JPH07110491A - 空間光変調素子およびその製造方法 - Google Patents

空間光変調素子およびその製造方法

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JPH07110491A
JPH07110491A JP15353494A JP15353494A JPH07110491A JP H07110491 A JPH07110491 A JP H07110491A JP 15353494 A JP15353494 A JP 15353494A JP 15353494 A JP15353494 A JP 15353494A JP H07110491 A JPH07110491 A JP H07110491A
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JP
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layer
amorphous semiconductor
spatial light
island
liquid crystal
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JP15353494A
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English (en)
Inventor
Koji Akiyama
浩二 秋山
Akifumi Ogiwara
昭文 荻原
Kuni Ogawa
久仁 小川
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 明るく、高コントラストで高解像度の画像を
出力できる投射型ディスプレイに使用できる空間光変調
素子を提供する。 【構成】 ガラス基板101上に透明導電性電極102と導電
率の小さい非晶質半導体層103と導電率の大きい非晶質
半導体層104からなる光導電体層105と島状反射鏡106と
を積層し、島状反射鏡106間の光導電体層105を除去し、
非晶質半導体層103の方が非晶質半導体層104に比べて幅
広の溝部を設け、この溝部底部にAl遮光膜117を形成
し、溝部内にポリイミド絶縁膜118と炭素粒子を分散し
たレジストを充填して光吸収層109を形成後、ポリイミ
ド配向膜108を積層する。これと透明導電性電極110とポ
リイミド配向膜111を積層したガラス基板112との間に1
〜2μm厚の強誘電性液晶層107を密封する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光演算装置、プロジェ
クションディスプレイ等に用いられる空間光変調素子お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶を用いた光書き込み型の空間光変調
素子(以下、空間光変調素子といえば特別にことわらな
い限りこの光書き込み型のものを指す)の基本的な構造
は、光導電体層と電界の印加により光の透過率が変化す
る液晶層を対向する2つの透明導電性電極で挟み込んだ
ものである。この素子の駆動は、両透明導電性電極間に
外部から電圧を印加することによってなされる。そし
て、この状態で光導電体層に書き込み光を照射すると、
光導電体層の電気抵抗が変化して液晶層に印加される電
圧が変化し、この電圧の大きさによって液晶層を通過す
る読み出し光が変調される。この動作を使って、光のし
きい値処理、波長変換、インコヒーレント/コヒーレン
ト変換、画像メモリなどの機能を実現することができる
ため、空間光変調素子は光情報処理のキー・デバイスと
して位置づけられている。また、光強度の大きい読み出
し光を書き込み光とは反対方向から入射し、書き込んだ
内容を反射型で読み出せば光増幅機能をも実現すること
ができることため、プロジェクションディスプレイとし
ても応用することができる。
【0003】現在、実用化されているプロジェクション
ディスプレイの方式としては、この光書き込み型空間光
変調素子を用いたものの他に、高輝度3管CRTによる
投射する構成のものや、アクティブマトリックス液晶ラ
イトバルブを高輝度光源で投射するものがある。CRT
による方法は、対角5〜7インチのR,G,B3本の高
輝度CRTに画像を表示し、その画像を3本の投射レン
ズでスクリーン上に投射して合成し、カラー画像を得る
もので、投影装置の重量が重い、高輝度表示のため解像
度が低いなどの問題がある。アクティブマトリックス液
晶ライトバルブの方法は、R,G,B3枚の液晶パネル
あるいはR,G,Bカラーフィルターを一体化した1枚
の液晶パネルに画像を表示し、メタルハライドランプや
ハロゲンランプなどの高輝度のバックライト光源で読み
だし、スクリーン上に投影するもので、CRTによる方
法に対し、投影装置を小型軽量にできる利点がある。し
かし、高解像度の画像を得るためには、液晶パネルの画
素サイズを小さくせねばならず、このため、画素の大き
さに対する遮光領域(アクティブマトリックス駆動のた
めのトランジスタ部分)の割合が大きくなり画素の開口
率が低下して画像が暗くなるという問題がある。
【0004】以上のように、解像度と明るさはトレード
・オフの関係にあり、CRTおよびアクティブマトリッ
クス液晶ライトバルブを用いたプロジェクションディス
プレイではこれらを両立することができなかった。一
方、光書き込み型空間光変調素子を用いた場合は、光導
電体層にCRTで画像を入力し、その画像を液晶層側か
ら高輝度光源によって反射型で読み出し、投射レンズに
よってスクリーン上に投影する方式である。この方式
は、小型軽量で、かつ高解像度で明るい画面を提供で
き、従来のディスプレイがもつ、明るさと解像度の問題
を解決できる画期的な方法である。
【0005】このように光書き込み型の空間光変調素子
は、高解像度で明るい画面が得られるのであるが、空間
光変調素子を反射型で画像を出力するようにするために
は、光導電体層と液晶層との間に屈折率の異なる誘電体
を1/4波長の膜厚で交互に幾重にも積層した誘電体反
射鏡、あるいは島状の金属膜を2次元マトリックス状に
配列した島状反射鏡が設けられる。誘電体反射鏡を用い
た場合、反射率を高めるためには誘電体の層数を増やす
必要があるが、誘電体反射鏡の厚みが増加することにな
る。誘電体反射鏡の厚みが増加すると、誘電体反射鏡中
での電界強度が減少するため、誘電体反射鏡内にトラッ
プされた電荷は吐き出されにくくなる。この電荷は、素
子を動作していると時間とともに誘電体反射鏡中に蓄積
していくため、液晶層にかかる電圧が不安定になり、素
子の動作条件が変動したり、残像を生じたりする問題が
