JPH07114208A - トナー用ポリエステル樹脂 - Google Patents

トナー用ポリエステル樹脂

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JPH07114208A
JPH07114208A JP5282161A JP28216193A JPH07114208A JP H07114208 A JPH07114208 A JP H07114208A JP 5282161 A JP5282161 A JP 5282161A JP 28216193 A JP28216193 A JP 28216193A JP H07114208 A JPH07114208 A JP H07114208A
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伸司 久保
Takayuki Tajiri
象運 田尻
Hitoshi Iwasaki
等 岩崎
Yoichi Nagai
陽一 永井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐ブロッキング性、溶融流動性、低温定着性
及び耐オフセット性が良好なトナー用ポリエステル樹脂
を提供する。 【構成】 (a)芳香族ジカルボン酸又はその低級アル
キルエステル、(b)特定の芳香族ジオール及び(c)
Mw50,000以下のエステル結合形成基含有ポリプ
ロピレン重合体からなり、(a)がポリエステル中の全
酸成分に対して60モル%以上、(c)が全縮合ポリエ
ステルに対して50wt%以下からなる重合体であっ
て、Tgが40〜70℃、軟化温度が85〜120℃で
あるトナー用ポリエステル樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録
法や静電印刷法などにおいて静電荷像または磁気潜像の
現像に用いる乾式トナーとして有用なポリエステル樹脂
に関する。さらに詳しくは、耐ブロッキング性、溶融流
動性及び低温定着性に優れ、特に高い溶融流動性が要求
されるフルカラー用、低温定着性が要求される高速複写
機及び高速プリンター用として有用なトナー用ポリエス
テル樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】静電荷像より恒久的な顕像を得る方法に
おいては、光導電性感光体または静電記録体上に形成さ
れた静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナー
によって現像した後、定着される。磁気潜像の場合は、
磁気ドラム上の潜像を磁性体を含むトナーによって現像
した後、定着される。定着は、光導電性感光体または静
電記録体上に現像によって得られたトナー像を直接融着
させるか、紙やフィルム上にトナー像を転写した後、こ
れを転写シート上に融着させることによって行われる。
トナー像の融着は溶剤蒸気との接触、加圧及び加熱によ
って行われ、加熱方式には、電気オーブンによる無接触
加熱方式と加圧ローラーによる圧着加熱方式があるが、
定着工程の高速化が要請される最近では主として後者が
用いられている。
【0003】乾式現像方式で使用されるトナーには、1
成分系トナーと2成分系トナーがある。2成分系トナー
は、先ず樹脂、着色剤、荷電制御剤及びその他必要な添
加剤を溶融混練して十分に分散させた後、粗粉砕し、次
いで微粉砕して、所定の粒度範囲に分級して製造され
る。1成分系トナーは、上記の2成分系のトナーの各成
分の他に磁性鉄粉を添加して同様に製造される。
【0004】樹脂は、トナー配合中の主成分であるた
め、トナーに要求される性能の大部分を支配する。この
ためトナー用樹脂には、トナー製造において溶融混練工
程での着色剤の分散性、粉砕工程での粉砕性の良い事な
どが要求され、またトナーの使用においては定着性、オ
フセット性、ブロッキング性及び電気的性質が良いこと
など多用な性能が要求される。トナーの製造に用いられ
る樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リスチレン樹脂、メタクリル系樹脂などが公知である
が、圧着加熱定着方式用は、主にスチレンと(メタ)ア
クリル酸エステルの共重合体が用いられてきた。しか
