JPH07115958B2 - 高摩擦係数を持つ炭素繊維強化炭素複合材料 - Google Patents
高摩擦係数を持つ炭素繊維強化炭素複合材料Info
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- JPH07115958B2 JPH07115958B2 JP3073300A JP7330091A JPH07115958B2 JP H07115958 B2 JPH07115958 B2 JP H07115958B2 JP 3073300 A JP3073300 A JP 3073300A JP 7330091 A JP7330091 A JP 7330091A JP H07115958 B2 JPH07115958 B2 JP H07115958B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摩擦係数が高く、耐熱
性および耐酸化性に優れ、航空機およびレ−ス車両など
のブレ−キシュ−、ブレ−キライニングおよびブレ−キ
パッド、ブッシユ、ワッシヤ、フリクションドライブ用
ロ−タ、スリ−ブなどに利用して好適な炭素繊維強化炭
素複合材料に関する。
性および耐酸化性に優れ、航空機およびレ−ス車両など
のブレ−キシュ−、ブレ−キライニングおよびブレ−キ
パッド、ブッシユ、ワッシヤ、フリクションドライブ用
ロ−タ、スリ−ブなどに利用して好適な炭素繊維強化炭
素複合材料に関する。
【0002】本発明の炭素複合材料は、乾式摩擦部材お
よび湿式摩擦部材等の双方に摺動部材として適用するこ
とができる。具体的には、摺動下で摩擦係数が高く、耐
焼付き性に優れる特性を必要とするブレ−キ材料とかフ
リクションドライブ用の機械構造体に利用できる。
よび湿式摩擦部材等の双方に摺動部材として適用するこ
とができる。具体的には、摺動下で摩擦係数が高く、耐
焼付き性に優れる特性を必要とするブレ−キ材料とかフ
リクションドライブ用の機械構造体に利用できる。
【0003】
【従来の技術】航空機およびレ−ス車両などのブレ−キ
材などに利用される炭素複合材料は、耐熱性および耐摩
耗性が特に要求される。一方、機械構造体の摺動部分は
その耐焼付き性が低いので、通常はオイル潤滑下で使用
される。乾式下で使用する摺動部材としてはオイルを含
浸した焼結材、銅系の焼結合金、炭素材料が知られてい
る。炭素材料は炭素質粉末とピッチ粉末とを焼き固めた
もの、高温で焼結することにより黒鉛化したものが使用
されている。
材などに利用される炭素複合材料は、耐熱性および耐摩
耗性が特に要求される。一方、機械構造体の摺動部分は
その耐焼付き性が低いので、通常はオイル潤滑下で使用
される。乾式下で使用する摺動部材としてはオイルを含
浸した焼結材、銅系の焼結合金、炭素材料が知られてい
る。炭素材料は炭素質粉末とピッチ粉末とを焼き固めた
もの、高温で焼結することにより黒鉛化したものが使用
されている。
【0004】近年、かかる目的で使用される炭素材料の
強度を向上させた材料として、炭素繊維強化炭素材料か
らなるものが提供されている。この炭素繊維強化炭素材
料は、たとえば、炭化又は黒鉛化されかつ酸化処理など
の表面処理の施された強化材としての炭素繊維に、タ−
ル、ピッチまたは熱硬化性樹脂などの結合材としての液
状炭素質材料を含浸し、不活性雰囲気下で焼成、必要に
応じて黒鉛化することにより製造される(特開昭63−
206351号公報)。
強度を向上させた材料として、炭素繊維強化炭素材料か
らなるものが提供されている。この炭素繊維強化炭素材
料は、たとえば、炭化又は黒鉛化されかつ酸化処理など
の表面処理の施された強化材としての炭素繊維に、タ−
ル、ピッチまたは熱硬化性樹脂などの結合材としての液
状炭素質材料を含浸し、不活性雰囲気下で焼成、必要に
応じて黒鉛化することにより製造される(特開昭63−
206351号公報)。
【0005】さらに、炭素繊維強化炭素材料の摩擦係数
を高める等を目的として、炭素繊維強化炭素材料に金属
とか炭化物セラミック粉を配合した炭素繊維強化炭素複
合材料が報告されている(特開昭63−13926号公
報、特開昭63−60173号公報)。
を高める等を目的として、炭素繊維強化炭素材料に金属
とか炭化物セラミック粉を配合した炭素繊維強化炭素複
合材料が報告されている(特開昭63−13926号公
報、特開昭63−60173号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の炭素繊維強化炭
素材料はとくに低荷重時において、摩擦係数μが低いと
いう欠点を有している。また、特開昭63−13926
号公報、特開昭63−60173号公報に記載されてい
る金属、炭化物セラミックを含有する炭素繊維強化炭素
複合材料は、炭素繊維強化炭素材料より高い摩擦係数を
もつ。しかし、用途によってはさらに高い摩擦係数を持
つ炭素繊維強化炭素複合材料が求められている。
素材料はとくに低荷重時において、摩擦係数μが低いと
いう欠点を有している。また、特開昭63−13926
号公報、特開昭63−60173号公報に記載されてい
る金属、炭化物セラミックを含有する炭素繊維強化炭素
複合材料は、炭素繊維強化炭素材料より高い摩擦係数を
もつ。しかし、用途によってはさらに高い摩擦係数を持
つ炭素繊維強化炭素複合材料が求められている。
【0007】本発明は、これらの問題点に鑑みてなされ
たものであり、高い摩擦係数を持つ炭素繊維強化炭素複
合材料を提供することを目的とする。さらに、本発明
は、高い摩擦係数を持つとともに耐摩耗性に優れた炭素
繊維強化炭素複合材料を提供することを目的とする。
たものであり、高い摩擦係数を持つ炭素繊維強化炭素複
合材料を提供することを目的とする。さらに、本発明
は、高い摩擦係数を持つとともに耐摩耗性に優れた炭素
繊維強化炭素複合材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の炭素繊維強化炭
素複合材料は、基材が炭素繊維強化炭素で構成され、該
基材中に1600℃以上の融点を有し該基材の炭素と反
応しにくい酸化物系セラミック粉末および/または繊維
が3〜20重量%埋設され、該基材の20〜1000℃
の平均熱膨張係数α 1 と該酸化物系セラミック粉末の2
0〜1000℃の平均熱膨張係数α 2 との間に −2 ×10 −6 /℃≦α 1 −α 2 ≦3.5×10 −6 /℃ の関係がある ことを特徴とする。
素複合材料は、基材が炭素繊維強化炭素で構成され、該
基材中に1600℃以上の融点を有し該基材の炭素と反
応しにくい酸化物系セラミック粉末および/または繊維
が3〜20重量%埋設され、該基材の20〜1000℃
の平均熱膨張係数α 1 と該酸化物系セラミック粉末の2
0〜1000℃の平均熱膨張係数α 2 との間に −2 ×10 −6 /℃≦α 1 −α 2 ≦3.5×10 −6 /℃ の関係がある ことを特徴とする。
【0009】本発明者は、炭素繊維強化炭素材料に各種
のセラミックスを配合して各種の炭素繊維強化炭素複合
材料を作り、得られた複合材料の密度、強度、乾式下お
よび湿式下の摩擦係数および摩耗量を詳細に調べてき
た。セラミックスとして酸化物を使用した場合には、多
くの場合、非常に脆い複合材料しか得られないが、特定
の物性をもつ酸化物系セラミックスは、高い摩擦係数と
構造材料として優れた機械的特性をもつことが判明し
た。
のセラミックスを配合して各種の炭素繊維強化炭素複合
材料を作り、得られた複合材料の密度、強度、乾式下お
よび湿式下の摩擦係数および摩耗量を詳細に調べてき
た。セラミックスとして酸化物を使用した場合には、多
くの場合、非常に脆い複合材料しか得られないが、特定
の物性をもつ酸化物系セラミックスは、高い摩擦係数と