ある。
【0006】一方、島状金属反射鏡の場合はこのような
問題点は無いが、反射鏡のない部分では光導電体層が読
み出し光に対してさらされており、光導電体層に読み出
し光が洩れてしまうため、読み出し光によって液晶層が
スイッチングしてしまうという望ましくない状態を生じ
てしまう。そのため、島状反射鏡の無い部分には読み出
し光が洩れてこない様に、遮光構造を設ける必要があ
る。この一例として、島状反射鏡と光導電体層の間に光
吸収層を設けた構造(特開昭62ー40430号公
報)、および図8のように島状金属反射鏡801間およ
び反射鏡の下の光導電体層802をエッチングで除去
し、さらに光吸収層803として黒色顔料を分散した有
機高分子ポリマーを充填した構造が提案されている(特
願平4ー136581号)。後者の構造は、島状反射鏡
801下の光導電体層802の一部を除去することによ
り、斜めに入射してくる読み出し光に対しても、読み出
し光が光導電体層802に届かないように工夫したもの
である。なお、図8中、804,805はガラス基板、
806,807は透明導電性電極、808は液晶層、8
09は配向膜である。
【0007】空間光変調素子の光導電体層を構成する材
料として、可視光に感度を有する水素化非晶質シリコン
(以下、a−Si:Hと略記する)膜が通常用いられ
る。a−Si:H膜の成膜にはプラズマ化学的気相成長
法(以下、CVDと略記する)が用いられるが、a−S
i:H膜の光導電性は、成膜時の基板温度に強く依存す
る。衆知なことであるが、a−Si:Hの成膜時の基板
温度は、200〜300℃の範囲に設定されるのが最も
好ましく、300℃以上または150℃以下では膜中の
ダングリングボンド密度が増加してしまうため好ましく
ない。何故なら、ダングリングボンドは、キャリヤをト
ラップまたは再結合させる欠陥として働くため、ダング
リングボンド密度の増加は、光導電性を著しく低下させ
るからである。空間光変調素子における光導電体層の機
能は、書き込み光の照射により光励起キャリヤを発生し
て液晶層側へ輸送することであり、光導電体層は空間光
変調素子の感度および応答速度を決める重要な構成要素
である。従って、光導電体層には、高い光導電性が要求
される。そのため、a−Si:Hは、プラズマCVD法
において、基板を200〜300℃の範囲に加熱した状
態で成膜されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来例
(特開昭62−40430号公報)の空間光変調素子に
用いられている光吸収層としては、有機体層に黒色染料
を染色したもの、あるいは炭素または炭化珪素の層が使
用されているが、黒色に染色した有機体層では、透過率
がせいぜい1%程度と高く、100万ルックス以上の読
み出し光に対して、1万ルックスの洩れ光が光導電体層
に入射することになり、これでは液晶層が完全に誤動作
する。誤動作を防ぐためには、読み出し光強度を小さく
しなければならず、結局明るい画面を得ることができな
くなってしまう。また、炭素または炭化珪素を光吸収層
に使用した場合では、これらの材料の禁止帯幅が狭いた
め、導電率が大きく、電荷の横流れを生じ、画像の解像
度が著しく低下してしまう。従って、従来例では、ディ
スプレイとして重要な、明るい高解像度の画像を得るこ
とはできないという問題があった。
【0009】また、もう一方の例(特願平4ー1365
81号)では、図8に示すように島状反射鏡801間の
光導電体層802及び島状反射鏡801の下の光導電体
層802が除去されて溝が形成されており、その溝に光
吸収層803として黒色顔料を分散した有機高分子ポリ
マーを充填している。島状反射鏡801の下の光導電体
層802は、島状反射鏡801の端から2μm以上内側
に削られているため、2000〜3000Å厚の島状反
射鏡801を構成する金属薄膜は折れ曲がってしまう。
島状反射鏡801が折れ曲がると折れ曲がり部分で読み
出し光が散乱され、この散乱成分は投射レンズで集光で
きなくなるため、投射画像が暗くなる問題があった。ま
た、ひどい場合には折れ曲がり部分が完全に切断してし
まい、結局読み出し光の斜め成分の光導電体層802へ
の入射を除去できなくなって、液晶層808が誤動作し
て出力画像が白く浮き上がった状態になって画像のコン
トラストが著しく低下してしまう問題があった。
【0010】コントラストを上げるためには読み出し光
の強度を下げなければならず、明るい画像は得られな
い。さらに、切断された反射鏡が、液晶層808に混入
して液晶層808を短絡したり、隣接する島状反射鏡8
01と接触して、その画素の動作を不能にしたりするた
め、正常動作する素子を作製できないという問題があっ
た。
【0011】この島状反射鏡801の折れ曲がりを防止
するためには、島状反射鏡801を構成する金属薄膜の
厚みを少なくとも1μm以上に増加するとよいのである
が、このように厚みを増加すると微細な島状反射鏡80
1のパターンを形成することが困難になり、高解像度の
画像を出力できなくなってしまうとともに、厚みを増し
たことによって金属薄膜の応力が大きくなり島状反射鏡
が剥がれてしまう問題を生じてしまう。以上のように、
特願平4ー136581号に記載の発明では、明るくて
高コントラストで、かつ高解像度の画像が得られないと
ともに、素子作製の歩留まりが非常に悪いという問題が
あった。
【0012】一方、空間光変調素子の光導電体層を構成
するa−Si:H膜のプラズマCVD法による成膜プロ
セスの大きな流れは、先ず成膜する基板を真空容器内に
配置して200〜300℃の温度に加熱し、所定膜厚の
a−Si:Hを成膜した後、室温付近まで冷却して取り
出す、というものである。しかし、このプロセスにおい
て、基板の加熱と冷却にそれぞれ1時間以上の時間を要
しており、成膜に要する時間と同じあるいはそれ以上の
時間を費やしてしまっている。加熱時間を減少するに
は、ヒーターに流す電流を増加して温度上昇速度を速め
てやれば良いが、空間光変調素子の均一な画像出力を実
現するために、光導電体層には均一な光感度が要求され
るため、基板の温度の均一性はおろそかにできない。
【0013】結局、均一な基板温度を得るためには、ど
うしても1時間程度の加熱時間が必要であり、温度上昇
速度を速めてやっても時間短縮はできない。また、冷却
時間を短縮するために、水冷を使って基板を急冷する
と、膜の応力が大きくなって、膜剥がれやクラックを生
じてしまう、高温時の高ダングリングボンド密度が膜内
に凍結されてしまうため、a−Si:Hの光導電性が低
下する問題があった。そのため、成膜後の基板は徐冷す
る必要があり、冷却にも少なくとも1時間程度の時間を
要してしまっていた。そのため、成膜に要する時間を短
