JPH07110908B2 - 樹脂充填用透明無機粉末 - Google Patents

樹脂充填用透明無機粉末

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JPH07110908B2
JPH07110908B2 JP2197619A JP19761990A JPH07110908B2 JP H07110908 B2 JPH07110908 B2 JP H07110908B2 JP 2197619 A JP2197619 A JP 2197619A JP 19761990 A JP19761990 A JP 19761990A JP H07110908 B2 JPH07110908 B2 JP H07110908B2
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glass
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inorganic powder
powder
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比佐雄 八田
孝夫 吉岡
達郎 平野
政行 朝比奈
達政 中村
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Shin Etsu Quartz Products Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、優れた透明性および電気的特性が要求される
樹脂組成物中に充填される無機粉末に係り、例えば、高
透明、高電気絶縁性のアクリル樹脂組成物またはエポキ
シ樹脂組成物等を製造するに適したSiO2-Al2O3-(BaO+
SrO+ZnO)系組成の無アルカリガラスからなる樹脂充填
用透明無機粉末に関する。
「従来の技術」 光半導体素子を構成するシリコンその他のセラミック材
は熱膨張率が極めて小さいために、該半導体素子を封入
する封止材料もこれに合せて低熱膨張性が要求される
が、従来封止材料として使用されているエポキシ樹脂は
セラミックに比して熱膨張率が大きく、例えば大型発光
素子等を埋め込んだ時に両者の境界部等よりクラック等
が発生する恐れがある。
この為従来より前記硬化前の液状状態にある樹脂中に高
純度SiO2の微粉末を所定割合で混入させ、熱膨張率を低
下させる技術が開発されている。(特開昭61-1068号
他) しかしながらSiO2はエポキシ樹脂に比較して屈折率が低
く、この為該樹脂組成物中に光が侵入しても前記SiO2
エポキシ樹脂の境界面で乱反射し、好ましい光透過性を
得る事が出来ない。
そこで従来より、屈折率がSiO2より高くエポキシ樹脂に
近似するガラス材を用いて充填用の無機粉末を製造し、
前記樹脂中に該ガラス製充填材粉末を分散させて、樹脂
の耐熱性、化学的耐久性および機械的強度等を改善した
樹脂組成物が提案されているが、例えば、LEDやEP-ROM
用等の封止材または窓材等においては、これらの改善点
に加え、極めて高い光透過性が要求され、係る要求を満
足するに好適な透明無機粉末の開発が要望されている。
そしてこのような透明無機粉末は無機粉末自体の透明性
のみならず、特開昭49-23847号において開示されている
ようにエポキシ樹脂と透明無機粉末との間の屈折率の差
を±0.01以内に抑える必要があり、更に封止後の電気的
特性も良好に維持されなければならならず、その開発は
中々困難である。
例えば樹脂充填用の透明無機粉末として特公昭54-10118
号公報には、アルカリ成分の少量添加を好適とするSiO2
-Al2O3-B2O3-MgO-CaO系組成のガラス粉末が、また特開
昭56-148538号公報には、SiO2-B2O3-R2O-(RO+ZnO)系
組成のガラス粉末が開示されている。
しかしながらこれらの無機粉末製造用のガラスはいずれ
もガラス中にアルカリ成分が存在するために、液状樹脂
