JPH071139Y2 - 褥瘡防止用紙おしめ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、褥瘡防止用紙おしめに関する。

（従来の技術） 病人あるいは衰弱者、栄養不良、老衰（寝たきり老
人）、脊髄損傷、その他知覚麻痺のある患者の場合に
は、褥瘡（いわゆる床ずれ）が発生しやすい。

この褥瘡の発生箇所は骨突出部に多くみられ、横臥して
いる場合、特に腰から臀部にかけての仙骨部、腰骨両側
の大転子部に多くの発生がみられる。

このような部位に発生する褥瘡の予防手段としては、患
者の体位を頻繁に変えることや、当該部位の皮膚の清
潔、乾燥状態の維持、同マッサージ等の看護を施すこと
によりある程度褥瘡の発生を抑えることはできても、失
禁患者の場合にはおしめを当てがっておくとき自己が排
泄した大便や尿、汗で臀部が汚れたり蒸れたりして十分
な清潔状態や乾燥状態が保てなくなり、褥瘡の発生を早
め、悪化させやすい状況になる。

（考案が解決しようとする課題） 従来の紙おしめの場合、フラットタイプ、パンツタイプ
の如何にかゝわらず腰部から股下を経て腹部上に当がわ
れるが、股間に挟まっている部分は大きく縦じわが寄
り、紙おしめの内面側の通水性シートと吸水層とが密着
しにくゝなることに合せ、仰臥位において股間付近の紙
おしめの内面側は急傾斜状態におかれるため、排便、排
尿による水分が吸水層に吸収される前に内面を伝わって
下方に流動し、そのため臀部から腰下にかけて濡れてし
まい、乾燥状態が保てず、かつ不潔な状態となって褥瘡
やおしめかぶれが発生しやすくなる。

また紙おしめの吸水層に吸収された水分も内部で下方へ
流動し、臀部から腰下にかけて当てがわれている部分に
集まって一層湿った状態となり、これらによって益々褥
瘡やおしめかぶれが出来やすい。

一方、様々な素材や機能を持つ褥瘡防止用具が製品化さ
れているが、当該部位の清潔、乾燥維持を果し得るもの
がなく、前記のような患者に対するものとして取扱いが
簡便で確実に褥瘡やおしめかぶれの発生を予防し得る有
効な用具がないのが現状である。

本考案はこれに鑑み、紙おしめを改良することにより、
主として仙骨部、大転子部での褥瘡の発生を防止するこ
とができ、合せて臀部のおしめかぶれを予防することが
できる褥瘡防止用紙おしめを提供することを目的として
なされたものである。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記従来技術が有する課題を解決するため、本考案は、
吸水層の外面側をビニールフイルム等の不透水性シート
で覆い、内面側を不織布等の通水性シートで覆い、周端
をシールして水分の漏出を遮断した構成の主吸水部と、
この主吸水部に区画部を介して連設され当該主吸水部と
同構造でこれより短かい長さの副吸水部とからなり、前
記主吸水部の前記区画部に近い位置に幅方向に延びる少
なくとも１条のシール部を形成して通水性シートを吸水
層に線状に固定し、このシール部により水分が主吸水部
の表面を伝わって副吸水部側に流動することを阻止する
ようにしたことを特徴とするものである。

（作用） 副吸水部を患者の腰下から臀部下に差込み、ついで主吸
水部を股間を通して腹部上へ当てがうようにすれば、通
常の紙おしめと同様に当てがうことができる。当てがっ
たのち排便、排尿があると、その水分は主吸水部の吸水
層に吸収されようとするが、尿口が位置する股下部分の
紙おしめは急傾斜のため紙おしめの表面を伝わって下方
へ流下する。しかし主吸水部の副吸水部との区画部に近
い位置に幅方向に延びるシール部があるのでその流れは
シール部で止められ、主吸水部の吸水層に吸収され、副
吸水部の表面に流れることがない。また主吸水部の吸水
層に吸収された水分が下方へ流動しても、主吸水部と副
吸水部とを継ぐ区画部により流動が遮断されて副吸水部
の吸水層へ吸収されることがない。これにより患者の腰
下から臀部にかけて当てがわれている副吸水部は乾燥し
たまゝの状態に保たれ、患者の仙骨部乃至大転子部を濡
らすことがなく、清潔乾燥状態が維持されて褥瘡やおし
めかぶれを起すことが防止される。

（実施例） 以下、本考案を図面に示す実施例を参照して説明する。

本考案による紙おしめ１は、平面形状が縦長矩形状の主
吸水部1Aと、同じく横長矩形状の副吸水部1Bとで構成さ
れ、これら主、副吸水部1A,1Bの境界部分は圧搾、不透
水性シートの介在、撥水性のある液の含浸等により内部
で水分が流通することのない区画部２で仕切られてい
る。紙おしめとしての基本構成は、第２図に断面を示す
ように所定の厚さで矩形平板状をなす吸水層3,4の下面
が不透水性シート５で覆われ、同じく上面側が通水性シ
ート６で覆われてこれらの周囲はヒートシール等により
固着され、吸水層3,4が被包されている。上記不透水性
シート５にはビニールフイルム等の合成樹脂シート材が
用いられ、通水性シート６としては肌ざわりがよく前記
不透水性シート５に対し接着可能な不織布等が用いられ
る。また吸水層3,4は、クッション性を持たせるため綿
状パルプ、吸水紙等が用いられ、主吸水部1Aの吸水層３
には保水性を高めるためと衛生状態を維持するために殺
菌剤添加高分子吸収材を混入または散着させ、副吸水体
1Bの吸水層４には上記高分子吸収材に加え乾燥剤を適宜
混入または散着しておくことが好ましい。