構造材料として優れた機械的特性をもつことが判明し
た。
【0010】そこで、本発明者等は、一部の知見を特願
平1−341883および特願平2−163388とし
て特許出願した。これら特許出願した発明は、主に炭素
繊維強化炭素材料からなる基材に特色を持つもので、自
己焼結性をもつ炭素質粉末と完全炭化前の未炭化炭素繊
維とを一体的に焼結したつした焼結体であり、耐摩耗性
が特に優れている。そして、この焼結体を基材としてこ
れに各種セラミックスを配合した炭素繊維強化炭素複合
材料は、優れた耐摩耗性とともに、セラミックスを選択
することにより、所望の摩擦係数が得られる。
平1−341883および特願平2−163388とし
て特許出願した。これら特許出願した発明は、主に炭素
繊維強化炭素材料からなる基材に特色を持つもので、自
己焼結性をもつ炭素質粉末と完全炭化前の未炭化炭素繊
維とを一体的に焼結したつした焼結体であり、耐摩耗性
が特に優れている。そして、この焼結体を基材としてこ
れに各種セラミックスを配合した炭素繊維強化炭素複合
材料は、優れた耐摩耗性とともに、セラミックスを選択
することにより、所望の摩擦係数が得られる。
【0011】本発明者は、さらに基材となる炭素繊維強
化炭素材料の範囲を広げ、かつ広い範囲の酸化物系セラ
ミックスを組合わせて研究した結果、高い摩擦係数をも
ちかつ構造材として使用できる機械的強度をもつ新たな
炭素繊維強化炭素複合材料を見出し、本発明を完成した
ものである。本発明の炭素繊維強化炭素複合材料は、炭
素繊維強化炭素で構成された基材と1600℃以上の融
点を有し該基材の炭素と反応しにくい酸化物系セラミツ
ク粉末および/または繊維3〜20重量%とからなる。
化炭素材料の範囲を広げ、かつ広い範囲の酸化物系セラ
ミックスを組合わせて研究した結果、高い摩擦係数をも
ちかつ構造材として使用できる機械的強度をもつ新たな
炭素繊維強化炭素複合材料を見出し、本発明を完成した
ものである。本発明の炭素繊維強化炭素複合材料は、炭
素繊維強化炭素で構成された基材と1600℃以上の融
点を有し該基材の炭素と反応しにくい酸化物系セラミツ
ク粉末および/または繊維3〜20重量%とからなる。
【0012】基材は炭素繊維とマトリツクス炭素とから
構成されている。炭素繊維としては、PAN(ポリアク
リロニトリル)、石炭または石油系ピッチを原料として
紡糸し、炭化した炭素繊維が使用できる。好ましい炭素
繊維として、ピッチ系の光学的等方性の炭素繊維があ
る。この光学的等方性炭素繊維は繊維方向による熱膨張
係数の異方性がなく20〜1000℃の範囲の平均熱膨
張係数は2〜4×10-6/℃である。また、PAN系お
よびピッチ系で、高強度、高剛性の光学的異方性をもつ
炭素繊維が知られている。この炭素繊維は、繊維方向の
熱膨張係数が室温から400℃程度まで負の係数をも
ち、400〜1000℃の熱膨張係数は0〜2×10-6
/℃であり、かつ繊維の長手方向とそれに直行する方向
の熱膨張係数が異なる。この繊維も用途によっては充分
に活用できる。
構成されている。炭素繊維としては、PAN(ポリアク
リロニトリル)、石炭または石油系ピッチを原料として
紡糸し、炭化した炭素繊維が使用できる。好ましい炭素
繊維として、ピッチ系の光学的等方性の炭素繊維があ
る。この光学的等方性炭素繊維は繊維方向による熱膨張
係数の異方性がなく20〜1000℃の範囲の平均熱膨
張係数は2〜4×10-6/℃である。また、PAN系お
よびピッチ系で、高強度、高剛性の光学的異方性をもつ
炭素繊維が知られている。この炭素繊維は、繊維方向の
熱膨張係数が室温から400℃程度まで負の係数をも
ち、400〜1000℃の熱膨張係数は0〜2×10-6
/℃であり、かつ繊維の長手方向とそれに直行する方向
の熱膨張係数が異なる。この繊維も用途によっては充分
に活用できる。
【0013】これら炭素繊維の繊維長さは、短繊維、長
繊維に限らない。しかし、短繊維の場合には0.01〜
50mmのものを使用することができる。特に、0.0
3〜10mmのものが混合のしやすさ、アスペクト比の
関係から好ましい。長すぎては繊維同士が絡みあい分散
性が低下し、ひいては製品特性の異方性に劣り、また
0.01mmより短くては製品の強度が急激に低下して
好ましくない。また、繊維径としては、5〜25μm程
度のものが好ましい。さらに、これらの繊維からなる不
織布またはコ−ティング布として使用することもでき
る。
繊維に限らない。しかし、短繊維の場合には0.01〜
50mmのものを使用することができる。特に、0.0
3〜10mmのものが混合のしやすさ、アスペクト比の
関係から好ましい。長すぎては繊維同士が絡みあい分散
性が低下し、ひいては製品特性の異方性に劣り、また
0.01mmより短くては製品の強度が急激に低下して
好ましくない。また、繊維径としては、5〜25μm程
度のものが好ましい。さらに、これらの繊維からなる不
織布またはコ−ティング布として使用することもでき
る。
【0014】炭素繊維は、さらにタ−ル、ピッチ、有機
高分子などの粘結成分を含有する材料で表面処理し、結
合材とのなじみ性を向上させることが好ましい。この表
面処理は、炭素繊維100重量部に100〜1000重
量部程度の粘結成分含有材料を加えて攪拌し、有機溶媒
により洗浄後、乾燥して行うことができる。炭素繊維
は、必要に応じて分散処理される。すなわち、乾燥させ
た繊維が、塊状化または凝集していることがあるので、
このような場合には、通常の粉体ミル、アトマイザ−、
パルバライザ−などの任意の手段により分散を行う。
高分子などの粘結成分を含有する材料で表面処理し、結
合材とのなじみ性を向上させることが好ましい。この表
面処理は、炭素繊維100重量部に100〜1000重
量部程度の粘結成分含有材料を加えて攪拌し、有機溶媒
により洗浄後、乾燥して行うことができる。炭素繊維
は、必要に応じて分散処理される。すなわち、乾燥させ
た繊維が、塊状化または凝集していることがあるので、
このような場合には、通常の粉体ミル、アトマイザ−、
パルバライザ−などの任意の手段により分散を行う。
【0015】マトリックス炭素としては、フェノール樹
脂等の樹脂を炭化したもの、石炭または石油ピッチを加
熱してさらに炭化したもの、コークス粉砕品、メソカー
ボンマイクロビーズのように自己焼結性をもつ粉、CV
Dによる気相法で得られる炭素等が利用できる。酸化物
系セラミックとしては、1600℃以上の高融点を有
し、複合材製造時に炭素と反応しにくいものであること
が必要である。かかる酸化物系セラミックとして、Mg
O、TiO2 、BaO、CaO、Al2 O3 、Zr
O2 、BeO、SiO2 等がある。なお、後で説明する
が酸化物系セラミックとしては、前記高融点、炭素と反
応しにくいという条件以外に、低い熱膨張係数(α)を
もつことが好ましい。低熱膨張であるという観点から、
ムライト(3Al2 O3 ・2SiO2 、α2 ;4.5〜
5.7×10-6/℃)、アルミナ(Al2 O3 、α2 ;
7.2〜9.0×10-6/℃)、ルチル(TiO2 、α
2 ;6.8〜8.3×10 -6/℃)、ジルコニア(Zr
O2 、α2 ;10.4×10-6/℃)、ベリリア(Be
O、α;7.5〜9.0×10-6/℃)が推奨される。
なお、マグネシア(MgO、α;13.0〜13.5×
10-6/℃)は摩擦係数を高くする効果はあるが、熱膨
張係数が大きいため、複合材としたときに材料強度が低
下する。このため多量の配合は好ましくない。
脂等の樹脂を炭化したもの、石炭または石油ピッチを加
熱してさらに炭化したもの、コークス粉砕品、メソカー
ボンマイクロビーズのように自己焼結性をもつ粉、CV
Dによる気相法で得られる炭素等が利用できる。酸化物
系セラミックとしては、1600℃以上の高融点を有
し、複合材製造時に炭素と反応しにくいものであること