し、より低温で定着が可能であることや定着されたトナ
ー像の耐塩ビ可塑剤性が優れていることより、ポリエス
テル樹脂が注目されている。
【0005】しかし、ポリエステル樹脂は、定着ローラ
ーに塗布されているテフロンとの溶解度パラメーター
(SP値)がスチレン/アクリル系樹脂よりかけ離れて
いるため、一般の低・中速機用には充分に使用可能であ
るが、高速機や低エネルギータイプの複写機等に適応さ
せるため、樹脂の温度を下げた場合、樹脂の凝集力が低
下し、耐オフセット性が悪化する。
【0006】一般に、スチレン、アクリル系樹脂には耐
オフセット防止剤としてPPワックス等が用いられてい
るが、ポリエステル樹脂の場合、PPワックスとの相溶
性が悪く、トナー製造工程でPPワックスを添加して
も、分散がうまくゆかず、充分な耐オフセット性を付与
することが困難であるとともに、トナーの帯電安定性が
損われたり、トナー像の色合いが悪くなる等の問題点を
有している。
【0007】一方、カラー画像を得るためには、上述の
現像工程において、3〜4色のトナーを転写紙に付着さ
せ、次いで定着工程において、各種溶融混合しながら発
色させ、定着させなければならない。このため、フルカ
ラートナー用バインダー樹脂には、上述のごとく定着工
程での混合性の良い樹脂、換言すれば、溶融流動性の良
い樹脂が強く望まれている。しかし、溶融流動性の良好
なバインダー樹脂を用いた場合、定着工程での耐オフセ
ット現象が生じる問題がある。耐オフセット現象を防止
するため、バインダー樹脂を架橋化させたり、高分子化
させたりすると、溶融流動性が低下するため、フルカラ
ートナー用のバインダー樹脂としては適さない。また、
耐オフセット防止剤としてPPワックスを添加しても、
上述したようにポリエステル樹脂ではPPワックスとの
相溶性が悪く、特にフルカラートナー用としてはトナー
像の色合いが悪化するため適さない。従って、フルカラ
ー用複写機の場合、耐オフセットをえるため、定着ロー
ラー表面にシリコーンオイル等を塗布している。しかし
ながら、定着ローラーにシリコーンオイル等を塗布する
と複写物にも、オイルが付着し、取扱いに支障をきたす
場合があり、特にOHP等に複写した場合には、その現
象が顕著である。このようなことから、定着ローラーに
シリコンオイル等を塗布することなく、トナー単体で耐
オフセット性が可能なフルカラートナー用のバインダー
樹脂の出現が強く望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐ブ
ロッキング性、溶融流動性及び低温定着性に優れ、かつ
耐オフセット性が良好なトナー用ポリエステル樹脂を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく検討を進めた結果、特定のポリプロピレン
重合体を重合体成分として含むポリエステル樹脂がその
目的を達成できることを見い出し本発明を完成した。す
なわち、本発明は、(a)芳香族ジカルボン酸またはそ
の低級アルキルエステルの少なくとも1種を含むジカル
ボン酸成分、(b)下記の一般式(I)で表わされる芳
香族ジオールの少なくとも1種を含むジオール成分、及
び(c)重量平均分子量Mw50,000以下のエステ
ル結合形成基を含むポリプロピレン重合体からなり、上
記(a)成分がポリエステル中の全酸成分に対して60
モル%以上、上記(c)成分が全縮合ポリエステルに対
して50重量%以下からなる重合体であって、ガラス転
移点Tg(以下、Tgと略称する。)が40〜70℃
で、軟化温度が85〜120℃であることを特徴とする
トナー用ポリエステル樹脂にある。
【0010】
【化2】
【0011】本発明で用いられる芳香族ジカルボン酸ま
たはその低級アルキルエステル(a)は、テレフタル
酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及びそれらの
低級アルキルエステルからなるものである。テレフタル
酸及びイソフタル酸の低級アルキルエステルの例として
は、例えばジメチルテレフタル酸、ジメチルイソフタル
酸、ジエチルテレフタル酸、ジエチルイソフタル酸、ジ
ブチルテレフタル酸、ジブチルイソフタル酸等が挙げら
れるが、コスト及びハンドリングの点でジメチルテレフ
タル酸やジメチルイソフタル酸が好ましい。上記の芳香
