JPH0711381A - 溶接熱影響部靱性に優れた鋼材 - Google Patents
溶接熱影響部靱性に優れた鋼材Info
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Abstract
散鋼において、優れた母材靱性およびHAZ靱性を示す
鋼の安定な製造。 【構成】 重量%で、C:0. 01〜0. 25、Si:
0. 6以下、Mn:0. 3〜2. 2、P:0. 02以
下、S:0. 001〜0. 010、N:0. 0010〜
0. 0075、O:0. 0010〜0. 011、sol.A
l:0. 05以下、insol.Al:0. 001〜0. 00
7、sol.Ti:0. 003〜0. 12、insol.Ti:
0. 001〜0. 017で、かつ、−0. 0025≦N
−(sol.Ti/3. 4)≦0. 0030を満足し、残
部Feおよび不可避的不純物よりなり、さらに、径30
μmを超える大きさの介在物が、鋼片研磨面1mm2当
たり平均で0. 3個未満である、溶接熱影響部靱性に優
れた鋼材。
Description
用いられる溶接用鋼、製管時に溶接施工の必要となるラ
インパイプ用鋼等、特に優れた溶接熱影響部靱性が要求
される溶接鋼材に関するものである。
(以下HAZと呼ぶ)では結晶粒が粗大化して靱性が劣
化し、溶接構造物の性能を低下させることが知られてい
る。この、HAZ靱性を向上すべく、これまでに数多く
の試みがなされている。
の鋼では、低Al化によるγ−α変態の促進効果と、T
i、Bの複合添加、N量の制御を組み合わせて、HAZ
靱性の改善を行うことを提案している。この場合、Bは
HAZ部で冷却中にBNの形でγ粒内に析出し、γ−α
変態のγ粒内の核生成サイトとして機能するため、γ粒
が著しく粗大化する超大入熱溶接に際しても、そのHA
Z部靱性を維持することができる。
BNを利用するため、製造時にB,N,Ti,Al等の
元素の添加量を正確にコントロールしなければ、析出物
として固定されないBが増加し、かえってHAZ靱性を
悪化させるという危険をはらみ、また、比較的多くのN
を含有するため、鋼の高温延性を悪化させ、連続鋳造を
難しくする等の実製造の上での困難がつきまとう。
開昭59−185760号公報等を初めとする一連の特
許は、低Al系成分の選択、TiN利用に加えて、BN
に代えてTi酸化物もしくはTi酸化物とMnS等の複
合体を分散させ、これら分散質をフェライトの析出核と
して機能させることにより、HAZ靱性を向上させると
いう、低Al−Tiオキサイド分散鋼とも呼べる手段を
提案している。
00号公報の鋼を上回るHAZ性能を与えるものではな
いが、Bを必須としないため、ラインパイブ用材料とし
ての使用も可能で、この点はより好ましい。
報、特開昭61−79745号公報、特開昭62−18
42号公報等で開示されているごとく、そのような鋼材
の製造においては、Alよりも脱酸力の弱いTiで、最
終脱酸を行いつつ、HAZ靱性改善に必要なだけの酸化
物を分散させなければならない。このような場合、製品
鋼中の酸素活量を充分に下げることは容易ではなく、鋼
質劣化を起こしやすくなる。
中にはTiオキサイドが含有されなければならないが、
Tiオキサイドは鋼中の酸素源となり得るため、鋼質劣
化の原因ともなり得る。これを防ぐためには、Tiを過
剰に添加して、酸化物を形成していないTi量を増やさ
なければならない。一方で、このような過剰Tiは、母
材靱性・HAZ共に悪化させるため、特に溶接用鋼材に
おいては多量に存在してはならない。このように、望ま
しい性能を得るためには、Ti量は、この互いに矛盾す
る要求を満足する値に制御されなければならない。
考慮して、Tiと化合物を形成する、O、N等の含有量
とTiとの間に、適当な関係式を与えて、その最適範囲
を規定している。
無視できない量の酸素を固定している酸化アルミの影響
が全く考慮されていない。しかも、全体としてTi過小
の範囲を規定しており、鋼中Tiが全てTiオキサイド
の場合すら含んでおり、脱酸不足による鋼質劣化を招く
可能性が高く、はなはだ危険である。
サイド分散鋼において、望まれる性能を安定して発揮さ
せることは難しく、このような状況の改善が必要であっ
た。
み、本発明の目的とするところは、分散質粒子組成を制
御し、最適製造条件・成分範囲を決定することにより、
低Al−酸化物分散鋼において、優れた母材靱性および
HAZ靱性を示す鋼を安定して製造するための手段を得
ることにある。
するために鋭意検討を加えた結果、次の事実を見いだし
た。
で、Tiオキサイドを形成していないTiに対しては、
