JPH04220487A - 摺動部材及び摺動部材の製造方法 - Google Patents

摺動部材及び摺動部材の製造方法

Info

Publication number
JPH04220487A
JPH04220487A JP2413087A JP41308790A JPH04220487A JP H04220487 A JPH04220487 A JP H04220487A JP 2413087 A JP2413087 A JP 2413087A JP 41308790 A JP41308790 A JP 41308790A JP H04220487 A JPH04220487 A JP H04220487A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fibers
carbonaceous
uncarbonized
sintering
sliding member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2413087A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunihiko Imahashi
今橋 邦彦
Hirohisa Miura
三浦 宏久
Yoshio Fuwa
良雄 不破
Hirobumi Michioka
博文 道岡
Yoshiteru Nakagawa
喜照 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd, Toyota Motor Corp filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP2413087A priority Critical patent/JPH04220487A/ja
Publication of JPH04220487A publication Critical patent/JPH04220487A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Braking Arrangements (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強度が高く、耐熱性、
耐摩耗性及び耐酸化性に優れ、航空機及びレース車両な
どのブレーキシュー、ブレーキライニング及びブレーキ
パッド、ブッシュ、スラストワッシャー、ピストンリン
グ、ポンプのベーン、ローター、スリーブ、高温用軸受
などに利用して好適な摺動部材、並びにその製造方法に
関する。
【0002】本発明の摺動部材は、乾式摩擦部材及び湿
式摩擦部材の双方に適用することができる。
【0003】
【従来の技術】航空機及びレース車両などのブレーキ材
などに利用される摺動部材は、耐熱性及び耐摩耗性が特
に要求される。これに応える摺動部材として、近年、炭
素繊維強化炭素からなるもので提供されている。この炭
素繊維強化炭素は、例えば、炭化又は黒鉛化されかつ酸
化処理などの表面処理の施された強化材としての炭素繊
維に、タール、ピッチ又は熱硬化性樹脂などの結合材と
しての液状炭素質材料を含浸し、不活性雰囲気下で焼成
、必要に応じて黒鉛化することにより製造される(特開
昭63−206351号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記のよう
に製造された炭素繊維強化炭素では、結合材として液状
の炭素質材料を使用しているため、焼成過程中、この液
状結合材の分解により発生する揮発成分が気孔を形成す
る。このため、強化材と結合材との間の界面密着性が低
下し、かつ製品は低密度となり、強度及び耐摩耗性が劣
るという欠点がある。
【0005】このような問題を解決するめに、従来より
、気孔中に結合材である液状含浸材を充填し、再度焼成
することを繰返して気孔率を減少させることが行われて
いる。しかし、このような繁雑な工程を必要とするにも