くするためにa−Si:Hの成膜速度を速めても、加熱
・冷却時間に律速されてしまい、空間光変調素子の量産
性は低く、実用的でないという問題があった。
【0014】本発明は、かかる点に鑑み、島状反射鏡の
厚みが薄くても折れ曲がりや折れの無い、明るく、かつ
高コントラストで高解像度の画像を出力できる空間光変
調素子を提供すると共に、プラズマCVD法において加
熱・冷却時間を殆ど必要としない光導電体層の作製を可
能とした空間光変調素子の製造方法の提供を目的とする
ものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の空間光変調素子は、透明導電性電極を具備
した2枚の透明絶縁性基板で挟まれた領域に導電率の小
さい非晶質半導体層と導電率の大きい非晶質半導体層を
順次積層してなる光導電体層と液晶層とこれらの層の間
に同一平面内に設けられた複数個の島状反射鏡とを少な
くとも具備し、前記島状反射鏡間の前記光導電体層に溝
部を設け、前記溝部の幅が前記導電率の大きい非晶質半
導体層に比べて前記導電率の小さい非晶質半導体層の方
を広くした構成である。
【0016】また、前記構成においては、導電率の小さ
い非晶質半導体層の禁止帯幅が、導電率の大きい非晶質
半導体層の禁止帯幅より広くなっているほうが好まし
い。また、前記構成においては、光導電体層が整流性を
有するのが好ましい。また、前記構成においては、光導
電体層が、シリコンを主成分とするのが好ましい。
【0017】また、前記構成においては、溝部に可視光
を吸収する遮光物質が充填されているのが好ましい。
【0018】また、前記構成においては、導電率の大き
い非晶質半導体層が、ゲルマニウムを主成分とするのが
好ましい。
【0019】また、本発明に係わる空間光変調素子の第
1の製造方法は、透明導電性電極を具備した2枚の透明
絶縁性基板で挟まれた領域に非晶質半導体からなる光導
電体層と液晶層とこれらの層の間に同一平面内に設けら
れた複数個の島状反射鏡とを少なくとも備えた空間光変
調素子の製造方法であって、減圧にし得る真空容器内に
所定のガスを導入して所定の内圧とし、前記真空容器内
において放電現象を生起させてプラズマを形成し、15
0℃以下の低温で透明導電性電極上に光導電体層を形成
し、島状反射鏡を形成した後、少なくとも有機薄膜を塗
布し150℃を越える温度で熱処理を行う工程を経た
後、液晶層を形成することを特徴とする。
【0020】また、本発明に係わる空間光変調素子の第
2の製造方法は、透明導電性電極を具備した2枚の透明
絶縁性基板で挟まれた領域に非晶質半導体からなる光導
電体層と液晶層とこれらの層の間に誘電体反射鏡とを少
なくとも備えた空間光変調素子の製造方法であって、減
圧にし得る真空容器内に所定のガスを導入して所定の内
圧とし、前記真空容器内において放電現象を生起させて
プラズマを形成し、150℃以下の低温で透明導電性電
極上に光導電体層を形成し、誘電体反射鏡を150℃を
越える温度で形成した後、液晶層を形成することを特徴
とする。
【0021】
【作用】以上のように本発明の構成によれば、島状反射
鏡と接する導電率の大きい非晶質半導体層は、島状反射
鏡の無い部分は完全に除去されているが、島状反射鏡下
の導電率の大きい非晶質半導体層は殆ど除去されていな
いので、膜厚が薄くても島状反射鏡が折れ曲がることは
ない。従って、散乱により投射画像が暗くなることがな
く、また、折れた破片を発生することもないので、液晶
層の短絡および隣合う画素の動作不良もない。さらに
は、島状反射鏡の厚みが薄くできるので、島状反射鏡の
膜剥がれも無く、微細な島状反射鏡パターンを精度良く
形成することができるので、高解像度の画像を出力でき
る。
【0022】また、島状反射鏡の間から読み出し光の斜
め成分が入射してきても、導電率の大きい非晶質半導体
層は、空乏層が非常に薄い上に、光励起キャリヤ以上の
自由キャリヤが存在するため、導電率変化は無視でき
る。斜め入射の読み出し光が導電率の大きい非晶質半導
体層を通過して、導電率の小さい非晶質半導体層に入射
しても、斜め成分が入射する領域内の導電率の小さい非
晶質半導体層は除去されている上に、この部分に遮光物
質を充填しておれば、斜め成分の光は殆ど問題が無い迄
に吸収されてしまうので、光導電体層の導電率変化はな
く、読み出し光の洩れによって液晶層が誤動作すること
はない。従って、高輝度の読み出し光によって画像を読
みだしても、液晶層の誤動作によるコントラストの低下
を招くことなく、明るい画像を投射することができる。
以上のことから、本発明の空間光変調素子は、島状反射
鏡の厚みが薄くても折れ曲がりや折れが無く高歩留まり
であり、かつ明るく、高コントラストで高解像度の画像
を提供することができる。
【0023】次に、前記本発明の方法の第1および第2
の方法によれば、加熱・冷却時間を殆ど必要としない光
導電体層を得ることができるかについて説明する。a−
Si:H膜の応力、禁止帯幅や光導電性などの物性は、
膜中に存在する水素含有量およびSiH,SiH2,(Si
2)n(ここでn=2,3,4,…)などの水素結合状態に
依存することは衆知の通りである。従って、水素結合状
態に影響を与える成膜時の基板温度によってa−Si:
Hの物性が変化することも明かである。一般に基板温度
を150℃以下の低温で成膜すると、膜中の水素含有量
が多く、膜の圧縮応力は低下し膜の基板に対する密着性
は向上するが、光導電性は著しく低下する。また、20
0℃以上の高温時での成膜は、水素の熱的挙動が水素結
合状態を決める大きな要因となるが、150℃以下の低
温時の成膜では、膜質は基板温度よりも膜を形成するラ
ジカルの状態に依存する。
【0024】従って、従来の空間光変調素子を構成する
a−Si:H層の成膜時に要求される基板温度の均一性
は、基板温度が200〜300℃と高いために±5℃以
下とされなければならなかったが、本発明の方法によれ
ば、基板温度が150℃以下と低いため、±20℃程度
の均一性でもよい。そのため、基板の加熱時間を短くし
ても膜質の均一性には問題が無い。
【0025】また、水冷によって冷却時間を短くして
も、膜の密着性が高いため剥がれることはない。しか
し、この状態ではa−Si:H膜の光導電性は低く、空
間光変調素子を作製しても感度が小さくて動作できな
い。しかし、a−Si:H成膜後、空間光変調素子を作
製する過程の中で、ポリイミドやポリビニルアルコール
などの液晶層の配向膜を形成する際に150〜300℃
の温度に加熱する、またはスパッタ法や電子ビーム蒸着
法により誘電体反射鏡を形成する際に同様の温度に加熱
する工程がある。低基板温度で作製された光導電性の低
いa−Si:Hでも、基板温度以上の温度に再加熱する
