JP3043956B2 - 空間光変調素子、その製造方法及び投射型ディスプレイ - Google Patents

空間光変調素子、その製造方法及び投射型ディスプレイ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光演算装置、投射型デ
ィスプレイ等に用いられる空間光変調素子、およびその
製造方法、さらには空間光変調素子を用いた投射型ディ
スプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶層を用いた光アドレス型の空間光変
調素子(以下、空間光変調素子といえば、特にことわら
ない限りこの光アドレス型のものさす)の基本的な構造
は、光導電体層と電界の印加により光の透過率が変化す
る液晶層を対向する2つの透明導電性電極で挟み込んだ
ものである。この素子の駆動は、両透明導電性電極間に
外部から電圧を印加することによってなされる。そし
て、この状態で光導電層に書き込み光を照射すると、光
導電体層の電気抵抗が変化して液晶層に印加される電圧
が変化し、この電圧の大きさに応じて液晶層を通過する
読み出し光が変調される。この動作を使って、光のしき
い値処理、波長変換、インコヒーレント/コヒーレント
変換、画像メモリなどの機能を実現することができるた
め、空間光変調素子は光情報処理のキー・デバイスとし
て位置づけられている。また、光強度の大きい読み出し
光を書き込み光とは反対の方向から入射し、書き込んだ
内容を反射型で読み出せば、光増幅機能をも実現するこ
とができる。そのため、投射型ディスプレイとしても応
用することができ、汎用性に優れた素子として期待され
ている。
【0003】現在、実用化されている投射型ディスプレ
イの方式としては、この光アドレス型空間光変調素子を
用いたものの他に、高輝度3管CRT(陰極線管)によ
る投射、およびアクティブマトリックス液晶ライトバル
ブを高輝度光源で投射するものがある。CRTによる方
法は、対角5〜7インチのR、G、B3本の高輝度CR
Tに画像を表示し、その画像を3本の投射レンズでスク
リーン上に投射して合成し、カラー画像を得るもので、
投影装置の重量が重い、高輝度表示のため解像度が低い
などの問題がある。また、アクティブマトリックス液晶
ライトバルブの方法は、R、G、B3枚の液晶パネルま
たはR、G、Bカラーフィルターを一体化した1枚の液
晶パネルに画像を表示し、メタルハライドランプやハロ
ゲンランプなどの高輝度のバックライト光源で読みだ
し、スクリーン上に投影するもので、CRTによる方法
に対し、投影装置を小型軽量にできる利点がある。しか
し、高解像度の画像を得るためには、液晶パネルの画素
サイズを小さくせねばならず、このため、画素の大きさ
に対する遮光領域(アクティブマトリックス駆動のため
のトランジスタ部分)の割合が大きくなり画素の開口率
が低下して画像が暗くなるという問題がある。以上のよ
うに、解像度と明るさは反比例の関係にあり、CRTお
よびアクティブマトリックス液晶ライトバルブを用いた
プロジェクションディスプレイではこれらを両立するこ
とができなかった。一方、光アドレス型空間光変調素子
を用いた場合は、光導電体層にCRTで画像を入力し、
その画像を液晶層側から高輝度光源によって反射型で読
み出し、投射レンズによってスクリーン上に投影する方
式である。この方式は、小型軽量で、かつ高解像度で明
るい画面を提供でき、従来のディスプレイがもつ、明る
さと解像度の問題を解決できる画期的な方法である。
【0004】現在、空間光変調素子として最も高感度、
高速応答で、かつ、動作電圧が小さく使い易いのは、光
導電体層として水素化非晶質シリコン(以下、a−S
i:Hと略記する)薄膜を用い、液晶層として強誘電性
液晶(以下、FLCと略記する)を用いたタイプのもの
である。この一例の断面図を、図10に示す(ジー.モ
デル 他 アプライド フィジックス レター 55巻
1989年 537頁、G.Moddel et a
l., Appl. Phys. Lett.55,
(1989) p.537 )。この素子は、光導電体
層1001がa−Si:H膜で構成されたpinダイオ
ードであり、これと反射鏡1002及びFLC液晶層1
003を透明導電性電極1004、1005を形成した
ガラス基板1006、1007で挟み込んだ構造をして
いる。また、このような空間光変調素子を搭載し、これ
に画像を書き込む手段としてCRTを使用した投射型デ
ィスプレイが報告されている(エム・ボーン他、エス・
アイ・ディ91ダイジェスト 254-256頁, M.Bone et a
l. SID Digest pp.254-256.)。
【0005】光導電体層を構成するa−Si:H膜の成
膜にはプラズマ化学的気相成長法(以下、CVDと略記
する)が用いられるが、a−Si:H膜の光導電性は成
膜時の基板温度に強く依存する。周知なことであるが、
a−Si:Hの成膜時の基板温度は、200〜300℃
の範囲に設定されるのが最も好ましく、300℃以上ま
たは180℃以下では膜中のダングリングボンド密度が
増加してしまうため好ましくない。何故なら、ダングリ
ングボンドは、キャリヤをトラップまたは再結合させる
欠陥として働くため、ダングリングボンド密度の増加
は、光導電性を著しく低下させるからである。空間光変
調素子における光導電体層の機能は、書き込み光の照射
により光励起キャリヤを発生して液晶層側へ輸送するこ
とであり、そのため、光導電体層は空間光変調素子の感
度および応答速度を決める重要な構成要素として位置づ
けられている。従って、光導電体層には高い光導電性が
要求されており、この高い光導電性を得るため、a−S
i:H膜は、プラズマCVD法または反応性スパッタ法
において、基板を200〜300℃の範囲に加熱した状
態で成膜されていた。
【0006】CRTを書き込み光源として使用した投射
型ディスプレイでは、空間光変調素子に画像を書き込む
ために対角7インチ以上のCRTが使用されており、ま
た、このCRTの発光波長は600nm以上であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来例として挙げた図
10の空間光変調素子に使用されているpinダイオー
ド構成の光導電体層1001において、逆バイアス下で
書き込み光が照射された状態を説明する。このとき、書
き込み光のほとんどはp/i層中で吸収されてしまう
が、その一部はn層で吸収されるか、又はn層を透過し
て反射鏡1002で反射され、再びi層中に戻ってく
る。n層は低抵抗であるため、逆バイアス下でも空乏層
は広がっておらず、その結果、n層中での光吸収によっ
て発生した電子・正孔対は電界によりドリフトしないた
め、光導電体層1001中を流れる光電流としては寄与
しない。また、反射鏡1002で反射してi層に戻って
くる光は、光生成キャリヤを横方向に広げる結果となる
ため、書き込まれた画像の解像度を劣化させるという問
題がある。また、一定強度の光の入射に対して光導電体
層中に流れる光電流が大きければ大きいほど、液晶層を
スイッチングさせるのに必要な書き込み光の強度は小さ
くてすむ、すなわち、空間光変調素子の感度は高くな
る。従って、従来例の空間光変調素子に使用されていた
光導電体層は、書き込み光を有効に使用しておらず、空
間光変調素子の感度を小さくしていた。
【0008】一方、空間光変調素子の光導電体層を構成
するa−Si:H膜のプラズマCVD法による成膜プロ
セスの大きな流れは、先ず成膜する基板を真空容器内に
配置して200〜300℃の温度に加熱し、所定の膜厚
のa−Si:Hを成膜した後、室温付近まで冷却して取
り出す、というものである。しかし、このプロセスにお
いて、基板の加熱と冷却にそれぞれ1時間以上の時間を
要しており、成膜に必要な時間と同じまたはそれ以上の
時間を費やしてしまっている。加熱時間を短くするに
は、単純にヒーターに流す電流を増加して温度上昇速度
を速めてやれば良いが、加熱時間が短いとムラの無い均
一な画像を出力できる空間光変調素子が得られない問題
がある。何故なら、通常、量産性を上げるために多数の
基板が一度にセットされているため、加熱時間が短い
と、熱の伝導が平衡状態に到達しきれず、基板温度の均
一性が悪く、光導電体層の光感度にムラを生ずるためで
ある。結局、均一な基板温度を得るためには、どうして
も1時間程度の加熱時間が必要であり、温度上昇速度を
速めてやっても加熱時間の短縮はできない。また、冷却
時間を短縮するために、水冷を使って基板を冷却してや
ればよいが、急冷によって膜の応力が大きくなり、膜剥
がれやクラックを生じてしまう問題があった。そのた
め、成膜後の基板は徐冷する必要があり、冷却にも少な
くとも1時間程度の時間を要してしまっていた。そのた
め、成膜に要する時間を短くするためにa−Si:Hの
成膜速度を速めても、加熱・冷却時間に律速されてしま
い、空間光変調素子の量産性は低く、実用的でないとい
う問題があった。
【0009】CRTによる画像書き込みを行った従来の
投射型ディスプレイでは、600nm以上の長波長の光
を使って画像書き込みを行っている。この波長に対する
a−Si:Hの吸収係数は小さいため、この光を全部吸
収するためには、光導電体層は少なくとも2μm以上の
膜厚を必要とする。通常、液晶層にFLCを用いた空間
光変調素子の場合、光導電体層の膜厚は2−3μm程度
であり、書き込み光の吸収には問題が無い。しかし、a
−Si:Hは電子の移動度が正孔の移動度に比べて2桁
以上大きく、かつ正孔の捕獲中心(トラップともいう)
は電子に比べてエネルギ的に深いため、光導電体層に流
れる光電流の応答が遅く、出力画像に残像や焼き付き現
象を生じる問題があった。また、600nm以下の短波
長で発光するCRTを使用した場合、p型a−Si:H
層での光吸収が大きく、画像を書き込むためには大きな
光量を必要とする。しかし、小さなCRTで高輝度の画
像を出力すると解像度およびコントラストが著しく低下
してしまう。そのため、大きな光量が得られる大きなC
RTを用いなければならなく、投射装置が大型化してし
まう問題があった。
【0010】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、高感度で、かつ高解像度の画像を出力できる空間
光変調素子を提供すると共に、プラズマCVD法におい
て加熱・冷却時間を殆ど必要としない光導電体層の作製
を可能とした空間光変調素子の製造方法を提供し、さら
には残像や焼き付きが無く、小型軽量化が容易な投射型
ディスプレイを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の空間光変調素子は、透明導電性電極を具備
した2枚の透明絶縁性基板で挟まれた領域に、光導電体
層と液晶層と、前記光導電体層と液晶層との間に反射鏡
層を少なくとも備えた空間光変調素子において、前記光
導電体層が、下方の透明絶縁性基板側から順次積層され
た第1の非晶質半導体層と第2の非晶質半導体層とを少
なくとも備え、かつ前記第1の非晶質半導体層の屈折率
よりも第2の非晶質半導体層の屈折率が小さいことを特
徴とする。
【0012】前記構成においては、光導電体層が、下方
の透明絶縁性基板表面の透明導電性電極と第1の非晶質
半導体層との間に、前記第1の非晶質半導体層の屈折率
よりも小さい屈折率を有する第3の非晶質半導体層を備
えることが好ましい。
【0013】また前記構成においては、第1の非晶質半