HAZ靱性悪化原因としての認識はあまり強くなく、T
iNを形成させることによってむしろHAZ靱性を改善
するとの見方すらあった。
であり、過剰なTiは、たとえTiNを形成していて
も、低Al−Tiオキサイド分散鋼においては、γ−α
変態を阻害し、HAZ組織の微細化を阻害することを見
いだした。すなわち、低Al−Tiオキサイド分散鋼に
おいて、TiオキサイドとならないTi量を脱酸不足を
起こさない程度に低く抑えることにより、HAZ靱性は
一層向上する。
低減しか考えられていなかった酸化アルミニウムが、母
材靱性とHAZ靱性を両立させるためには必須で、最適
量がある。すなわち、鋼中全酸素量が同じならば、その
殆どをTiオキサイドの形で固定するよりも、一部をア
ルミナの形で固定した方が、優れた母材靱性が得られ、
しかもアルミナ量、すなわちinsol.Al量が限度を越えな
ければ、Tiオキサイド分散の効果は失われない。
たものであり、上記の解決すべき課題に対して、(1)
重量%で、C:0. 01〜0. 25%、Si:0. 6%
以下、Mn:0.3〜2. 2%、P:0. 02%以下、
S:0. 001〜0. 010%、N:0.0010〜0.
0075%、O:0. 0010〜0. 011%、sol.
Al:0.005%以下、insol.Al:0. 001〜0.
007%、sol.Ti:0. 003〜0. 012%、ins
ol.Ti:0. 001〜0. 017%、残部Feおよび
不可避的不純物よりなる組成を有し、かつ、N、sol.T
iが制限式、
る大きさの介在物が、鋼片研磨面1mm2 当たり平均で
0. 3個未満であることを特徴とする、溶接熱影響部靱
性に優れた鋼材。をその解決手段の1とし、
1. 0%、Mo:0. 7%以下、Nb:0. 08%、C
u:2. 0%以下、Ni:2. 0%以下、V:0. 10
%以下、B:0. 0020%以下の内の1種以上を含む
ことを特徴とする、上記(1)記載の溶接熱影響部靱性
に優れた鋼材。をその解決手段の2とする。
てTi2O3形で固定されていると考えて、total Ti量
から酸素量分を差し引いて見積もる方法が考えられる
が、実際には、Tiは必ずしも化学量論的に酸化物を形
成しているとは限らず、正しい計算は行えない上に、本
発明では、酸化Alの存在を必須としているため、過剰
Tiの見積には大きなズレが生じる。
力のない強酸に対して溶解する部分(以下sol.Ti:過
剰Tiに相当)と、溶解しない部分(以下insol.Ti:
酸化物部分に相当) に分け、これらを酸化物以外の形で
鋼中に含有される部分と、酸化物の形で鋼中に含有され
る部分と見なす。
ても、単なるTi−Nのバランスではなく、式(A)に
示したごとく、sol.TiとN量のバランスとして管理す
る必要が生じる。
0. 0025から0. 0030の範囲に納めるべきであ
る。−0. 0025を下回る場合には、HAZ組織の微
細化が阻害されるか、HAZ組織は微細化されても、T
iCが形成されるため、HAZ靱性は良好ではない。
0. 0030を上回る場合には、過剰のNのため、鋼の
高温延性が悪化し、製造上の困難を来す。
は、Ti、Alによって鋼を脱酸し、生成したTiオキ
サイド、Alオキサイドを利用するのが好ましい。これ
は、単に外部からチタニア、アルミナを添加したのみで
は、たとえそれらが鋼中にうまく分散したとしても、H
AZ靱性改善には必ずしも有効に寄与しないからであ
る。
insol.Ti、insol.Alを含む鋼を製造する場合、凝固
時の冷却速度が、およそ0. 3℃/min 以上であれば、
製品のHAZ靱性は確保される。ただし、この冷却速度
は、現在鉄鋼製品の製造において一般的である連続鋳造
装置を用いて、通常の操業条件で鋳造する限り、容易に
達成される値であるため、本発明の限定条件には加えな
い。
な介在物が含まれる場合でも、大型の介在物は、より多
量のフェライトを析出させ、HAZ靱性改善に寄与する
傾向があるため、形状さえ球形であれば、必ずしもHA
Z靱性悪化には直結しない。場合によっては、このよう
な中程度の大きさの介在物を分散させた方が良好なHA
Z靱性を示すことがある。
に粗大な介在物が鋼中に、0. 3個/mm2以上分散する
場合、その介在物が破壊の起点となって靱性を著しく悪
化させる。このため、本発明においては、過度に粗大な
介在物の量の上限値を0.3個/mm2未満に制限するこ
とが必要である。
l.Al,insol.Tiは、介在物の複合体となって鋼中に
分散し、γ−α変態核となってHAZ靱性改善に寄与す
る。insol.Alのみしか鋼中に存在しない場合はHAZ
靱性改善効果はみられず、insol.Ti が主体でinsol.