かかわらず、得られる製品は依然としてポーラスなもの
であり、炭素繊維とマトリックス炭素との界面の剥離に
よる耐摩耗性の低下を抑えることは困難であった。
【0006】また、前記した従来の炭素繊維強化炭素は
、潤滑作用のある炭素が原料である上に、炭素繊維の配
向性がランダムであるため、荷重を炭素繊維の長手方向
で受けて摺動面に潤滑作用が働く。このため、従来の炭
素繊維強化炭素は摩擦係数μが低いという欠点がある。 また、炭素繊維の長手方向で荷重を受けるため、ある程
度の摩耗後、炭素繊維と相手材との機械的な引っ掛かり
が少なくなることも摩擦係数μの低下につながっている
と思われる。
【0007】本発明は、これらの問題点に鑑みてなされ
たものであり、高強度で耐摩耗性に優れ、かつ摩擦係数
の高い摺動部材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の摺動部材は、所
定の形状をもち、一次元配向した未炭化炭素質繊維と、
該未炭化炭素質繊維を埋設した自己焼結性を有する炭素
質粉末とからなる複合体を焼結することによって得られ
る焼結体からなり、焼結された繊維の一次元配向の方向
と垂直な面を摺動面とすることを特徴とする。
【0009】摺動部材の形状は特に限定されず、ブレー
キシュー、ブレーキライニング、ブレーキパッド、ピス
トンリング、軸受などの所定の形状とすることができる
。未炭化炭素質繊維は、本発明の摺動部材の強化材を構
成する。この未炭化炭素質繊維の原料としては、PAN
(ポリアクリロニトリル)系、レーヨン系、ピッチ系な
どのものとすることができ、特に限定されない。
【0010】ここで、未炭化炭素質繊維とは、通常の炭
化処理の施されていない状態の炭素質繊維をいう。換言
すれば、さらに熱処理をすることにより、さらに炭化す
る余地を有する炭素質繊維をいう。具体的には、原料ピ
ッチを使用した場合には、紡糸したままの繊維又は紡糸
した繊維を550℃を越えない温度で不融化した繊維を
いう。PANなどの高分子系の繊維では分解工程を終え
、黒鉛化処理前の繊維をいう。この種の炭素質繊維とし
ては、例えば、石炭又は石油系の原料ピッチを紡糸して
得たピッチ繊維、又はこれを不融化して得た不融化繊維
などがある。
【0011】この原料ピッチの紡糸及び不融化は常法に
従って行えばよく、条件などは特に限定されない。通常
、ピッチ繊維は原料ピッチを紡糸器に供給し、300〜
400℃程度に加熱した状態で不活性ガスによる加圧下
にノズルから押出して得ることができる。また、このよ
うなピッチ繊維をさらに酸化性雰囲気中150〜500
℃程度で0.5〜5時間程度保持して不融化繊維とする
ことができる。なお、この原料ピッチは光学的等方性の
ものでも、光学的異方性のものでもよい。
【0012】未炭化炭素質繊維の繊維長さは、短繊維、
長繊維に限らない。しかし、短繊維の場合には0.05
〜50mmのものを使用することができる。長すぎては
繊維同士が絡み合い分散性が低下し、ひいては製品特性
の等方性に劣り、また短すぎては製品の強度が急激に低
下して好ましくない。配向性向上のためには、0.5〜
15mmのものが好ましい。また、繊維径としては、3
〜100μm、特に10〜20μm程度のものが好まし
い。
【0013】なお、上記未炭化炭素質繊維には、上記繊
維からなる不織布又はコーティング布を使用することも
できる。この場合、未炭化炭素質繊維は少なくとも二次
元配向しているが、摺動面及び摺動面近くの部分では未
炭化炭素質繊維が一次元配向していることを要する。ま
た、本発明の摺動部材の結合材を構成する炭素質粉末と
の界面密着性が低下しすぎない範囲内で、上記未炭化炭
素質繊維の中に炭化又は黒鉛化した炭素繊維を部分的に
混ぜることも可能である。また、このような炭化又は黒
鉛化した炭素繊維よりなり、一次元配向した、又は摺動
面以外で部分的に二次元配向した織物を本発明の摺動部
材の強化材として含ませることも可能である。この場合
、本発明の摺動部材の結合材を構成する炭素質粉末同士
の密着が上記炭素繊維よりなる織物で分離されると成形