導体層の屈折率が3.2以上4.5以下であることが好
ましい。また前記構成においては、第2の非晶質半導体
層の屈折率が1.4以上3.2以下であることが好まし
い。
【0014】また前記構成においては、光導電体層が整
流性を有することが好ましい。また前記構成において
は、第1の非晶質半導体層がシリコンを主成分とする合
金層であることが好ましい。さらには、第1の非晶質半
導体層が、水素、ハロゲン及び酸素から選ばれる少なく
とも1つの元素を含むことが好ましい。
【0015】また前記構成においては、第1の非晶質半
導体層が、水素化非晶質シリコン、水素化非晶質ゲルマ
ニウム、水素化非晶質シリコンゲルマニウム、及び水素
化非晶質炭化ゲルマニウムから選ばれる少なくとも1つ
の合金層であることが好ましい。
【0016】また前記構成においては、第1の非晶質半
導体層に、B、Al及びGaから選ばれる少なくとも1
つのp型不純物を存在させることが好ましい。また前記
構成においては、第2の非晶質半導体層が、ゲルマニウ
ムを主成分とする合金層であることが好ましい。
【0017】また前記構成においては、第2の非晶質半
導体層が、水素化非晶質シリコン、水素化非晶質窒化ゲ
ルマニウム、水素化非晶質窒化シリコンゲルマニウム、
水素化非晶質シリコンカーバイド、水素化非晶質炭化ゲ
ルマニウム、水素化非晶質窒化シリコン、水素化非晶質
酸化シリコン、及び水素化非晶質カーボンから選ばれる
少なくとも1つの合金層であることが好ましい。さらに
は、第2の非晶質半導体層に、P、As、Sb及びSe
から選ばれる少なくとも1つのn型不純物を存在させる
ことが好ましい。さらには、水素化非晶質シリコンカー
バイドの炭素含有量が、10原子%以上40原子%以下
であることが好ましい。
【0018】また前記構成においては、第3の非晶質半
導体層の厚さが、1〜300nmであることが好まし
い。また前記構成においては、第3の非晶質半導体層
が、B、Al、Ga、及びInから選ばれる少なくとも
1つのp型不純物を100〜10000ppm含む非晶
質シリコンカーバイドであることが好ましい。
【0019】また前記構成においては、光導電体層の厚
さが0.5〜10μmの範囲であることが好ましい。ま
た前記構成においては、反射鏡層が、Al、Ag、M
o、Ni、Cr、Mg、及びTiから選ばれる少なくと
も1つの金属層であることが好ましい。
【0020】また前記構成においては、反射鏡層が島状
に形成されており、かつ前記一つの島が1個の画素に対
応していることが好ましい。さらには、島状に形成され
ている反射鏡層の間の第2の非晶質半導体層が除去され
ており、かつ除去された部分に光吸収層が存在している
ことが好ましい。さらには、第2の非晶質半導体層が除
去されている部分の下部の第1の非晶質半導体層の一部
も除去され、かつ除去された部分に光吸収層が存在して
いることが好ましい。第1の非晶質半導体層の残存する
厚さは0.01〜1μmの範囲であることが好ましい。
【0021】また前記構成においては、光吸収層が、炭
素粒子を分散した有機高分子ポリマー、黒色顔料を配合
した有機高分子ポリマー、黒色染料を配合した有機高分
子ポリマー、アモルファスシリコンカーバイド、アモル
ファス水素化ゲルマニウム、及びアモルファス窒化ゲル
マニウムから選ばれる少なくとも一つの無機薄膜である
ことが好ましい。
【0022】また前記構成においては、光吸収層の底部
に、Al、Ag、Mo、Ni、Cr、及びMgから選ば
れる少なくとも一つの金属を含む金属遮光膜を存在させ
ることが好ましい。
【0023】また前記構成においては、光吸収層を覆う
位置に、無機絶縁膜及び有機絶縁膜から選ばれる少なく
とも一つの電気的絶縁膜を存在させることが好ましい。
次に、本発明の空間光変調素子の製造方法は、透明導電
性電極を具備した2枚の透明絶縁性基板で挟まれた領域
に非晶質半導体層からなる光導電体層と液晶層とこれら
の層の間に反射鏡とを少なくとも備えた空間光変調素子
の製造方法であって、減圧にし得る真空容器内に所定の
ガスを導入して所定の内圧とし、前記真空容器内におい
て放電現象を生起させてプラズマを生成し、少なくとも
前記光導電体層の形成終了時に前記透明絶縁性基板の温
度が10℃以上180℃以下となるように前記透明絶縁
性基板上に第1の非晶質半導体層を形成し、次に前記第
1の非晶質半導体層の屈折率よりも第2の非晶質半導体
層の屈折率が小さい前記非晶質半導体層を形成し、次い
で前記反射鏡を形成し、さらに前記液晶層を形成するこ
とを特徴とする。
【0024】前記構成においては、反射鏡が、光導電体
層の基板と反対側の界面と同一平面内に設けられた島状
反射鏡であり、前記島状反射鏡を形成した後、少なくと
も有機薄膜を塗布し180℃を越える温度で熱処理を行
うことが好ましい。
【0025】また前記構成においては、反射鏡が誘電体
反射鏡であり、前記誘電体反射鏡を180℃を越える温
度で形成することが好ましい。また前記構成において
は、光導電体層形成時の透明絶縁性基板の温度が、常に
10℃以上180℃以下であることが好ましい。
【0026】また前記構成においては、透明絶縁性基板
を180℃以上の温度から徐々に冷却しながら光導電体
層を透明導電性基板上に形成し、前記光導電体層の形成
終了時に前記透明絶縁性基板の温度が180℃以下であ
ることが好ましい。
【0027】また前記構成においては、光導電体層の一
部が少なくとも水素を含有するシリコンカーバイドから
なることが好ましい。シリコンカーバイドの炭素含有量
は10原子%以上40原子%以下であることが好まし
い。
【0028】次に本発明の投写型ディスプレイは、透明
導電性電極を具備した2枚の透明絶縁性基板で挟まれた
領域に、下方の透明絶縁性基板側から順次積層された第
1の非晶質半導体層と第2の非晶質半導体層とを少なく
とも備え、かつ前記第1の非晶質半導体層の屈折率より
も第2の非晶質半導体層の屈折率が小さい光導電体層
と、液晶層と、前記光導電体層と液晶層との間に反射鏡
層を少なくとも備えた空間光変調素子と、前記空間光変
調素子を駆動するための交流電源と、波長が400nm
以上600nm以下の光によって画像を出力する画像入
力手段と、前記画像入力手段から出力された画像を前記
光導電体層に結像する画像結像手段と、前記空間光変調
素子が出力する画像を読み出す光源及び投射レンズを少
なくとも備えた投射型ディスプレイであって、前記光導
電体層がシリコンおよび炭素を主成分とする第1の非晶
質半導体層とシリコンを主成分とする第2の非晶質半導
体層を順次積層した構造を少なくとも有し、かつ整流性
を有することを特徴とする。
【0029】また、前記構成においては、第2の非晶質
半導体層に比べて第1の非晶質半導体層の膜厚が小さい
ことが好ましい。また、前記構成においては、第1の非
晶質半導体層の膜厚が5nm以上18nm以下であるこ
とが好ましい。また、前記構成においては、第1の非晶
質半導体層がシリコンカーバイド(a−Si 1-x x と略
記する)からなり、xの値が0.1〜0.4の範囲であ
ることが好ましい。 また、前記構成においては、前記画
像入力手段がCRTであり、前記CRTからの光強度の
減衰時定数(ピーク強度からその1/10に減衰する迄
に要する時間)が前記交流電源の電圧波形周期(T)よ
り短く、かつT/10より長いことが好ましい。
【0030】
【作用】前記本発明の空間光変調素子によれば、透明導
電性電極を具備した2枚の透明絶縁性基板で挟まれた領
域に、光導電体層と液晶層と、前記光導電体層と液晶層
との間に反射鏡層を少なくとも備えた空間光変調素子に
おいて、前記光導電体層が、下方の透明絶縁性基板側か
ら順次積層された第1の非晶質半導体層と第2の非晶質
半導体層とを少なくとも備え、かつ前記第1と第2の非
晶質半導体層の屈折率が互いに異なることにより、高解
像度で、かつ、高感度の空間光変調素子を達成すること
ができる。すなわち、書き込み光は、屈折率の大きな層
と屈折率の小さな層の界面で反射する。従来例のように
光反射層で書き込み光が反射する場合に比べ、界面で反
射する場合には光路長が短く、i層中における光の広が
りを従来例の場合よりも小さくすることができ好まし
い。
【0031】光導電体層が、下方の透明絶縁性基板表面
の透明導電性電極と第1の非晶質半導体層との間に、前
記第1の非晶質半導体層の屈折率よりも小さい屈折率を
有する第3の非晶質半導体層を備えるという本発明の好
ましい構成によれば、第1の非晶質半導体層内部におけ
る書き込み光112の閉じ込め効果を増進させることが
できるので、感度をより高めることができ好ましい。
【0032】また、光導電体層が整流性を有するという
本発明の好ましい構成によれば、書き込み光の入射に対
して、効率的な光キャリヤ発生および輸送が可能になる
とともに、液晶層に書き込んだ画像を順方向バイアスを
印加することによって消去できる利点がある。
【0033】また、第1の非晶質半導体層がシリコンを
主成分とする合金層であるという本発明の好ましい構成
によれば、空間光変調素子の感度を上げることができ
る。すなわち、抵抗率の大きな材料を用いると、光導電
層の中を流れる光電流が大きくなるので液晶層をスイッ
チングさせるのに必要な書き込み光の強度が少なくてす
み好ましい。さらに、第1の非晶質半導体層が、水素、
ハロゲン及び酸素から選ばれる少なくとも1つの元素を
含むという本発明の好ましい構成によれば、ダングリン
グボンドを効果的に減少させるので効率的に光キャリヤ
を発生させることができる。ここで主成分とは、非晶質
半導体層の50原子%以上を含むという意味である(以
下同様とする)。
【0034】また、第1の非晶質半導体層が、水素化非
晶質シリコン、水素化非晶質ゲルマニウム、水素化非晶
質シリコンゲルマニウム、及び水素化非晶質炭化ゲルマ
ニウムから選ばれる少なくとも1つの化合物層であると
いう本発明の好ましい構成によれば、可視光に対して光
導電性の高いこれらの材料を用いることによって、空間
光変調素子の感度を上げることができる。
【0035】また、第1の非晶質半導体層に、B、Al
及びGaから選ばれる少なくとも1つのp型不純物を存
在させるという本発明の好ましい構成によれば、整流性
を高めることができる。
【0036】また、第2の非晶質半導体層が、ゲルマニ
ウムを主成分とする合金層であるという本発明の好まし
い構成によれば、低抵抗の非晶質半導体層を形成できる
ので、ダイオード構成において大きな順方向電流を流す
ことができ好ましい。
【0037】また、第2の非晶質半導体層が、水素化非
晶質シリコン、水素化非晶質窒化ゲルマニウム、水素化
非晶質窒化シリコンゲルマニウム、水素化非晶質シリコ
ンカーバイド、水素化非晶質炭化ゲルマニウム、水素化
非晶質窒化シリコン、水素化非晶質酸化シリコン、及び
水素化非晶質カーボンから選ばれる少なくとも1つの合
金層であるという本発明の好ましい構成によれば、プラ
ズマCVD法により第1の非晶質半導体層を形成した
後、連続的に形成できるので作製が容易で、かつ低コス
トで量産することができる。
【0038】また、第2の非晶質半導体層に、P、A
s、Sb及びSeから選ばれる少なくとも1つのn型不
純物を存在させるという本発明の好ましい構成によれ
ば、第2の非晶質半導体層をn層とすることができ、整
流性を高めることができる。
【0039】また、水素化非晶質シリコンカーバイドの
炭素含有量が、10原子%以上40原子%以下であると
いう本発明の好ましい構成によれば、高解像度で、か
つ、高感度の画像を出力する空間光変調素子を達成する