族ジカルボン酸またはその低級アルキルエステルは、1
種でまたは2種以上を併用して使用される。芳香族ジカ
ルボン酸は、得られる樹脂のTgを上げ、耐ブロッキン
グ性の向上に寄与し、それの持つ疎水性のため耐湿性に
関しても効果がある。従って、芳香族ジカルボン酸は、
全酸成分に対して60モル%以上、好ましくは70モル
%以上使用する必要がある。その中でもテレフタル酸系
は樹脂のTgをアップさせるのに効果があり、またイソ
フタル酸系は反応性を高める効果があるので、目的によ
ってその使用バランスを変えて用いる必要がある。
【0012】本発明において使用される芳香族ジオール
(b)は、上記の一般式(I)で表わされるものであ
る。その芳香族ジオールの例として、ポリオキシエチレ
ン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポ
リオキシプロピレン(2.2)−ポリオキシエチレン−
(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロ
ピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポ
リオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、これらは
1種または2種以上を混合して使用される。芳香族ジオ
ール(b)は、樹脂のTgを上げる効果があるため、耐
ブロッキング性が良好となる。
【0013】芳香族ジオール成分(b)の使用量は、全
酸成分に対して80モル%以下の使用が好ましく、80
モル%を越えて用いると反応性が極めて低下し、生産性
が悪くなる。
【0014】また、本発明においては、従来のポリエス
テル樹脂からなるトナー用樹脂に耐オフセット性を付与
させるために、エステル結合形成基を含むポリプロピレ
ン重合体(b)をジカルボン酸成分(a)及びジオール
成分(b)と縮重合させる。
【0015】ポリプロピレン重合体(c)の使用量は、
全縮合ポリエステルに対して50重量%以下、好ましく
は3〜40重量%の範囲であり、またそれの重量平均分
子量Mwも50,000以下、好ましくは200〜4
0,000の範囲である。これは、ポリプロピレン重合
体(c)の使用量が50重量%を超えるか、その重量平
均分子量Mwが50,000を超えると、ポリエステル
樹脂中での分散性に劣ったり、残存ポリプロピレン重合
体量が多くなるため、トナーとしての分散性に劣り、帯
電安定性が低下するとともに、トナー像の色合いが悪化
するためである。また、ポリプロピレン重合体(c)の
使用量が3重量%未満であるか、その重量平均分子量M
wが200未満であると耐オフセット性が十分付与され
ない傾向にあるためである。
【0016】さらに、本発明において用いられるポリプ
ロピレン重合体(c)においては、カルボン酸成分
(a)及びジオール成分(b)と反応するためのエステ
ル結合形成性基を有することが必要である。ポリプロピ
レン重合体(c)におけるエステル結合形成性基につい
ては、特に限定はされないが、ポリプロピレン重合体の
片側もしくは両末端を酸変性、例えばマレイン酸等で変
性したものの使用が好ましい。また、マレイン酸を共重
合させたプロピレン−マレイン酸共重合体も本発明のポ
リプロピレン重合体として使用できる。
【0017】また、本発明においては、上記以外の重合
成分も、その必要性能に応じて本発明の目的を阻害しな
い範囲で、併用して使用することができる。一般に、ポ
リエステルの原料として公知のモノマーは、本発明の効
果を保つ範囲で、使用してさしつかえない。例えば、ジ
カルボン酸成分として、セバシン酸、イソデシル琥珀
酸、フマル酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、及
びこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチ
ルエステル等が、全酸成分に対して30モル%の範囲で
使用できる。
【0018】これらの脂肪族ジカルボン酸及びその低級
エステルは、トナーの定着性及び耐ブロッキング性に影
響を与える。すなわち、芳香族系のテレフタル酸、イソ
フタル酸を用いると耐ブロッキング性は向上するが、定