との混練り動作中に該ガラス中のアルカリイオンが溶出
し、このため該アルカリイオンが樹脂溶液のPH値を変化
させて樹脂を変質させ、硬化不安定になるとともに樹脂
組成物中に泡を発生して透明性の悪化を招きやすい。
又硬化後においても前記アルカリイオンの存在により透
明性、絶縁性の経時劣化や金属部分の錆等が生じ、これ
らの変化に伴い電気的特性の甚だしい劣化をきたす。
「発明が解決しようとする課題」 本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み、最終樹脂組成
物に所望の耐熱性、耐久性および機械的強度を維持しつ
つ、泡の発生防止と屈折率調整により紫外域および可視
域における優れた光線透過性を付与することができ、ま
た優れた電気絶縁特性を付与し得る樹脂充填用透明無機
粉末を提供することを目的としている。
「問題を解決するための手段」 本発明者等は、上記目的を達成するため、鋭意試験研究
を重ねた結果、実質的にアルカリ成分を含有しない特定
組織範囲のSiO2-Al2O3-(BaO-SrO-ZnO)系ガラスからなる
透明無機粉末を開発し、これを樹脂充填材として採用す
ることによって、前記所望の諸特性を有する樹脂組成物
がえられることを知ることができた。本発明はこの知見
に基づいてなされたものである。
即ち本発明は、実質的にアルカリ成分を含有する事なく
屈折率(Nd)が1.44〜1.70の範囲に調整されたガラス粉
末を樹脂中に所定割合で充填される樹脂充填用透明無機
粉末において、 前記ガラス粉末を、 少なくともSiO2を30〜65重量%、Al2O3を0.5〜30重量
%、BaO+SrO+ZnOを2〜40重量%を含有しつつ、 SiO2、Al2O3、B2O3、BaO、SrO、ZnO、MgO、CaO、ZrO2
As2O3、Sb2O3及び前記各金属元素の1種又は2種以上の
酸化物と置換した弗化物の合計が85重量%以上になるよ
うに上記各成分が含有されたガラス粉末で形成するとと
もに、 該ガラス粉末の成分溶出液の電気伝導度(EC)が100μ
s以下(160℃熱水に20時間浸漬けし抽出される数値)
であることを特徴とする樹脂充填用無機粉末にある。
尚、本発明の樹脂充填用透明無機粉末は、一般に、平均
粒径が約100μm以下のものを使用し得るが、樹脂の種
類または最終樹脂組成物の用途によっては、平均粒径の
一層小さい粉末が使用される。また、粉末の形状は、破
砕による無定形のもののほか、球状またはファイバー状
等のものを使用し得る。
また、充填の対象となる樹脂は、その屈折率がほぼ上記
ガラスの屈折率の範囲にあるものであればよく、特に限
定されない。エポキシ樹脂およびアクリル樹脂の使用は
好適な例である。
つぎに、本発明のガラスからなる透明無機粉末の組成範
囲を上記のとおり限定した理由について述べる。
すなわち、SiO2成分の量は、ガラスの化学的耐久性、耐
熱性および機械的強度維持のため、10重量%以上、好ま
しくは30重量%以上とするべきであるが、65重量%を超
えるとガラスの溶解が困難となる。
Al2O3成分は、その量が0,5重量%未満ではガラスの化学
的耐久性が乏しくなったり、あるいは耐熱性や機械的強
度が悪くなりやすく、また30重量%を超えるとガラスの
溶融性および紫外線透過性が悪化する。
B2O3成分は、ガラスの溶融性を改善するのに有効である
ので任意に添加し得るが、その量が35重量%を超えると
ガラスの化学的耐久性が悪化して樹脂組成物の電気絶縁
性を劣化させ、また耐熱性および機械的強度が悪くな
る。
BaO、SrOおよびZnO成分は、ガラスの化学的耐久性を悪
化させることなく紫外域および可視域におけるガラスの
透過性を向上するとともにガラスを樹脂中に分散させた
場合、気泡の発生を低減して樹脂組成物の光線透過性を
向上させるのに有効であることがみいだされた重要な成
分あるが、それらの1種または2種以上の成分の合計量
が、2重量%未満では上記効果が十分でなく、またガラ
スの化学的耐久性維持のため、50重量%以下、好ましく
は40重量%以下とすべきである。