ことができる。
【0040】また、第3の非晶質半導体層の厚さが、1
〜300nmであるという本発明の好ましい構成によれ
ば、高解像度で、かつ、高感度の画像を出力する空間光
変調素子を達成することができる。第3の非晶質半導体
層が、B、Al、Ga、及びInから選ばれる少なくと
も1つのp型不純物を100〜10000ppm含む非
晶質シリコンカーバイドからなるという本発明の好まし
い構成によれば、第3の非晶質半導体層をp層とするこ
とができ、整流性を高めることができる。
【0041】また、光導電体層の厚さが0.5〜10μ
mの範囲であるという本発明の好ましい構成によれば、
高解像度で、かつ、高感度の画像を出力する空間光変調
素子を達成することができる。
【0042】また、反射鏡層が、Al、Ag、Mo、N
i、Cr、Mg、及びTiから選ばれる少なくとも1つ
の金属層であるという本発明の好ましい構成によれば、
反射率を大きくすることができ好ましい。
【0043】また、反射鏡層が島状に形成されており、
かつ前記一つの島が1個の画素に対応しているという本
発明の好ましい構成によれば、十分な電位差を生じさ
せ、良質な画像を作像できる。
【0044】また、島状に形成されている反射鏡層の間
の第2の非晶質半導体層が除去されており、かつ除去さ
れた部分に光吸収層が存在しているという本発明の好ま
しい構成によれば、キャリヤの横方向への拡散を防止で
きるとともに、反射鏡の間隙から洩れてくる光を吸収で
きるので素子の解像度を高めることができる。
【0045】第2の非晶質半導体層が除去されている部
分の下部の第1の非晶質半導体層の一部も除去され、か
つ除去された部分に光吸収層が存在しているという本発
明の好ましい構成によれば、前記と同様、反射鏡の間隙
から洩れてくる光を吸収できるので素子の解像度を高め
ることができる。第1の非晶質半導体層の残存する厚さ
が0.01〜1μmの範囲であるという本発明の好まし
い構成によれば、可視光をほとんど吸収せずに透過させ
るので光を効果的に利用することができる。
【0046】また、光吸収層が、炭素粒子を分散した有
機高分子ポリマー、黒色顔料を配合した有機高分子ポリ
マー、黒色染料を配合した有機高分子ポリマー、アモル
ファスシリコンカーバイド、アモルファス水素化ゲルマ
ニウム、及びアモルファス窒化ゲルマニウムから選ばれ
る少なくとも一つの無機薄膜であるという本発明の好ま
しい構成によれば、光吸収の効果が高く好ましい。光吸
収層の底部に、Al、Ag、Mo、Ni、Cr、及びM
gから選ばれる少なくとも一つの金属を含む金属遮光膜
を存在させるという本発明の好ましい構成によれば、読
み出し光をより効果的に遮断することができる。また、
光吸収層を覆う位置に、無機絶縁膜及び有機絶縁膜から
選ばれる少なくとも一つの電気的絶縁膜を存在させたと
いう本発明の好ましい構成によれば、反射鏡間の電気絶
縁性を高められるので好ましい。
【0047】次に、前記本発明の製造方法によれば、透
明導電性電極を具備した2枚の透明絶縁性基板で挟まれ
た領域に非晶質半導体層からなる光導電体層と液晶層と
これらの層の間に反射鏡とを少なくとも備えた空間光変
調素子の製造方法であって、減圧にし得る真空容器内に
所定のガスを導入して所定の内圧とし、前記真空容器内
において放電現象を生起させてプラズマを生成し、少な
くとも前記光導電体層の形成終了時に前記透明絶縁性基
板の温度が10℃以上180℃以下となるように前記透
明絶縁性基板上に前記光導電体層を形成し、次いで前記
反射鏡を形成し、前記液晶層を形成することにより、光
導電体層の形成に加熱および冷却時間を殆ど必要とせず
短時間に素子を得ることができる。すなわち、a−S
i:H膜の応力、禁止帯幅や光導電率などの物性は、膜
中に存在する水素含有量およびSiH,SiH2,(SiH
2)n(ここでn=2,3,4,…)などの水素結合状態に依
存することは周知の通りである。従って、水素結合状態
に影響を与える成膜時の基板温度によってa−Si:H
の物性が変化することも明らかである。一般に基板温度
が180℃以下の低温でa−Si:Hを成膜すると、膜
中の水素含有量が多く、膜の圧縮応力は低下し膜の基板
に対する密着性は向上するが、膜の密度が小さく光導電
性は著しく低下する。また、200℃以上の高温時での
成膜は、膜成長表面での水素ラジカルの熱的挙動が水素
結合状態を決める大きな要因なるが、180℃以下の
低温時の成膜では、膜質は基板温度よりも膜を形成する
ラジカルの状態に依存する。従って、従来の空間光変調
素子を構成するa−Si:H層の成膜時に要求される基
板温度の均一性は、基板温度が200〜300℃と高い
ために±5℃以下とされなければならなかったが、本発
明の方法によれば、基板温度が180℃以下と低いた
め、±20℃程度の均一性でもよい。そのため、基板の
加熱時間を短くしても膜質の均一性には問題が無い。ま
た、水冷によって冷却時間を短くしても、膜の密着性が
高いため剥がれることはない。
【0048】反射鏡が、光導電体層の基板と反対側の界
面と同一平面内に設けられた島状反射鏡であり、前記島
状反射鏡を形成した後、少なくとも有機薄膜を塗布し1
80℃を越える温度で熱処理を行うという本発明の好ま
しい構成によれば、光導電体層の光導電性を向上するこ
とができる。
【0049】また、反射鏡が誘電体反射鏡であり、前記
誘電体反射鏡を180℃を越える温度で形成するという
本発明の好ましい構成によれば、前記と同様に、光導電
体層の光導電性を向上することができる。
【0050】また、光導電体層形成時の透明絶縁性基板
の温度が、常に10℃以上180℃以下であるという本
発明の好ましい構成によれば、基板の加熱時間及び冷却
時間を短くしても、均一でかつ基板との密着性に優れた
良質の光導電体層を形成できる。
【0051】また、透明絶縁性基板を180℃以上の温
度から徐々に冷却しながら光導電体層を透明導電性基板
上に形成し、前記光導電体層の形成終了時に前記透明絶
縁性基板の温度が180℃以下であるという本発明の好
ましい構成によれば、光導電体層の光導電性を向上する
ことができる。
【0052】また、光導電体層の一部が少なくとも水素
を含有するシリコンカーバイドからなるという本発明の
好ましい構成によれば、空間光変調素子の出力画像を高
解像度、高コントラストにできる。シリコンカーバイド
の炭素含有量が10原子%以上40原子%以下であると
いう本発明の好ましい構成によれば、光導電体層の光導
電性を向上することができる。
【0053】次に本発明の投射型ディスプレイによれ
ば、透明導電性電極を具備した2枚の透明絶縁性基板で
挟まれた領域に、下方の透明絶縁性基板側から順次積層
された第1の非晶質半導体層と第2の非晶質半導体層と
を少なくとも備え、かつ前記第1の非晶質半導体層の屈
折率よりも第2の非晶質半導体層の屈折率が小さい光導
電体層と、液晶層と、前記光導電体層と液晶層との間に
反射鏡層を少なくとも備えた空間光変調素子と、前記空
間光変調素子を駆動するための交流電源と、波長が40
0nm以上600nm以下の光によって画像を出力する
画像入力手段と、前記画像入力手段から出力された画像
を前記光導電体層に結像する画像結像手段と、前記空間
光変調素子が出力する画像を読み出す光源及び投射レン
ズを少なくとも備えた投射型ディスプレイであって、前
記光導電体層がシリコンおよび炭素を主成分とする第1
の非晶質半導体層とシリコンを主成分とする第2の非晶
質半導体層を順次積層した構造を少なくとも有し、かつ
整流性を有することにより、残像や焼き付きがなく、小
型軽量化が容易な投射型ディスプレイを達成することが
できる。また、第2の非晶質半導体層に比べて第1の非
晶質半導体層の膜厚が小さいという本発明の好ましい構
成によれば、光吸収の効果が高く空間光変調素子の感度
が高まり好ましい。また、第1の非晶質半導体層の膜厚
が5nm以上18nm以下であるという本発明の好まし
い構成によれば、小型軽量化が可能で、高感度・高解像
度で明るい画面を提供する優れた投射型ディスプレイを
達成することができる。
【0054】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。図1は本実施例に係る空間光変調素子の断
面図である。図1に示すように、透明絶縁性基板101
(例えば、ガラス、石英、サファイヤなどの基板)上に
は、透明導電性電極(例えば、ITO(インジウム−ス
ズ酸化物)、ZnO又はSnO2 などの導電性酸化物)
102と、第1の非晶質半導体層103および第2の非
晶質半導体層104からなる光導電体層105とが順次
積層されている。また、光導電体層105の上には、反
射鏡106と液晶層107を配向する配向膜108とが
順に配置されている。また、対向側の透明導電性電極1
09にも配向膜110が一様に成膜されている。なお、
図1中、111は101と同様、透明絶縁性基板(例え
ば、ガラス、石英、サファイヤなどの基板)である。
【0055】この空間光変調素子の駆動は、両透明導電
性電極102、109間に外部から電圧を印加すること
によってなされる。そして、この状態で光導電体層10
5に書き込み光112が照射されると、光が照射されて
いる部分の液晶層107にかかる電圧が増大し、この電
圧の大きさに応じて液晶分子の配向状態が変化する。こ
の配向状態の変化は偏光子113と検光子114を組み
合わせた光学系を用いて、書き込み光112とは反対の
方向から読み出し光115を入射することにより、反射
鏡106からの反射光として観測することができる。但
し、偏光子113および検光子114は1つの偏光ビー
ムスプリッターで代用することもできる。
【0056】液晶層107に用いる材料としては、ネマ
ティック液晶、スーパーツイストネマティック液晶、強
誘電性液晶、ポリマー中に液晶を分散させた分散型液晶
等が挙げられる。強誘電性液晶を用いた場合、液晶層1
07の厚みを小さくできることから電気インピーダンス
を小さくでき、光導電体層105の膜厚を薄く設定でき
るとともに、高速応答が可能で、メモリ機能ももつこと
から有用である。また、強誘電性液晶の透過特性は電圧
に対し急峻な閾値特性を有するため、入力光に対する閾
値処理を行う上では最適な材料である。一方、分散型液
晶を用いた場合は偏光子113、検光子114および配
向膜108、110が不要になり、出力光が明るくなる
とともに、素子および光学系が簡単になるという利点が
ある。また、分散型液晶以外の液晶材料を用いた場合に
は、液晶層107は樹脂によって密封されるとともに、
層厚を調整するためにスペーサー(図1には示していな
い)が液晶層107中に混入される。このスペーサーと
しては通常、アルミナや石英のビーズまたはガラスファ
イバーの粉末が使用される。また、これらのスペーサー
は液晶層107を密封する樹脂中にも混入される。液晶
を配向するための配向膜108、110は、SiOx
法蒸着膜またはラビング処理を施したポリイミド、ポリ
ビニルアルコールなどの有機高分子薄膜からなってい
る。
【0057】光導電体層105を構成する材料として
は、比較的低温(400℃以下)で広い面積に成膜する
ことができるものが好ましい。第1の非晶質半導体層1
03は、書き込み光112の入射に対し効率よく光キャ
リヤを発生し、液晶層側へ輸送する機能が要求される。
そのため、可視光に対し高い光導電性を有する材料で形
成される。例えば、a−Si:H(屈折率3.4)、a
−Ge:H(水素化非晶質ゲルマニウム、屈折率4.
