JPH07110429B2 - 鉄鋼製自動車用ロードホイールの溶接方法 - Google Patents
鉄鋼製自動車用ロードホイールの溶接方法Info
- Publication number
- JPH07110429B2 JPH07110429B2 JP1091051A JP9105189A JPH07110429B2 JP H07110429 B2 JPH07110429 B2 JP H07110429B2 JP 1091051 A JP1091051 A JP 1091051A JP 9105189 A JP9105189 A JP 9105189A JP H07110429 B2 JPH07110429 B2 JP H07110429B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- welding
- welded
- gap
- rim
- wheel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Laser Beam Processing (AREA)
- Welding Or Cutting Using Electron Beams (AREA)
Description
(産業上の利用分野) 本発明は、鉄鋼製自動車用ロードホイールのリム部とデ
ィスク部とを接合するのに利用される溶接方法に係り、
さらに詳しくは継手強度,疲労強度の高い溶接部が得ら
れ、ロードホイールの耐久製を向上することができる自
動車用ロードホイールの溶接方法に関するものである。 (従来の技術) 高密度エネルギ熱源を用いた溶接方法のひとつであるレ
ーザ溶接法は、他の溶接法にくらべて、大気中で非接
触により溶接ができること、熱影響が少なく高品質の
継手が得られること、熱影響幅が小さく変形が少ない
こと、精密な溶接が可能であること、などの特長を備
えており、これらの特長を活してその適用範囲が拡張さ
れつつある。 例えば、自動車用ロードホイール(以下「ホイール」と
称する。)のリム部とディスク部との溶接は、昭和55年
4月20日に株式会社 山海堂より発行された「自動車工
学全書19巻 自動車の製造法」第155頁に記載されてい
るように、従来よりスポット溶接が用いられているが、
車両の乗り心地向上,振動低減などのニーズにより、近
年ではレーザ溶接が検討されている。 このレーザ溶接を適用することにより、これまでのスポ
ット溶接において溶接スペースを確保するために必要で
あったディスク部の溶接フランジが不要となり、前記フ
ランジを不要とすることでホイールの軽量化が達成でき
る。このホイールは車両のばね下に位置するため、その
軽量化は乗り心地向上に極めて有効に作用する。また、
レーザ溶接は、前述のように溶接による変形量が小さ
く、製品の寸法精度を向上させることができるため、車
両の振動低減にも大きく寄与するばかりでなく、スポッ
ト溶接に比べて溶接部の耐久性が向上することが確認さ
れている。この耐久性向上は、圧縮残留応力が大きいこ
とによるものと考えられている。 (発明が解決しようとする課題) しかしながら、最近の車両の高性能化の要求は極めて大
きいものがあり、前述のようなレーザ溶接を用いたホイ
ールにあっても、さらに優れた耐久性が求められている
のが現状であり、溶接部の耐久性を高めることがホイー
ル製造上の課題となっていた。 (発明の目的) 本発明は、上記の課題に着目してなされたもので、継手
強度、疲労強度に優れた溶接部が得られ、ホイールの耐
久性を向上することができる鉄鋼製自動車用ロードホイ
ールの溶接方法を提供することを目的としている。
ィスク部とを接合するのに利用される溶接方法に係り、
さらに詳しくは継手強度,疲労強度の高い溶接部が得ら
れ、ロードホイールの耐久製を向上することができる自
動車用ロードホイールの溶接方法に関するものである。 (従来の技術) 高密度エネルギ熱源を用いた溶接方法のひとつであるレ
ーザ溶接法は、他の溶接法にくらべて、大気中で非接
触により溶接ができること、熱影響が少なく高品質の
継手が得られること、熱影響幅が小さく変形が少ない
こと、精密な溶接が可能であること、などの特長を備
えており、これらの特長を活してその適用範囲が拡張さ
れつつある。 例えば、自動車用ロードホイール(以下「ホイール」と
称する。)のリム部とディスク部との溶接は、昭和55年
4月20日に株式会社 山海堂より発行された「自動車工
学全書19巻 自動車の製造法」第155頁に記載されてい
