JPH068213B2 - 摺動部材 - Google Patents
摺動部材Info
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- JPH068213B2 JPH068213B2 JP1305281A JP30528189A JPH068213B2 JP H068213 B2 JPH068213 B2 JP H068213B2 JP 1305281 A JP1305281 A JP 1305281A JP 30528189 A JP30528189 A JP 30528189A JP H068213 B2 JPH068213 B2 JP H068213B2
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Landscapes
- Ceramic Products (AREA)
- Lubricants (AREA)
- Sliding-Contact Bearings (AREA)
- Braking Arrangements (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、強度が高く、耐熱性、耐摩耗性及び耐酸化性
に優れ、航空機及びレース車両等のブレーキシュー及び
ブレーキライニング、高温用軸受等に利用して好適な摺
動部材に関する。
に優れ、航空機及びレース車両等のブレーキシュー及び
ブレーキライニング、高温用軸受等に利用して好適な摺
動部材に関する。
[従来の技術] 航空機等及びレース車両等のブレーキ材等に利用される
摺動部材は、耐熱性及び耐摩耗性が特に要求される。こ
れに応える摺動部材として、近年、炭素繊維強化炭素か
らなるものが提供されている。
摺動部材は、耐熱性及び耐摩耗性が特に要求される。こ
れに応える摺動部材として、近年、炭素繊維強化炭素か
らなるものが提供されている。
この炭素繊維強化炭素は、例えば、炭化又は黒鉛化され
かつ酸化処理等の表面処理の施された強化材としての炭
素繊維に、タール、ピッチ又は熱硬化性樹脂等の結合材
としての液状炭素質材料を含浸し、不活性雰囲気下で焼
成、必要に応じて黒鉛化することにより製造される(特
開昭63−206351号公報) [発明が解決しようとする課題] ところが、上記のように製造された炭素繊維強化炭素で
は、結合材として液状の炭素質材料を使用しているた
め、焼成過程中、この液状結合材の分解により発生する
揮発成分が気孔を形成する。このため、強化材と結合材
との間の界面密着性が低下し、かつ製品は低密度とな
り、強度及び耐摩耗性が劣るという欠点がある。
かつ酸化処理等の表面処理の施された強化材としての炭
素繊維に、タール、ピッチ又は熱硬化性樹脂等の結合材
としての液状炭素質材料を含浸し、不活性雰囲気下で焼
成、必要に応じて黒鉛化することにより製造される(特
開昭63−206351号公報) [発明が解決しようとする課題] ところが、上記のように製造された炭素繊維強化炭素で
は、結合材として液状の炭素質材料を使用しているた
め、焼成過程中、この液状結合材の分解により発生する
揮発成分が気孔を形成する。このため、強化材と結合材
との間の界面密着性が低下し、かつ製品は低密度とな
り、強度及び耐摩耗性が劣るという欠点がある。
上記問題を解決するために、従来より、上記気孔中に結
合材である液状含浸材を充填し、再度焼成することを繰
返して気孔率を減少させることが行なわれている。しか
し、このような繁雑な工程を必要とするにもかかわら
ず、得られる製品は依然としてポーラスなものであり、
また製造工程の繁雑化によりコスト高を招いていた。
合材である液状含浸材を充填し、再度焼成することを繰
返して気孔率を減少させることが行なわれている。しか
し、このような繁雑な工程を必要とするにもかかわら
ず、得られる製品は依然としてポーラスなものであり、
また製造工程の繁雑化によりコスト高を招いていた。
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであ
り、高強度で摩擦摩耗特性に優れ、かつ低コストで製造
することのできる摺動部材を提供することを目的とす
る。
り、高強度で摩擦摩耗特性に優れ、かつ低コストで製造
することのできる摺動部材を提供することを目的とす
る。
[課題を解決するための手段] 本発明の摺動部材は、所定の形状をもち、未炭化炭素質
繊維と、該未炭化炭素質繊維を埋設した自己焼結性を有
するメソカーボンマイクロビーズ、バルクメソフェーズ
粉砕品、低温か焼コークス粉砕品のうちの少なくとも一
種の炭素質粉末とからなる複合体を焼結することによっ
て得られる焼結体からなることを特徴とする。
繊維と、該未炭化炭素質繊維を埋設した自己焼結性を有
するメソカーボンマイクロビーズ、バルクメソフェーズ
粉砕品、低温か焼コークス粉砕品のうちの少なくとも一
種の炭素質粉末とからなる複合体を焼結することによっ
て得られる焼結体からなることを特徴とする。
上記摺動部材の形状は特に限定されず、ブレーキシュ
ー、ブレーキライニング、軸受等所定の形状とすること
ができる。
ー、ブレーキライニング、軸受等所定の形状とすること
ができる。
上記未炭化炭素質繊維は、本発明の摺動部材の強化材を
構成する。この未炭化炭素質繊維の原料としては、PA
N(ポリアクリロニトリル)系、レーヨン系、ピッチ系
等のものとすることができ、特に限定されない。
構成する。この未炭化炭素質繊維の原料としては、PA
N(ポリアクリロニトリル)系、レーヨン系、ピッチ系
等のものとすることができ、特に限定されない。
ここで、未炭化の炭素質繊維とは、通常の炭化処理の施
されていない状態の炭素質繊維をいう。具体的には、原
料ピッチを使用したものは紡糸したままの繊維又は紡糸
した繊維を550℃を越えない温度で不融化した繊維を
いう。PAN等高分子系の繊維では分解工程を終え、黒
鉛化処理前の繊維をいう。この種の炭素質繊維として
は、例えば、石炭系又は石油系の原料ピッチを紡糸して
得たピッチ繊維、又はこれを不融化して得た不融化繊維
等とすることができる。この原料ピッチの紡糸及び不融
化は常法に従って行なえばよく、条件等は特に限定され
ない。通常、ピッチ繊維は、原料ピッチを紡糸器に供給
し、300〜400℃程度に加熱した状態で不活性ガス
による加圧下にノズルから押出して得ることができる。
また、このようなピッチ繊維をさらに酸化性雰囲気中1