、焼結工程で層状のクラックが発生するので、上記炭素
質粉末同士の密着を確保するために、上記織物における
繊維間を大きくするとともに、本発明の摺動部材の結合
材を構成する炭素質繊維の体積を全体の50%以下とす
ることが好ましい。
【0014】未炭化炭素質繊維は、さらにタール、ピッ
チ、有機高分子などの粘結成分を含有する材料で表面処
理し、結合材とのなじみ性を向上させることが好ましい
。この表面処理は、炭素質繊維100重量部に100〜
1000重量部程度の粘結成分含有材料を加えて攪拌し
、有機溶媒により洗浄後、乾燥して行うことができる。
【0015】この表面処理に使用するタール、ピッチは
、石炭系及び石油系のいずれであってもよい。ピッチを
使用する場合には、攪拌時に140〜170℃程度の加
熱が必要となるので、処理材としては、タールの方がよ
り好ましく、また後続の炭化及び黒鉛化工程での炭化歩
溜りの点からは、石炭系のものがより好ましい。この表
面処理に使用する有機高分子としては、フェノール樹脂
、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールなどを挙げる
ことができる。
【0016】この表面処理の洗浄において使用する有機
溶媒は、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒などを
使用することができる。未炭化炭素質繊維と粘結成分含
有材料との混合物100重量部に対して100〜100
0重量部程度の有機溶媒を加え、攪拌洗浄する。この洗
浄により、揮発成分が多く含まれる軽質油分が除去され
る。洗浄を終えた未炭化炭素質繊維は、例えば窒素、ア
ルゴンなどの非酸化性雰囲気中で、加熱及び/又は減圧
などの条件下に乾燥処理される。乾燥処理は、洗浄に使
用した有機溶媒が除去される限り、これらの方法に限定
されるものではない。
【0017】さらに、乾燥を終え表面処理された未炭化
炭素質繊維は、必要に応じて分散処理される。すなわち
、乾燥させた繊維が、塊状化又は凝集していることがあ
るので、このような場合には、通常の粉体ミル、アトマ
イザー、パルバライザーなどの任意の手段により分散を
行う。また、本発明の摺動部材では、摩擦係数μを高く
安定したものとするために、未炭化炭素質繊維とともに
強化材を構成する無機粉末又は無機繊維を添加すること
もできる。この無機粉末又は無機繊維は、融点1000
℃以上で炭素と反応しないもの、より好ましくはさらに
Hv1000以上のものがよい。
【0018】かかる無機物として、無機酸化物、無機炭
化物、無機窒化物、無機ホウ化物などを挙げることがで
きる。無機酸化物として、例えばAl2 O3 、Ti
O2 、ZrO2 、MgOなどを挙げることができる
。無機炭化物として、例えばB4 C、TiC、TaC
、ZrCなどを挙げることができる。無機窒化物として
、例えばBN、TiN、Cr2 N、TaN、AlN、
ZrNなどを挙げることができる。無機ホウ化物として
、例えばTiB2 、ZrB2 、B4 C、NiB、
CoB、BN、TaB2 などを挙げることができる。 さらに、Fe、Mn、Mo、Ni、Nb、Si、V、T
i、Wなどの無機物も使用することができる。なお、こ
れらの無機物は、金属の状態で添加することも可能であ
る。また、無機繊維には、ウイスカ、セラッミクス繊維
が含まれる。上記無機物の中で、摩擦係数μを増大させ
るためには、耐熱性の高いAl2 O3 、TiO2 
、ZrO2 、MgOなどの無機酸化物が特に好ましい
【0019】無機物として無機粉末を使用した場合は、
マトリックス材とのなじみ性、分散性及び出来上がった
焼結体の強度と耐摩耗性を考慮して、粒径0.1〜5μ
mのものが好ましく、より好ましくは0.2〜4μmで
ある。また、無機物として無機繊維を使用した場合は、
マトリックス材とのなじみ性、分散性及び出来上がった
焼結体の強度と耐摩耗性及び繊維の離脱を考慮して、直
径0.7〜40μm、長さ0.01〜8mmのものが好
ましく、より好ましくは直径1 〜15μm、長さ0.
