー型シリコーン系オリゴマーが含有された請求項1に記載の電子部品であり、ラダー型シリコーン系オリゴマーは融点を超えなければ温度を上げてゆくと硬くなる特質があるので、接着剤を導電性ペーストに浸透さて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0022】
さらに、ラダー型シリコーン系オリゴマーは焼成工程においてその官能基は焼失し、ガラスとなるが、そのガラスは導体に比べて比重は小さいので、導体の表面を覆うこととなる。従って、導体の内部にガラス成分が残留しにくくなるとともに、絶縁、防湿や防錆効果も有することとなる。またガラスであるので、その後の工程等でレーザトリミングを行うことに対しても支障はない。
【0023】
請求項6に記載の発明におけるラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基は、フェニル基とした請求項5に記載の電子部品であり、これにより凹版に樹脂等との反応性が低くなり、導電性ペーストを確実かつ溝部の形状に対し忠実に基板へ転写することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明における接着剤は熱硬化性樹脂とした請求項1に記載の電子部品であり、これにより加熱することによって導電性ペースト硬化させると同時に、基板上への転写を行うことができるので、生産性が良好である。
【0025】
請求項8に記載の発明における接着剤は、スクリーン印刷で供給された請求項1に記載の電子部品であり、これにより薄くかつ均一の厚みで、安定した量を塗布することができるので、導電性ペーストと基板間の接着強度が安定する。
【0026】
請求項9に記載の発明における接着剤が塗布される幅は、転写される導電性ペーストの幅と略同じとした請求項8に記載の電子部品であり、これにより導電性ペーストが転写される箇所以外には接着剤が塗布されないので、凹版を容易に剥離することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明における接着剤が塗布される幅は、転写される導電性ペーストの幅より凹版の位置ずれ寸法以上に大きくした請求項8に記載の電子部品であり、これにより導電性ペーストと基板間には必ず接着剤層が存在することとなるので、凹版と基板との張り合わせがずれても、確実に導電性ペーストを転写することができる。
【0028】
請求項11に記載の発明における接着剤が塗布される幅は、転写される導電性ペーストの幅より小さくした請求項8に記載の電子部品であり、これにより接着剤が導電性ペーストからはみ出すことはなく、容易に基板と凹版を剥がすことができる。
【0029】
請求項12に記載の発明は、凹版の一部に他の溝よりも深い深溝部と、この深溝部に充填された導電性ペーストが基板に転写されて形成される凸部と、この凸部上に形成される絶縁体とを有し、少なくとも前記凸部の先端は前記絶縁体から露出した請求項1に記載の電子部品であり、この露出部上に半田付けすることができ、チップ部品等の装着をすることができる。
【0030】
請求項13に記載の発明は、絶縁体を挟んで導体パターンが設けられ、前記導体パターン同士は、凸部先端で接続された請求項12に記載の電子部品であり、これにより導体を複数層の導体パターンを設けることができるので、回路の小型化をすることができる。また、絶縁層を誘電体としたコンデンサ等を形成することもできる。
【0031】
請求項14に記載の発明は、基板上に導体パターンを形成する電子部品の製造方法において、可とう性樹脂の表面に、前記導体パターンに対応するように溝部を形成して凹版を製造する凹版製造ラミネートする圧着工程と、前記凹版を前記基板から剥離して、前記導電性ペーストを基板上に転写する転写工程と、転写された前記導電性ペーストを焼成する焼成工程からなる電子部品の製造方法であり、これにより導電性ペー工程と、前記溝部に請求項1に記載の導電性ペーストを充填する充填工程と、前記導電性ペーストを乾燥する乾燥工程と、前記導電性ペーストが充填され乾燥された凹版と予め接着層が形成された基板とを所定の熱および所定の圧力を加えることによってスト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0032】
なお、導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、容易に凹版を剥離することができる。
【0033】
また、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化し、かつ導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、凹版を基板から剥離するときに溝部内に導電性ペーストは確実に基板側へ転写され、溝部の形状を忠実に再生することができる。従って精度の良い回路を得ることができる。
【0034】
さらに、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はないので、予め基板上に供給する接着剤を薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0035】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0036】
請求項15に記載の発明は、転写工程と焼成工程と間に、絶縁物の形成工程が挿入された請求項14に記載の電子部品の製造方法であり、これにより絶縁物を形成できる。また導電性ペーストは硬化しているので、未焼成状態で導電性ペースト上に絶縁物を供給しても導電性ペーストのつぶれは小さく、導電性ペーストと絶縁物とを同時に焼成を行うことが可能になる。
【0037】
請求項16に記載の発明は、絶縁体の上に第2の導体パターンを形成する第2のパターン形成工程が挿入された請求項15に記載の電子部品の製造方法であり、これにより複数の導体層を形成することができる。従って絶縁物を誘電体としてコンデンサを生成することができる。
【0038】
請求項17に記載の発明は、凹版製造工程では、その一部に他の溝部よりも深い深溝部を有した凹版が作成され、前記深溝部によって形成される凸部の先端部で第2のパターンと電気的に接続した請求項14に記載の電子部品の製造方法であり、これにより容易に導体パターン間の接続をすることができる。
【0039】