るように、従来よりスポット溶接が用いられているが、
車両の乗り心地向上,振動低減などのニーズにより、近
年ではレーザ溶接が検討されている。 このレーザ溶接を適用することにより、これまでのスポ
ット溶接において溶接スペースを確保するために必要で
あったディスク部の溶接フランジが不要となり、前記フ
ランジを不要とすることでホイールの軽量化が達成でき
る。このホイールは車両のばね下に位置するため、その
軽量化は乗り心地向上に極めて有効に作用する。また、
レーザ溶接は、前述のように溶接による変形量が小さ
く、製品の寸法精度を向上させることができるため、車
両の振動低減にも大きく寄与するばかりでなく、スポッ
ト溶接に比べて溶接部の耐久性が向上することが確認さ
れている。この耐久性向上は、圧縮残留応力が大きいこ
とによるものと考えられている。 (発明が解決しようとする課題) しかしながら、最近の車両の高性能化の要求は極めて大
きいものがあり、前述のようなレーザ溶接を用いたホイ
ールにあっても、さらに優れた耐久性が求められている
のが現状であり、溶接部の耐久性を高めることがホイー
ル製造上の課題となっていた。 (発明の目的) 本発明は、上記の課題に着目してなされたもので、継手
強度、疲労強度に優れた溶接部が得られ、ホイールの耐
久性を向上することができる鉄鋼製自動車用ロードホイ
ールの溶接方法を提供することを目的としている。
(課題を解決するための手段) 本発明者は、上記目的を達成するため、溶接継手の強度
に及ぼす溶接諸条件の影響について鋭意調査,検討した
結果、並べて配設した一方の被溶接材と他方の被溶接材
との間に若干の空隙を設けた上で溶接を行うことによっ
て、溶接による溶融金属が前記空隙内に溶け出し、当該
空隙を部分的に充填するため、継手強度が上昇するとい
う全く新しい知見を得るに到った。 本発明は、上記知見に基づくものであって、リムとディ
スクを溶接して鉄鋼製自動車用ロードホイールを製造す
るに際し、リムとディスクの板間にリム板厚の10〜30%
に相当する隙間dの空隙を設け、リム外側から高密度エ
ネルギ熱源を照射して、溶融された金属の一部を前記空
隙に溶け出させ、空隙のうちの溶接部分に充填させる構
成としたものであり、このような鉄鋼製自動車用ロード
ホイールの溶接方法の構成を前述した課題を解決するた
めの手段としたことを特徴としている。 (発明の作用) 以下に、上記知見を得るに到った実験結果と、それに基
づく本発明の構成および作用についてさらに詳しく説明
する。 第7図ないし第10図は、溶接継手の強度に及ぼす被溶接
材間の空隙の有無および隙間dの影響を調査した結果の
一例を示すものである。 この調査においては、先ず、板厚t1=2.9mm,幅W1=50m
m,長さL1=100mmの45キロ級熱延鋼板(JIS G3113 SAPH4
5)からなる一方の被溶接材1と、板厚t2=3.2mm,幅W2
=50mm,長さL2=100mmの55キロ級高張力熱延鋼板からな
る他方の被溶接材2とを溶接部位3を中心にして上下に
並べた状態とし、前記一方の被溶接材1と他方の被溶接
材2の溶接部位3に0〜1.2mmの範囲で空隙4の隙間d
をそれぞれ変化させた12組の溶接用供試体を準備した
(第7図参照)。 次いで、前記各溶接用供試体に対して、5kWのCO2レーザ
溶接機を用い、流量50l/minのアルゴンガスをアシスト
ガスとして、出力5kW,溶接速度3m/minの条件で一方の被
溶接材1の側からレーザビームを照射し、溶接部位3に
おいて溶接することによって各空隙4の隙間d毎に5個
ずつの溶接継手を得た。次いで前記各溶接継手の引張試
験を行って引張り剪断強度を求め、それぞれの平均値と
前記空隙4の隙間dとの関係を整理したところ、第8図
に示す結果を得た。 第8図から判るように、前記重ね合わせ溶接継手の剪断
強度は、被溶接材1,2の溶接部位3に設けた空隙4の隙
間dが0.7mmまでは空隙4の隙間dの増大と共に増加
し、前記隙間dが0.25〜0.90mm、すなわち、レーザビー
ム照射側である一方の被溶接材1の板厚2.9mmの10〜30
%に相当する範囲内のときに極めて優れた剪断強度を示
すことが明らかとなった。 これは、鋭い切欠きとなって破断時の亀裂の発生起点と
なっていた前記被溶接材1,2の溶接部位3に空隙4を設
けることによって、溶接時に溶融金属が溶け出し、前記
空隙4内を充填する結果、前記切欠き先端の鋭さが減
じ、応力集中が緩和されることによるものと考えられ