50〜500℃程度で0.5〜5時間程度保持して不融
化繊維とすることができる。
されていない状態の炭素質繊維をいう。具体的には、原
料ピッチを使用したものは紡糸したままの繊維又は紡糸
した繊維を550℃を越えない温度で不融化した繊維を
いう。PAN等高分子系の繊維では分解工程を終え、黒
鉛化処理前の繊維をいう。この種の炭素質繊維として
は、例えば、石炭系又は石油系の原料ピッチを紡糸して
得たピッチ繊維、又はこれを不融化して得た不融化繊維
等とすることができる。この原料ピッチの紡糸及び不融
化は常法に従って行なえばよく、条件等は特に限定され
ない。通常、ピッチ繊維は、原料ピッチを紡糸器に供給
し、300〜400℃程度に加熱した状態で不活性ガス
による加圧下にノズルから押出して得ることができる。
また、このようなピッチ繊維をさらに酸化性雰囲気中1
50〜500℃程度で0.5〜5時間程度保持して不融
化繊維とすることができる。
上記原料ピッチは、光学的等方性のものでも、光学的異
方性のものでもよい。光学的等方性の原料ピッチから得
られた等方性の未炭化炭素質繊維はアモルファス組織で
あるため削られにくく、この光学的等方性の未炭化炭素
質繊維を使用した場合、摺動部材の耐摩耗性がとくに優
れる。また、光学的異方性の原料ピッチから得られた異
方性の未炭化炭素質繊維は層状組織であるため剥離しや
すく、この光学的異方性の未炭化炭素質繊維を使用した
場合、摺動部材の耐焼付き性がとくに優れる。
方性のものでもよい。光学的等方性の原料ピッチから得
られた等方性の未炭化炭素質繊維はアモルファス組織で
あるため削られにくく、この光学的等方性の未炭化炭素
質繊維を使用した場合、摺動部材の耐摩耗性がとくに優
れる。また、光学的異方性の原料ピッチから得られた異
方性の未炭化炭素質繊維は層状組織であるため剥離しや
すく、この光学的異方性の未炭化炭素質繊維を使用した
場合、摺動部材の耐焼付き性がとくに優れる。
繊維長さとしては、短繊維、長繊維に限らない。しかし
短繊維の場合には0.01〜50mmのものを使用する
ことができる。特に0.03〜10mmのものが混合の
しやすさ、アスペクト比の関係から好ましい。長すぎて
は繊維同士が絡みあい分散性が低下し、ひいては製品特
性の等方性に劣り、また0.01mmより短くては製品
の強度が急激に低下して好ましくない。また、繊維径と
しては、5〜25μm程度のものが好ましい。さらに、
これらの繊維からなる不織布又はコーティング布として
使用することもできる。
短繊維の場合には0.01〜50mmのものを使用する
ことができる。特に0.03〜10mmのものが混合の
しやすさ、アスペクト比の関係から好ましい。長すぎて
は繊維同士が絡みあい分散性が低下し、ひいては製品特
性の等方性に劣り、また0.01mmより短くては製品
の強度が急激に低下して好ましくない。また、繊維径と
しては、5〜25μm程度のものが好ましい。さらに、
これらの繊維からなる不織布又はコーティング布として
使用することもできる。
上記未炭化炭素質繊維は、さらにタール、ピッチ、有機
高分子などの粘結成分を含有する材料により表面処理し
て、結合材との馴染み性を向上させることが好ましい。
この表面処理は、炭素質繊維100重量部に100〜1
000重量部程度の粘結成分含有材料を加えて攪拌し、
有機溶媒により洗浄後、乾燥して行なうことができる。
この表面処理に使用するタール、ピッチは、石炭系及び
石油系のいずれであってもよい。ピッチを使用する場合
には、攪拌時に140〜170℃程度の加熱が必要とな
るので、処理材としては、タールの方がより好ましく、
また後続の炭化及び黒鉛化工程での炭化歩溜りの点から
は、石炭系のものがより好ましい。
高分子などの粘結成分を含有する材料により表面処理し
て、結合材との馴染み性を向上させることが好ましい。
この表面処理は、炭素質繊維100重量部に100〜1
000重量部程度の粘結成分含有材料を加えて攪拌し、
有機溶媒により洗浄後、乾燥して行なうことができる。
この表面処理に使用するタール、ピッチは、石炭系及び
石油系のいずれであってもよい。ピッチを使用する場合
には、攪拌時に140〜170℃程度の加熱が必要とな
るので、処理材としては、タールの方がより好ましく、
また後続の炭化及び黒鉛化工程での炭化歩溜りの点から
は、石炭系のものがより好ましい。
上記有機高分子としては、フェノール樹脂、ポリ塩化ビ
ニル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ニル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
上記洗浄に使用する有機溶媒としては、トルエン、キシ
レン等の芳香族系溶媒等とすることができ、繊維と粘結
成分含有材料との混合物100重量部に対して100〜
1000重量部程度を加え、攪拌洗浄する。この洗浄に
より、揮発成分が多く含まれる軽質油分が除去される。
洗浄を終えた未炭化炭素質繊維は、例えば、N2、アル
ゴン等の非酸化性雰囲気中で、加熱及び/又は減圧等の
条件下に乾燥処理される。乾燥処理は、洗浄に使用した
有機溶媒が除去される限り、これらの方法に限定される
ものではない。
レン等の芳香族系溶媒等とすることができ、繊維と粘結
成分含有材料との混合物100重量部に対して100〜
1000重量部程度を加え、攪拌洗浄する。この洗浄に
より、揮発成分が多く含まれる軽質油分が除去される。
洗浄を終えた未炭化炭素質繊維は、例えば、N2、アル
ゴン等の非酸化性雰囲気中で、加熱及び/又は減圧等の
条件下に乾燥処理される。乾燥処理は、洗浄に使用した
有機溶媒が除去される限り、これらの方法に限定される
ものではない。
さらに、乾燥を終えた表面処理未炭化炭素質繊維は、必
要に応じて分散処理される。すなわち、乾燥させた繊維
が、塊状化乃至凝集していることがあるので、このよう
な場合には、通常の粉体ミル、アトマイザー、パルバラ
イザー等の任意の手段により分散を行なう。
要に応じて分散処理される。すなわち、乾燥させた繊維
が、塊状化乃至凝集していることがあるので、このよう
な場合には、通常の粉体ミル、アトマイザー、パルバラ
イザー等の任意の手段により分散を行なう。
前記自己焼結性を有するメソカーボンマイクロビーズ、
バルクメソフェーズ粉砕品、低温か焼コークス粉砕品の
うちの少なくとも一種の炭素質粉末(以下、単に炭素質
粉末という)は、本発明の摺動部材の結合材を構成す