と膜内で水素原子の離脱および結合状態の変化を生じる
ため、光導電性が著しく向上し、空間光変調素子として
動作できるようになる。すなわち、低い基板温度で光導
電体層を形成し、空間光変調素子を作製すれば、加熱お
よび冷却時間を大幅に短縮でき、量産性を高めることが
できる。
【0026】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。図1は本発明に係わる空間光変調素子の一
実施例を示す断面図である。
【0027】図1に示すように、透明絶縁性基板101
(例えばガラス板)上に透明導電性電極(例えば、IT
O(インジウム−スズ酸化膜)、ZnOまたはSnO2
等の導電性酸化物)102と、導電率の小さい非晶質半
導体層103及び導電率の大きい非晶質半導体層104
からなる光導電体層105とが順次積層されている。ま
た、光導電体層105上には、島状反射鏡106と液晶
層107を配向する配向膜108とが順に配置されてお
り、島状反射鏡106間の光導電体層105は除去され
て溝が形成されている。この溝は、図1に示すように導
電率の大きい非晶質半導体層104に比べて導電率の小
さい非晶質半導体層103の方が幅が広くなっており、
この溝の部分には光吸収層109が充填されている。ま
た、対向側の透明導電性電極110にも配向膜111が
一様に成膜されている。なお、図1中、112は透明絶
縁性基板(例えば、ガラス基板)である。
【0028】この空間光変調素子の駆動は、両透明導電
性電極102,110間に外部から電圧を印加すること
によってなされる。そして、この状態で光導電体層10
5に書き込み光113が照射されると、光が照射されて
いる部分の液晶層107にかかる電圧が増大し、この電
圧の大きさに応じて液晶分子の配向状態が変化する。こ
の配向状態の変化は偏光子114と検光子115を組み
合わせた光学系を用いて、書き込み光113とは反対の
方向から読み出し光116を入射することにより、島状
反射鏡106からの反射光として観測することができ
る。
【0029】液晶層107に用いる材料としては、ネマ
ティック液晶、スーパーツイストネマティック液晶、強
誘電性液晶、反強誘電性液晶、ポリマー中に液晶を分散
させた分散型液晶等が挙げられる。強誘電性液晶又は反
強誘電性液晶を用いた場合、液晶層107の厚みを小さ
くできることから電気インピーダンスを小さくでき、光
導電体層105の膜厚を薄く設定できるとともに、高速
応答が可能で、メモリ機能ももつことから有用である。
また、強誘電性液晶の透過特性は電圧に対し急峻な閾値
特性を有するため、入力光に対する閾値処理を行う上で
は最適な材料である。
【0030】一方、分散型液晶を用いた場合は偏光子1
14、検光子115および配向膜108,111が不用
になり、出力光が明るくなるとともに、素子および光学
系が簡単になるという利点がある。また、分散型液晶以
外の液晶材料を用いた場合には、液晶層107は樹脂に
よって密封されるとともに、層厚を調整するためにスペ
ーサー(図1には示していない)が液晶層107中に混
入される。このスペーサーとしては通常、アルミナや石
英のビーズあるいはガラスファイバーの粉末が使用され
る。また、これらのスペーサーは液晶層107を密封す
る樹脂中にも混入される。液晶を配向するための配向膜
108,111は、SiOx 斜法蒸着膜またはラビング
処理を施したポリイミド、ポリビニルアルコールなどの
有機高分子薄膜からなっている。
【0031】導電率の小さい非晶質半導体層103は、
書き込み光113の入射に対し効率よく光キャリヤを発
生し、液晶層側へ輸送する機能が要求されていることか
ら、可視光に対し高い光導電性を有する材料で使用され
る。例えば、a−Si:H、a−Si1-xx:H(水素
化非晶質シリコンカーバイド),a−Si1-xGex:H
(水素化非晶質シリコンゲルマニウム)などが挙げられ
る。衆知のことではあるが、上記の水素化非晶質半導体
には、キャリヤトラップとして働くダングリングボンド
を効果的に減少させるために、F,Clなどのハロゲン
原子を水素と同様に添加してもよいし、および/または
微量(例えば、0.1〜10原子%)の酸素(O)原子を
含有させてもよい。また、導電率をより小さくするため
にホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(G
a)、インジウム(In)などの元素を0.1〜10p
pm程度添加してもよい。これらの中では、a−Si:
Hが最も光導電性が優れており、素子の感度を上げるこ
とができ有用である。
【0032】導電率の大きい非晶質半導体層104に使
用する材料としては、上記a−Si:H、a−Si1-x
x:H,a−Si1-xGex:Hに燐(P)、砒素(A
s)アンチモン(Sb)、セレン(Se)を10〜1
0,000ppm程度添加したものが上げられる。導電
率の小さな非晶質半導体層103にa−Si:Hを使用
した場合、導電率がa−Si:Hより大きく、禁止帯幅
がa−Si:Hより小さい水素化非晶質窒化ゲルマニウ
ム(a−Ge1ーxx:H、x≦0.5)または水素化非
晶質窒化シリコンゲルマニウム(a−Si1ーx-yGex
y:H、但し、0.5≦x,y≦0.5)を導電率の大き
い非晶質半導体層104として用いると、読み出し光1
16の洩れ光を効率よく吸収してくれるので、より好ま
しい。また、a−Ge1ーxx:Hおよび a−Si1ーx-y
Gexy:H中には禁止帯幅が広がらない程度に酸素原
子を含有しても問題は無い。具体的には、それぞれO/
Ge≦30%およびO/(Si+Ge)≦30%であ
る。
【0033】光導電体層105に整流性をもたせると、
書き込み光113の入射に対して、効率的な光キャリヤ
発生および輸送が可能になるとともに、液晶層107に
書き込んだ画像を順方向電流を流すことによって消去で
きる。導電率の小さい非晶質半導体層103に上記の材
料を使用し、導電率の大きい非晶質半導体層104に上
記のn型不純物(P,As,Sb,Seなど)の元素を
添加した材料を使用することで、光導電体層105はi
/n構造が形成されているため、整流性をもつことがで
きる。光導電体層105をより高光感度にし、より大き
な順方向電流を流せるように、導電率の小さい非晶質半
導体層103と透明導電性電極102との間にp型不純
物(B,Al,Ga,Inなど)を10〜10,000
ppm添加したp型のa−Si:H、a−Si1-xx
H(但し、0<x<0.4が望ましい)を膜厚50〜1
000Å、好ましくは100〜300Åで形成するとよ
い(但し、図1には図示していない)。光導電体層10
5の膜厚は、液晶層107との関係で決められるが、通