請求項18に記載の発明は、基板と絶縁物とは未焼成のグリーンシートとし、絶縁物形成工程では前記グリーンシートを積層する請求項14に記載の電子部品の製造方法であり、導電性ペーストは硬化されており、またグリーンシートは柔らかいので、積層時に導電性ペーストがつぶれることはないので、選択度が高くかつ高精度な電子部品を実現することができる。
【0040】
請求項19に記載の発明において、可とう性を有した樹脂製の凹版の溝部に充填されるとともに溶剤と導体粉とバインダーとからなる導電性ペーストは、前記溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストであり、これにより導電性ペースト自身が溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0041】
なお、導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、容易に凹版を剥離することができる。
【0042】
また、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化し、かつ導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、凹版を基板から剥離するときに溝部内に導電性ペーストは確実に基板側へ転写され、転写パターンは溝部の形状を忠実に再生することができる。従って精度の良い導体パターンを得ることができる。
【0043】
さらに、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はないので、予め基板上に供給する接着剤を薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0044】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0045】
請求項20に記載の発明は、導体粉は銀粉とした請求項19に記載の導電性ペーストであり、これにより導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0046】
なお、導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、容易に凹版から剥離することができる。
【0047】
また、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化し、かつ導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、凹版を基板から剥離するときに溝部内に導電性ペーストは確実に基板側へ転写され、転写パターンは溝部の形状を忠実に再生することができる。従って精度の良い導体パターンを得ることができる。
【0048】
さらに、接着剤を導電ペーストに浸透させる必要はないので、予め基板上に供給する接着剤を薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0049】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0050】
請求項21に記載の発明における導体粉は、複数の直径を有した粉からなる請求項19に記載の導電ペーストであり、これにより焼成を大気雰囲気中で行うことができるので、特に窒素等は不要であるので、製造コストが安価である。
【0051】
請求項22に記載の発明の導体粉は、複数の種類の直径を有した粉から形成され、その粉のうち最小径を有する粉は、最大の径の粉が3個以上接したときに生じる隙間に収まる径以下とした請求項19に記載の電子部品であり、これにより高密度な導体を形成することができ、導体抵抗が小さくなる。
【0052】
請求項23に記載の発明における導電性ペーストにはバインダーとしてラダー型シリコーン系オリゴマーが含有された請求項19に記載の導電性ペーストであり、ラダー型シリコーン系オリゴマーは融点を超えなければ温度を上げてゆくと硬くなる特質があるので、接着剤を導電性ペーストに浸透さて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0053】
さらに、ラダー型シリコーン系オリゴマーは焼成工程においてその官能基は焼失し、ガラスとなるが、そのガラスは導体に比べて比重は小さいので、導体の表面を覆うこととなる。従って、導体の内部にガラス成分が残留しにくくなるとともに、絶縁、防湿や防錆効果も有することとなる。またガラスであるので、その後の工程等でレーザトリミングを行うことに対しても支障はない。
【0054】
請求項24に記載の発明におけるラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基は、フェニル基とした請求項24に記載の導電性ペーストであり、これにより官能基の反応性は小さくなり、凹版に樹脂等との反応性が低くなり、導電性ペーストを確実かつ溝部の形状に対し忠実に基板へ転写することができる。
【0055】
請求項25に記載の発明における樹脂はポリイミドとした請求項24に記載の導電性ペーストであり、これにより官能基であるフェニル基とは反応しにくいため、凹版と固着せず版離れが良くなる。また、レーザ等で精度良く加工することができる。
【0056】
請求項26に記載の発明は、樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥された導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを固着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される導電性ペーストであって、前記乾燥された導電性ペーストと前記溝との接着力は前記基板の接着剤と導電性ペースト間の接着力以下とした導電性ペーストであり、これにより導電性ペーストと溝との接着力の方が接着剤の接着力よりも小さくしているので、確実に導電性ペーストを転写することができる。
【0057】
請求項27に記載の発明は、樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥された導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを接着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される導電性ペーストであって、前記乾燥された導電性ペーストの硬化物強度は前記フィルムと導電性ペースト間との剥離においても、破壊されない強度を有する導電性ペーストであり、これにより転写時に導電性ペーストに欠け等が生じ難くなり、溝の形状を精度良く再生することができる。