着性は低下する。逆に脂肪族系のセバシン酸やアジピン
酸は、定着性は向上するが、Tgの低下をもたらすため
耐ブロッキング性が低下するようになる。この傾向は、
脂肪族ジカルボン酸の場合、長鎖のモノマー程強い。し
たがって、これらの特性を考慮して使用する必要があ
る。
【0019】さらに使用できるジオール成分としては、
脂肪族ジオール及び上記一般式(I)で示される以外の
芳香族ジオールである。脂肪族ジオールは、全酸成分に
対して20モル%以上の範囲で含まれることが好まし
く、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、シク
ロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等が挙
げられ、定着性の点からエチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、ブタンジオールの使用が好ましい。
【0020】以上の構成からなる本発明のトナー用ポリ
エステル樹脂は、Tgが40〜75℃、好ましくは50
〜75℃、軟化温度が85〜120℃であることが必要
である。これはTgが40℃未満では、定着性は向上す
るが、耐ブロッキング性が著しく低下するためであり、
Tgが75℃を越えると耐ブロッキング性は向上する
が、定着性が低下するためである。また、ポリエステル
樹脂の軟化温度が85℃未満であると、ポリマー自体の
凝集性が極端に低下するため樹脂の凝集力が極端に低下
し、ポリプロピレン重合体をブロック共重合させても、
耐オフセット性は悪化する。一方、軟化温度が120℃
を越えると耐オフセット性に関しては好ましい方向に向
かうが、溶融混合性が低下し、色の混色性が低下する。
【0021】本発明のトナー用ポリエステル樹脂の製造
においては、上記の重合成分(a)〜(c)を反応釜に
仕込み、加熱昇温して、エステル化反応、またはエステ
ル交換反応を行う。この時、必要に応じて硫酸、チタン
ブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸マグネシウ
ム、酢酸マンガン等の通常のエステル化反応またはエス
テル交換反応で使用されるエステル化触媒またはエステ
ル交換触媒を使用することができる。次いで、常法に従
って該反応で生じた水またはアルコールを除去する。そ
の後引き続き重合反応を実施するが、このとき150m
mHg以下の真空下でジオール成分を留出除去させなが
ら重合を行う。
【0022】また、重合に際しては通常公知の重合触
媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキシ
ド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモ
ン、二酸化ゲルマンニウム等を用いることができる。ま
た、重合温度、触媒量については特に限定されるもので
はなく、必要に応じて任意に設定すれば良い。
【0023】本発明のトナー用ポリエステル樹脂におい
ては、必要によりシリカ等の無機粉末を加えて耐ブロッ
キング性を改良することができる。このシリカ粉末の添
加はバインダー樹脂のTgが低い場合、その効果は特に
顕著である。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例及び比較例における性能評価は以下の
方法を用いて行った。
【0025】(1)Tg(ガラス転移点)(℃) 島津製作所製、示差走査熱量計を用い、昇温5℃/分で
測定した時のTg近傍の吸熱曲線の接線と、ベースライ
ンとの接点をTgとした。
【0026】(2)軟化温度(℃) 島津製作所製、フローテスター(CFT−500)を用
いて、ノズル1.0mmφ×10mmL、荷重30k
g、昇温3℃/分、サンプル量1.0gの条件下でサン
プルが半分流出した時の温度を軟化温度(℃)とした。
【0027】(3)重量平均分子量Mw 東ソー(株)製、GPC HCL−8200により測定
した。
【0028】(4)組成分析 樹脂をヒドラジンで加水分解し、液体クロマトグラフィ
ーで定量した。
【0029】(5)ポリプロピレン含有量 NMRにて定量した。
【0030】(6)非オフセット定着温度幅(℃) 紙の上にトナーを均一にふりかけ(初期濃度ID=1.