Alが殆ど存在しない場合は、前述した理由によって母
材靱性を確保することが困難になる。
の下限とする。どちらか一方でもこの下限を下回る場合
には、母材靱性とHAZ靱性が共に優れた鋼材を安定し
て生産することは困難になる。
多いほどHAZ組織を改善するが、insol.Al>0. 0
07%、 insol.Ti>0. 017%となると、製造条
件を調整しても、直径30μmを超える粗大介在物の形
成を充分に抑えることができなくなり、HAZ靱性およ
び母材靱性が大幅に悪化する。このため、ここに示した
上限量を設定した。
にとって必須の成分ではないが、多量に存在する場合
は、insol.Tiを0. 001%以下に減少させてしまう
うえに、sol.Al自体がHAZ靱性を悪化させるため、
その含有量は慎重に制御されるべきで、0. 005%を
超えて鋼中に存在してはならない。
iCとなってHAZ靱性を悪化させる。このためNに対
する過剰な含有は制限されなければならず、本発明では
N−sol.Ti間のバランス(A式)を規定している。し
かしながら、たとえ(A)式を満足しても、sol.Tiが
0. 012%を超えて含有される場合は、HAZ組織の
微細化が阻害され、HAZ靱性は良好にはならない。こ
のためこの値を上限値とした。
場合は、鋼中に低級酸化物が残存しやすくなり、母材靱
性・HAZ靱性とも劣化する。それ故に、sol.Ti≧
0. 003%でなくてはならない。
1%は含有させなければ、実用的な強度を有する鋼を生
産することはできない。しかし、CはHAZ靱性悪化の
原因ともなる元素であるから、その上限として、0. 2
5%を設定する。
が、過剰な添加はHAZ部での島状マルテンサイト(高
炭素マルテンサイト−オーステナイト混合相)生成の原
因となるため、上限を0. 6%とする。
3%以上は添加しなければならない。しかし、過剰な添
加はHAZ靱性の大幅な劣化をもたらすため、2. 2%
を超えて添加すべきではない。
おける粒界割れの原因となる元素であるため、本発明に
おいては0. 02%を上限とした。
物を形成するため、0. 010%を超えて含有させては
ならない。しかしながら、0. 001%未満にまで低減
した場合、生産コストがかさむ上に、HAZ靱性が劣化
する傾向を持つため、この量を下限とする。
る場合、鋼材の靱性悪化の原因となるが、過不足量が
(A)式の範囲内であれば、HAZ靱性は悪化しない。
しかし、Nが0. 0010%未満、もしくは0. 007
5%超えの場合にはHAZ靱性が悪化するため、N量は
0.0010〜0.0075%の範囲内でなければなら
ない。
ドやAlオキサイドの形で存在しており、鋼中全酸素量
は、0.0010%以上でなければ、HAZ靱性確保の
ために必要なオキサイド量を確保できない。また、たと
え、sol.Ti、insol.Al等の制限を満足しても、全酸
素量が0.011%を超えるときには、粗大介在物の生
成を抑制することが難しく、母材・HAZ共に靱性が劣
化する。このため、鋼中全酸素量は0.0010〜0.