が必要である。かかる酸化物系セラミックとして、Mg
O、TiO2 、BaO、CaO、Al2 O3 、Zr
O2 、BeO、SiO2 等がある。なお、後で説明する
が酸化物系セラミックとしては、前記高融点、炭素と反
応しにくいという条件以外に、低い熱膨張係数(α)を
もつことが好ましい。低熱膨張であるという観点から、
ムライト(3Al2 O3 ・2SiO2 、α2 ;4.5〜
5.7×10-6/℃)、アルミナ(Al2 O3 、α2 ;
7.2〜9.0×10-6/℃)、ルチル(TiO2 、α
2 ;6.8〜8.3×10 -6/℃)、ジルコニア(Zr
O2 、α2 ;10.4×10-6/℃)、ベリリア(Be
O、α;7.5〜9.0×10-6/℃)が推奨される。
なお、マグネシア(MgO、α;13.0〜13.5×
10-6/℃)は摩擦係数を高くする効果はあるが、熱膨
張係数が大きいため、複合材としたときに材料強度が低
下する。このため多量の配合は好ましくない。
【0016】多くの試験結果から、本発明者は、炭素繊
維強化炭素複合材料を構成する基材の熱膨張係数と酸化
物系セラミックスの熱膨張係数が近い程、炭素繊維強化
炭素複合材料の材料強度等の機械的性質が向上すること
を知見している。本発明の炭素繊維強化炭素複合材料の
使用が期待される20〜1000℃の温度範囲で、基材
を構成する炭素繊維強化炭素材料の平均熱膨張係数は比
較的低く、逆に、酸化物系セラミックスの平均熱膨張係
数は高い。
維強化炭素複合材料を構成する基材の熱膨張係数と酸化
物系セラミックスの熱膨張係数が近い程、炭素繊維強化
炭素複合材料の材料強度等の機械的性質が向上すること
を知見している。本発明の炭素繊維強化炭素複合材料の
使用が期待される20〜1000℃の温度範囲で、基材
を構成する炭素繊維強化炭素材料の平均熱膨張係数は比
較的低く、逆に、酸化物系セラミックスの平均熱膨張係
数は高い。
【0017】従って、基材は強度の低下が容認できる範
囲で、できるだけ熱膨張係数が高いものが好ましい。な
お、基材を構成する炭素繊維強化炭素材料の熱膨張係数
は、使用するマトリックス炭素原料、炭素繊維の種類を
選択したり、製造方法を変えることにより、ある程度任
意に調節できる。酸化物系セラミックは、熱膨張係数の
小さなものを選ぶのが好ましい。用途によって高い熱膨
張係数をもつセラミックスを選択しなければならない時
は、その配合量を少なくするとか、他の熱膨張係数の低
いセラミックスと混合して使用する等の方法を採用でき
る。
囲で、できるだけ熱膨張係数が高いものが好ましい。な
お、基材を構成する炭素繊維強化炭素材料の熱膨張係数
は、使用するマトリックス炭素原料、炭素繊維の種類を
選択したり、製造方法を変えることにより、ある程度任
意に調節できる。酸化物系セラミックは、熱膨張係数の
小さなものを選ぶのが好ましい。用途によって高い熱膨
張係数をもつセラミックスを選択しなければならない時
は、その配合量を少なくするとか、他の熱膨張係数の低
いセラミックスと混合して使用する等の方法を採用でき
る。
【0018】本発明の炭素繊維強化炭素複合材料の基材
の20〜1000℃の平均熱膨張係数α1とセラミック
スの20〜1000℃の平均熱膨張係数α2とは次の関
係にある。 −2×10−6/℃≦α1−α2≦3.5×10−6/℃ (α1−α2)が−2×10−6 /℃より小さい、すな
わち基材の平均熱膨張係数α1が、セラミックスの平均
熱膨張係数α2 から2×10 −6 /℃を引いた値より小
さいと、基材とセラミックスとの境界部分に無視できな
い隙間が生じ、耐摩耗性が低くなる。また、同じこと
は、(α1−α2)が+3.5×10−6 /℃より大き
い、すなわち基材の平均熱膨張係数α1が、セラミック
スの平均熱膨張係数α2 に3.5×10 −6 /℃を足し
た値より大きいと、基材とセラミックスとの境界部分に
無視できない歪みが生じ、耐摩耗性が低くなる。なお、
(α1−α2)がプラス側とマイナス側で異なるのは、
炭素繊維強化炭素複合材料の基材とセラミックスの境界
部分の関係が焼成温度で定まり、焼成温度から室温まで
温度が低下すると、その温度変化による熱収縮で基材と
セラミックスとの境界部分の関係が変化することによる
と考えている。(α1−α2)がマイナス、すなわちセ
ラミックスの熱膨張係数が大きいと、室温まで温度が低
下するとセラミックスが大きく収縮し、基材とセラミッ
クスとの境界部分に隙間が生じる。逆に、(α1−
α2)がプラス、すなわちセラミックスの熱膨張係数が
小さいと、室温まで温度が低下すると基材が大きく収縮
し、基材は焼き嵌めと同じ原理でセラミックスを強く閉
じ込め隙間が発生しない。なお、(α1−α2)があま
りにも大きいと、基材が熱膨張の差に基ずく歪みを吸収
できず、基材か破壊され、耐摩耗性が大きく低下する。
の20〜1000℃の平均熱膨張係数α1とセラミック
スの20〜1000℃の平均熱膨張係数α2とは次の関
係にある。 −2×10−6/℃≦α1−α2≦3.5×10−6/℃ (α1−α2)が−2×10−6 /℃より小さい、すな
わち基材の平均熱膨張係数α1が、セラミックスの平均
熱膨張係数α2 から2×10 −6 /℃を引いた値より小
さいと、基材とセラミックスとの境界部分に無視できな
い隙間が生じ、耐摩耗性が低くなる。また、同じこと
は、(α1−α2)が+3.5×10−6 /℃より大き
い、すなわち基材の平均熱膨張係数α1が、セラミック
スの平均熱膨張係数α2 に3.5×10 −6 /℃を足し
た値より大きいと、基材とセラミックスとの境界部分に
無視できない歪みが生じ、耐摩耗性が低くなる。なお、
(α1−α2)がプラス側とマイナス側で異なるのは、
炭素繊維強化炭素複合材料の基材とセラミックスの境界
部分の関係が焼成温度で定まり、焼成温度から室温まで
温度が低下すると、その温度変化による熱収縮で基材と
セラミックスとの境界部分の関係が変化することによる
と考えている。(α1−α2)がマイナス、すなわちセ
ラミックスの熱膨張係数が大きいと、室温まで温度が低
下するとセラミックスが大きく収縮し、基材とセラミッ
クスとの境界部分に隙間が生じる。逆に、(α1−
α2)がプラス、すなわちセラミックスの熱膨張係数が
小さいと、室温まで温度が低下すると基材が大きく収縮
し、基材は焼き嵌めと同じ原理でセラミックスを強く閉
じ込め隙間が発生しない。なお、(α1−α2)があま
りにも大きいと、基材が熱膨張の差に基ずく歪みを吸収
できず、基材か破壊され、耐摩耗性が大きく低下する。
【0019】参考までに、基材を一定にし、配合するセ
ラミックスの種類を変えて熱膨張係数の差(α1 −
α2 )を変えた数種類の炭素繊維強化炭素複合材料を作
り、熱膨張係数の差(α1 −α2 )と比摩耗量との関係
を示す線図を図1に示す。なお、図1では熱膨張係数の
差(α1 −α2 )を絶対値で示した。図1より、(α1
−α2 )がゼロ(0)に近ずく程比摩耗量が低下してい
るのが判る。
ラミックスの種類を変えて熱膨張係数の差(α1 −
α2 )を変えた数種類の炭素繊維強化炭素複合材料を作
り、熱膨張係数の差(α1 −α2 )と比摩耗量との関係
を示す線図を図1に示す。なお、図1では熱膨張係数の
差(α1 −α2 )を絶対値で示した。図1より、(α1
−α2 )がゼロ(0)に近ずく程比摩耗量が低下してい
るのが判る。
【0020】本発明の炭素繊維強化炭素複合材料を10
0重量%(以下、%は特に明記しないかぎり重量%を示
す。)としたとき、酸化物系セラミツク粉末および/ま
たは繊維の割合は、3〜20%である。3%以下では摩
擦係数の向上に充分ではなく、逆に20%を越えると材
料強度の低下が著しい。また、炭素繊維の含有量は40
%以下とするのが好ましい。40%を越えると材料強度
が著しく低下する。