0±0.3)、温度可変式の定着ローラーに通す。次
に、定着部分のテーパ剥離をし、濃度減衰率を求める。
ローラーの温度を上げていった時、定着率が90%を超
えた温度を最低定着温度とした。また、さらに温度を上
げて行った時、トナーが熱ローラーに付着し始めた温度
を高温オフセット開始温度とした。最低定着温度と高温
オフセット開始温度の間を定着可能領域(非オフセット
定着温度幅)とした。定着ローラーのスピードは100
mm/分に設定し、ニップ幅は8.0mmに設定して評
価した。定着性は130℃以下、耐オフセット性は15
0℃以上がフルカラー用トナー樹脂に必要であるとし
た。
【0031】(7)耐ブロッキング性 50mlのガラス製サンプル瓶中にトナー5gを入れ、
50℃の高温槽中に50時間放置した後、室温まで冷却
し、その凝集度を観察した。その凝集度は、次のような
方法によって評価した。なお、本発明においては、凝集
度A,B,Cのものは使用可能と判断した。 A:サンプル瓶を逆さにしただけでトナーが落ちる。 B:サンプル瓶を逆さにし、軽く振っただけでトナーが
落ちる。 C:サンプル瓶を逆さにし、軽くたたくとトナーが落ち
る。 D:サンプル瓶を逆さにし、強い振動を与えてやるとト
ナーが落ちる。 E:サンプル瓶を逆さにし、強い振動を与えてもトナー
は落ちない。
【0032】また、実施例及び比較例で用いた略記号
は、次のものを表わす。 ジオールA:ポリオキシプロピレン(2.3)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン ジオールB:ポリオキシエチレン(2.3)−2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン ポリプロピレンC:Mw10,000のポリプロピレン
の両末端をマレイン酸で変性したもの ポリプロピレンD:Mw20,000のプロピレン−マ
レイン酸共重合体(全ポリプロピレンに対して2重量%
のマレイン酸を共重合したもの) ポリプロピレンE:Mw2,000のポリプロピレン末
端の片側をマレイン酸で変性したもの ポリプロピレンF:Mw60,000のプロピレン−マ
レイン酸共重合体(全ポリプロピレンに対して3重量%
のマレイン酸を共重合したもの)
【0033】実施例1 表1に示す量のテレフタル酸、ジオールA、ジオールB
及びエチレングリコールを蒸留塔を備えた反応容器に投
入した。さらに、計算上の合成ポリマー量に対して10
重量%のエステル結合形成性の反応基を有するポリプロ
ピレン重合体C(Mw10,000のポリプロピレンの
両末端をマレイン酸で変性したもの)と触媒であるジブ
チルスズオキシドを全酸成分に対して0.03重量部添
加し、内温を260℃、攪拌回転数を200rpmに保
ち、常圧下で5時間エステル化反応させた。その後、反
応系内を30分かけて1.0mmHgまで減圧し、内温
を260℃に保持して、エチレングリコールを留出せし
めながら縮合反応を4時間行って、淡黄色透明の樹脂R
−1を得た。この得られた樹脂R−1は、軟化温度が1
12℃、Tgが59.8℃であった。表2にその得られ
た樹脂の組成分析結果及び樹脂物性値を示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】次に得られた樹脂R−1 94重量%に対
して、カーボンブラック(三菱化成(株)製、#40)
5重量%、荷電制御剤(オリエント化学工業(株)製、
ボントロンS−34)1重量%をヘンシェルミキサーで
プレミキシングした後、栗本鉄工(株)製インターナル
ミキサーを用いて150℃、65rpmの条件で溶融混
練を行なった。その溶融混練物を室温迄冷却した後、ハ
ンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルを用いて20
μm以下まで粉砕した。その後、日本ニューマチック社
製の風力分級機を用いて、粒径5〜20μmのトナーT
−1を得た。トナーT−1の定着試験結果及び耐ブロッ
キング性の試験結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】表3から明らかなようにトナーT−1は、
耐オフセット性及び耐ブロッキング性が良好であること
から、樹脂R−1をフルカラーとして用いた場合でも、
定着性が良好で、耐オフセット性も良好であると判断さ
れる。
【0039】実施例2〜3 重合仕込み組成を表4のようにする以外は、実施例1と
同様の操作を行い、樹脂R−2〜R−3を得た。樹脂R
−2〜R−3の組成分析結果及び樹脂物性値を表5に示
す。
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】次に、上記樹脂R−2〜R−3を用いて、
実施例1と同様の操作を行い、トナーT−2〜T−4を
得た。得られたトナーT−2〜T−3の耐オフセット試
験及び耐ブロッキング性試験の結果を表6に示す。
【0043】
【表6】
【0044】表6より、トナーT−2〜T−3は、耐オ