【0058】
請求項28に記載の発明は、樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥によって溶剤成分が揮発した導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを接着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される導電性ペーストであって、前記導電性ペーストは、複数の長鎖状の分子構造を有したバインダーを含むとともに前記乾燥によって前記バインダー同士が絡まり合って硬化する導電性ペーストであって、これによりバインダーが長鎖状の分子構造を有しているので、乾燥によって溶剤ペースト中の樹脂同士が絡まりあい、導電性ペーストが硬化するので、フィルムを基板から剥がしても導電性ペーストがフィルム側に残ることはなく、導体の欠損が発生しし難くなる。
【0059】
請求項29に記載の発明の樹脂同士が絡まりあいにより発生する結合力は、前記樹脂とフィルム間の分子間力によって生じる結合力以上とした請求項28に記載の導電性ペーストであり、これにより導電性ペーストがフィルム側に残り導体に欠損が生じる事は起こり難く、溝の形状を忠実に再生した導体を得ることができる。
【0060】
請求項30に記載の発明は、樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に複数の長鎖状の分子構造を有した樹脂が含まれた導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥された導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを固着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される電子部品であって、前記溝の夫々の表面積は,前記樹脂とフィルム間の分子間力によって生じる結合力が前記乾燥によって前記樹脂同士が絡まった状態での樹脂の結合力を超えない程度に小さくなるような面積とした電子部品であり、フィルムの溝と導電性ペーストとの結合力はその溝の表面積に比例するので、この溝の表面積をフィルムの溝と導電性ペーストとの結合力が前記樹脂の結合力を超えないようにしているので容易に銅ペーストを溝から剥離することができる。さらにフィルムの溝内に銅ペーストが残難くなるので、寸法精度の良好な導体を得ることができる。
【0061】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態1における電子部品の断面図である。図1において、従来の電子部品と同じ物については同じ番号を付しその説明は簡略化する。
1は、2×1.25mmサイズのアルミナ基板である。11は、アルミナ基板1上の中央部付近の表面に形成されたスパイラル状のコイル導体(ライン)12が形成されたチップインダクタ(電子部品の一例として用いた)である。このチップインダクタは、アルミナ基板1の両縁部に形成された端子電極13a及び13bを有している。コイル導体12の外端12aは、一方の端子電極13aに接続されている。14は、リード電極であり、このリード電極14は、絶縁層16の最表面上にコイル導体12の形成後にコイル導体12を覆って絶縁するように形成されている。また、コイル導体12の内端12bは、ビアホール電極15とリード電極14を介してもう一方の端子電極13bに接続されている。
【0062】
以下にこの電子部品の製造方法について図2から図8を用いて説明する。なお、図1と同じ物については同じ番号を付し、その説明は簡略化する。
図2は本実施の形態における電子部品の製造フローを表す図である。図2において、20はポリイミドフィルム上に溝を形成する凹版製造工程である。21は凹版製造工程によって溝が形成されたフィルム上に剥離層を形成する剥離層の形成工程である。22は剥離層が形成された凹版の溝に導電性ペーストを充填する充填工程である。23は、充填工程で凹版に充填された導電性ペーストを乾燥する乾燥工程である。26は、乾燥工程乾燥したフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ張り合わせるラミネート工程である。27は、凹版が基板にラミネートされた状態で熱と圧力を加えて接着剤を硬化し、導電性ペーストを基板へ転写する転写工程である。28は、転写された導電性ペーストを融点付近の温度まで上げて融着せしめ導体を形成する焼成工程である。29は、焼成が完了した基板上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程である。そしてこの絶縁体上にさらに導体を形成する場合には、上記工程を繰り返し行うこととなる。そしてその後で基板を切断し、メッキや電極用ペーストを塗布して電極を形成する工程によって製造されるものである。
【0063】
図3は本実施の形態における凹版の断面図である。図3を用いて凹版製造工程20について説明する。30は厚みが125μmのポリイミドフィルムである。このフィルム30上にエキシマレーザ装置から出射された紫外領域の波長248nmのレーザビームが照射され、このレーザビームが照射された部分が光化学反応で分解される。これによって溝31が形成され、所望のパターンに対応した凹版32が形成される。
【0064】
なお、エキシマレーザ装置のXYステージを移動させながら上記の照射動作を繰り返すことによって、100mm×100mmのポリイミドフィルム30上に、サイズ2×1.25mmの凹版32が計4000個形成される。なお、エキシマレーザによる加工は、ピークパワーが数10MWに達する紫外波長領域のレーザビームによる光分解加工であり、またレーザビームのパルス幅が短いために、加工領域以外の周囲への熱的影響が少ない。従って、エキシマレーザによる加工では、パターンのライン幅が10μm以下の微細な加工を行うことができる。
【0065】
また、レーザビームが照射された部分のポリイミドフィルム30の表面は、フィルム30を構成する分子の結合が切断されていて、化学的に非常に活性化された状態にある。したがって、その部分では特に化学結合が起こりやすいので、この後の工程で凹版の溝に充填される導電性ペーストの材料はこのポリイミドと親和性が低い物を使用することが重要である。