0重量%(以下、%は特に明記しないかぎり重量%を示
す。)としたとき、酸化物系セラミツク粉末および/ま
たは繊維の割合は、3〜20%である。3%以下では摩
擦係数の向上に充分ではなく、逆に20%を越えると材
料強度の低下が著しい。また、炭素繊維の含有量は40
%以下とするのが好ましい。40%を越えると材料強度
が著しく低下する。
【0021】本発明の炭素繊維強化炭素複合材料はその
見掛け密度が1.65g/cm3 以上であるのが好まし
い。見掛け密度が高くなる程、材料強度、耐摩耗性等の
機械的特性が向上する。本発明の炭素繊維強化炭素複合
材料の形状は特に限定されず、ブレ−キシュ−、ブレ−
キライニング、ブレ−キパッド、ブッシユ、ワッシヤ、
ロ−タ、スリ−ブなどの所定の形状とすることができ
る。
見掛け密度が1.65g/cm3 以上であるのが好まし
い。見掛け密度が高くなる程、材料強度、耐摩耗性等の
機械的特性が向上する。本発明の炭素繊維強化炭素複合
材料の形状は特に限定されず、ブレ−キシュ−、ブレ−
キライニング、ブレ−キパッド、ブッシユ、ワッシヤ、
ロ−タ、スリ−ブなどの所定の形状とすることができ
る。
【0022】本発明の炭素繊維強化炭素複合材料は公知
の方法によって製造できる。マトリックス炭素として自
己焼結性の炭素粉末を使用する場合は、例えば図2に示
すような乾式混合、乾式成形および焼成という簡単な工
程で製造できる。炭素粉末とセラミックス粉末および繊
維は、強度および耐摩耗性を等方的にするために、前記
した原料を均一に混合することが好ましい。
の方法によって製造できる。マトリックス炭素として自
己焼結性の炭素粉末を使用する場合は、例えば図2に示
すような乾式混合、乾式成形および焼成という簡単な工
程で製造できる。炭素粉末とセラミックス粉末および繊
維は、強度および耐摩耗性を等方的にするために、前記
した原料を均一に混合することが好ましい。
【0023】成形は、常法によって行うことができ、通
常1〜10ton/cm2 程度の加圧下に所定の形状に
成形すればよい。または、CIP法、HIP法、ホット
プレス法などによって成形を行ってもよい。成形は、常
温でまたは不活性雰囲気下500℃程度までの加熱下に
行うことができる。焼成は、700〜1500℃程度に
加熱して炭素繊維および自己焼結性炭素質粉末を炭化固
結させる。なお、必要に応じてこの炭化された複合体を
黒鉛化炉で焼結温度以上に加熱して黒鉛化させてもよ
い。
常1〜10ton/cm2 程度の加圧下に所定の形状に
成形すればよい。または、CIP法、HIP法、ホット
プレス法などによって成形を行ってもよい。成形は、常
温でまたは不活性雰囲気下500℃程度までの加熱下に
行うことができる。焼成は、700〜1500℃程度に
加熱して炭素繊維および自己焼結性炭素質粉末を炭化固
結させる。なお、必要に応じてこの炭化された複合体を
黒鉛化炉で焼結温度以上に加熱して黒鉛化させてもよ
い。
【0024】マトリックス炭素として液状あるいは加熱
により液化する原料を使用する場合は、酸化物系セラミ
ックスはマトリックス炭素原料に混合する。炭素繊維は
従来の方法と同様にマトリックス炭素原料に混合して
も、あるいは炭素繊維でできた予備成形体にマトリック
ス炭素原料を付着させる方法でも良い。複合体を得るに
は得られた成形体を加熱しマトリックス炭素原料の炭化
を進め、全体を一体化する。炭化の条件は、特に限定さ
れないが、通常非酸化性雰囲気中0.1〜300℃/時
間程度の速度で常温から1500℃程度の温度まで昇温
し、0.5〜10時間程度保持して行えばよい。なお、
焼結時においてもより高温で焼結すると複合体の一部は
炭化の後、黒鉛化する。
により液化する原料を使用する場合は、酸化物系セラミ
ックスはマトリックス炭素原料に混合する。炭素繊維は
従来の方法と同様にマトリックス炭素原料に混合して
も、あるいは炭素繊維でできた予備成形体にマトリック
ス炭素原料を付着させる方法でも良い。複合体を得るに
は得られた成形体を加熱しマトリックス炭素原料の炭化
を進め、全体を一体化する。炭化の条件は、特に限定さ
れないが、通常非酸化性雰囲気中0.1〜300℃/時
間程度の速度で常温から1500℃程度の温度まで昇温
し、0.5〜10時間程度保持して行えばよい。なお、
焼結時においてもより高温で焼結すると複合体の一部は
炭化の後、黒鉛化する。
【0025】また、黒鉛化の条件も、特に限定されず、
非酸化性雰囲気中で焼結時の温度から0.1〜500℃
/時間程度の速度で1500〜3000℃程度の温度ま
で昇温し、0.5〜10時間程度保持すればよい。黒鉛
化を行った場合には、黒鉛結晶が十分に成長するととも
に秩序正しく配向し、これにより製品の密度、強度およ
び耐摩耗性などがさらに向上する。
非酸化性雰囲気中で焼結時の温度から0.1〜500℃
/時間程度の速度で1500〜3000℃程度の温度ま
で昇温し、0.5〜10時間程度保持すればよい。黒鉛
化を行った場合には、黒鉛結晶が十分に成長するととも
に秩序正しく配向し、これにより製品の密度、強度およ
び耐摩耗性などがさらに向上する。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 (実施例1)炭素繊維として、長さ20mmのピッチ系
炭素繊維(光学的等方性繊維、ドナック製 ドナカーボ
S210)を用いた。マトリックス炭素原料としてフェ
ノール樹脂を用い、アルコールに分散して使用した。こ
のアルコール分散液1lに平均粒径1.2μmのムライ
ト(3Al2 O3 ・2SiO2 、α2 ;4.8×10 -6
/℃)、平均粒径0.5μmのアルミナ(Al2 O3 、
α2 ;7.2×10-6/℃)および平均粒径0.6μm
のマグネシア(MgO、α2 ;13.0×10 -6/℃)
の一つを50g加えた3種類の配合物を得た。これらを
個々に均一に攪拌し、その後さらに個々の配合物に前記
炭素繊維300gを加えてさらに30分間攪拌した。こ
れらの混合物を個々に成形用金型に入れ、底部よりアル
コールを垂れ流し、金型ごと80℃で10時間乾燥し
た。その後180℃でキュアーした。
炭素繊維(光学的等方性繊維、ドナック製 ドナカーボ
S210)を用いた。マトリックス炭素原料としてフェ
ノール樹脂を用い、アルコールに分散して使用した。こ
のアルコール分散液1lに平均粒径1.2μmのムライ
ト(3Al2 O3 ・2SiO2 、α2 ;4.8×10 -6
/℃)、平均粒径0.5μmのアルミナ(Al2 O3 、
α2 ;7.2×10-6/℃)および平均粒径0.6μm
のマグネシア(MgO、α2 ;13.0×10 -6/℃)
の一つを50g加えた3種類の配合物を得た。これらを
個々に均一に攪拌し、その後さらに個々の配合物に前記
炭素繊維300gを加えてさらに30分間攪拌した。こ
れらの混合物を個々に成形用金型に入れ、底部よりアル
コールを垂れ流し、金型ごと80℃で10時間乾燥し
た。その後180℃でキュアーした。
【0027】固化した各成形体を金型より取り出し、ア
ルゴン雰囲気中で最高1700℃まで加熱し、フェノー
ルを炭化、黒鉛化した。その後さらにCVDによる緻密
化を行い、本発明の炭素繊維強化炭素複合材料を得た。
なお、CVDは、高周波誘導加熱炉内で得られ黒鉛化材
を600℃に加熱しジクロロエチレンを炉内に導入し、
熱分解して緻密化させたものである。
ルゴン雰囲気中で最高1700℃まで加熱し、フェノー
ルを炭化、黒鉛化した。その後さらにCVDによる緻密
化を行い、本発明の炭素繊維強化炭素複合材料を得た。
なお、CVDは、高周波誘導加熱炉内で得られ黒鉛化材
を600℃に加熱しジクロロエチレンを炉内に導入し、
熱分解して緻密化させたものである。
【0028】これらの炭素繊維強化炭素複合材料のムラ
イト、アルミナおよびマグネシアの割合はそれぞれ5.