る。この炭素質粉末は自己焼結性を有し、未炭化のもの
である。この自己焼結性炭素質粉末としては、石油系及
び石炭系のいずれであってもよい。
バルクメソフェーズ粉砕品、低温か焼コークス粉砕品の
うちの少なくとも一種の炭素質粉末(以下、単に炭素質
粉末という)は、本発明の摺動部材の結合材を構成す
る。この炭素質粉末は自己焼結性を有し、未炭化のもの
である。この自己焼結性炭素質粉末としては、石油系及
び石炭系のいずれであってもよい。
メソカーボンマイクロビーズ、バルクメソフェーズ粉砕
品、低温か焼コークス粉砕品のうちでは、粒径及び組成
の均一性、安定性等の観点から、石油系及び石炭系のメ
ソカーボンマイクロビーズが好ましく、炭化歩溜りの観
点から石炭系のものがより好ましい。自己焼結性炭素質
粉末としては、粒径30μm以下、β−レジン量3〜5
0%程度のものが好ましい。
品、低温か焼コークス粉砕品のうちでは、粒径及び組成
の均一性、安定性等の観点から、石油系及び石炭系のメ
ソカーボンマイクロビーズが好ましく、炭化歩溜りの観
点から石炭系のものがより好ましい。自己焼結性炭素質
粉末としては、粒径30μm以下、β−レジン量3〜5
0%程度のものが好ましい。
前記未炭化炭素質繊維と上記自己焼結性炭素質粉末と
は、混合、成形されて複合体を構成する。このときの混
合手段は特に限定されないが、強度及び耐摩耗性を等方
的にするためには均一に混合されることが好ましい。
は、混合、成形されて複合体を構成する。このときの混
合手段は特に限定されないが、強度及び耐摩耗性を等方
的にするためには均一に混合されることが好ましい。
また、炭素質粉末と炭素質繊維との配合割合は、前者1
00重量部に対して、後者2〜70重量部程度であり、
より好ましくは前者100重量部に対して後者10〜5
0重量部程度である。
00重量部に対して、後者2〜70重量部程度であり、
より好ましくは前者100重量部に対して後者10〜5
0重量部程度である。
上記成形も常法によって行なうことができ、通常1〜1
0ton/cm2程度の加圧下に所定の形状に成形すれ
ばよい。又は、CIP法等によって成形を行なってもよ
い。成形は、常温で又は不活性雰囲気下500℃程度ま
での加熱下に行なうことができる。
0ton/cm2程度の加圧下に所定の形状に成形すれ
ばよい。又は、CIP法等によって成形を行なってもよ
い。成形は、常温で又は不活性雰囲気下500℃程度ま
での加熱下に行なうことができる。
上記複合体は、焼結されて本発明の摺動部材となる。な
おここで焼結とは、700〜1300℃程度に焼成して
未炭化炭素質繊維及び自己焼結性炭素質粉末を炭化固結
させること、さらには、この炭化された複合材を黒鉛化
炉で3000℃程度で黒鉛化させることも含む。
おここで焼結とは、700〜1300℃程度に焼成して
未炭化炭素質繊維及び自己焼結性炭素質粉末を炭化固結
させること、さらには、この炭化された複合材を黒鉛化
炉で3000℃程度で黒鉛化させることも含む。
上記炭化は、特に限定されないが、通常非酸化性雰囲気
中0.1〜300℃/時間程度の速度で常温から130
0℃程度の温度まで昇温し、0.5〜10時間程度保持
して行なえばよい。
中0.1〜300℃/時間程度の速度で常温から130
0℃程度の温度まで昇温し、0.5〜10時間程度保持
して行なえばよい。
また黒鉛化の条件も、特に限定されず、非酸化性雰囲気
中で焼結時の温度から0.1〜500℃/時間程度の速
度で1500〜3000℃程度の温度まで昇温し、0.
5〜10時間程度保持すればよい。黒鉛化させた場合に
は、黒鉛結晶が十分に成長するとともに秩序正しく配向
し、これにより製品の密度、強度及び耐摩耗性等がさら
に向上する。
中で焼結時の温度から0.1〜500℃/時間程度の速
度で1500〜3000℃程度の温度まで昇温し、0.
5〜10時間程度保持すればよい。黒鉛化させた場合に
は、黒鉛結晶が十分に成長するとともに秩序正しく配向
し、これにより製品の密度、強度及び耐摩耗性等がさら
に向上する。
[作用] 本発明の摺動部材では、焼結前の複合体を未炭化炭素質
繊維と、該未炭化炭素質繊維を埋設した自己焼結性を有
し未炭化な炭素質粉末とで構成している。
繊維と、該未炭化炭素質繊維を埋設した自己焼結性を有
し未炭化な炭素質粉末とで構成している。
したがって、この複合体を焼結する場合、結合材として
の炭素質粉末が自己焼結性を有するため、結合材として
他に液状の炭素質材料を必要としない。そして、強化材
としての炭素質繊維が未炭化なものであるため、この未
炭化炭素質繊維と上記自己焼結性を有する未炭化な炭素
質粉末とは、炭化される際に同程度の物理的性質(強
度、収縮率等をもつ。このため、これら炭素質繊維と炭
素質粉末との界面密着性が向上し、したがって、高強度
及び優れた耐摩耗性を得ることができる。
の炭素質粉末が自己焼結性を有するため、結合材として
他に液状の炭素質材料を必要としない。そして、強化材
としての炭素質繊維が未炭化なものであるため、この未
炭化炭素質繊維と上記自己焼結性を有する未炭化な炭素
質粉末とは、炭化される際に同程度の物理的性質(強
度、収縮率等をもつ。このため、これら炭素質繊維と炭
素質粉末との界面密着性が向上し、したがって、高強度
及び優れた耐摩耗性を得ることができる。
さらに、上記末炭化炭素質繊維をタール、ピッチ、有機
高分子などの粘結成分を含有する材料により表面処理し
た場合には、該炭素質繊維の界面の濡れ性が高まり、こ
れにより結合材としての炭素質粉末との馴染み性が高ま
るので、これら炭素質繊維と炭素質粉末との界面密着性
がさらに向上する。
高分子などの粘結成分を含有する材料により表面処理し
た場合には、該炭素質繊維の界面の濡れ性が高まり、こ
れにより結合材としての炭素質粉末との馴染み性が高ま
るので、これら炭素質繊維と炭素質粉末との界面密着性
がさらに向上する。
[実施例] 以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1) 石炭系の光学的等方性ピッチから常法により得られた、
糸径15μm、糸長さがそれぞれ0.2〜0.5mm、
3mm、5mmである3種の不融化繊維からなる未炭化
炭素質繊維を準備した。これら3種の強化材としての未
炭化炭素質繊維それぞれ100重量部に、中心粒径7μ
mのコールタール系メソカーボンマイクロビーズからな
る結合材としての自己焼結性炭素質粉末900重量部を
加えた、均一に混合し、得られた混合物を2ton/c