3)、a−Si1-xx:H(屈折率2.8)、a−Si
1-xGex:H(水素化非晶質シリコンゲルマニウム、屈
折率3.7)、a−Ge1-xx:H(水素化非晶質炭化
ゲルマニウム、3.3〜3.6)などの水素化非晶質半
導体がある。尚、周知のことではあるが、上記の水素化
非晶質半導体には、キャリヤトラップとして働くダング
リングボンドを効果的に減少させるために、F、Clな
どのハロゲン原子を水素と同様に添加してもよいし、ま
たは微量(例えば0.1〜10原子%)の酸素(O)原子を
含有させてもよい。一方、第2の非晶質半導体層104
を構成する材料としては、上記した第1の非晶質半導体
層103を構成する材料と同じ材料で、膜中の水素含有
量をより多くしたものを使用することができる。尚、a
−Si1-xx:H又はa−Ge1-xx:Hによって第1
の非晶質半導体層103を構成した場合には、第2の非
晶質半導体層104として水素含有量を増やすだけでな
く炭素含有量を増加したものを使用してもよい。第1の
非晶質半導体層103(以下、A層として表記する)と
第2の非晶質半導体層104(以下、B層として表記す
る)の具体的な組合せとしては、例えばa−Si:H
(A層)と水素化非晶質窒化ゲルマニウム(以下、a−
Ge1-xx:Hと略記する。屈折率2.7)(B層)、
a−Si:H(A層)とa−Si1-xx:H(B層)、
a−Si1-xGex:H(A層)とa−Ge1-xx:H
(B層)、a−Si1-xGex:H(A層)とa−Si
1-xx:H(B層)、a−Si:H(A層)とa−Ge
1-xx:H(B層、屈折率2.5〜3.0)、a−Si
1-xGex:H(A層)とa−Ge1-xx:H(B層)、
a−Si:H(A層)とa−Si1-xx:H(B層)、
a−Si1-xGex:H(A層)とa−Si1-xx:H
(B層)、a−Si:H(A層)とa−Si1-xx:H
(B層)、a−Si1-xGex:H(A層)とa−Si
1-xx:H(B層)、a−Si:H(A層)とa−C:
H(B層)、a−Si1-xGex:H(A層)とa−C:
H(B層)、a−Si:H(A層)と水素化非晶質窒化
シリコンゲルマニム(以下、a−Si1-x-yGexy
Hと略記する。屈折率2.8〜3.4)(B層)、a−
Si1-xGex:H(A層)とa−Si1-x-yGexy
H(B層)(但し、0<x<1、0<y<1、A層とB
層のxの値は同じであっても異なっていてもよい)など
がある。B層を構成するこれらの材料は、A層を構成す
るa−Si:H、a−Si1-xGex:Hと同様にプラズ
マCVD法を用いて連続的に形成することができるた
め、従来例における光導電層(a−Si:H)と光吸収
層(CdTe)とを積層するタイプに比べて作製が容易
で、かつ、低コストで量産性に富む。中でも、a−Ge
1-xx:H及びa−Si1-x-yGexy:Hは、アンド
ープの状態で10 8 Ωcm以下の低抵抗のものを得るこ
とができるため、ダイオード構成において大きな順方向
電流を流すことができ好ましい。a−Ge1-xx:Hに
は、禁止帯幅が影響を受けない程度に酸素原子を含んで
いてもよい。具体的にはGe原子に対し、20原子%ま
でである(a−Si1-x-yGexy:Hの場合は、O原
子はSiおよびGe原子に対して10原子%以下であ
る)。
【0058】光導電体層105を図1のような構成とし
たことにより、書き込み光112は、A層103とB層
104の界面117で反射する。このとき、A層103
を、例えばi型a−Si:Hで構成すれば、書き込み光
112はi型a−Si:H103中へ反射する。このた
め、反射した書き込み光はi層103中で吸収され光キ
ャリヤを生成する。この光キャリヤは、i層103に印
加された電界に従ってドリフトし、光導電体層105中
を流れる光電流として寄与する。また、本実施例のよう
に界面117で反射する場合には、従来例のように光導
電体層105と反射鏡106の界面で書き込み光112
が反射した場合(図1に破線で示す)に比べて光路長が
短くなり、i層中における光の広がりを従来例の場合よ
りも小さくすることができる。従って、高解像度で、か
つ、高感度の空間光変調素子を提供することができる。
【0059】光導電体層105に整流性をもたせるため
には、内部にp/i、i/n、p/i/n構造を形成す
ればよい(但し、i層とはアンドープ層を意味する)。
具体的には、n層としてはB層104を使用し、上記の
a−Si:H、a−Ge:H、a−Si1-xx:H、a
−Si1-xGex:H、a−Ge1-xx:Hにn型不純物
としてP、As、Sb、Seなどの元素を添加したもの
を使用し、p/i構造またはi層としてA層103を充
当する。p型層を形成するには、A層103を構成する
上記材料に、p型不純物としてB、Al、Gaなどの元
素を添加するのが好ましい。p/i構造を構成する方法
としては、i型であるA層103の透明導電性電極側の
一部に上記の方法でp層を形成する、または図1に示す
ように、A層103と透明導電性電極102との間に、
p型の第3の非晶質半導体層116を挿入する方法があ
る。特に、後者のA層を2つのB層によって挟み込む構
造にすれば、A層内部における書き込み光112の閉じ
込め効果を増進させることができるので、感度をより高
めることができ好ましい。A層103と透明導電性電極
102との間に挿入される具体的なp型の第3の非晶質
半導体層116としては、p型不純物(B、Al、G
a、Inなど)を100〜10,000ppm添加した
p型のa−Si1-xx:H(但し、0<x<0.4が望
ましい)を膜厚1〜300nm、好ましくは5〜30n
mで構成される。また、光導電体層105に整流性をも
たせると、書き込み光112の入射に対して、効率的な
光キャリヤ発生および輸送が可能になるとともに、液晶
層107に書き込んだ画像を順方向バイアスを印加する
ことによって消去できる利点がある。光導電体層105
の膜厚は、液晶層107との関係で決められるが、通常
0.5〜10μmである。
【0060】反射鏡106は、TaO2、Siのように
誘電率の大きな薄膜とMgF、SiO2のように誘電率
の小さな薄膜を交互に多層に積層した多層誘電体反射鏡
が使用される。また、別の方式としては図3に示すよう
に反射鏡301として、反射率の大きなAl、Ag、M
o、Ni、Cr、Mg、Tiなどの金属薄膜で島状に形
成し、2次元マトリックス状またはモザイク状に配列し
たものが使用される。
【0061】図3は空間光変調素子の一実施例を示す断
面図である。島状反射鏡301は図3のように分離して
いなければならないが、その形状の如何は問わない。島
状反射鏡301がこのように分離している理由は、これ
らが連続していると同一電位になって電位差を生じない
ため、作像が不可能になるためである。また、個々の反
射鏡301が、それぞれ、出力画像における1個の画素
に対応している。また、キャリヤの横方向への拡散を防
止し、素子の高解像度化を図る目的で島状反射鏡301
間の第2の非晶質半導体層104は少なくともエッチン
グして除去するとよい。こうすることにより、島状反射
鏡301間でのキャリヤの横流れは抑制され、素子の高
解像度化が可能になる。しかし、このままでは強度の大
きな光で読みだした場合に、島状反射鏡301間の間隙
から読み出し光115が光キャリヤの発生を司る第1の
非晶質半導体層103に入射し、液晶層107を誤動作
させてしまう場合がありうる。これを防ぐために、第2
の非晶質半導体層104だけでなく島状反射鏡301間
の第1の非晶質半導体層103も除去している。溝の深
さは光導電体層105の膜厚と同じであることが望まし
いが、図3に示すように、可視光を殆ど吸収せずに透過
できる程度の膜厚、好ましくは1μm以下、最適には
0.5μm以下の光導電体層105を残すように設定し
てもよい。さらに、この溝の部分には、可視光を吸収す
る材料で構成される光吸収層302(例えば、炭素粒子
を分散した有機高分子ポリマー、黒色顔料または黒色染
料を配合した有機高分子ポリマー、またはa−C:H、
a−Ge:H、a−Ge1-xx:Hなどの無機薄膜から
成る)が形成されており、島状反射鏡301の間隙から
洩れてくる読み出し光115を吸収する。また、読み出
し光115の遮光をより完全なものにするため、Al、
Ag、Mo、Ni、Cr、Mgなどの金属遮光膜303
を穴の底部に形成してもよい。島状反射鏡301間の電
気的絶縁を完全にするために、SiOx、SiNx、Si
x、GeOx、GeNx、GeCx、AlOx、AlNx
BCx、BNxなどの無機絶縁物またはポリイミド、ポリ
ビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリパラキシレ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポ
リ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン、ポリ
フッ化ビニリデン、六フッ化プロピレン−四フッ化エチ
レンコポリマー、三フッ化エチレン−フッ化ビニリデン
コポリマー、ポリブテン、ポリビニルブチラール、ポリ
ウレタン等の有機絶縁物からなる絶縁膜304を溝の部
分に形成してもよい。
【0062】光導電体層105膜は、図2に示すような
プラズマCVD装置に於て作製される。電源201は、
直流または高周波(1kHz〜100MHz)またはマイクロ波(1GH
z以上)電源であり、真空容器202内の電極203に
マッチング回路204を介して接続されている(但し、
直流の場合はマッチング回路204は不用)。電極20
3にはシャワー状に多数の穴が設けてあり、原料ガスボ
ンベ205、希釈ガスボンベ206、不純物ガスボンベ
207、208からこれらのガスがマスフローコントロ
ーラー209〜212によって所定の流量に調節されて
これらの穴から真空容器202内に導入される(但し、
図2では便宜上、これら4本のガスボンベおよびガス系
統しか記載されていないが、これらは形成する膜の種類
に応じて増減される)。光導電体層105を形成するた
めの基板213は、ヒーター214上に配置され所定の
温度に加熱される。なお、図2中、215は真空ポン
プ、216はバルブ、217は水冷装置である。また、
図2に示した装置では真空容器は1室しか無いが、pi
n構造のように多層からなる光導電体層を形成する場合
は各層専用の膜形成室(例えば、pin構造の場合は3
室)を設けても良く、更に基板仕込室および基板取り出
し室を膜形成室の両側に設けて基板を一方向に移動させ
るようにしても良い。
【0063】以下に、成膜手順を説明する。先ず、高真
空に排気された真空容器202内に、ある所定の流量の
原料ガスおよび希釈ガス(必要とあれば不純物ガス)を
導入し、真空ポンプ215とバルブ216によって所定
の圧力となるように調整した後、電極203と接地され
た基板213間に電界を印加しプラズマを発生させ基板
213上に所定の膜厚の光導電体層105を形成する。
【0064】例えば、光導電体層105にa−Si:H
を用いた場合、使用される原料ガスは、ガス分子内にダ
ングリングボンドを終端する働きを持つ水素原子を含ん
でいることが必要であり、具体的には、SiH4、Si2
6、Si38、Si410、SiH4-nn、SiH4-n
Cln(但し、n=1,2,3)のうち1種類またはこれらの組
合せからなる混合ガス、またはこれらのガスとSi
4、Si26、SiCl4のうちの1種類または2種類
以上を混合したガスが挙げられる。また、a−Si1-x
x:Hを成膜する場合には、これらのシリコン化合物
ガスにCH4、C26、C38、C410、C24、C3
6、C48、C22、C34、C46、C66などの
炭化水素ガス、CH3F、CH3Cl、CH3Br、CH3
I、C25Cl、C25Br、C25Iなどのハロゲン
化アルキル、C35F、C35Cl、C35Brなどの
ハロゲン化アリル、CClF3、CF4、CHF3、C2
6、C38などのフロンガス、C66-mm(m=1〜
6)のフッ化ベンゼンなどのガスを混合すればよい。ま
た、(CH34Siガスを単独で使用しても、上記のガ
スと混合してもよい。a−Si1-xGex:Hを成膜する
場合には、上記のシリコン化合物ガスにGeH4、Ge2
6、Ge38、GeF4、GeCl4、GeBr4、Ge
4、GeF2、GeCl2、GeBr2、GeI2、Ge
HF3、GeH22、GeH3F、GeHCl3、GeH2
Cl2、GeH3Cl、GeHBr3、GeH2Br2、G
eH3Br、GeHI3、GeH22、GeH3Iなどの
ガスを混合すればよい。a−Ge1-xx:H膜を形成す
る場合は、上記のゲルマニウム化合物ガスにN2、N
3、H2NNH2、HN3、NH43、F3N、F42
どの窒素化合物ガスを混合すればよい。a−Si1-x-y
Gexy:H膜を形成する場合には、上記のシリコン化
合物ガスおよびゲルマニウム化合物ガスの混合ガスに、
上記の窒素化合物ガスを混合して使用すればよい。ま
た、これらの原料ガスを希釈するガスにはH2、He、
Ne、Ar、Kr、Xe等が使用される。また、膜の電
気伝導度を変化させるためにn型伝導を与える不純物
(P、As、Sb、Se)を添加するには、PH3、P
3、PF5、PCl2F、PCl23、PCl3、PBr
3、AsH3、AsF3、AsF5、AsCl3、AsB
3、SbH3、SbF3、SbCl3、H2Se等のガス
を上記の原料ガスおよび希釈ガスに混合すればよく、p
型伝導を与える不純物(B、Al、Ga、In)を添加
するには、B26、BF3、BCl3、BBr3、(C
33Al、(C253Al、(C493Al、(C
33In、(CH33Ga、(C253In、(C2
53Ga等のガスを上記の原料ガスおよび希ガスに
混合すればよい。
【0065】空間光変調素子に使用される光導電体層の
中で、光キャリヤを発生し、反射鏡側へ効率よく輸送す
る機能を有するのがi層である。従って、書き込み光が
p層を通過してi層に入射する際に、p層での損失が無
いことが望ましい。従来のa−Si:Hを使ったp層の
場合は、膜厚が薄くても600nm以下の短波長の光を
良く吸収してしまうため、この波長で発光するCRTを
用いて光書き込みを行う場合は、光量を非常に大きくす
る必要があった。そのため、a−Si:Hよりも禁止帯
幅の広い水素化非晶質シリコンカーバイド(以下、a−
Si1-xx:Hと略記する)をp層に使用すれば、60
0nm以下の短波長の光に対してもp層での吸収がなく
i層に到達することが出来る。そうすることによって、
600nm以下の光に対してi型a−Si:H層は極表
面で吸収し光キャリヤを発生するbめ、i層中を輸送さ
れるのは電子だけになり、移動度の遅い正孔は膜厚の薄
いp層を輸送されることになる。そのため、光導電体層
中を流れる光電流は正孔の影響を殆ど受けることが無
く、また、p層には正孔に対する深いトラップも存在し
ないため光電流の応答は高速になる。従って、光導電体
層のp層にa−Si1-xx:Hを使用した空間光変調素
子を投射型ディスプレイに搭載すれば、600nm以下
の光によって小さな光量でも画像の書き込みを行うこと
が可能になり、残像や焼き付きの無い画像を得ることが
出来る。そのため、高輝度の書き込み画像を必要とし
ために従来問題となっていた書き込み光源の解像度およ
びコントラストの劣化が無くなり、空間光変調素子に高
解像度で高コントラストの良質の画像が書き込まれる。
従って、画像入力手段が出力し得る画像の面積に比べ
て、光導電体層の面積が1/5以上という小さい面積で
あっても、空間光変調素子の出力画像も高解像度、高コ
ントラストにできる。また、CRTによって画像を書き
込む場合、小型のCRTでも600nm以下の波長で十
分に画像を空間光変調素子に書き込むことができるの
で、投射装置を小型軽量にすることが出来る。
【0066】以下に具体的実施例を挙げて、より詳細に
説明する。 (実施例1)図1の断面図に示すように、ガラス基板1
01上に、スパッタ法によってITOを0.05〜0.
2μmの膜厚で成膜し、透明導電性電極102を形成し
た。次いで、これを図2に示すプラズマCVD装置内に
配置し、真空容器202内を1×10-6Torr以下に
排気した後、ヒーター214で280℃に加熱した。H
eで希釈した濃度10ppm(1ppm=1×10-6
のB26を400sccmおよびSiH4:1scc
m、C22:0.2sccmを真空容器202内に導入
し圧力を0.8Torrに調整した後、周波数13.5
6MHzの高周波電力30Wを電極203に印加して放
電を発生させ、屈折率の小さい層116として、5〜1
8nm厚のp型a−Si1-xx:H層を形成した。続い
て、真空容器202内を一度高真空に排気した後、
2:100sccmおよびSiH4:40sccmを真
空容器内に導入し、圧力0.8Torr、高周波電力1
5Wで同様にi型アンドープa−Si:H層を1〜1.