常0.5〜10μmである。このうち、導電率の大きい
非晶質半導体層104の膜厚としては、島状反射鏡10
6が折れ曲がらないように0.3μm以上必要であり、
導電率の小さい非晶質半導体層103の膜厚としては、
書き込み光113を十分吸収できるように0.5μm以
上に設定されることが望ましい。
【0034】島状反射鏡106は、反射率の大きなA
l,Ag,Mo,Ni,Cr,Mg,Tiなどの金属の
うち1種類あるいは2種類以上積層した薄膜からなり、
2次元マトリックス状またはモザイク状に配列される。
島状反射鏡106は図1のように分離していなければな
らないが、その形状の如何は問わない。島状反射鏡10
6がこのように分離している理由は、これらが連続して
いると同一電位になって電位差を生じないため、作像が
不可能になるためである。また、個々の反射鏡106
が、それぞれ、出力画像における1個の画素に対応して
いる。キャリヤの横方向への拡散を防止し、素子の高解
像度化を図る目的で島状反射鏡106間の導電率の大き
い非晶質半導体層104は少なくともエッチングして除
去する必要がある。こうすることにより、島状反射鏡1
06間でのキャリヤの横流れは抑制され、素子の高解像
度化が可能になる。
【0035】しかし、このままでは強度の大きな光で読
みだした場合に、島状反射鏡106間の間隙から読み出
し光116が光キャリヤの発生を司る導電率の小さい非
晶質半導体層103に入射し、液晶層107を誤動作さ
せてしまう。これを防ぐために、導電率の大きい非晶質
半導体層104だけでなく島状反射鏡106間の導電率
の小さい非晶質半導体層103も除去している。読み出
し光116の斜め成分が、導電率の小さい非晶質半導体
層103に入射するのを防ぐため、この層103では導
電率の大きい非晶質半導体層104に比べて横方向に広
く除去されている。溝の深さは光導電体層105の膜厚
と同じであることが望ましいが、図1に示すように、可
視光を殆ど吸収せずに透過できる程度の膜厚、好ましく
は1μm以下、最適には0.5μm以下の光導電体層1
05を残すように設定されてもよい。
【0036】さらに、この溝の部分には、可視光を吸収
する材料で構成される光吸収層109(例えば、炭素粒
子を分散した有機高分子ポリマー、黒色顔料を配合した
有機高分子ポリマー、またはa−C:H、a−Ge:
H、a−Ge1ーxx:Hから成る)を形成されており、
島状反射鏡106の間隙から洩れてくる読み出し光11
6を吸収する。また、読み出し光116の遮光をより完
全なものにするため、Al,Ag,Mo,Ni,Cr,
Mgなどの金属遮光膜117を穴の底部に形成してもよ
い。
【0037】島状反射鏡106間の電気的絶縁を完全に
するために、SiOx,SiNx,SiCx,GeOx,G
eNx,GeCx,AlOx,AlNx,BCx,BNx等の
無機絶縁物またはポリイミド,ポリビニルアルコール,
ポリカーボネート,ポリパラキシレン,ポリエチレンテ
レフタレート,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリ
塩化ビニリデン,ポリスチレン,ポリ四弗化エチレン,
ポリ三弗化塩化エチレン,ポリ弗化ビニリデン,六弗化
プロピレン−四弗化エチレンコポリマー,三弗化エチレ
ン−弗化ビニリデンコポリマー,ポリブテン,ポリビニ
ルブチラール,ポリウレタンなどの有機絶縁物からなる
絶縁膜118を溝の部分に形成してもよい。
【0038】島状反射鏡106を構成する材料として、
上記金属薄膜の代わりにTaO2 、Siのように屈折率
の大きな薄膜とMgF、SiO2 のように屈折率の小さ
な薄膜を交互に多層に積層した多層誘電体反射鏡を使用
してもよい。
【0039】光導電体層105膜は、図2に示すような
プラズマCVD装置において作製される。電源201
は、直流または高周波(1kHz〜100MHz)またはマイ
クロ波(1GHz以上)電源であって、真空容器202内
の電極203にマッチング回路204を介して接続され
ている(但し、直流の場合はマッチング回路204は不
用である)。電極203にはシャワー状に多数の穴が設
けてあり、原料ガスボンベ205、希釈ガスボンベ20
6、不純物ガスボンベ207,208からこれらのガス
がマスフローコントローラー209〜212によって所
定の流量に調節されてこれらの穴から真空容器202内
に導入される(但し、図2では便宜上、これら4本のガ
スボンベおよびガス系統しか記載されていないが、これ
らは形成する膜の種類に応じて増減される)。光導電体
層105を形成するための基板213は、ヒーター21
4上に配置され所定の温度に加熱される。なお、図2
中、215は真空ポンプ、216はバルブ、217は水
冷装置である。
【0040】以下、成膜手順を説明する。先ず、高真空
に排気された真空容器202内に、ある所定の流量の原
料ガス及び希釈ガス(必要とあれば不純物ガス)を導入
し、真空ポンプ215とバルブ216によって所定の圧
力となるように調整した後、電極203と接地された基
板213間に電界を印加しプラズマを発生させ基板21
3上に所定の膜厚の光導電体層105を形成する。
【0041】例えば、光導電体層105にa−Si:H
を用いた場合、使用される原料ガスは、ガス分子内にダ
ングリングボンドを終端する働きを持つ水素原子を含ん
でいることが必要であり、具体的には、SiH4,Si2
6,Si38,Si410,SiH4ーnn,SiH4ーn
Cln(但し、n=1,2,3)のうち1種類またはこれ
らの組合せからなる混合ガス、またはこれらのガスとS
iF4,Si26,SiCl4のうちの1種類または2種
類以上を混合したガスが挙げられる。
【0042】また、a−Si1-xx:Hを成膜する場合
は、これらのシリコン化合物ガスにCH4,C26,C3
8,C410,C24,C36,C48,C22,C3
4,C46,C66などの炭化水素ガス、CH3F,C
3Cl,CH3Br,CH3I,C25Cl,C25
r,C25I等のハロゲン化アルキル、C35F,C3
5Cl,C35Br等のハロゲン化アリル、CCl
3,CF4,CHF3,C26,C38などのフロンガ
ス、C66-mm(m=1〜6)の弗化ベンゼンなどの
ガスを混合すればよい。また、(CH34Siガスを単
独で使用しても、上記のガスと混合してもよい。
【0043】a−Si1-xGex:Hを成膜する場合は、
上記シリコン化合物ガスにGeH4,Ge26,Ge3
8,GeF4,GeCl4,GeBr4,GeI4,Ge
2,GeCl2,GeBr2,GeI2,GeHF3,G
eH22,GeH3F,GeHCl3,GeH2Cl2,G
eH3Cl,GeHBr3,GeH2Br2,GeH3
r,GeHI3,GeH22,GeH3Iなどのガスを混