【0066】
さらに、レンズの焦点深度などレーザ加工工程で使用される光学系の特性を適宜調整し、溝31をその側面が2〜60°のテーパを有した台形状の断面となるように形成する。これによって、後の工程で、溝31の内部に充填される導電性ペーストの被形成物上への転写が、容易に実施できるようになる。
【0067】
次に、ビアホール電極15を形成ための凹版の作成については、先の工程で形成された導体パターンの溝31aの所定の位置に、レーザビームをさらに照射して、ビアホール電極15に相当する円筒形のピット33を形成する。ピット33の形成にあたっても、溝31の形成時と同様に微細加工が可能であり、本実施の形態においては直径が60μmのピットによって45μmのビアを得ている。また充填された導電性ペーストの転写が容易なように、約6°程度のテーパ角度を有している。また、ピット33は円筒形以外の形状でも構わない。
【0068】
上記の方法で形成した凹版32用いて、導体パターンを基板1の表面に転写する訳であるが、この転写工程において、溝31やピット33の内部には導電性ペーストが残存しやすくなる。特に、ピット33では、その深さが深いために導電性ペーストの残存が特に顕著に発生する。その結果、凹版20の形状が十分に再生されない結果となる。従って、忠実に溝形状を再生するためには、凹版32の表面や溝31及びピット33の表面に剥離層を形成すると剥離しやすくなる。なお、本実施の形態における剥離層形成工程22では、フッ化炭素系単分子膜を剥離層として凹版32上に形成している。
【0069】
図4は凹版の溝に導電性ペーストを充填する工程の説明図である。図4において、40は銀ペースト(導電性ペーストの一例として用いた)である。この銀ペースト40は、90〜93重量パーセントを占める銀粉(導体粉の一例として用いた)と、約6重量パーセントを占める溶剤と、残りを占めるバインダーから構成されている。そのバインダーは、約1〜2重量パーセントを占めるラダー型シリコーンオリゴマーと、微量の分散剤、酸化銅や熱可塑性樹脂から構成されている。本実施の形態における導体粉は銀としているので、焼成工程28は大気中で焼成しても良い。なお、導体粉に銅粉を用いても良く、その場合は、導体抵抗値を小さくすることができる。
【0070】
なお、銀粉は2種類の直径寸法を有したものが混合されたものであり、本実施の形態においては、約3μmの粒子径の銀粉が30%を占め、残りが0.6μmの粒子径の銀粉で構成されている。これは大きな径の粒子の隙間に小さな径の粒子が詰まり、高密度な導体を形成することができ、導体抵抗が小さな導体を得ることができる。
【0071】
そして、この導電性ペースト40を凹版32上に供給し、凹版32の表面をスキージ41で掻くことによって、凹版32表面の余分な銀ペースト40を除去するとともに、溝31及びピット33の中に銀ペースト42を十分に充填することができる。さらにこの状態で遠心回転機によって溝31やピット33へさらに導電性ペーストを押し込むとさらに良い。また、遠心回転機の雰囲気を真空とすれば脱泡することができ、ボイドの少ない導体を得ることができる。
【0072】
次に、銀ペースト42を乾燥する乾燥工程23では、循環式熱風乾燥機等を用い、銀ペースト42中の乾燥を行う。これによって、凹版32の溝31及びピット33に充填された銀ペースト42内の有機溶剤を蒸発させて、導体ペーストの銀粉の密度を高くすることができ、より導体抵抗を小さくできるとともにより溝31及びピット33の形状によりフィットさせて、よりシャープな形状を得ることができる。
【0073】
さらに、本実施の形態においては、ピット33が形成されており、このピット33は最大深度が60μmと深い。そのため、この乾燥工程23において凹版32を急速に乾燥させると、ピット33に充填されている銀ペースト42の内部に直径5〜40μmのピンホールが発生しやすい。ライン幅が50μm以下であるような微細な導体パターンでは、このようなピンホールはパターン焼成後のオープン不良の原因になり、良質な導体パターンの形成を妨げる。
【0074】
そこで、本実施の形態の乾燥工程23では、以下のように2段階に凹版32の乾燥を行う。すなわち、まず100℃以下の温度で5分間の予備乾燥を行い、続いて温度150℃で5分間の乾燥を行い導体ペースト42に含まれる溶剤成分を揮発させる。さらに、銀ペーストの充填工程22と乾燥工程23の間や乾燥工程23の後で、遠心分離機などを用いて強制的に前記ペースト内に含まれる気泡を取り除くとさらに良い。それによって、上記のようなピンホールの発生を防ぐことができ、焼成後のオープン不良の発生がない導体パターンの形成が可能になる。
【0075】
また、乾燥は、室温から150℃までの昇温を15℃/分以下の緩やかな温度勾配で行っても同様の効果を得ることができる。
【0076】
以上のような乾燥工程23を行うと、有機溶剤の蒸発分に相当するだけ、溝31やピット33に充填されている銀ペースト42の体積が減少する。そこで、この減少分を補うために、銀ペースト42の充填工程及び乾燥工程をもう一度繰り返し、充填されている銀ペースト42の形状をさらに良好なものに整えることができる。
【0077】
なお、本実施の形態の説明では、再充填工程24及び再乾燥工程25はそれぞれ1回ずつ繰り返されるが、必要に応じてそれらを2回以上繰り返しても良い。
【0078】
図4は凹版を基板に貼り合わせて、導電性ペーストを基板に転写する工程の断面図である。図4において、50は基板1上に形成された接着層である。この接着層50は、基板1上に熱硬化型樹脂をスクリーンで印刷して形成している。つまり、本実施の形態においては、従来の電子部品のように接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はないので、接着層50を薄くすることができる。従って、接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。さらに、接着剤層50の厚さが厚いことによって、焼成時に接着剤層50自身の燃焼ガスが多量に発生し、導体パターンがうまく形成されないという問題も防ぐことができる。
【0079】
また、スクリーン印刷等によって形成することができるので、安定した厚みで接着剤を塗布することができる。なお、本実施の形態においては、接着剤層50の厚さは20μm程度としている。
【0080】