8μmを形成して屈折率の大きい層103とし、再び真
空容器202内を真空排気した。次いで、屈折率の小さ
な層104として、N2:160sccmとGeH4:1
sccmを真空容器202内に導入し圧力を0.5To
rrに調整した後、高周波電力20Wの条件で0.3〜
1μmのアンドープa−Ge1-xx:H(0.1≦x≦
0.4)層を形成して光導電体層105を完成した。次
いで、スパッタ蒸着法によりSiとSiO2を交互に多
層に積層して多層誘電体反射層106を形成した後、ラ
ビング処理を施したポリイミド配向膜108を積層し
た。ポリイミドには下記式(化1)で示されるオリゴフ
ェニレンスルフィドポリイミドの一種を用いた。
【0067】
【化1】
【0068】そして、これとITOからなる透明導電性
電極109及び前記と同様のポリイミド配向膜110を
積層したガラス基板111との間に0.8〜1.3μm
厚の強誘電性液晶層107を挟み込んで空間光変調素子
(1)を作製した。強誘電性液晶にはチッソ株式会社
製、品番CS−1029を用い、他の実施例においても
同じものを用いた。
【0069】また、これとは別に、光導電体層105の
アンドープa−Ge1-xx:H層(屈折率の小さな層)
104を、H2で希釈した濃度100ppmのPH3:5
0〜100sccmとSiH4:5〜20sccmを用
いて同じ膜厚で成膜したn型a−Si:Hで置き換えた
空間光変調素子(2)を作製した。
【0070】これらの空間光変調素子(1)、(2)の
両透明導電性電極102、109間に、図5に示す交流
電圧波形(Vp=15V、Vn=−1.5V、Tp:T=
1:11、T=1〜16ms)を印加し、書き込み光1
12として白色光を用い、読み出し光115としてHe
−Neレーザ(633nm)を用いて動作を調べた。こ
こで、図3を用いて素子の動作を簡単に説明する。但
し、印加電圧は、透明導電性電極102が+となるよう
に設定した。書き込み光112は光導電体層105が逆
バイアスされる−のパルス印加時に照射され、これによ
って液晶層107にかかる電圧が増加して液晶はオフ状
態からオン状態へスイッチし、読み出し光115による
出力光が出力される。その後、光導電体層105が順バ
イアスされる+のパルスが印加されると、液晶層107
は書き込み光112の照射如何にかかわらずオフ状態に
スイッチされる。
【0071】このような動作条件で、空間光変調素子
(1)の光感度は50〜80μW/cm2、立ち上がり
時間は30〜50μs、解像度は50〜70lp(li
nepairs)/mm(変調伝達関数(MTF):5
0%)であるのに対し、空間光変調素子(2)の光感度
は90〜120μW/cm2、立ち上がり時間は30〜
50μs、解像度は40〜60lp/mm(MTF:5
0%)であった。
【0072】また、空間光変調素子(1)に使用した光
導電体層105を上記と同様にしてITO電極上に形成
した後、さらにa−Ge1-xx:H層(屈折率の小さな
層)103上にAl電極を形成し、光導電体層105の
電圧−電流特性を調べた。その結果を図6に示す。光電
流は、逆バイアス下でITO電極102側から波長55
0nm、強度0.5μW/cm2の単色光を照射して得
られたものである。このように、良好なフォトダイオー
ド特性を確認することができた。
【0073】さらに、空間光変調素子(1)に使用した
a−Ge1-xx:H膜を石英板及び結晶Siウェーハ上
に堆積して、1000〜2600nmにおける近赤外領
域の干渉スペクトル及び赤外吸収(IR)スペクトルを
それぞれ測定した。その結果、1500nm付近の干渉
波形から得られた屈折率は2.0〜2.9であり、同じ
ようにして求めたa−Si:Hの値(3.3〜3.5)
に比べて小さいことが確認できた。一方、IRスペクト
ルでは、N−H結合に起因していると思われる3300
cm-1及び1150cm -1 付近の吸収ピークと、Ge−
N結合に起因していると思われる760cm-1及び14
30cm-1付近の吸収帯が顕著に観測された。
【0074】(実施例2)図3の断面図に示すように、
ガラス基板101上に0.05〜0.2μm厚のITO透明電
極102をスパッタ法により成膜し、実施例1と同様に
して光導電体層105を形成した。次いで、光導電体層
105の表面に真空蒸着法によりCr:500nm厚を
堆積し、写真蝕刻法によってパターニングを行い、島状
反射鏡301を形成した。このとき島状反射鏡301の
形状は24μm角の正方形で、2μmの間隔を保ちなが
ら2000×2000個の反射鏡がマトリックス状に配
列している(但し、島状反射鏡301は写真蝕刻法だけ
でなく、リフトオフ法を用いても形成できる)。次い
で、この島状反射鏡301をマスクにして反応性イオン
エッチング法(以下、RIEと略記する)または化学的
ドライエッチング法(以下、CDEと略記する)によっ
て、島状反射鏡301の間のa−Ge1-xx:H層10
4およびa−Si:H層103をエッチングにより除去
した。この時の光導電体層105の断面図を図4(a)
に示す。次に、上から真空蒸着法により100nm厚の
Alを蒸着した。この様子を図4(b)に示す。この
時、このAl膜は島状反射鏡301上および溝内に形成
されることになり、島状反射鏡301はAl/Crの2
重構造となり、溝内に形成された部分は読み出し光11
5を遮光するための金属遮光膜303となる。次いで、
下記式(化2)で示されるポリアミック酸を厚さ:10
0〜300nm塗布し、空気中または窒素雰囲気中で9
0〜100℃で5分間プリベークした後、200〜30
0℃で30分ないし60分間熱処理を加えてイミド化さ
せ、ポリイミドからなる絶縁膜304を形成した。
【0075】
【化2】
【0076】次いで、炭素粒子を含むレジストを塗布し
て溝内に充填した後、空気中または窒素雰囲気中で90
〜100℃で5分間プリベークおよび200〜300℃
で30分ないし60分間のポストベークを行って光吸収
層302を形成し、さらにCDEによって島状反射鏡3
01上に残っているポリイミド膜および炭素粒子を含む
レジスト膜を除去した。この時の状態を図4(c)に示
す。次いで、前記式(化2)のポリアミック酸を厚さ:
10〜30nm塗布し、空気中または窒素雰囲気中で9
0〜100℃で5分間プリベークした後、250〜28
0℃で30分ないし60分間熱処理を加えてイミド化
し、ラビング処理を施してポリイミド配向膜108を積
層した。これとITOの透明導電性電極109および配
向膜108と同様に作製したポリイミド配向膜110を
積層したガラス基板111との間に0.8〜2μm厚の
強誘電性液晶層107を挟んで、図3に示した空間光変
調素子(3)を完成した。この空間光変調素子(3)
を、実施例1と同様にして評価したところ、光感度は8
0μW/cm2 、立ち上がり時間は30μsであった。
【0077】(実施例3)図1に示すように、ガラス基
板101上に、スパッタ蒸着法によってITO透明電極
102を0.05〜0.2μmの膜厚で成膜した。次い
で、これを図2に示すプラズマCVD法装置内に移し、
真空容器202内を1×10-6Torr以下に排気した
後、250〜300℃に加熱した。次いで、Heで希釈
した濃度100ppmのB26:360sccm、Si
4:1sccm及びC22:0.2sccmを真空容
器202内に導入し、圧力を0.5〜0.8Torrに
調整した後、電極203に13.56MHz、20〜5
0Wの高周波電力を印加してプラズマを発生させ、p型
a−Si1-xx:H層(x=0.23)を15nmの膜
厚で成膜して屈折率の小さな層116を形成した。次い
で、He:150〜300sccmとSiH4:0.7
5〜6sccmを真空容器202内に導入し、同様にし
てi型アンドープa−Si:H層を1.2〜2μmの膜
厚で成膜して屈折率の大きな層103を形成した。次い
で、N2:100〜200sccm、SiH4:0.1〜
3sccm及びGeH4:0.1〜0.5sccmを真
空容器202内に導入し、10〜30Wの高周波電力で
アンドープa−Si1-x-yGex y:H(0.1≦x≦
0.5、0.1≦y≦0.4)層を0.1〜0.9μm
の膜厚で成膜して屈折率の小さな層104を形成し、光
導電体層105を作製した。次いで、光導電体層105
上に、スパッタ蒸着法によってSi及びSiO2を交互
に多層に積層して多層誘電体反射鏡106を形成した
後、前記式(化1)のポリイミドを用いて、ラビング処
理を施したポリイミド配向膜108を積層した。そし
て、これとITO透明電極109及びポリイミド配向膜
110を積層したガラス基板111との間に0.8〜
1.3μm厚の強誘電性液晶層107を挟み込んで空間
光変調素子(4)を作製した。
【0078】図7にこの空間光変調素子を組み込んだ投
射型ディスプレイ装置の概略図を示す。701は白色拡
散面をもつスクリーン、702は投射用光源で反射鏡付
きメタルハライドランプ、703は書き込み光源として
CRT、704は空間光変調素子、705は空間光変調
素子704の出力像をスクリーン701上に40倍に拡
大する投射用レンズ系である。なお、706は偏光ビー
ムスプリッター、707はCRT703に表示された画
像を空間光変調素子704の光導電体層105に結像す
るための結像レンズ系、708はリレーレンズ系、70
9はプリ偏光子、710は補助レンズ、711は空間光
変調素子704を駆動するための交流電源である。
【0079】ここで、本実施例の投射像の形成、消去お
よびスクリーン上に投射された結果に付いて簡単に述べ
る。透明導電性電極102と109間に、図5に示す交
流電圧波形(Vp=15V、Vn=−1V、Tp:T=
1:11、T=1〜16ms)を印加した。但し、印加
電圧の極性は、透明導電性電極102が−になるように
設定した。光導電体層105が逆バイアスされるVn
電圧が印加されている期間に、CRT703に表示され
ている画像が空間光変調素子705に書き込まれ、スク
リーン701上に書き込まれた画像が投影される。Vp
の電圧が印加されている期間、光導電体層105が順バ
イアスされるため、書き込まれた画像は消去される。メ
タルハライドランプ702を点灯したときの空間光変調
素子705上の照度は200万lxであったが、得られ
たスクリーン701上の像のコントラストは、150:
1であり、解像度は900TV本であった。但し、この
時に使用したCRT703の画像表示領域の大きさは対
角6.2インチ(アスペクト比16:9)で、この画像
を受ける空間光変調素子704の光導電体層105の大
きさは対角2.8インチであった。また、CRT703
の発光スペクトルは、中心波長:525nmで半値幅5
0nmであった。
【0080】次に、種々の蛍光体を用いたCRT703
による画像書き込みを行い、発光波長に対する投写画像
の変化を図7のシステムを用いて行った。その結果、C
RT703に使用されている蛍光体の発光が、400n
mから600nmの範囲で有れば、CRT703のビー
ム電流も小さくでき、高解像度、かつ高コントラスト
で、残像や焼き付きのない投写画像が得られることが判
明した。望ましい蛍光体の発光スペクトルをより詳しく
説明すると、発光強度がピークとなる波長が400nm
〜600nmの範囲にあり、ピーク強度に対して半値に
なる波長が370nmより大きく、630nmを越えな
いということである。蛍光体の発光領域が波長:400
nm以下では透明導電性電極102での吸収が無視でき
なくなり、画像書き込みに必要なCRT703のビーム
電流が大きくなり、CRT703に表示できる画像のコ
ントラストおよび解像度が低下してしまう。一方、60
0nm以上では光導電体層105のバルク中での吸収が
主となり、光導電体層105に流れる光電流に対し、正
孔の影響が強くなる。a−Si:Hの正孔は電子比べて
移動度が遅く、かつ深いトラップが存在する。そのた
め、光導電体105層中に流れる光電流の応答が遅くな
ると共に、立ち下がりの応答に時定数の長い減衰成分が
存在するため、投影画像が暗くなると共に残像や焼き付
きを生ずる。また、CRT703に使用される蛍光体の
発光の減衰時定数(ピーク強度からその1/10の値に
減衰する迄の時間)は、空間光変調素子704を駆動す
る電圧波形(図5)の周期Tより短く、かつT/10よ
り長いと、最も効率よくCRT703の画像が空間光変
調素子704に書き込まれる。
【0081】図7では、CRT703によって書き込み
画像を与えたが、CRTの代わりに波長が400nm〜
600nmの光によって画像を出力する他のディスプレ
イ、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、
電界発光素子、発光ダイオードアレイ、2次元スキャン
装置を兼ね備えた半導体レーザなどを使用しても良い。
【0082】(実施例4)実施例3で作製した空間光変
調素子(4)において、屈折率の小さな層116である