合すればよい。a−Ge1- xx:H膜を形成する場合
は、上記のゲルマニウム化合物ガスにN2,NH3,H 2
NNH2,HN3,NH43,F3N,F42などの窒素
化合物ガスを混合すればよい。a−Si1ーx-yGe
xy:H膜を形成する場合には、上記のシリコン化合物
ガスおよびゲルマニウム化合物ガスの混合ガスに、上記
の窒素化合物ガスを混合して使用すればよい。
【0044】また、これらの原料ガスを希釈するガスに
は、H2,He,Ne,Ar,Kr,Xeなどが使用さ
れる。また、膜の電気伝導度を変化させるためにn型伝
導を与える不純物(P,As,Sb,Se)を添加する
には、PH3,PF3,PF5,PCl2F,PCl23
PCl3,PBr3,AsH3,AsF3,AsF5,As
Cl3,AsBr3,SbH3,SbF3,SbCl3,H2
Se等のガスを上記原料ガス及び希釈ガスに混合すれば
よく、p型伝導を与える不純物(B,Al,Ga,I
n)を添加するには、B26,BF3,BCl3,BBr
3,(CH33Al,(C253Al,(iC493
Al,(CH33In,(CH33Ga,(C253
In,(C253Ga等のガスを上記の原料ガスおよ
び希ガスに混合すればよい。以下に、具体的実施例を挙
げて、本発明をより詳細に説明する。
【0045】(実施例1)図1に示すように、ガラス基
板101上に0.05〜0.2μm厚のITOをスパッ
タ法により成膜し、透明導電性電極102を形成した。
次いで、これを図2に示すプラズマCVD装置内に移
し、真空容器202内を1x10-6Torr以下に排気した
後、ヒーター214で250℃に加熱した。Heで希釈
した濃度10ppmのB26を400sccmおよびS
iH4:1sccm、C22:0.2sccmを真空容
器202内に導入し圧力を0.8Torrに調整した
後、13.56MHz高周波電力30Wを電極203に
印加して放電を発生させ、0.01〜0.05μmのp
型a−Si1-xx:H層を成膜した。
【0046】続いて、真空容器202内を一度高真空に
排気したのち、H2 :100sccmおよびSiH4
40sccmを真空容器202内に導入し、圧力:0.
8Torr、高周波電力15Wで同様にi型アンドープ
a−Si:H層1μmを形成して導電率の小さい非晶質
半導体層103とし、再び真空容器202内を真空排気
した。次に、H2で希釈した濃度200ppmのPH3
100sccmおよびSiH4 を40sccm導入して
圧力:0.8Torr、高周波電力15Wで1μmのn
型a−Si:Hを積層して導電率の大きい非晶質半導体
層104とし、光導電体層105を形成した。
【0047】次いで、光導電体層105の表面に真空蒸
着法によりCr:3000Å厚を堆積し、写真蝕刻法に
よってパターニングを行い、島状反射鏡106を形成し
た。このとき島状反射鏡106の形状は24μm角の正
方形で、2μmの間隔を保ちながら2000×2000
個の反射鏡がマトリックス状に配列している(但し、島
状反射鏡106は、写真蝕刻法だけでなく、リフトオフ
法を用いても形成できる)。このときの、光導電体層1
05の断面図を図3(1)に示す。次いで、反応性イオ
ンエッチング法(以下、RIEと略記する)によって、
島状反射鏡106の間のn型a−Si:H層104をエ
ッチングにより除去し、続いて、1000〜3000Å
厚のポリイミド膜301を塗布した。この様子を図3
(2)に示す。
【0048】次いで、RIEによってi型a−Si:H
層103の全部(もしくは一部でもよい)を除去した。
この時の状態を図3(3)に示す。次いで、化学的気相
エッチング法(以下、CDEと略記する)または溶液を
用いたエッチングによりi型a−Si:H層103の横
方向を1〜2μm程度除去した。ここで、ポリイミド膜
301はn型a−Si:H層104がエッチングされる
のを防ぐ役目を持っている。次いで、この上に、真空蒸
着法により1000Å厚のAlを蒸着した。このAl膜
302は島状反射鏡106上および溝内に形成されるこ
とになり、島状反射鏡106はAl/Crの2重構造と
なり、溝内に形成された部分は読み出し光116を遮光
するための金属遮光膜117となる。この時の状態を図
3(4)に示す。
【0049】次いで、ポリアミック酸を厚さ:1000
〜3000Å塗布し、空気中あるいは窒素雰囲気中で9
0〜100℃で5分間プリベークした後、200〜30
0℃で30分ないし60分間熱処理を加えてイミド化さ
せ、ポリイミドからなる絶縁膜118を形成した。次い
で、炭素粒子を含むレジストを塗布して溝内に充填した
後、空気中あるいは窒素雰囲気中で90〜100℃で5
分間プリベークおよび200〜300℃で30分ないし
60分間のポストベークを行って光吸収層109を形成
し、さらにCDEによって島状反射鏡106上に残って
いるポリイミド膜および炭素粒子を含むレジスト膜を除
去した。この時の状態を図3(5)に示す。
【0050】次いで、ポリアミック酸を厚さ:100〜
300Å塗布し、空気中あるいは窒素雰囲気中で90〜
100℃で5分間プリベークした後、200〜300℃
で30分ないし60分間熱処理を加えてイミド化し、ラ
ビング処理を施してポリイミド配向膜108を積層し
た。これとITOの透明導電性電極110および配向膜
108と同様に作製したポリイミド配向膜111を積層
したガラス基板112との間に1〜2μm厚の強誘電性
液晶層107をサンドイッチして空間光変調素子を完成
した。
【0051】図4にこの空間光変調素子を組み込んだ投
射型ディスプレイ装置の概略図を示す。401は白色拡
散面をもつスクリーン、402は投射用光源で反射鏡付
きメタルハライドランプ、403は書き込み光源として
CRT(陰極線管)、404は空間光変調素子405で
形成された出力像をスクリーン401上に40倍に拡大
する投射用レンズ系である。なお、406は偏光ビーム
スプリッター、407はCRT403に表示された画像
を空間光変調素子の光導電体層105に結像するための
レンズである。
【0052】ここで、本実施例の投射像の形成、消去お
よびスクリーン上に投射された結果に付いて簡単に述べ
る。透明導電性電極102と110間に、図5に示す交
流電圧波形(Vp=15V、Vn=−1V、Tp:T=
1:11、T=1.1ms)を印加した。但し、印加電
圧の極性は、透明導電性電極102が+になるように設
定した。光導電体層105が逆バイアスされるVnの電
圧が印加されている期間に、CRT403に表示されて
いる画像が空間光変調素子405に書き込まれ、スクリ
ーン401上に書き込まれた画像が投影される。Vp
電圧が印加されている期間、光導電体層105が順バイ
アスされるため、書き込まれた画像は消去される。メタ