MgOおよびCaO成分は、ガラスの溶融性および安定性を改
善するのに有効であるため、本発明のガラスに任意に添
加し得るが、これらの1種または2種の成分の合計量
が、25重量%を超えると紫外線域の光線透過性が悪くな
り、また化学的耐久性が悪化しやすくなる。
ZrO2成分は、ガラスの化学的耐久性、耐熱性および機械
的強度を改善するのに有効であるため、同様に添加し得
るが、その量が10重量%を超えるとガラスの溶融性およ
び安定性が悪くなりやすい。
As2O3およびSb2O3成分は、ガラスの溶融時の清澄剤とし
て添加し得るが、それらの1種または2種の成分の合計
量は3重量%以下で十分である。
上記各金属酸化物の一部または全部と置換した弗化物成
分は、ガラスの溶融性および紫外線透過性を改善するの
に有効であるので任意に添加し得るが、弗素(F2)とし
ての合計量が5重量%を超えるとガラスが失透を生じや
すくなる。
なお、上記ガラスの各成分は、合計で85重量%以上、好
ましくは90重量%以上とすべきであり、上記成分の他
に、所望の特性を損わない範囲内で、La2O3、Y2O3、Gd2
O3、Ta2O5、Nb2O5、WO3、P2O5、GeO2、Bi2O3、TiO2およ
びPbOの各成分の1種または2種以上の合計量を15重量
%まで添加し得る。またSnO2、MnO2、NiO、C0O、Fe
2O3、Cu2O等の着色剤および乳白剤の1種または2種以
上の成分を合計量で3重量%まで、さらに、Li2O、Na2O
および、K2O成分は溶融性改善のため2重量%まで、必
要に応じ、添加できる。
上記組成のガラスは、樹脂の屈折率に許容範囲内で合致
するよう成分比を調整したガラス原料を配合した後、通
常の方法で溶融、成形し、ついで急冷または徐冷して得
ることができ、その後このガラスを粉砕し、粒度調整し
て、本発明の樹脂充填用透明無機粉末とする。
そして上記の粉末は、慣用の方法で樹脂中に約10〜80重
量%充填させて混合し、その後、硬化させて透明な樹脂
組成物を得ることができる。また、この場合、ガラス粉
末は乾燥処理やシランカップリング等の表面処理を行な
う等の一般的技術を施すことにより、樹脂組成物の機械
的強度、化学的耐久性、耐熱性および透明性を改善する
ことができる。
つぎに、本発明の樹脂充填用透明無機粉末にかかる好適
な実施例につき説明する。
表−1に実施例No,1〜7を示した。これらの組成からな
るガラスを、通常の溶融装置および光学ガラス原料を用
いて、組成による溶融の難易度に応じて約1350〜1500℃
の温度で溶融し、撹拌均質化した後、ブロック形状に成
形し徐冷した。
次に、徐冷後の上記ガラスの屈折率(ヘリウムランプの
d線の波長での屈折率、以下Ndで示す)、及び1m/m厚さ
の対面研磨試料の300nmの波長での光線透過率(以下T
300nmで示す)を測定し、それぞれその値を表−2に示
す。
そして前記ガラスをポットミルで粉砕し、櫛にかけて平
均粒径10μmの樹脂充填用透明無機粉末を得た。この粉
末の化学的耐久性テストとして、粉末試料を純水中に浸
漬して、オートクレーブ中で160℃、20時間処理した
後、室温まで冷却してガラス中の成分溶出液の電気伝導
度(EC)を測定し、又平行テストとして常温の純水中に
おけるガラス成分溶出液のPH値を測定した。PH値は、42
0〜590μmの粒度範囲に破砕したガラスを比重グラムの
50倍量採り、200mリットルの純水を入れた石英ガラス製
フラスコに投入し、振とう器で24時間振とうさせた後、
フラスコ中の溶液をPH測定器で測定した値である。
つぎに、上記のポットミル粉砕後の各無機粉末を乾燥処
理し、エポキシ樹脂中に夫々所定割合充填し、混合均一
化させた後、その混合物を所定の型に鋳込み、硬化させ
ることにより透明な樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を1m/m厚さの対面研磨試料のT350nmおよ
びT500nmの測定値を調べたところ、ガラス充填量が10%
の実施例No,2、4、6についてはT350nmおよびT500nm