る。 第9図(a)(b)(c)は、前記一方の被溶接材1お
よび他方の被溶接材2の間の空隙4の隙間dがそれぞれ
0mm,0.4mm,1.1mmの場合の重ね合わせ溶接継手の溶接部
の断面マクロ組織のスケッチを示し、第10図(a)
(b)は隙間dがそれぞれ0mm,0.4mmの場合の溶接部の
金属マクロ組織を示すもので、被溶接材1,2が密着した
状態の第9図(a)および第10図(a)においては、前
記被溶接材1,2の合わせ目5,5は、被溶接材1,2がレーザ
ビームによって溶融されて一体となった溶融金属6に接
して鋭い切欠き部となっている。この状態で、前記被溶
接材1,2が引張試験によって第9図中左右方向に引張ら
れると、その荷重は、剪断応力として前記溶融金属6の
前記切欠き部に集中し、前記溶融金属6を容易に剪断す
るように作用する。 これに対し、被溶接材1,2の間に適当量の隙間dを有す
る空隙4がある場合には、第9図(b)および第10図
(b)に示すように、レーザビームによって溶融された
溶接金属7の一部が前記空隙4に溶け出し、空隙4のう
ちの溶接部分を充填する結果、前記切欠部先端の鋭さが
緩和され、応力の集中が避けられると共に、前記溶接金
属7の応力状態が単純な剪断応力だけでなく、曲げや引
張応力が加わった状態で破断するため、前記第9図
(a)および第10図(a)の場合にくらべて、継手の剪
断強度が増加するものと考えられる。なお、このような
空隙4の効果は、空隙4の隙間dがレーザビーム照射側
である一方の被溶接材1の板厚(t1)の10%以上の場合
に得られるものであり、10%未満の場合には効果が不十
分である。 しかしながら、前記被溶接材1,2の溶接部位3に設けた
空隙4の隙間dがレーザビーム照射側である一方の被溶
接材1の板厚の30%を超えた場合には、第9図(c)に
示すように、レーザビームによって溶融された溶接金属
8が空隙4内に多量に溶け出すため、レーザビーム照射
側である一方の被溶接材1の表面が凹状に陥没して前記
一方の被溶接材1の板厚が実質的に減少することによ
り、継手強度が低下する。 したがって、本発明に係る鉄鋼製自動車用ロードホイー
ルの溶接方法におけるリムとディスクの溶接部位に設け
る空隙の隙間dは、レーザなどの高密度エネルギ熱源の
照射側であるリムの板厚の10〜30%の範囲に限定され
る。 (実施例) 第1図は、サイズ14インチのホイールの断面図であり、
図に示すホイール10は、板厚2.9mmの45キロ級熱延鋼板
(JIS G3113 SAPH45)からなる一方の被溶接材(リム)
11と、板厚3.2mmの55キロ級高張力熱延鋼板からなる他
方の被溶接材(ディスク)12とから形成され、前記リム
11の内周に前記ディスク12を嵌合し、リム11の外周側よ
り溶接部位13に高密度エネルギ熱源としてレーザビーム
を照射することにより、リム11とディスク12とを接合し
てなるものである。 この実施例においては、前記リム11の側には、第3図に
拡大して示すように、当該リム11のロール成形時に形成
した0.5mm深さの凹部が前記溶接部位13に設けてあり、
この結果リム11とディスク12との間に隙間d=0.5mmの
空隙14が形成されるようになっている。 このようなホイール10に対して5kWのCO2レーザ溶接機を
用い、流量50l/minのアルゴンガスをアシストガスとし
て出力5kW,溶接速度3m/minの条件で、前記溶接部位13の
円周上に等間隔で4ケ所、それぞれ溶接長100mmにわた
ってリム11の側からレーザビームを照射してリム11とデ
ィスク12とのレーザ溶接を行った。 次に、溶接を終えたホイール10にタイヤ15を装着し、第
5図に示す非常にきびしい試験である半径方向負荷耐久
試験(ドラム耐久試験)によって溶接部の耐久性を調査
した。なお、前記ドラム耐久試験は、上下負荷W=2000
kgの条件で、ドラム16を図中矢印方向に回転させ、リム
11とディスク12の溶接部に亀裂が発生するまでの走行相
当距離によって前記溶接部の耐久性を評価するものであ
る。その結果は、第6図に示すとおりであって、3回の
繰返し試験の平均値として、耐久距離約6000kmの良好な
結果が得られた。 (比較例) 前記実施例と同一材料,同一サイズのホイールを前記実
施例と全く同一の溶接条件によって重ね合わせレーザ溶
接を行った。ただし、溶接個所には凹部の形成はなく、
第2図および第4図に示すように、リム21とディスク22
とを密着させ、溶接部位23において溶接を行った。 そして、前記実施例と同一条件でドラム耐久試験を実施