m2の成形圧力で成形して所定の摺動部材形状を有する
複合体とした。
糸径15μm、糸長さがそれぞれ0.2〜0.5mm、
3mm、5mmである3種の不融化繊維からなる未炭化
炭素質繊維を準備した。これら3種の強化材としての未
炭化炭素質繊維それぞれ100重量部に、中心粒径7μ
mのコールタール系メソカーボンマイクロビーズからな
る結合材としての自己焼結性炭素質粉末900重量部を
加えた、均一に混合し、得られた混合物を2ton/c
m2の成形圧力で成形して所定の摺動部材形状を有する
複合体とした。
次に、この複合体を非酸化性雰囲気中、150℃/時間
の速度で1000℃まで昇温し、同温度で1時間保持し
て焼成して、未炭化炭素質繊維及び自己焼結性炭素質粉
末を炭化固結させた。そして、さらに非酸化性雰囲気
中、500℃/時間の速度で2800℃まで加熱し、2
0分保持して黒鉛化した。
の速度で1000℃まで昇温し、同温度で1時間保持し
て焼成して、未炭化炭素質繊維及び自己焼結性炭素質粉
末を炭化固結させた。そして、さらに非酸化性雰囲気
中、500℃/時間の速度で2800℃まで加熱し、2
0分保持して黒鉛化した。
これにより本実施例1の3種の摺動部材を得た。
(実施例2) 石炭系の光学的異方性ピッチから常法により得られた、
糸径10μm、糸長さがそれぞれ0.2〜0.5mm、
3mm、5mmである3種の不融化繊維からなる未炭化
炭素質繊維を準備した。これら3種の未炭化炭素質繊維
を強化材として使用すること以外は上記実施例1と同様
の方法により本実施例2の3種の摺動部材を得た。
糸径10μm、糸長さがそれぞれ0.2〜0.5mm、
3mm、5mmである3種の不融化繊維からなる未炭化
炭素質繊維を準備した。これら3種の未炭化炭素質繊維
を強化材として使用すること以外は上記実施例1と同様
の方法により本実施例2の3種の摺動部材を得た。
(比較例1〜3) 上記実施例1で強化材として使用した3種の不融化繊維
をそれぞれ550℃、1000℃で炭化し、また280
0℃で黒鉛化して炭化炭素質繊維及び黒鉛化炭素質繊維
を準備した。
をそれぞれ550℃、1000℃で炭化し、また280
0℃で黒鉛化して炭化炭素質繊維及び黒鉛化炭素質繊維
を準備した。
上記550℃で炭化して得られた炭化炭素質繊維を強化
材として使用すること以外は上記実施例1と同様の方法
により比較例1の3種の摺動部材を得た。
材として使用すること以外は上記実施例1と同様の方法
により比較例1の3種の摺動部材を得た。
また、上記1000℃で炭化して得られた炭化炭素質繊
維を強化材として使用すること以外は上記実施例1と同
様の方法により比較例2の3種の摺動部材を得た。
維を強化材として使用すること以外は上記実施例1と同
様の方法により比較例2の3種の摺動部材を得た。
また、上記2800℃で黒鉛化して得られた黒鉛化炭素
質繊維を強化材として使用すること以外は上記実施例1
と同様の方法により比較例3の3種の摺動部材を得た。
質繊維を強化材として使用すること以外は上記実施例1
と同様の方法により比較例3の3種の摺動部材を得た。
(比較例4〜6) 上記実施例2で強化材として使用した3種の不融化繊維
をそれぞれ550℃及び1000℃で炭化し、また28
00℃で黒鉛化して炭化炭素質繊維及び黒鉛化炭素質繊
維を準備した。
をそれぞれ550℃及び1000℃で炭化し、また28
00℃で黒鉛化して炭化炭素質繊維及び黒鉛化炭素質繊
維を準備した。
上記550℃で炭化して得られた炭化炭素質繊維を強化
材として使用すること以外は上記実施例2と同様の方法
により比較例4の3種の摺動部材を得た。
材として使用すること以外は上記実施例2と同様の方法
により比較例4の3種の摺動部材を得た。
また、上記1000℃で炭化して得られた炭化炭素質繊
維を強化材として使用すること以外は上記実施例2と同
様の方法により比較例5の3種の摺動部材を得た。
維を強化材として使用すること以外は上記実施例2と同
様の方法により比較例5の3種の摺動部材を得た。
また、上記2800℃で黒鉛化して得られた黒鉛化炭素
質繊維を強化材として使用すること以外は上記実施例2
と同様の方法により比較例6の3種の摺動部材を得た。
質繊維を強化材として使用すること以外は上記実施例2
と同様の方法により比較例6の3種の摺動部材を得た。
(評価1) 上記実施例1〜2、及び比較例1〜6の摺動部材につい
て、それぞれ曲げ強度を測定した。その結果を第1表に
示す。
て、それぞれ曲げ強度を測定した。その結果を第1表に
示す。
表からも明らかなように、未炭化炭素質繊維を強化材と
して使用した本実施例1及び2の摺動部材は、炭化又は
黒鉛化された炭素質繊維を強化材として使用した比較例
1〜6の摺動部材に比較して著しく曲げ強度が向上して
いるのがわかる。これは、本実施例1及び2の摺動部材
では、強化材としての炭素質繊維と結合材としての炭素
質粉末とが共に未炭化なものを使用したため、これらは
焼成工程で炭化される際、同程度の収縮率を示し、炭素
質繊維と炭素質粉末との界面密着性が高まっ たために強度が向上したと考えられる。
して使用した本実施例1及び2の摺動部材は、炭化又は
黒鉛化された炭素質繊維を強化材として使用した比較例
1〜6の摺動部材に比較して著しく曲げ強度が向上して
いるのがわかる。これは、本実施例1及び2の摺動部材
では、強化材としての炭素質繊維と結合材としての炭素
質粉末とが共に未炭化なものを使用したため、これらは
焼成工程で炭化される際、同程度の収縮率を示し、炭素
質繊維と炭素質粉末との界面密着性が高まっ たために強度が向上したと考えられる。
一方、比較例1〜6の摺動部材では、強化材として炭化
又は黒鉛化された炭素質繊維を使用しているため、結合
材としての未炭化の自己焼結性炭素質粉末とは焼成時の
収縮率が異なる。このため、炭素質繊維と炭素質粉末と
の間の界面密着性が低下し、強度が低下していると考え
られる。
又は黒鉛化された炭素質繊維を使用しているため、結合
材としての未炭化の自己焼結性炭素質粉末とは焼成時の
収縮率が異なる。このため、炭素質繊維と炭素質粉末と
の間の界面密着性が低下し、強度が低下していると考え
られる。
(実施例3) 石炭系の光学的等方性ピッチから常法により得られた不
融化繊維(糸径15μm、糸長0.5mm)からなる強
化材としての未炭化炭素質繊維と、中心粒径7μmのコ
ールタール系メソカーボンマイクロビーズからなる結合
材としての自己焼結性炭素質粉末とを準備した。そし