1%、5.6%および5.3%であり、見掛け密度はい
ずれも1.7g/cm3 であった。また、ムライト、ア
ルミナおよびマグネシアをそれぞれ配合した炭素繊維強
化炭素複合材料の20〜1000℃の平均熱膨張係数は
それぞれ5.4×10-6/℃、5.7×10-6/℃およ
び6.2×10-6/℃であった。
イト、アルミナおよびマグネシアの割合はそれぞれ5.
1%、5.6%および5.3%であり、見掛け密度はい
ずれも1.7g/cm3 であった。また、ムライト、ア
ルミナおよびマグネシアをそれぞれ配合した炭素繊維強
化炭素複合材料の20〜1000℃の平均熱膨張係数は
それぞれ5.4×10-6/℃、5.7×10-6/℃およ
び6.2×10-6/℃であった。
【0029】なお、本実施例の炭素繊維強化炭素複合材
料を構成する基材は、後で説明する比較例1の炭素繊維
強化炭素材料と同じ物とみなすことができる。従って、
この基材の20〜1000℃の平均熱膨張係数α1 は比
較例1から判るように5.5×10-6/℃となる。この
基材の平均熱膨張係数α1 とセラミックスの平均熱膨張
係数α2 から(α1 −α2 )を求めると、ムライト、ア
ルミナおよびマグネシアをそれぞれ含む本実施例の炭素
繊維強化炭素複合材料の(α1 −α2 )は、それぞれ+
0.7×10-6/℃、−1.7×10-6/℃および−
7.5×10-6/℃となる。 (実施例2)炭素繊維として、実施例1で使用したのと
同じ長さ20mmのピッチ系炭素繊維を用い、これを粉
砕してミルド粉(繊維長さ0.5mm)としたものを使
用した。マトリックス炭素原料として平均粒径7μmの
コールタール系メソカーボンマイクロビーズ(大阪ガス
製)を使用した。さらに酸化物系セラミックスとして実
施例1で使用したのと同じ3種類の酸化物粉を使用し
た。そして、炭素繊維;メソカーボンマイクロビーズ;
酸化物粉を重量割合で25;75;5として配合し、3
種類の配合物を得た。これら3種類の配合物をそれぞれ
個々にライカイ機で混合し、さらに室温で万能プレスで
1ton/cm2 の成形圧力で成形した。その後、これ
ら成形体を常圧で非酸化性雰囲気中、150℃/時間の
加熱速度で1000℃まで昇温し、同温度で1時間保持
しさらに非酸化性雰囲気中、500℃/時間の速度で1
700℃まで加熱して焼結した。これにより3種類の本
発明の炭素繊維強化炭素複合材料を得た。
料を構成する基材は、後で説明する比較例1の炭素繊維
強化炭素材料と同じ物とみなすことができる。従って、
この基材の20〜1000℃の平均熱膨張係数α1 は比
較例1から判るように5.5×10-6/℃となる。この
基材の平均熱膨張係数α1 とセラミックスの平均熱膨張
係数α2 から(α1 −α2 )を求めると、ムライト、ア
ルミナおよびマグネシアをそれぞれ含む本実施例の炭素
繊維強化炭素複合材料の(α1 −α2 )は、それぞれ+
0.7×10-6/℃、−1.7×10-6/℃および−
7.5×10-6/℃となる。 (実施例2)炭素繊維として、実施例1で使用したのと
同じ長さ20mmのピッチ系炭素繊維を用い、これを粉
砕してミルド粉(繊維長さ0.5mm)としたものを使
用した。マトリックス炭素原料として平均粒径7μmの
コールタール系メソカーボンマイクロビーズ(大阪ガス
製)を使用した。さらに酸化物系セラミックスとして実
施例1で使用したのと同じ3種類の酸化物粉を使用し
た。そして、炭素繊維;メソカーボンマイクロビーズ;
酸化物粉を重量割合で25;75;5として配合し、3
種類の配合物を得た。これら3種類の配合物をそれぞれ
個々にライカイ機で混合し、さらに室温で万能プレスで
1ton/cm2 の成形圧力で成形した。その後、これ
ら成形体を常圧で非酸化性雰囲気中、150℃/時間の
加熱速度で1000℃まで昇温し、同温度で1時間保持
しさらに非酸化性雰囲気中、500℃/時間の速度で1
700℃まで加熱して焼結した。これにより3種類の本
発明の炭素繊維強化炭素複合材料を得た。
【0030】これらの炭素繊維強化炭素複合材料のムラ
イト、アルミナおよびマグネシアの割合および見掛け密
度はそれぞれ6.1%と1.75g/cm3 、6.2%
と1.86g/cm3 および6.1%と1.71g/c
m3 であった。また、ムライト、アルミナおよびマグネ
シアをそれぞれ配合した炭素繊維強化炭素複合材料の2
0〜1000℃の平均熱膨張係数はそれぞれ7.2×1
0-6/℃、7.0×10-6/℃および8.3×10-6/
℃であった。
イト、アルミナおよびマグネシアの割合および見掛け密
度はそれぞれ6.1%と1.75g/cm3 、6.2%
と1.86g/cm3 および6.1%と1.71g/c
m3 であった。また、ムライト、アルミナおよびマグネ
シアをそれぞれ配合した炭素繊維強化炭素複合材料の2
0〜1000℃の平均熱膨張係数はそれぞれ7.2×1
0-6/℃、7.0×10-6/℃および8.3×10-6/
℃であった。
【0031】なお、本実施例の酸化物粉を全く含まない
ことだけ異なり、他は本実施例と全く同じ方法で、酸化
物粉を全く含まない炭素繊維強化炭素材料を作り、本実
施例の炭素繊維強化炭素複合材料を構成する基材とし
た。そしてこの基材の20〜1000℃の平均熱膨張係
数α1 を求めた。基材の20〜1000℃の平均熱膨張
係数α1 は7.3×10-6/℃であった。この基材の平
均熱膨張係数α1 とセラミックスの平均熱膨張係数α2
から(α1 −α2 )を求めると、ムライト、アルミナお
よびマグネシアをそれぞれ含む本実施例の炭素繊維強化
炭素複合材料の(α1 −α2 )は、それぞれ+2.5×
10-6/℃、+0.1×10-6/℃および−5.7×1
0-6/℃となる。 (実施例3)炭素繊維として、フィラメント3000本
よりなるピッチ系炭素繊維を使用した。マトリックス炭
素原料として軟化点280℃のピッチ粉砕品とコークス
の粉砕品の等重量混合物を使用した。そして、酸化物系
セラミックスとして実施例1で使用したのと同じムライ
ト、アルミナおよびマグネシアの3種類を使用した。
ことだけ異なり、他は本実施例と全く同じ方法で、酸化
物粉を全く含まない炭素繊維強化炭素材料を作り、本実
施例の炭素繊維強化炭素複合材料を構成する基材とし
た。そしてこの基材の20〜1000℃の平均熱膨張係
数α1 を求めた。基材の20〜1000℃の平均熱膨張
係数α1 は7.3×10-6/℃であった。この基材の平
均熱膨張係数α1 とセラミックスの平均熱膨張係数α2
から(α1 −α2 )を求めると、ムライト、アルミナお
よびマグネシアをそれぞれ含む本実施例の炭素繊維強化
炭素複合材料の(α1 −α2 )は、それぞれ+2.5×
10-6/℃、+0.1×10-6/℃および−5.7×1
0-6/℃となる。 (実施例3)炭素繊維として、フィラメント3000本
よりなるピッチ系炭素繊維を使用した。マトリックス炭
素原料として軟化点280℃のピッチ粉砕品とコークス
の粉砕品の等重量混合物を使用した。そして、酸化物系
セラミックスとして実施例1で使用したのと同じムライ
ト、アルミナおよびマグネシアの3種類を使用した。
【0032】まずピッチ粉砕品、コークス粉砕品および
1種類の酸化物セラミックスをそれぞれ重量換算で1;
1;0.5の割合で配合し、充分に混合して3種類の混
合粉を得た。次に、前記炭素繊維の各フィラメントの表
面にそれぞれ1種類の前記混合粉を粒子付着装置で付着
させた。これら混合粉が付着した各繊維の表面を膜厚1
0μmのポリエチレンで被覆し、ボビンに巻き取って3
種類の中間体を作った。これら3種類の中間体毎に、成
形型内で一方向に配列し板状の集積体とし、成形圧力5