05〜3mmである。
【0020】炭素質粉末は、本発明の摺動部材の結合材
を構成するものである。この炭素質粉末は自己焼結性を
有し、未炭化、又は完全に炭化されていないものである
。この自己焼結性炭素質粉末としては、石油系及び石炭
系のいずれあってもよく、具体的には、メソカーボンマ
イクロビーズ、バルクメソフェーズ粉砕品、低温か焼コ
ークス粉砕品などを挙げることができる。これらの中で
は、粒径及び組成の均一性、安定性などの観点から、石
油系及び石炭系のメソカーボンマイクロビーズが好まし
く、炭化歩溜りの観点から石炭系のものがより好ましい
。自己焼結性炭素質粉末としては、粒径30μm以下、
β−レジン量3〜50%程度のものが好ましい。なお、
このβ−レジン量は、より好ましくは6〜30%、さら
に好ましくは8〜25%である。
【0021】本発明の摺動部材は、乾式混合、乾式成形
及び焼成という簡単な工程で製造できる。すなわち、本
発明の摺動部材の製造方法は、未炭化炭素質繊維と自己
焼結性を有する炭素質粉末とを型内に充填する工程であ
って、少なくとも該未炭化炭素質繊維の充填は該未炭化
炭素質繊維の長さより長い矩形状のスリットを底部にも
つ容器を該スリットの長手方向に振動させながら篩うこ
とによって行われ、該未炭化炭素質繊維は一次元配向し
た状態で充填される充填工程と、圧縮成形により、前記
一次元配向した未炭化炭素質繊維と前記未炭化炭素質繊
維を埋設した前記自己焼結性炭素質粉末とからなる複合
体を得る成形工程と、前記複合体を焼結して、焼結され
た繊維の一次元配向の方向と垂直な面を摺動面とする摺
動部材を得る焼結工程とからなることを特徴とする。
【0022】上記充填工程では、一次元配向した未炭化
炭素質繊維と自己焼結性炭素質粉末とが均一に混合され
る。具体的には、未炭化炭素質繊維の繊維長さより長い
矩形状のスリットを底部にもつ容器に未炭化炭素質繊維
及び自己焼結性炭素質粉末を収容し、この容器をスリッ
トの長手方向に振動させながら篩ったり、未炭化炭素質
繊維のみを収容した上記容器と、自己焼結性炭素質粉末
の粒径より大きな穴、目づまりを考慮して該粒径の2倍
以上の直径の穴を底部にもち自己焼結性炭素質粉末を収
容した容器とを交互に繰り返し篩ったりして行うことが
できる。なお、未炭化炭素質繊維を篩う場合、上記矩形
状のスリットの長手方向に振動させながら行うことによ
り、未炭化炭素質繊維は、スリットの長手方向に配向し
た状態で落下して一次元配向した状態で充填される。ま
た、上記スリットの幅は、目づまり等を考慮して未炭化
炭素質繊維の繊維径の5倍以上とすることが好ましい。
【0023】上記自己焼結性炭素質粉末と未炭化炭素質
繊維との配合割合は、前者100重量部に対して、後者
2〜70重量部程度であり、より好ましくは前者100
重量部に対して後者10〜50重量部程度である。また
、必要に応じて無機粉末又は無機繊維を添加する場合の
添加量は、全体を100重量%としたとき3〜30重量
%が好ましく、より好ましくは5〜10重量%である。
【0024】上記成形工程は、常法によって行うことが
でき、通常1〜10ton/cm2 程度の加圧下に所
定の形状に成形すればよい。又は、CIP法、HIP法
、ホットプレス法などによって成形を行ってもよい。成
形は、常温で又は不活性雰囲気下500℃程度までの加
熱下に行うことができる。上記焼結工程における焼結と
は、常圧で700〜1500℃程度に焼成して未炭化炭
素質繊維及び自己焼結性炭素質粉末を炭化固結させるこ
とをいう。なお、必要に応じてこの炭化された複合体を
黒鉛化炉で焼結温度以上に加熱して黒鉛化させてもよい
【0025】炭化の条件は特に限定されないが、通常非
酸化性雰囲気中0.1〜300℃/時間程度の速度で常
温から1500℃程度の温度まで昇温し、0.5〜10
時間程度保持して行えばよい。なお、焼成時においても
より高温で焼結することにより複合体の一部は炭化の後
、黒鉛化する。また、黒鉛化の条件も特に限定されず、
非酸化性雰囲気中で焼結時の温度から0.1〜500℃
/時間程度の速度で1500〜3000℃程度まで昇温
し、0.5〜10時間程度保持すればよい。黒鉛化をお
こなった場合には、黒鉛結晶が十分に成長するとともに
秩序正しく配向し、これにより製品の密度、強度及び耐
摩耗性などがさらに向上する。
【0026】
【作用】本発明の摺動部材は、焼結前の複合体を、一次