p型a−Si1-xx:H層(x=0.23)の膜厚のみ
を1〜300nmの範囲で変化させた空間光変調素子を
作製した。これらの素子を、実施例3と同様にして、図
7に示す投写型ディスプレイ装置に搭載し、その出力画
像を調べた。その結果、p型a−Si1-xx:H層11
6の膜厚が、1〜100nmの範囲にあるときは、解像
度およびコントラストの優れた画像が得られた。最も良
質な画像が得られたのは、p型a−Si1-xx:H層1
16の膜厚が5〜18nmの時であった。
【0083】(実施例5)実施例3で作製した空間光変
調素子(4)において、屈折率の小さな層116である
p型a−Si1-xx:H層の炭素含有量xのみを0〜
0.8の範囲で変化させた空間光変調素子を作製した。
これらの素子を、実施例3と同様にして、図7に示す投
写型ディスプレイ装置に搭載し、その出力画像を調べ
た。その結果、p型a−Si1-xx:H層116のxが
0.1〜0.4の範囲にあるとき、解像度及びコントラ
ストの優れた画像が得られた。
【0084】次に、これらの空間光変調素子を図7に示
す投写システムに搭載した状態で、CRT703の大き
さを変化させ、この時の投写画像の様子を調べた。その
結果、p型a−Si1-xx:H層116のxが0.1〜
0.4の範囲にあるとき、光導電体層105の大きさ
対角2.8インチの空間光変調素子に対し、CRT70
3の画像表示領域の大きさが、対角2.5インチ以上有
れば、高解像度で、かつ高コントラストの投写画像が得
られることが判明した。但し、この時のCRT703の
発光スペクトルは、中心波長:525nmで半値幅50
nmであった。
【0085】(実施例6)実施例1、2で作製した空間
光変調素子(1)、(3)についても、図7の投射型デ
ィスプレイ装置に配置したところ、同様にCRT703
上に映し出される映像が、高解像度でスクリーン701
上に拡大投影されることを確認することができた。
【0086】(実施例7) 図8の断面図に示すように、ガラス基板801上に、ス
パッタ法によってITOを0.05〜0.2μmの膜厚
で成膜し、透明導電性電極802を形成した。次いで、
これを図2に示すプラズマCVD装置内に配置し、真空
容器202内を1×10-6Torr以下に排気した後、
ヒーター214で150℃に加熱した。この時、ヒータ
214による加熱時間は10分と短かったため、基板平
面内で最大±20℃の温度差があった。Heで希釈した
濃度10ppmの 2 6 を200sccmおよびSiH
4:40sccmを真空容器202内に導入し圧力を
0.8Torrに調整した後、周波数13.56MHz
の高周波電力15Wを電極203に印加して放電を発生
させ、10nmのp型a−Si:H層を成膜した。続い
て、真空容器202内を一度高真空に排気したのち、H
2:100sccmおよびSiH4:40sccmを真空
容器202内に導入し、圧力:0.8Torr、高周波
電力15Wで同様にi型アンドープa−Si:H層1〜
1.8μmを形成し、再び真空容器202内を真空排気
した。次に、H2で希釈した濃度100ppmのPH3
200sccmおよびSiH4:40sccmを導入し
て圧力:0.8Torr、高周波電力15Wで0.05
〜0.3μmのn型a−Si:Hを積層して光導電体層
803を形成し、水冷装置217によって約10分で基
板温度を室温にまで冷却した。この時、膜剥離は見られ
なかった。実施例1、2、3で作製した光導電体層10
5では、加熱および冷却の際にはそれぞれ60分かかっ
ていたが、今回はそれぞれ10分に短縮した。次いで、
光導電体層803の表面に真空蒸着法によりCr:50
0nm厚を堆積し、写真蝕刻法によってパターニングを
行い、島状反射鏡804を形成した。このとき島状反射
鏡804の形状は24μm角の正方形で、2μmの間隔
を保ちながら2000×2000個の反射鏡がマトリッ
クス状に配列している。次いで、反応性イオンエッチン
グ法(以下、RIEと略記する)またはCDEによっ
て、島状反射鏡804の間のn型a−Si:H層および
i型a−Si:H層をエッチングにより除去し、上か
ら、真空蒸着法により50nm厚のAlを蒸着した。こ
の時、このAl膜は島状反射鏡804上および溝内に形
成されることになり、島状反射鏡804はAl/Crの
2重構造となり、溝内に形成された部分は読み出し光8
12を遮光するための金属遮光膜805となる。次い
で、炭素粒子を含むレジストを塗布して溝内に充填した
後、空気中または窒素雰囲気中で90〜100℃で5分
間プリベークおよび200〜300℃で30分ないし6
0分間のポストベークを行って光吸収層806を形成
し、さらにCDEによって島状反射鏡804上に残って
いる炭素粒子を含むレジスト膜を除去した。次いで、前
記式(化2)のポリアミック酸を厚さ:10〜30nm
塗布し、空気中または窒素雰囲気中で90〜100℃で
5分間プリベークした後、250〜280℃で30分な
いし60分間熱処理を加えてイミド化し、ラビング処理
を施してポリイミド配向膜807を積層した。これとI
TOの透明導電性電極808および配向膜807と同様
に作製したポリイミド配向膜809を積層したガラス基
板810との間に0.8〜2μm厚の強誘電性液晶層8
11を挟んで空間光変調素子を完成した。
【0087】この空間光変調素子を実施例3と同じ投射
条件で、図7に示す投射型ディスプレイに搭載してその
出力画像を調べた。その結果、投射像には場所ムラが殆
ど無く、高解像度で高コントラストであった。
【0088】この結果より、光導電体層803を形成す
る際の基板温度が小さく、かつ温度ムラがあっても、そ
の後の素子を組み立てるプロセスの加熱処理によって、
光導電性が向上し、場所ムラも低減されることが確認で
きた。
【0089】また、ポリイミド配向膜807のイミド化
処理の温度、および光吸収層806の熱処理温度を30
0℃を越える設定にすると、処理時間は10分ほどに短
縮できたが、光導電体層803にガスが放出したような
点状の剥離があちこちに発生し、空間光変調素子の作製
が不可能であった。従って、光導電体層803形成後の
熱処理温度は300℃が上限であった。
【0090】(実施例8)実施例7において、ポリイミ
ド配向膜807および光吸収層806の熱処理温度Ti
のみを種々に変化させ、他の条件は実施例7と全く同様
にした空間光変調素子(試料番号(1)〜(5))を作製し
た。これらの空間光変調素子を実施例7と同様に図7の
装置に組み込み、スクリーン701上に投射された画像
を評価した。その結果を表1に示す。但し、ポリイミド
配向膜807および光吸収層806の熱処理温度T
iは、同一とした。
【0091】
【表1】
【0092】(実施例9)実施例7において、光導電体
層803形成時の基板温度Tsのみを種々に変化させ、
他の条件は実施例7と全く同様にした空間光変調素子
(試料番号(6)〜(11))を作製した。但し、加熱時間は
10分一定となるようヒーターに流す電流を調節した。
また、室温(10℃)以下の温度では、液体窒素を使っ
て冷却と加熱を繰り返して調節した。これらの空間光変
調素子を実施例7と同様に図7の装置に組み込み、スク
リーン701上に投射された画像を評価した。その結果
を表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】(実施例10)本実施例において作製した
空間光変調素子の断面図を図9に示す。以下に、作製手
順を説明する。
【0095】実施例7と全く同様にして、ITO電極8
02上に光導電体層803を形成した。続いて、この基
板801を高周波スパッタ装置内に移し、250〜28
0℃に基板加熱を行った状態で、シリコンをターゲット
とし、ガス圧2〜10mTorrでSiO2とSiをそ
れぞれ120nm交互に5層堆積して0.6μm厚の誘
電体反射鏡901を形成した。但し、SiO2層作成時
にはArとO2の混合ガスを装置内に導入し、Si層作
成時にはArのみを装置内に導入した。次いで、この誘
電体反射鏡901上に斜法蒸着によって100nm厚の
SiO配向膜807を形成し、これとITOの透明導電
性電極808および配向膜807と同様に作製したSi
O配向膜809を積層したガラス基板810との間に1
〜2μm厚の強誘電性液晶層811を密封して空間光変
調素子を完成した。
【0096】この空間光変調素子を組み込んだ図7の装
置を用いて、実施例7と同様に操作して、CRT703
に表示した書き込み画像に応じた像がスクリーン701
上に再生された。投影像には場所ムラがほとんど無かっ
た。但し、実施例7の条件では、読み出し光812の遮
光が図8の素子ほど完全ではなく、コントラストは1
0:1に低下していた。150:1のコントラストを維
持するために、メタルハライドランプ702を点灯した
ときの空間光変調素子705上の照度を50万lxにす
る必要があった。しかし、拡大倍率を20倍にすると投
影像の明るさは、ディスプレイとして十分であった。
【0097】(実施例11)実施例10において、誘電
体反射鏡901形成時の基板温度Tdのみを種々に変化
させ、他の条件は実施例10と全く同様にした空間光変
調素子(試料番号(12)〜(16))を作製した。これらの空
間光変調素子を実施例10と同様に図7の装置に組み込
み、スクリーン701上に投射された画像を評価した。
その結果を表3に示す。
【0098】
【表3】
【0099】(実施例12)実施例10において、光導
電体層803形成時の基板温度Tsのみを種々に変化さ
せ、他の条件は実施例10と全く同様にした空間光変調
素子(試料番号(17)〜(22))を作製した。但し、加熱時
間は10分一定となるようヒーターに流す電流を調節し
た。また、室温(10℃)以下の温度では、液体窒素を
使って冷却と加熱を繰り返して調節した。これらの空間
光変調素子を実施例10と同様に図7の装置に組み込
み、スクリーン701上に投射された画像を評価した。
その結果を表4に示す。
【0100】
【表4】
【0101】(実施例13)本実施例において作製した
空間光変調素子の断面図を図8に示す。以下に、作製手
順を説明する。
【0102】実施例7と同様にしてガラス基板801上
にITO電極802を形成し、次いでp型a−Si1-x
x:H膜およびi型a−Si:H膜を堆積した。この
上にn型a−Si:H膜を堆積し、光導電体層803を
形成した。但し、光導電体層803形成時の基板温度
は、p型a−Si1-xx:H膜形成時は300℃一定と
し、i型a−Si:H膜形成時には250℃から180
℃へ、n型a−Si:H膜形成時には180℃から15
0℃へと、ともに減少させた。光導電体層803の形成
前の加熱時間は60分であったが、光導電体層803形
成後の冷却時間は、水冷を使って冷却したため10分で
あった。このようにして得られた光導電体層803上に
真空蒸着法によりCr:300nm厚を堆積し、写真蝕
刻法によってパターニングを行い、島状反射鏡804を
形成した。このとき島状反射鏡804の形状は24μm
角の正方形で、2μmの間隔を保ちながら2000x2
000個の反射鏡がマトリックス状に配列している(但
し、島状反射鏡804は写真蝕刻法だけでなく、リフト
オフ法を用いても形成できる)。次いで、RIEによっ
て島状反射鏡804の間の光導電体層803を除去し、
続いて、この上から真空蒸着法により50nm厚のAl
を蒸着した。このAl膜は島状反射鏡804上および溝
内に形成されることになり、島状反射鏡804はAl/
Crの2重構造となり、溝内に形成された部分は読み出
し光812を遮光するための金属遮光膜805となる。
次いで、炭素粒子を含むレジストを塗布して溝内に充填
した後、空気中または窒素雰囲気中で90〜100℃で
5分間プリベークおよび250℃〜280℃で30分間
のポストベークを行って光吸収層806を形成し、さら
にCDEによって島状反射鏡804上に残っている炭素
粒子を含むレジスト膜を除去した。次いで、前記式(化
2)のポリアミック酸を厚さ:10〜30nm塗布し、
空気中または窒素雰囲気中で90〜100℃で5分間プ
リベークした後、250℃〜280℃で60分間熱処理
を加えてイミド化し、ラビング処理を施してポリイミド
配向膜807を積層した。これとITOの透明導電性電
極808および配向膜807と同様に作製したポリイミ
ド配向膜809を積層したガラス基板810との間に1
〜2μm厚の強誘電性液晶層811を密封して空間光変
調素子を完成した。
【0103】この空間光変調素子を組み込んだ図7の装
置を用いて、実施例7と同様に操作して、CRT703
に表示した書き込み画像に応じた像がスクリーン701
上に再生された。投影像には場所ムラがほとんど無かっ
た。
【0104】(実施例14)実施例13において、ポリ
イミド配向膜807および光吸収層806の熱処理の温
度Tiのみを種々に変化させ、他の条件は実施例13と
全く同様にした空間光変調素子(試料番号(23)〜(27))