また、熱硬化樹脂が塗布される幅は、転写される導電性ペーストの幅と略同じ幅としている。これは導電性ペーストが転写される箇所以外には接着剤が塗布されないので、凹版を容易に剥離することができるためである。
【0081】
そして、銀ペースト42が充填された側の表面と接着剤層50とを対向させて、凹版32と基板1とをラミネートする。
【0082】
図5は転写工程を示した図である。この転写工程27では、凹版32に充填した導電性ペーストを基板1へ転写する工程であり、凹版32がラミネートされた基板1に圧力と温度とを加えて導電性ペースト42を基板1へ転写固着させる。この場合、転写時の温度は、使用する接着剤層50の硬化温度以上で導電性ペーストのガラス転移点以下の温度であれば良い。本実施の形態においては約180℃とし、転写圧力は約2kg程度で6分間加圧している。この加圧方法としては、通常のプレス加工機を用い、加熱板間にラミネートした基板1を挟むようなものであるとか、加熱ローラによって加熱するとともに圧力を加えるなどの方法があるが、本発明の導電性ペーストを用いると圧力や熱が低く、かつその時間も短いので、エアーシリンダ等を用いた簡単な装置でも充分に転写可能であるなお、図5では加熱ローラ51を用いた転写装置の例を示している。
【0083】
図6は転写が完了した凹版を基板から剥離する状態を示している。図6に示されるように、ラミネートされた凹版32と基板1との温度を室温にまで下げてから凹版32を絶縁基板1から剥離し、導電性ペースト42の転写が完了する。
【0084】
このとき、本実施の形態の構成では、凹版20がフレキシブル性に富んでいるために、凹版32を90°以上の角度に曲げることが可能である。また、導電性ペースト42は、乾燥工程23、25によって硬化するとともに溝部31、ピット33に固着しないので、必要な剥離力は低減されて、基板1からの凹版32を容易に剥離することができる。
【0085】
従って、本実施の形態によれば、例えば溝の幅15μm、深さ20μmのパターンを有する凹版32を用いても、溝31の内部での銀ペースト42の残存がなく、上記の溝31の幅と実質的に同じ幅及び溝31の深さと実質的に同じ高さを有する導体パターンを転写・形成することができる。また、ビアホール電極部分に関しては、凹版32のピット33の直径が45μmで深さが60μmの場合に、溝31の場合と同様に実質的に完全に対応する寸法の導体パターンを転写・形成することができる。また、導体ラインとビアホール電極とは、同一工程で一体的に同時に形成されるので、両者の間の電気的接続が確実に確保することができる。
【0086】
さらに、本実施の形態の高周波用チップインダクタのように高周波数領域で使用される電子部品では、表皮抵抗を小さくして電気的動作特性を向上させるために、導体パターンの表面形状をできるだけシャープにする必要がある。それに対して、本実施の形態のようにエキシマレーザによって凹版32を加工すれば、鋭角的なエッジを有するパターンを形成することができる。さらに、すでに説明してきたように、転写時に溝31やピット33の内部に銀ペースト42が残存しないので、鋭角的な凹版32の形状と同様の鋭利な形状を有するパターンが転写される。したがって、本実施の形態にしたがって形成された導体パターンは、高周波用導体として優れた特性を有するものになる。
【0087】
次に、上記のように導体パターンが転写された絶縁基板1を焼成する。図7に示すようなピーク温度850℃の温度パターンの下で焼成する焼成工程28である。本実施の形態では銀ペーストを用いているので特殊な不活性気体の雰囲気中で焼成する必要はなく、通常の大気雰囲気で焼成が可能である。
【0088】
次に、図8は導体パターンが形成された基板の表面に、絶縁層を形成した断面図である。図8において、銀ペースト42による導体パターンを形成した基板1の表面には絶縁層16が形成されている。本実施の形態において、絶縁層16は、絶縁層形成工程29で形成され、ガラスペーストを印刷し、ピーク温度820℃に10分間保持して焼成して絶縁層を形成する。
【0089】
このとき、ビアホール電極15の部分は、マスク径150μmのスクリーン版を使用して、粘度20万cpsの結晶化ガラスによって印刷する。これより、ビアホール電極15の部分には印刷の「にじみ」が発生し、ビアホール電極7の周囲を覆うガラスペーストの厚さが他の部分よりも薄くなり、ビアホール電極15の先端が露出する。これにより直径40μm程度の微少なビアホールを、容易に形成することができる。
【0090】
さらに、ビアホール電極15の形状・厚さを任意に設定できるので、絶縁層516表面からビアホール電極15を数μm突き出させるような形状にすることによって、上層導体パターンとビアホール電極15との接続を確実に行うことができる。まさらにまた、ビアホール電極15の基板1表面に垂直な方向の断面形状を台形状にすることによって、接続強度を十分に得ることができる。
【0091】
次に、30は、絶縁層16上にリード電極14を形成する工程である。これは、銀ペーストでリード電極14のパターンを、絶縁層16表面にスクリーン印刷し、ピーク温度810℃に10分間保持して焼成を行うことによって形成される。
【0092】
以上の製造工程によって、本実施の形態におけるチップインダクタが製造されている。
【0093】
次に以上の製造方法によって製造される電子部品に用いられる導電性ペーストについて説明する。ここで、凹版32と導電性ペーストとの剥離を容易にするためには、乾燥された導電性ペースト42と溝31あるいはピット33との接着力は、接着層50の基板1と導電性ペースト42間の固着力あるいは、導電性ペースト42を乾燥することによるラダー型シリコーン系オリゴマーの結合力のいずれよりも小さくすることが重要である。そこで、本実施の形態における導電性ペーストには、下記化学式に示されるようなラダー型シリコーン系オリゴマーを含有している。
【0094】
【化1】
【0095】
このラダー型シリコーン系オリゴマーはシリコーンの分子が数個程度連結された長鎖状形状をなしており、前記乾燥工程23の熱によって前記ラダー型シリコーン系オリゴマー同士が絡まり合って固まる性質を有している。つまり乾燥温度を溶剤が揮発しうる温度以上でかつラダー型シリコーン系オリゴマーのガラス転移点以下としておくことによって、導電性ペースト中の溶剤成分は揮発し、導電性ペースト中に混在したラダー型シリコーン系オリゴマーはその流動性を失う。本実施の形態においては乾燥温度を150℃としてある。
【0096】
従って、ラダー型シリコーン系オリゴマー同士が、導電性ペースト内の随所で絡まりあい、導電性ペースト全体が硬くなるので、凹版32を基板1から剥がしても導電性ペースト42が溝31やピット33内に残ることはなく、導体の欠損が発生しし難くなる。