フセット性及び耐ブロッキング性が良好であることがわ
かる。
【0045】実施例4〜5 重合仕込み組成を表7のようにする以外は、実施例1と
同様の操作を行い、樹脂R−4〜R−5を得た。樹脂R
−4〜R−5の組成分析結果及び樹脂物性値を表8に示
す。
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】次に、上記樹脂R−4〜R−5を用いて、
実施例1と同様の操作を行ない、トナーT−4〜T−5
を得た。得られたトナーT−4〜T−5の耐オフセット
試験及び耐ブロッキング性試験の結果を表9に示す。
【0049】
【表9】
【0050】表9より、トナーT−4〜T−5は、耐オ
フセット性及び耐ブロッキング性が良好であることがわ
かる。
【0051】比較例1〜3 重合仕込み組成を表10のようにする以外は、実施例1
と同様の操作を行い、樹脂R−6〜R−8を得た。樹脂
R−6〜R−8の組成分析結果及び樹脂物性値を表11
に示す。
【0052】
【表10】
【0053】
【表11】
【0054】次に、上記樹脂R−6とR−8を用いて、
実施例1と同様の操作を行い、トナーT−6及びT−8
を得た。得られたトナーT−6及びT−8の耐ブロッキ
ング性の試験と耐オフセット性の試験結果を表12に示
す。なお、比較例2のポリプロピレンEを全ポリエステ
ルに対して、70重量%添加させた場合、反応系が2層
に分離し、重合がまともに進行しなかった。トナーT−
6は、酸成分中に芳香族ジカルボン酸の使用量が少ない
ため、Tgが低下し、耐ブロッキング性と耐オフセット
性が低下した。また、トナーT−8は、ポリプロピレン
重合体を使用しないで、低粘度化を図った場合、定着性
はかなり向上したがオフセット幅が殆ど得られなかっ
た。
【0055】
【表12】
【0056】比較例4〜6 重合仕込み組成を表13のようにする以外は、実施例1
と同様の操作を行い、樹脂R−9〜R−11を得た。樹
脂R−9〜R−11の分析結果及び樹脂物性値を表14
に示す。
【0057】
【表13】
【0058】
【表14】
【0059】次に、上記樹脂T−9〜T−11を用い、
実施例1と同様の操作を行ない、トナーT−9〜T−1
1を得た。表15に得られたトナーT−9〜T−11の
耐ブロッキングの試験と耐オフセット性の試験結果を示
す。T−9は、Tgが81℃と高いため耐オフセットと
耐ブロッキング性は良好であるが、定着性が135℃と
大幅に低下し、溶融混合性を必要とするフルカラーには
不適当である。T−10は、トナー化時にシリカを5重
量%添加したため耐ブロッキング性は、Cレベルと使用
可能であるが、軟化温度が75℃まで低下すると、ポリ
プロピレン重合体をブロック重合させても非オフセット
幅は殆ど得られなかった。また、T−11は、逆に軟化
温度が135℃と高い樹脂であり、耐ブロッキング性は
良好であるが、定着性が145℃と悪い。
【0060】
【表15】
【0061】比較例7 重合仕込み組成を表16にする以外は実施例1と同様の
操作をくり返して重合を行ったが、分子量Mwが60,
000のものを用いた場合、ポリエステルとの相溶性が
悪く、重合系が2層に分離した。
【0062】
【表16】
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のトナー用
ポリエステル樹脂はポリマー中に特定分子量のエステル
結合形成基を含むポリプロピレン重合体を縮重合させる
ことによって、耐ブロッキング性、溶融流動性、低温定
着性及び耐オフセットが良好であり、フルカラー用、高
速複写機及び高速プリンター用等のトナー用樹脂として
有用である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年11月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【化2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 陽一 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)芳香族ジカルボン酸またはその低
    級アルキルエステルの少なくとも1種を含むジカルボン
    酸成分、(b)下記の一般式(I)で表わされる芳香族
    ジオールの少なくとも1種を含むジオール成分、及び
    (c)重量平均分子量Mw50,000以下のエステル
    結合形成基を含むポリプロピレン重合体からなり、上記
    (a)成分がポリエステル中の全酸成分に対して60モ
    ル%以上、上記(c)成分が全縮合ポリエステルに対し
    て50重量%以下からなる重合体であって、ガラス転移
    点Tgが40〜70℃で、軟化温度が85〜120℃で
    あることを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂。 【化1】
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