を作製した。これらの空間光変調素子を実施例13と同
様に図7の装置に組み込み、スクリーン701上に投射
された画像を評価した。その結果を表5に示す。
【0105】
【表5】
【0106】(実施例15)実施例13において、p型
a−Si1-xx:H膜形成時の温度は300℃一定と
し、光導電体層803形成終了時の基板温度Tfのみを
種々に変化させ、他の条件は実施例13と全く同様にし
た空間光変調素子(試料番号(28)〜(33))を作製した。
これらの空間光変調素子を実施例13と同様に図7の装
置に組み込み、スクリーン701上に投射された画像を
評価した。その結果を表6に示す。
【0107】
【表6】
【0108】(実施例16)本実施例において作製した
空間光変調素子の断面図を図9に示す。以下に、作製手
順を説明する。
【0109】実施例10と同様にしてガラス基板801
上にITO電極802を形成し、次いでp型a−Si
1-xx:H膜およびi型a−Si:H膜を堆積した。こ
の上にn型a−Si:H膜を堆積し、光導電体層803
を形成した。但し、光導電体層803形成時の基板温度
は、p型a−Si1-xx:H膜形成時は300℃一定と
し、i型a−Si:H膜形成時には250℃から180
℃へ、n型a−Si:H膜形成時には180℃から15
0℃へと、ともに減少させた。光導電体層803の形成
前の加熱時間は60分であったが、光導電体層803形
成後の冷却時間は、水冷を使って冷却したため10分で
あった。次いで、この基板を高周波スパッタ装置内に移
し、250〜280℃に基板加熱を行った状態で、シリ
コンをターゲットとし、ガス圧2〜10mTorrでS
iO2とSiをそれぞれ120nm交互に5層堆積して
0.6μm厚の誘電体反射鏡901を形成した。但し、
SiO2層作成時にはArとO2の混合ガスを装置内に導
入し、Si層作成時にはArのみを装置内に導入した。
次いで、この誘電体反射鏡901上に斜法蒸着によって
100nm厚のSiO配向膜807を形成し、これとI
TOの透明導電性電極808および配向膜807と同様
に作製したSiO配向膜809を積層したガラス基板8
10との間に1〜2μm厚の強誘電性液晶層811を密
封して空間光変調素子を完成した。
【0110】この空間光変調素子を組み込んだ図7の装
置を用いて、実施例10と同様に操作したところ、CR
T703に表示した書き込み画像に応じた像がスクリー
ン701上に再生された。投影像には場所ムラがほとん
ど無かった。
【0111】(実施例17)実施例16において、誘電
体反射鏡901形成時の基板温度Tdのみを種々に変化
させ、他の条件は実施例14と全く同様にした空間光変
調素子(試料番号(34)〜(38))を作製した。これらの空
間光変調素子を実施例16と同様に図7の装置に組み込
み、スクリーン701上に投射された画像を評価した。
その結果を表7に示す。
【0112】
【表7】
【0113】(実施例18)実施例16において、p型
a−Si1-xx:H膜形成時の温度は300℃一定と
し、光導電体層803形成終了時の基板温度Tfのみを
種々に変化させ、他の条件は実施例16と全く同様にし
た空間光変調素子(試料番号(39)〜(44))を作製した。
これらの空間光変調素子を実施例16と同様に図7の装
置に組み込み、スクリーン701上に投射された画像を
評価した。その結果を表8に示す。
【0114】
【表8】
【0115】以上作製した素子は、動的ホログラムを表
示するための空間光変調素子としても機能する。なお、
本発明の液晶層は上記実施例にあげられたものに限ら
ず、光導電体層も上記実施例にあげられたものに限ら
ず、絶縁膜、光吸収層および印加電圧波形も上記実施例
にあげられたものに限られないことはいうまでもない。
また、図7のプロジェクションシステムにおいて、R、
G、B3色表示用3つのCRTと3つの空間光変調素子
を組合せ、色分解光学系および色合成光学系を読みだし
光学系内に組み入れることによって、スクリーン上にカ
ラー画像を出力できることは言うまでもない。
【0116】
【発明の効果】以上説明したように、前記本発明の空間
光変調素子によれば、透明導電性電極を具備した2枚の
透明絶縁性基板で挟まれた領域に、光導電体層と液晶層
と、前記光導電体層と液晶層との間に反射鏡層を少なく
とも備えた空間光変調素子において、前記光導電体層
が、下方の透明絶縁性基板側から順次積層された第1の
非晶質半導体層と第2の非晶質半導体層とを少なくとも
備え、かつ前記第1の非晶質半導体層の屈折率よりも第
2の非晶質半導体層の屈折率が小さいことにより、高解
像度で、かつ、高感度の空間光変調素子を提供すること
ができる。
【0117】光導電体層が、下方の透明絶縁性基板表面
の透明導電性電極と第1の非晶質半導体層との間に、前
記第1の非晶質半導体層の屈折率よりも小さい屈折率を
有する第3の非晶質半導体層を備えると、第1の非晶質
半導体層内部における書き込み光112の閉じ込め効果
を増進させることができるので、感度をより高めること
ができる。
【0118】また、光導電体層が整流性を有すると、書
き込み光の入射に対して、効率的な光キャリヤ発生およ
び輸送が可能になるとともに、液晶層に書き込んだ画像
を順方向バイアスを印加することによって消去できる。
また、第1の非晶質半導体層がシリコンを主成分とする
合金層であると、空間光変調素子の感度を上げることが
できる。さらに、第1の非晶質半導体層が、水素、ハロ
ゲン及び酸素から選ばれる少なくとも1つの元素を含む
と、ダングリングボンドを効果的に減少させるので効率
的に光キャリヤを発生させることができる。
【0119】また、第1の非晶質半導体層が、水素化非
晶質シリコン、水素化非晶質ゲルマニウム、水素化非晶
質シリコンゲルマニウム、及び水素化非晶質炭化ゲルマ
ニウムから選ばれる少なくとも1つの化合物層である
と、空間光変調素子の感度を上げることができる。
【0120】また、第1の非晶質半導体層に、B、Al
及びGaから選ばれる少なくとも1つのp型不純物を存
在させると、整流性を高めることができる。また、第2
の非晶質半導体層が、ゲルマニウムを主成分とする合金
層であると、低抵抗の非晶質半導体層を形成できるの
で、ダイオード構成において大きな順方向電流を流すこ
とができ好ましい。
【0121】また、第2の非晶質半導体層が、水素化非
晶質シリコン、水素化非晶質窒化ゲルマニウム、水素化
非晶質窒化シリコンゲルマニウム、水素化非晶質シリコ
ンカーバイド、水素化非晶質炭化ゲルマニウム、水素化
非晶質窒化シリコン、水素化非晶質酸化シリコン、及び
水素化非晶質カーボンから選ばれる少なくとも1つの合
金層であると、プラズマCVD法により第1の非晶質半
導体層を形成した後、連続的に形成できるので作製が容
易で、かつ低コストで量産することができる。
【0122】また、第2の非晶質半導体層に、P、A
s、Sb及びSeから選ばれる少なくとも1つのn型不
純物を存在させると、整流性を高めることができる。ま
た、水素化非晶質シリコンカーバイドの炭素含有量が、
10原子%以上40原子%以下であると、高解像度で、
かつ、高感度の画像を出力する空間光変調素子を提供す
ることができる。
【0123】また、第3の非晶質半導体層の厚さが、1
〜300nmであると、高解像度で、かつ、高感度の画
像を出力する空間光変調素子を提供することができる。
第3の非晶質半導体層が、B、Al、Ga、及びInか
ら選ばれる少なくとも1つのp型不純物を100〜10
000ppm含む非晶質シリコンカーバイドからなる
と、第3の非晶質半導体層をp層とすることができ、整
流性を高めることができる。
【0124】また、光導電体層の厚さが0.5〜10μ
mの範囲であると、高解像度で、かつ、高感度の画像を
出力する空間光変調素子を提供することができる。ま
た、反射鏡層が、Al、Ag、Mo、Ni、Cr、M
g、及びTiから選ばれる少なくとも1つの金属層であ
ると、反射率を大きくすることができる。また、反射鏡
層が島状に形成されており、かつ前記一つの島が1個の
画素に対応していると、十分な電位差を生じさせ、良質
な画像を作像できる。
【0125】また、島状に形成されている反射鏡層の間
の第2の非晶質半導体層が除去されており、かつ除去さ
れた部分に光吸収層が存在していると、キャリヤの横方
向への拡散を防止できるとともに、反射鏡の間隙から洩
れてくる光を吸収できるので素子の解像度を高めること
ができる。
【0126】また、第2の非晶質半導体層が除去されて
いる部分の下部の第1の非晶質半導体層の一部も除去さ
れ、かつ除去された部分に光吸収層が存在していると、
前記と同様、反射鏡の間隙から洩れてくる光を吸収でき
るので素子の解像度を高めることができる。第1の非晶
質半導体層の残存する厚さが0.01〜1μmの範囲で
あると、可視光をほとんど吸収せずに透過させるので光
を効果的に利用することができる。また、光吸収層が、
炭素粒子を分散した有機高分子ポリマー、黒色顔料を配
合した有機高分子ポリマー、黒色染料を配合した有機高
分子ポリマー、アモルファスシリコンカーバイド、アモ
ルファス水素化ゲルマニウム、及びアモルファス窒化ゲ
ルマニウムから選ばれる少なくとも一つの無機薄膜であ
ると、光吸収の効果が高く好ましい。光吸収層の底部
に、Al、Ag、Mo、Ni、Cr、及びMgから選ば
れる少なくとも一つの金属を含む金属遮光膜を存在させ
ると、読み出し光をより効果的に遮断することができ
る。また、光吸収層を覆う位置に、無機絶縁膜及び有機
絶縁膜から選ばれる少なくとも一つの電気的絶縁膜を存
在させると、反射鏡間の電気絶縁性を高められる。
【0127】次に、本発明の空間光変調素子の製造方法
によれば、透明導電性電極を具備した2枚の透明絶縁性
基板で挟まれた領域に非晶質半導体層からなる光導電体
層と液晶層とこれらの層の間に反射鏡とを少なくとも備
えた空間光変調素子の製造方法であって、減圧にし得る
真空容器内に所定のガスを導入して所定の内圧とし、前
記真空容器内において放電現象を生起させてプラズマを
生成し、少なくとも前記光導電体層の形成終了時に前記
透明絶縁性基板の温度が10℃以上180℃以下となる
ように前記透明絶縁性基板上に第1の非晶質半導体層を
形成し、次に前記第1の非晶質半導体層の屈折率よりも
第2の非晶質半導体層の屈折率が小さい前記非晶質半導
体層を形成し、次いで前記反射鏡を形成し、さらに前記
液晶層を形成することにより、光導電体層の形成に加熱
および冷却時間を殆ど必要とせず短時間に素子を得るこ
とができる。
【0128】反射鏡が、光導電体層の基板と反対側の界
面と同一平面内に設けられた島状反射鏡であり、前記島
状反射鏡を形成した後、少なくとも有機薄膜を塗布し1
80℃を越える温度で熱処理を行うと、光導電体層の光
導電性を向上することができる。
【0129】また、反射鏡が誘電体反射鏡であり、前記
誘電体反射鏡を180℃を越える温度で形成すると、前
記と同様に、光導電体層の光導電性を向上することがで
きる。
【0130】また、光導電体層形成時の透明絶縁性基板
の温度が、常に10℃以上180℃以下であると、基板
の加熱時間及び冷却時間を短くしても、均一でかつ基板
との密着性に優れた良質の光導電体層を形成できる。
【0131】また、透明絶縁性基板を180℃以上の温
度から徐々に冷却しながら光導電体層を透明導電性基板
上に形成し、前記光導電体層の形成終了時に前記透明絶
縁性基板の温度が180℃以下であると、光導電体層の
光導電性を向上することができる。また、光導電体層の
一部が少なくとも水素を含有するシリコンカーバイドか
らなると、空間光変調素子の出力画像を高解像度、高コ
ントラストにできる。特にシリコンカーバイドの炭素含
有量が10原子%以上40原子%以下であると、効果的
である。
【0132】次に本発明の投射型ディスプレイによれ
ば、透明導電性電極を具備した2枚の透明絶縁性基板で
挟まれた領域に、下方の透明絶縁性基板側から順次積層
された第1の非晶質半導体層と第2の非晶質半導体層と
を少なくとも備え、かつ前記第1の非晶質半導体層の屈
折率よりも第2の非晶質半導体層の屈折率が小さい光導
電体層と、液晶層と、前記光導電体層と液晶層との間に
反射鏡層を少なくとも備えた空間光変調素子と、前記空
間光変調素子を駆動するための交流電源と、波長が40
0nm以上600nm以下の光によって画像を出力する
画像入力手段と、前記画像入力手段から出力された画像
を前記光導電体層に結像する画像結像手段と、前記空間
光変調素子が出力する画像を読み出す光源及び投射レン
ズを少なくとも備えた投射型ディスプレイであって、前
記光導電体層がシリコンおよび炭素を主成分とする第1
の非晶質半導体層とシリコンを主成分とする第2の非晶
質半導体層を順次積層した構造を少なくとも有し、かつ
整流性を有することにより、残像や焼き付きがなく、小
型軽量化が容易な投射型ディスプレイを提供することが