【0097】
なお、本実施の形態におけるラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基はフェニル基としてある。これは、フェニル基は凹版32の材料であるポリイミドとの反応性が小さいものであり、エキシマレーザにより加工されることによって化学的に活性化した表面に対して固着しにくいためである。
【0098】
さらに、溝31あるいはピット33と導電性ペースト42との結合力はその溝31あるいはピット33の表面積に比例するので、溝と導電性ペーストとの結合力がラダー型シリコーン系オリゴマー自体の結合力を超えない程度にこの表面積を小さくすることが重要である。これによって容易に凹版32を剥離することができる。
【0099】
さらにまた、ラダー型シリコーン系オリゴマーを焼成工程28で焼成すると、その官能基は焼失しガラスとなる。この場合、そのガラスの比重は導体の比重に比べて小さいので、導体の表面側を覆うこととなる。従って、導体の内部にガラス成分が残留しにくくなり、導体の導体の導体抵抗を小さくすることができる。本実施の形態においては、1.9マイクロオーム・cm程度の小さい導体抵抗を実現している。また、絶縁、防湿や防錆効果も有することとなる。またガラスであるので、その後の工程等でレーザトリミングを行うことに対しても支障はない。
【0100】
なお、溝31やピット33の銀ペースト42を乾燥させると、その柔軟性が失われやすい。その結果、微細なライン幅(例えば100μm以下)を有する導体パターンを転写する場合には、転写時に発生するストレスによって銀ペースト42にクラックが発生して、焼成後のオープン不良の原因になることがある。このような不都合を防ぐため、本実施の形態では銀ペースト40、42中に0.1〜10重量パーセント程度の分散財や可塑剤を添加しておくと良い。これによって、銀ペースト42が乾燥後にも適度な柔軟性を有するようにし、転写工程でのクラックの発生を防ぐことができる。
【0101】
ここで重要なことは、ラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基には上記分散剤、可塑剤と反応しないような物を選定することが必要である。例えば官能基をメチルとし、分散剤をアミン系分散剤とした場合には導電性ペーストはゲル化してしまう。従って本実施の形態においては官能基をフェニル基、分散剤は分散性の良好なアミン系分散剤の組み合わせとしている。なお、他に可塑剤としては、フタル酸エステル系の可塑剤、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、あるいはフタル酸ジオクチル等も使用することができる。
【0102】
さらに、乾燥工程27の温度は焼約150℃であり、導電性ペースト42の溶剤が揮発しうる温度以上かつラダー型シリコーン系オリゴマーのガラス転移点以下の温度であるので、ラダー型シリコーン系オリゴマーが硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させて導電性ペーストを硬化させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0103】
さらにまた、導電性ペースト42は硬化状態で溝部31あるいはピット33には固着しないので、容易に凹版32を基板1から剥離することができる。
【0104】
以上のように、導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化し、かつ導電性ペーストは硬化状態で溝部に固着しないので、凹版を基板から剥離するときに溝部内に導電性ペーストは確実に基板側へ転写され、転写パターンは溝部の形状を忠実に再生することができる。従って精度の良い導体パターンを得ることができる。
【0105】
さらに、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はないので、基板1上に供給する接着層50の厚みを薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0106】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0107】
以上に説明してきたことをまとめると、本実施の形態によれば、可とう性に富んだ樹脂からなる凹版32を用いることによって、基板1の損傷や導体パターンにおけるクラックやピンホールの発生を招くことなく、凹版32の剥離・導体パターンの転写が行われる。
【0108】
なお、導電性ペースト40、42にはラダー型シリコーン系オリゴマーを含有しているので、導電性ペースト40、42は溶剤の揮発しうる温度以上かつ導電性ペースト40,42の溶融温度未満の温度で乾燥することによって硬化するので、転写時に溝31やピット336に導電性ペーストが残留し難くなる。
【0109】
また、ラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基にはポリイミド樹脂との反応性の小さいフェニル基を用いているので、ポリイミド樹脂の凹版32上の溝部31あるいはピット33とに固着することはない。従って、導電性ペースト42の転写が完全に行え、導体パターン中のライン幅が細く、かつ導体膜の厚さが厚いパターンであっても、精度の良い形状で形成することができるとともに、容易に凹版を剥離することができるとともに、導電性ペースト42を基板1へ転写するための温度や圧力を小さくまた、その時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【0110】
さらに、接着層50を導電性ペースト42に浸透させる必要はないので、この接着層50を薄くすることができる。これによって接着剤の使用量を少なくすることができるので安価な電子部品を実現することができる。
【0111】
さらにまた、少量の接着剤で充分となるので、従来のように基板を接着剤溶液内に浸漬して接着剤の厚塗りをしなくても、厚みを薄くしても良い。従って、一枚の基板上における接着剤層の厚みの差を小さくすることができ、加圧中の圧力分布を略均一にすることができるので、加圧工程での基板割れが生じにくくなる。
【0112】
なお、接着層50の厚みを薄くできるので、焼成工程28でこの接着層50自身によるガスの発生が抑えられるので、良好な導体を形成することができる。