て、この未炭化炭素質繊維30重量部と、自己焼結性炭
素質粉末70重量部とを均一に混合し、得られた混合物
を2ton/cm2の成形圧力で成形して所定の摺動部
材形状を有する複合体とした。
融化繊維(糸径15μm、糸長0.5mm)からなる強
化材としての未炭化炭素質繊維と、中心粒径7μmのコ
ールタール系メソカーボンマイクロビーズからなる結合
材としての自己焼結性炭素質粉末とを準備した。そし
て、この未炭化炭素質繊維30重量部と、自己焼結性炭
素質粉末70重量部とを均一に混合し、得られた混合物
を2ton/cm2の成形圧力で成形して所定の摺動部
材形状を有する複合体とした。
次に、この複合体を非酸化性雰囲気中、150℃/時間
の速度で1000℃まで昇温し、同温度で1時間保持し
て焼成して、未炭化炭素質繊維及び自己焼結性炭素質粉
末を炭化固結させた。そして、さらに非酸化性雰囲気
中、500℃/時間の速度で2000℃まで加熱し、2
0分保持して黒鉛化した。
の速度で1000℃まで昇温し、同温度で1時間保持し
て焼成して、未炭化炭素質繊維及び自己焼結性炭素質粉
末を炭化固結させた。そして、さらに非酸化性雰囲気
中、500℃/時間の速度で2000℃まで加熱し、2
0分保持して黒鉛化した。
これにより、密度1.82g/cm3(真密度2.1g
/cm3)、曲げ強度775Kg/cm2の本実施例3
の摺動部材が得られた。
/cm3)、曲げ強度775Kg/cm2の本実施例3
の摺動部材が得られた。
(実施例4) 石炭系の光学的等方性ピッチから常法により得られた不
融化繊維(糸径15μm、糸長0.5mm)からなる強
化材としての未炭化炭素質繊維100重量部にタール5
00重量部を加え、常温で15分間攪拌した後、濾過
し、さらに500重量部のトルエンを加えて、30分間
攪拌後、濾過し、N2気流中150℃で3時間乾燥し
た。
融化繊維(糸径15μm、糸長0.5mm)からなる強
化材としての未炭化炭素質繊維100重量部にタール5
00重量部を加え、常温で15分間攪拌した後、濾過
し、さらに500重量部のトルエンを加えて、30分間
攪拌後、濾過し、N2気流中150℃で3時間乾燥し
た。
次いで、得られたタール処理不融化繊維30重量部に、
中心粒径7μmのコールタール系メソカーボンマイクロ
ビーズからなる結合材としての自己焼結性炭素質粉末7
0重量部を加えた後、均一に混合した。そして、上記実
施例1と同様に、所定の摺動部材形状を有する複合体と
し、炭化及び黒鉛化した。
中心粒径7μmのコールタール系メソカーボンマイクロ
ビーズからなる結合材としての自己焼結性炭素質粉末7
0重量部を加えた後、均一に混合した。そして、上記実
施例1と同様に、所定の摺動部材形状を有する複合体と
し、炭化及び黒鉛化した。
これにより、密度1.84g/cm3(真密度2.1g
/cm3)、曲げ強度930Kg/cm2の本実施例4
の摺動部材が得られた。
/cm3)、曲げ強度930Kg/cm2の本実施例4
の摺動部材が得られた。
(評価2) 上記実施例3及び4で得られた摺動部材の耐摩耗性を調
べるために、油潤滑下、荷重15Kg、回転数160r
pmで60分間の摩耗試験をLFW摩擦摩耗試験機によ
り実施した。その結果を炭化炭素質繊維に液状炭素質材
料を含浸させる従来の方法により得られた市販の炭素−
炭素複合材から製造した摺動部材、及びS45鋼材から
製造した摺動部材についての結果と共に第1図に示す。
なお、相手材としては、SUJ2を使用した。
べるために、油潤滑下、荷重15Kg、回転数160r
pmで60分間の摩耗試験をLFW摩擦摩耗試験機によ
り実施した。その結果を炭化炭素質繊維に液状炭素質材
料を含浸させる従来の方法により得られた市販の炭素−
炭素複合材から製造した摺動部材、及びS45鋼材から
製造した摺動部材についての結果と共に第1図に示す。
なお、相手材としては、SUJ2を使用した。
第1図に示す結果から明らかなように、本実施例3の摺
動部材の摩耗量は約200μmであり、またタールによ
る表面処理を施した未炭化炭素質繊維を使用した実施例
4の摺動部材の摩耗量は約65μmで、これはS45鋼
材からなる摺動部材の摩耗量と同程度に少なかった。一
方、従来の炭素−炭素複合材からなる摺動部材の摩耗量
は1100μm以上であった。
動部材の摩耗量は約200μmであり、またタールによ
る表面処理を施した未炭化炭素質繊維を使用した実施例
4の摺動部材の摩耗量は約65μmで、これはS45鋼
材からなる摺動部材の摩耗量と同程度に少なかった。一
方、従来の炭素−炭素複合材からなる摺動部材の摩耗量
は1100μm以上であった。
したがって、本実施例にかかる摺動部材は耐摩耗性に優
れていることがわかる。これは、本実施例3の摺動部材
では、強化材としての炭素質繊維と結合材としての炭素
質粉末とが共に未炭化なものを使用したため、これらは
炭化される際、同程度の物理的性質(強度、収縮率等)
を示し、炭素質繊維と炭素質粉末との界面密着性が高ま
ったためと考えられる。また、実施例4の摺動部材で
は、タールによって表面処理を施した未炭化炭素質繊維
を使用したため、この炭素質繊維の濡れ性が高まり、こ
れにより炭素質繊維と炭素質粉末との界面密着性がさら
に向上したためと考えられる。
れていることがわかる。これは、本実施例3の摺動部材
では、強化材としての炭素質繊維と結合材としての炭素
質粉末とが共に未炭化なものを使用したため、これらは
炭化される際、同程度の物理的性質(強度、収縮率等)
を示し、炭素質繊維と炭素質粉末との界面密着性が高ま
ったためと考えられる。また、実施例4の摺動部材で
は、タールによって表面処理を施した未炭化炭素質繊維
を使用したため、この炭素質繊維の濡れ性が高まり、こ
れにより炭素質繊維と炭素質粉末との界面密着性がさら
に向上したためと考えられる。
一方、従来の炭素−炭素複合材よりなる摺動部材では、
結合材として使用された液状炭素質材料が焼成時に発生
する揮発成分を起因とする気孔により強化材と結合材と
の間の界面密着性が低下する。また、強化材として炭化
又は黒鉛化された炭素質繊維を使用し、結合材として未
炭化の液状炭素質材料を使用しており、これらは焼成時
の物理的性質(強度、収縮率等)が異なるため、強化材
と結合材との間の界面密着性が低下したためと考えられ
る。
結合材として使用された液状炭素質材料が焼成時に発生
する揮発成分を起因とする気孔により強化材と結合材と
の間の界面密着性が低下する。また、強化材として炭化