元配向した未炭化炭素質繊維と、この未炭化炭素質繊維
を埋設した自己焼結性を有する未炭化炭素質粉末とで構
成したものである。したがって、複合体を焼結する場合
、強化材としての炭素質繊維が未炭化、又は完全に炭化
されていないものであるため、この未炭化炭素質繊維と
自己焼結性を有する未炭化炭素質粉末とは、炭化される
際に同程度の物理的性質(強度、収縮率など)をもつ。 このため、これら炭素質繊維と炭素質粉末との界面密着
性が向上し、したがって、高強度及び優れた耐摩耗性を
得ることができる。要するに、複合体を焼結する場合、
未炭化同士の炭素質繊維と炭素質粉末とが同程度に収縮
して結合するので、これらの界面密着性が高まり、摺動
部材の強度及び耐摩耗性が向上する。
【0027】また、未炭化炭素質繊維が一次元配向し、
この未炭化炭素質繊維の一次元配向の方向と垂直な面を
摺動面としているので、該摺動面には摺動面の粒子構造
を表す100倍の顕微鏡写真を図3に示すように、炭化
又は黒鉛化された炭素質繊維の略円形の端面(白い部分
)が見られる。このため、荷重を炭素繊維の端面で受け
るので、相手材との機械的な引っ掛かりが起こり摩擦係
数μが増大する。
【0028】なお、無機粉末又は無機繊維を添加した場
合、相手材との間に機械的な抵抗力が働き、これにより
摩擦係数μがより高く、安定したものとなる。すなわち
、添加された無機粉末又は無機繊維が、相手材に対して
機械的な抵抗力を及ぼすので、摺動部材の摩擦係数μが
高く、安定したものとなる。例えば、無機粉末を添加し
た場合には、粉末状であるため荷重の増加に伴い炭素マ
トリックス部から離脱しやすくなり、この無機粉末の離
脱と炭素マトリックス部の凝着とがつり合うことにより
、荷重の変動に対して摩擦係数μが安定したものとなる
。また、無機繊維を添加した場合には、荷重が増加して
も繊維状であるため炭素マトリックス部から離脱しにく
く、このため摩擦係数μが極めて高い値となる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施を説明する。 (実施例)石炭系の光学的等方性ピッチから常法により
得られた、繊維径10μm、繊維長さ6mmの不融化繊
維からなる未炭化炭素質繊維を準備した。この強化材と
しての未炭化炭素質繊維100重量部にタール500重
量部を加え、常温で15分間攪拌した後、濾過し、さら
に500重量部のトルエンを加えて30分間攪拌後、濾
過し、窒素気流中150℃で3時間乾燥し、タール処理
した不融化未炭化炭素質繊維とした。また、中心粒径6
μmのコールタール系メソカーボンマイクロビーズから
なる結合材としての自己焼結性炭素質粉末を準備した。
【0030】図2に示すように、長さ10mm、幅50
μmの矩形状の多数のスリット3が長手方向に平行に配
列した底部をもつ容器1に上記未炭化炭素質繊維2を収
容し、直径500μmの多数の穴6が形成された底部を
もつ容器4に上記自己焼結性炭素質粉末5と粒径0.5
μmの無機粉末としてのAl2 O3 とを収容した。 そして、ダイ7及びパンチ8が構成する空間内に上記容
器1及び4を交互に繰り返し篩って、未炭化炭素質繊維
30重量%、自己焼結性炭素質粉末65重量%、及び無
機粉末5重量%よりなる均一な混合体9を得た。なお、
未炭化炭素質繊維2の篩いは、容器1を矩形状のスリッ
ト3の長手方向に振動して行われた。これにより、未炭
化炭素質繊維2は一次元配向した状態で充填される。そ
して、混合体9を2ton/cm2 の成形圧力で圧縮
成形して所定の摺動部材形状を有する複合体とした。
【0031】次に、この複合体を常圧で非酸化性雰囲気
中、150℃/時間の速度で1000℃まで昇温し、同
温度で1時間保持して焼成して、未炭化炭素質繊維及び
自己焼結性炭素質粉末を焼結固結させた。そして、さら
に非酸化性雰囲気中、500℃/時間の速度で2000
℃まで加熱し、20分保持して焼結した。これにより、
強化材としての炭素質繊維の一次元配向の方向と垂直な
面を摺動面とする実施例の摺動部材を得た。 (比較例)上記実施例で準備した未炭化炭素質繊維、自
己焼結性炭素質粉末、及び無機粉末をミキサーで均一に
混合し、未炭化炭素質繊維がランダムに分散しているこ
と以外は上記実施例と同様にして、炭素質繊維がランダ
ムに配向した比較例1の摺動部材ST30Cを得た。
【0032】また、市販の従来の炭素繊維強化炭素で、
一次元配向した長炭素繊維に石油ピッチを含浸後、炭化