【0113】
また、本実施の形態では、チップインダクタを例にとって本実施の形態の電子部品の製造方法を説明してきたが、製造できるのはチップインダクタ1に限られるわけではないのはもちろんである。例えば、本実施の形態に従って、チップビーズ、EMIフィルタ、コンデンサなどの他の電子部品、あるいは積層構造を有する他の電子部品の電極部分を製造することができる。
【0114】
さらに、導体パターンを形成するために使用する導電性ペーストの材料として銀ペーストを使用したが、これに限定されるものではなく、例えば、Cu,Ni,Al,Auなどの他の金属ペースト、またはレジネートペーストも使用することができる。
【0115】
さらにまた、凹版32の材料としては、適度の可とう性(フレキシブル性)を有するものであれば、上述のポリイミドフィルム15の他に、PET、PSF、PC、PEI(ポリエーテルイミド)、PAR(ポリアクリレート)、PEEK(ポリエーテルケトン)などの樹脂シートを使用することができる。また、絶縁基板1上に形成する接着層50の材料には、PVCやエチルセルロース系の熱可塑性樹脂、あるいはエポキシやアクリル系の熱硬化性樹脂を使用することができる。
【0116】
なお、凹版32と基板1との転写工程27において、熱ローラを用いて圧力をかけながら熱的に貼り合わせる装置や、少なくとも片面に熱板を備えたプレス装置等を使用してもよい。
【0117】
また、基板1の材料は、特定のものに制限されるものではなく、セラミックなど一般的に使用されている材料や、チタン酸バリウムを主体とする誘電体であってもよい。特に、インダクタンス部品を形成する場合には、基板1あるいは絶縁層16の少なくとも一方を、フェライトなどの磁性体材料で形成することが望ましい。これは、これらの磁性体材料の透磁率によって、形成される電子部品のインダクタンス値を向上できるからである。
【0118】
さらに、基板はグリーンシートによって形成することができる。この場合、グリーンシートは加熱によって軟化する性質を有しているので、工程26において、転写時の接着層50の形成を省略することができる。
【0119】
さらにまた、凹版32の形成にはエキシマレーザ装置を使用したが、波長が紫外線領域のレーザビームを発することができるものであれば、色素レーザや自由電子レーザなど他のレーザ源を使用することができる。さらに、上記波長領域でこれらのレーザと同等の必要なレベルのエネルギー密度を有するビームを発することができる光源であれば、レーザ源以外の他のものを使用することも可能である。
【0120】
なお、凹版と基板とのラミネートを熱的に行ので、不透明な基板上にも導体パターンの転写を行える。
【0121】
また、導体パターンの多層構造化も、容易に実現される。また、導体パターンの任意の箇所の導電膜の厚さを容易に制御することが可能である。従って、導体パターン中で高く形成された部分を、多層構造の各導体パターンを接続する電極として使用することができる。これによって、導体パターンと電極とが一体的に同時に形成されるので、両者間の接続不良などの欠陥の発生を防ぐことができる。
【0122】
さらに、本実施の形態においては、接着層50を熱硬化性樹脂としたが、これは熱可塑性樹脂としても良い。その場合、従来の導電性ペーストのように,ラミネート温度が高いと、接着層50の流動性が大きく、接着層50が薄くなる課題であるとか、ラミネート温度が低い場合に接着層50の流動性が小さく、銀ペースト42と接着層50との密着性が悪くなる課題が生じることはなく、溝31及びピット33から銀ペースト42良好に転写することができる。
【0123】
また、接着剤層50には熱硬化樹脂を用いているので、加熱することによって導電性ペースト42を硬化させると同時に、基板上への転写を行うことができるので、生産性が良好である。
【0124】
さらに本実施の形態では絶縁基板1の片面にのみ接着層50を形成したが、両面に形成しても良い。
【0125】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、基板と、この基板上に供給された接着剤と、可とう性を有した樹脂製の凹版の溝部に充填されるとともに溶剤と導体粉とバインダーとからなる導電性ペーストを前記接着剤上に転写して形成された転写パターンと、この転写パターンを焼成して形成された導体パターンとを有した電子部品であって、前記導電性ペーストは、前記溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストとしたのものであり、これにより導電性ペースト自身が溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するので、接着剤を導電性ペーストに浸透させる必要はない。従って、導電性ペーストを基板へ転写するための温度や圧力を低くできる。
さらに、その加圧時間や加熱時間も短くすることができ、生産性の良い電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における電子部品の断面図である。
【図2】同、製造フローチャートである。
【図3】同、凹版の断面図である。
【図4】同、導電性ペースト充填工程を示す断面図である。
【図5】同、転写工程を示す断面図である。
【図6】同、凹版を基板から剥離する状態の概略断面図である。
【図7】同、焼成工程の温度プロファイルである。
【図8】同、絶縁層形成工程を示す断面図である。
【図9】従来の電子部品の転写工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 接着剤層
3 凹版
4 可とう性を有した樹脂
5 溝
6 導電性ペースト
11 基板
12 コイル導体
13a、13b 端子電極
14 リード電極
15 ビアホール電極
16 絶縁層
30 ポリイミドフィルム
31 溝
32 凹版
33 ピット
40、42 銀ペースト
50 接着層
51 加熱ローラ
Claims (30)
- 基板と、この基板上に供給された接着剤と、可とう性を有した樹脂製の凹版の溝部に充填されるとともに溶剤と導体粉とバインダーとからなる導電性ペーストを前記接着剤上に転写して形成された転写パターンと、この転写パターンを焼成して形成された導体パターンとを有した電子部品であって、前記導電性ペーストは、前記溶剤の揮発しうる温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペーストとした電子部品。