又は黒鉛化された炭素質繊維を使用し、結合材として未
炭化の液状炭素質材料を使用しており、これらは焼成時
の物理的性質(強度、収縮率等)が異なるため、強化材
と結合材との間の界面密着性が低下したためと考えられ
る。
(評価3) また、上記実施例3及び4で得られた摺動部材につい
て、油潤滑下、回転数1000rpmで荷重を2分毎に
25Kgずつ上昇させた場合の焼付荷重を機械試験所式
摩擦摩耗試験機により測定した。その結果を市販の従来
炭素−炭素複合材から製造した摺動部材についての結果
と共に第2図に示す。なお、相手材としては、SUJ2
を使用した。
て、油潤滑下、回転数1000rpmで荷重を2分毎に
25Kgずつ上昇させた場合の焼付荷重を機械試験所式
摩擦摩耗試験機により測定した。その結果を市販の従来
炭素−炭素複合材から製造した摺動部材についての結果
と共に第2図に示す。なお、相手材としては、SUJ2
を使用した。
第2図に示す結果から明らかなように、本実施例3及び
4の摺動部材は、従来の炭素−炭素複合材からなる摺動
部材と比較して、焼付荷重が大きく、摩擦摩耗特性に優
れていることがわかる。
4の摺動部材は、従来の炭素−炭素複合材からなる摺動
部材と比較して、焼付荷重が大きく、摩擦摩耗特性に優
れていることがわかる。
なお、第3図に本実施例4の摺動部材の断面における2
00倍の粒子構造を表す写真を示す。図中、白く見える
部分は炭素質繊維で、黒く見える部分は炭素質粉末の結
合部分である。なお、黒く見える部分の一部には空隙が
含まれるが、その量は少ない。
00倍の粒子構造を表す写真を示す。図中、白く見える
部分は炭素質繊維で、黒く見える部分は炭素質粉末の結
合部分である。なお、黒く見える部分の一部には空隙が
含まれるが、その量は少ない。
また、第4図に市般の従来炭素−炭素繊維複合材よりな
る摺動部材の断面における200倍の粒子構造を表す写
真を示す。図中、右側の白く丸状に見える部分は炭素繊
維の横断面を示し、左側の白く棒状に見える部分は、炭
素繊維の縦断面を示す。また、図中、黒く見える部分は
空隙を示す。
る摺動部材の断面における200倍の粒子構造を表す写
真を示す。図中、右側の白く丸状に見える部分は炭素繊
維の横断面を示し、左側の白く棒状に見える部分は、炭
素繊維の縦断面を示す。また、図中、黒く見える部分は
空隙を示す。
(実施例5) 上記実施例4で得られたタール処理不融化繊維10、2
0、30、40、50重量部に中心粒径7μmのコール
タール系メソカーボンマイクロビーズからなる自己焼結
性炭素質粉末90、80、70、60、50重量部をそ
れぞれ加え、上記実施例4と同様の方法により本実施例
5の5種の摺動部材を得た。
0、30、40、50重量部に中心粒径7μmのコール
タール系メソカーボンマイクロビーズからなる自己焼結
性炭素質粉末90、80、70、60、50重量部をそ
れぞれ加え、上記実施例4と同様の方法により本実施例
5の5種の摺動部材を得た。
(実施例6) 上記実施例4の光学的等方性ピッチの代りに光学的異方
性ピッチを使用し、上記実施例4と同様の方法によりタ
ール処理不融化繊維を得、このタール処理不融化繊維1
0、20、30重量部に中心粒径7μmのコールタール
系メソカーボンマイクロビーズからなる自己焼結性炭素
質粉末90、80、70重量部をそれぞれ加え、上記実
施例4と同様の方法により本実施例6の3種の摺動部材
を得た。
性ピッチを使用し、上記実施例4と同様の方法によりタ
ール処理不融化繊維を得、このタール処理不融化繊維1
0、20、30重量部に中心粒径7μmのコールタール
系メソカーボンマイクロビーズからなる自己焼結性炭素
質粉末90、80、70重量部をそれぞれ加え、上記実
施例4と同様の方法により本実施例6の3種の摺動部材
を得た。
(評価4) 上記実施例5及び6で得られた各摺動部材について、そ
れぞれ密度及び曲げ強度を測定した。その結果を第2表
に示す。
れぞれ密度及び曲げ強度を測定した。その結果を第2表
に示す。
光学的等方性ピッチから得られた光学的等方性の不融化
繊維を使用した実施例5の各摺動部材、及び光学的異方
性ピッチから得られた光学的異方性の不融化繊維を使用
した実施例6の各摺動部材は、ともに繊維添加量が少な
くなるほど密度及び曲げ強度が向上している。
繊維を使用した実施例5の各摺動部材、及び光学的異方
性ピッチから得られた光学的異方性の不融化繊維を使用
した実施例6の各摺動部材は、ともに繊維添加量が少な
くなるほど密度及び曲げ強度が向上している。
(評価5) 上記実施例5及び6で得られた各摺動部材の耐摩耗性を
調べるために、油潤滑下、荷重15kg、回転数160
rpmで15分間の摩耗試験をLFW摩擦摩耗試験機に
より実施した。その結果を第5図に示す。なお、相手材
としては、SUJ2を使用した。
調べるために、油潤滑下、荷重15kg、回転数160
rpmで15分間の摩耗試験をLFW摩擦摩耗試験機に
より実施した。その結果を第5図に示す。なお、相手材
としては、SUJ2を使用した。
この結果、光学的等方性の不融化繊維を使用した実施例
5の各摺動部材は、光学的異方性の不融化繊維を使用し
た実施例6の各摺動部材より耐摩耗性に優れていること
がわかる。
5の各摺動部材は、光学的異方性の不融化繊維を使用し
た実施例6の各摺動部材より耐摩耗性に優れていること
がわかる。
(評価6) 上記実施例5の光学的等方性の不融化繊維の添加量が3
0重量部である摺動部材と、上記実施例6の光学的異方
性の不融化繊維の添加量が10重量部である摺動部材に
ついて、上記評価5の摩耗試験の条件を種々変更して耐
摩耗性を調べた。
0重量部である摺動部材と、上記実施例6の光学的異方
性の不融化繊維の添加量が10重量部である摺動部材に
ついて、上記評価5の摩耗試験の条件を種々変更して耐
摩耗性を調べた。
試験時間を変化させ、他の条件は上記評価5と同じ条件
で調べた結果を第6図に示す。
で調べた結果を第6図に示す。
また荷重を変化させ、他の条件は上記評価5と同じ条件
で調べた結果を第7図に示す。
で調べた結果を第7図に示す。
さらにすべり速度を変化させ、他の条件は上記評価5と
同じ条件で調べた結果を第8図に示す。
同じ条件で調べた結果を第8図に示す。
これらの結果から、光学的等方性の不融化繊維を使用し
た実施例5の摺動部材は、光学的異方性の不融化繊維を
使用した実施例6の摺動部材と比較して耐摩耗性に優れ
ていることがわかる。また、光学的等方性の不融化繊維