し、溶接部の耐久性を比較評価した。 その結果は、同じく第6図に示すとおりであって、平均
耐久距離は約2000kmであり、本発明に係る溶接方法によ
るホイールの耐久性が極めて優れていることが確認され
た。
に及ぼす溶接諸条件の影響について鋭意調査,検討した
結果、並べて配設した一方の被溶接材と他方の被溶接材
との間に若干の空隙を設けた上で溶接を行うことによっ
て、溶接による溶融金属が前記空隙内に溶け出し、当該
空隙を部分的に充填するため、継手強度が上昇するとい
う全く新しい知見を得るに到った。 本発明は、上記知見に基づくものであって、リムとディ
スクを溶接して鉄鋼製自動車用ロードホイールを製造す
るに際し、リムとディスクの板間にリム板厚の10〜30%
に相当する隙間dの空隙を設け、リム外側から高密度エ
ネルギ熱源を照射して、溶融された金属の一部を前記空
隙に溶け出させ、空隙のうちの溶接部分に充填させる構
成としたものであり、このような鉄鋼製自動車用ロード
ホイールの溶接方法の構成を前述した課題を解決するた
めの手段としたことを特徴としている。 (発明の作用) 以下に、上記知見を得るに到った実験結果と、それに基
づく本発明の構成および作用についてさらに詳しく説明
する。 第7図ないし第10図は、溶接継手の強度に及ぼす被溶接
材間の空隙の有無および隙間dの影響を調査した結果の
一例を示すものである。 この調査においては、先ず、板厚t1=2.9mm,幅W1=50m
m,長さL1=100mmの45キロ級熱延鋼板(JIS G3113 SAPH4
5)からなる一方の被溶接材1と、板厚t2=3.2mm,幅W2
=50mm,長さL2=100mmの55キロ級高張力熱延鋼板からな
る他方の被溶接材2とを溶接部位3を中心にして上下に
並べた状態とし、前記一方の被溶接材1と他方の被溶接
材2の溶接部位3に0〜1.2mmの範囲で空隙4の隙間d
をそれぞれ変化させた12組の溶接用供試体を準備した
(第7図参照)。 次いで、前記各溶接用供試体に対して、5kWのCO2レーザ
溶接機を用い、流量50l/minのアルゴンガスをアシスト
ガスとして、出力5kW,溶接速度3m/minの条件で一方の被
溶接材1の側からレーザビームを照射し、溶接部位3に
おいて溶接することによって各空隙4の隙間d毎に5個
ずつの溶接継手を得た。次いで前記各溶接継手の引張試
験を行って引張り剪断強度を求め、それぞれの平均値と
前記空隙4の隙間dとの関係を整理したところ、第8図
に示す結果を得た。 第8図から判るように、前記重ね合わせ溶接継手の剪断
強度は、被溶接材1,2の溶接部位3に設けた空隙4の隙
間dが0.7mmまでは空隙4の隙間dの増大と共に増加
し、前記隙間dが0.25〜0.90mm、すなわち、レーザビー
ム照射側である一方の被溶接材1の板厚2.9mmの10〜30
%に相当する範囲内のときに極めて優れた剪断強度を示
すことが明らかとなった。 これは、鋭い切欠きとなって破断時の亀裂の発生起点と
なっていた前記被溶接材1,2の溶接部位3に空隙4を設
けることによって、溶接時に溶融金属が溶け出し、前記
空隙4内を充填する結果、前記切欠き先端の鋭さが減
じ、応力集中が緩和されることによるものと考えられ
る。 第9図(a)(b)(c)は、前記一方の被溶接材1お
よび他方の被溶接材2の間の空隙4の隙間dがそれぞれ
0mm,0.4mm,1.1mmの場合の重ね合わせ溶接継手の溶接部
の断面マクロ組織のスケッチを示し、第10図(a)
(b)は隙間dがそれぞれ0mm,0.4mmの場合の溶接部の
金属マクロ組織を示すもので、被溶接材1,2が密着した
状態の第9図(a)および第10図(a)においては、前
記被溶接材1,2の合わせ目5,5は、被溶接材1,2がレーザ
ビームによって溶融されて一体となった溶融金属6に接
して鋭い切欠き部となっている。この状態で、前記被溶
接材1,2が引張試験によって第9図中左右方向に引張ら
れると、その荷重は、剪断応力として前記溶融金属6の
前記切欠き部に集中し、前記溶融金属6を容易に剪断す
るように作用する。 これに対し、被溶接材1,2の間に適当量の隙間dを有す
る空隙4がある場合には、第9図(b)および第10図
(b)に示すように、レーザビームによって溶融された
溶接金属7の一部が前記空隙4に溶け出し、空隙4のう
ちの溶接部分を充填する結果、前記切欠部先端の鋭さが
緩和され、応力の集中が避けられると共に、前記溶接金
属7の応力状態が単純な剪断応力だけでなく、曲げや引