(紫外域及び可視域での光線透過率)は、いずれも高い
値を示した。ガラス充填量が50%の実施例No,1、5、7
および同60%の実施例No,3のについては、T350nmおよび
T500nmの値は、いずれも下記比較例(ガラス充填量50
%)の場合に比べ一段と高い値を示した。
また、樹脂とガラスの界面に生ずる気泡について、顕微
鏡観察した結果(無し〜極めて少ない;○、若干有り;
△、多数有り;×で示す)、各実施例については気泡は
みられなかったが、電気伝導度(EC)が100μs以上の
比較例については気泡の発生がみられた。
一方、表−1に前記従来の比較例(No,IおよびII)を、
また同様にその試験結果を表−2に示したが、比較例は
いずれもエポキシ樹脂と透明無機粉末との間の屈折率の
差ΔNdが±0.01以内にあるにも拘らず、好ましい光透過
性を得る事が出来なかった。この理由は前記組成上の問
題と電気伝導度(EC)が100μs以上であり、PH値も一
段と高いために気泡の発生があった為と思われる。
従って上記の実施例から明らかなとおり、本発明のガラ
スからなる透明無機粉末は従来の比較例と比べ、光線透
過率が高いうえ、EC値とPH値がいずれも小さく、強いア
ルカリ性を示さないので、樹脂の変質および硬化の不安
定性を極めて小さくすることができる。そのため、最終
樹脂組成物の硬化後の泡の発生は無いかまたは非常に少
く、紫外域から可視域に及ぶ光線透過率は一段と高く改
善されている。その上、電気絶縁性が一層向上し、信頼
性に富むものになっている。
本発明の上記実施例の透明無機粉末は、ガラスそのもの
が実質的に無アルカリであるから、電気絶縁性に優れ、
その体積抵抗率は、20℃において、1014以上の値を示す
とともに、耐熱性および機械的強度にも優れているの
で、最終樹脂組成物に所望の特性を与えることができ
る。
「発明の効果」 上記のとおり、本発明にかかる樹脂充填用透明無機粉末
は、SiO2-Al2O3-(BaO+SrO+ZnO)系ガラスからなるもので
あるから、樹脂の変質、硬化の不安定および硬化後の泡
の発生を防止し、紫外可視域の透過性の優れた樹脂組成
物をつくることができ、かつ、電気絶縁性、耐熱性およ
び機械的強度が優れているので、これらの特性が要求さ
れる前記用途その他光学用途等の所望の樹脂組成物を容
易に得ることができる等の種々の著効を有す。
フロントページの続き (72)発明者 吉岡 孝夫 神奈川県相模原市小山1丁目15番30号 株 式会社オハラ内 (72)発明者 平野 達郎 福島県郡山市田村町上行合字南川田50 株 式会社龍森郡山工場内 (72)発明者 朝比奈 政行 東京都港区芝公園2丁目9番5号 株式会 社龍森内 (72)発明者 中村 達政 東京都新宿区西新宿1丁目22番2号 信越 石英株式会社内 (56)参考文献 特開 昭53−129299(JP,A) 特公 昭56−44589(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的にアルカリ成分を含有する事なく屈
    折率(Nd)が1.44〜1.70の範囲に調整されたガラス粉末
    を樹脂中に所定割合で充填される樹脂充填用透明無機粉
    末において、 前記ガラス粉末を、 少なくともSiO2を30〜65重量%、Al2O3を0.5〜30重量
    %、BaO+SrO+ZnOを2〜40重量%、含有しつつ、 SiO2、Al2O3、B2O3、BaO、SrO、ZnO、MgO、CaO、ZrO2
    As2O3、Sb2O3及び前記各金属元素の1種又は2種以上の
    酸化物と置換した弗化物の合計が85重量%以上になるよ
    うに上記各成分が含有されたガラス粉末で形成するとと
    もに、 該ガラス粉末の成分溶出液の電気伝導度(EC)が100μ
    s以下(160℃熱水に20時間浸漬けし抽出される数値)
    であることを特徴とする樹脂充填用無機粉末。
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