できる。また、第2の非晶質半導体層に比べて第1の非
晶質半導体層の膜厚が小さいと、光吸収の効果が高く空
間光変調素子の感度が高まり、投射型ディスプレイの特
性を向上できる。また、第1の非晶質半導体層の膜厚が
5nm以上18nm以下であると、小型軽量化が可能
で、高感度・高解像度で明るい画面を提供する優れた投
射型ディスプレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の空間光変調素子の断面図で
ある。
【図2】本発明の一実施例の空間光変調素子作製に使用
したプラズマCVD装置の概略図である。
【図3】本発明の一実施例の空間光変調素子の断面図で
ある。
【図4】本発明の一実施例の空間光変調素子作製プロセ
スを示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例に使用した印加電圧、書き込
み光、出力光のタイミング図である。
【図6】本発明の一実施例に使用した空間光変調素子の
光導電層の電圧−電流特性図である。
【図7】本発明の一実施例で使用した投射型ディスプレ
イ装置の構成図である。
【図8】本発明の一実施例の空間光変調素子の断面図で
ある。
【図9】本発明の一実施例の空間光変調素子の断面図で
ある。
【図10】従来の空間光変調素子の断面図である。
【符号の説明】
101、111 透明絶縁性基板 102、109 透明導電性電極 103 第1の非晶質半導体層 104 第2の非晶質半導体層 105 光導電体層 106 反射層 107 液晶層 108、110 配向膜 112 書き込み光 113 偏光子 114 検光子 115 読み出し光 116 第3の非晶質半導体層 117 界面 301 島状反射鏡 701 スクリーン 702 投射光源 703 CRT 704 空間光変調素子 705 投射レンズ系 706 偏光ビームスプリッター 707 結像レンズ系 708 リレーレンズ系 709 プリ偏光子 710 補助レンズ 711 交流電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−53928(JP,A) 特開 平3−221924(JP,A) 特開 平5−173171(JP,A) 特開 平4−356023(JP,A) 特開 平5−323359(JP,A) 特開 平5−333367(JP,A) 特開 昭60−263121(JP,A) 特開 平5−216061(JP,A) 実開 平3−60321(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/135

Claims (36)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明導電性電極を具備した2枚の透明絶
    縁性基板で挟まれた領域に、光導電体層と液晶層と、前
    記光導電体層と液晶層との間に反射鏡層を少なくとも備
    えた空間光変調素子において、前記光導電体層が、下方
    の透明絶縁性基板側から順次積層された第1の非晶質半
    導体層と第2の非晶質半導体層とを少なくとも備え、か
    つ前記第1の非晶質半導体層の屈折率よりも第2の非晶
    質半導体層の屈折率が小さいことを特徴とする空間光変
    調素子。
  2. 【請求項2】 光導電体層が、下方の透明絶縁性基板表
    面の透明導電性電極と第1の非晶質半導体層との間に、
    前記第1の非晶質半導体層の屈折率よりも小さい屈折率
    を有する第3の非晶質半導体層を備える請求項1に記載
    の空間光変調素子。
  3. 【請求項3】 第1の非晶質半導体層の屈折率が3.2
    以上4.5以下である請求項1に記載の空間光変調素
    子。
  4. 【請求項4】 第2の非晶質半導体層の屈折率が1.4
    以上3.2以下である請求項1に記載の空間光変調素
    子。
  5. 【請求項5】 光導電体層が整流性を有する請求項1に
    記載の空間光変調素子。
  6. 【請求項6】 第1の非晶質半導体層がシリコンを主成
    分とする合金層である請求項1に記載の空間光変調素
    子。
  7. 【請求項7】 第1の非晶質半導体層が、水素、ハロゲ
    ン及び酸素から選ばれる少なくとも1つの元素を含む請
    求項6に記載の空間光変調素子。
  8. 【請求項8】 第1の非晶質半導体層が、水素化非晶質
    シリコン、水素化非晶質ゲルマニウム、水素化非晶質シ
    リコンゲルマニウム、及び水素化非晶質炭化ゲルマニウ
    ムから選ばれる少なくとも1つの合金層である請求項1
    記載の空間光変調素子。
  9. 【請求項9】 第1の非晶質半導体層に、B、Al及び
    Gaから選ばれる少なくとも1つのp型不純物を存在さ
    せる請求項8に記載の空間光変調素子。
  10. 【請求項10】 第2の非晶質半導体層が、ゲルマニウ
    ムを主成分とする合金層である請求項1記載の空間光変
    調素子。
  11. 【請求項11】 第2の非晶質半導体層が、水素化非晶
    質シリコン、水素化非晶質窒化ゲルマニウム、水素化非
    晶質窒化シリコンゲルマニウム、水素化非晶質シリコン
    カーバイド、水素化非晶質炭化ゲルマニウム、水素化非
    晶質窒化シリコン、水素化非晶質酸化シリコン、及び水
    素化非晶質カーボンから選ばれる少なくとも1つの合金
    層である請求項1に記載の空間光変調素子。
  12. 【請求項12】 第2の非晶質半導体層に、P、As、
    Sb及びSeから選ばれる少なくとも1つのn型不純物
    を存在させる請求項11に記載の空間光変調素子。
  13. 【請求項13】 水素化非晶質シリコンカーバイドの炭
    素含有量が、10原子%以上40原子%以下である請求
    項11に記載の空間光変調素子。
  14. 【請求項14】 第3の非晶質半導体層の厚さが、1〜
    300nmである請求項2に記載の空間光変調素子。
  15. 【請求項15】 第3の非晶質半導体層が、B、Al、
    Ga、及びInから選ばれる少なくとも1つのp型不純
    物を100〜10000ppm含む非晶質シリコンカー
    バイドからなる請求項2に記載の空間光変調素子。
  16. 【請求項16】 光導電体層の厚さが0.5〜10μm
    の範囲である請求項1に記載の空間光変調素子。
  17. 【請求項17】 反射鏡層が、Al、Ag、Mo、N
    i、Cr、Mg、及びTiから選ばれる少なくとも1つ
    の金属層である請求項1に記載の空間光変調素子。
  18. 【請求項18】 反射鏡層が島状に形成されており、か
    つ前記一つの島が1個の画素に対応している請求項1に
    記載の空間光変調素子。
  19. 【請求項19】 島状に形成されている反射鏡層の間の
    第2の非晶質半導体層が除去されており、かつ除去され
    た部分に光吸収層が存在している請求項18に記載の空
    間光変調素子。
  20. 【請求項20】 第2の非晶質半導体層が除去されてい
    る部分の下部の第1の非晶質半導体層の一部も除去さ
    れ、かつ除去された部分に光吸収層が存在している請求
    項19に記載の空間光変調素子。
  21. 【請求項21】 第1の非晶質半導体層の残存する厚さ
    が0.01〜1μmの範囲である請求項20に記載の空
    間光変調素子。
  22. 【請求項22】 光吸収層が、炭素粒子を分散した有機
    高分子ポリマー、黒色顔料を配合した有機高分子ポリマ
    ー、黒色染料を配合した有機高分子ポリマー、アモルフ
    ァスシリコンカーバイド、アモルファス水素化ゲルマニ
    ウム、及びアモルファス窒化ゲルマニウムから選ばれる
    少なくとも一つの無機薄膜である請求項20に記載の空
    間光変調素子。
  23. 【請求項23】 光吸収層の底部に、Al、Ag、M
    o、Ni、Cr、及びMgから選ばれる少なくとも一つ
    の金属を含む金属遮光膜を存在させた請求項20に記載
    の空間光変調素子。
  24. 【請求項24】 光吸収層を覆う位置に、無機絶縁膜及
    び有機絶縁膜から選ばれる少なくとも一つの電気的絶縁
    膜を存在させた請求項20に記載の空間光変調素子。
  25. 【請求項25】 透明導電性電極を具備した2枚の透明
    絶縁性基板で挟まれた領域に非晶質半導体層からなる光
    導電体層と液晶層とこれらの層の間に反射鏡とを少なく
    とも備えた空間光変調素子の製造方法であって、減圧に
    し得る真空容器内に所定のガスを導入して所定の内圧と
    し、前記真空容器内において放電現象を生起させてプラ
    ズマを生成し、少なくとも前記光導電体層の形成終了時
    に前記透明絶縁性基板の温度が10℃以上180℃以下
    となるように前記透明絶縁性基板上に第1の非晶質半導
    体層を形成し、次に前記第1の非晶質半導体層の屈折率
    よりも第2の非晶質半導体層の屈折率が小さい前記非晶
    質半導体層を形成し、次いで前記反射鏡を形成し、さら
    前記液晶層を形成することを特徴とする空間光変調素
    子の製造方法。
  26. 【請求項26】 反射鏡が、光導電体層の基板と反対側
    の界面と同一平面内に設けられた島状反射鏡であり、前
    記島状反射鏡を形成した後、少なくとも有機薄膜を塗布
    し180℃を越える温度で熱処理を行う請求項25に記
    載の空間光変調素子の製造方法。
  27. 【請求項27】 反射鏡が誘電体反射鏡であり、前記誘
    電体反射鏡を180℃を越える温度で形成する請求項2
    5に記載の空間光変調素子の製造方法。
  28. 【請求項28】 光導電体層形成時の透明絶縁性基板の
    温度が、常に10℃以上180℃以下である請求項25
    に記載の空間光変調素子の製造方法。
  29. 【請求項29】 透明絶縁性基板を180℃以上の温度
    から徐々に冷却しながら光導電体層を透明導電性基板上
    に形成し、前記光導電体層の形成終了時に前記透明絶縁
    性基板の温度が180℃以下である請求項25に記載の
    空間光変調素子の製造方法。
  30. 【請求項30】 光導電体層の一部が少なくとも水素を
    含有するシリコンカーバイドからなる請求項25に記載
    の空間光変調素子の製造方法。
  31. 【請求項31】 シリコンカーバイドの炭素含有量が1
    0原子%以上40原子%以下である請求項30に記載の
    空間光変調素子の製造方法。
  32. 【請求項32】 透明導電性電極を具備した2枚の透明
    絶縁性基板で挟まれた領域に、下方の透明絶縁性基板側
    から順次積層された第1の非晶質半導体層と第2の非晶
    質半導体層とを少なくとも備え、かつ前記第1の非晶質
    半導体層の屈折率よりも第2の非晶質半導体層の屈折率
    が小さい光導電体層と、液晶層と、前記光導電体層と液
    晶層との間に反射鏡層を少なくとも備えた空間光変調素
    子と、前記空間光変調素子を駆動するための交流電源
    と、波長が400nm以上600nm以下の光によって
    画像を出力する画像入力手段と、前記画像入力手段から
    出力された画像を前記光導電体層に結像する画像結像手
    段と、前記空間光変調素子が出力する画像を読み出す光
    源及び投射レンズを少なくとも備えた投射型ディスプレ
    イであって、前記光導電体層がシリコンおよび炭素を主
    成分とする第1の非晶質半導体層とシリコンを主成分と
    する第2の非晶質半導体層を順次積層した構造を少なく
    とも有し、かつ整流性を有することを特徴とする投射型
    ディスプレイ。
  33. 【請求項33】 第2の非晶質半導体層に比べて第1の
    非晶質半導体層の膜厚が小さい請求項32に記載の投射
    型ディスプレイ。
  34. 【請求項34】 第1の非晶質半導体層の膜厚が5nm
    以上18nm以下である請求項32に記載の投射型ディ
    スプレイ。
  35. 【請求項35】 第1の非晶質半導体層がシリコンカー
    バイド(a−Si 1-x x と略記する)からなり、xの値
    が0.1〜0.4の範囲である請求項34に記載の投射
    型ディスプレイ。
  36. 【請求項36】 前記画像入力手段がCRTであり、前
    記CRTからの光強度 の減衰時定数(ピーク強度からそ
    の1/10に減衰する迄に要する時間)が前記交流電源
    の電圧波形周期(T)より短く、かつT/10より長い
    請求項32に記載の投射型ディスプレイ。
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