を使用した実施例5の摺動部材の摩耗特性は、すべり速
度及び試験時間による影響が小さく、荷重によって摩耗
量が決まる荷重依存型であることがわかる。
た実施例5の摺動部材は、光学的異方性の不融化繊維を
使用した実施例6の摺動部材と比較して耐摩耗性に優れ
ていることがわかる。また、光学的等方性の不融化繊維
を使用した実施例5の摺動部材の摩耗特性は、すべり速
度及び試験時間による影響が小さく、荷重によって摩耗
量が決まる荷重依存型であることがわかる。
(評価7) 上記実施例5及び6で得られた各摺動部材について、油
潤滑下、回転数1000rpmで荷重を2分毎に25K
gずつ上昇させた場合の焼付荷重を機械試験所式摩擦摩
耗試験機により測定した。その結果を焼結が発生した時
の摩擦係数の値とともに第9図に示す。なお、相手材と
しては、SUJ2を使用した。
潤滑下、回転数1000rpmで荷重を2分毎に25K
gずつ上昇させた場合の焼付荷重を機械試験所式摩擦摩
耗試験機により測定した。その結果を焼結が発生した時
の摩擦係数の値とともに第9図に示す。なお、相手材と
しては、SUJ2を使用した。
この結果、光学的異方性の不融化繊維を使用した実施例
6の各摺動部材は、光学的等方性の不融化繊維を使用し
た実施例5の各摺動部材と比較して耐焼付性に優れてい
ることがわかる。
6の各摺動部材は、光学的等方性の不融化繊維を使用し
た実施例5の各摺動部材と比較して耐焼付性に優れてい
ることがわかる。
(評価8) 上記実施例5の光学的等方性の不融化繊維の添加量が3
0重量部である摺動部材と、上記実施例6の光学的異方
性の不融化繊維の添加量が10重量部である摺動部材に
ついて、油無潤滑下、荷重2分毎に10kgずつ上昇さ
せ、すべり速度を種々変更した場合の焼付荷重を上記評
価7と同様の試験機により測定した。その結果を第10
図に示す。
0重量部である摺動部材と、上記実施例6の光学的異方
性の不融化繊維の添加量が10重量部である摺動部材に
ついて、油無潤滑下、荷重2分毎に10kgずつ上昇さ
せ、すべり速度を種々変更した場合の焼付荷重を上記評
価7と同様の試験機により測定した。その結果を第10
図に示す。
この結果、すべり速度40cm/秒以下で、光学的異方
性の不融化繊維を使用した実施例6の摺動部材は、光学
的等方性の不融化繊維を使用した実施例5の摺動部材よ
り耐焼付性に優れていることがわかる。
性の不融化繊維を使用した実施例6の摺動部材は、光学
的等方性の不融化繊維を使用した実施例5の摺動部材よ
り耐焼付性に優れていることがわかる。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明の摺動部材は、焼結前の複
合体を未炭化炭素質繊維と、該未炭化炭素質繊維を埋設
した自己焼結性を有し未炭化な炭素質粉末とで構成して
いるので、この複合体を焼結する場合、未炭化同士の炭
素質繊維と炭素質粉末とが同程度に収縮して結合する。
したがって、これらの界面密着性が高まり、摺動部材の
強度及び耐摩耗性が向上する。
合体を未炭化炭素質繊維と、該未炭化炭素質繊維を埋設
した自己焼結性を有し未炭化な炭素質粉末とで構成して
いるので、この複合体を焼結する場合、未炭化同士の炭
素質繊維と炭素質粉末とが同程度に収縮して結合する。
したがって、これらの界面密着性が高まり、摺動部材の
強度及び耐摩耗性が向上する。
また、本発明の摺動部材における、結合材としての自己
焼結性炭素質粉末は、液状炭素質材料からなる結合材の
使用を不要とする。したがって、液状結合材の使用によ
り発生する気孔を充填するために、含浸、焼成を繰返す
必要がなく、本発明の摺動部材は安価に製造することが
できる。
焼結性炭素質粉末は、液状炭素質材料からなる結合材の
使用を不要とする。したがって、液状結合材の使用によ
り発生する気孔を充填するために、含浸、焼成を繰返す
必要がなく、本発明の摺動部材は安価に製造することが
できる。
さらに、強化材としての未炭化炭素質繊維をタール、ピ
ッチ、有機高分子などの粘結成分を含有する材料により
表面処理した場合には、該炭素質繊維の界面の濡れ性が
高まり、これにより結合材としての炭素質粉末との馴染
み性が高まるので、これら炭素質繊維と炭素質粉末との
界面密着性がさらに高まり、強度及び耐摩耗性がさらに
向上する。
ッチ、有機高分子などの粘結成分を含有する材料により
表面処理した場合には、該炭素質繊維の界面の濡れ性が
高まり、これにより結合材としての炭素質粉末との馴染
み性が高まるので、これら炭素質繊維と炭素質粉末との
界面密着性がさらに高まり、強度及び耐摩耗性がさらに
向上する。
第1図は、本実施例3及び4の摺動部材、市販の従来炭
素−炭素繊維複合材よりなる摺動部材、並びに鋼材より
なる摺動部材についての耐摩耗性試験の結果を示すグラ
フである。 第2図は、本実施例1及び2の摺動部材、並びに市販の
従来炭素−炭素繊維複合材よりなる摺動部材についての
焼付け試験の結果を示すグラフである。 第3図は、本実施例4の摺動部材の断面における200
倍の粒子構造を表す写真を示す。 第4図は、市般の従来炭素−炭素繊維複合材よりなる摺
動部材の断面における200倍の粒子構造を表す写真を
示す。 第5図は、本実施例5及び6の摺動部材についての耐摩
耗性試験の結果を示すグラフである。 第6図は、本実施例5及び6の摺動部材について試験時
間を変化させたときの耐摩耗性試験の結果を示すグラフ
である。 第7図は、本実施例5及び6の摺動部材について付加荷
重を変化させたときの耐摩耗性試験の結果を示すグラフ
である。 第8図は、本実施例5及び6の摺動部材についてすべり
速度を変化させたときの耐摩耗性試験の結果を示すグラ
フである。 第9図は、本実施例5及び6の摺動部材についての焼付
け試験の結果を示すグラフである。 第10図は、本実施例5及び6の摺動部材についてすべ
り速度を変化させたときの焼付け試験の結果を示すグラ
フである。
素−炭素繊維複合材よりなる摺動部材、並びに鋼材より
なる摺動部材についての耐摩耗性試験の結果を示すグラ
フである。 第2図は、本実施例1及び2の摺動部材、並びに市販の
従来炭素−炭素繊維複合材よりなる摺動部材についての
焼付け試験の結果を示すグラフである。 第3図は、本実施例4の摺動部材の断面における200
倍の粒子構造を表す写真を示す。 第4図は、市般の従来炭素−炭素繊維複合材よりなる摺
動部材の断面における200倍の粒子構造を表す写真を