- 導体粉は銀粉とした請求項1に記載の電子部品。
- 導体粉は、複数の直径を有した粉からなる請求項1に記載の電子部品。
- 導体粉は、複数の種類の直径を有した粉から形成され、その粉のうち最小径を有する粉は、最大の径の粉が3個以上接したときに生じる隙間に収まる径以下とした請求項1に記載の電子部品。
- 導電性ペーストには、バインダーとしてラダー型シリコーン系オリゴマーが含有された請求項1に記載の電子部品。
- ラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基は、フェニル基とした請求項5に記載の電子部品。
- 接着剤は熱硬化性樹脂とした請求項1に記載の電子部品。
- 接着剤は、スクリーン印刷で供給された請求項1に記載の電子部品。
- 接着剤が塗布される幅は、転写される導電性ペーストの幅と略同じとした請求項8に記載の電子部品。
- 接着剤が塗布される幅は、転写される導電性ペーストの幅より凹版の位置ずれ寸法以上に大きくした請求項8に記載の電子部品。
- 接着剤が塗布される幅は、転写される導電性ペーストの幅より小さくした請求項8に記載の電子部品。
- 凹版の一部に他の溝よりも深い深溝部と、この深溝部に充填された導電性ペーストが基板に転写されて形成される凸部と、この凸部上に形成される絶縁体とを有し、少なくとも前記凸部の先端は前記絶縁体から露出した請求項1に記載の電子部品。
- 絶縁体を挟んで導体パターンが設けられ、前記導体パターン同士は、凸部先端で接続された請求項12に記載の電子部品。
- 基板上に導体パターンを形成する電子部品の製造方法において、可とう性樹脂の表面に、前記導体パターンに対応するように溝を形成して凹版を製造する凹版製造工程と、前記溝に請求項1に記載の導電性ペーストを充填する充填工程と、前記導電性ペーストを乾燥する乾燥工程と、前記導電性ペーストが充填され乾燥された凹版と予め接着層が形成された基板とを所定の熱および所定の圧力を加えることによってラミネートする圧着工程と、前記凹版を前記基板から剥離して、前記導電性ペーストを基板上に転写する転写工程と、転写された前記導電性ペーストを焼成する焼成工程からなる電子部品の製造方法。
- 転写工程と焼成工程と間に、絶縁物の形成工程が挿入された請求項14に記載の電子部品の製造方法。
- 絶縁体の上に第2の導体パターンを形成する第2のパターン形成工程が挿入された請求項15に記載の電子部品の製造方法。
- 凹版製造工程では、その一部に他の溝部よりも深い深溝部を有した凹版が作成され、前記深溝部によって形成される凸部の先端部で第2のパターンと電気的に接続した請求項14に記載の電子部品の製造方法。
- 基板と絶縁物とは未焼成のグリーンシートとし、絶縁物形成工程では前記グリーンシートを積層する請求項14に記載の電子部品の製造方法。
- 可とう性を有した樹脂製の凹版の溝部に充填されるとともに溶剤と導体粉とバインダーとからなる導電性ペーストは、前記溶剤の揮発温度以上かつ前記導電性ペーストの溶融温度未満の温度で硬化するとともに、前記溝部に固着しない導電性ペースト。
- 導体粉は銀粉とした請求項19に記載の導電性ペースト。
- 導体粉は、複数の直径を有した粉からなる請求項19に記載の導電性ペースト。
- 導体粉は、複数の種類の直径を有した粉から形成され、その粉のうち最小径を有する粉は、最大の径の粉が3個以上接したときに生じる隙間に収まる径以下とした請求項19に記載の導電性ペースト。
- 導電性ペーストのバインダーとしてラダー型シリコーン系オリゴマーが含有された請求項19に記載の導電性ペースト。
- ラダー型シリコーン系オリゴマーの官能基は、フェニル基とした請求項24に記載の導電性ペースト。
- 樹脂製の凹版の材質はポリイミドとした請求項24に記載の導電性ペースト。
- 樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥された導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを固着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される導電性ペーストであって、前記乾燥された導電性ペーストと前記溝との接着力は前記基板の接着剤と導電性ペースト間の接着力以下とした導電性ペースト。
- 樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥された導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを接着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される導電性ペーストであって、前記乾燥された導電性ペーストの硬化物強度は前記フィルムと導電性ペースト間との剥離においても、破壊されない強度を有する導電性ペースト。
- 樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥によって溶剤成分が揮発した導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを接着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される導電性ペーストであって、前記導電性ペーストは、複数の長鎖状の分子構造を有したバインダーを含むとともに前記乾燥によって前記バインダー同士が絡まり合って硬化する導電性ペースト。
- 樹脂同士が絡まりあいにより発生する結合力は前記樹脂とフィルム間の分子間力によって生じる結合力以上とした請求項28に記載の導電性ペースト。
- 樹脂製のフィルム上に溝を形成し、この溝に複数の長鎖状の分子構造を有した樹脂が含まれた導電性ペーストを充填し、この充填された導電性ペーストを乾燥し、この乾燥された導電性ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布された基板へ貼り合わせ、前記接着剤を硬化することによって前記基板と前記導電性ペーストとを固着し、前記フィルムを前記基板から剥離することによって、前記基板上に導体が形成される電子部品であって、前記溝の夫々の表面積は,前記樹脂とフィルム間の分子間力によって生じる結合力が前記乾燥によって前記樹脂同士が絡まった状態での樹脂の結合力を超えない程度に小さくなるような面積とした電子部品。
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