、黒鉛化して得られた比較例2の摺動部材、及び市販の
従来の炭素繊維強化炭素で、ランダムに配向した強化材
としてのチップド炭素繊維と、結合材としてのピッチ系
炭素質粉末等とをホットプレス成形後、炭化、黒鉛化し
て得られた比較例3の摺動部材を準備した。 (評価1)上記実施例、及び比較例1〜3の摺動部材に
ついて、無潤滑下における摩擦係数μの特性を調べた。 これは、回転する外径100mmのロータの平面状端面
に14.5mm×30.5mmのパッドをすべり速度4
.8m/sec で摺動させ、そのときの押付け面圧を
1分毎に10kgf/cm2 ずつ上昇させた場合の摩
擦係数μを測定した。 なお、相手材として試験片と同材質のものと、FC23
鉄鋼とをそれぞれ使用した。その結果を図1に示す。
【0033】図1からも明らかなように、実施例の摺動
部材はいずれの比較例の摺動部材よりも摩擦係数μが高
かった。 (評価2)上記実施例、及び比較例1〜3の摺動部材に
ついて、油潤滑下(ベースオイル、5W−30)におけ
る耐摩耗性を調べた。これは、室温で荷重15kgf 
、回転数160rpm 、15分間の摩耗試験をLFW
摩擦摩耗試験により実施した。なお、相手材としてはJ
IS,SUJ2製リングを使用し、回転するリングの円
周面上にブロック状試験片を摺動させて行った。その結
果を表1に示す。
【0034】   表1からも明らかなように、実施例の摺動部材は比
較例の摺動部材と比べて摩擦係数μが高いにもかかわら
ず、優れた耐摩耗性を示した。
【0035】なお、図3に炭素質繊維が一次元配向した
実施例の摺動部材の摺動面の粒子構造を示す100倍の
顕微鏡写真を示す。また、比較のために、図4に炭素質
繊維がランダムに配向した比較例1の摺動部材ST30
Cの摺動面の粒子構造を示す100倍の顕微鏡写真を示
す。図中、白く見えるのが炭素質繊維である。本実施例
の摺動部材の摺動面では、白く丸い炭素質繊維の端面が
多数見え、炭素質繊維が一次元配向している様子がよく
わかる。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の摺動部材
は、摩擦係数μが高く、かつ耐摩耗性にも優れているた
め、航空機及びレース車両などのディスクブレーキロー
タ、ディスクブレーキパッド等に好適に利用することが
できる。また、結合材としての自己焼結性炭素質粉末は
、液状炭素質材料からなる従来の結合材の使用を不要と
する。したがって、液状結合材の使用により発生する気
孔を充填するために、含浸、焼成を繰返す必要がなく、
本発明の摺動部材は、乾式混合、乾式成形、焼成という
簡単な工程で、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例1〜3の摺動部材について、
無潤滑下における摩擦係数μを測定した結果を示すグラ
フである。
【図2】実施例の摺動部材を製造する装置を説明する断
面図である。
【図3】実施例の摺動部材における摺動面の粒子構造を
示す100倍の顕微鏡写真である。
【図4】比較例1の摺動部材における摺動面の粒子構造
を示す100倍の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1、4は容器、2は未炭化炭素質繊維、3はスリット、
5は自己焼結性炭素質粉末6は穴を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の形状をもち、一次元配向した未炭化
    炭素質繊維と、該未炭化炭素質繊維を埋設した自己焼結
    性を有する炭素質粉末とからなる複合体を焼結すること
    によって得られる焼結体からなり、焼結された繊維の一
    次元配向の方向と垂直な面を摺動面とすることを特徴と
    する摺動部材。
  2. 【請求項2】未炭化炭素質繊維と自己焼結性を有する炭
    素質粉末とを型内に充填する工程であって、少なくとも
    該未炭化炭素質繊維の充填は該未炭化炭素質繊維の長さ
    より長い矩形状のスリットを底部にもつ容器を該スリッ
    トの長手方向に振動させながら篩うことによって行われ
    、該未炭化炭素質繊維は一次元配向した状態で充填され
    る充填工程と、圧縮成形により、前記一次元配向した未
    炭化炭素質繊維と前記未炭化炭素質繊維を埋設した前記
    自己焼結性炭素質粉末とからなる複合体を得る成形工程