ルハライドランプ402を点灯したときの空間光変調素
子405上の照度は200万lxであったが、得られた
スクリーン401上の像のコントラストは、150:1
であり、解像度は900TV本であった。また、島状反
射鏡106の折れ曲がりによる反射率の低下、および液
晶層107および島状反射鏡106間での短絡が見られ
ず、画質的には欠陥の無い美しい画像を得ることができ
た。
【0053】(実施例2)実施例1と同様にしてガラス
基板101上にITO電極102を形成し、次いでp型
a−Si1-xx:Hおよびi型a−Si:Hからなる導
電率の小さい非晶質半導体層103を堆積した。この層
103の上にGeH4:1sccm、N2:160scc
mを真空容器202内に導入し圧力を0.5Torrに
調整した後、高周波電力20Wの条件で1μmのa−G
1-xx:H層104を堆積し、光導電体層105を形
成した。但し、光導電体層105形成時の基板温度の設
定は150℃であった。しかし、ヒーター214による
加熱時間は10分と短かったため、基板内で±20℃の
温度差があった。
【0054】また、光導電体層105形成後も水冷装置
217によって約10分で基板温度を室温にまで冷却し
たが、膜剥離は見られなかった。また、実施例1におい
て光導電体層105形成に要した時間は200分であっ
たが、この場合は、60分であった。このようにして得
られた光導電体層105上に実施例1と同様にして島状
反射鏡106、金属遮光膜117、絶縁膜118、光吸
収層109を形成し、ラビング処理を施したポリイミド
配向膜108とITOの透明導電性電極110およびポ
リイミド配向膜111を積層したガラス基板112との
間に1〜2μm厚の強誘電性液晶層107を密封して空
間光変調素子を完成した。この空間光変調素子を組み込
んだ図4の装置を用いて、実施例1と同様に操作してC
RT403に表示した書き込み画像に応じた像がスクリ
ーン401上に再生された。また、投影像には場所ムラ
がほとんど無かった。但し、投影像を形成するとき、印
加電圧波形はVp:20Vであり、CRT403のビー
ム電流は実施例1の場合に比べて20%増加した。
【0055】この結果より、光導電体層105を形成す
る際の基板温度が小さく、かつ温度ムラがあっても、そ
の後の素子を組み立てるプロセスの加熱処理によって、
光導電性が向上し、場所ムラも低減されることが確認で
きた。
【0056】また、ポリイミド絶縁膜118およびポリ
イミド配向膜108,111のイミド化処理の温度、お
よび光吸収層109の熱処理温度を300℃を越える設
定にすると、処理時間は10分ほどに短縮できたが、光
導電体層105に水素ガスが放出したような点状の剥離
があちこちに発生し、空間光変調素子の作製が不可能で
あった。従って、光導電体層105形成後の加熱処理の
温度は300℃が上限であった。
【0057】(実施例3)本実施例において作製した空
間光変調素子の断面図を図6に示す。以下に、作製手順
を説明する。実施例2と同様にしてガラス基板101上
にITO電極102を形成し、次いでp型a−Si1-x
x:Hおよびi型a−Si:Hからなる導電率の小さ
い非晶質半導体層103を堆積した。この層103の上
にa−Ge1- xx:H層104を堆積し、光導電体層1
05を形成した。但し、光導電体層105形成時の基板
は加熱を行わず室温(〜20℃)であった。この時の光
導電体層105の形成に要した時間は40分であった。
【0058】このようにして得られた光導電体層105
上に真空蒸着法によりCr:3000Å厚を堆積し、写
真蝕刻法によってパターニングを行い、島状反射鏡10
6を形成した。このとき島状反射鏡106の形状は24
μm角の正方形で、2μmの間隔を保ちながら2000
x2000個の反射鏡がマトリックス状に配列している
(但し、島状反射鏡106は写真蝕刻法だけでなく、リ
フトオフ法を用いても形成できる)。次いで、RIEに
よって島状反射鏡106の間の光導電体層105を除去
し、続いて、この上から真空蒸着法により1000Å厚
のAlを蒸着した。このAl膜は島状反射鏡106上お
よび溝内に形成されることになり、島状反射鏡106は
Al/Crの2重構造となり、溝内に形成された部分は
読み出し光を遮光するための金属遮光膜117となる。
【0059】次いで、ポリアミック酸を厚さ:1000
〜3000Å塗布し、空気中あるいは窒素雰囲気中で9
0〜100℃で5分間プリベークした後、250〜28
0℃で30分間熱処理を加えてイミド化させ、ポリイミ
ドからなる絶縁膜118を形成した。次いで、炭素粒子
を含むレジストを塗布して溝内に充填した後、空気中あ
るいは窒素雰囲気中で90〜100℃で5分間プリベー
クおよび200℃で30分間のポストベークを行って光
吸収層109を形成し、さらにCDEによって島状反射
鏡106上に残っているポリイミド膜および炭素粒子を
含むレジスト膜を除去した。次いで、ポリアミック酸を
厚さ:100〜300Å塗布し、空気中あるいは窒素雰
囲気中で90〜100℃で5分間プリベークした後、2
00℃で60分間熱処理を加えてイミド化し、ラビング
処理を施してポリイミド配向膜108を積層した。これ
とITOの透明導電性電極110および配向膜108と
同様に作製したポリイミド配向膜111を積層したガラ
ス基板112との間に1〜2μm厚の強誘電性液晶層1
07を密封して空間光変調素子を完成した。
【0060】この空間光変調素子を組み込んだ図4の装
置を用いて、実施例2と同様に操作して、CRT403
に表示した書き込み画像に応じた像がスクリーン401
上に再生された。投影像には場所ムラがほとんど無かっ
た。但し、実施例2の条件では、読み出し光116の遮
光が図1の素子ほど完全ではなく、コントラストは5
0:1に低下していた。150:1のコントラストを維
持するために、メタルハライドランプ402を点灯した
ときの空間光変調素子405上の照度を100万lxに
する必要があった。しかし、投影像の明るさは、ディス
プレイとしては十分であった。
【0061】(実施例4)本実施例において作製した空
間光変調素子の断面図を図7に示す。以下に、作製手順
を説明する。実施例3と同様にしてガラス基板101上
にITO電極102を形成し、次いで300Å厚のp型
a−Si1-xx:Hおよび1.6μm厚のi型a−S
i:Hからなる導電率の小さい非晶質半導体層103お
よび0.1μm厚のa−Ge1-xx:H層104を順次
堆積し、光導電体層105を形成した。但し、この場合
も実施例3と同様に、基板は加熱を行わず室温(〜20
℃)で成膜した。
【0062】次いで、この基板を高周波スパッタ装置内
に移し、250〜280℃に基板加熱を行った状態で、