張応力が加わった状態で破断するため、前記第9図
(a)および第10図(a)の場合にくらべて、継手の剪
断強度が増加するものと考えられる。なお、このような
空隙4の効果は、空隙4の隙間dがレーザビーム照射側
である一方の被溶接材1の板厚(t1)の10%以上の場合
に得られるものであり、10%未満の場合には効果が不十
分である。 しかしながら、前記被溶接材1,2の溶接部位3に設けた
空隙4の隙間dがレーザビーム照射側である一方の被溶
接材1の板厚の30%を超えた場合には、第9図(c)に
示すように、レーザビームによって溶融された溶接金属
8が空隙4内に多量に溶け出すため、レーザビーム照射
側である一方の被溶接材1の表面が凹状に陥没して前記
一方の被溶接材1の板厚が実質的に減少することによ
り、継手強度が低下する。 したがって、本発明に係る鉄鋼製自動車用ロードホイー
ルの溶接方法におけるリムとディスクの溶接部位に設け
る空隙の隙間dは、レーザなどの高密度エネルギ熱源の
照射側であるリムの板厚の10〜30%の範囲に限定され
る。 (実施例) 第1図は、サイズ14インチのホイールの断面図であり、
図に示すホイール10は、板厚2.9mmの45キロ級熱延鋼板
(JIS G3113 SAPH45)からなる一方の被溶接材(リム)
11と、板厚3.2mmの55キロ級高張力熱延鋼板からなる他
方の被溶接材(ディスク)12とから形成され、前記リム
11の内周に前記ディスク12を嵌合し、リム11の外周側よ
り溶接部位13に高密度エネルギ熱源としてレーザビーム
を照射することにより、リム11とディスク12とを接合し
てなるものである。 この実施例においては、前記リム11の側には、第3図に
拡大して示すように、当該リム11のロール成形時に形成
した0.5mm深さの凹部が前記溶接部位13に設けてあり、
この結果リム11とディスク12との間に隙間d=0.5mmの
空隙14が形成されるようになっている。 このようなホイール10に対して5kWのCO2レーザ溶接機を
用い、流量50l/minのアルゴンガスをアシストガスとし
て出力5kW,溶接速度3m/minの条件で、前記溶接部位13の
円周上に等間隔で4ケ所、それぞれ溶接長100mmにわた
ってリム11の側からレーザビームを照射してリム11とデ
ィスク12とのレーザ溶接を行った。 次に、溶接を終えたホイール10にタイヤ15を装着し、第
5図に示す非常にきびしい試験である半径方向負荷耐久
試験(ドラム耐久試験)によって溶接部の耐久性を調査
した。なお、前記ドラム耐久試験は、上下負荷W=2000
kgの条件で、ドラム16を図中矢印方向に回転させ、リム
11とディスク12の溶接部に亀裂が発生するまでの走行相
当距離によって前記溶接部の耐久性を評価するものであ
る。その結果は、第6図に示すとおりであって、3回の
繰返し試験の平均値として、耐久距離約6000kmの良好な
結果が得られた。 (比較例) 前記実施例と同一材料,同一サイズのホイールを前記実
施例と全く同一の溶接条件によって重ね合わせレーザ溶
接を行った。ただし、溶接個所には凹部の形成はなく、
第2図および第4図に示すように、リム21とディスク22
とを密着させ、溶接部位23において溶接を行った。 そして、前記実施例と同一条件でドラム耐久試験を実施
し、溶接部の耐久性を比較評価した。 その結果は、同じく第6図に示すとおりであって、平均
耐久距離は約2000kmであり、本発明に係る溶接方法によ
るホイールの耐久性が極めて優れていることが確認され
た。
以上説明してきたように、本発明に係る鉄鋼製自動車用
ロードホイールの溶接方法は、リムとディスクを溶接し
て鉄鋼製自動車用ロードホイールを製造するに際し、リ
ムとディスクの板間にリム板厚の10〜30%に相当する隙
間dの空隙を設け、リム外側から高密度エネルギ熱源を
照射して、溶融された金属の一部を前記空隙に溶け出さ
せ、空隙のうちの溶接部分に充填させる構成としたもの
であるから、継手強度,疲労強度に優れた継手部が得ら
れ、ホイールの耐久性を向上することができるという優
れた効果を発揮するものである。
ロードホイールの溶接方法は、リムとディスクを溶接し
て鉄鋼製自動車用ロードホイールを製造するに際し、リ
ムとディスクの板間にリム板厚の10〜30%に相当する隙
間dの空隙を設け、リム外側から高密度エネルギ熱源を
照射して、溶融された金属の一部を前記空隙に溶け出さ
せ、空隙のうちの溶接部分に充填させる構成としたもの
であるから、継手強度,疲労強度に優れた継手部が得ら