00kg/cm2 、600℃で30分間ホットプレスし
て焼結し、さらに1700℃まで加熱して黒鉛化して3
種類の本実施例の炭素繊維強化炭素複合材量を得た。
1種類の酸化物セラミックスをそれぞれ重量換算で1;
1;0.5の割合で配合し、充分に混合して3種類の混
合粉を得た。次に、前記炭素繊維の各フィラメントの表
面にそれぞれ1種類の前記混合粉を粒子付着装置で付着
させた。これら混合粉が付着した各繊維の表面を膜厚1
0μmのポリエチレンで被覆し、ボビンに巻き取って3
種類の中間体を作った。これら3種類の中間体毎に、成
形型内で一方向に配列し板状の集積体とし、成形圧力5
00kg/cm2 、600℃で30分間ホットプレスし
て焼結し、さらに1700℃まで加熱して黒鉛化して3
種類の本実施例の炭素繊維強化炭素複合材量を得た。
【0033】これらの炭素繊維強化炭素複合材料のムラ
イト、アルミナおよびマグネシアの割合および見掛け密
度はそれぞれ1.0%と1.75g/cm3 、8%と
1.75g/cm3 および10%と1.76g/cm3
であった。また、ムライト、アルミナおよびマグネシア
をそれぞれ配合した炭素繊維強化炭素複合材料の20〜
1000℃の平均熱膨張係数はそれぞれ5.6×10-6
/℃、5.9×10-6/℃および6.1×10-6/℃で
あった。
イト、アルミナおよびマグネシアの割合および見掛け密
度はそれぞれ1.0%と1.75g/cm3 、8%と
1.75g/cm3 および10%と1.76g/cm3
であった。また、ムライト、アルミナおよびマグネシア
をそれぞれ配合した炭素繊維強化炭素複合材料の20〜
1000℃の平均熱膨張係数はそれぞれ5.6×10-6
/℃、5.9×10-6/℃および6.1×10-6/℃で
あった。
【0034】なお、本実施例の酸化物粉を全く含まない
ことだけ異なり、他は本実施例と全く同じ方法で、酸化
物粉を全く含まない炭素繊維強化炭素材料を作り、本実
施例の炭素繊維強化炭素複合材料を構成する基材とし
た。そしてこの基材の20〜1000℃の平均熱膨張係
数α1 を求めた。基材の20〜1000℃の平均熱膨張
係数α1 は5.6×10-6/℃であった。この基材の平
均熱膨張係数α1 とセラミックスの平均熱膨張係数α2
から(α1 −α2 )を求めると、ムライト、アルミナお
よびマグネシアをそれぞれ含む本実施例の炭素繊維強化
炭素複合材料の(α1 −α2 )は、それぞれ+0.8×
10-6/℃、−1.6×10-6/℃および−7.4×1
0-6/℃となる。 (実施例4)炭素繊維としてフィラメント1000本の
PAN系炭素繊維を平織りにしたクロスを使用した。マ
トリックス炭素原料として、実施例2で使用した自己焼
結性炭素粉を用いた。酸化物系セラミックスとして実施
例1で使用したのと同じムライト、アルミナおよびマグ
ネシアの3種類を使用した。
ことだけ異なり、他は本実施例と全く同じ方法で、酸化
物粉を全く含まない炭素繊維強化炭素材料を作り、本実
施例の炭素繊維強化炭素複合材料を構成する基材とし
た。そしてこの基材の20〜1000℃の平均熱膨張係
数α1 を求めた。基材の20〜1000℃の平均熱膨張
係数α1 は5.6×10-6/℃であった。この基材の平
均熱膨張係数α1 とセラミックスの平均熱膨張係数α2
から(α1 −α2 )を求めると、ムライト、アルミナお
よびマグネシアをそれぞれ含む本実施例の炭素繊維強化
炭素複合材料の(α1 −α2 )は、それぞれ+0.8×
10-6/℃、−1.6×10-6/℃および−7.4×1
0-6/℃となる。 (実施例4)炭素繊維としてフィラメント1000本の
PAN系炭素繊維を平織りにしたクロスを使用した。マ
トリックス炭素原料として、実施例2で使用した自己焼
結性炭素粉を用いた。酸化物系セラミックスとして実施
例1で使用したのと同じムライト、アルミナおよびマグ
ネシアの3種類を使用した。
【0035】まず炭素粉および1種類の酸化物セラミッ
クスをそれぞれ重量換算で4;1の割合で配合し、充分
に混合して3種類の混合粉を得た。次に、前記炭素繊維
のクロスの表面にそれぞれ1種類の前記混合粉を練り込
んで付着させプレプリグを得、3種類の中間体を作っ
た。これら3種類の中間体毎に、成形型内に入れ、成形
圧力200kg/cm2 、200℃で10分間ホットプ
レスして焼結し、さらに加圧を500kg/cm2 にし
て1700℃まで加熱して黒鉛化して3種類の本実施例
の炭素繊維強化炭素複合材量を得た。
クスをそれぞれ重量換算で4;1の割合で配合し、充分
に混合して3種類の混合粉を得た。次に、前記炭素繊維
のクロスの表面にそれぞれ1種類の前記混合粉を練り込
んで付着させプレプリグを得、3種類の中間体を作っ
た。これら3種類の中間体毎に、成形型内に入れ、成形
圧力200kg/cm2 、200℃で10分間ホットプ
レスして焼結し、さらに加圧を500kg/cm2 にし
て1700℃まで加熱して黒鉛化して3種類の本実施例
の炭素繊維強化炭素複合材量を得た。
【0036】これらの炭素繊維強化炭素複合材量のムラ
イト、アルミナおよびマグネシアの割合および見掛け密
度はそれぞれ8%と1.70g/cm3 、7%と1.7
2g/cm3 および8%と1.72g/cm3 であっ
た。また、ムライト、アルミナおよびマグネシアをそれ
ぞれ配合した炭素繊維強化炭素複合材の20〜1000
℃の平均熱膨張係数はそれぞれ4.2×10-6/℃、
4.3×10-6/℃および4.5×10-6/℃であっ
た。
イト、アルミナおよびマグネシアの割合および見掛け密
度はそれぞれ8%と1.70g/cm3 、7%と1.7
2g/cm3 および8%と1.72g/cm3 であっ
た。また、ムライト、アルミナおよびマグネシアをそれ
ぞれ配合した炭素繊維強化炭素複合材の20〜1000
℃の平均熱膨張係数はそれぞれ4.2×10-6/℃、
4.3×10-6/℃および4.5×10-6/℃であっ
た。
【0037】なお、本実施例の酸化物粉を全く含まない
ことだけ異なり、他は本実施例と全く同じ方法で、酸化
物粉を全く含まない炭素繊維強化炭素材料を作り、本実
施例の炭素繊維強化炭素複合材料を構成する基材とし
た。そしてこの基材の20〜1000℃の平均熱膨張係
数α1 を求めた。基材の20〜1000℃の平均熱膨張
係数α1 は4.0×10-6/℃であった。この基材の平
均熱膨張係数α1 とセラミックスの平均熱膨張係数α2
から(α1 −α2 )を求めると、ムライト、アルミナお
よびマグネシアをそれぞれ含む本実施例の炭素繊維強化
炭素複合材料の(α1 −α2 )は、それぞれ−0.8×
10-6/℃、−3.2×10-6/℃および−9.0×1
0-6/℃となる。 (比較例1) 実施例1において酸化物セラミックスを使用しないだけ
で、その他はまったく実施例1と同じ方法でセラミック
スを含まない炭素繊維強化炭素材料を作った。この比較
例1の見掛け密度は1.69g/cm3 であった。ま
た、20〜1000℃の平均熱膨張係数は5.5×10
-6/℃であった。 (比較例2) 実施例1において酸化物セラミックスの代わりに平均粒
径3μmの炭化珪素(SiC)を使用し、その他はまっ
たく実施例1と同じ方法で炭化珪素を含む炭素繊維強化
炭素複合材量を作った。この比較例2の炭化珪素の割合
および見掛け密度は5.3%および1.70g/cm3
であった。また、20〜1000℃の平均熱膨張係数は
5.3×10-6/℃であった。 (比較例3) 実施例2において酸化物セラミックスの代わりに平均粒
径3μmの炭化珪素(SiC)を使用し、その他はまっ
たく実施例2と同じ方法で炭化珪素を含む炭素繊維強化
炭素複合材量を作った。この比較例3の炭化珪素の割合