主吸水部1Aと副吸水部1Bとを区画する区画部２に近い主
吸水部1Aの通水性シート６には、幅方向に延びる１乃至
数条のシール部7,7が形成され、このシール部7,7におい
て通水性シート６は吸水層３に固定されてその表面が溝
状を呈している。このシール部7,7は直線状とするほ
か、第３図示のように波形状、ジグザグ状としてシール
部の長さを実質的に長くすることが望ましい。

前記区画部２において、第４図に示すように、主吸水部
1A、副吸水部1Bの吸水層3,4の端部に例えば薄紙に撥水
性のある液（パラフィン等）を塗布含浸させた撥水性シ
ート8,8をそわせ、主吸水部1Aの吸水層３の端部からの
逆流出を防ぎ、副吸水部1Bの吸水層４の端部への吸水を
防止するようにすれば、副吸水部1Bの乾燥状態の維持が
一層保たれる。この場合、通水性シート６の該当部位の
内面に直接撥水処理を施すようにしてもよく、反対端に
も設ければ、この端部からの漏出を防ぐうえで有効であ
る。

つぎに上記実施例の作用を説明する。

第５図示のように副吸水部1Bを仰臥する患者ａの腰部か
ら臀部下に差込み、ついで主吸水部1Aを患者ａの股間を
通して腹部ｂ上へ当てがうようにすれば、通常の紙おし
めと同様に当てがうことができる。こうして当てがった
のち排尿、排便があると、その水分は通水性シート６を
通して主吸水部1Aの吸水層３に吸収されようとするが、
尿口が位置する股下部分の紙おしめは急傾斜しておかれ
ているため吸収される前に表面を伝わって下方に流下す
る。しかし主吸水部1Aの下端近くには幅方向に延びるシ
ール部7,7があるのでその流れはシール部7,7の溝状部分
に入り込み、こゝに滞留して主吸水部1Aの吸水層３に吸
収され、副吸水部1Bへは流れない。また主吸収部1Aの吸
水層３に吸収された水分は、その末端に区画部２があっ
て副吸水部1Bとは隔絶されているので、副吸水部1Bの吸
水層４へ浸入することがない。これらにより患者ａの腰
下から臀部にかけて当てがわれている副吸水部1Bの表面
はもとより内部の吸水層４も水洩れすることがなく、乾
燥した状態に保たれて清潔な状態に維持され、褥瘡やお
しめかぶれを生じることが防がれる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、紙おしめを股下か
ら腹部にかけて当てがわれる主吸水部と、腰下から臀部
にかけて当てがわれる副吸水部とを区画部により通水不
能に隔絶してあるので、排尿、排便を受ける主吸水部の
吸水層に吸収された水分が副吸水部の吸水層に浸入する
ことがないとともに、主吸水部の前記区画部に近い通水
性シートに紙おしめの幅方向に延びるシール部を形成し
てあるので、主吸水部の通水性シートの表面を伝わって
副吸水部側へ流れる水分がシール部の溝状部分により止
められ、これにより主吸水部の吸水層に吸収されて副吸
水部の表面に流れ込むことが防止され、これらによって
副吸水部の内部および表面ともに乾燥状態に保持され、
腰部や臀部が湿って不衛生になることがなく、褥瘡やお
しめかぶれの発生を予防することができる。また請求項
２のように吸水層内に殺菌剤添加高分子吸収材を混入し
ておけば、吸収能力を増大させることができると同時に
殺菌効果によりおしめかぶれを防ぐことができ、紙おし
めの交換頻度を少なくすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による紙おしめの一実施例を示す斜視
図、第２図は同縦断して断面を表わした斜視図、第３図
は同シール部の形状の他の例を示す斜視図、第４図は撥
水性シートを組合せる場合の断面図、第５図は使用状態
の説明図である。 １……紙おしめ、1A……主吸水部、1B……副吸水部、２
……区画部、3,4……吸水層、５……不透水性シート、
６……通水性シート、７……シール部。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】吸水層の外面側をビニールフイルム等の不
   透水性シートで覆い、内面側を不織布等の通水性シート
   で覆い、周端をシールして水分の漏出を遮断した構成の
   主吸水部と、この主吸水部に区画部を介して連設され当
   該主吸水部と同構造でこれより短かい長さの副吸水部と
   からなり、前記主吸水部の前記区画部に近い位置に幅方
   向に延びる少なくとも１条のシール部を形成して通水性
   シートを吸水層に線状に固定し、このシール部により水
   分が主吸水部の表面を伝わって副吸水部側に流動するこ
   とを阻止するようにしたことを特徴とする褥瘡防止用紙
   おしめ。
2. 【請求項２】前記主吸水部の吸水層には殺菌剤添加高分
   子吸収材を混入乃至は散着させ、前記副吸水部の吸水層
   には乾燥剤を混入乃至は散着してなる請求項１記載の褥
   瘡防止用紙おしめ。