れ、ホイールの耐久性を向上することができるという優
れた効果を発揮するものである。
第1図は本発明に係る溶接方法の一実施例に用いたホイ
ールの形状を示す断面図、第2図は比較例に用いたホイ
ールの形状を示す断面図、第3図は第1図の溶接部位の
拡大図、第4図は第2図の溶接部位の拡大図、第5図は
ドラム耐久試験方法を示す概略説明図、第6図は本発明
の実施例および比較例におけるホイールの耐久性を比較
するグラフ、第7図は溶接継手の剪断強度と被溶接材間
の隙間dとの関係の調査に用いた引張試験片の形状を示
す説明図、第8図は溶接継手の剪断強度に及ぼす被溶接
材間の隙間dの影響を示すグラフ、第9図(a)(b)
(c)は被溶接材間の隙間dがそれぞれ0mm,0.4mm,1.1m
mの場合の溶接部の断面マクロ形状を示すスケッチ、第1
0図(a)(b)は前記隙間dがそれぞれ0mm,0.4mmの場
合の溶接部の金属マクロ組織を示す組織写真(5倍)で
ある。 10……自動車用ロードホイール、11……リム、12……デ
ィスク、14……空隙、d……空隙の隙間。
ールの形状を示す断面図、第2図は比較例に用いたホイ
ールの形状を示す断面図、第3図は第1図の溶接部位の
拡大図、第4図は第2図の溶接部位の拡大図、第5図は
ドラム耐久試験方法を示す概略説明図、第6図は本発明
の実施例および比較例におけるホイールの耐久性を比較
するグラフ、第7図は溶接継手の剪断強度と被溶接材間
の隙間dとの関係の調査に用いた引張試験片の形状を示
す説明図、第8図は溶接継手の剪断強度に及ぼす被溶接
材間の隙間dの影響を示すグラフ、第9図(a)(b)
(c)は被溶接材間の隙間dがそれぞれ0mm,0.4mm,1.1m
mの場合の溶接部の断面マクロ形状を示すスケッチ、第1
0図(a)(b)は前記隙間dがそれぞれ0mm,0.4mmの場
合の溶接部の金属マクロ組織を示す組織写真(5倍)で
ある。 10……自動車用ロードホイール、11……リム、12……デ
ィスク、14……空隙、d……空隙の隙間。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−126086(JP,A) 特開 昭61−74793(JP,A) 実開 昭60−169002(JP,U)
Claims (1)
- 【請求項1】リムとディスクを溶接して鉄鋼製自動車用
ロードホイールを製造するに際し、リムとディスクの板
間にリム板厚の10〜30%に相当する隙間dの空隙を設
け、リム外側から高密度エネルギ熱源を照射して、溶融
された金属の一部を前記空隙に溶け出させ、空隙のうち
の溶接部分に充填させることを特徴とする鉄鋼製自動車
用ロードホイールの溶接方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1091051A JPH07110429B2 (ja) | 1989-04-10 | 1989-04-10 | 鉄鋼製自動車用ロードホイールの溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1091051A JPH07110429B2 (ja) | 1989-04-10 | 1989-04-10 | 鉄鋼製自動車用ロードホイールの溶接方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02268990A JPH02268990A (ja) | 1990-11-02 |
JPH07110429B2 true JPH07110429B2 (ja) | 1995-11-29 |
Family
ID=14015707
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1091051A Expired - Lifetime JPH07110429B2 (ja) | 1989-04-10 | 1989-04-10 | 鉄鋼製自動車用ロードホイールの溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07110429B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0523879A (ja) * | 1991-07-16 | 1993-02-02 | Nec Kansai Ltd | 二部材の接続方法 |