および見掛け密度は6.3%および1.73g/cm3
であった。また、20〜1000℃の平均熱膨張係数は
7.2×10-6/℃であった。 (比較例4) 実施例3において酸化物セラミックスの代わりに平均粒
径3μmの炭化珪素(SiC)を使用し、その他はまっ
たく実施例3と同じ方法で炭化珪素を含む炭素繊維強化
炭素複合材量を作った。この比較例4の炭化珪素の割合
および見掛け密度は11%および1.75g/cm3 で
あった。また、20〜1000℃の平均熱膨張係数は
5.2×10-6/℃であった。 (評価1) それぞれ3種類からなる実施例1ないし4および各1種
類の比較例1ないし4の炭素繊維強化炭素複合材量およ
び炭素繊維強化炭素材料につてい、無潤滑下における摩
擦係数を測定した。この測定は、機械試験所式摩擦摩耗
試験機により、回転数160rpm(すべり速度;20
cm/秒)で、荷重50kgfから荷重を2分毎に10
kgfずつ上昇させ、200kgfまでの摩擦係数μを
測定した。なお、相手材としては高炭素クロム軸受鋼材
(JIS SUJ2、以下、SUJ2と称する。)を使
用した。その結果を図3に示す。
ことだけ異なり、他は本実施例と全く同じ方法で、酸化
物粉を全く含まない炭素繊維強化炭素材料を作り、本実
施例の炭素繊維強化炭素複合材料を構成する基材とし
た。そしてこの基材の20〜1000℃の平均熱膨張係
数α1 を求めた。基材の20〜1000℃の平均熱膨張
係数α1 は4.0×10-6/℃であった。この基材の平
均熱膨張係数α1 とセラミックスの平均熱膨張係数α2
から(α1 −α2 )を求めると、ムライト、アルミナお
よびマグネシアをそれぞれ含む本実施例の炭素繊維強化
炭素複合材料の(α1 −α2 )は、それぞれ−0.8×
10-6/℃、−3.2×10-6/℃および−9.0×1
0-6/℃となる。 (比較例1) 実施例1において酸化物セラミックスを使用しないだけ
で、その他はまったく実施例1と同じ方法でセラミック
スを含まない炭素繊維強化炭素材料を作った。この比較
例1の見掛け密度は1.69g/cm3 であった。ま
た、20〜1000℃の平均熱膨張係数は5.5×10
-6/℃であった。 (比較例2) 実施例1において酸化物セラミックスの代わりに平均粒
径3μmの炭化珪素(SiC)を使用し、その他はまっ
たく実施例1と同じ方法で炭化珪素を含む炭素繊維強化
炭素複合材量を作った。この比較例2の炭化珪素の割合
および見掛け密度は5.3%および1.70g/cm3
であった。また、20〜1000℃の平均熱膨張係数は
5.3×10-6/℃であった。 (比較例3) 実施例2において酸化物セラミックスの代わりに平均粒
径3μmの炭化珪素(SiC)を使用し、その他はまっ
たく実施例2と同じ方法で炭化珪素を含む炭素繊維強化
炭素複合材量を作った。この比較例3の炭化珪素の割合
および見掛け密度は6.3%および1.73g/cm3
であった。また、20〜1000℃の平均熱膨張係数は
7.2×10-6/℃であった。 (比較例4) 実施例3において酸化物セラミックスの代わりに平均粒
径3μmの炭化珪素(SiC)を使用し、その他はまっ
たく実施例3と同じ方法で炭化珪素を含む炭素繊維強化
炭素複合材量を作った。この比較例4の炭化珪素の割合
および見掛け密度は11%および1.75g/cm3 で
あった。また、20〜1000℃の平均熱膨張係数は
5.2×10-6/℃であった。 (評価1) それぞれ3種類からなる実施例1ないし4および各1種
類の比較例1ないし4の炭素繊維強化炭素複合材量およ
び炭素繊維強化炭素材料につてい、無潤滑下における摩
擦係数を測定した。この測定は、機械試験所式摩擦摩耗
試験機により、回転数160rpm(すべり速度;20
cm/秒)で、荷重50kgfから荷重を2分毎に10
kgfずつ上昇させ、200kgfまでの摩擦係数μを
測定した。なお、相手材としては高炭素クロム軸受鋼材
(JIS SUJ2、以下、SUJ2と称する。)を使
用した。その結果を図3に示す。
【0038】図3より明らかなように、本発明の実施例
1ないし4の酸化物セラミックスを配合した炭素繊維強
化炭素複合材量は、いずれも0.28ないし0.47程
度の高い摩擦係数を持つ。これに対して比較例1ないし
3のセラミックスとして炭化珪素(SiC)を配合した
炭素繊維強化炭素複合材量の摩擦係数は、0.2ないし
0.29程度と比較的低いものであった。しかし比較例
4に見られるように、セラミックスの配合されていない
炭素繊維強化炭素材量の摩擦係数は、0.14ないし
0.19とさらに低いものであった。
1ないし4の酸化物セラミックスを配合した炭素繊維強
化炭素複合材量は、いずれも0.28ないし0.47程
度の高い摩擦係数を持つ。これに対して比較例1ないし
3のセラミックスとして炭化珪素(SiC)を配合した
炭素繊維強化炭素複合材量の摩擦係数は、0.2ないし
0.29程度と比較的低いものであった。しかし比較例
4に見られるように、セラミックスの配合されていない
炭素繊維強化炭素材量の摩擦係数は、0.14ないし
0.19とさらに低いものであった。
【0039】これらの結果より、酸化物セラミックスを
配合した本発明の炭素繊維強化炭素複合材量は、高い摩
擦係数を持つことが判る。なお、酸化物セラミックス中
では、マグネシアが他のムライト、アルミナに比較して
僅かに高い摩擦係数を持つ。 (評価2)それぞれ3種類からなる実施例1ないし4お
よび各1種類の比較例1ないし4の炭素繊維強化炭素複
合材および炭素繊維強化炭素材料につてい、湿式下(油
潤滑)における摩擦係数および摩耗量を測定した。この
測定は、LFW摩擦摩耗試験機により、荷重15kg
f、回転数160rpmで15分間の試験を実施した。
相手材としてはSUJ2製のリングを使用し、テストピ
ースとしては10.0mm×15.7mmの平板を使用
した。その結果の一部の摩擦係数を図4に、摩耗量を表
1に示す。なお、参考までに各実施例の基材と酸化物セ
ラミックスとの20〜1000℃の平均熱膨張係数の差
(α1 −α2 )を合わせて示す。
配合した本発明の炭素繊維強化炭素複合材量は、高い摩
擦係数を持つことが判る。なお、酸化物セラミックス中
では、マグネシアが他のムライト、アルミナに比較して
僅かに高い摩擦係数を持つ。 (評価2)それぞれ3種類からなる実施例1ないし4お
よび各1種類の比較例1ないし4の炭素繊維強化炭素複
合材および炭素繊維強化炭素材料につてい、湿式下(油
潤滑)における摩擦係数および摩耗量を測定した。この
測定は、LFW摩擦摩耗試験機により、荷重15kg
f、回転数160rpmで15分間の試験を実施した。
相手材としてはSUJ2製のリングを使用し、テストピ
ースとしては10.0mm×15.7mmの平板を使用
した。その結果の一部の摩擦係数を図4に、摩耗量を表
1に示す。なお、参考までに各実施例の基材と酸化物セ
ラミックスとの20〜1000℃の平均熱膨張係数の差
(α1 −α2 )を合わせて示す。
【0040】図4より明らかなように、本発明の実施例
1ないし4の酸化物セラミックスを配合した炭素繊維強
化炭素複合材量の中で、ムライトとアルミナを配合した
ものは摩擦係数が0.16〜0.18と比較的高かっ
た。しかしマグネシアを配合したものは乾式下の場合と
は逆にムライトおよびアルミナ配合のものより低い0.
13〜0.16の摩擦係数であった。
1ないし4の酸化物セラミックスを配合した炭素繊維強
化炭素複合材量の中で、ムライトとアルミナを配合した
ものは摩擦係数が0.16〜0.18と比較的高かっ
た。しかしマグネシアを配合したものは乾式下の場合と
は逆にムライトおよびアルミナ配合のものより低い0.