    と、前記複合体を焼結して、焼結された繊維の一次元配
    向の方向と垂直な面を摺動面とする摺動部材を得る焼結
    工程とからなることを特徴とする摺動部材の製造方法。
JP2413087A 1990-12-21 1990-12-21 摺動部材及び摺動部材の製造方法 Pending JPH04220487A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2413087A JPH04220487A (ja) 1990-12-21 1990-12-21 摺動部材及び摺動部材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2413087A JPH04220487A (ja) 1990-12-21 1990-12-21 摺動部材及び摺動部材の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH04220487A true JPH04220487A (ja) 1992-08-11

Family

ID=18521789

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2413087A Pending JPH04220487A (ja) 1990-12-21 1990-12-21 摺動部材及び摺動部材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH04220487A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008128219A (ja) * 2006-11-24 2008-06-05 Hitachi Appliances Inc 冷媒圧縮機

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008128219A (ja) * 2006-11-24 2008-06-05 Hitachi Appliances Inc 冷媒圧縮機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7575799B2 (en) Carbon fiber containing ceramic particles
TWI338611B (en) Manufacture of carbon/carbon composites by hot pressing
JPH03237062A (ja) 摺動部材
JP2004509792A (ja) 繊維束で強化された複合材料及びセラミックスマトリクスを含んだ摩擦又は滑り体
US7364794B2 (en) Oxidation resistant carbon fiber reinforced carbon composite material and process for producing the same
US5202293A (en) Carbon fiber reinforced carbon
EP0507564A2 (en) Carbon composite material
US5169718A (en) Sliding member
JPH04220487A (ja) 摺動部材及び摺動部材の製造方法
EP0379328B1 (en) Carbon fiber reinforced carbon
JPH068213B2 (ja) 摺動部材
JPH0718091A (ja) 湿式摩擦材
JPH07115958B2 (ja) 高摩擦係数を持つ炭素繊維強化炭素複合材料
JPH068217B2 (ja) 炭素繊維強化炭素焼結体
JPH0478374A (ja) 変速機のシフトフォーク
JPH0478332A (ja) ブレーキ装置
JPH0478333A (ja) クラッチフェーシング
JPH05306166A (ja) 炭素複合材料
JPH0476085A (ja) 差動制限装置
JPH0476258A (ja) 内燃機関用ピストンリング
JPS6360173A (ja) 炭素繊維強化炭素複合材料
JPH04310567A (ja) 低摩擦係数を持つ炭素繊維強化炭素複合材料
JPH0476298A (ja) ベーンポンプ
JPH0476086A (ja) 湿式摩擦材
JPH0476256A (ja) 内燃機関用ピストン