US7617605B2 (en) * | 2005-06-16 | 2009-11-17 | Continental Automotive Systems Us, Inc. | Component geometry and method for blowout resistant welds |
DE102006040650A1 (de) | 2006-08-30 | 2008-03-13 | Robert Bosch Gmbh | Verfahren zum Fügen von Bauteilen mit geschlossenem Hohlquerschnitt |
JP5890190B2 (ja) * | 2012-02-02 | 2016-03-22 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 電磁式燃料噴射弁の製造方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
IT1182277B (it) * | 1984-09-20 | 1987-10-05 | Prima Progetti Spa | Metodo per la saldatura laser di lamiere metalliche protette con materiali a bassa temperatura di vaporizzazione |
-
1989
- 1989-04-10 JP JP1091051A patent/JPH07110429B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02268990A (ja) | 1990-11-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8276954B2 (en) | Bumper system | |
JP4968201B2 (ja) | レーザ溶接構造部材およびその製造方法 | |
DE69602553D1 (de) | Stumpfschweissverfahren von zwei metallischen Blechplatten und nach diesem Verfahren hergestelltes Automobilteil | |
JP2011062718A (ja) | 薄鋼板の重ねすみ肉アーク溶接継手およびその製造方法 | |
JP6299702B2 (ja) | 自動車用骨格部品および自動車用骨格部品の製造方法 | |
JP2002079388A (ja) | 軸圧潰時の衝撃吸収に優れた衝撃吸収部材のレーザ溶接方法 | |
JP4841970B2 (ja) | 重ねレーザ溶接方法 | |
JPH07110429B2 (ja) | 鉄鋼製自動車用ロードホイールの溶接方法 | |
JP2006021216A (ja) | テーラードブランクプレス成形部品の製造方法 | |
JP5000578B2 (ja) | 薄鋼板の重ねレーザ溶接方法 | |
JP5002880B2 (ja) | フレーム構造 | |
JP2002079387A (ja) | 重ね継手のレーザ溶接方法 | |
JP2010279991A (ja) | 薄鋼板のレーザ重ね溶接方法 | |
JP6794641B2 (ja) | 溶接構造体の製造方法 | |
JP2004276031A (ja) | 曲げ成形部材及びその製造方法 | |
JP4589845B2 (ja) | 自動車用ホイールおよびその製造方法 | |
JP2000167673A (ja) | テーラードブランク材およびその製造方法 | |
ES2146536A1 (es) | Metodo de soldadura con haz laser para aceros al carbono. | |
JPH1068021A (ja) | 衝突特性に優れた接合構造部材の製造方法 | |
JP7368716B2 (ja) | 抵抗スポット溶接継手の製造方法 | |
JP2001259882A (ja) | 大・中型スチールホイールのリムの製造方法 | |
JPH05329672A (ja) | ロードホイールの製造方法 | |
JPH05329671A (ja) | ロードホイールの製造方法 | |
JP7234639B2 (ja) | フランジ付き板巻きレーザー溶接鋼管及びフランジ付き板巻きレーザー溶接鋼管の製造方法 | |
JPH0270340A (ja) | チタン製ホイールの製造方法 |