示す。 第5図は、本実施例5及び6の摺動部材についての耐摩
耗性試験の結果を示すグラフである。 第6図は、本実施例5及び6の摺動部材について試験時
間を変化させたときの耐摩耗性試験の結果を示すグラフ
である。 第7図は、本実施例5及び6の摺動部材について付加荷
重を変化させたときの耐摩耗性試験の結果を示すグラフ
である。 第8図は、本実施例5及び6の摺動部材についてすべり
速度を変化させたときの耐摩耗性試験の結果を示すグラ
フである。 第9図は、本実施例5及び6の摺動部材についての焼付
け試験の結果を示すグラフである。 第10図は、本実施例5及び6の摺動部材についてすべ
り速度を変化させたときの焼付け試験の結果を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16D 69/02 K 8009−3J (72)発明者 土屋 詔一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 不破 良雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 道岡 博文 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 久保田 正敏 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 中川 喜照 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 中谷 悟 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−111963(JP,A) 特開 昭62−226860(JP,A) 特開 平1−239060(JP,A) 特開 平1−145374(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】所定の形状をもち、未炭化炭素質繊維と、
該未炭化炭素質繊維を埋設した自己焼結性を有するメン
カーボンマイクロビーズ、バルクメソフェーズ粉砕品、
低温か焼コークス粉砕品のうちの少なくとも一種の炭素
質粉末とからなる複合体を焼結することによって得られ
る焼結体からなることを特徴とする摺動部材。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1305281A JPH068213B2 (ja) | 1989-01-17 | 1989-11-24 | 摺動部材 |
DE1990629209 DE69029209T2 (de) | 1989-01-17 | 1990-01-15 | Kohlefaserarmierter Kohlenstoff |
EP90300422A EP0379328B1 (en) | 1989-01-17 | 1990-01-15 | Carbon fiber reinforced carbon |
US07/892,481 US5202293A (en) | 1989-01-17 | 1992-06-03 | Carbon fiber reinforced carbon |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP913289 | 1989-01-17 | ||
JP1-9132 | 1989-01-17 | ||
JP1305281A JPH068213B2 (ja) | 1989-01-17 | 1989-11-24 | 摺動部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02275759A JPH02275759A (ja) | 1990-11-09 |
JPH068213B2 true JPH068213B2 (ja) | 1994-02-02 |
Family
ID=26343794
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1305281A Expired - Lifetime JPH068213B2 (ja) | 1989-01-17 | 1989-11-24 | 摺動部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH068213B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2272257B (en) * | 1992-11-05 | 1996-03-13 | Imi Marston Ltd | Slide bearing |
JP6520899B2 (ja) * | 2016-11-28 | 2019-05-29 | ダイキン工業株式会社 | 樹脂組成物 |
CN115256927B (zh) * | 2022-09-30 | 2023-01-31 | 北京壹碳氢源科技有限公司 | 采用3d打印制备的炭/炭复合保温材料及其制备方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61111963A (ja) * | 1984-11-05 | 1986-05-30 | 出光興産株式会社 | 炭素成形体の製造法 |
JPS62226860A (ja) * | 1986-03-28 | 1987-10-05 | 住友電気工業株式会社 | 炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法 |
JP2635634B2 (ja) * | 1987-11-30 | 1997-07-30 | イビデン株式会社 | 炭素繊維強化炭素材料の製造方法 |
JPH01239060A (ja) * | 1988-03-18 | 1989-09-25 | Nkk Corp | 炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法 |
-
1989
- 1989-11-24 JP JP1305281A patent/JPH068213B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02275759A (ja) | 1990-11-09 |
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