シリコンをターゲットとし、ガス圧2〜10mTorr
でSiO2 とSiをそれぞれ1200Å交互に5層堆積
して0.6μm厚の誘電体反射鏡701を形成した。但
し、SiO2層作成時にはArとO2の混合ガスを装置内
に導入し、Si層作成時にはArのみを装置内に導入し
た。次いで、この誘電体反射鏡701上に斜法蒸着によ
って1000Å厚のSiO配向膜108を形成し、これ
とITOの透明導電性電極110および配向膜108と
同様に作製したSiO配向膜111を積層したガラス基
板112との間に1〜2μm厚の強誘電性液晶層107
を密封して空間光変調素子を完成した。
【0063】この空間光変調素子を組み込んだ図4の装
置を用いて、実施例2と同様に操作して、CRT403
に表示した書き込み画像に応じた像がスクリーン401
上に再生された。投影像には場所ムラがほとんど無かっ
た。但し、実施例2の条件では、読み出し光116の遮
光が図1の素子ほど完全ではなく、コントラストは1
0:1に低下していた。150:1のコントラストを維
持するために、メタルハライドランプ402を点灯した
ときの空間光変調素子405上の照度を50万lxにす
る必要があった。しかし、拡大倍率を20倍にすると投
影像の明るさは、ディスプレイとして十分であった。
【0064】以上作製した素子は、動的ホログラムを表
示するための空間光変調素子としても機能する。
【0065】なお、本発明の液晶層は上記実施例にあげ
られたものに限らず、光導電体層も上記実施例にあげら
れたものに限らず、絶縁膜、光吸収層および印加電圧波
形も上記実施例にあげられたものに限られないことはい
うまでもない。また、図4のプロジェクションシステム
において、R,G,B3色表示用3つのCRTと3つの
空間光変調素子を組合せ、色分解光学系および色合成光
学系を読みだし光学系内に組み入れることによって、ス
クリーン上にカラー画像を出力できることは言うまでも
ない。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる空
間光変調素子の構成によれば、反射鏡の厚みを薄くして
も折れ曲がりが無く、高歩留まりにすることができ、明
るく、高コントラストで高解像度の空間光変調素子を提
供することができる。
【0067】また、本発明に係わる空間光変調素子の第
1および第2の製造方法によれば、光導電体層形成時の
加熱および冷却時間が殆ど必要でなく、膜剥がれの無い
低応力の成膜が可能となるので、空間光変調素子の量産
性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる空間光変調素子の一実施例を示
す断面図
【図2】本実施例の空間光変調素子の作製に使用したプ
ラズマCVD装置の概略図
【図3】本発明に係わる空間光変調素子の一実施例の作
製プロセスを示す断面図
【図4】本実施例の空間光変調素子で使用した投射型デ
ィスプレイ装置の構成図
【図5】本発明に係わる空間光変調素子の一実施例に使
用した印加電圧波形を示す図
【図6】本発明に係わる空間光変調素子の一実施例を示
す断面図
【図7】本発明に係わる空間光変調素子の一実施例を示
す断面図
【図8】従来の空間光変調素子の断面図
【符号の説明】
101 透明絶縁性基板 102 透明導電性電極 103 導電率の小さい非晶質半導体層 104 導電率の大きな非晶質半導体層 105 光導電体層 106 島状反射鏡 107 液晶層 108 配向膜 109 光吸収層 110 透明導電性電極 111 配向膜 112 透明絶縁性基板

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明導電性電極を具備した2枚の透明絶縁
    性基板で挟まれた領域に導電率の小さい非晶質半導体層
    と導電率の大きい非晶質半導体層を順次積層してなる光
    導電体層と、液晶層と、これらの層の間に同一平面内に
    設けられた複数個の島状反射鏡とを少なくとも具備し、
    前記島状反射鏡間の前記光導電体層に溝部を設け、前記
    溝部の幅が前記導電率の大きい非晶質半導体層に比べて
    前記導電率の小さい非晶質半導体層の方を広くしたこと
    を特徴とする空間光変調素子。
  2. 【請求項2】導電率の小さい非晶質半導体層の禁止帯幅
    が、導電率の大きい非晶質半導体層の禁止帯幅より広く
    なっていることを特徴とする請求項1記載の空間光変調
    素子。
  3. 【請求項3】光導電体層が整流性を有することを特徴と
    する請求項1記載の空間光変調素子。
  4. 【請求項4】光導電体層が、シリコンを主成分とするこ
    とを特徴とする請求項1記載の空間光変調素子。
  5. 【請求項5】溝部に可視光を吸収する遮光物質が充填さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の空間光変調素
    子。
  6. 【請求項6】導電率の大きい非晶質半導体層が、ゲルマ
    ニウムを主成分とすることを特徴とする請求項1記載の
    空間光変調素子。
  7. 【請求項7】透明導電性電極を具備した2枚の透明絶縁
    性基板で挟まれた領域に非晶質半導体からなる光導電体
    層と、液晶層と、これらの層の間に同一平面内に設けら
    れた複数個の島状反射鏡とを少なくとも備えた空間光変
    調素子の製造方法であって、減圧し得る真空容器内に所
    定のガスを導入して所定の内圧とし、前記真空容器内に
    おいて放電現象を生起させてプラズマを形成し、20℃
    以上150℃以下の低温で前記透明導電性電極上に前記
    光導電体層を形成し、前記島状反射鏡を形成した後、少
    なくとも有機薄膜を塗布し150℃を越える温度で熱処
    理を行う工程を経た後、前記液晶層を形成することを特
    徴とする空間光変調素子の製造方法。
  8. 【請求項8】透明導電性電極を具備した2枚の透明絶縁
    性基板で挟まれた領域に非晶質半導体からなる光導電体
    層と、液晶層と、これらの層の間に誘電体反射鏡とを少
    なくとも備えた空間光変調素子の製造方法であって、減
    圧し得る真空容器内に所定のガスを導入して所定の内圧
    とし、前記真空容器内において放電現象を生起させてプ
    ラズマを形成し、20℃以上150℃以下の低温で前記
    透明導電性電極上に前記光導電体層を形成し、前記誘電
    体反射鏡を150℃を越える温度で形成した後、前記液
    晶層を形成することを特徴とする空間光変調素子の製造
    方法。
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