13〜0.16の摩擦係数であった。
【0041】比較例の炭化珪素を配合したものはセラミ
ックスを配合していないものより僅かに高い0.12〜
0.14の摩擦係数であった。一方セラミックスを配合
していない炭素繊維強化炭素材料の摩擦係数は0.11
〜0.14であった。これらの結果より、酸化物セラミ
ックスを配合した本発明の炭素繊維強化炭素複合材量
は、油潤滑下でも比較的高い摩擦係数を持つことが判
る。なお、酸化物セラミックス中では、マグネシアが他
のムライト、アルミナに比較して僅かに低い摩擦係数を
持つ。
ックスを配合していないものより僅かに高い0.12〜
0.14の摩擦係数であった。一方セラミックスを配合
していない炭素繊維強化炭素材料の摩擦係数は0.11
〜0.14であった。これらの結果より、酸化物セラミ
ックスを配合した本発明の炭素繊維強化炭素複合材量
は、油潤滑下でも比較的高い摩擦係数を持つことが判
る。なお、酸化物セラミックス中では、マグネシアが他
のムライト、アルミナに比較して僅かに低い摩擦係数を
持つ。
【0042】
【表1】 注 ( )内の数字は熱膨張係数の差(α1 −α2 )を
示す 表1に示す摩耗量と平均熱膨張係数の差(α1 −α2 )
とを比べてみると明らかなように、平均熱膨張係数の差
(α1 −α2 )が−2×10 -6 より大きくかつ+3.5
×10-6より小さい範囲にある炭素繊維強化炭素複合材
料の摩耗量は、酸化物セラミックスを含まない比較例に
示す炭素繊維強化炭素材料と同等あるいはそれらより優
れた、低い摩耗量をもつのが判る。これらに対して平均
熱膨張係数の差(α1 −α2 )が−2×10 -6 より遙か
に小さい、実施例1および4のアルミナを配合した炭素
繊維強化炭素複合材料とかマグネシアを配合した炭素繊
維強化炭素複合材料は、摩耗量が極めて高い。
示す 表1に示す摩耗量と平均熱膨張係数の差(α1 −α2 )
とを比べてみると明らかなように、平均熱膨張係数の差
(α1 −α2 )が−2×10 -6 より大きくかつ+3.5
×10-6より小さい範囲にある炭素繊維強化炭素複合材
料の摩耗量は、酸化物セラミックスを含まない比較例に
示す炭素繊維強化炭素材料と同等あるいはそれらより優
れた、低い摩耗量をもつのが判る。これらに対して平均
熱膨張係数の差(α1 −α2 )が−2×10 -6 より遙か
に小さい、実施例1および4のアルミナを配合した炭素
繊維強化炭素複合材料とかマグネシアを配合した炭素繊
維強化炭素複合材料は、摩耗量が極めて高い。
【0043】
【効果】本発明の酸化物系セラミックスを配合した炭素
繊維強化炭素複合材料は、セラミックスを配合しない炭
素繊維強化炭素材料および炭化珪素を配合した炭素繊維
強化炭素複合材料より高い摩擦係数をもつ。また、マト
リックスとなる基材の熱膨張係数と酸化物系セラミック
の熱膨張係数との間に特定の関係があるので、摩耗量も
少ない。このため本発明の炭素繊維強化炭素複合材料
は、航空機およびレース車両などのブレーキシュー、ブ
レーキライニングおよびブレーキパッド、ブッシユ、ワ
ッシヤ、フリクションドライブ用ロータ、スリーブなど
に利用できる。
繊維強化炭素複合材料は、セラミックスを配合しない炭
素繊維強化炭素材料および炭化珪素を配合した炭素繊維
強化炭素複合材料より高い摩擦係数をもつ。また、マト
リックスとなる基材の熱膨張係数と酸化物系セラミック
の熱膨張係数との間に特定の関係があるので、摩耗量も
少ない。このため本発明の炭素繊維強化炭素複合材料
は、航空機およびレース車両などのブレーキシュー、ブ
レーキライニングおよびブレーキパッド、ブッシユ、ワ
ッシヤ、フリクションドライブ用ロータ、スリーブなど
に利用できる。
【図1】炭素繊維強化炭素複合材料を構成する基材とセ
ラミックスとの平均熱膨張係数の差と比摩耗量との関係
を示す図である。
ラミックスとの平均熱膨張係数の差と比摩耗量との関係
を示す図である。
【図2】本発明の炭素繊維強化炭素複合材料の一製造方
法を示すブロック図である。
法を示すブロック図である。
【図3】実施例および比較例で得られた炭素繊維強化炭
素複合材料の乾式摩擦下の摩擦係数を示す図である。
素複合材料の乾式摩擦下の摩擦係数を示す図である。
【図4】実施例および比較例で得られた炭素繊維強化炭
素複合材料の湿式摩擦下の摩擦係数を示す図である。
素複合材料の湿式摩擦下の摩擦係数を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 喜照 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 東 隆行 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−36075(JP,A) 特開 昭63−13926(JP,A) 特開 昭63−123862(JP,A) 特開 平3−275562(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】 基材が炭素繊維強化炭素で構成され、該
基材中に1600℃以上の融点を有し該基材の炭素と反
応しにくい酸化物系セラミック粉末および/または繊維
が3〜20重量%埋設され、該基材の20〜1000℃
の平均熱膨張係数α 1 と該酸化物系セラミックの20〜
1000℃の平均熱膨張係数α 2 との間に −2×10 −6 /℃≦α 1 −α 2 ≦3.5×10 −6 /℃ の関係がある ことを特徴とする高摩擦係数を持つ炭素繊
維強化炭素複合材料。 - 【請求項2】 炭素繊維の含有量が40重量%以下であ
る請求項1記載の炭素繊維強化炭素複合材料。 - 【請求項3】 見掛け密度が1.65g/cm3以上で
ある請求項1記載の炭素繊維強化炭素複合材料。」
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3073300A JPH07115958B2 (ja) | 1991-04-05 | 1991-04-05 | 高摩擦係数を持つ炭素繊維強化炭素複合材料 |
EP92302860A EP0507564A2 (en) | 1991-04-05 | 1992-04-01 | Carbon composite material |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3073300A JPH07115958B2 (ja) | 1991-04-05 | 1991-04-05 | 高摩擦係数を持つ炭素繊維強化炭素複合材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04310568A JPH04310568A (ja) | 1992-11-02 |
JPH07115958B2 true JPH07115958B2 (ja) | 1995-12-13 |
Family
ID=13514178
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3073300A Expired - Lifetime JPH07115958B2 (ja) | 1991-04-05 | 1991-04-05 | 高摩擦係数を持つ炭素繊維強化炭素複合材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07115958B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05306166A (ja) * | 1991-04-05 | 1993-11-19 | Toyota Motor Corp | 炭素複合材料 |
JP5113982B2 (ja) * | 2004-04-23 | 2013-01-09 | トヨタ自動車株式会社 | 金属炭化物粒子が分散した炭素複合材料の製造方法 |
DE102006004775A1 (de) * | 2006-02-02 | 2007-08-09 | Zwilling J. A. Henckels Ag | Kochgeschirr, insbesondere Topf, Pfanne oder dergleichen |
CN108178648B (zh) * | 2018-01-04 | 2020-06-19 | 中国人民解放军国防科技大学 | 三维碳纤维增强氧化铝-氧化锆复合材料及其制备方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6236075A (ja) * | 1985-08-06 | 1987-02-17 | 住友金属工業株式会社 | 繊維強化炭素材料 |
JPS6313926A (ja) * | 1986-07-03 | 1988-01-21 | Showa Denko Kk | 炭素質摩擦材 |
JP2525161B2 (ja) * | 1986-11-10 | 1996-08-14 | 花王株式会社 | ガラス状カ−ボン複合材料およびその製造方法 |
JPH03275562A (ja) * | 1990-03-23 | 1991-12-06 | Nissin Kogyo Kk | 摩擦要素 |
JPH05306166A (ja) * | 1991-04-05 | 1993-11-19 | Toyota Motor Corp | 炭素複合材料 |
-
1991
- 1991-04-05 JP JP3073300A patent/JPH07115958B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04310568A (ja) | 1992-11-02 |
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