011%の範囲内とする。
し、強度確保に有効であるが、Crで1. 0%、Moで
0. 7%を超えて含有させた場合、溶接低温割れやHA
Z靱性の劣化を招くため、この値を上限とした。
析出し、制御圧延の効果を高め、母材強度・靱性の向上
に大きく寄与する成分であるが、過剰に添加した場合、
HAZ部靱性を損なう傾向が強いため、Nbでは0. 0
8%、Vでは0. 10%をその上限とする。
方を高め、HAZ部靱性に対する悪影響も少ない成分で
あるが、Cuの添加量が2. 0%を超えると、連続鋳造
時、圧延時にスラブ表面の割れが多数発生し、安定した
効率の良い生産が困難になる。このため、2. 0%を上
限とする。
合には、製造コストの著しい上昇を招くため、やはり、
2. 0%を上限とする。
効な成分であり、γ粒内へBNとして析出し、γ−α変
態の核生成サイトとしても機能して、HAZ靱性を向上
させる作用も持つが、過剰に含有する場合は、焼き入れ
性の上昇によりHAZ靱性の劣化を招くため、上限を
0. 0020%とする。
分を示す。表2に、表1に掲載の各鋼種についてのO,
N,およびTi,Alの含有量、粗大介在物の分散量、
最終脱酸の元素を示す。表3はこれらの鋼種の圧延条
件、母材性能と再現HAZ靱性試験結果をそれぞれ示
す。
って圧延された厚さ40mmの板から切り出したW11mm
×B11mm×L60mmの試験片に、最高加熱温度140
0℃で1400〜800℃の間の温度範囲に40秒保持
後、(800〜500)℃/60秒および(800〜5
00)℃/120秒の冷却速度で室温まで冷却する熱サ
イクルを与えた後、フルサイズシャルピー試験片に加工
し試験に供した。
4)では、合金成分含有量の比較的高い鋼種において
も、O,N,およびTi,Alの含有量と(A)式=f
Nの調整によって高いHAZ靱性を確保することが可能
であることが明らかである。これに対して比較例(15
〜23)の鋼では、sol.Ti、insol.Ti、sol.Al、
insol.Alの値、fNの値および粗大介在物個数のいず
れかが本発明の限定範囲外となるため、本発明鋼(1〜
14)と比べて大入熱溶接部のHAZ靱性が著しく劣化
して、実際の使用において不安を残すことが明らかあ
る。特に、sol.Ti量が少なすぎる場合(鋼種19、2
3)、sol.Tiが多すぎる場合(鋼種18、22)、in
sol.Alが少なすぎる場合(鋼種20、21)におい
て、靱性の劣化傾向が顕著である。
い母材靱性とHAZ靱性を確保することができ、その結
果として、溶接用鋼材の溶接施工性、および溶接構造物
の安全性を大きく向上させることが可能となった。
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%で、C:0. 01〜0. 25%、
Si:0. 6%以下、Mn:0. 3〜2. 2%、P:
0. 02%以下、S:0. 001〜0. 010%、N:
0. 0010〜0. 0075%、O:0. 0010〜
0. 011%、sol.Al:0. 005%以下、insol.A
l:0. 001〜0. 007%、sol.Ti:0. 003
〜0. 012%、insol.Ti:0. 001〜0. 017
%、残部Feおよび不可避的不純物よりなり、かつ、
N、sol.Tiが制限式 【数1】 −0. 0025≦N−(sol.Ti/3. 4)≦0. 0030 ……(A) を満足する範囲内にあり、さらに、径30μmを超える
大きさの介在物が、鋼片研磨面1mm2 当たり平均で0.
3個未満であることを特徴とする、溶接熱影響部靱性に
優れた鋼材。 - 【請求項2】 更に、Cr:1. 0%以下およびMo:
0. 7%以下の内の1種以上を含むことを特徴とする請
求項1記載の溶接熱影響靱性に優れた鋼材。 - 【請求項3】 更に、Nb:0. 08%以下およびV:
0. 10%以下の内の1種以上を含むことを特徴とする
請求項1または2記載の溶接熱影響靱性に優れた鋼材。 - 【請求項4】 更に、Cu:2. 0%以下およびNi:
2. 0%以下の内の1種以上を含むこと特徴とする請求
項1ないし3のうちのいずれか1項に記載の溶接熱影響
靱性に優れた鋼材。 - 【請求項5】 更に、B:0. 0020%以下を含むこ
とを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれか1項
に記載の溶接熱影響靱性に優れた鋼材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17761493A JP3503148B2 (ja) | 1993-06-25 | 1993-06-25 | 溶接熱影響部靱性に優れた鋼材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17761493A JP3503148B2 (ja) | 1993-06-25 | 1993-06-25 | 溶接熱影響部靱性に優れた鋼材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0711381A true JPH0711381A (ja) | 1995-01-13 |
JP3503148B2 JP3503148B2 (ja) | 2004-03-02 |
Family
ID=16034089
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17761493A Expired - Lifetime JP3503148B2 (ja) | 1993-06-25 | 1993-06-25 | 溶接熱影響部靱性に優れた鋼材 |
Country Status (1)
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-
1993
- 1993-06-25 JP JP17761493A patent/JP3503148B2/ja not_active Expired - Lifetime
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